JP6311958B2 - 鍵盤楽器 - Google Patents

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Description

この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤楽器に関する。
例えば、電子ピアノなどの鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、鍵盤部が設けられた楽器ケースの上部に、天板を開閉可能に取り付け、楽器ケースの前側に位置する天板の前端部を持ち上げて、天板を前上がりに傾斜させた状態で起立させることにより、楽器ケース内に設けられたスピーカの音を演奏者側に向けて放音させるようにするように構成されたものが知られている。
特開平09−160560号公報
しかしながら、このような鍵盤楽器では、コンサートなどで天板を開いて演奏する際に、天板が前上がりに傾斜した状態で楽器ケース上に起立するため、天板が常に演奏者側を向いて開くことになり、演奏音を演奏者に向けて放音させることができても、お客側に演奏音を良好に放音させることができないという問題がある。
この発明が解決しようとする課題は、天板の開閉操作性が良く、楽器ケースの前後方向に演奏音を良好に放音させることができる鍵盤楽器を提供することである。
この発明の一態様は、鍵盤部が設けられた楽器ケースと、記楽器ケースに配置され、前記鍵盤部の鍵配列方向における一端部を支点としてさせることによって開閉動作させる天板と、前記楽器ケースの上側かつ前記天板の下側に配置され、前記鍵盤部の鍵配列方向における他端部側を支点として回転させることによって、開かれた前記天板を支持する支持部材と、前記天板側に設けられ、一対のガイド部を有する連動部材と、を備え、前記支持部材は、一端部側に支持突起を有し、前記連動部材の前記一対のガイド部は、前記天板の開閉動作に応じて前記支持突起の両端部をガイドすることを特徴とする鍵盤楽器である。
この発明によれば、天板の開閉操作性が良い鍵盤楽器を提供することができる。
この発明を適用した鍵盤楽器の第1実施形態を示した斜視図である。 図1に示された鍵盤楽器のA−A矢視における天板支持機構を示した要部の拡大断面図である。 図2に示された天板支持機構におけるA部を示した拡大斜視図である。 図1に示された鍵盤楽器の制動装置を示し、(a)は天板が開いた状態のときの制動装置を示した拡大断面図、(b)は天板が閉じた状態のときの制動装置を示した拡大断面図である。 図3に示された第1実施形態における天板支持機構の第1変形例を示した要部の拡大斜視図である。 図3に示された第1実施形態における天板支持機構の第2変形例を示した要部の拡大斜視図である。 この発明を適用した鍵盤楽器の第2実施形態における天板支持機構を示した要部の拡大断面図である。 この発明を適用した鍵盤楽器の第3実施形態を示した斜視図である。 図8に示された鍵盤楽器の側面図である。 図8に示された鍵盤楽器の制動装置を示した要部の拡大断面図である。
(第1実施形態)
以下、図1〜図4を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の第1実施形態について説明する。
この鍵盤楽器は、図1に示すように、楽器ケース1を備えている。この楽器ケース1は、前部側が低く、後部側が少し高い横長のほぼ箱形状に形成されている。この楽器ケース1の前部には、複数の鍵(図示せず)が配列された鍵盤部2を覆う鍵盤蓋3が開閉可能に設けられている。この鍵盤蓋3の後部側に位置する楽器ケース1上には、天板4が開閉可能に配置されている。
天板4は、図1に示すように、楽器ケース1の後部側の上端部に配置され、この状態で鍵盤部2の鍵配列方向における一端部(図1では左端部)が蝶番(図示せず)によって取り付けられている。これにより、天板4は、鍵盤部2の鍵配列方向における一端部を支点5として、上下方向に回転するように構成されている。
この楽器ケース1の後部側の内部には、図1および図2に示すように、棚板6が天板4よりも低い位置に設けられている。これにより、楽器ケース1の後部側の内部には、天板4と棚板6との間に収納空間が形成されている。この場合、鍵盤部2の鍵配列方向における棚板6の両側部には、放音ネット7が楽器ケース1内に設けられたスピーカ(図示せず)にそれぞれ対応して設けられている。
また、棚板6の中間部には、図1に示すように、譜面を立てる譜面台8が起立横倒可能に設けられている。この譜面台8は、その下端部がヒンジ部(図示せず)によって回転可能に取り付けられ、このヒンジ部を中心に回転して起立した際に、天板6の前側に配置されるように構成されている。また、この譜面台8は、ヒンジ部を中心に回転して横倒した際に、天板4と棚板6との間の収納空間内に配置されるように構成されている。
ところで、この楽器ケース1には、図1および図2に示すように、天板4を楽器ケース1上に傾けて起立させる天板支持機構10が設けられている。この天板支持機構10は、天板4の下側に位置する楽器ケース1の棚板6に起立横倒可能に設けられた支持部材11と、天板4の支点5を中心に天板4を回転させて開閉する際に、天板4の開閉動作に連動して支持部材11を起立横倒させる連動部材12とを備えている。
支持部材11は、図1〜図3に示すように、一端部(図1では下端部)が楽器ケース1の棚板6に回転可能に取り付けられた支持本体部13と、この支持本体部13の他端部(図1では上端部)に鍵盤部2の鍵配列方向と直交する楽器ケース1の前後方向に突出して設けられた支持突起14とを有している。
支持本体部13は、図1に示すように、一端部である下端部が幅広に形成され、他端部である上端部が幅狭に形成された細長い台形状に形成されている。この支持本体部13は、天板4の支点5と反対側に位置する楽器ケース1の棚板6上に配置されている。また、この支持本体部13は、図2に示すように、その一端部である下端部がヒンジ部13aによって楽器ケース1の棚板6に起立横倒可能に取り付けられている。
これにより、支持本体部13は、図2に実線で示すように、ヒンジ部13aを中心に回転して起立した際に、その他端部である上端部が楽器ケース1の上方に突出するように構成されている。また、この支持本体部13は、図2に2点鎖線で示すように、ヒンジ部13aを中心に回転して横倒した際に、天板4と棚板6との間の収納空間内に配置されるように構成されている。支持突起14は、図3に示すように、支持本体部13の他端部である上端部に取り付けられた軸部材であり、その両端部が楽器ケース1の前後方向に突出するように構成されている。
一方、連動部材12は、図2および図3に示すように、支持突起14の両端部を保持した状態で、天板4の下面に設けられ、天板4の開閉動作に応じて支持突起14の両端部を鍵盤部2の鍵配列方向に沿ってガイドする一対のガイド部15を有している。このガイド部15は、帯状板の両端部を上側に向けて折り曲げ、この折り曲げられた各上端部を更に天板4の下面に沿って互いに反対方向に向けて折り曲げた形状に形成されている。
また、一対のガイド部15は、図2および図3に示すように、支持本体部13の上端部側における前後方向の長さよりも少し広い間隔を置いて、互いに平行な状態で各両端部が天板4の下面に取り付けられている。これにより、一対のガイド部15は、天板4の下面との間に支持突起14の両端部が移動可能に挿入するガイド部を形成するように構成されている。
また、一対のガイド部15は、図2に示すように、天板4の開閉動作に応じて徐々に傾きが変化しながら上下方向に変位することにより、支持突起14の両端部を上下方向に移動させながら鍵盤部2の鍵盤配列方向に沿って移動させるように構成されている。
これにより、天板支持機構10は、図2に2点鎖線で示すように、天板4が閉じて楽器ケース1上に配置された際に、連動部材12の一対のガイド部15が楽器ケース1の棚板6に最も接近するように構成されている。このため、天板支持機構10は、支持突起14の両端部が棚板6に最も接近すると共に、一対のガイド部15における天板4の支点5側の端部(図2では左端部)に最も接近し、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に反時計回りに回転して横倒するように構成されている。
また、この天板支持機構10は、図2に実線で示すように、天板4が楽器ケース1上に傾斜して起立する際に、連動部材12の一対のガイド部15が楽器ケース1の棚板6から上方に向けて傾きながら変位するように構成されている。このため、天板支持機構10は、支持突起14の両端部が一対のガイド部15によって徐々に上方に移動すると共に、一対のガイド部15における天板4の支点5と反対側の端部(図2では右端部)に向けて移動し、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に時計回りに回転して徐々に起立するように構成されている。
これにより、天板支持機構10は、図2に実線で示すように、天板4が楽器ケース1上に最も傾斜して起立した際に、連動部材12の一対のガイド部15が楽器ケース1の棚板6から上方に最も離れるように構成されている。このため、天板支持機構10は、支持突起14の両端部が一対のガイド部15によって最も上方に移動すると共に、一対のガイド部15における天板4の支点5と反対側の端部(図2では右端部)に最も接近して支持本体部13が起立し、この状態で支持突起14の上端部が天板4の下面に当接して天板4を楽器ケース1上に支持するように構成されている。
また、この天板支持機構10は、図2に示すように、楽器ケース1上に起立した状態の天板4を閉じる際に、天板4を一度持ち上げて支持突起14の上端部を天板4の下面から離し、この状態で天板4を下げると、支持突起14の両端部が天板4の下面または一対のガイド部15に沿って移動しながら天板4が徐々に押し下げられるように構成されている。
このため、この天板支持機構10は、図2に示すように、支持突起14の両端部が天板4の下面または一対のガイド部15によって徐々に下方に移動すると共に、一対のガイド部15における天板4の支点5側の端部(図2では左端部)に向けて移動することにより、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に反時計回りに回転して横倒するように構成されている。
さらに、この楽器ケース1には、図1に示すように、天板4を閉じる際に、天板4の閉動作を制動する制動装置16が設けられている。この制動装置16は、図4(a)および図4(b)に示すように、ダンパー部材17と連結アーム18とを備えている。ダンパー部材17は、棚板6の下面に設けられた取付部6aに支持軸17aによって回転可能に取り付けられている。
このダンパー部材17は、図4(a)および図4(b)に示すように、支持軸17aを中心に時計回りに回転する際に、回転トルクが付与されて回転力(回転動作)が重くなり、また反時計回りに回転する際に、回転トルクが付与されずに回転力(回転動作)が重くならないように構成されている。連結アーム18は、その上端部が天板4の下面に回転可能に取り付けられ、下端部が棚板6の長孔6bを通してダンパー部材17の連結突起部17bに回転可能に取り付けられている。
これにより、制動装置16は、図4(a)に示すように、天板4が開いて楽器ケース1上に傾いて起立した状態のときに、ダンパー部材17が支持軸17aを中心に反時計回りに回転して、連結突起部17bが棚板6の長孔6bから上方に突出し、この突出した連結突起部17bによって連結アーム18が天板4を押し上げるように構成されている。
また、この制動装置16は、図4(b)に示すように、天板4が楽器ケース1上に配置された状態で閉じる際に、連結アーム18がダンパー部材17の連結突起部17bを押し下げると、ダンパー部材17が支持軸17aを中心に時計回りに回転し、ダンパー部材17に回転トルクが付与されて、ダンパー部材17の回転動作が重くなることにより、連結アーム18を介して天板4の押し下げ速度を遅くし、天板4が急激に閉じないように構成されている。
次に、このような鍵盤楽器の作用について説明する。
この鍵盤楽器で演奏する際に、天板4を開く場合には、天板4の支点5と反対側に位置する天板4の端部を天板4の重量に抗して持ち上げれば良い。すると、天板4が支点5を中心に回転しながら、支点5と反対側に位置する天板4の端部が持ち上げられる。このときには、天板支持機構10の連動部材12における一対のガイド部15が天板4と共に楽器ケース1の棚板6から上方に向けて傾きながら変位する。
すると、天板支持機構10の支持部材11における支持突起14の両端部が一対のガイド部15によって徐々に上方に引き上げられると共に、一対のガイド部15に沿って移動する。これにより、支持突起14の両端部が一対のガイド部15における天板4の支点5と反対側の端部(図2では右端部)に向けて移動する。このため、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に時計回りに回転して徐々に起立する。
そして、連動部材12の一対のガイド部15が楽器ケース1の棚板6から上方に最も離れると、支持突起14の両端部が一対のガイド部15によって最も上方に移動すると共に、一対のガイド部15における天板4の支点5と反対側の端部(図2では右端部)に最も接近する。これにより、支持本体部13が最も傾いた状態で起立し、この起立した支持本体部13の上端部が天板4の下面に当接することにより、この支持本体部13によって天板4が楽器ケース1上に支持される。
このように天板4が開く際には、制動装置16の連結アーム18が天板4と共に引き上げられ、この連結アーム18によってダンパー部材17の連結突起部17bが支持軸17aを中心に反時計回り回転移動する。これに伴って、ダンパー部材17が支持軸17aを中心に反時計回りに回転する。このときには、ダンパー部材17に回転トルクが付与されず、ダンパー部材17の回転動作が重くならないため、天板4が容易に回転して楽器ケース1上に傾いて起立される。
このように天板4が開いた状態では、譜面台8を天板4の前側に起立させることができる。また、鍵盤蓋3を開いて鍵盤部2を開放させることにより、鍵盤部2を押鍵操作して演奏をすることができる。このように演奏をすると、スピーカ(図示せず)で楽音が放音され、この放音された楽音が放音ネット7から楽器ケース1の上方に放音される。この放音された楽音は、天板4で反響されて楽器ケース1の前後方向および楽器ケース1の一方の側方に放音される。これにより、演奏音が良好に放音される。
一方、天板4を閉じる際には、譜面台8を楽器ケース1の棚板6上に横倒させる。この状態で、天板4を一度持ち上げて支持本体部13の上端部を天板4の下面から離す。すると、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に回転して倒れる方向に傾く。この状態で、天板4を徐々に押し下げると、支持突起14の両端部が天板4の下面によって徐々に下方に移動すると共に、一対のガイド部15における天板4の支点5側の端部(図2では左端部)に向けて移動する。これにより、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に反時計回りに回転して横倒し、天板4が楽器ケース1上に配置される。
このように、天板4が閉じる際には、制動装置16の連結アーム18がダンパー部材17の連結突起部17bを押し下げる。このときには、ダンパー部材17が支持軸17aを中心に時計回りに回転するので、ダンパー部材17に回転トルクが付与されて、ダンパー部材17の回転動作が重くなる。このため、連結アーム18を介して天板4の押し下げ速度が遅くなり、天板4が急激に閉じないように制動される。これにより、天板4を安全に閉じることができる。
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵盤部2が設けられた楽器ケース1と、鍵盤部2の後側に位置する楽器ケース1上に配置され、鍵盤部2の鍵配列方向における一端部を支点5として、上下方向に回転して開閉する天板4と、この天板4の下側に位置する楽器ケース1の個所に起立横倒可能に設けられた支持部材11、および天板4の開閉動作に連動して支持部材11を起立横倒させる連動部材12を有する天板支持機構10と、を備えているので、天板4の開閉操作性が良く、楽器ケース1の前後方向に演奏音を良好に放音させることができる。
すなわち、この鍵盤楽器では、天板4の一端部を支点5として、天板4を楽器ケース1上に傾けて開くことができるので、楽器ケース1の前後方向に演奏音を良好に放音させることができる。また、天板4を開閉する際に、天板支持機構10の連動部材12によって支持部材11を自動的に起立横倒させることができるので、天板4の開閉操作性が良く、かつ天板支持機構10の支持部材11と連動部材12とによって、天板4が横振れするのを防ぐことができると共に、天板4を楽器ケース1上に傾けて開いた状態で確実に支持することができる。
この場合、支持部材11は、一端部が楽器ケース1に回転可能に取り付けられた支持本体部13と、この支持本体部13の他端部に鍵盤部2の鍵配列方向と直交する方向に突出して設けられた支持突起14とを有し、連動部材12は、支持突起14の両端部を保持した状態で天板4の下面に設けられ、天板4の開閉動作に応じて支持突起14の両端部を鍵盤部2の鍵配列方向に沿ってガイドする一対のガイド部15を有しているので、天板4の横振れを確実に防ぐことができると共に、天板4の開閉動作に応じて天板支持部材11を自動的に起立横倒させることができる。
すなわち、この天板支持機構10では、天板4が楽器ケース1上に傾斜して起立する際に、連動部材12の一対のガイド部15が楽器ケース1の棚板6から上方に向けて傾きながら変位することにより、支持突起14の両端部を一対のガイド部15によって徐々に上方に移動させることができるので、ヒンジ部13aを中心に支持本体部13を時計回りに回転させて自動的に起立させることができる。
また、この天板支持機構10では、楽器ケース1上に起立した状態の天板4を閉じる際に、天板4を一度持ち上げて支持本体部13の上端部を天板4の下面から離すことにより、支持突起14の両端部を一対のガイド部15に沿って移動させながら天板4を押し下げることにより、支持突起14の両端部を一対のガイド部15によって徐々に下方に移動させることができるので、ヒンジ部13aを中心に支持本体部13を反時計回りに回転させて自動的に横倒させることができる。
さらに、この鍵盤楽器では、天板4を閉じる際に、天板4の閉動作を制動する制動装置16を備えていることにより、天板4を閉じる際に、制動装置16によって天板4の押し下げ速度を遅くし、天板4が急激に閉じないように制動することができ、これにより天板4を安全に閉じることができる。
すなわち、この制動装置16は、ダンパー部材17と連結アーム18とを備え、天板4を閉じる際に、連結アーム18によってダンパー部材17が支持軸17aを中心に時計回りに回転することにより、ダンパー部材17に回転トルクが付与されて、ダンパー部材17の回転動作を重くする構成であるから、天板4を閉じる際に、天板4の押し下げ速度を遅くし、天板4が急激に閉じないように、確実にかつ良好に制動することができる。
なお、上述した第1実施形態では、天板支持機構10の支持部材11における支持突起14の両端部が連動部材12の一対のガイド部15上を摺動するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図5に示す第1変形例のように、支持突起14の両端部にそれぞれローラ20を回転自在に設け、これらローラ20が連動部材12の一対のガイド部15上を転動するように構成しても良い。
このような第1変形例では、天板4を開閉する際に、支持突起14の各ローラ20が一対のガイド部15上を転動することにより、支持突起14を一対のガイド部15に沿って円滑に移動させることができ、これにより支持本体部13を円滑にかつ良好に起立横倒させることができる。
また、このような第1変形例に限らず、例えば図6に示す第2変形例のように、支持突起14の両端部にそれぞれピニオンギア21を回転自在に設けると共に、一対のガイド部15上にそれぞれピニオンギア21が噛み合って転動するラックギア22を設けた構成であっても良い。
このように構成すれば、第1変形例と同様、支持突起14を一対のガイド部15に沿って円滑に移動させることができるほか、支持突起14の両端部の各ピニオンギア21が一対のガイド部15の各ラックギア22に噛み合って転動するので、一対のガイド部15に対する各ピニオンギア21の転動位置を同期させることができ、これにより支持突起14のねじれを防ぐことができるので、より一層、支持突起14を一対のガイド部15に沿って円滑にかつ良好に移動させることができる。
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の第2実施形態について説明する。なお、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図7に示すように、支持部材11を位置規制する位置規制部25と、支持部材11の位置規制を解除する解除機構26と、を備えた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
位置規制部25は、図7に示すように、連動部材12の一対のガイド部15の間に位置する天板4の下面に設けられた逆山形状の突起部である。この位置規制部25は、天板4を開いて支持部材11の支持本体部13を起立させた際に、支持本体部13の上端部が当接して、支持本体部13の横倒方向への回転を阻止することにより、支持本体部13を位置規制するように構成されている。
すなわち、この位置規制部25は、図7に示すように、天板4の支点5側(図7では左側)が緩やかな斜面25aに形成され、天板4の支点5と反対側(図7では右側)が急な斜面25bに形成され、これら斜面25a、25bの頂点である下端部25cと一対のガイド部15との間が支持部材11の上端部の外径よりも少し大きく形成された構成になっている。
これにより、位置規制部25は、図7に示すように、天板4を開いて支持部材11の支持本体部13を起立させる際に、支持部材11の支持突起14の両端部が連動部材12の一対のガイド部15上を移動することにより、支持本体部13の上端部が2つの斜面25a、25bの頂点である下端部25cと一対のガイド部15との間を通り抜けるように構成されている。
また、この位置規制部25は、図7に示すように、天板4を開いて支持部材11の支持本体部13を起立させた際に、天板4が自重で下がり、支持本体部13の上端部が天板4の下面に当接した状態で位置規制部25の急な斜面25bに当接して、支持本体部13の横倒方向への回転を阻止することにより、支持本体部13を位置規制するように構成されている。
一方、解除機構26は、図7に示すように、位置規制部25による支持部材11の位置規制を解除するばね部材27を備えている。このばね部材27は、コイルばねであり、一端部が支持部材11の支持本体部13に取り付けられ、他端部が棚板6に取り付けられ、この状態で支持本体部13を横倒方向に付勢するように構成されている。
この解除機構26は、図7に示すように、位置規制部25による支持部材11の位置規制を解除する際に、天板4を開く方向に持ち上げて、位置規制部25を上方に移動させることにより、支持本体部13の上端部を位置規制部25の急な斜面25bから下側に離脱させ、この状態でばね部材27のばね力によってヒンジ部13aを中心に支持本体部13を回転させて、支持本体部13を横倒させるように構成されている。
次に、このような鍵盤楽器の作用について説明する。
この鍵盤楽器において天板4を開いて楽器ケース1上に起立させる際には、第1実施形態と同様、天板4の支点5と反対側に位置する天板4の端部を持ち上げる。すると、天板支持機構10の連動部材12における一対のガイド部15が天板4と共に楽器ケース1の棚板6から上方に向けて傾きながら移動する。
このときには、天板支持機構10の支持部材11における支持突起14の両端部が一対のガイド部15によって徐々に上方に引き上げられると共に、一対のガイド部15に沿って移動する。これにより、支持突起14の両端部が一対のガイド部15における天板4の支点5と反対側の端部(図7では右端部)に向けて移動する。このため、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に時計回りに回転して徐々に起立する。
そして、支持本体部13の上端部が位置規制部25の2つの斜面25a、25bの頂点である下端部25cと一対のガイド部15との間を通り抜けると、支持本体部13の上端部が位置規制部25の急な斜面25bに対応する。この状態で、天板4を下げると、支持本体部13の上端部が天板4の下面に当接すると共に位置規制部25の急な斜面25bに当接する。これにより、支持本体部13が横倒しないように位置規制部25によって位置規制される。
また、天板4を閉じる際には、天板4を開く方向に少し持ち上げる。すると、位置規制部25が上方に移動し、支持本体部13の上端部が位置規制部25の急な斜面25bから下側に離脱する。このときに、解除機構26のばね部材27のばね力によって支持本体部13がヒンジ部13aを中心に回転し、支持本体部13の上端部が位置規制部25の2つの斜面25a、25bの頂点である下端部25cと一対のガイド部15との間を通り抜ける。
これにより、支持本体部13が横倒を開始し、天板4が徐々に押し下げられると、支持本体部13の上端部が位置規制部25の緩やかな斜面25aに沿って移動し、支持本体部13の上端部が位置規制部25から離れる。この後は、第1実施形態と同様、支持突起14の両端部が徐々に下方に移動しながら一対のガイド部15における天板4の支点5側の端部(図2では左端部)に向けて移動する。これにより、支持本体部13がヒンジ部13aを中心に反時計回りに回転して横倒し、天板4が楽器ケース1上に配置される。
このように、この鍵盤楽器によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、天板4を開いて支持部材11を起立させた際に、支持部材11を位置規制する位置規制部25を備えていることにより、天板4を支持している支持本体部13が倒れないように、位置規制部25によって確実に位置規制することができるので、楽器ケース1上に傾いて開いた状態の天板4が不用意に閉じるのを確実に防ぐことができ、このため天板4を安定した状態で開くことができると共に、安全性を確保することができる。
すなわち、この位置規制部25は、天板4の下面に設けられた逆山形状の突起部であり、天板4の支点5側が緩やかな斜面25aに形成され、天板4の支点5と反対側が急な斜面25bに形成されていることにより、天板4を開いて支持部材11の支持本体部13が起立した際に、支持本体部13の上端部が天板4の下面と急な斜面25bとに当接することにより、支持本体部13の横倒方向への回転を阻止して、支持本体部13を確実に位置規制することができる。
また、この鍵盤楽器では、支持部材11が位置規制部25によって位置規制された状態で、天板4を更に押し上げて開くことにより、位置規制部25による支持部材11の位置規制を解除する解除機構26を備えていることにより、天板4を閉じる際に、天板4を少し持ち上げるだけの簡単な操作で、位置規制部25による支持部材11の位置規制を容易に解除することができる。
すなわち、この解除機構26は、位置規制部25による支持部材11の位置規制を解除するばね部材27を備えていることにより、位置規制部25による支持部材11の位置規制を解除する際に、天板4を開く方向に少し持ち上げて、位置規制部25を上方に移動させるだけで、支持本体部13の上端部を位置規制部25の急な斜面25bから離脱させることができ、このときにばね部材27のばね力によってヒンジ部13aを中心に支持本体部13を回転させることができるので、支持本体部13を円滑にかつ良好に横倒させることができる。
(第3実施形態)
次に、図8〜図10を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の第3実施形態について説明する。この場合にも、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図8に示すように、天板4に反響板30を取り付けると共に、制動装置31が第1実施形態と異なる構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、反響板30は、図8および図9に示すように、天板4の背面側の端部にヒンジ部30aによって回転可能に取り付けられている。このヒンジ部30aは、トルクヒンジであり、反響板30を任意の回転角度で保持するように構成されている。これにより、反響板30は、天板4を開いた状態で、傾き角度を変えることにより、楽器ケース1の上部から放音される楽音の反響方向を調整するように構成されている。
例えば、この反響板30は、図9に示すように、天板4を開いた状態でヒンジ部30aを中心に回転させて垂下させると、天板4の後部と楽器ケース1の後部との間を塞ぐことにより、楽器ケース1の上部から放音される楽音を楽器ケース1の前側に向けて反響させるように構成されている。
また、この反響板30は、図9に示すように、天板4を開いた状態でヒンジ部30aを中心に回転させてほぼ45度の角度で傾斜させると、楽器ケース1の上部から放音される楽音を楽器ケース1の前側と後側とに分散させて反響させるように構成されている。さらに、この反響板30は、ヒンジ部30aを中心に回転させてほぼ水平にすると、楽器ケース1の上部から放音される楽音を楽器ケース1の後方に向けて反響させるように構成されている。
一方、制動装置31は、図8および図10に示すように、シリンダ本体32とシリンダピストン33とを有するシリンダダンパーであり、シリンダ本体32の端部が楽器ケース1の棚板6上に回転可能に取り付けられ、シリンダピストン33の先端部が天板4の下面に回転可能に取り付けられた構成になっている。
これにより、この制動装置31は、図10に示すように、天板4が閉じて楽器ケース1上に配置された際に、シリンダピストン33がシリンダ本体32内に押し込まれ、また天板4が上方に傾いて起立した際に、図8に示すように、シリンダピストン33がシリンダ本体32内から引き出されるように構成されている。
この場合、シリンダ本体32には、シリンダピストン33が引き出されるときに、シリンダ本体32内に空気を取り込み、シリンダピストン33が押し込まれるときに、シリンダ本体32内の空気の排出を制限する逆止弁(図示せず)が設けられている。これにより、この制動装置31は、逆止弁によってシリンダピストン33がシリンダ本体32内に押し込まれるときに、シリンダピストン33に負荷を付与してシリンダピストン33の押込み動作を制動するように構成されている。
次に、このような鍵盤楽器の作用について説明する。
この鍵盤楽器の天板4を開いて楽器ケース1上に傾斜させて起立させた状態で演奏する際には、反響板30のヒンジ部30aを中心に反響板30を回転させて、反響板30の傾き角度を変えることにより、楽器ケース1の上部から放音される楽音の反響方向を調整することができる。
例えば、天板4を開いた状態で、反響板30を回転させて垂下させると、天板4の後部と楽器ケース1の後部との間が反響板30で塞がれることにより、楽器ケース1の上部から放音される楽音を反響板30によって楽器ケース1の前側に向けて反響させることができる。
また、天板4を開いた状態で、反響板30を回転させてほぼ45度の角度で傾斜させると、楽器ケース1の上部から放音される楽音を反響板30によって楽器ケース1の前側と後側とに分散させて反響させることができる。さらに、天板4を開いた状態で、反響板30を回転させてほぼ水平にすると、楽器ケース1の上部から放音される楽音を反響板30によって楽器ケース1の後方に向けて反響させることができる。
また、この鍵盤楽器において天板4を開いて楽器ケース1上に起立させる際には、第1実施形態と同様、天板4の支点5と反対側に位置する天板4の端部を持ち上げると、天板支持機構10の支持部材11が連動部材12によって引き起こされて起立し、この起立した支持部材11によって天板4が楽器ケース1上に傾斜した状態で支持される。
このように天板4が開く際には、天板4の開動作に伴って制動装置31のシリンダピストン33がシリンダ本体32から徐々に引き出される。このときには、逆止弁(図示せず)によってシリンダ本体32内に空気が流れ込むので、シリンダピストン33に負荷が付与されない。このため、シリンダピストン33がシリンダ本体32内から円滑に引き出されるので、天板4が容易に回転して楽器ケース1上に起立する。
また、天板4が閉じる際には、制動装置31のシリンダピストン33がシリンダ本体32内に徐々に押し込まれる。このときには、逆止弁(図示せず)によってシリンダ本体32内の空気の排出が制限されるため、シリンダ本体32内に押し込まれるシリンダピストン33が空気を圧縮しながら押し込まれる。このため、シリンダピストン33に空気圧による負荷が付与されるので、天板4の押し下げ速度が遅くなり、天板4が急激に閉じないように制動される。これにより、天板4を安全に閉じることができる。
このように、この鍵盤楽器によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、天板4の後端部に回転可能に取り付けられ、天板4を開いた状態で任意の傾斜角度に保持される反響板30を備えていることにより、反響板30の傾き角度を変えることにより、楽器ケース1の上部から放音される楽音の反響方向を調整することができる。
すなわち、天板4を開いた状態で、反響板30を回転させて垂下させると、天板4の後部と楽器ケース1の後部との間が反響板30で塞がれることにより、楽器ケース1の上部から放音される楽音を反響板30によって楽器ケース1の前側に向けて反響させることができる。
また、天板4を開いた状態で、反響板30を回転させてほぼ45度の角度で傾斜させると、楽器ケース1の上部から放音される楽音を反響板30によって楽器ケース1の前側と後側とに分散させて反響させることができる。さらに、天板4を開いた状態で、反響板30を回転させてほぼ水平にすると、楽器ケース1の上部から放音される楽音を反響板30によって楽器ケース1の後方に向けて反響させることができる。
さらに、この鍵盤楽器では、天板4を閉じる際に、天板4の閉動作を制動する制動装置31を備えていることにより、第1実施形態と同様、天板4を閉じる際に、制動装置31によって天板4の押し下げ速度を遅くし、天板4が急激に閉じないように、良好に制動することができるので、天板4を安全に閉じることができる。
すなわち、この制動装置31は、シリンダ本体32とシリンダピストン33と逆止弁(図示せず)とを有するシリンダダンパーであることにより、天板4が閉じる際に制動装置31のシリンダピストン33がシリンダ本体32内に押し込まれ、このときに逆止弁によってシリンダ本体32内の空気の排出が制限されるので、シリンダ本体32内で空気が圧縮され、この圧縮された空気圧によって天板4の押し下げ速度を遅くすることができ、これにより天板4が急激に閉じないように、良好に制動することができるので、天板4を安全に閉じることができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、鍵盤部が設けられた楽器ケースと、前記鍵盤部の後側に位置する前記楽器ケース上に配置され、前記鍵盤部の鍵配列方向における一端部を支点として、上下方向に回転して開閉する天板と、この天板の下側に位置する前記楽器ケースの個所に起立横倒可能に設けられた支持部材、および前記天板の開閉動作に連動して前記支持部材を起立横倒させる連動部材を有する天板支持機構と、を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤楽器において、前記支持部材は、一端部が前記楽器ケースに回転可能に取り付けられた支持本体部と、この支持本体部の他端部に前記鍵盤部の鍵配列方向と直交する方向に突出して設けられた支持突起とを有し、前記連動部材は、前記支持突起の両端部を保持した状態で前記天板の下面に設けられ、前記天板の開閉動作に応じて前記支持突起の両端部を前記鍵盤部の鍵配列方向に沿ってガイドする一対のガイド部を有していることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器において、前記天板を開いて前記支持部材を起立させた際に、前記支持部材を位置規制する位置規制部を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の鍵盤楽器において、前記支持部材が前記位置規制部によって位置規制された状態で、前記天板を更に押し上げて開くことにより、前記位置規制部による前記支持部材の位置規制を解除する解除機構を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤楽器において、前記天板を閉じる際に、前記天板の閉動作を制動する制動装置を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の鍵盤楽器において、前記天板の背面側に位置する端部に回転可能に取り付けられ、前記天板を開いた状態で任意の傾斜角度に保持される反響板を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。
1 楽器ケース
2 鍵盤部
4 天板
5 支点
6 棚板
7 放音ネット
10 天板支持機構
11 支持部材
12 連動部材
13 支持本体部
13a、30a ヒンジ部
14 支持突起
15 一対のガイド部
16、31 制動装置
25 位置規制部
26 解除機構
27 ばね部材
30 反響板

Claims (5)

  1. 鍵盤部が設けられた楽器ケースと、
    記楽器ケースに配置され、前記鍵盤部の鍵配列方向における一端部を支点としてさせることによって開閉動作させる天板と、
    前記楽器ケースの上側かつ前記天板の下側に配置され、前記鍵盤部の鍵配列方向における他端部側を支点として回転させることによって、開かれた前記天板を支持する支持部材と、
    前記天板側に設けられ、一対のガイド部を有する連動部材と、
    を備え
    前記支持部材は、一端部側に支持突起を有し、
    前記連動部材の前記一対のガイド部は、前記天板の開閉動作に応じて前記支持突起の両端部をガイドすることを特徴とする鍵盤楽器。
  2. 請求項1に記載の鍵盤楽器において、前記天板を開いて前記支持部材を回転させた際に、前記支持部材を位置規制する位置規制部を備えていることを特徴とする鍵盤楽器。
  3. 請求項に記載の鍵盤楽器において、前記支持部材が前記位置規制部によって位置規制された状態で、前記天板を更に押し上げて開くことにより、前記位置規制部による前記支持部材の位置規制を解除する解除機構を備えていることを特徴とする鍵盤楽器。
  4. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の鍵盤楽器において、前記天板を閉じる際に、前記天板の閉動作を制動する制動装置を備えていることを特徴とする鍵盤楽器。
  5. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の鍵盤楽器において、前記天板の背面側に位置する端部に回転可能に取り付けられ、前記天板を開いた状態で任意の傾斜角度に保持される反響板を備えていることを特徴とする鍵盤楽器。
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