JP6314474B2 - 細胞培養用組成物及び細胞培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、難水溶性物質及び特定組成の共重合体を有する新規な細胞培養用組成物に関する。さらに、当該難水溶性物質及び特定組成の共重合体の混合物を、細胞培養用培地に添加して細胞を培養する細胞培養方法に関する。
体外にて細胞を培養する技術は20世紀初頭には見出されていたが、当時の技術では限られた種類の細胞しか培養することができなかった。しかし、近年の分子生物学や遺伝学、細胞生物学などの発展により、培養できる細胞の種類もニワトリやカエルの細胞から哺乳類の細胞へと拡大していった。これに伴い、数多くの生命現象が解明され、その現象を利用・応用することで、有用物質の生産や生体への影響を予測することができるようになった。これらの技術は医薬品開発・食品開発・化成品開発という幅広い分野で活用されており、必要不可欠な技術となっている。さらに胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の登場により、細胞培養に関する技術はさらに必要とされつつある。
一般的に細胞の培養は液体培地中にて行われる。培地にはグルコースやアミノ酸、無機塩類、ビタミンを中心とした各種栄養素が添加されており、培養する細胞種に合わせた培地が開発され、細胞培養に使用されている。現在ではMEM、DMEM、RPMI1640といった基礎培地が各社から販売されている。さらに、培養する細胞種に応じて、これらの基礎培地にウシ胎児血清や増殖因子、抗生物質などが添加され、細胞培養されている。
培地に添加されている大部分の成分(グルコース、アミノ酸、血清、増殖因子、抗生物質等)は水溶性であるため、容易に培地に添加して細胞培養することができる。しかし、脂肪酸類やステロイド類、脂溶性ビタミン類、一部の抗生物質といった難水溶性物質(疎水性物質)を培地に添加し、細胞培養しなければならない場合も多い。加えて、新規化合物の細胞毒性を評価する際、被検物質が培地に難溶である場合もある。
難水溶性物質を培地に添加して細胞培養する場合、エタノールやジメチルスルホキシドといった有機溶媒と混合し、その混合物を培地に添加して細胞培養する。この手法は難水溶性物質だけでなく、有機溶媒も培地に添加されてしまうため、有機溶媒自体の細胞毒性が懸念される。さらに、有機溶媒の種類によっては細胞分化を誘導することが知られている。
例えば、非特許文献1は、ジメチルスルホキシドがマウス胚性癌細胞(P19細胞)の心筋への分化を促進することを開示している。また、非特許文献2は、ジメチルスルホキシドがHL60細胞の顆粒球への分化を促進することを開示している。
一方、有機溶媒以外に難水溶性物質を培地に添加して細胞培養する方法として、特許文献1は各種界面活性剤を使用する方法、特許文献2はシクロデキストリン等を使用する方法を開示している。
特表2001-505058号公報 特開2010-000088号公報
CELL STRUCTURE AND FUNCTION 1996,21,101−110 THE JOURNAL OF EXPERIMENTAL MEDICINE 1979,149,969−974
上記界面活性剤やシクロデキストリン、ウシアルブミンなどを使用する方法は、被可溶化物である難水溶性物質の可溶化又は分散性が不十分であるという問題がある。
そこで、本発明の課題は、難水溶性物質が必須の細胞培養において、難水溶性物質が培地中で細胞培養に対して有効かつ適切に働き、よって、細胞毒性を与えることなく細胞培養に資することができる、難水溶性物質を含有する細胞培養用組成物及びそれを使用する細胞培養方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、難水溶性物質が培地中で細胞培養に対して有効かつ適切に働くための、該難水溶性物質と特定組成の共重合体との混合物の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、下記共重合体(A)、共重合体(B)、又は共重合体(A)及び(B)の混合物と、難水溶性物質と、細胞培養用基礎培地とを含有し、有機溶媒を含有しない細胞培養用組成物が提供される。また、共重合体(A)、共重合体(B)、又は共重合体(A)及び(B)の混合物と、難水溶性物質と、細胞培養用基礎培地とを含有し、有機溶媒を含有しない細胞培養用組成物を、細胞培養用の培地に添加して細胞を培養する細胞培養方法が提供される。
ここで、共重合体(A)は2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ステアリルメタクリレートとの共重合体、共重合体(B)は2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ラウリルメタクリレートとの共重合体である。
本発明の細胞培養用組成物は、共重合体(A)、共重合体(B)、又は共重合体(A)及び(B)の混合物を含むことにより、難水溶性物質が培地中で細胞培養に対して有効かつ適切に働き、よって、細胞毒性を与えることなく細胞を培養することができる。また、本発明の細胞培養方法によれば、細胞毒性を与えることなく細胞を培養することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の細胞培養用組成物は、難水溶性物質と、上記共重合体(A)、共重合体(B)、又は共重合体(A)及び(B)の混合物とを含有する。なお、以後、「細胞培養用組成物」と称した場合、特に断らない限り、当該本発明の細胞培養用組成物を指すものとする。
ここで、本発明において難水溶性物質は、第十六改正日本薬局方に記載される「やや溶けにくい」、「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」、「ほとんど溶けない」のいずれに当てはまるものであってもよい。
なお、上記それぞれの難溶性は次の基準により判定される。すなわち、対象物が固形の場合は粉末とした後、水中に入れ、20±5℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜて、30分以内に溶ける度合を検討し、対象物1g又は1mLを溶かすのに要する水量が30mL以上100mL未満のものを「やや溶けにくい」、100mL以上1,000mL未満のものを「溶けにくい」、1,000mL以上10,000mL未満のものを「極めて溶けにくい」、10,000mL以上のものを「ほとんど溶けない」とする。
本発明における、細胞培養に用いられる難水溶性物質の具体例としては、脂肪酸(リノール酸、リノレン酸など)やステロイド類(ハイドロコルチゾン、インドメタシンなど)、脂溶性ビタミン(トコフェロール、レチノール、βカロテンなど)、抗生物質(アンホテリシンB等)などを挙げることができる。
また、本発明の共重合体は、共重合体(A):2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ステアリルメタクリレートとの共重合体(以下、MPC−SMA共重合体と称する)と、共重合体(B):2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ラウリルメタクリレートとの共重合体(以下、MPC−LMA共重合体と称する)の2種類である。
MPC−SMA共重合体及びMPC−LMA共重合体は、各々、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単量体(以下、MPCと称する)とn−ステアリルメタクリレート単量体(以下、SMAと称する)、MPCとn−ラウリルメタクリレート単量体(以下、LMAと称する)、を溶液重合、乳化重合、懸濁重合等、公知の重合方法に従って重合することで得ることができる。
具体的な重合方法としては、例えば、溶液重合の場合、単量体組成物を低級アルコールなどの有機溶媒中に溶解し、窒素、アルゴン等不活性ガス雰囲気下、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤を添加して加熱、攪拌することにより得ることができる。また、MPC−SMA共重合体及びMPC−LMA共重合体の形態としては、粉状、溶液状のいずれでもよいが、水に溶解した際には透明溶液状態がよい。
なお、これらの共重合体を精製する場合は、再沈殿法、透析法、限外濾過法など一般的な精製方法により行うことができる。
本発明のMPC−SMA共重合体及びMPC−LMA共重合体は、いずれも、共重合体中のMPC由来部の組成比が10〜90モル%が好ましく、難水溶性物質との配合のし易さから30〜90%の範囲がより好ましい。当該組成比が10モル%未満、又は90モル%を超えると、難水溶性物質との均一な配合が困難となるおそれがある。
また、MPC−SMA共重合体及びMPC−LMA共重合体は、いずれも、その重量平均分子量が、5,000以上が好ましく、また、1,000,000以下が好ましい。難水溶性物質との混合のし易さの点で、200,000以下がより好ましい。
なお、本発明の両共重合体はいずれも、本発明の効果が発揮される範囲内において、MPC、SMA及びLMA以外の単量体由来部を含む共重合体であってもよい。
さらに、MPC−SMA共重合体及びMPC−LMA共重合体は、いずれも、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、あるいは、ランダム部とブロック部が混在する共重合体であってもよい。また、交互共重合体部が存在してもよい。
以後、MPC−SMA共重合体、MPC−LMA共重合体又は両共重合体の混合物を総称して、単に共重合体と称することもある。
難水溶性物質とこれら共重合体を含有する細胞培養用組成物は、取り扱い易さの点で、溶液、分散液等の液状が好ましく、安全性の点で水溶液又は水分散液が好ましい。なお、水分散液の場合、分散質は難水溶性物質の未溶解部分であり、共重合体は水に溶解していることが好ましい。しかし、共重合体の一部が水中に分散していてもよい。なお、下記に示すように、難水溶性物質とこれら共重合体の他に、緩衝剤等が溶液中に含有されていてもよい。緩衝剤等が含有される場合も、溶媒又は分散媒は水が好ましい。
細胞培養用組成物が水溶液等の溶液状形態の場合は、MPC−SMA共重合体、MPC−LMA共重合体又はこの両者の混合物は、溶液中に0.1〜5.0重量%の範囲で含まれて入ることが好ましい。難水溶性物質との混合のし易さから、0.25〜2.5重量%の範囲がより好ましい。また、難水溶性物質は、溶液中に0.01〜5.0mg/mL含有されていることが好ましい。難水溶性物質の水等の溶媒への溶解性の点で0.1〜2.0mg/mLの範囲がより好ましい。
なお、溶媒への溶解又は分散の順番は、難水溶性物質が先であっても、あるいは共重合体が先であってもよい。
細胞培養用組成物に使用する溶媒としては、水、あるいは難水溶性物質及び共重合体以外の、細胞培養に一般的に使用される成分を含んだ溶液、分散液等を使用できる。具体的には、純水、各種緩衝液(ダルベッコリン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液など)、生理食塩水、市販されている細胞培養用基礎培地(αMEM、MEM、DMEM、IMDEM、RPMI1640、DMEM/F12など)又は、10体積%の動物血清(例えばウシ胎児血清、ウシ血清、ウマ血清など)を含む細胞培養用基礎培地から適宜選定することができる。細胞培養用培地に加えることを考慮すると、ダルベッコリン酸緩衝液や10体積%の動物血清を含む細胞培養用基礎培地が好ましい。
次に、本発明の細胞培養方法について説明する。
本発明の細胞培養方法は、上記説明した細胞培養用組成物を培養する細胞の要求性に応じて細胞培養用の培地に添加し、得られた難水溶性物質が添加された培地を用いて、細胞を37℃の5%CO2インキュベーター内で培養する細胞培養方法である。本発明により、難水溶性物質が添加された細胞培養用培地を用い、細胞毒性を与えることなく、細胞を培養することができる。
本発明の細胞培養方法を用いて培養できる細胞はヒトやマウスといった哺乳類由来細胞である。また、それらの培養に用いる培地の種類は細胞が増殖−生存できるものであればいずれでもよい。例えば、市販されている細胞培養用基礎培地(αMEM、MEM、DMEM、IMDEM、RPMI1640、DMEM/F12など)、又はこれらの組み合わせであればいずれでもよい。さらに、細胞培養用基礎培地には目的とする細胞の要求性に応じて各種増殖因子(上皮成長因子やインスリン様成長因子、神経成長因子、肝細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、トランスフェリン、2−メルカプトエタノール等)や各種動物血清(ウシ胎児血清やウシ血清など)、血清代替物、抗生物質などを添加してもよい。
本発明の細胞培養方法を用いて細胞培養する場合、通常の培養に用いられる容器を用いることができる。例えば、ポリスチレン製マルチウェルプレートやシャーレ、培養フラスコ等を使用できる。
これら容器に培養する細胞と、その細胞に適した培地、上記各種増殖因子等、及び細胞培養用組成物を加え、温度および湿度、炭酸ガス濃度が制御されたインキュベーター内にて培養する。例えば、培養条件は細胞の種類によるが、37℃、5%CO2雰囲気下での培養でよい。
以上説明した本発明の細胞培養方法を用いることで、細胞毒性を与えることなく、細胞を培養することができる。細胞毒性の抑制効果は、例えば、アラマーブルーアッセイ法、MTTアッセイ法、ニュートラルレッドアッセイ法、WST−8アッセイ法、血球計算盤による細胞数測定法などの細胞増殖判定法にて確認することができる。これらの中でも、アラマーブルーアッセイ法はその操作が簡便であるという点において、特に好ましい細胞毒性の抑制効果の確認方法である。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の各種試験、測定は以下に示す方法に従って実施した。
<アラマーブルーアッセイ法による細胞毒性試験>
アラマーブルーアッセイ法は、動物細胞を中心とした細胞代謝を測定するために開発されたバイオアッセイ法の一つである。アラマーブルーは、その還元に細胞への取込みを必要とする酸化還元色素であり、ミトコンドリア内で行われている呼吸代謝系の還元反応により、酸化型(無蛍光・青色)から還元型(蛍光・赤色)に変化する性質を持つ。細胞代謝が正常であると還元反応が進行する一方、細胞増殖に異常をきたすと酸化型のままである。すなわち、細胞代謝が正常であれば、細胞数に比例して還元型色素量が増大していく。本発明では、培地中の蛍光強度(励起波長530nm〜560nm、検出波長580〜600nm)を測定し、その蛍光強度から細胞毒性の有無を判断した。
具体的には、「有機溶媒と難水溶性物質との混合物」が添加された培地で細胞を培養した場合の蛍光強度を基準として、当該基準蛍光強度と、細胞培養用組成物で細胞培養した場合の蛍光強度を比較して判断する。ここで、アラマーブルーは細胞数が多いほど蛍光強度が高くなる。従って、上記基準蛍光強度より高い蛍光強度を示せば、細胞毒性抑制効果が高いと判断できる。
アラマーブルーアッセイ法に使用する試薬としては、市販の試薬(例えば、Invitrogen社製など)を用いることができる。
また、蛍光強度は、マイクロプレートリーダー(SpectraMax M3、Molecular Devices社製)を使用して測定した。
<共重合体の重量平均分量>
得られた共重合体5mgを、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)1gへ溶解し、GPCにより重量平均分量を測定する。測定条件は以下の通りである。
装置:RI−8020(東ソー社製)、DP−8020(東ソー社製)、SD−8022(東ソー社製)、AS−8020(東ソー社製)、865−CO(JASCO社製)、カラム:Shodex(GSM−700又はOHpak SB-802.5 HQ)、移動相:0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)、標準物質:ポリエチレングリコール、検出:視差屈折率計RI−8020(東ソー社製)、重量平均分子量(Mw)の算出:分子量計プログラム(SC−8020用GPCプログラム)、流速1.0ml/分、カラム温度:40℃、試料溶液注入量:100μL、測定時間:30分間。
<共重合体の元素分析>
有機元素分析(2400II−CHNS/iアナライザー、パーキンエルマー社製)を使用して測定した。
以下に、本発明の細胞培養用組成物の成分であるMPC−SMA共重合体及びMPC−LMA共重合体の合成例を示す。
合成例1
MPCとSMAを、仕込みモル比で、MPC/SMA=8/2とし、以下のようにしてMPC−SMA共重合体(共重合体1)を合成した。
MPCとSMAの総濃度が1.0mol/Lとなるように重合容器に秤量し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)がモノマーに対して1mol%となるように加えた。なお、反応溶媒としてはエタノールを用いた。重合容器内を充分に窒素置換した後、24時間60℃に加温することにより重合反応を行なった。得られた反応混合物を氷冷した後、ジエチルエーテルに滴下することによりポリマーを沈殿させた。これを濾別し、ジエチルエーテルにて洗浄した後、減圧乾燥して白色粉末状の共重合体1を得た。
得られた共重合体1について、上記方法で重量平均分子量(ポリエチレングリコール換算)を測定した。
さらに、共重合体1中の各単量体由来部の組成比(モル比)を元素分析で分析した結果、ほぼ仕込み組成比通りであった。得られた共重合体1を5重量%となるように純水に溶解し、保存した。合成例1の共重合体の分析結果等を表1に示す。
合成例2〜6
単量体(モノマー)種、単量体のモル比を表1に示した以外は、合成例1と同様にして各共重合体を合成し、さらに各分析を行った。結果を表1に示す。
なお、いずれの共重合体も、合成例1の共重合体と同様、元素分析による共重合体中の各単量体由来部の組成比(モル比)は、ほぼ仕込み組成比通りであった。従って、表1のモル比は、対応する単量体のモル比でもある。
比較合成例
単量体として、MPC及びn−ブチルアクリレート(BMA)を使用し、単量体のモル比を表1に示した以外は、合成例1と同様にして比較合成例として共重合体7を合成し、さらに各分析を行った。結果を表1に示す。また、共重合体7も、元素分析による共重合体中の各単量体由来部の組成比(モル比)は、ほぼ仕込み組成比通りであった。
Figure 0006314474
細胞毒性試験用TIG細胞懸濁液
10体積%ウシ胎児血清(以下FBSとする)を含有したMEM培地(以下10%FBS−MEM培地)にてヒト胎児肺由来正常二倍体線維芽細胞TIG−3−20細胞(JCRB0506、以下TIG細胞とする)を37℃の5%CO2インキュベーター内で培養し、トリプシン処理と遠心分離(1000rpm、4℃、3分)にてTIG細胞を回収した。その後、血球計算盤を用いて細胞数を計算し、10%FBS−MEM培地に80,000cells/mLとなるように懸濁した。以下、この細胞懸濁液をTIG細胞懸濁液とする。なお、TIG細胞は集団倍化数(PDL)が45以下のものを使用した。
細胞毒性試験用正常ヒト皮膚繊維芽細胞懸濁液
正常ヒト皮膚繊維芽細胞増殖用低血清液体培地(クラボウ社製、FibroLife(登録商標) S2 Comp kit)を用いて、正常ヒト皮膚繊維芽細胞(クラボウ社製、製品番号KF−4109)を37℃の5%CO2インキュベーター内で培養し、トリプシン処理と遠心分離(1000rpm、4℃、3分)にて正常ヒト皮膚繊維芽細胞を回収した。その後、血球計算盤を用いて細胞数を計算し、下記細胞毒性試験用繊維芽細胞用培地に80,000cells/mLとなるように懸濁した。以下、この細胞懸濁液を正常ヒト皮膚繊維芽細胞懸濁液とする。
細胞毒性試験用繊維芽細胞用培地
正常ヒト皮膚繊維芽細胞用基礎培地(クラボウ社製FibroLife(登録商標) Basal Medium)にL−グルタミンを終濃度7.5mM、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を終濃度5ng/mL、インスリンを終濃度5μg/mL、アスコルビン酸を終濃度50μg/mL、FBSを終濃度2体積%となるように添加し、攪拌した。以下、これを繊維芽細胞用培地とする。
<細胞毒性試験1>
実施例1−1
以下のようにして、アラマーブルーアッセイ法による細胞毒性試験1を行い、実施例1−1の細胞培養用組成物の細胞毒性抑制効果を評価した。
2mgのアンホテリシンBと、2.5重量%の共重合体1を含むダルベッコリン酸緩衝液(以下D−PBS)10gとを混合して37℃で20分間加熱した。アンホテリシンBは共重合体1を含むD−PBSに均一に溶解し、細胞培養用組成物が得られた。該細胞培養用組成物20μLを、上記80,000cells/mLのTIG細胞懸濁液2mLに添加し、攪拌した。この溶液を細胞培養用96ウェルプレート(平底)に100μL/ウェルで分注し、37℃の5%CO2インキュベーターにて4日間培養した。培養4日目にアラマーブルーを10μL/ウェル加え、37℃の5%CO2インキュベーターにて3時間培養した後に蛍光強度(励起波長550nm、検出波長585nm)を測定した。結果を表2に示す。
上記したように、アラマーブルーは細胞数が多いほど蛍光強度が高くなる。従って、より高い蛍光強度を示した方が、培養された細胞数が多い、すなわち細胞毒性抑制効果が高いことを示す。
実施例1−2〜1−24
使用共重合体種及びD−PBS中の共重合体濃度を表2に示すものとした以外は実施例1−1と同様にして細胞培養用組成物を調製し、細胞毒性試験1を実施した。結果を表2に示す。
比較例1−1
使用共重合体種及びD−PBS中の共重合体濃度を表2に示すものとした以外は実施例1−1と同様にして、アンホテリシンBと共重合体7を含む溶液組成物の調製を試みた。
しかし、共重合体7を含むD−PBSにはアンホテリシンBは溶解しなかったため、TIG細胞懸濁液に添加することができず、細胞毒性試験を実施できなかった。結果を表2に示す。
比較例1−2
1mgのアンホテリシンBを10mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した溶液を細胞培養用組成物の代わりに使用した以外は、実施例1−1と同様にして細胞毒性試験1を実施した。結果を表2に示す。なお、比較例1−2における蛍光強度を、細胞毒性試験1での基準蛍光強度とする。
実施例1−25
以下のようにして細胞毒性試験1を行い、実施例1−25の細胞培養用組成物の細胞毒性抑制効果を評価した。
9.75mLの10体積%のウシ胎児血清を含むDMEM(以下、10%FBS−DMEMとする)に、2mgのアンホテリシンBを加え、十分に攪拌した。この溶液と0.25gの共重合体1とを混合して37℃で20分間加熱した。アンホテリシンBは共重合体1を含む10%FBS−DMEMに均一に溶解し、細胞培養用組成物が得られた。該細胞培養用組成物20μLを、上記80,000cells/mLのTIG細胞懸濁液2mLに添加し、攪拌した。この溶液を細胞培養用96ウェルプレート(平底)に100μL/ウェルで分注し、37℃の5%CO2インキュベーターにて4日間培養した。培養4日目にアラマーブルーを10μL/ウェル加え、37℃の5%CO2インキュベーターにて3時間培養した後に蛍光強度(励起波長550nm、検出波長585nm)を測定した。結果を表3に示す。
実施例1−26〜28
共重合体1及び10%FBS−DMEMの使用量を表3に示すものとした以外は実施例1−25と同様にして細胞培養用組成物を調製し、細胞毒性試験1を実施した。結果を表3に示す。
Figure 0006314474
Figure 0006314474
上記細胞毒性試験1の各実施例の細胞培養用組成物でTIG細胞を培養した場合、培養後のTIG細胞懸濁液は、比較例1−2の基準蛍光強度より高い蛍光強度を示した。
従って、各実施例の細胞培養用組成物でTIG細胞を培養することにより、比較例1−2に比較して細胞毒性を顕著に抑制してTIG細胞を培養できることが判る。
<細胞毒性試験2>
実施例2−1
以下のようにして、アラマーブルーアッセイ法による細胞毒性試験2を行い、実施例2−1の細胞培養用組成物の細胞毒性抑制効果を評価した。
15mgのハイドロコルチゾンと、2.5重量%の共重合体1を含むD−PBS10gとを混合し、37℃で20分間加熱した。ハイドロコルチゾンは共重合体1を含むD−PBSに均一に溶解し、細胞培養用組成物が得られた。該細胞培養用組成物4μLを、上記80,000cells/mLの正常ヒト皮膚繊維芽細胞懸濁液2mLに添加し、攪拌した。この溶液を細胞培養用96ウェルプレート(平底)に100μL/ウェルで分注し、37℃の5%CO2インキュベーターにて4日間培養した。培養4日目にアラマーブルーを10μL/ウェル加え、37℃の5%CO2インキュベーターにて3時間培養した後に蛍光強度(励起波長550nm、検出波長585nm)を測定した。結果を表4に示す。
実施例2−2〜2−24
使用共重合体種及びD−PBS中の共重合体濃度を表4に示すものとした以外は実施例2−1と同様にして細胞培養用組成物を調製し、細胞毒性試験2を実施した。結果を表4に示す。
比較例2−1
使用共重合体種及びD−PBS中の共重合体濃度を表2に示すものとした以外は実施例2−1と同様にして、ハイドロコルチゾンと共重合体7を含む溶液組成物の調製を試みた。
しかし、共重合体7を含むD−PBSにはハイドロコルチゾンは溶解しなかったため、正常ヒト皮膚繊維芽細胞懸濁液に添加することができず、細胞毒性試験を実施できなかった。結果を表4に示す。
比較例2−2
7.5mgのハイドロコルチゾンを10mLのエタノール(キシダ化学株式会社製)に溶解した溶液を細胞培養用組成物の代わりに使用した以外は、実施例2−1と同様にして細胞毒性試験2を実施した。結果を表4に示す。なお、比較例2−2における蛍光強度を、細胞毒性試験2での基準蛍光強度とする。
実施例2−25
以下のようにして細胞毒性試験2を行い、実施例2−25の細胞培養用組成物の細胞毒性抑制効果を評価した。
9.75mLの10%FBS−DMEMに、15mgのハイドロコルチゾンを加え、十分に攪拌した。この溶液と0.25gの共重合体1とを混合して37℃で20分間加熱した。ハイドロコルチゾンは共重合体1を含む10%FBS−DMEMに均一に溶解し、細胞培養用組成物が得られた。該細胞培養用組成物4μLを、上記80,000cells/mLの正常ヒト皮膚繊維芽細胞懸濁液2mLに添加し、攪拌した。この溶液を細胞培養用96ウェルプレート(平底)に100μL/ウェルで分注し、37℃の5%CO2インキュベーターにて4日間培養した。培養4日目にアラマーブルーを10μL/ウェル加え、37℃の5%CO2インキュベーターにて3時間培養した後に蛍光強度(励起波長550nm、検出波長585nm)を測定した。結果を表5に示す。
実施例2−26〜28
共重合体1及び10%FBS−DMEMの使用量を表5に示すものとした以外は実施例2−25と同様にして細胞培養用組成物を調製し、細胞毒性試験2を実施した。結果を表5に示す。
Figure 0006314474
Figure 0006314474
上記細胞毒性試験2の各実施例の細胞培養用組成物で正常ヒト繊維芽細胞を培養した場合、培養後の正常ヒト繊維芽細胞懸濁液は、比較例2−2の基準蛍光強度より高い蛍光強度を示した。
従って、各実施例の細胞培養用組成物で正常ヒト繊維芽細胞を培養することにより、比較例2−2に比較して細胞毒性を顕著に抑制して正常ヒト繊維芽細胞を培養できることが判る。
以上の結果から、本発明の実施形態に係る細胞培養用組成物を使用することにより、細胞毒性を顕著に抑制して、細胞を培養することができることが示された。

Claims (4)

  1. 共重合体(A)、共重合体(B)、又は共重合体(A)及び(B)の混合物と、難水溶性物質と、細胞培養用基礎培地と、を含有し、
    前記共重合体(A)は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ステアリルメタクリレートとの共重合体であり、前記共重合体(B)は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ラウリルメタクリレートとの共重合体である、
    有機溶媒を含有しない、細胞培養用組成物。
  2. 前記共重合体(A)及び(B)は、当該各共重合体中の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来部の組成比がいずれも10〜90モル%である、
    請求項1に記載の細胞培養用組成物。
  3. 前記共重合体(A)及び(B)は、その重量平均分子量がいずれも5,000〜1,000,000である、
    請求項1又は2に記載の細胞培養用組成物。
  4. 共重合体(A)、共重合体(B)、又は共重合体(A)及び(B)の混合物と、難水溶性物質と、細胞培養用基礎培地と、を含有し、有機溶媒を含有しない細胞培養用組成物を調製する工程と、
    該細胞培養用組成物を細胞培養用の培地に添加して細胞を培養する工程と、を有し、
    前記共重合体(A)は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ステアリルメタクリレートとの共重合体であり、前記共重合体(B)は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn−ラウリルメタクリレートとの共重合体である、
    細胞培養方法。
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