以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[画像形成装置10の概略構成]
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置10の構成を示す断面模式図である。
図1及び図2に示すように、画像形成装置10は、ADF1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4A、搬送部4B、排紙部4C、制御部5、及び操作表示部6を備える。画像形成装置10は、画像データに基づいて画像を形成するプリント機能と共に、スキャン機能、ファクシミリ機能、又はコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。ここに、搬送部4B及び制御部5を備える装置が、本発明におけるシート搬送装置の一例である。また、本発明は、プリンター装置、ファクシミリ装置、及びコピー機などの画像形成装置に適用可能である。
ADF1は、不図示の原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する自動原稿搬送装置である。画像読取部2は、不図示の原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ、及びCCDを備え、原稿から画像データを読み取ることが可能である。
制御部5は、不図示のCPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶部である。制御部5では、前記CPUにより前記ROMに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が制御部5により統括的に制御される。なお、制御部5は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
操作表示部6は、制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザー操作に応じて制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
ところで、画像形成装置10と同種の構成を備える画像形成装置では、感光体ドラムなどの像担持体の表面に形成されたトナー像が転写ローラーなどの転写部材によってシートに転写される。この種の画像形成装置には、シートを搬送するシート搬送装置が設けられる。シート搬送装置によるシートの搬送経路上には、シートの先端の通過を検出する光センサーが設けられる。例えば、光センサーは、搬送されるシートとの接触により第1位置から第2位置へと回動される被検出子の前記第1位置からの移動を検出することで、シートの先端の通過を検出可能である。光センサーによる検出結果は、転写部材による転写位置に向けてシートを送出するレジストローラーの回転制御等に用いられる。
ここで、シートの後端が通過して被検出子が第2位置から第1位置へと回動される際に、前記被検出子が第1位置でバウンドすることがある。この場合、光センサーはシートの先端の通過を誤検出することがある。シートの先端の通過が誤検出されると、レジストローラーからのシートの送出タイミングが本来のタイミングからずれたものとなり、シートに形成される画像の位置がずれる不具合が生じる。
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10では、シートの先端の通過の検出精度を向上させることが可能である。
以下、図1〜図5を参照しつつ、画像形成部3、給紙部4A、搬送部4B、及び排紙部4Cについて説明する。ここで、図3は通過検出部48の構成を示す斜視図である。また、図4は図3における被検出子481C、第1センサー482、及び第2センサー483の拡大図である。また、図5は図4における被検出子481Cが第1回動位置P2に配置されている状態を示す図である。
画像形成部3は、画像読取部2で読み取られた画像データに基づいて電子写真方式で画像を形成する画像形成処理(印刷処理)を実行することが可能である。また、画像形成部3は、外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて前記印刷処理を実行することも可能である。具体的に、画像形成部3は、図1に示すように、感光体ドラム31、帯電装置32、光走査装置33、現像装置34、転写ローラー35、クリーニング装置36、及び定着装置37を備える。
給紙部4Aは、画像形成部3にシートを給紙する。具体的に、給紙部4Aは、図1に示すように、給紙カセット41、ピックアップローラー42、及び給送ローラー43を備える。
搬送部4Bは、給紙部4Aから給紙されたシートを画像形成部3による画像形成位置まで搬送する。具体的に、搬送部4Bは、図1及び図3に示すように、搬送ローラー44、レジストローラー45、及び通過検出部48を備える。
排紙部4Cは、画像形成部3により画像が形成されたシートを排出する。具体的に、排紙部4Cは、図1に示すように、第1排紙ローラー46、第2排紙ローラー47、及び排紙トレイ49を備える。
給送ローラー43、搬送ローラー44、レジストローラー45、第1排紙ローラー46、第2排紙ローラー47、及び通過検出部48は、画像形成装置10の筐体内において一対の搬送ガイド部材により給紙カセット41と排紙トレイ49との間に形成された搬送路40A上に配置される。ピックアップローラー42、給送ローラー43、搬送ローラー44、レジストローラー45、第1排紙ローラー46、及び第2排紙ローラー47は、不図示のモーターで生じる駆動力が伝達されて回転することで、シートを図1に示す搬送方向40Bに沿って搬送する。ここに、搬送路40Aが、本発明における搬送経路の一例である。また、搬送方向40Bが、本発明における第1方向の一例である。
画像形成部3では、給紙部4Aから供給されて搬送部4Bにより搬送されるシートに以下の手順で画像が形成される。まず、帯電装置32によって感光体ドラム31の表面が所定の電位に一様に帯電される。次に、光走査装置33により感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
そして、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像は現像装置34によってトナー像として現像(可視像化)される。感光体ドラム31の表面に形成されたトナー像は、図1に示す回転方向31Aに沿って回転する感光体ドラム31により転写ローラー35による転写位置P1まで搬送される。なお、現像装置34には、画像形成部3に着脱可能なトナーコンテナ34Aからトナーが補給される。
一方、給紙部4Aは、画像形成部3による画像形成動作と並行して、転写位置P1にシートを供給する。具体的に、給紙カセット41は、給紙カセット41の底部に設けられた不図示のリフト板を用いて、給紙カセット41に収納されているシートをピックアップローラー42との接触位置まで持ち上げる。ピックアップローラー42は、前記接触位置まで持ち上げられた最上層のシートを搬送路40Aに送出する。ピックアップローラー42により搬送路40Aに送出されたシートは、給送ローラー43により搬送部4Bへと送出される。
搬送部4Bは、感光体ドラム31によるトナー像の転写位置P1への搬送タイミングに合わせて、転写位置P1にシートを搬送する。具体的に、搬送ローラー44は、給紙部4Aから送出されるシートを転写位置P1の上流側に設けられたレジストローラー45まで搬送する。また、搬送ローラー44は、搬送方向40Bにおけるシートの先端をレジストローラー45に突き当てて前記シートの先端にたわみを形成する。これにより、前記シートのスキューが補正される。
レジストローラー45は、予め定められた送出タイミングでシートを転写位置P1に送出する。ここで、前記送出タイミングは前記搬送タイミングに合致するタイミングである。前記送出タイミングの設定方法については後述する。転写ローラー35は、転写位置P1で、レジストローラー45から送出されるシートに感光体ドラム31の表面に形成されたトナー像を転写する。これにより、シートに画像が形成される。ここに、転写位置P1が、本発明における画像形成位置の一例である。
なお、感光体ドラム31の表面に残存したトナーは、クリーニング装置36により除去される。例えば、クリーニング装置36では、感光体ドラム31の表面に残存したトナーがブレード状のクリーニング部材361により除去される。そして、クリーニング部材361により除去されたトナーは、搬送スクリュー362により不図示のトナー収容容器まで搬送されて回収される。
転写位置P1でトナー像が転写されたシートは、感光体ドラム31及び転写ローラー35の回転により定着装置37に送出される。定着装置37では、図1に示す加熱ローラー37A及び加圧ローラー37Bにより、シートに転写されたトナー像が加熱圧縮される。これにより、トナー像がシートに溶融定着する。
排紙部4Cは、定着装置37によってトナー像が定着されたシートを第1排紙ローラー46及び第2排紙ローラー47を用いて排紙トレイ49に排出する。
通過検出部48は、図1に示すように、搬送路40Aにおけるレジストローラー45の上流側であって、搬送ローラー44の下流側に配置され、シートの先端及び後端の通過を検出する。具体的に、通過検出部48は、図2〜図5に示すように、回転部481、第1センサー482、及び第2センサー483を備える。
回転部481は、搬送ローラー44によって搬送されるシートと接触して回動する。具体的に、回転部481は、図3に示すように、軸部481A、回転子481B、及び被検出子481Cを有する。
軸部481Aは、回転部481を回動させる回転軸である。軸部481Aは、図3に示すように、搬送ローラー44の回転軸に平行に設けられ、搬送ローラー44の回転方向と同方向に回動可能である。
回転子481Bは、搬送路40Aにおけるシートの有無に応じて姿勢変化可能に設けられ、搬送路40Aにシートが存在しないときに搬送路40Aを交差する第1姿勢に配置され、搬送路40Aを搬送方向40Bへ搬送されるシートが接触されると搬送路40Aから退避する第2姿勢に配置される。
具体的に、回転子481Bは、図3に示すように、軸部481Aにおいて軸部481Aの軸方向に垂直な方向に突出して設けられ、搬送路40Aを搬送されるシートと接触可能な位置に配置される。なお、図3には、前記第2姿勢に配置された回転子481Bが示されている。
被検出子481Cは、回転子481Bと連動して回動可能に設けられ、回転子481Bが前記第1姿勢のときに第1回動位置P2に配置され、回転子481Bが前記第2姿勢のときに第2回動位置P3に配置される。
具体的に、被検出子481Cは、図3に示すように、回転子481Bと同様に軸部481Aにおいて軸部481Aの軸方向に垂直な方向に突出して設けられる。また、被検出子481Cは、図3〜図5に示すように、突出先端が軸部481Aの軸方向に突出した遮光片481Dを有する。遮光片481Dは、回転子481Bが前記第1姿勢のときに第1回動位置P2に配置される。また、遮光片481Dは、回転子481Bが前記第2姿勢のときに第2回動位置P3に配置される。なお、図3及び図4には、遮光片481Dが第2回動位置P3に配置されている状態が示されている。また、図5には、遮光片481Dが第1回動位置P2に配置されている状態が示されている。
回転子481Bは、搬送ローラー44により搬送路40Aを搬送されるシートの先端と接触すると、シートにより図3に示す上方向に押し上げられて回動し、搬送路40Aから退避する前記第2姿勢に配置される。これにより、被検出子481Cが第1回動位置P2から第2回動位置P3へと移動される。一方、回転子481Bは、シートの後端が回転部481の配置位置を通過すると図3に示す下方向に回動し、搬送路40Aを交差する前記第1姿勢に配置される。これにより、被検出子481Cが第2回動位置P3から第1回動位置P2へと移動される。
例えば、回転部481は、被検出子481Cが第2回動位置P3から第1回動位置P2に向かう方向にばね等により付勢されている。なお、回転子481Bは、シートの後端が回転部481の配置位置を通過した際に自重により回動して前記第1姿勢に配置されてもよい。
第1センサー482は、第1回動位置P2で被検出子481Cを検出可能な透過型の光センサーである。具体的に、第1センサー482は、図3〜図5に示すように、第1回動位置P2を挟んで対向して設けられた発光部482A及び受光部482Bを有する。受光部482Bは、受光量に応じた電気信号を出力する。なお、第1センサー482は、反射型の光センサーであってもよく、磁気を用いた近接センサー等であってもよい。
第1センサー482では、図4に示すように、被検出子481Cが第1回動位置P2に存在しない場合に、発光部482Aから出射された光が受光部482Bに照射される。一方、第1センサー482では、図5に示すように、被検出子481Cが第1回動位置P2に存在する場合に、発光部482Aから出射された光は被検出子481Cの遮光片481Dにより遮断されて受光部482Bに照射されない。そのため、受光部482Bからは、第1回動位置P2における被検出子481Cの有無に応じた電気信号が出力される。
第2センサー483は、第2回動位置P3で被検出子481Cを検出可能な透過型の光センサーである。具体的に、第2センサー483は、図3〜図5に示すように、第2回動位置P3を挟んで対向して設けられた発光部483A及び受光部483Bを有する。受光部483Bは、受光量に応じた電気信号を出力する。なお、第2センサー483は、反射型の光センサーであってもよく、磁気を用いた近接センサー等であってもよい。
第2センサー483では、図5に示すように、被検出子481Cが第2回動位置P3に存在しない場合に、発光部483Aから出射された光が受光部483Bに照射される。一方、第2センサー483では、図4に示すように、被検出子481Cが第2回動位置P3に存在する場合に、発光部483Aから出射された光は被検出子481Cの遮光片481Dにより遮断されて受光部483Bに照射されない。そのため、受光部483Bからは、第2回動位置P3における被検出子481Cの有無に応じた電気信号が出力される。
一方、制御部5の前記ROMには、制御部5の前記CPUに後述の送出タイミング設定処理(図6のフローチャート参照)を実行させるための送出タイミング設定プログラムが予め記憶されている。なお、前記送出タイミング設定プログラムは、CD、DVD、フラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から画像形成装置10の備える不図示の記憶部にインストールされてもよい。
そして、制御部5は、図2に示すように、検出処理部51、判定処理部52、第1設定処理部53、第2設定処理部54、及び回転制御部55を含む。具体的に、制御部5の前記CPUは、前記ROMに記憶された前記送出タイミング設定プログラムを実行する。これにより、制御部5は、検出処理部51、判定処理部52、第1設定処理部53、第2設定処理部54、及び回転制御部55として機能する。
検出処理部51は、第1センサー482を用いて被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動を検出する。例えば、検出処理部51は、画像形成装置10において前記印刷処理が実行される場合に、第1センサー482を用いて被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動を検出する。
具体的に、検出処理部51は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が、発光部482Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されているオン状態(図7参照)から発光部482Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されていないオフ状態に切り替わった場合に、被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動を検出する。
判定処理部52は、検出処理部51により被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動が検出された場合に、第1センサー482及び第2センサー483それぞれの検出結果に基づいて、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングがシートの先端の通過タイミングであるか否かを判定する。
例えば、判定処理部52は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出に続いて第2センサー483により被検出子481Cの第2回動位置P3への移動が検出された場合には、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングが前記通過タイミングであると判定する。
具体的に、判定処理部52は、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号が、発光部483Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されていないオフ状態(図7参照)から発光部483Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されているオン状態に切り替わった場合に、被検出子481Cの第2回動位置P3への移動を検出する。
なお、判定処理部52は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出に続いて第2センサー483により被検出子481Cの第2回動位置P3への移動後の被検出子481Cの第2回動位置P3からの移動が検出された場合に、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングが前記通過タイミングであると判定してもよい。
一方、判定処理部52は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出に続いて第1センサー482により被検出子481Cの第1回動位置P2への移動が検出された場合には、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングが前記通過タイミングではないと判定する。具体的に、判定処理部52は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が前記オフ状態から前記オン状態に切り替わった場合に、被検出子481Cの第1回動位置P2への移動を検出する。
なお、判定処理部52は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出に続いて第1センサー482により被検出子481Cの第1回動位置P2への移動後の被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動が検出された場合に、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングが前記通過タイミングではないと判定してもよい。
第1設定処理部53は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づいて、レジストローラー45からシートを送出する前記送出タイミングを設定する。具体的に、第1設定処理部53は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングから前記搬送タイミングを考慮して定められた待機時間の経過時を前記送出タイミングとして設定する。例えば、第1設定処理部53は、検出処理部51により被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動が検出された場合に、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出時からの経過時間を計測する。
なお、第1設定処理部53は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づいて、光走査装置33による画像の書き出しタイミングを設定してもよい。また、第1設定処理部53は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づいて、搬送ローラー44の回転時間を設定してもよい。
第2設定処理部54は、判定処理部52により検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングが前記通過タイミングではないと判定された場合に、前記通過タイミングではないと判定された検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づく前記送出タイミングの設定を取り消す。例えば、第2設定処理部54は、第1設定処理部53により開始された検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出時からの経過時間の計測を中止する。
回転制御部55は、判定処理部52により前記通過タイミングであると判定される検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づいて設定される前記送出タイミングでレジストローラー45を回転させる。具体的に、回転制御部55は、第1設定処理部53及び第2設定処理部54により設定された前記送出タイミングでレジストローラー45を回転させる。例えば、回転制御部55は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出時から前記待機時間が経過するタイミングで、レジストローラー45を回転させる。回転制御部55は、不図示の電磁クラッチを用いて、不図示のモーターで生じる駆動力のレジストローラー45への伝達タイミングを制御することで、レジストローラー45を前記送出タイミングで回転させる。
[送出タイミング設定処理]
以下、図6を参照しつつ、画像形成装置10において制御部5により実行される送出タイミング設定処理の手順の一例について説明する。ここで、ステップS1、S2・・・は、制御部5により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。
なお、前記送出タイミング設定処理は、前記印刷処理が実行される場合において、第1センサー482により被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動が検出される毎に実行される。ここで、第1センサー482を用いて被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動を検出する処理は、制御部5の検出処理部51により実行される。ここに、制御部5の検出処理部51により実行される処理が、本発明における第1ステップの一例である。
<ステップS1>
まず、ステップS1において、制御部5は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づいて、レジストローラー45からシートを送出する前記送出タイミングを設定する。例えば、制御部5は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出時からの経過時間を計測する。ここで、ステップS1の処理は、制御部5の第1設定処理部53により実行される。
<ステップS2>
ステップS2において、制御部5は、第1センサー482及び第2センサー483それぞれの検出結果に基づいて、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングがシートの先端の前記通過タイミングであるか否かを判定する。ここに、ステップS2の処理が、本発明における第2ステップの一例であって、制御部5の判定処理部52により実行される。
例えば、制御部5は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出に続いて第2センサー483により被検出子481Cの第2回動位置P3への移動が検出された場合には、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングが前記通過タイミングであると判断する。
一方、制御部5は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出に続いて第1センサー482により被検出子481Cの第1回動位置P2への移動が検出された場合には、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングが前記通過タイミングではないと判断する。
ここで、制御部5は、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングがシートの先端の前記通過タイミングであると判断すると(S2のYes側)、前記送出タイミング設定処理を終了する。この場合、制御部5は、前記送出タイミング設定処理の終了後、ステップS1による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出時から前記待機時間が経過するタイミングで、レジストローラー45を回転させる。ここで、レジストローラーを回転させる処理は、制御部5の回転制御部55により実行される。一方、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングがシートの先端の前記通過タイミングでなければ(S2のNo側)、制御部5は、処理をステップS3に移行させる。
<ステップS3>
ステップS3において、制御部5は、ステップS2でシートの先端の前記通過タイミングではないと判定された検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づくレジストローラー45からシートを送出する前記送出タイミングの設定を取り消す。例えば、制御部5は、ステップS1により開始された検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出時からの経過時間の計測を中止して、前記送出タイミング設定処理を終了する。この場合、検出処理部51による被検出子481Cの第1回動位置P2からの移動の検出タイミングに基づいてレジストローラー45が回転されることはない。ここに、ステップS3の処理は、制御部5の第2設定処理部54により実行される。
ここで、図7を参照しつつ、前記送出タイミング設定処理における処理の流れについて説明する。なお、図7は、第1センサー482及び第2センサー483から出力される電気信号の一例を示すタイミング図である。なお、図7に示す例では、時間T5において被検出子481Cが第1回動位置P2でバウンドしてチャタリングが発生している。
まず、画像形成装置10で前記印刷処理が実行されて、搬送路40Aを搬送される1枚目のシートの先端が回転部481の回転子481Bと接触して回転子481Bが回動されると、回転子481Bの回動に連動して被検出子481Cが第1回動位置P2から移動される。これにより、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が、発光部482Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されている前記オン状態から発光部482Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されていない前記オフ状態に切り替わる(時間T1)。制御部5は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号の前記オン状態から前記オフ状態への切り替わりを検出すると、前記送出タイミング設定処理を実行して、時間T1からの経過時間を計測する(ステップS1)。
1枚目のシートの先端と回転子481Bとの接触により第1回動位置P2から移動された被検出子481Cは、回転子481Bが前記第2姿勢に配置されることに連動して、第2回動位置P3へと移動される。これにより、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号が、発光部483Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されていない前記オフ状態から発光部483Aから射出された光が被検出子481Cによって遮光されている前記オン状態に切り替わる(時間T2)。制御部5は、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号の前記オフ状態から前記オン状態への切り替わりを検出すると、時間T1がシートの先端の前記通過タイミングであると判断して(ステップS2のYes側)、前記送出タイミング設定処理を終了する。その後、制御部5は、時間T1から前記待機時間が経過するタイミングでレジストローラー45を回転させて、1枚目のシートを転写位置P1へ送出する。
1枚目のシートの後端が回転部481の配置位置を通過してシートが回転子481Bから離間すると、回転子481Bが回動され、回転子481Bの回動に連動して被検出子481Cが第2回動位置P3から移動される。これにより、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号が、前記オン状態から前記オフ状態に切り替わる(時間T3)。なお、制御部5は、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号の前記オン状態から前記オフ状態への切り替わりを検出した場合に、時間T1がシートの先端の前記通過タイミングであると判断してもよい。
1枚目のシートと回転子481Bとの離間により第2回動位置P3から移動された被検出子481Cは、回転子481Bが前記第1姿勢に配置されることに連動して、第1回動位置P2へと移動される。これにより、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が、前記オフ状態から前記オン状態に切り替わる(時間T4)。
なお、制御部5は、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号が前記オン状態から前記オフ状態に切り替わるタイミング(時間T3)を、回転部481の配置位置におけるシートの後端の通過タイミングとして検出してもよい。ここで、第1センサー482のみを備え、第2センサー483を備えない従来の構成で回転部481の配置位置におけるシートの後端の通過タイミングを検出する場合、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が前記オフ状態から前記オン状態に切り替わるタイミング(時間T4)をシートの後端の通過タイミングとして検出することとなる。即ち、画像形成装置10では、従来の構成と比較して、時間T3から時間T4までの間の遅延時間ΔTだけ早いタイミングでシートの後端の通過を検出することが可能である。
第2回動位置P3から第1回動位置P2へと移動される被検出子481Cは、移動の勢いにより第1回動位置P2でバウンドすることがある。第1回動位置P2へと移動された被検出子481Cが第1回動位置P2でバウンドすると、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が前記オン状態から前記オフ状態に切り替わる(時間T5)。制御部5は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号の前記オン状態から前記オフ状態への切り替わりを検出すると、2度目の前記送出タイミング設定処理を実行して、時間T5からの経過時間を計測する(ステップS1)。なお、画像形成装置10では、前述のように被検出子481Cが第2回動位置P3から第1回動位置P2へと向かう方向に回転部481が付勢されており、第1回動位置P2でバウンドした被検出子481Cが第2回動位置P3まで到達することはない。
第1回動位置P2でのバウンドにより第1回動位置P2から移動された被検出子481Cは、被検出子481Cに付与される付勢力により、第2回動位置P3まで到達することなく第1回動位置P2へと移動される。これにより、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が、前記オフ状態から前記オン状態に切り替わる(時間T6)。制御部5は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号の前記オフ状態から前記オン状態への切り替わりを検出すると、時間T5がシートの先端の前記通過タイミングではないと判断して時間T5からの経過時間の計測を中止し(ステップS2のNo側、ステップS3)、2度目の前記送出タイミング設定処理を終了する。
搬送路40Aを搬送される2枚目のシートの先端が回転部481の回転子481Bと接触して回転子481Bが回動されると、回転子481Bの回動に連動して被検出子481Cが第1回動位置P2から移動される。これにより、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が前記オン状態から前記オフ状態に切り替わる(時間T7)。制御部5は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号の前記オン状態から前記オフ状態への切り替わり時(時間T7)から、3度目の前記送出タイミング設定処理を実行して、時間T7からの経過時間を計測する(ステップS1)。なお、制御部5は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号の前記オン状態から前記オフ状態への切り替わりを検出した場合に、時間T5がシートの先端の前記通過タイミングではないと判断してもよい。
2枚目のシートの先端と回転子481Bとの接触により第1回動位置P2から移動された被検出子481Cは、回転子481Bが前記第2姿勢に配置されることに連動して、前記第2回動位置P3へと移動される。これにより、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号が前記オフ状態から前記オン状態に切り替わる(時間T8)。制御部5は、第2センサー483の受光部483Bから出力される電気信号の前記オフ状態から前記オン状態への切り替わりを検出すると、時間T7がシートの先端の前記通過タイミングであると判断して(ステップS2のYes側)、3度目の前記送出タイミング設定処理を終了する。その後、制御部5は、時間T7から前記待機時間が経過するタイミングでレジストローラー45を回転させて、2枚目のシートを転写位置P1に送出する。
搬送路40Aを搬送される3枚目のシートの先端が回転部481の回転子481Bと接触して回転子481Bが回動されると、回転子481Bの回動に連動して被検出子481Cが第1回動位置P2から移動される。これにより、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が前記オン状態から前記オフ状態に切り替わる(時間T9)。制御部5は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号の前記オン状態から前記オフ状態への切り替わりを検出すると、4度目の前記送出タイミング設定処理を実行して、時間T9からの経過時間を計測する(ステップS1)。
その後、制御部5は、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号が前記オン状態から前記オフ状態に切り替わる度に、前記送出タイミング設定処理を実行する。
このように、前記送出タイミング設定処理では、第1センサー482及び第2センサー483それぞれの検出結果に基づいて、第1センサー482の受光部482Bから出力される電気信号の前記オン状態から前記オフ状態への切り替わりタイミングがシートの先端の前記通過タイミングであるか否かが判定される。これにより、シートの後端の通過により被検出子481Cが第2回動位置P3から第1回動位置P2へと移動されて、移動の勢いにより被検出子481Cが第1回動位置P2でバウンドを起こす場合であっても、前記バウンドによる第1センサー482の出力信号の変化タイミングが次に搬送されるシートの先端の前記通過タイミングとして誤って検出されることが回避される。従って、画像形成装置10では、シートの先端の通過の検出精度を向上させることが可能である。
また、画像形成装置10では、前記送出タイミング設定処理によって設定された前記送出タイミングでレジストローラー45の回転が制御される。これにより、シートの先端の前記通過タイミングが誤検出されることによる画像品質の低下が抑制される。
なお、通過検出部48は給紙部4A又は排紙部4Cに設けられてもよい。この場合、通過検出部48を備える給紙部4A又は排紙部4C及び制御部5が、本発明におけるシート搬送装置の他の一例である。
また、制御部5の判定処理部52により判定されるシートの先端の前記通過タイミングは、レジストローラー45の回転制御以外の用途に用いられるものであってよい。例えば、判定処理部52による判定結果に基づいて、ピックアップローラー42によるシートの搬送タイミングが制御されてもよい。