以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。以下、本発明の適用例として本実施形態では光量調節装置について説明するが、本発明は例えばAF駆動装置やズーム駆動装置に適用してもよい。
被写体からの光は、撮影レンズ22を通って撮像素子23に入射する。後述する光量調節装置100は、撮影レンズ22中に組み込まれ、ステップモータ(以下、モータという)12によって駆動される。
撮像素子23は、CCDやCMOSセンサなどの光電変換素子で構成されている。制御回路24は、光学機器500全体の制御を司るマイクロコンピュータを備えている。撮像素子23において光電変換によって得られた出力信号は、制御回路24で増幅され、デジタル映像信号として出力される。本実施例における光学機器500では、デジタル映像信号を用いて動画・静止画を形成する。モニター表示回路32は、デジタル映像信号を液晶表示装置等の画像表示手段(不図示)に表示する。
絶対位置検出回路(位置算出手段)26は、光学センサ14と、モータ12の第1ロータ位置検出センサ171および第2ロータ位置検出センサ172と、の出力から後述する回転部材9の絶対位置を算出する。
測光回路27は、測光センサ(不図示)を用いて被写体からの光を検出し、検出信号を制御回路24に出力する。制御回路24は、この検出信号に基づいて、最適なシャッタ速度と絞り値を算出する。シャッタ駆動回路30は、算出されたシャッタ速度に基づいてシャッタ装置31を駆動する。
ミラー駆動回路28は、光学ファインダ(不図示)の観察状態ではミラー29を撮影光路内に配置し、撮影状態および画像表示手段にリアルタイム画像を表示する電子ファインダ観察状態ではミラー29を撮影光路外に退避させる。
電源スイッチ33は、光学機器500の電源起動を選択する。SW1スイッチ34は、レリーズボタン(不図示)の半押しにより作動する。SW2スイッチ35は、レリーズボタンの全押しにより作動する。録画スイッチ36は、動画撮影モードのときに録画の開始と終了が選択可能になっている。撮影モード切換スイッチ37は、モードダイアルスイッチ等の切り替えにより静止画を撮影可能な第1の撮影モードと動画を撮影可能な第2の撮影モードとを選択可能である。
まず、図2を用いて、本実施例の光量調節装置100の構成について説明する。図2は、本実施例の光量調節装置100の分解斜視図である。光量調節装置100は、遮光羽根1〜8、回転部材9、カム部材10、押え部材11、モータ12、第1ロータ位置検出センサ171、第2ロータ位置検出センサ172、ピニオンギア13、光学センサ14および保持部材15を有する。
遮光羽根1〜8は、光軸を中心に円周方向に均等配置されており、遮光性を有する基部を重ね合わせることで絞り開口を制御する。重ね合わせが大きいほど、絞り開口量は小さくなる。遮光羽根1〜8の基部の第1面には円柱あるいは円筒状の第1軸部1a〜8aが形成され、第2面には円柱あるいは円筒状の第2軸部(不図示)1b〜8bが形成されている。
回転部材(被駆動部材)9は、中央に開口部9aが形成されたリング状の部材である。回転部材9には、穴部9b〜9i、回転嵌合突起部9j、ギア部9kおよび遮光部9lが形成されている。カム部材10は、中央に開口部10aが形成されたリング状の部材である。カム部材10には、カム溝部10b〜10iが形成されている。押え部材11は、中央に開口部11aが形成されたリング状の部材である。押え部材11には、穴部11b、モータ取り付け部11cおよびスリット部11dが形成されている。
押え部材11は、遮光羽根1〜8と回転部材9とを間に挟んでカム部材10に固定され、遮光羽根1〜8と回転部材9の光軸方向の抜け止めを行う。その際、回転部材9の回転嵌合突起部9jは、押え部材11の開口部11aに嵌合して回転可能に支持される。また、遮光羽根1〜8の第1軸部1a〜8aは回転部材9の穴部9b〜9iにそれぞれ回動可能に嵌合しており、第2軸部1b〜8bはカム部材10のカム溝部10b〜10iにそれぞれ摺動可能に嵌合している。
モータ12は、回転部材9を駆動する。モータ12の軸先端に固定されたピニオンギア13は、押え部材11のモータ取り付け部11cに取り付けられる。ピニオンギア13は、押え部材11の穴部11bを貫通して、回転部材9のギア部9kと噛み合う。
光学センサ14は、受光部と発光部を有する。光学センサ14は、保持部材15により押え部材11に固定されている。発光部と受光部との間には、回転部材9の遮光部9lが配置される。遮光部9lは、形状の異なる複数の連続した遮光壁(遮光領域)を有し、発光部から受光部に到達する光の遮光具合を検出することで、回転部材9の位置を複数の領域に分けて光学的に検出する。
次に、図3および図4を用いて、モータ12の構成について説明する。図3はモータ12の外観斜視図、図4はモータ12の軸方向断面図である。
モータ12は、マグネット161、軸162、コア167、第1コイル163、第2コイル164、第1ヨーク165、第2ヨーク166、第1ロータ位置検出センサ171および第2ロータ位置検出センサ172を有する。マグネット161、軸162およびコア167は、ロータを構成する。また、第1および第2コイル163,164、第1および第2ヨーク165,166、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172は、ステータを構成する。ロータは、ステータに対して回転可能に支持される。
マグネット161は、図3に示すように、外周が多極着磁された円筒形状の永久磁石である。円筒形状を外周着磁することで、内周は外周と反対の極に着磁される。マグネット161は、角度位置に対し、径方向の磁力の強さが正弦波状に変化する着磁パターンを有する。なお、本実施例のマグネット161は、10極に着磁されているが、10極に限定されるものでない。
第1ヨーク165は第1コイル163に励磁される5つの磁極歯を有しており、磁極歯はマグネット161の外周面に所定の隙間を持って対向している。第2ヨーク166は第2コイル164に励磁される5つの磁極歯を有しており、磁極歯はマグネット161の外周面に所定の隙間を持って対向している。第1ヨーク165は、第2ヨーク166に対して電気角で90°ずれた位置に配置される。
第1および第2ロータ位置検出センサ171,172は、ロータの回転位置を磁気的に検出可能な磁気センサである。第1および第2ロータ位置検出センサ171,172は、図3に示すように、互いに電気角で90°ずれた状態で、マグネット161の外周面と所定の隙間を有するように対向配置されている。ここで、マグネット161の極数をnとすると、電気角360°は実際のロータ角度の720°/nに相当する。
図5は、モータ12の第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のセンサ信号処理を示す図である。図5では、横軸がモータ12の1−2相駆動時の通電位相となっており、第1コイル163をA相、第2コイル164をB相として表記している。本実施例では、図に示すように、左からA+/B+、A+/B0、A+/B−・・・と8種類の通電位相を繰り返す。通電位相に対応して、ロータが回転する。
図5のグラフのうち上のグラフは、磁気センサである第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のアナログ出力である。縦軸は0を中心に上がS極、下がN極の信号出力を表す。図において、実線で示されているセンサ信号αは第1ロータ位置検出センサ171の出力、破線で示されているセンサ信号βは第2ロータ位置検出センサ172の出力である。マグネット161の径方向の磁力の強さは電気角に対しておおよそ正弦波状になるように着磁しているため、図に示されるように、センサ信号α,βは互いに電気角で90°ずれた概略正弦波状の信号となる。本実施例では、1−2相駆動時の8種類の通電位相で1周期(360°)となる。
3値化信号α’,β’は、それぞれセンサ信号α,βを所定値未満のときに0、S極信号出力が所定値以上のときにHigh(H)、N極信号出力が所定値以上のときにLow(L)の3値に変換した信号である。3値化後の出力は、図に示されるように、8種類に分割され、8種類の出力で1周期となり繰り返される。モータ12の1−2相駆動時の通電位相の1周期の数と一致するため、モータ12の8ステップの停止位置を検出できる。すなわち、3値化信号α’,β’によって、モータ12の停止位置は、8ポジションで表すことができる(例えば、3値表示で『α:H、β:L』なら『ポジション1』で、そのときのモータ通電位相は『A相:+、B相:+』となる)。
本実施例において、マグネット161の着磁極数は10極であり、1−2相駆動で駆動すると、モータ12の1回転に要するステップ数は40ステップとなる。モータ12の1周期のロータの回転位置の検出数は8なので、1回転中に同じポジションが5回現れることになる。したがって、例えばポジション1(α:H、β:L)の3値化後の出力が得られたとしても、それが1回転中の5か所のうちのどこに位置するか検出できない。
図6は、本実施例の回転部材9の遮光部9lと光学センサ14の発光部の投光スリットの位置関係を示す図である。遮光部9lは、高さの異なる複数の遮光壁を有する。一番左側の壁は、投光スリットが完全に覆われる初期位置領域である。左から2つ目の壁は、投光スリットが完全に露出する(遮光割合が0%になる)第1の領域である。左から3つ目の壁は、投光スリットの遮光割合が20%になる第2の領域である。左から4つ目の壁は、投光スリットの遮光割合が40%になる第3の領域である。左から5つ目の壁は、投光スリットの遮光割合が60%になる第4の領域である。一番右側の壁は、投光スリットの遮光割合が80%になる第5の領域である。
モータ12の助走ステップ数は2ステップに設定され、初期位置から助走期間までは投光スリットは初期位置領域に位置するように設定されている。3ステップ目から遮光羽根1〜8がカム部材10の開口部10a内に進入し始めるとともに、投光スリットが第1の領域に進入する(実際には遮光部9l(回転部材9)がモータ12に連動して回転移動し、投光スリットは移動しない)。
第1〜第5の領域までの各領域内でのモータ12の停止位置(検出位置)はそれぞれ8箇所に設定されており、各領域内の停止位置は第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のセンサ信号より求められる8種類の3値化ポジションに対応している。すなわち、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172によるロータの回転位置の検出数は各領域での停止位置の数と同一となる。
図6(a)では、投光スリットは、遮光部9lの初期位置領域かつポジション6に位置する。本実施例の光量調節装置を搭載した光学機器の電源OFF時や電源投入時の初期状態では、回転部材9は遮光部9lが投光スリットを完全に覆う状態になるようにモータ12が制御される。モータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション6である『α:0、β:H』であり、モータ通電位相は『A相:−、B相:0』である。このとき、光量調節装置100の遮光羽根1〜8はカム部材10の開口部10a外に退避している開放状態となる。電源投入時には光学センサ14の受光部の出力値を検出し、回転部材9が初期位置に位置するか否か、すなわち投光スリットが遮光部9lの初期位置領域に位置するか否かを判定する。投光スリットが初期位置領域に位置する場合、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のセンサ信号値である3値表示が『α:0、β:H』になっているか否かを判定する。
図6(b)では、投光スリットは、遮光部9lの第1の領域かつポジション1に位置する。この状態は、図6(a)の初期位置状態からモータ12を3ステップ回転し、投光スリットが遮光部9lから完全に露出する状態である。モータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション1である『α:H、β:L』であり、モータ通電位相は『A相:+、B相:+』である。
図6(c)では、投光スリットは、遮光部9lの第2の領域かつポジション2に位置する。この状態は、図6(a)の初期位置状態からモータ12を12ステップ回転し、遮光部91の投光スリットの遮光割合が20%になる状態である。モータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション2である『α:0、β:L』であり、モータ通電位相は『A相:+、B相:0』である。
図6(d)では、投光スリットは、遮光部9lの第3の領域かつポジション5に位置する。この状態は、図6(a)の初期位置状態からモータ12を23ステップ回転し、遮光部91の投光スリットの遮光割合が40%になる状態である。モータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション5である『α:L、β:H』であり、モータ通電位相は『A相:−、B相:−』である。
図6(e)では、投光スリットは、遮光部9lの第4の領域かつポジション6に位置する。この状態は、図6(a)の初期位置状態からモータ12を32ステップ回転した位置であり、遮光部91の投光スリットの遮光割合が60%になる状態である。モータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション6である『α:0、β:H』であり、モータ通電位相は『A相:−、B相:0』である。
図6(f)では、投光スリットは、遮光部9lの第5の領域かつポジション8に位置する。この状態は、図6(a)の初期位置状態からモータ12を42ステップ回転した位置であり、遮光部91の投光スリットの遮光割合が80%になる状態である。モータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション8である『α:H、β:0』であり、モータ通電位相は『A相:0、B相:+』である。
以上のように、光学センサ14の出力から遮光部9lの領域を判定し、その領域内の位置を第1および第2ロータ位置検出センサ171,172の出力から算出することで、回転部材9の絶対位置が算出可能となる。
本実施例では、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のモータ12の1周期のロータの回転位置の検出数は8であり、遮光部9lの1つの領域内でのモータ12の停止位置の数も8である。しかしながら、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のモータ12の1周期のロータの回転位置の検出数が遮光部9lの1つの領域内でのモータ12の停止位置の数以上に設定されていれば、回転部材9の絶対位置が算出可能となる。
本実施例の光量調節装置を備えた光学機器の動作について、図7〜図10のフローチャートを用いて説明する。
図7において、ステップ(以下、ステップの表記は省略する)S1で光学機器500の動作を開始し、S2において、電源スイッチ33の待機状態となる。電源スイッチ33がONされるとS3に進む。
S3では、撮影モード切換スイッチ37で選択されている撮影モードを判定する。撮影モード切換スイッチ37が静止画を撮影可能な第1の撮影モードを選択している場合はS4に進んで静止画撮影を行い、動画を撮影可能な第2の撮影モードを選択している場合はS5に進んで動画撮影を行う。静止画撮影および動画撮影の詳細については、図8および図9を用いて後述する。S4あるいはS5の動作終了後、S6に進み、光学機器500の動作を終了する。
図8のフローチャートを用いて、図7のS4における静止画撮影の処理について説明する。S11で静止画撮影の処理を開始し、S12において、SW1スイッチ34の状態を判別する。SW1スイッチ34がオンの場合はS14に進み、オフの場合はS13に進む。
S13では、SW1スイッチ34以外の操作に応じた処理がなされる。例えば、撮影設定の変更などがあげられるが、本発明の要部ではないので説明を割愛する。
S14において、測光回路27により被写体の測光を行い、S15において、S14での測光値に基づいてシャッタ速度と絞り値を算出する。
S16では、SW2スイッチ35の待機状態となる。SW2スイッチ35がオンの場合はS17に進む。S17では、光学センサ14により回転部材9の遮光部9lの領域を検出する。S18では、まずS17の検出結果に応じて必要な場合、初期位置出しを行う。具体的には、光学センサ14の投光スリットが遮光部9lの初期位置領域に位置していない場合は、光学センサ14により遮光部91の初期位置領域を検出するまでモータ12を絞り方向とは逆方向に回転させるモータ戻り駆動を行う。その後、S15の絞り値の算出結果に基づいて、所定の絞り位置になるようにモータ12の駆動を行う。
ここで、光量調節装置100の駆動制御について説明する。まず、モータ12を所定の通電位相でイニシャル通電した後、1−2相駆動でモータ12の駆動を開始する。モータ12を図1の反時計回り方向へ回転させると、ピニオンギア13が回転する。ピニオンギア13は回転部材9のギア部9kに噛み合っているので、回転部材9は図1の時計回り方向へ回転する。回転部材9の穴部9b〜9iに嵌合された遮光羽根1〜8の第1軸部1a〜8aが回動することで、第2軸部(不図示)1b〜8bがカム部材10のカム溝部10b〜10iに沿って移動する。遮光羽根1〜8が同様の回転動作をすることで、カム部材10の開口部10aが絞られていく。その後、目標位置(目標ステップ数)で停止する。なお、光量調節装置100の駆動は、算出された絞り値が開放状態となる場合は、駆動の必要がないことは言うまでもない。ユーザが任意の絞り値を設定する撮影モードの場合において、絞りを開放に設定した場合も同様である。
S19では、一連の撮影動作を行う。まず、ミラー駆動回路28によりミラー29を撮影光路外に退避させ、シャッタ駆動回路30によりシャッタ装置31を駆動させてシャッタを開き、撮像素子23から撮影画像データの取り込み(露光)を開始する。所定の露光時間が終了すると、シャッタ駆動回路30によりシャッタ装置31を駆動させてシャッタを閉じ、撮像素子23の蓄積を終了することで露光を終了する。最後に、ミラー駆動回路28により撮影光路外に退避していたミラー29を元の位置に戻す。
S20では、光量調節装置100を制御して絞りを待機位置状態(開放状態)まで駆動させる。このとき、光量調節装置100の制御は絞り込み駆動時と同様に1−2相駆動で行われ、モータ12を絞り込み駆動時とは逆に図1の時計回り方向へ回転させることで絞りを待機位置状態(開放状態)まで駆動させる。なお、光量調節装置100の駆動制御は、絞り込み駆動時と同様なので詳しい説明は省略する。S21で、静止画撮影の処理を終了する。
図9のフローチャートを用いて、図7のS5における動画撮影の処理について説明する。S31で動画撮影の処理を開始し、S32において、ミラー駆動回路28によりミラー29を撮影光路外に退避させ、シャッタ駆動回路30によりシャッタ装置31を駆動させてシャッタを開き、撮像素子23から被写体画像データの逐次読み込みを開始する。S33では、光量調節装置100を制御することで光量調節を開始する。光量調節の詳細については、図10を用いて後述する。S34では、撮像した被写体画像データをモニター表示回路32により画像表示手段(不図示)に逐次表示するスルー表示状態に設定する。
S35では、録画スイッチ36の状態を判別する。録画スイッチ36がオンの場合はS36に進み、オフの場合はS39に進む。S36では、撮像素子23の露光を開始し、制御回路24により動画の1フレーム毎に撮像素子23から電荷信号(撮影画像データ)を読み出して、デジタル変換、画像処理および画像圧縮等の所定の処理を行った後、メモリ(不図示)に書き込む録画を開始する。S37では、再び録画スイッチ36の状態を判別し、録画スイッチ36がオンの場合はS36の録画を続け、オフの場合はS38に進む。S38では、録画を終了する。
S39では、電源スイッチ33の状態を判別する。電源スイッチ33がオンの場合はステップS35に戻って録画スイッチ36の待機状態となり、オフの場合はS40に進む。S40では、光量調節装置100による光量調節を終了する。S41では、モニター表示回路32による画像表示手段(不図示)に逐次表示するスルー表示状態を終了する。S42では、ミラー駆動回路28により撮影光路外に退避していたミラー29を元の位置に戻すとともに、シャッタ駆動回路30によりシャッタ装置31を駆動させてシャッタを閉じる。S43で、動画撮影の処理を終了する。
図10のフローチャートを用いて、図9のS33における光量調節の処理について説明する。S51で光量調節の処理を開始し、S52において、撮像素子23で撮像した被写体画像データを用いて被写体の測光を行う(静止画撮影時の測光方式とは異なる)。
S53では、S52の測光値を前回の値と比較して、明るさに変化があるか否かを判別する。明るさに変化がある場合はS54に進み、明るさに変化がない場合はS52に戻って再び測光を行う。ここで、動画撮影を開始して1回目の測光では前回の値がないため、そのままS54に進む。
S54では、S52の測光値に基づいて適正絞り値を算出する。ここでは、露出(AE)が適正と判断できるまで光量調節装置100の制御(絞り値の制御)と撮像素子23の電子シャッタとISO感度の組み合わせでAE制御を行う。S55では、光学センサ14により回転部材9の遮光部9lの領域を検出する。S56では、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172の出力を3値化してモータ12のロータの停止位置の3値化ポジションを算出する。S57では、絶対位置検出回路26がS55で検出された遮光部9lの領域とS56で算出されたロータの停止位置の3値化ポジションに基づいて回転部材9の絶対位置を算出する。S58では、S54で算出された適正絞り値に対応する回転部材9の理想位置とS57で算出された回転部材9の現在位置(絶対位置)からモータ12の必要駆動量を算出して、モータ12の電源をオンにした後、所定の駆動を行う。モータ12の駆動終了後、モータ12の電源をオフにする。S59では、光量調節の処理を終了する。なお、光量調節の処理は、所定のタイマーにて一定時間間隔で繰り返し行われる。
以上のように、本実施例の光量調節装置では、光学センサ14の出力から遮光部9lの領域を判定し、その領域内の位置を第1および第2ロータ位置検出センサ171,172の出力から算出することで、回転部材9の絶対位置が算出可能となる。これは、光学式エンコーダーやリニアスケール等の一般的な絶対位置検出用のセンサと比較して大幅にコストが安く済む。
また、本実施例の光量調節装置を備えた光学機器は、回転部材9の絶対位置が算出可能であるため、モータ12の電源を切って再び電源を入れる場合にモータ12を初期位置に戻す必要がない。したがって、動画撮影中に光量変化がないときにモータ12の電源を切ることが可能であり、その場合でも光量調節の信頼性を確保できる。
したがって、本発明は、コストが安く、省エネ駆動が可能で信頼性の高い光量調節装置を提供することができる。
本実施例の光量調節装置200は、実施例1の光量調節装置100の回転部材9に相当する回転部材19を有する。他の構成は、実施例1の光量調節装置100の構成と同様である。回転部材19は、遮光部19lの形状が回転部材9の遮光部9lの形状と異なっている。他の構成は、回転部材9の構成と同様である。図11は、本実施例の回転部材9の遮光部19lと光学センサ14の投光スリットの位置関係を示す図である。図において、破線がモータ12の移動前の光学センサ14の投光スリットの位置、実線がモータ12の1ステップ移動後の投光スリットの位置を示している。図11(a)〜(f)は絞り込み方向へ1ステップ移動する場合に対し、図11(g),(h)は開き方向へ1ステップ移動する場合を示している。図11のように各領域範囲は移動方向により異なる((a)〜(f)に対し、(g)、(h)は1ステップだけ左にずれる)。
図11に示すように、遮光部191は、高さか角度の異なる複数の遮光壁を有する。一番左側の壁は、平坦で投光スリットが完全に覆われる初期位置領域(一部助走領域)である。左から2つ目の壁は、平坦で投光スリットが完全に露出する第1の領域である。左から3つ目の壁は、右上がりの斜面である第2の領域である。左から4つ目の壁は、平坦で投光スリットの遮光割合が約70%になる第3の領域である。左から5つ目の壁は、右下がりの斜面である第4の領域である。左から6つ目の壁は、平坦で投光スリットの遮光割合が約30%になる第5の領域である。本実施例の遮光部19lでは、遮光状態が変化しない領域と遮光状態が変化する領域とが隣接している。各領域を示している矢印の範囲が各壁の境界とずれているのは、1ステップ移動後の投光スリット位置を考慮してのことである。
モータ12の助走ステップ数は4ステップに設定され、初期位置から助走期間までは投光スリットは初期位置領域に位置するように設定されている。5ステップ目から遮光羽根1〜8がカム部材10の開口部10a内に進入し始めるとともに、投光スリットが第1の領域に進入する(実際には遮光部19l(回転部材19)がモータ12に連動して回転移動し、投光スリットは移動しない)。
第1〜第4の領域までの各領域内でのモータ12の停止位置はそれぞれ8箇所に設定されており、第5の領域でのモータ12の停止位置は6箇所に設定されている。各領域内の停止位置は、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のセンサ信号より求められる8種類の3値化ポジションに対応している。すなわち、第1ロータ位置検出センサ171及び第2ロータ位置検出センサ172によるロータ回転位置検出位相分割数は各領域でのステップ停止位置分割数以上に設定されている。
図11(a)では、投光スリットは、遮光部191の初期位置領域かつポジション4に位置する。本実施例の光量調節装置を搭載した光学機器の電源OFF時や電源投入時の初期状態では、回転部材19は遮光部19lが投光スリットを完全に覆う状態になるようにモータ12が制御される。モータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション4である『α:L、β:0』であり、モータ通電位相は『A相:0、B相:−』である。このとき、光量調節装置200の遮光羽根1〜8はカム部材10の開口部10a外に退避している開放状態となる。電源投入時には光学センサ14の受光部の出力値を検出し、回転部材19が初期位置に位置するか否か、すなわち投光スリットが遮光部19lの初期位置領域に位置するか否かを判定する。初期位置領域に位置する場合、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172のセンサ信号値である3値表示が『α:L、β:0』になっているか否かを判定する。
図11(b)では、投光スリットは、モータ12の駆動前後のいずれにおいても、遮光部19lの第1の領域に位置し、遮光部19lから完全に露出する(遮光割合が0%になる)。そのため、モータ12の駆動前後において、光学センサ14の出力は変化しない。また、その出力値は遮光割合が0%なので高い値となる。1ステップ駆動後のモータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション8である『α:H、β:0』であり、モータ通電位相は『A相:0、B相:+』である。
図11(c)では、モータ12の駆動前は、投光スリットは、遮光部19lの第1の領域に位置し、遮光部19lから完全に露出する(遮光割合が0%になる)。一方、1ステップ駆動後は、投光スリットは、遮光部191の第2の領域に位置し、遮光部191により一部が遮光される。そのため、モータ12の駆動前後において、光学センサ14の出力は減少する。1ステップ駆動後のモータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション1である『α:H、β:L』であり、モータ通電位相は『A相:+、B相:+』である。ここで、平坦な壁(第1の領域)と斜面の壁(第2の領域)の境界は高さ方向にわずかな段差を有することで、境界をまたいで1ステップ駆動する場合に遮光状態の変化にメリハリがついて誤検出が防止できる。
図11(d)では、投光スリットは、モータ12の駆動前後のいずれにおいても、遮光部191の第3の領域に位置し、遮光部191の投光スリットの遮光割合が70%になる。そのため、モータ12の駆動前後において、光学センサ14の出力は変化しない。また、その出力値は遮光割合が70%なので低い値となる。1ステップ駆動後のモータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション4である『α:L、β:0』であり、モータ通電位相は『A相:0、B相:−』である。
図11(e)では、投光スリットは、モータ12の駆動前後のいずれにおいても、遮光部191の第4の領域に位置し、遮光部191により一部が遮光される。遮光部19lは右下がりに傾斜しているため、モータ12の駆動前後において、光学センサ14の出力は増加する。1ステップ駆動後のモータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション7である『α:H、β:H』であり、モータ通電位相は『A相:−、B相:+』である。
図11(f)では、投光スリットは、モータ12の駆動前後のいずれにおいても、遮光部191の第5の領域に位置し、遮光部191の投光スリットの遮光割合が30%になる。そのため、モータ12の駆動前後において、光学センサ14の出力は変化しない。また、その出力値は遮光割合が30%なので中くらいの値となる。1ステップ駆動後のモータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション6である『α:0、β:H』であり、モータ通電位相は『A相:−、B相:0』である。
図11(g)では、モータ12の駆動前は、投光スリットは、遮光部19lの第2の領域に位置し、遮光部19lにより一部が遮光される。一方、1ステップ駆動後は、投光スリットは、遮光部191の第1の領域に位置し、遮光部19lから完全に露出する(遮光割合が0%になる)。そのため、モータ12の駆動前後において、光学センサ14の出力は増加する。1ステップ駆動後のモータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション8である『α:H、β:0』であり、モータ通電位相は『A相:0、B相:+』である。
図11(h)では、投光スリットは、モータ12の駆動前後のいずれにおいても、遮光部191の第4の領域に位置し、遮光部191により一部が遮光される。遮光部19lは右下がり(左上がり)に傾斜しているため、モータ12の駆動前後において、光学センサ14の出力は現象する。1ステップ駆動後のモータ12のロータの停止位置における3値表示はポジション3である『α:L、β:L』であり、モータ通電位相は『A相:+、B相:−』である。
以上のように、モータ12の1ステップ駆動前後の光学センサ14の出力から遮光部191の領域を判定し、駆動後の領域内の位置を第1および第2ロータ位置検出センサ171,172の出力から算出することで、回転部材19の絶対位置が算出可能となる。
絞り込み方向に1ステップ駆動するか、開き方向に1ステップ駆動するかは本実施例の光量調節装置を備えた光学機器の光量変化方向(増加したか減少したか)により決まり、詳細説明は後述する。
本実施例の光量調節装置を備えた光学機器の動作について、図12のフローチャートを用いて説明する。本実施例では実施例1の図7〜図9の処理は共通しており、図10の光量調節の処理だけが異なる。よって、本実施例では、光量調節の処理のみを説明し、その他の説明は省力する。
S61で光量調節の処理を開始し、S62において、撮像素子23で撮像した被写体画像データを用いて被写体の測光を行う(静止画撮影時の測光方式とは異なる)。
S63では、S62の測光値を前回の値と比較して、明るさに変化があるか否かを判別する。明るさに変化がある場合はS64に進み、明るさに変化がない場合はS62に戻って再び測光を行う。ここで、動画撮影を開始して1回目の測光では前回の値がないため、そのままS64に進む。
S64では、S62の測光値に基づいて適正絞り値を算出する。ここでは、露出(AE)が適正と判断できるまで光量調節装置200の制御(絞り値の制御)と撮像素子23の電子シャッタとISO感度の組み合わせでAE制御を行う。S65では、光学センサ14により回転部材19の遮光部191を通過した出力を検出する。
S66では、S63で検出した明るさが増加したか否かを判別する。明るさが増加した場合はS67に進み、S67ではモータ12を絞り込み方向へ1ステップ駆動する。明るさが減少した場合はS68に進み、S68ではモータ12を開き方向へ1ステップ駆動する。モータ12の駆動方向は明るさの変化方向に対応しているので、モニターに撮影画像を表示しているときの違和感が少ない。
S69では、再び光学センサ14により回転部材19の遮光部19lを通過した出力を検出する。S70では、第1および第2ロータ位置検出センサ171,172の出力を3値化してモータ12のロータの停止位置の3値化ポジションを算出する。S71では、絶対位置検出回路26がS65およびS69で検出された光学センサ14の出力を比較して遮光部19lの領域を算出し、S70で算出されたロータの停止位置の3値化ポジションと合わせて、回転部材19の絶対位置を算出する。S72では、S64で算出された適正絞り値に対応する回転部材19の理想位置とS71で算出された回転部材19の現在位置(絶対位置)からモータ12の必要駆動量を算出して、モータ12の電源をオンにした後、所定の駆動を行う。モータ12の駆動終了後、モータ12の電源をオフにする。なお、必要駆動量が0の場合は駆動しない(遮光部19lの領域検出のためのモータ12の1ステップ駆動により、更なる駆動の必要がなくなる場合がある)。S73では、光量調節の処理を終了する。なお、光量調節の処理は所定のタイマーにて一定時間間隔で繰り返し行われる。
以上のように、本実施例の光量調節装置では、モータ12を1ステップだけ駆動したときの光学センサ14の出力変化から遮光部19lの領域を判定する。そして、その領域内の位置を第1および第2ロータ位置検出センサ171,172の出力から算出することで、回転部材19の絶対位置が算出可能となる。これは、光学式エンコーダーやリニアスケール等の一般的な絶対位置検出用のセンサと比較して大幅にコストが安く済む。
また、実施例1では遮光割合を6段階に分けたのに対し、本実施例では遮光部19lに斜面部を設け、1ステップ駆動前後の出力変化から領域を検出するようにしている。そのため、環境(温度)変化等による光学センサ出力の変動に左右されにくく、より信頼性の高い光量調節を行うことができる。
さらに、本実施例の光量調節装置を備えた光学機器は、回転部材19の絶対位置が算出可能であるため、モータ12の電源を切って再び電源を入れる場合にモータ12を初期位置に戻す必要がない。したがって、動画撮影中に光量変化がないときにモータ12の電源を切ることが可能であり、その場合でも光量調節の信頼性を確保できる。
したがって、本発明は、コストが安く、省エネ駆動が可能で信頼性の高い光量調節装置を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。