JP6309833B2 - 炭化珪素除去装置 - Google Patents

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本発明は、炭化珪素除去装置に関し、詳しくは、各種部材の表面に炭化珪素膜を形成する炭化珪素成膜装置の構成部材に付着した炭化珪素を除去するための炭化珪素除去装置に関する。
珪素と炭素とからなる炭化珪素は、重要なセラミックス材料として多方面で使用されている。特に、半導体としての性質を有し、低消費電力で、高温で動作する素子を得られることから、例えば、自動車用電子部品の基幹材料として期待されている。炭化珪素成膜装置で部品の表面に前記炭化珪素の膜を形成する際には、炭化珪素成膜装置の構成部材の一つである処理容器(反応容器)の内壁にも炭化珪素が堆積する。堆積した炭化珪素は、パーティクルの発生源となり、形成した炭化珪素膜の品質を低下させるおそれがあった。このため、定期的なクリーニングによって処理容器の内壁に堆積した炭化珪素(堆積層)を除去する必要があった。炭化珪素を除去する方法は、従来から様々な手法が提案されている。
例えば、炭化珪素成膜装置内の構成部材に炭化タンタルを使用したり(例えば、特許文献1,2参照。)、処理容器に付着した炭化珪素を三フッ化塩素ガスで除去したり(例えば、特許文献3参照。)、酸素含有ガスを用いて炭化珪素に含まれる炭素を除去したり(例えば、特許文献4参照。)、リモートプラズマを用いてクリーニングを行ったり(例えば、特許文献5,6参照。)、リモートプラズマとフッ素含有ガス及び酸素含有ガスとを併用したり(例えば、特許文献7参照。)することなどが提案されている。
また、クリーニングの終点を検出する方法としては、発光モニターを使用した方法があり、例えば、クリーニングの進行に伴って減少するラジカルの発光強度Dと、増加するラジカルの発光強度Iとの比D/Iを求め、その時間変化から終点の検出を行うことが提案されている(例えば、特許文献8参照。)。さらに、堆積層の厚さを計測して終点を検出する方法も知られている(例えば、特許文献9参照。)。
特開2013−23399号公報 特許第4139306号公報 特開2005−129724号公報 特開2009−117399号公報 特開2002−280376号公報 特許第3693798号公報 特開2012−182373号公報 特開2006−86325号公報 特表2008−536306号公報
一般に、前記特許文献1,2に記載されているように、炭化珪素成膜装置の各構成部材には、炭化珪素成膜プロセスでの高温で昇華しにくい炭化タンタルが使用されていることから、成膜プロセスでは、炭化タンタル上に炭化珪素の堆積物が付着することになる。前記特許文献3〜7に記載されているように、構成部材に堆積した炭化珪素は、フッ素含有ガスと酸素含有ガスとで除去することができるが、構成部材を形成する炭化タンタルは、フッ素含有ガスと反応して揮発性の高いフッ化タンタルを形成し、酸素含有ガスとも反応して酸化タンタルを形成する。このため、炭化タンタル製の構成部材にダメージを与えてしまうという問題がある。したがって、前記特許文献3〜7に記載の方法では、炭化タンタル部材上の炭化珪素のみを選択的に除去することができなかった。
さらに、フッ素含有ガスは、腐食性が非常に高く、装置内の配管やチャンバなどを構成する金属を腐食し、腐食によって生成した物質が装置構成部材に付着する。付着した物質は、成膜プロセス中に炭化珪素膜中に取り込まれ、デバイス不良の原因となる。したがって、フッ素含有ガスを用いないクリーニング手法の開発が望まれている。
また、炭化珪素の除去ができたか否かの判断、すなわち、クリーニングの終了を的確に判断することができない技術では、クリーニング時間が必要以上に長くなり、クリーニング用ガスが無駄に消費されるだけでなく、クリーニング用チャンバーがクリーニング用ガスによって損傷するおそれもあった。
そこで本発明は、炭化珪素成膜装置の構成部材にダメージを与えることなく、構成部材に付着した炭化珪素のみを除去することができる炭化珪素除去装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の炭化珪素除去装置は、炭化珪素成膜装置を構成する部材に付着した炭化珪素を除去する炭化珪素除去装置であって、炭化珪素が付着した処理対象部材を収容する処理チャンバと、該処理チャンバ内に、Cl,HCl,CH(4−y)Cl(式中、yは1〜4の整数)の少なくとも一種を含む塩素含有ガスを供給する塩素含有ガス供給手段及びH、NHの少なくとも一種を含む水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給手段と、前記処理対象部材を加熱するための加熱手段と、前記処理チャンバ内のガスを排出してチャンバ内を減圧するためのポンプと、前記処理チャンバから排出したガスの成分分析を行うガス分析手段と、該ガス分析手段の分析結果に基づいて前記塩素含有ガス供給手段及び前記水素含有ガス供給手段の供給状態を制御する制御手段とを備えていることを特徴としている。
さらに、本発明の炭化珪素除去装置における前記制御手段は、前記塩素含有ガス供給手段からのガス供給及び前記水素含有ガス供給手段からのガス供給を交互に行うこと、前記ガス分析手段は、前記塩素含有ガス供給手段から塩素含有ガスを供給しているときにはSiClの濃度を分析し、前記水素含有ガス供給手段から水素含有ガスを供給しているときにはCHの濃度を分析することを特徴としている。
また、前記制御手段は、前記ガス分析手段が分析したSiClの濃度があらかじめ設定された塩素含有ガス切替濃度以下になったときに、前記処理チャンバに供給するガスを塩素含有ガスから水素含有ガスに切り替え、前記ガス分析手段が分析したCHの濃度があらかじめ設定された水素含有ガス切替濃度以下になったときに、前記処理チャンバに供給するガスを水素含有ガスから塩素含有ガスに切り替えることを特徴とし、さらに、前記制御手段は、前記ガス分析手段が分析したSiClの濃度又はCHの濃度があらかじめ設定された処理終了濃度以下になったときに、炭化珪素の除去処理を終了することを特徴としている。また、前記処理対象部材は、炭化タンタルからなる部材又は黒鉛基材に炭化タンタルを被覆した部材であること、前記加熱手段は、前記処理対象部材を1200〜1600℃に加熱すること、前記処理チャンバ内の圧力を13.33〜1333Paに減圧することを特徴としている。
本発明の炭化珪素除去装置によれば、加熱手段で加熱するとともにポンプで減圧した処理チャンバ内に処理対象部材を収容した状態で、塩素含有ガス及び水素含有ガスを使用して炭化珪素を除去するので、処理チャンバや配管に損傷を与えることなく、炭化珪素成膜装置の構成部材である処理対象部材に堆積した炭化珪素のみを除去することができる。
本発明の炭化珪素除去装置の一形態例を示す説明図である。 本発明の炭化珪素除去装置における炭化珪素除去処理手順の一例を示すフローチャートである。 炭化珪素除去処理中に処理チャンバから排出したガス中に含まれるSiCl濃度及びCH濃度の変化状態の一例を示す図である。
図1は、本発明の炭化珪素除去装置の一形態例を示すものである。この炭化珪素除去装置11は、炭化珪素が付着した処理対象部材12を収容する処理チャンバ13と、該処理チャンバ13内に塩素含有ガスを供給する塩素含有ガス供給手段14と、水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給手段15と、前記処理対象部材12を加熱するための加熱手段16と、前記処理チャンバ13内のガスを排出して処理チャンバ13内を減圧するための真空ドライポンプ17と、前記処理チャンバ13から真空ドライポンプ17で排出したガスの成分分析を行うガス分析手段18と、該ガス分析手段18の分析結果に基づいて塩素含有ガス供給手段14及び水素含有ガス供給手段15のガス供給状態を制御するとともに、前記加熱手段の加熱状態を制御する制御手段19とを備えている。
処理チャンバ13の内部には、複数の処理対象部材12を設置するための棚状部材21が設けられている。この棚状部材21を含む処理チャンバ13は、高温に加熱された状態で前記塩素含有ガス及び前記水素含有ガスとは反応しない材料で形成されている。このような材料として、具体的には、炭化タンタルや炭化タンタル被覆黒鉛を挙げることができ、耐熱性を有する材料の表面にこれらを被覆したものでもよい。また、処理中に高温に加熱されない部分には、石英などを使用することもできる。
塩素含有ガス供給手段14から供給する塩素含有ガスは、塩素を含んでいる各種ガスを、必要に応じて混合して使用することができるが、通常は、Cl,HCl,CH(4−y)Cl(式中、yは1〜4の整数)の少なくとも一種を含む塩素含有ガスを使用すればよく、汎用性などを考慮すると、Cl又はHClが最適である。これらの塩素含有ガスは、処理対象部材12に付着している炭化珪素と反応し、主としてSiClを生成する。
また、水素含有ガス供給手段15から供給する水素含有ガスは、HClを除いて、水素を含んでいる各種ガスを、必要に応じて混合して使用することができるが、通常は、H、NHの少なくとも一種を含む水素含有ガスを使用すればよい。これらの水素含有ガスは、処理対象部材12に付着している炭化珪素と反応し、主としてCHを生成する。
生成したSiCl及びCHを含むガスは、真空ドライポンプ17で吸引して処理チャンバ13内から排出することができる。これにより、処理対象部材12に付着している炭化珪素を、塩素含有ガスと水素含有ガスとによってSiCl及びCHにそれぞれ変換して処理対象部材12から除去することができる。
塩素含有ガスと水素含有ガスとは、両ガスを同時に処理チャンバ13内に供給すると、炭化珪素と反応する前に両ガス同士が互いに反応して炭化珪素除去能力が失われてしまうことがあるため、HClとHとの組み合わせのように、互いに反応しにくい組み合わせの場合を除いて、基本的に両ガスを交互に処理チャンバ13内に供給する。また、塩素含有ガス及び水素含有ガスは、Ar,N,Heなどの不活性ガスで希釈して供給することができ、希釈時の塩素含有ガス濃度、水素含有ガス濃度は、各ガスの種類によって適宜設定できるが、50%以上の濃度が好ましい。さらに、供給するガス種を切り替える際に、Ar,N,Heなどの不活性ガスを供給して処理チャンバ13内のガス置換を行うようにしてもよく、処理後にはチャンバ13内に残留した塩素含有ガスと水素含有ガスを不活性ガスでパージすることが好ましい。
炭化珪素の除去処理を行う際の処理対象部材12の温度は、1200〜1600℃の範囲に設定することが好ましい。1200℃未満の温度では、処理対象部材12に付着している炭素成分と水素含有ガスとの反応が十分に進まず、炭素成分の除去効率が低下し、処理時間が長くなることがある。一方、1600℃を超える温度では、処理チャンバ13を構成する材料が塩素含有ガスによって損傷を受けることがあり、また、処理対象部材12が損傷を受けることもある。
炭化珪素の除去処理を行う際の処理チャンバ13内の圧力は、13.33〜1333Paの範囲の減圧状態に設定することが好ましい。処理チャンバ13内の圧力をこの範囲に設定することにより、大気圧の場合と比較して平均自由工程が1000〜10000倍になり、均一な処理が可能となる。圧力を13.33Pa未満にするとガス分子の数が減って衝突頻度が低くなるため、塩素含有ガス及び水素含有ガスによる炭化珪素の除去効率が低下することがある。一方、1333Paを超える圧力では、塩素含有ガス及び水素含有ガスのパージ不足が発生したり、均一な処理が行えなくなったりすることがあり、また、処理チャンバ13へのダメージが大きくなり、金属汚染が発生するおそれがある。
炭化珪素成膜装置の構成部材には、成膜装置内や大気中に含まれる微量の金属が表面に付着する。付着する金属成分としては、Na,Al,Caなどの軽金属、Cr,Fe,Niなどの重金属が挙げられる。これらの付着金属は、炭化珪素の除去処理を行っている際に、塩素含有ガスと反応させて揮発性の高い金属塩化物に変換し、処理チャンバ13内から排出することができる。これにより、堆積した炭化珪素の除去と同時に、処理対象部材12に付着した微量金属も除去することができる。
炭化珪素除去処理中の塩素含有ガスと水素含有ガスとの切替タイミングの判定及び処理終了の判定は、ガス分析手段18で反応生成物の濃度変化を監視することによって行うことができる。すなわち、図2に示すように、処理チャンバ13内に、処理対象部材12である炭化珪素が付着した炭化珪素成膜装置の構成部材を収容し(ステップ51)、真空ドライポンプ17を作動させて処理チャンバ13内の圧力をあらかじめ設定された圧力に減圧するとともに、加熱手段16を作動させて処理対象部材12の温度をあらかじめ設定された温度に加熱する。
所定圧力、所定温度に到達した後、塩素含有ガス供給手段14から塩素含有ガスをあらかじめ設定された流量で処理チャンバ13内に供給する。これにより、炭化珪素中の珪素が塩素含有ガス中の塩素と反応してガス状のSiClが生成し、生成したSiClを含むガスが真空ドライポンプ17により処理チャンバ13から排出される。排出されたガス中に含まれるSiClは、ガス分析手段18にて分析される(ステップ52)。
ガス分析手段18で分析したSiClの濃度を、SiCl濃度の閾値(塩素含有ガス切替濃度)と比較し(ステップ53)、SiClの濃度が所定の閾値以下になるまでステップ52,53を繰り返す。SiCl濃度の閾値は、あらかじめサイクル毎に複数段階のSiCl濃度を設定しておくこともできるが、ステップ52,53を開始後の最高濃度に対する比率で設定することが好ましい。例えば最高濃度の1/10といった適宜な比率に設定しておき、SiClの最高濃度が10ppmの場合は、SiCl濃度1ppmを閾値に設定すればよい。
ステップ53でSiClの濃度が所定の閾値以下に低下したと判断したら、塩素含有ガスの供給を停止し、必要に応じて処理チャンバ13内を不活性ガスでパージした後、水素含有ガス供給手段15から水素含有ガスをあらかじめ設定された流量で処理チャンバ13内に供給する。これにより、炭化珪素中の炭素が水素含有ガス中の水素と反応してガス状のCHが生成し、生成したCHを含むガスが真空ドライポンプ17により処理チャンバ13から排出される。排出されたガス中に含まれるCHは、ガス分析手段18にて分析される(ステップ54)。
ガス分析手段18で分析したCHの濃度を、CH濃度の閾値(水素含有ガス切替濃度)と比較し(ステップ55)、CHの濃度が所定の閾値以下になるまでステップ54,55を繰り返す。CH濃度の閾値は、前記SiClと同様に、あらかじめサイクル毎に複数段階のCH濃度を設定しておくこともできるが、ステップ54,55を開始後の最高濃度に対する比率で設定することが好ましい。例えば最高濃度の1/10といった適宜な比率に設定しておき、CHの最高濃度が10ppmの場合は、CH濃度1ppmを閾値に設定すればよい。
ステップ55でCHの濃度が所定の閾値以下に低下したと判断したら、ステップ52に戻って塩素含有ガスによる炭化珪素の除去処理から以下のステップを数サイクル繰り返す。一方、SiCl濃度やCH濃度に、前記閾値とは別の最終閾値をそれぞれ設定しておき、分析したSiClの最高濃度やCHの最高濃度が最終閾値以下、好ましくは2〜3サイクル連続して所定の最終閾値以下、あるいは測定限界以下になったら、処理対象部材12の炭化珪素除去処理を終了する。処理終了後は、不活性ガスによる処理チャンバ13内のパージを行い、大気圧に戻すとともに、処理対象物12の温度を常温まで低下させ、処理後の処理対象物12を処理チャンバ13内から取り出す。
図3は、塩素含有ガスにHClを、水素含有ガスにNHをそれぞれ使用し、図2で示した手順で炭化珪素除去処理を行っているときのHCl及びNHの供給状態と、SiCl及びCHの濃度変化の状態との一例を示している。
まず、1回目のサイクルでHClを供給すると、反応の進行に伴ってSiClの濃度が次第に上昇し、最高濃度の8.5ppmに上昇した後、SiClの濃度は次第に低下する。SiClの濃度が最高濃度の1/10の0.85ppmまで低下したら、供給するガスをHClからNHに切り替える。NHの供給による反応の進行に伴い、CHの濃度が上昇して最高濃度の8.1ppmになった後、CHの濃度が0.8ppmに低下したときに供給するガスをNHからHClに切り替える。
2回目のサイクルでHClを供給したときのSiClの最高濃度は3.5ppmであるから、SiClの濃度が0.35ppmに低下したらNHの供給に切り替える。NH供給中のCHの最高濃度が0.8ppmであるからCHの濃度が最高濃度の約1/10の0.1ppmに低下したら、HClに切り替えて3回目のサイクルに入る。3回目のサイクルでHCl供給時のSiClの最高濃度が0.5ppmであるから、SiClの濃度が0.1ppm以下になったらNHの供給に切り替える。NH供給時のCHの最高濃度が0.3ppmであり、この3回目のサイクルでSiCl及びCHの濃度が十分に低下したと判断し、必要に応じて同様のサイクルを1回乃至数回繰り返してSiCl及びCHの濃度が上昇しないことを確認して処理を終了する。なお、処理終了の確認は、SiCl及びCHの両者の濃度を最終閾値と比較して行ってもよいが、化学的に安定なCHの濃度を最終判定用として用いることが好ましい。
テストピースとして、黒鉛基材の表面を20μmの炭化タンタルで被覆し、さらに、炭化タンタルの表面に炭化珪素を20μm堆積させたものを使用した。このテストピースを処理チャンバ内に収容した状態で、圧力を133Pa、温度を1200℃に設定し、塩素含有ガスとしてHClを、水素含有ガスとしてNHをそれぞれ使用した。各ガスの供給量は、100sccmに設定した。
前述の図2に示す手順で供給ガスを切り替えながら炭化珪素の除去処理を行った。供給ガスの切り替えは、前述の図3に示したように、分析したSiCl及びCHの濃度が最高濃度の1/10に低下した時点で行った。3回のサイクルで処理を終了し、テストピースの炭化珪素及び炭化タンタルの膜厚をそれぞれ測定した。その結果、炭化珪素の膜は完全に除去されていたのに対し、炭化タンタルの膜厚は20μmであり、炭化タンタルの膜厚は変化していないことがわかった。また、表面のFe量を測定したが、Feの残留は認められなかった。
比較例として、前記特許文献7に基づいて、100sccmのNFと、100sccmのOとの混合ガスのプラズマにテストピースを18分暴露したときの炭化珪素及び炭化タンタルの膜厚をそれぞれ測定した。その結果、炭化珪素の膜は完全に除去されていたが、炭化タンタルの膜厚が12.5μm減少していた。また、表面には大量のFeが残留していた。
塩素含有ガスとしてClを、水素含有ガスとしてHをそれぞれ使用した以外は実施例1と同様に操作を行った。その結果、実施例1と同様に、炭化珪素の膜は完全に除去されていたのに対し、炭化タンタルの膜厚は変化していなかった。また、Feの残留も認められなかった。
塩素含有ガスとしてCHClを、水素含有ガスとしてHをそれぞれ使用した以外は実施例1と同様に操作を行った。その結果、実施例1と同様に、炭化珪素の膜は完全に除去されていたのに対し、炭化タンタルの膜厚は変化していなかった。また、Feの残留も認められなかった。
温度を1000℃に設定した以外は実施例1と同様に操作を行った。その結果、実施例1と同じ処理時間では、炭化珪素の膜は5.3μmだけしか除去できず、温度が低いと炭化珪素の膜の除去に長時間を要することがわかる。炭化タンタルの膜厚は変化しておらず、Feの残留は認められなかった。
温度を1800℃に設定した以外は実施例1と同様に操作を行った。その結果、炭化珪素の膜は完全に除去されていたが、炭化タンタルの膜厚が6.4μm減少していた。また、Feが残留していることも認められた。したがって、温度が高い場合は、炭化タンタルがダメージを受けるおそれがあり、金属汚染が発生するおそれあることもわかった。
圧力を1.333Paに設定した以外は実施例1と同様に操作を行った。その結果、実施例1と同じ処理時間では、炭化珪素の膜は8.1μmだけしか除去できず、圧力が低いと炭化珪素の膜の除去に長時間を要することがわかる。炭化タンタルの膜厚は変化しておらず、Feの残留も認められなかった。
圧力を13333Paに設定した以外は実施例1と同様に操作を行った。その結果、炭化珪素の膜は2μm程度残留しており、完全に除去することはできなかった。炭化タンタルの膜厚は変化していなかったが、Feの残留が認められた。したがって、圧力が高い場合は、炭化珪素の膜の除去に長時間を要すること、金属汚染が発生するおそれあることがわかった。
実施例1において、供給ガスを切り替える際に、100sccmのArにより処理チャンバ内をパージする操作を行った。これ以外は実施例1と同様に操作を行った後、真空ドライポンプの吐出側の状態を観察したが、付着物はまったく確認できなかった。これに対し、実施例1の除去処理操作を行った後に真空ドライポンプの吐出側の状態を観察したところ、HClとNHとの反応生成物であるNHClの白色残渣が僅かに確認できた。したがって、供給ガス切替時に不活性ガスパージを行うことにより、塩素含有ガスと水素含有ガスの反応を抑制することができ、反応生成物による装置の汚染を抑制できることがわかる。
11…炭化珪素除去装置、12…処理対象部材、13…処理チャンバ、14…塩素含有ガス供給手段、15…水素含有ガス供給手段、16…加熱手段、17…真空ドライポンプ、18…ガス分析手段、19…制御手段、21…棚状部材

Claims (7)

  1. 炭化珪素成膜装置を構成する部材に付着した炭化珪素を除去する炭化珪素除去装置であって、炭化珪素が付着した処理対象部材を収容する処理チャンバと、該処理チャンバ内に、Cl,HCl,CH(4−y)Cl(式中、yは1〜4の整数)の少なくとも一種を含む塩素含有ガスを供給する塩素含有ガス供給手段及びH、NH 少なくとも一種を含む水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給手段と、前記処理対象部材を加熱するための加熱手段と、前記処理チャンバ内のガスを排出してチャンバ内を減圧するためのポンプと、前記処理チャンバから排出したガスの成分分析を行うガス分析手段と、該ガス分析手段の分析結果に基づいて前記塩素含有ガス供給手段及び前記水素含有ガス供給手段の供給状態を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする炭化珪素除去装置。
  2. 前記制御手段は、前記塩素含有ガス供給手段からのガス供給及び前記水素含有ガス供給手段からのガス供給を交互に行うことを特徴とする請求項1記載の炭化珪素除去装置。
  3. 前記ガス分析手段は、前記塩素含有ガス供給手段から塩素含有ガスを供給しているときにはSiClの濃度を分析し、前記水素含有ガス供給手段から水素含有ガスを供給しているときにはCHの濃度を分析することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素除去装置。
  4. 前記制御手段は、前記ガス分析手段が分析したSiClの濃度があらかじめ設定された塩素含有ガス切替濃度以下になったときに、前記処理チャンバに供給するガスを塩素含有ガスから水素含有ガスに切り替え、前記ガス分析手段が分析したCHの濃度があらかじめ設定された水素含有ガス切替濃度以下になったときに、前記処理チャンバに供給するガスを水素含有ガスから塩素含有ガスに切り替えることを特徴とする請求項3記載の炭化珪素除去装置。
  5. 前記制御手段は、前記ガス分析手段が分析したSiClの濃度又はCHの濃度があらかじめ設定された処理終了濃度以下になったときに、炭化珪素の除去処理を終了することを特徴とする請求項3又は4記載の炭化珪素除去装置。
  6. 前記処理対象部材は、炭化タンタルからなる部材又は黒鉛基材に炭化タンタルを被覆した部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の炭化珪素除去装置。
  7. 前記加熱手段は、前記処理対象部材を1200〜1600℃に加熱することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の炭化珪素除去装置。
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