JP6317129B2 - 難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブル - Google Patents

難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブル Download PDF

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本発明は、難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルに関する。
ケーブルの被覆、ケーブルのシース、チューブ、テープ、包装材、建材等にはいわゆるエコマテリアルが広く使用されるようになっている。
このようなエコマテリアルとして、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレン−ヘキセン−1共重合体と、無水マレイン酸変性エチレン−オクテン−1共重合体と、難燃剤とを配合してなる難燃性樹脂組成物が知られている(下記特許文献1参照)。
特開2001−335665号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の樹脂組成物では、樹脂組成物表面の摩擦係数が高く、樹脂組成物表面に傷がつきやすいという問題があり、耐外傷性の点で更なる改善の余地があった。このため、優れた難燃性、機械的特性及び耐加熱変形特性を確保しながら、優れた耐外傷性も確保することができる難燃性樹脂組成物が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた難燃性、機械的特性及び耐加熱変形特性を確保しながら耐外傷性を改善させた難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、難燃性樹脂組成物に使用するベース樹脂と添加剤の種類及び配合割合について鋭意研究を行った。その結果、本発明者らは、特定のエチレン系重合体に特定の酸変性熱可塑性樹脂を特定の割合で含有させてなるベース樹脂に、難燃剤と脂肪酸アミドを特定の割合で含有させてなる難燃性樹脂組成物により、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、エチレン系重合体(A)と、酸変性熱可塑性樹脂(B)と、難燃剤(C)と、脂肪酸アミド(D)とを含み、前記エチレン系重合体(A)は、エチレン−α−オレフィン重合体及びエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含み、前記酸変性熱可塑性樹脂(B)は、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂及びマレイン酸変性熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、前記エチレン系重合体(A)と前記酸変性熱可塑性樹脂(B)との合計100質量%中の前記エチレン系重合体(A)の含有率が60質量%以上70質量%以下、前記酸変性熱可塑性樹脂(B)の含有率が30質量%以上40質量%以下であり、前記エチレン系重合体(A)と前記酸変性熱可塑性樹脂(B)との合計100質量部に対して前記難燃剤(C)が80質量部以上90質量部未満の割合で配合され、前記脂肪酸アミド(D)が0.1質量部以上1質量部以下の割合で配合され、前記酸変性熱可塑性樹脂(B)は、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体からなり、前記エチレン系重合体(A)は、前記エチレン−α−オレフィン重合体及び前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体のみからなり、前記エチレン−α−オレフィン重合体及び前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の合計を100質量%としたとき、前記エチレン−α−オレフィン重合体の含有率が90〜93質量%、前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の含有率が7〜10質量%である難燃性樹脂組成物である。
本発明によれば、優れた難燃性、機械的特性及び耐加熱変形特性を確保しながら耐外傷特性を改善させた難燃性樹脂組成物が提供される。
なお、本発明者らは、本発明の難燃性樹脂組成物において、優れた難燃性、機械的特性及び耐加熱変形特性を確保しながら耐外傷性を改善させることのできる理由について以下のように推察している。
すなわち、難燃性樹脂組成物に脂肪酸アミドを配合することで、樹脂組成物の表面に脂肪酸アミドからなる低摩擦性の膜が形成され、樹脂組成物表面の摩擦係数を低下させることができ、耐外傷性が改善しているのではないか、と本発明者らは考えている。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記エチレン−α−オレフィン重合体に含まれる前記α−オレフィン単位が、ヘキセン単位であることが好ましい。
この場合、難燃性樹脂組成物は。優れた硬度を有するものになり、より耐外傷性に優れたものになる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記難燃剤(C)が、金属水酸化物を含む難燃剤及びリン系難燃剤を含有することが好ましい。
この場合、難燃性樹脂組成物は、特に優れた難燃性を有するものになる。
また本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層と、前記絶縁層を覆うシースを有し、前記シースが、上述した難燃性樹脂組成物で構成されるケーブルである。
本発明によれば、優れた難燃性、機械的特性及び耐加熱変形特性を確保しながら耐外傷性を改善させた難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルが提供される。
本発明のケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[ケーブル]
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、ケーブル10は、1本の絶縁電線4と、1本の絶縁電線4を被覆するシース3とを備えている。そして、絶縁電線4は、内部導体1と、内部導体1を被覆する絶縁層2とを有している。
ここで、シース3は難燃性樹脂組成物で構成されており、この難燃性樹脂組成物は、エ
チレン系重合体(A)と、酸変性熱可塑性樹脂(B)と、難燃剤(C)と、脂肪酸アミド
(D)とを含み、前記エチレン系重合体(A)は、エチレン−α−オレフィン重合体及び
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含み、前記酸変性熱可塑性樹脂(B)は
、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂及びマレイン酸変性熱可塑性樹脂からなる群より選ば
れる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、前記エチレン系重合体(A)と前記酸変性熱
可塑性樹脂(B)との合計100質量%中の前記エチレン系重合体(A)の含有率が60
質量%以上70質量%以下、前記酸変性熱可塑性樹脂(B)の含有率が30質量%以上4
0質量%以下であり、前記エチレン系重合体(A)と前記酸変性熱可塑性樹脂(B)との
合計100質量部に対して前記難燃剤(C)が80質量部以上90質量部未満、前記脂肪
酸アミドが0.1質量部以上、1質量部以下であり、前記酸変性熱可塑性樹脂(B)は、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体からなり、前記エチレン系重合体(A)は、前記エチレン−α−オレフィン重合体及び前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体のみからなり、前記エチレン−α−オレフィン重合体及び前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の合計を100質量%としたとき、前記エチレン−α−オレフィン重合体の含有率が90〜93質量%、前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の含有率が7〜10質量%である。
上記難燃性樹脂組成物で構成されるシース3は、優れた難燃性、機械的特性及び耐加熱変形特性を確保しながら、優れた対外傷性をも確保することができる。
[ケーブルの製造方法]
次に、上述したケーブル10の製造方法について説明する。
(導体)
まず内部導体1を準備する。内部導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、内部導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
(難燃性樹脂組成物)
一方、難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、エチレン系重合体(A)と、酸変性熱可塑性樹脂(B)と、難燃剤(C)と、脂肪酸アミド(D)とを含んでいる。
(エチレン系重合体)
本発明の難燃性樹脂組成物に用いられるエチレン系重合体は、エチレン−α−オレフィン重合体及びエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含む。
エチレン−α−オレフィン重合体は、エチレンと、炭素数2〜19のα−オレフィンの重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン及び1−ノナデセンなどが挙げられる。
この中でも、α−オレフィンは1−ブテン及び1−ヘキセンの少なくとも一方が好ましい。α−オレフィンは1種類のみが含有されても、2種類以上が含有されてもよい。
上記エチレン−α−オレフィン重合体において、α−オレフィン単位がヘキセン単位であることが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物は優れた硬度を有するものになり、より耐外傷性に優れたものになる。エチレン単位とヘキセン単位とを含むエチレン−α−オレフィン重合体としては、例えばエチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
エチレン−α−オレフィン重合体は、シングルサイト触媒を用いて製造されたものであることが好ましい。シングルサイト触媒としては、例えばメタロセン触媒などが挙げられる。シングルサイト触媒を用いる方法以外の方法で製造された上記重合体は、シングルサイト触媒を用いる方法で製造された上記重合体に比べ多分散度Mw/Mnが大きいものになる。このため、エチレン−α−オレフィン重合体として、シングルサイト触媒を用いる方法以外の方法で製造された上記重合体を用いた場合、難燃性樹脂組成物に十分な機械的特性を付与することができない。ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を示す。
また、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンと、α,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体が挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチルなどが挙げられ、中でもアクリル酸エチルが好ましい。
エチレン系重合体は、エチレン−α−オレフィン重合体及びエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体のみからなることが好ましく、エチレン−α−オレフィン重合体及びエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の合計を100質量%としたときエチレン−α−オレフィン重合体の含有率が90〜93質量%、即ちエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の含有率が7〜10質量%であることが好ましい。


(酸変性熱可塑性樹脂)
本発明の難燃性樹脂組成物に用いられる酸変性熱可塑性樹脂は、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂及びマレイン酸変性熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂としては、例えば無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−ペンテン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−ヘキセン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−ヘプテン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。これらは1種類のみで用いられても、2種類以上で用いられてもよい。
マレイン酸変性熱可塑性樹脂としては、例えばマレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体、マレイン酸変性エチレン−1−ペンテン共重合体、マレイン酸変性エチレン−1−ヘキセン共重合体、マレイン酸変性エチレン−1−ヘプテン共重合体、マレイン酸変性エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。これらは1種類のみが用いられても、2種類以上が用いられてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物に用いられる酸変性熱可塑性樹脂は、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂であることが好ましい。
この場合、難燃性樹脂組成物は、特に優れた耐加熱変形特性を有するものになる。
本発明の難燃性樹脂組成物においては、エチレン系重合体と酸変性熱可塑性樹脂との合計100質量%中のエチレン系重合体の含有率が60質量%以上70質量%以下、酸変性熱可塑性樹脂の含有率が30質量%以上40質量%以下である。エチレン系重合体の含有率が60質量%未満であると、エチレン系重合体の含有率が60質量%以上である場合に比べて、難燃性樹脂組成物は十分な機械的特性を有することができない。一方エチレン系重合体の含有率が70質量%を超えるとエチレン系重合体の含有率が70質量%以下である場合と比べて、難燃性樹脂組成物は十分な耐加熱変形特性を有することができない。また、酸変性熱可塑性樹脂の含有率が30質量%未満であると酸変性熱可塑性樹脂の含有率が30質量%以上である場合に比べて難燃性樹脂組成物は十分な耐加熱変形特性を有することができない。一方、酸変性熱可塑性樹脂の含有率が40質量%を超えると、酸変性熱可塑性樹脂の含有率が40質量%以下である場合に比べて十分な機械的特性を有することができない。
(難燃剤)
本発明の難燃性樹脂組成物に用いられる難燃剤としては、例えば金属水酸化物を含む難燃剤、リン系難燃剤、イントメッセント系難燃剤などが挙げられる。これらは1種類が単独で用いられても、2種類以上で用いられてもよい。
上記金属水酸化物としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらは1種類単独で用いられても、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの中では水酸化マグネシウムが特に好ましい。上記難燃剤は、上記金属水酸化物を、例えば脂肪酸含有化合物、リン酸エステル、シランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理してなるものであることが好ましい。この場合、難燃剤の樹脂中における分散性が優れたものになる。
また、上記金属水酸化物を含む難燃剤は粒子状であり、平均粒径が0.5μm以上2μm未満であることが好ましい。平均粒径が0.5μm以上である場合、平均粒径が0.5μm未満である場合に比べて、加工時の作業性がよくなる。また、平均粒径が2μm未満である場合、平均粒径が2μm以上である場合に比べて、機械強度が向上するという利点がある。なお、本発明において、粒子の「平均粒径」とは、複数個の粒子を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)で観察したときの2次元画像の面積Sをそれぞれ求め、これらの面積Sをそれぞれ円の面積に等しいと考え、これらの面積から以下の式:
R=2×(S/π)1/2
に基づいてそれぞれ算出したRの平均値を言うものとする。
上記リン系難燃剤としては、例えば赤リン系難燃剤などが挙げられる。
上記難燃剤は、金属水酸化物を含む難燃剤及びリン系難燃剤を含有することが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物は特に難燃性に優れたものになる。
上記難燃剤が金属水酸化物を含む難燃剤及びリン系難燃剤を含有する場合、金属水酸化物を含む難燃剤に対するリン系難燃剤の質量比が0.014〜0.017であることが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物は、難燃剤の質量比が上記範囲を外れる場合に比べて、さらに優れた難燃性を有するものになる。
本発明の難燃性樹脂組成物における難燃剤は、エチレン系重合体と酸変性熱可塑性樹脂とポリプロピレン樹脂との合計100質量部に対し、80質量部以上90質量部未満の割合で配合される。難燃剤の配合割合が80質量部未満の場合、難燃性樹脂組成物は十分な難燃性を確保することができない。また、難燃剤の配合割合が90質量部以上の場合、難燃性樹脂組成物は十分に摩擦係数を低下させることができず、耐外傷性が改善されない。また、十分な機械的特性を確保することができない。難燃剤の配合割合は、80質量部以上85質量部以下であることが好ましい。
(脂肪酸アミド)
本発明の難燃性樹脂組成物に用いられる脂肪酸アミドとしては、例えば、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミドが挙げられる。これらは1種類のみで用いられても、2種類以上で用いられてもよい。
特に、より摩擦係数を低下させ、耐外傷性を向上させるという点からエルカ酸アミドを用いることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物における脂肪酸アミドは、エチレン系重合体と酸変性熱可塑性樹脂とポリプロピレン樹脂との合計100質量部に対し、0.1質量部以上1質量部以下の割合で配合される。脂肪酸アミドの配合割合が0.1質量部未満の場合、難燃性樹脂組成物は十分に摩擦係数を低下させることができず、耐外傷性が改善されない。また、脂肪酸アミドの配合割合が1質量部を超える場合、難燃性樹脂組成物を混練する際に材料同士が滑るため、混練しにくくなる。脂肪酸アミドの配合割合は、0.1質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。
上記難燃性樹脂組成物は、カーボン、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、などの添加剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
上記難燃性樹脂組成物は、エチレン系重合体、酸変性熱可塑性樹脂、難燃剤、脂肪酸アミド等を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
次に、上記難燃性樹脂組成物で内部導体1を被覆する。具体的には、上記の難燃性樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、チューブ状の押出物を形成する。そして、このチューブ状押出物を内部導体1上に連続的に被覆する。こうして絶縁電線4が得られる。
(シース)
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製したシース3で被覆する。シース3は、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
以上のようにして丸形ケーブル10が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では丸形ケーブル10は1本の絶縁電線4を有しているが、本発明のケーブルは丸形ケーブルに限定されるものではなく、またシース3の内側に絶縁電線4を2本以上有するものであってもよい。またシース3と絶縁電線4との間には、ポリプロピレン等からなる樹脂部が設けられていてもよい。さらに、本発明のケーブルは、同軸ケーブルのようにシース3と絶縁電線4との間に外部導体を更に有していてもよい。
また上記実施形態では、絶縁電線4の絶縁層2、シース3が上記の難燃性樹脂組成物で構成されているが、絶縁層2が通常の絶縁樹脂で構成され、シース3のみが、上記の難燃性樹脂組成物で構成されてもよい。
さらにまた上記実施形態では、本発明の難燃性樹脂組成物がケーブルの絶縁層およびシースを構成する材料として用いられているが、本発明の難燃性樹脂組成物は、チューブ、テープ、包装材、建材などにも使用することが可能である。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5及び比較例1〜4)
エチレン系重合体(A)、酸変性熱可塑性樹脂(B)、難燃剤(C)、脂肪酸アミド(D)及びカーボンブラック(E)を、表1に示す配合量で配合し、バンバリーミキサによって160℃にて15分間混練し、実施例1〜5及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を得た。なお、表1において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。
上記エチレン系重合体(A)、酸変性熱可塑性樹脂(B)、難燃剤(C)、脂肪酸アミド(D)、カーボンブラック(E)としては具体的には下記のものを用いた。
(A)エチレン系重合体
(A−1)エチレン−1−ヘキセン共重合体、メタロセン触媒を用いて製造されたもの、密度0.92g/cm(住友化学社製、商品名「エクセレンGMH CB5001」)
(A−2)エチレン−アクリル酸エチル共重合体:EEA(日本ポリエチレン社製、商品名「レクスパールA1150」)
(B)酸変性熱可塑性樹脂
無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーMA8510」)
(C)難燃剤
(C−1)ステアリン酸表面処理水酸化マグネシウム粒子、平均粒径0.8μm(協和化学工業社製、商品名「キスマ5A」)
(C−2)赤リン系難燃剤、赤リン含有量78%以上、平均粒径10μm(燐化学工業社製、商品名「ノーバレット120UF」)
(D)脂肪酸アミド
エルカ酸アミド(商品名:アルフロー‐P10、日油社製)
(E)カーボンブラック
(E−1)カーボンブラック、平均粒径78nm(旭カーボン社製、商品名「カーボン旭#35」)
(E−2)カーボンブラック、平均粒径31μm(三菱化学社製、商品名「ダイヤブラックH」)
次いで、実施例1〜5及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物をバンバリーミキサによって160℃にて15分間混練した。その後、この難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、導体(素線数1本/断面積2mm)上に、厚さ0.7mmとなるように被覆した。こうして絶縁電線を得た。

Figure 0006317129
<特性評価>
(機械的特性)
実施例1〜5及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物について、JIS−K6251に準拠して押し出し機で成形板を作製し、この成形板を打抜刃で打ち抜き、ダンベル状試験片を作製した。ダンベル状試験片のサイズは標点間距離20mm、最小幅5mm、最大幅25mm、全長100mmとした。そして、このダンベル状試験片について、JIS C3005により引張試験を行い、破断強度及び引張伸びを測定した。引張試験において、引張速度は200mm/minとした。結果を表1に示す。表1において、破断強度の単位はMPaであり、引張伸びの単位は%である。引張試験の合否基準は下記の通りとした。

破断強度14MPa以上かつ引張伸び500%以上:合格
破断強度14MPa未満または引張伸び500%未満:不合格
(摩擦係数)
実施例1〜5及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を成形してなる6.3cm×6.3cm×厚さ0.1cmの試験片についてJIS−K7125により摩擦試験を行い、摩擦係数を評価した。摩擦試験において、試験片はステンレス製の試験テーブル上に配置し、試験片上に500gのすべり片を配置した状態で、試験片を一方の方向に引っ張った。試験片が動き出すときに、引張方向にかかる最大荷重を静摩擦係力、動き出した状態でかかる荷重を動摩擦力として、下記式により、静摩擦係数及び動摩擦係数求めた。

静摩擦係数=静摩擦力(N)/滑り片の質量によって生じる法線力(=1.96N)
動摩擦係数=動摩擦力(N)/滑り片の質量によって生じる法線力(=1.96N)

摩擦試験の合否基準は下記の通りとした。

静摩擦係数
0.35以下:合格
0.35より大きい:不合格

動摩擦係数
0.25以下:合格
0.25より大きい:不合格
(耐加熱変形特性)
実施例1〜5及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を成形してなる35mm×35mm×厚さ2mmの正方形の試験片について、加熱変形試験を行い、耐加熱変形特性を評価した。加熱変形試験において、試験温度は120℃、荷重は9.8N、予熱時間は30分間、試験時間は30分間とした。耐加熱変形特性の評価は、加熱変形試験前の試験片の厚さ(試験前厚さ)と加熱変形試験後の試験片の厚さ(試験後厚さ)を測定し、下記式により算出された加熱変形率(%)に基づいて行った。

加熱変形率(%)=[(試験前厚さ)−(試験後厚さ)]/(試験前厚さ)×100(%)

耐加熱変形特性については、加熱変形率が40%未満の場合を合格とし、加熱変形率が40%以上である場合を不合格とした。
(難燃性)
実施例1〜5及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物で導体を被覆した上記の絶縁電線について、IEEE383−1974規格に準拠した垂直トレイ燃焼試験を行った。すなわち、絶縁電線を2400mm切り出し、垂直ラダートレイに設置した。そして、トレイの底部から600mmの位置にバーナーを設置し、火炎の長さ約380mm、火炎の中心温度815℃以上で燃焼を開始した。燃焼を20分行い、その後バーナーの火を消し、絶縁電線の燃焼が終了するまで保持した。燃焼終了後、燃焼位置(ケーブル表面が炭化した位置)を確認し、上端まで燃焼しなかったものについては表1の垂直トレイ燃焼試験の欄に「○」と記入し、上端まで燃焼したものについては「×」と記入した。難燃性の合否基準については以下の通りとした。

垂直トレイ燃焼試験の結果が「○」:合格
垂直トレイ燃焼試験の結果が「×」:不合格
表1に示す結果より、実施例1〜5の絶縁電線は、難燃性、機械的特性、耐加熱変形特性及び摩擦係数の全ての試験について合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜4の絶縁電線は、難燃性、機械的特性、耐加熱変形特性及び摩擦係数の試験のうち少なくとも1つについて合格基準に達していなかった。
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物によれば、優れた難燃性、機械的特性及び耐加熱変形特性を確保しながら、優れた対外傷性をも確保することができることが確認された。
1…内部導体
2…絶縁層
3…シース
4…絶縁線
10…ケーブル

Claims (4)

  1. エチレン系重合体(A)と、
    酸変性熱可塑性樹脂(B)と、
    難燃剤(C)と、
    脂肪酸アミド(D)と、を含み、
    前記エチレン系重合体(A)は、エチレン−α−オレフィン重合体及びエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含み、
    前記酸変性熱可塑性樹脂(B)は、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂及びマレイン酸変性熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、
    前記エチレン系重合体(A)と前記酸変性熱可塑性樹脂(B)との合計100質量%中の前記エチレン系重合体(A)の含有率が60質量%以上70質量%以下、前記酸変性熱可塑性樹脂(B)の含有率が30質量%以上40質量%以下であり、
    前記エチレン系重合体(A)と前記酸変性熱可塑性樹脂(B)との合計100質量部に対して前記難燃剤(C)が80質量部以上90質量部未満の割合で配合され、
    前記脂肪酸アミド(D)が0.1質量部以上1質量部以下の割合で配合され、
    前記酸変性熱可塑性樹脂(B)は、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体からなり、
    前記エチレン系重合体(A)は、前記エチレン−α−オレフィン重合体及び前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体のみからなり、
    前記エチレン−α−オレフィン重合体及び前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の合計を100質量%としたとき、
    前記エチレン−α−オレフィン重合体の含有率が90〜93質量%、
    前記エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体の含有率が7〜10質量%である
    難燃性樹脂組成物。
  2. 前記エチレン−α−オレフィン重合体(A)に含まれる前記α−オレフィン単位が、ヘ
    キセン単位である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記難燃剤(D)が、金属水酸化物を含む難燃剤及びリン系難燃剤を含有する請求項1
    又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 導体と、
    前記導体を被覆する絶縁層と、
    前記絶縁層を覆うシースを有し、
    前記シースが、請求項1〜のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成されるケ
    ーブル。
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