JP6321268B2 - 擬似力覚発生装置 - Google Patents
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Description
本発明は、擬似的な力覚を利用者に知覚させる技術に関する。
非特許文献1には、反転比の異なる矩型の入力信号をアクチュエータに印加することで、所望の方向に仮想力覚(擬似的な力覚)を提示できることが開示されている。このアクチュエータは、ゲームコントローラ用に開発された振動子であり、原理的にはゲームコントローラに組み込んでゲームコントローラを保持している人に仮想的な牽引力を知覚させることができると考えられる。
暦本純一,"Traxion:仮想力覚提示デバイス",WISS2013.
仮想力覚を適切に提示するためには、人が把持する部分を所望のパターンおよび振幅で振動させることが効率の観点から望ましい。ところが、振動子を装置全体に剛性の高い部材で接続した場合、把持する部分を所望のパターンおよび振幅で振動させるために装置全体を動かす必要があるため効率が悪くなる。また、振動子の振動が筐体内部の他の部品に悪影響を与えてしまう恐れもある。
本発明は、他の部位への悪影響を抑え、かつ、仮想的な力覚を適切かつ効率的に知覚させる技術を提供する。
本発明では、電子機器と所定の軸に沿った方向への加速度を発生させる加速度発生装置とを、それらの間に配置された非剛体の接続部材によって機械的に接続し、上記所定の軸の電子機器に対する相対的な方向を維持する。
これにより、加速度発生装置の振動(加速度運動)が他の部位に悪影響を与えることを抑制できる。また、電子機器と加速度発生装置とを非剛体の接続部材によって接続するため、装置全体を所望のパターンおよび振幅で振動させる必要がなくなる。また、加速度運動の方向(軸)の電子機器に対する相対的な方向が維持されるため、電子機器を基準とした所望の方向に擬似的な力覚を提示できる。その結果、仮想的な力覚を適切かつ効率的に知覚させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1A、図1Bおよび図2に例示するように、本形態の擬似力覚発生装置1は、電子機器11と、加速度を発生させる加速度発生装置12と、電子機器11と加速度発生装置12との間に配置され、加速度発生装置12を外部の電子機器11に機械的に接続する接続部材(緩衝材)とを有する。
[第1実施形態]
図1A、図1Bおよび図2に例示するように、本形態の擬似力覚発生装置1は、電子機器11と、加速度を発生させる加速度発生装置12と、電子機器11と加速度発生装置12との間に配置され、加速度発生装置12を外部の電子機器11に機械的に接続する接続部材(緩衝材)とを有する。
電子機器11は、加速度発生装置12の外部の被接続体である。電子機器11の具体例は、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ等の携帯端末装置や、ゲームコントローラ、人形、ぬいぐるみ等の電子玩具などである。
加速度発生装置12は、振動子120を有し、振動子120が所定の軸に沿った周期的な加速度運動を行うことで、当該所定の軸に沿った方向への擬似的な力覚を提示する装置である。図2の例では、加速度発生装置12の収納部12bに振動子120が収納され、振動子120を収納した収納部12bに図示していない蓋がかぶせられる。加速度発生装置12は、所定の軸に沿った方向への周期的な加速度運動であって、かつ、当該所定の軸に沿った第1の方向への加速度と当該第1の方向とは反対の方向への加速度とが非対称であるような加速度運動を行うことで擬似的な力覚を提示する。なお、振動子120の構成に特に限定はない。例えば、特許文献1に開示された装置を振動子120として用いてもよいし、参考文献1(特許第4551448号公報)に開示された装置を振動子120として用いてもよいし、その他の振動子120を用いてもよい。その他の振動子120の例については後述する。
接続部材13は非剛体であり、電子機器11に対する加速度発生装置12の発生させる周期的な加速度運動の相対的な方向を維持可能な部材であり、かつ、加速度発生装置12の発生させる加速度運動が電子機器11に伝搬しないような部材である。言い換えれば、加速度発生装置12が所定の軸に沿った方向への擬似的な力覚を提示可能であるとして、接続部材13は当該所定の軸の電子機器11に対する相対的な方向(角度)が維持可能な部材である。なお、「相対的な方向を維持する」とは厳密に方向が変動しないことだけを指すのではなく、擬似的な力覚を所望の方向に提示するという目的を達成可能な程度に、電子機器11に対する加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の相対的な方向が変動しないことを意味する。また接続部材13は、例えば、衝撃吸収材から構成されることが望ましい。例えば、シリコンを主材としたゲル状物質(固体と液体の中間状態物質)や軟質ウレタンフォーム等のスポンジなどの、硬度が低くかつ反発係数が小さい材質から構成されることが望ましい。また、本形態の接続部材13は導電性材料を含む。例えば、接続部材13が導電性を持つ衝撃吸収材を含んでいてもよいし、非導電性の衝撃吸収材とその表面に製膜された導電性膜とを含んでいてもよいし、導電性ケーブルとそれを覆う非導電性の衝撃吸収材とを含んでいてもよい。例えば、図3Aおよび図3Bに例示するように、接続部材13が、非導電性の衝撃吸収材からなる非導電性部132a,132b,132cと、非導電性部132aと非導電性部132bの間に介在した導電性の衝撃吸収材である導電性部131aと、非導電性部132bと非導電性部132cの間に介在した導電性の衝撃吸収材である導電性部131bとを含んでいてもよい。これにより板面13a側と板面13b側とを電気的に接続する、互いに絶縁された2つの伝送路(導電性部131a,131b)が構成されている。或いは、図3Cおよび図3Dに例示するように、非導電性の衝撃吸収材である基部133の表面に互いに非接触な2つの導電性膜134a,134bが設けられてもよい。これによって、板面13a側と板面13b側とを電気的に接続する互いに絶縁された2つの伝送路(導電性膜134a,134b)が構成されている。その他、板面13a側と板面13b側とを接続する互いに非接触な2本の導電性ケーブルを非導電性の衝撃吸収材で覆うことで接続部材13が構成されてもよい。なお、非導電性の衝撃吸収材の具体例としては、「衝撃吸収シートβゲル」(http://www.tech-jam.com/items/tjn1110795.phtml等参照)や軟質ウレタンフォーム等を例示できる。導電性の衝撃吸収材の具体例としては、軟質ウレタンフォームに導電性を持たせた「導電性ウレタンフォーム」(http://www.softpren.co.jp/material-handling/urethane-foam/uf07)等を例示できる。
図1A、図1B、および図2に例示するように、電子機器11の1つの側面11aに接続部材13の板面13aが固定され、接続部材13の板面13aの反対面である板面13bが加速度発生装置12の1つの側面12aに固定されている。これにより、加速度発生装置12が接続部材13を介して電子機器11に機械的に接続され、電子機器11に対する加速度発生装置12が発生させる加速度の相対的な方向を維持したまま、全体として一体化されている。例えば、加速度発生装置12内の振動子の運動方向が電子機器11の側面11aと平行な方向に保たれるように、電子機器11と加速度発生装置12とを接続部材13により接続する。あるいは、加速度発生装置12内の振動子の運動方向が電子機器11の側面11aに対して垂直な方向に保たれるように、電子機器11と加速度発生装置12とを接続部材13により接続する。さらに、本形態では、加速度発生装置12は、接続部材13を介して外部の電子機器11に電気的に接続されている。例えば、加速度発生装置12は、図3Aおよび図3Bに例示したような接続部材13に構成された2つの伝送路を通じ、電子機器11に電気的に接続されている。これにより、電子機器11は、接続部材13を介し、加速度発生装置12を制御するための電気信号を加速度発生装置12に供給可能となっている。なお、電子機器11と2つの伝送路との間に公知のコネクタが介在してもよいし、これらの伝送路と加速度発生装置12との間に公知のコネクタが介在してもよい。
例えば、図4に例示するように、電子機器11は、力覚指定部111、制御部112、および出力部113を有し、加速度発生装置12は、入力部127と振動子120とを有する。なお、力覚指定部111および制御部112は、例えば、CPU(central processing unit)等のプロセッサ(ハードウェア・プロセッサ)やRAM(random-access memory)等のメモリ等を備える汎用または専用のコンピュータに、所定のプログラムが読み込まれて構成される装置である。力覚指定部111および制御部112を構成する一部またはすべての処理部がCPU以外の電子回路(circuitry)によって構成されていてもよい。なお、CPUも電子回路(circuitry)の一種である。入力部127および出力部113は公知のコネクタ等のインタフェースや電子回路等からなる。
力覚指定部111には、どのような力覚を提示するのかを指定するための情報(指定情報)が入力される。指定情報の例は、力覚の提示方向を特定する情報、力覚の強さを特定する情報などである。力覚指定部111は、入力された指定情報が特定する力覚を提示させるための制御信号を制御部112に送る。制御部112は、入力された制御信号に応じ、加速度発生装置12に入力する電流を生成して出力部113に出力する。出力部113は、この電流を接続部材13経由で加速度発生装置12に送る。電流は加速度発生装置12の入力部127に入力され、振動子120に供給される。振動子120は、入力された電流に応じた動作を行い、これにより、指定情報によって特定された力覚を提示する。
<振動子の例示>
図5Aおよび図5Bは、振動子120の一例を例示した概念図であり、その長手方向の断面を例示している。図5Aおよび図5Bに例示するように、この例の振動子120は、例えば、支持部121、ばね122,123、コイル124、永久磁石125、およびケース126を有している。ケース126および支持部121は、ともに円筒の両方の開放端を閉じた形状からなる中空の部材である。ただし、支持部121は、ケース126よりも小さく、ケース126の内部に収容可能な大きさである。ケース126および支持部121は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂から構成される。ばね122,123は、例えば、金属等から構成されるつるまきばねや板ばね等である。ばね122,123のばね定数は同一であることが望ましいが、互いに相違していてもよい。永久磁石125は、例えば、円柱形状の永久磁石であり、長手方向の一方の端部125a側がN極であり、他方の端部125b側がS極である。コイル124は、例えば、一つながりのエナメル線であり、第1巻き部124aと第2巻き部124bとを有する。
図5Aおよび図5Bは、振動子120の一例を例示した概念図であり、その長手方向の断面を例示している。図5Aおよび図5Bに例示するように、この例の振動子120は、例えば、支持部121、ばね122,123、コイル124、永久磁石125、およびケース126を有している。ケース126および支持部121は、ともに円筒の両方の開放端を閉じた形状からなる中空の部材である。ただし、支持部121は、ケース126よりも小さく、ケース126の内部に収容可能な大きさである。ケース126および支持部121は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂から構成される。ばね122,123は、例えば、金属等から構成されるつるまきばねや板ばね等である。ばね122,123のばね定数は同一であることが望ましいが、互いに相違していてもよい。永久磁石125は、例えば、円柱形状の永久磁石であり、長手方向の一方の端部125a側がN極であり、他方の端部125b側がS極である。コイル124は、例えば、一つながりのエナメル線であり、第1巻き部124aと第2巻き部124bとを有する。
永久磁石125は支持部121の内部に収容され、そこで長手方向にスライド可能に支持されている。このような支持機構の詳細は図示しないが、例えば、支持部121の内壁面に長手方向に沿ったまっすぐなレールが設けられ、永久磁石125の側面にこのレールをスライド可能に支持するレール支持部が設けられている。支持部121の長手方向の一端側の内壁面121aには、ばね122の一端が固定され、ばね122の他端は永久磁石125の端部125aに固定されている。また、支持部121の長手方向の他端側の内壁面121bには、ばね123の一端が固定され、ばね123の他端は永久磁石125の端部125bに固定されている。
支持部121の外周側にはコイル124が巻きつけられている。ただし、永久磁石125の端部125a側(N極側)では、第1巻き部124aがA1方向(奥から手前に向けた方向)に巻きつけられており、端部125b側(S極側)では、第2巻き部124bがA1方向と反対向きのB1方向(手前から奥に向けた方向)に巻き付けられている。すなわち、永久磁石125の端部125a側(N極側)からみた場合、第1巻き部124aは時計回りに巻き付けられており、第2巻き部124bは反時計回りに巻き付けられている。また、永久磁石125が停止し、ばね122,123からの弾性力が釣り合った状態において、永久磁石125の端部125a側(N極側)が第1巻き部124aの領域に配置され、端部125b側(S極側)が第2巻き部124bの領域に配置されることが望ましい。
以上のように配置構成された支持部121、ばね122,123、コイル124、および永久磁石125が、ケース126内に収容され、支持部121がケース126の内部に固定されている。ただし、ケース126の長手方向は、支持部121の長手方向および永久磁石125の長手方向と一致する。
コイル124にA1方向(B1方向)に電流を流すと、フレミングの左手の法則で説明されるローレンツ力の反作用により、永久磁石125−iにC1方向(永久磁石125−iのN極からS極に向かう方向:右方向)の力が加えられる(図5A)。逆に、コイル124にA2方向(B2方向)に電流を流すと、永久磁石125にC2方向(永久磁石125のS極からN極に向かう方向:左方向)の力が加えられる(図5B)。ただし、A2方向はA1方向の反対方向である。これらの動作により、永久磁石125およびばね122,123からなる系に運動エネルギーが与えられる。それにより、ケース126を基準とする永久磁石125の位置および加速度を変化させることができる。
ここで、コイル124に所定の方向に電流を流す期間(時間)とそれ以外の期間とを周期的に繰り返す。その際、所定の方向に電流を流す期間とそれ以外の期間との比(反転比)を何れか一方の期間に偏らせることにより、所望の方向に擬似的な力覚を提示できる。以下、図6Aから図6Dを用いてこの制御を例示する。ただし、図6Aから図6Dの縦軸はコイル124に流す電流値(電流指令値)[A]を表し、横軸は時間[msec]を表す。A1方向(B1方向)の電流値を正で表現し、A2方向(B2方向)の電流値を負で表現している。
図6Aおよび図6Bは、A1方向(B1方向)の電流(X)を流す期間(時間)t1とA2方向(B2方向)の電流(−X)を流す期間t2とを周期的に繰り返す例である。この場合、A1方向(B1方向)の電流を流す期間t1とA2方向(B2方向)の電流を流す期間t2との比(反転比t1:t2)に応じ、図5Aおよび図5Bの左方向または右方向に擬似的な力覚を提示できる。すなわち、図5Aおよび図5Bの左方向に擬似的な力覚を提示する場合には、t1>t2となる反転比の周期的な電流をコイル124に流す(図6A)。例えば、反転比t1:t2=18msec:7msecの周期的な電流(40Hzの周波数の電流)をコイル124に流す。逆に、右方向に擬似的な力覚を提示する場合には、t1<t2となる反転比の周期的な電流をコイル124に流す(図6B)。例えば、反転比t1:t2=7msec:18msecの周期的な電流(40Hzの周波数の電流)をコイル124に流す。
図6Cおよび図6Dは、A2方向(B2方向)の電流(−X)を流す期間t2と電流を流さない期間t1とを周期的に繰り返すか、A1方向(B1方向)の電流(X)を流す期間(時間)t1と流さない期間t2とを周期的に繰り返す例である。ただし、期間t1と期間t2との反転比t1:t2が何れかの期間に偏っている。すなわち、左方向に擬似的な力覚を提示する場合には、A2方向(B2方向)の電流(−X)を流す期間t1と電流を流さない期間t2とを周期的に繰り返す電流をコイル124に流す。この電流の反転比t1:t2は期間t1に偏っており、t1>t2である(図6C)。例えば、反転比t1:t2=18msec:7msecの電流をコイル124に流す。逆に、右方向に擬似的な力覚を提示する場合には、A1方向(B1方向)の電流(X)を流す期間(時間)t1と流さない期間t2とを周期的に繰り返す電流をコイル124に流す。この電流の反転比t1:t2は期間t2に偏っており、t1<t2である(図6D)。例えば、反転比t1:t2=7msec:18msecの電流をコイル124に流す。
なお、説明の便宜上、図6Aから図6Dに図示した電流値(電流指令値)は矩形波であった。しかしながら、所定の方向に電流を流す期間とそれ以外の期間とを周期的に繰り返す電流であって、所定の方向に電流を流す期間とそれ以外の期間との反転比が何れか一方の期間に偏っているのであれば、どのような波形の電流であってもよい。例えば、立ち上がりや立ち下がりが鈍った電流であってもよいし、リップルを含む電流であってもよい。また、所定の方向に電流を流す期間とその逆の方向に電流を流す期間とを周期的に繰り返す電流であって、所定の方向の電流の振幅値またはその平均値と、その逆の方向の電流の振幅値またはその平均値とが互いに相違していてもよい。
また、図5Aおよび図5Bに例示した振動子120の変形例として、永久磁石125の端部125a側(N極側)または端部125b側(S極側)のみにコイル124が巻き付けられていてもよい。例えば、図7Aおよび図7Bのように、支持部121の外周側の端部125b側(S極側)のみにコイル124が巻き付けられていてもよい。このような場合の制御およびそれによって提示される擬似的な力覚の方向は、図5Aおよび図5Bに例示した振動子120と同じである。
あるいは、図8に例示するように、図5Aおよび図5Bに例示した振動子120のコイル124に代えて、支持部121の外周側の端部125a側(N極側)にA1方向に巻きつけられた第1巻き部124a’側のコイルと、支持部121の外周側の端部125b側(S極側)にB1方向(A1方向と反対向き)に巻き付けられた第2巻き部124b’側のコイルとが別々のものが用いられてもよい。すなわち、第1巻き部124a’側のコイルと第2巻き部124b’側のコイルとが電気的に接続されておらず、互いに異なる電気信号を与えることができる構成であってもよい。
図8の例の場合、第1巻き部124a’側のコイルのみにA1方向の逆向きのA2方向の電流(−X)を流す期間t1と電流を流さない期間t2とを周期的に繰り返すか、第2巻き部124b’側のコイルのみにB1方向の電流(X)を流す期間(時間)t1と流さない期間t2とを周期的に繰り返す。ただし、期間t1と期間t2との反転比t1:t2が何れか一方の期間に偏っている。すなわち、図8の左方向に擬似的な力覚を提示する場合には、第1巻き部124a’側のコイルのみにA2方向の電流(−X)を流す期間t2と電流を流さない期間t1とを周期的に繰り返す電流を流すが、この電流の反転比t1:t2は期間t1に偏っており、t1>t2である(図6C)。例えば、反転比t1:t2=18msec:7msecの電流を流す。逆に、右方向に擬似的な力覚を提示する場合には、第2巻き部124b’側のコイルのみにB1方向の電流(X)を流す期間(時間)t1と流さない期間t2とを周期的に繰り返す電流を流すが、この電流の反転比t1:t2は期間t2に偏っており、t1<t2である(図6D)。例えば、反転比t1:t2=7msec:18msecの電流を流す。
<例示した振動子が擬似的な力覚を提示できる理由>
ある質量をもった物体の並進運動を考える。この並進運動は、擬似力覚を提示したい方向へ大きな加速度で短時間で移動し、逆の方向へは小さな加速度で長時間で移動する、偏加速度をもった周期運動であるものとする。この場合、この物体を含む系を把持しているユーザは、この提示方向への擬似力覚を知覚する。これは、人間の知覚特性を利用したものであり、把持動作に関わる固有感覚と触覚によって発生する現象である(例えば、参考文献1参照)。上述のように、所定の方向に電流を流す期間とそれ以外の期間との反転比を何れかの期間に偏らせた電流をコイルに流すことにより、永久磁石125に偏加速度を与えることができ、それによって所望の方向へ擬似的な力覚を提示することができる。
ある質量をもった物体の並進運動を考える。この並進運動は、擬似力覚を提示したい方向へ大きな加速度で短時間で移動し、逆の方向へは小さな加速度で長時間で移動する、偏加速度をもった周期運動であるものとする。この場合、この物体を含む系を把持しているユーザは、この提示方向への擬似力覚を知覚する。これは、人間の知覚特性を利用したものであり、把持動作に関わる固有感覚と触覚によって発生する現象である(例えば、参考文献1参照)。上述のように、所定の方向に電流を流す期間とそれ以外の期間との反転比を何れかの期間に偏らせた電流をコイルに流すことにより、永久磁石125に偏加速度を与えることができ、それによって所望の方向へ擬似的な力覚を提示することができる。
図9Aおよび図9Bは、A1方向(B1方向)の電流を流す期間(時間)t1とA2方向(B2方向)の電流を流す期間t2とを反転比t1:t2=18msec:7mseで繰り返す40Hzの周波数の電流を、図5Aおよび図5Bに例示した振動子120のコイル124に流した場合における、ケース126を手で把持した場合の外界を基準としたケース126の位置の変化および加速度変化をそれぞれ例示している。一方、図9Cおよび図9Dは、A1方向(B1方向)の電流を流す期間(時間)t1とA2方向(B2方向)の電流を流す期間t2とを反転比t1:t2=7mse:18msecで繰り返す40Hzの周波数の電流を、コイル124に流した場合における、ケース126を手で把持した場合の外界を基準としたケース126の位置変化および加速度変化をそれぞれ例示している。なお、図9Aから図9Dの横軸は時間[Sec]を表し、図9Aおよび図9Cの縦軸は外界を基準とした場合のケース126の位置変化[mm]を表し、図9Bおよび図9Dの縦軸は外界を基準とした場合のケース126の加速度変化[m/s2]を表す。図5Aおよび図5Bの左方向が図9Aから図9Dの縦軸の正方向であり、右方向が負方向である。図9Bに例示するように、反転比t1:t2=18msec:7mseの電流を流した場合、t1の始まりの時点(t2からt1に切り替わる時点)で,図5Aおよび図5Bの永久磁石125が左に動いている状態から急激に右方向へ動かす力が働くため、その反作用でケース126に左方向へ大きな加速度が生ずる。一方、t2の始まる時点(t1からt2に切り替わる時点)では、t1の間に移動して静止している永久磁石125が左方向に動くため、その反作用で生ずるケース126への右方向の加速度はt1の開始時点より大きさが小さい。その結果、ケース126の加速度に左右差が生じ,左方向へ擬似的な力覚が提示される。逆に、図9Dに例示するように、反転比t1:t2=7mse:18msecの電流を流した場合、図5Aおよび図5Bの右方向へはケース126に大きな加速度が生じ、左方向へは小さな加速度が生ずる。その結果、右方向へ擬似的な力覚が提示される。
<知覚される擬似的な力覚の強さと周波数との関係>
80Hzまたは80Hz付近の周波数成分は、動物(人を含む)の皮膚・筋・腱の受容器の中で、方向や加速度の知覚に寄与する受容器の神経活動を最も活発化させる周波数である。そのため、80Hzまたはその付近の周波数成分を持つ加速度が与えられた人(動物)は強い力覚や動きを知覚する。図10に図9Bに示した加速度のFFT周波数解析結果を示す。図10で、横軸は周波数、縦軸はその周波数での加速度のパワーを示す。基本周波数の40Hzに加え、80Hz付近で加速度に大きなパワーが含まれていることが示されている。加速度がこの周波数付近の成分をもつことと、加速度の非対称性(偏加速度)により、強い疑似的な力覚を提示できる。
80Hzまたは80Hz付近の周波数成分は、動物(人を含む)の皮膚・筋・腱の受容器の中で、方向や加速度の知覚に寄与する受容器の神経活動を最も活発化させる周波数である。そのため、80Hzまたはその付近の周波数成分を持つ加速度が与えられた人(動物)は強い力覚や動きを知覚する。図10に図9Bに示した加速度のFFT周波数解析結果を示す。図10で、横軸は周波数、縦軸はその周波数での加速度のパワーを示す。基本周波数の40Hzに加え、80Hz付近で加速度に大きなパワーが含まれていることが示されている。加速度がこの周波数付近の成分をもつことと、加速度の非対称性(偏加速度)により、強い疑似的な力覚を提示できる。
図11に知覚明瞭性の実験結果を示す。実験では、図5Aおよび図5Bに例示した振動子120(17mm×17mm×33mmのABS樹脂製の直方体型のケース126に各部が収容されている)を用いた。27〜49歳の右利き7名の実験協力者が実験に参加した。実験協力者は右手の親指と人差し指で振動子120をつまみ、振動子120が1秒ごとに力覚の提示方向を切り替え、3秒間継続して力覚を提示した。実験協力者は方向の切り替わりを含め、明瞭に力の方向とその変化を感じたときに「1」、それ以外のときに「0」を回答した。実験参加者に反応に関するフィードバックは与えられなかった。図5Aおよび図5Bの左方向に擬似的な力覚を提示する場合には、A1方向(B1方向)の電流(X)を流す期間t1と逆の電流(−X)を流す期間t2とを周期的に繰り返す電流をコイル124に流した。逆に、右方向に擬似的な力覚を提示する場合には、A2方向(B2方向)の電流(−X)を流す期間(時間)t1と逆の電流(X)を流す期間t2とを周期的に繰り返す電流をコイル124に流した。また、
t1:1,3,5,7,9,12,15[ms]
t2:12,18,23,33,43[ms]
からなる組み合わせのうち、t1<t2となる組み合わせからなる、計33条件の反転比t1:t2について実験を行った。すべての条件でアンプのゲインは同一とした。図11の横軸は電流の周波数(1/(t1+t2))を表し、縦軸は分数表記した反転比(t2/t1)を表し、●(塗りつぶされた○)は正解率100%、○は正解率75%以上100%未満、△は正解率50%以上75%未満、×は正解率50%未満であったことを示す。なお、「正解」とは、実際に提示された力覚の方向とその変化と実験協力者の回答とが一致したことを表す。図11から40Hzまたはその近傍の周期の電流を用いることで方向性を持つ強い力覚を提示できることが分かる。
t1:1,3,5,7,9,12,15[ms]
t2:12,18,23,33,43[ms]
からなる組み合わせのうち、t1<t2となる組み合わせからなる、計33条件の反転比t1:t2について実験を行った。すべての条件でアンプのゲインは同一とした。図11の横軸は電流の周波数(1/(t1+t2))を表し、縦軸は分数表記した反転比(t2/t1)を表し、●(塗りつぶされた○)は正解率100%、○は正解率75%以上100%未満、△は正解率50%以上75%未満、×は正解率50%未満であったことを示す。なお、「正解」とは、実際に提示された力覚の方向とその変化と実験協力者の回答とが一致したことを表す。図11から40Hzまたはその近傍の周期の電流を用いることで方向性を持つ強い力覚を提示できることが分かる。
<本形態の特徴>
本形態では、加速度発生装置12が非剛体の接続部材13を介して電子機器11に接続されるため、振動子120を含む振動系を加速度発生装置12側にほぼ分離できる。そのため、加速度発生装置12側のみを所望のパターンおよび振幅で振動させればよく、擬似力覚発生装置1全体をそのように振動させる必要はない。また、本形態では、加速度発生装置12で発生する振動が電子機器11にほとんど伝わらない。そのため、加速度発生装置12で発生するが電子機器11の他の部品に悪影響を与えることを抑制できる。一方、加速度発生装置12を手で触れると手のみに振動が伝わり、擬似的な力覚を提示できる。また、擬似力覚発生装置1は、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向(角度)を維持したまま、全体として一体化される。そのため、電子機器11を基準とした所望の方向に擬似的な力覚を提示することができる。すなわち、例えば、電子機器11と加速度発生装置12とをケーブルや紐等で繋いだ場合には、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向が維持されない。この場合、電子機器11がある方向に擬似的な力覚を提示しようとしても、加速度発生装置12の加速度運動の向き自体を制御できないのであるから、電子機器11を基準とした所望の方向に擬似的な力覚を提示することはできない。本形態では、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向を維持できるため、このような問題は生じない。なお、上述の例では、加速度発生装置12内の振動子が一つである場合を例として、加速度発生装置12が一つの軸方向への加速度を提示する場合を説明したが、加速度発生装置内に複数の振動子を備え、それぞれが異なる軸方向への加速度を提示可能な構成としてもよい。この場合も、各振動子の並進運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向が維持されるように、接続部材13により電子機器11と加速度発生装置12とが接続されるものとする。
本形態では、加速度発生装置12が非剛体の接続部材13を介して電子機器11に接続されるため、振動子120を含む振動系を加速度発生装置12側にほぼ分離できる。そのため、加速度発生装置12側のみを所望のパターンおよび振幅で振動させればよく、擬似力覚発生装置1全体をそのように振動させる必要はない。また、本形態では、加速度発生装置12で発生する振動が電子機器11にほとんど伝わらない。そのため、加速度発生装置12で発生するが電子機器11の他の部品に悪影響を与えることを抑制できる。一方、加速度発生装置12を手で触れると手のみに振動が伝わり、擬似的な力覚を提示できる。また、擬似力覚発生装置1は、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向(角度)を維持したまま、全体として一体化される。そのため、電子機器11を基準とした所望の方向に擬似的な力覚を提示することができる。すなわち、例えば、電子機器11と加速度発生装置12とをケーブルや紐等で繋いだ場合には、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向が維持されない。この場合、電子機器11がある方向に擬似的な力覚を提示しようとしても、加速度発生装置12の加速度運動の向き自体を制御できないのであるから、電子機器11を基準とした所望の方向に擬似的な力覚を提示することはできない。本形態では、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向を維持できるため、このような問題は生じない。なお、上述の例では、加速度発生装置12内の振動子が一つである場合を例として、加速度発生装置12が一つの軸方向への加速度を提示する場合を説明したが、加速度発生装置内に複数の振動子を備え、それぞれが異なる軸方向への加速度を提示可能な構成としてもよい。この場合も、各振動子の並進運動の軸の電子機器11に対する相対的な方向が維持されるように、接続部材13により電子機器11と加速度発生装置12とが接続されるものとする。
[第2実施形態]
第2実施形態は接続部材が非導電性材料からなる形態である。この形態では接続部材を介して電流を伝達できない。そのため、電子機器は、加速度発生装置を制御するための信号を無線送信する送信部を含み、加速度発生装置は、信号を受信する受信部を含む。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第2実施形態は接続部材が非導電性材料からなる形態である。この形態では接続部材を介して電流を伝達できない。そのため、電子機器は、加速度発生装置を制御するための信号を無線送信する送信部を含み、加速度発生装置は、信号を受信する受信部を含む。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図1A、図1Bおよび図2に例示するように、本形態の擬似力覚発生装置2は、電子機器21と、加速度を発生させる加速度発生装置22と、電子機器21と加速度発生装置22との間に配置され、加速度発生装置22を外部の電子機器21に機械的に接続する接続部材23とを有する。第1実施形態と同様、接続部材23は非剛体であり、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器21に対する相対的な方向を維持可能な部材である。接続部材23は、弾性体であってもなくてもよく、例えば、衝撃吸収材から構成されることが望ましい。ただし、本形態の接続部材23は非導電性の材質からなる。
図1A、図1B、および図2に例示するように、電子機器21の1つの側面21aに接続部材23の板面23aが固定され、接続部材23の板面23aの反対面である板面23bが加速度発生装置22の1つの側面22aに固定されている。これにより、加速度発生装置22が接続部材23を介して電子機器21に機械的に接続され、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器21に対する加速度発生装置22の相対的方向を維持したまま、全体として一体化されている。そのため、電子機器21を基準とした所望の方向に擬似的な力覚を提示することができる。ただし、本形態では、加速度発生装置22と電子機器21とが電気的に接続されていない。そのため、電子機器21は、加速度発生装置22を制御するための信号を無線送信し、加速度発生装置22は、受信したその信号に従って駆動する。
例えば、図4に例示するように、電子機器21は、力覚指定部111、制御部112、および出力部213(送信部)を有し、加速度発生装置22は、入力部227(受信部)と振動子120とを有する。出力部213は、制御部112から出力された電流を無線信号に変換して送信する。入力部227は、送信された無線信号から振動子120を制御するための電流を得て出力する。振動子120は、入力された電流に応じた動作を行い、これにより、指定情報によって特定された力覚を提示する。また、加速度発生装置22と電子機器21とが電気的に接続されていないため、加速度発生装置22は自ら電源部229(例えば、バッテリー等を含む電源回路)を有することにしてもよい。或いは、電子機器21が非接触電力伝送部214を有し、加速度発生装置22が非接触電力受信部218を有し、公知の非接触電力伝送技術によって、非接触電力伝送部214から非接触電力受信部218に電力供給が行われてもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態は接続部材が透過材料を含む形態である。電子機器は、加速度発生装置を制御するための光信号を出力し、この光信号は、接続部材を通過して加速度発生装置に入力される。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第3実施形態は接続部材が透過材料を含む形態である。電子機器は、加速度発生装置を制御するための光信号を出力し、この光信号は、接続部材を通過して加速度発生装置に入力される。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図1A、図1B、図2、および図12に例示するように、本形態の擬似力覚発生装置3は、電子機器31と、加速度を発生させる加速度発生装置32と、電子機器31と加速度発生装置32との間に配置され、加速度発生装置32を外部の電子機器31に機械的に接続する接続部材33とを有する。第1実施形態と同様、接続部材33は非剛体であり、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器31に対する相対的な方向を維持可能な部材である。接続部材33は、弾性体であってもなくてもよく、例えば、衝撃吸収材から構成されることが望ましい。ただし、本形態の接続部材33は、加速度発生装置32を制御するための光信号(例えば、赤外線、可視光、赤外線など)を透過する透過材料(例えば、透明材料や半透明材料)からなる。接続部材33は、導電性材料であってもよいし、非導電性材料であってもよい。例えば、シリコンを主材としたゲル状物質等を接続部材33として用いることができる。本形態の電子機器31は、加速度発生装置32を制御するための光信号を出力し、加速度発生装置32は、受信したその光信号に従って駆動する。
例えば、図4に例示するように、電子機器31は、力覚指定部111、制御部112、および出力部313(光信号送信部)を有し、加速度発生装置32は、入力部227(光信号受信部光号送信部)と振動子120とを有する。出力部313は、制御部112から出力された電流を赤外線等の光信号に変換して出射する。光信号は、出力部313と入力部327との間に配置された接続部材33の板面33aに入射し、入射された光信号(外部からの光信号)は、この接続部材33を通過して板面33aの反対側の板面33bから出射される。この光信号は加速度発生装置32の入力部327に入力される。入力部327は、光信号から振動子120を制御するための電流を得て出力する。振動子120は、入力された電流に応じた動作を行い、これにより、指定情報によって特定された力覚を提示する。また、加速度発生装置32と電子機器31とが電気的に接続されていないため、加速度発生装置32は自ら電源部229を有することにしてもよい。或いは、電子機器31が非接触電力伝送部214を有し、加速度発生装置32が非接触電力受信部218を有し、公知の非接触電力伝送技術によって、非接触電力伝送部214から非接触電力受信部218に電力供給が行われてもよい。
なお、接続部材33の透明度が高いほど、入力部227に入力される光信号のS/N比が高くなる。そのため、接続部材33は透明材料であることが望ましい。また、図12に例示するように、出力部313から出射された光信号の接続部材33への入力方向Lが、出力部313に面する(外部に面する)板面33aと入力部327に面する板面13bと略垂直(垂直またはその近傍)であることが望ましい。言い換えると、出力部313側から接続部材33側への板面33aでの入射角がほぼ0度(0度またはその近傍)であり、かつ、接続部材33側から入力部227側への板面33bでの入射角がほぼ0度(0度またはその近傍)であることが望ましい。これにより、屈折がほどんど無い光信号を伝送できる。
[第4実施形態]
本形態は、接続部材の変形例である。本形態では、接続部材の一端が加速度発生装置に固着され、接続部材の他端がイヤホンジャックやコネクタ等の電子機器に着脱可能な接続部となっている形態である。以下では、上述の各実施形態との相違点を中心に説明する。
本形態は、接続部材の変形例である。本形態では、接続部材の一端が加速度発生装置に固着され、接続部材の他端がイヤホンジャックやコネクタ等の電子機器に着脱可能な接続部となっている形態である。以下では、上述の各実施形態との相違点を中心に説明する。
図13に例示するように、本形態の擬似力覚発生装置4は、電子機器41と、加速度を発生させる加速度発生装置42と、電子機器41と加速度発生装置42との間に配置され、加速度発生装置42を電子機器41に機械的に接続する接続部材43とを有する。接続部材33は非剛体であり、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器41に対する相対的な方向を維持可能な部材である。接続部材43は、弾性体であってもなくてもよく、例えば、衝撃吸収材から構成されることが望ましい。ただし、本形態の接続部材43の一端は加速度発生装置42に固着され、接続部材43の他端がイヤホンジャックやコネクタ等の電子機器41に着脱可能な接続部となっている。接続部材43の他端は、電子機器41のイヤホン端子やコネクタ等に挿入される。これにより、加速度発生装置42が接続部材43を介して電子機器41に機械的に接続され、加速度発生装置12が発生させる周期的な加速度運動の軸の電子機器41に対する相対的な方向を維持したまま、全体として一体化される。その結果、電子機器41を基準とした所望の方向に擬似的な力覚を提示できる。接続部材33は、導電性材料から構成されていてもよいし、非導電性材料から構成されていてもよいし、導電性材料と非導電性材料から構成されていてもよい。例えば、接続部材33は、互いに絶縁された2本の導電性ケーブル(2本の伝送路)を非導電性の衝撃吸収材で覆ったものでもよいし、非導電性の衝撃吸収材のみから構成されたものであってもよい。接続部材43が伝送路を構成する導電性材料を含む場合には、第1実施形態と同様、電子機器41が、接続部材43を介し、加速度発生装置42を制御するための電気信号を加速度発生装置42に供給し、加速度発生装置42の振動子120は、この電流に応じた動作を行う。一方、電子機器41が、伝送路を構成する導電性材料を含まない場合には、第2実施形態と同様に、電子機器41は、加速度発生装置42を制御するための信号を無線送信し、加速度発生装置42は、受信したその信号に従って駆動する。また、この場合には、加速度発生装置42が電源部229を有していてもよいし、電子機器41が非接触電力伝送部214を有し、加速度発生装置42が非接触電力受信部218を有し、公知の非接触電力伝送技術によって、非接触電力伝送部214から非接触電力受信部218に電力供給が行われてもよい。
[その他の変形例等]
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、電子機器と加速度発生装置と接続部材とを含む擬似力覚発生装置が市場で取引されてもよいが、加速度発生装置と接続部材とからなる擬似力覚発生装置(電子機器を含まない)が市場で取引されてもよい。この場合、加速度発生装置と接続部材とからなる擬似力覚発生装置を取得した利用者は、自ら使用するスマートフォン等の電子機器に取得した擬似力覚発生装置を装着して利用する。また、上述の実施形態では、加速度発生装置が接続部材を介して機械的に接続される外部の被接続体が電子機器であった。しかしながら、速度発生装置と接続部材とからなる擬似力覚発生装置(電子機器を含まない)が、電子機器以外の携帯物である外部の被接続体(例えば、カード、手帳、財布、人形など)に装着されて利用されてもよい。また、上述の実施形態では、制御部112が入力された制御信号に応じ、振動子120に入力する電流を制御する例を示した。しかしながら、制御部112が入力された制御信号に応じ、振動子120に印加する電圧を制御してもよい。また、加速度発生装置が、振動方向が異なる複数個の振動子120を有し、振動子120が周期的な加速度運動を行うことで2以上の自由度の擬似的な並進力覚を提示できてもよいし、1以上の自由度の回転力覚を提示できてもよい。なお、「並進力覚」とは、並進運動する物体の進行方向の力覚(すなわち、直線方向の力覚)を意味し、「回転力覚」とは、回転運動する物体の回転方向の力覚を意味する。なお、「疑似的な力覚」とは、実際には物体(擬似力覚発生装置)が並進運動や回転運動をしていないにも関わらず、あたかも並進や回転方向へ動きそうな力が働いているような知覚が生成されることをいう。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、電子機器と加速度発生装置と接続部材とを含む擬似力覚発生装置が市場で取引されてもよいが、加速度発生装置と接続部材とからなる擬似力覚発生装置(電子機器を含まない)が市場で取引されてもよい。この場合、加速度発生装置と接続部材とからなる擬似力覚発生装置を取得した利用者は、自ら使用するスマートフォン等の電子機器に取得した擬似力覚発生装置を装着して利用する。また、上述の実施形態では、加速度発生装置が接続部材を介して機械的に接続される外部の被接続体が電子機器であった。しかしながら、速度発生装置と接続部材とからなる擬似力覚発生装置(電子機器を含まない)が、電子機器以外の携帯物である外部の被接続体(例えば、カード、手帳、財布、人形など)に装着されて利用されてもよい。また、上述の実施形態では、制御部112が入力された制御信号に応じ、振動子120に入力する電流を制御する例を示した。しかしながら、制御部112が入力された制御信号に応じ、振動子120に印加する電圧を制御してもよい。また、加速度発生装置が、振動方向が異なる複数個の振動子120を有し、振動子120が周期的な加速度運動を行うことで2以上の自由度の擬似的な並進力覚を提示できてもよいし、1以上の自由度の回転力覚を提示できてもよい。なお、「並進力覚」とは、並進運動する物体の進行方向の力覚(すなわち、直線方向の力覚)を意味し、「回転力覚」とは、回転運動する物体の回転方向の力覚を意味する。なお、「疑似的な力覚」とは、実際には物体(擬似力覚発生装置)が並進運動や回転運動をしていないにも関わらず、あたかも並進や回転方向へ動きそうな力が働いているような知覚が生成されることをいう。
力覚指定部111や制御部112の構成をコンピュータによって実現する場合、その機能の処理内容はプログラムによって記述される。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例は、非一時的な(non-transitory)記録媒体である。このような記録媒体の例は、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等である。
このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。
1〜4 擬似力覚発生装置
11〜41 電子機器
12〜42 加速度発生装置
13〜43 接続部材
11〜41 電子機器
12〜42 加速度発生装置
13〜43 接続部材
Claims (8)
- 電子機器と、
所定の軸に沿った方向への加速度を発生させる加速度発生装置と、
前記電子機器と前記加速度発生装置との間に配置され、前記加速度発生装置を前記電子機器に機械的に接続する接続部材と、を有し、
前記加速度発生装置は、支持部と、当該支持部に対して前記所定の軸に沿った加速度運動を行う運動部材と、前記支持部側に一端が固定され、前記運動部材側に他端が固定された弾性体とを含み、
前記接続部材は非剛体であり、前記支持部側に一端が固定され、前記電子機器側に他端が固定され、前記所定の軸の前記電子機器に対する相対的な方向を維持する、擬似力覚発生装置。 - 請求項1の擬似力覚発生装置であって、
前記接続部材は非導電性材料からなり、
前記電子機器は、前記加速度発生装置を制御するための信号を無線送信する送信部を含み、
前記加速度発生装置は、前記信号を受信する受信部を含む、擬似力覚発生装置。 - 請求項1の擬似力覚発生装置であって、
前記接続部材は透過材料を含み、
前記電子機器は、前記加速度発生装置を制御するための光信号を出力する光信号送信部を含み、
前記加速度発生装置は、前記光信号が入力される光信号受信部を含み、
前記接続部材は、前記光信号送信部と前記光信号受信部との間に配置され、
前記光信号送信部から出力された前記光信号は、前記接続部材を通過して、前記光信号受信部に入力される、擬似力覚発生装置。 - 所定の軸に沿った方向への加速度を発生させる加速度発生装置と、
前記加速度発生装置を外部の被接続体に機械的に接続する接続部材と、を有し、
前記加速度発生装置は、支持部と、当該支持部に対して前記所定の軸に沿った加速度運動を行う運動部材と、前記支持部側に一端が固定され、前記運動部材側に他端が固定された弾性体とを含み、
前記接続部材は非剛体であり、前記支持部側に一端が固定され、前記被接続体側に他端が固定され、前記所定の軸の前記被接続体に対する相対的な方向を維持する、擬似力覚発生装置。 - 請求項4の擬似力覚発生装置であって、
前記接続部材は非導電性材料からなり、
前記加速度発生装置は、前記加速度発生装置を制御するための信号を受信する受信部を含む、擬似力覚発生装置。 - 請求項4の擬似力覚発生装置であって、
前記接続部材は透過材料を含み、
前記加速度発生装置は、前記加速度発生装置を制御するための光信号が入力される光信号受信部を含み、
前記光信号は、外部から前記接続部材を通過して、前記光信号受信部に入力可能である、擬似力覚発生装置。 - 請求項1から6の何れかの擬似力覚発生装置であって、
前記接続部材は衝撃吸収材である、擬似力覚発生装置。 - 請求項1から7の何れかの擬似力覚発生装置であって、
前記加速度発生装置は、前記所定の軸に沿った方向への周期的な加速度運動であって、かつ、前記所定の軸に沿った第1の方向への加速度と当該第1の方向とは反対の方向への加速度とが非対称であるような加速度運動を行うことで擬似的な力覚を提示する装置である、擬似力覚発生装置。
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