JP6307168B2 - 巻線切替モータ駆動装置、巻線切替モータの駆動制御方法、及びそれらを用いた冷凍空調機器 - Google Patents

巻線切替モータ駆動装置、巻線切替モータの駆動制御方法、及びそれらを用いた冷凍空調機器 Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石同期モータを可変速駆動する巻線切替モータ駆動装置と、巻線切替モータ(永久磁石同期モータ)の駆動制御方法、及びそれらを用いた冷凍空調機器に関する。
永久磁石同期モータ(適宜、単に「モータ」とも表記する)は、誘導モータに比べて高効率な特性を有するため、家電製品から産業機器あるいは電動車両分野へと適用範囲が広がっている。
また、前記モータを搭載した機器は、地球温暖化防止や省エネルギー化の動向に伴い、低中速域(軽負荷)の高効率化が求められている。それとともに、機器の使用感(快適性)を向上させるために高速領域(高負荷)における駆動範囲の拡大も求められている。
例えば,家電製品のルームエアコンの場合,省エネルギーの指標である通年エネルギー消費効率(Annual Performance Factor、以下「APF」と適宜、表記する)の向上及び,高出力化の指標である外気温2℃での暖房能力(以下「低温暖房能力」と表記する)の向上の両立が求められている。
また、電気自動車等の主機では、低速大トルク、高速小トルクの運転状態となり、この運転条件においての高効率化が要求される。
これらの要望、要求に対して以下の技術がある。
モータ駆動装置による(特に低中速域における)高効率化の手段としては、磁石量及び巻線量を増加させることによるモータの低速設計化がある。

また、低速設計されたモータの高速駆動領域を拡大する手段として、モータ駆動装置における直流電圧を昇圧する方式がある。
また、特許文献1には、エアコンの負荷、つまり室温が設定温度に近く安定している状態でモータを停止させて機械式スイッチでモータの巻線を切替える技術が記載されている。
また、特許文献1に関連して、モータを停止した際の差圧を持った圧縮機の再起動手段の関連技術として、特許文献2、3、4がある。
特許文献2には、スクロール圧縮機において、停止時に圧縮機を逆転させて差圧を低減する技術が記載されている。
また、特許文献3には、レシプロ圧縮機において、同期運転中(オープンループ制御時)のモータ電流値から圧縮機の負荷を推定してセンサレス運転時の電流指令値として使用する技術が記載されている。
また、特許文献4には、パルスを印加したときの端子電圧を検出することで、モータが停止中でもロータの位置を検出することができることを応用して、同期運転を用いない方式の技術が記載されている。
また、特許文献5には、コイルを直列と並列とに可変な永久磁石同期モータを備え、室内機の設定温度と室内温度との偏差によって前記モータのコイルの接続を選択する空気調和機の技術が記載されている。
特開2008-178207号公報 特開2004-011473号公報 特開2012-249355号公報 特開2013-055744号公報 特許第5501132号明細書
しかしながら、前記した永久磁石同期モータの磁石量及び巻線量を増加させるモータの低速設計化方法は、高速域で発生する誘起電圧が増大するため、駆動可能領域が狭くなり、高速域での効率が大幅に低下するという問題がある。
また、前記した単にモータ駆動装置の直流電圧を昇圧する方式は、直流電圧を昇圧するための回路が追加となり、回路規模の増加や昇圧回路等の損失の増加が問題となる。
また、特許文献1に開示されたモータの巻線を直列接続と並列接続を切替える技術は、モータの巻線を切替えるタイミング(切替条件)が限定されるという問題がある。また、再起動時に圧縮機の差圧(吐出圧力と吸込圧力の差)が大きいとモータにかかる負荷トルクが大きくなり、モータを起動できなくなる可能性があるため、圧縮機の差圧が低くなるまで圧縮機を停止させる必要があり、巻線切替時の停止時間も長くなるという問題がある。また、環境条件によっては、停止時間に室温が大きく変化して使用者を不快にするという問題がある。
また、特許文献2に開示された圧縮機の差圧を無くすことで再起動を確実にする技術は、圧縮機の差圧を無くすことは、エアコンシステムとして考えると、エネルギーの無駄となるという問題がある。すなわち、停止前のエアコンの能力を確保するためには、再度、停止前の差圧まで上げる必要があり、その分エネルギーを無駄に使うことになる。さらに、差圧が停止前の値に戻るまではエアコンの出力も低下しているので室温の安定した制御ができなくなり、不快感を与えるという問題がある。
また、特許文献3に開示された技術は、起動時の同期運転中に負荷を推定しているので、同期運転が安定してないと適用できないという問題がある。換言すれば、確実に起動するために同期運転中は駆動回路の最大電流で起動するため、差圧の状態(差圧が小さい場合)によっては過トルクとなることがあり、起動安定性に関しては問題がある。
また、特許文献4に開示された技術は、起動時の初期電流値の設定によっては急加速したり加速が遅くなったりする可能性がある。すなわち所望の加速レートで制御ができないという問題がある。
また、特許文献5に開示された技術は、モータを直列(並列)から並列(直列)に切り替える際の停止時間が比較的長く、その停止期間における空気調和機の過渡的な特性変化が問題となる可能性がある。
そこで、本発明の課題は、低中速域の高効率化と高速域の駆動範囲の拡大の両立を達成するとともに、圧縮機の差圧を維持したまま短時間で安定的に再起動するモータ駆動装置、その駆動制御方法、並びにそれらを用いた冷凍空調機器を提供することである。
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の巻線切替モータ駆動装置は、永久磁石同期モータを駆動するモータ駆動回路と、前記永久磁石同期モータの巻線の結線を切替える巻線切替回路と、前記モータ駆動回路と前記巻線切替回路を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路により制御されることによって前記モータ駆動回路は、前記永久磁石同期モータの再起動後の通電方式として、120度通電方式と180度通電方式の2種類の通電方式を有し、前記制御回路の制御によって前記モータ駆動回路が前記永久磁石同期モータを停止させ、前記制御回路の制御によって前記巻線切替回路が前記永久磁石同期モータの巻線の結線を切替え、前記制御回路の制御によって前記モータ駆動回路が前記永久磁石同期モータの再起動を行う際に、前記制御回路が前記永久磁石同期モータの前記2種類の通電方式の切替え後のモータ電流初期値を前記停止前のモータ電流初期値、または前記通電方式の切替え前のモータ出力トルクと同一もしくはそれ以上とするモータ電流初期値に設定する。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、低中速域の高効率化と高速域の駆動範囲の拡大の両立を達成するとともに、圧縮機の差圧を維持したまま短時間で安定的に再起動するモータ駆動装置、その駆動制御方法、並びにそれらを用いた冷凍空調機器を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の構成例と、巻線切替モータ駆動装置が駆動制御するモータと、モータが駆動する圧縮機の全体の構成、関連を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置のモータ駆動回路の構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の巻線切替回路の内部の構成例と、モータの各巻線との接続関係、およびモータ駆動回路の接続端子との接続関係を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の巻線切替回路によって、モータの巻き線が切り替わった状態を示す図であり、(a)は各相の巻線が直列接続の状態を示し、(b)は各相のそれぞれの巻線が並列になった状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の制御回路の処理の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の制御回路のIq設定処理の内部における処理の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の制御回路のIq設定処理の動作例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の制御回路のId設定処理の動作例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の制御回路の通電方式切替判定処理の動作例を示すフローチャートである。 モータの誘起電圧と120度通電時の位相モードとの関係を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の起動方法である巻線切替モータの駆動制御方法の例と各波形例について説明する図である。 図11で説明した再起動の方法を適用した場合の実際のモータ電流波形例を示した図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置を空調機の圧縮機駆動装置として適用したときの空調機と圧縮機の特性例を示す図である。 エアコンの構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置を空調機の圧縮機駆動装置として適用したときの回転速度に対するモータとインバータの総合効率の例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置を空調機の圧縮機駆動装置として適用したときのモータの回転速度−トルク特性の概要を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置のモータ駆動回路の構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータの巻線が切り替わる構造・状態を示す図であり、(a)は各相がそれぞれ3つの巻線を直列に接続してY結線としたものであり、(b)は各相のひとつずつの巻線でY結線とし、3つのY結線を並列に接続したものである。 本発明の第2実施形態における起動時の起動方法の例と波形例を示す図である。 本発明の第2実施形態における回転速度に対するモータとインバータの総合効率の例を示す図である。 本発明の第2実施形態におけるモータの回転速度−トルク特性の概要を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置の構成例と、モータと、圧縮機との全体の構成、関連を示す図である。 120度通電方式のモータの駆動方法、モータ誘起電圧、モータ電流の関係を示す図である。 180度通電方式のモータの駆動方法、モータ誘起電圧、モータ電流の関係を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置における通電方式と巻線状態に対応した演算式を示す図である。 本発明のその他の実施形態として、U相における3段階の直並列巻線切替方法を説明する図であり、(a)はU1〜U4の巻線が直列に接続され、(b)はU1、U2およびU3、U4がそれぞれ並列に接続され、(c)はU1〜U4の巻線がすべて並列に接続されていることを示している。 比較例の起動法を説明する図である。 比較例を用いた場合の空調機の能力と圧縮機の吐出圧力、吸込圧力の関係を示す図である。
以下に、本願の発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称す)を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態:巻線切替モータ駆動装置)
本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置(100)を図1〜図13を参照して説明する。また、巻線切替モータの駆動制御方法の説明を兼ねる。
なお、後記するように、巻線切替モータ駆動装置100(図1)の巻線切替回路2(図1)によって、モータ3(図1)の各相の巻線を直列と並列に切り替える。
ちなみに、低速の回転速度(単位時間あたりの回転数)の場合には、モータ3(図1)の各相において、2つの巻線の結線を直列(U相では、U1、U2:図4の(a))にする。
また、高速の回転速度の場合には、モータ3の各相において、2つの巻線の結線を並列(図4の(b))にする。
その理由は、低速の回転速度の場合には、巻線における誘起電圧(逆起電力)が少ないので、巻線の結線を直列接続にした方が高い電圧がかけられ、モータ効率がよい。これに対して、高速の回転速度の場合には、巻線における誘起電圧が大きくなるので、その影響を小さくするため巻線の結線を並列にした方が、モータ効率がよいことによる。
また、巻線の結線を直列接続から並列接続に切り替える時機は、巻線における誘起電圧が巻線の端子電圧を超える飽和状態であることが望ましい。
また、モータ3の巻線を直列から並列に切り替える際には、モータ3を一時、停止する。
≪巻線切替モータ駆動装置の構成≫
以下、具体的な巻線切替モータ駆動装置の構成、及び動作、処理について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置100の構成例と、この巻線切替モータ駆動装置100が駆動制御するモータ(永久磁石同期モータ)3と、このモータ3が駆動する圧縮機5の全体の構成、関連を示す図である。
また、図1において、巻線切替モータ駆動装置100は、モータ駆動回路1と前記モータ3の巻線を直列接続と並列接続を切替える巻線切替回路2と全体を制御する制御回路4とを備えて構成されている。
まず、巻線切替モータ駆動装置100の構成の詳細について説明する。
<モータ駆動回路1>
図2は、モータ駆動回路1の構成例を示す図である。
図2に示すように、モータ駆動回路1は、交流電源(図示せず)を直流に変換する整流回路10と、コンデンサからなる平滑回路11と、前記モータ3(図1)を駆動するインバータ回路12とを備えて構成されている。
すなわち、交流電源の交流電力(電圧)を整流回路10によって、直流電力(電圧)に変換し、平滑回路11によって前記直流電圧(電力)の平滑化と安定化を行い、この直流電力(電圧)をインバータ回路12によって可変周波数の3相(U相、V相、W相)の交流電力(電圧)に変換する。
なお、インバータ回路12は、制御回路4(図1)により、インバータの各素子を駆動するドライブ信号4Cを入力し、この信号に制御されて動作する。
また、モータ駆動回路1は、さらに、モータ3の各相の端子電圧を検出する端子電圧検出回路14と、前記インバータ回路12に流入する直流電流を検出する電流検出回路13と、平滑回路11の両端の直流電圧を検出する直流電圧検出回路15とを備えて構成されている。
ここで、端子電圧検出回路14は、複数の抵抗14Rによる分圧抵抗によって構成され、インバータ回路12の3相出力であるU相、V相、W相の各相の端子電圧を検出して、端子電圧検出値4Dを制御回路4に出力する。
直流電圧検出回路15は、詳細を図示してないが、前記した端子電圧検出回路14と同様に、分圧抵抗で構成され、平滑回路11の両端の直流電圧である直流電圧検出値4Aを制御回路4に出力している。
電流検出回路13は、インバータ回路12に流入する直流電流を検出して直流電流検出値4Bを制御回路4に出力している。
<巻線切替回路2>
次に、巻線切替回路2を、図3と図4を参照して説明する。
図3は、巻線切替回路2の内部の構成例と、モータ3(図1)のU相、V相、W相の各巻線との接続関係、およびモータ駆動回路1(図1)の接続端子U、V、Wとの接続関係を示す図である。
また、図4は、巻線切替回路2によって、モータの巻線が切り替わった状態を示す図であり、(a)は各相の巻線が直列接続の状態を示し、(b)は各相のそれぞれの巻線が並列になった状態を示す図である。
図3において、スイッチ21、22、23、24は、前記制御回路4からの巻線切替信号4Eに従って動作する。
スイッチ21、22、23は、巻線切替信号4Eが並列を指示する信号のときは、図3におけるスイッチ21、22、23の「並列」側に接続される。また、直列を指示する信号のときは、スイッチ21、22、23の「直列」側に接続される。
また、スイッチ24は、巻線切替信号4Eが並列を指示する信号のときは、2つのスイッチが共に接続され、直列を指示する信号のときは、2つのスイッチが共に未接続とされる。
スイッチ21の1接点の固定側の端子(紙面視左側の端子、以下「固定側端子」端子と称す)は、巻線U2の第1端子(1番端子)に接続されている。
また、スイッチ21の2接点の可動側の並列側の端子(紙面視右側の「並列」と表記された端子、以下「可動並列側端子」と称す)は、巻線U1の第1端子(2番端子)に接続され、2接点の可動側の直列側の端子(紙面視右側の「直列」と表記された端子、以下「可動直列側端子」と称す)は、巻線U1の第2端子(3番端子)に接続されている。
スイッチ22の固定側端子は、巻線V2の第1端子(4番端子)に接続されている。
また、スイッチ22の可動並列側端子は、巻線V1の第1端子(5番端子)に接続され、可動直列側端子は、巻線V1の第2端子(6番端子)に接続されている。
スイッチ23の固定側端子は、巻線W2の第1端子(7番端子)に接続されている。
また、スイッチ23の可動並列側端子は、巻線W1の第1端子(8番端子)に接続され、可動直列側端子は、巻線W1の第2端子(9番端子)に接続されている。
スイッチ24の2接点の固定側端子は、巻線W1の第2端子(9番端子)と、スイッチ23の可動直列側端子に接続されている。
また、スイッチ24の2接点の可動並列側端子は、巻線W1の第2端子(6番端子)と、スイッチ22の可動直列側端子に接続されている。
また、スイッチ24の2接点の可動直列側端子は、巻線U1の第2端子(3番端子)と、スイッチ21の可動直列側端子に接続されている。
モータ駆動回路1(図1)の接続端子Uは、巻線U1の第1端子(2番端子)と、スイッチ21の可動並列側端子に接続されている。
モータ駆動回路1の接続端子Vは、巻線V1の第1端子(5番端子)と、スイッチ22の可動並列側端子に接続されている。
モータ駆動回路1の接続端子Wは、巻線W1の第1端子(8番端子)と、スイッチ23の可動並列側端子に接続されている。
また、モータ3の巻線U2、巻線V2、巻線W2のそれぞれの第2端子は、互いに接続されている。
以上の構成によって、前記制御回路4からの巻線切替信号4Eが「直列」の指令をだすと、巻線切替回路2のスイッチ21、22、23とスイッチ24が直列側に位置する。
このとき、図4(a)に示すように、モータ3の巻線U1、U2、巻線V1、V2、巻線W1、W2は、それぞれ直列に接続され、モータ駆動回路1の接続端子U、V、Wとの間にY結線が構成される(直列接続「1Y」)。
また、前記制御回路4からの巻線切替信号4Eが「並列」の指令をだすと、巻線切替回路2のスイッチ21、22、23とスイッチ24が並列側に位置する。
このとき、図4(b)に示すように、モータ3の巻線U1、巻線V1、巻線W1は、モータ駆動回路1の接続端子U、V、Wとの間にY結線が構成される。
また、モータ3の巻線U2、巻線V2、巻線W2は、モータ駆動回路1の接続端子U、V、Wとの間にY結線が構成される。
すなわち、巻線U1、V1、W1によるY結線と、巻線U2、V2、W2によるY結線とが、接続端子U、V、Wとの間に2つのY結線が並列に構成される(並列接続「2Y」)。
なお、巻線U1、U2、V1、V2、W1、W2を有するモータ3と、巻線切替回路2は、9本の配線で接続され、図1、図3においては、これらの9本の配線を符号2Aで表記している。
また、図3において、スイッチ21〜24は、機械式スイッチ(機械的接点、開閉は電気信号による制御)の表記をしているが、半導体スイッチを用いても良い。
<制御回路4の処理:その1>
図5は、第1実施形態の制御回路4の処理の構成例を示すブロック図であるが、何故に、図5に示す処理をするかを理解するために、まず、本発明の第1実施形態の起動方法、および、その関連技術等を先に説明する。
その後、図5の制御回路4の処理ブロック図などの第1実施形態の詳細な方法、技術を説明する。
≪本発明の起動法≫
次に、本発明の起動法について図11を参照して説明する。
図11は、本発明の巻線切替モータ駆動装置の起動方法である巻線切替モータの駆動制御方法の例について説明する図である。なお、図6〜図10については、図5と同様に後で説明する。
図11において、横軸は時間の経緯であり、縦軸には、回転速度指令、電流指令(Id)、電流指令(Iq)、モータ電流(Iu)、通電方式切替信号の各項目が記載されている。
なお、電流指令(Id)は、励磁電流指令であり、電流指令(Iq)は、トルク電流指令である。また、同期モータであるので、界磁磁極(永久磁石)の中心軸をd軸、それと電気的に直角方向をq軸としている。
また、通電方式切替信号は、120度通電(120度通電方式)と180度通電(180度通電方式)の2種類の通電方式を選択して切り替える。
なお、120度通電方式と180度通電方式の詳細については、後記する。
《時間T1以前》
時間(時刻)T1以前は、モータ3(図1)の回転速度を変更するために、モータを停止している。なお、モータ3を停止する以前は、180度通電(180度通電方式)で動作していたものとする。
《時間T1〜T2の区間》
モータ3を適正に再起動するために時間T1〜T2の間(区間)に、モータ(回転子)の位置決めを行う。この位置決めにあたって励磁電流指令である電流指令(Id)をだすことによって行う。
時間T1で起動がかかると、駆動中に算出していた位置決め時の初期設定電流値を励磁電流指令である電流指令(Id)の最終値として設定して徐々に電流値を増加させる(特性線111)。
なお特性線111は、電流指令(Id)が時間T1〜T2において上昇していることを示している。また、電流指令(Id)によって、モータ電流(Iu)も上昇している(特性線112)。
《時間T2〜T3の区間》
時間T2で、位置決め処理が終了し、容易に可変速制御が可能な120度通電方式(120度通電)に切替える。
切替え時には、上記同様、駆動中に算出していた120度通電時の初期設定電流値をトルク電流指令(Iq)に設定する。
時間T2からT3の間は加速するため、後記する速度制御処理によってトルク電流指令(Iq)が増加することで120度通電のモータ電流値も増加する(特性線114)。
なお、特性線114は、トルク電流指令(電流指令Iq)が次第に増加する様子を示している。
また、回転速度指令は時間T2−T3の区間でモータの回転速度を上昇させる指令を出す(特性線113)。
また、特性線115は、T2−T3区間におけるモータ電流(Iu)の電流波形を示している。
なお、120度通電方式(120度通電)では、後記するように駆動波形(ドライブ信号)が矩形波状(図23)であるので、図11においても、モータ電流(Iu)は、矩形波に近い波形である(特性線115)。
また、前記したように、回転速度指令(特性線113)が上昇し、電流指令(Iq)も上昇するので、モータ電流(Iu)の電流波形は、振動する周期が速くなりながら電流の波高値も上昇している(特性線115)。
《時間T3〜T4の区間》
その後、モータ回転速度が、180度通電制御の可能な回転速度になると、時間T3で120度通電から、トルク変動の小さい180度通電に通電方式が切替わる。
このとき、切替わる直前の120度通電時のモータ電流値と巻線仕様から算出した180度通電時の初期設定電流値をトルク電流指令(Iq)に設定する(特性線116のT3における値)。
時間T3〜T4の区間も加速中であるので、速度制御処理によってトルク電流指令(Iq)は増加され、モータ電流(Iu)は、振動する周波数が増加するとともに、電流の波高値も増加する(特性線117)。
《時間T4以降》
時間T4で加速が終了すると圧縮機の負荷と回転速度の状態に応じた所定の電流値に落ち着く。
すなわち、トルク電流指令(Iq)は特性線118となり、モータ電流(Iu)は特性線119で示した周波数と波高値の電流波形となる。
以上の処理を行うことで、巻線切替後の差圧が維持されている状態でも安定的かつ短時間で圧縮機の再起動が可能となる。
前記のように本起動法は、位置決め処理の後に従来(後記する比較例、図27参照)の同期運転処理は行わず、120度通電方式を採用する。
そして、所定の回転速度以上では、120度通電方式から180度通電(ベクトル制御)に切替える。
ここで、180度通電方式を使用するのは、120度通電方式に対して、モータのトルク変動が小さくできること、そして、高速領域での弱め界磁制御(電圧飽和時に励磁電流を負に流して界磁を弱める制御)が可能なためである。
また、本発明の他の特徴は、図11に示すとおり、位置決め処理時の電流値(特性線111)並びに120度通電方式から180度通電方式に切替える時の電流初期値(T3における特性線116の電流値)を可変にすることである。
また、本発明は、巻線切替を行うときにモータを一旦停止させ、差圧を維持した状態で、すぐに安定的に再起動をすることが目的である。
そこで、モータの停止直前のモータ電流値と巻線状態と通電方式から停止直前のモータトルク(負荷トルク)を計算し、このトルクから巻線切替後のモータ電流値を算出し、その値を位置決め電流値の設定値とする。そうすれば、必要なトルク電流は確保されるため、モータトルクの過不足が無くなり安定的な起動が可能となる。
また、120度通電と180度通電の切替時は、通電方式の違いで同一モータ電流でも発生トルクの値が異なるため、通電方式の違いに対する出力トルクの差分を補償してモータ電流を設定することで、切替時のトルク変動が最小にでき、安定的な起動を確保できる。
<実際のモータ電流波形>
図12は、図11で説明した再起動の方法を適用した場合の実際のモータ電流波形例を示した図である。
図12において、横軸は時間の経緯であり、縦軸は電流値である。また、「位置決め」、「120度通電」、「180度通電」の意味は、図11に対応し、「停止中」は図11におけるT1以前の状態に対応している。
また、「加速度中」は、図11におけるT2〜T4の区間の状態に対応している。
図12は、負荷トルク6[Nm]の状態で回転速度指令を1800[rpm]として再起動を行ったときの波形である。
起動(位置決め)から回転速度が安定するまで約1sで到達しており、その間の大きなモータ電流の乱れもない事が分かる。
<空調機と圧縮機の特性>
図13は、第1実施形態の巻線切替モータ駆動装置を空調機の圧縮機駆動装置として適用したときの空調機と圧縮機の特性例を示す図である。
図13において、横軸は時間の経緯であり、縦軸に空調機の能力、圧縮機の吐出圧力、吸込圧力を示している。
本発明の第1実施形態の巻線切替モータ駆動装置は、巻線を切替えるタイミングに制約はなく自由に切り替えが可能であるので、巻線切替後の停止時間(圧縮機停止時間131)を後記する比較例(図28、圧縮機停止時間281)に対して、非常に小さくすることができる。
また、圧縮機停止時間131における空調機の能力134、圧縮機の吐出圧力133、吸込圧力132も後記する比較例(図28、能力284、吐出圧力283、吸込圧力282)に対して、圧縮機停止時間131における低下(変動)を非常に小さく抑えることができる。
≪120度通電方式と180度通電方式について≫
ここで、120度通電方式と180度通電方式の動作原理、効果、特徴に関して簡単に説明する。
<120度通電方式>
まず、120度通電方式について説明する。
図23は、120度通電方式のモータの駆動方法、モータ誘起電圧、モータ電流の関係を示す図である。なお、図14〜図22については、後で説明する。
図23において、横軸は、電気角(あるいは時間の経緯)である。また、縦軸に、モータの誘起電圧(誘起電圧)、モータ端子電圧から検出したロータの磁石位置検出信号(位置検出信号)、インバータのスイッチング素子の駆動信号であるドライブ信号(ドライブ信号)、モータのモータ電流(モータ電流)を示している。
また、前記のモータ端子電圧は、前記した端子電圧検出回路14(図2)の検出信号である端子電圧検出値4Dから得られる。
また、ドライブ信号のU、V、Wは、モータの各相巻線に対応したインバータ回路12(図2)の出力信号を生成する上下のアームのスイッチング素子の制御信号に対応しており、+は上アーム素子、−は下アーム素子を示している。
前記位置検出信号は、モータ誘起電圧の各相の誘起電圧が同位電圧になる点(交差する点)で変化する信号となっている。
また、図23に示ように、位置検出信号が変化する点でインバータのスイッチング素子の通電素子を順次切り替えると、一相(U相、V相、W相のいずれか)に通電される期間は、電気角120度分となり、モータ電流は、概ね矩形波状の電流となる。
120度通電方式は、前記のとおり、モータの端子電圧を基に位置検出信号を作成し、位置検出信号に従ってインバータの通電素子を順次切り替えることで簡単に永久磁石同期モータを駆動できる。
換言すれば、後記する180度通電(ベクトル制御)の様に永久磁石同期モータの定数を必要としないので、容易に永久磁石同期モータの可変速制御が可能である。
ただし、図23に示すように、モータ電流は矩形波状となるため、インバータのスイッチング素子の切替えるタイミングでモータ電流の変動によるトルク変動が生じる。
なお、以上においては、モータの端子電圧から位置検出信号を作成することで説明したが、モータにホール素子等を用いた磁極位置センサが取り付けられるシステムでは、磁極位置センサを用いて位置検出信号を作成してもよい。
<180度通電方式>
次に、180度通電方式について説明する。
図24は、180度通電方式のモータの駆動方法、モータ誘起電圧、モータ電流の関係を示す図である。
図24において、横軸は、電気角(あるいは時間の経緯)である。また、縦軸に、モータの誘起電圧(誘起電圧)、モータ電流からロータの磁石位置をベクトル演算で推定した位相信号(位相信号)、インバータのスイッチング素子の駆動信号であるドライブ信号(ドライブ信号)、モータのモータ電流(モータ電流)を示している。
位相信号は、U相巻線の位置を基準として、d−q座標系の回転位相を示しており、後記する図5の180度通電速度/位置推定処理404で推定している。
具体的には、検出したモータ電流値(d−q座標系)とモータ印加電圧(d−q座標系)から、次に示す式(1)を用いて制御軸と実軸(モータ軸)との誤差である軸誤差を直接演算する。そして、前記軸誤差が0になるように制御軸の速度を調整する。
調整された速度を積分することで位相信号を作成している。
また、位置推定の周期は500μs周期等の高速で演算しているので、位相信号は実質的にリニアで変化する。
Figure 0006307168
ここで、Δθd:軸誤差演算値、Vd*:d軸モータ印加電圧指令値、
Vq*:q軸モータ印加電圧指令値、R:巻線抵抗、
Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス
ω:電気角周波数指令、Id:d軸モータ電流検出値、
Iq:q軸モータ電流検出値
また、ドライブ信号(U+、U−、V+、V−、W+、W−)は、モータ電流が正弦波になるようにPWM(Pulse Width Modulation)制御されるので、図24に示すように細かく分割された信号列(信号)となる。
このように、正弦波が再現されるように細かく分割して駆動することと、モータの巻線(コイル)のインダクタンスが大きいことにより、モータ電流は正弦波状の波形となる。
以上のように、180度通電は、モータ電流を正弦波として制御できるので、モータ出力トルクは、ほぼ一定となりトルク変動が小さい。
また、誘起電圧とモータ電流の位相差も自由に制御できるので、トルク/電流比の最大制御や弱め界磁制御が容易に行える。
ただし、ベクトル演算を行うために、永久磁石同期モータのモータ定数を把握していることが必要であり、また、高速でベクトル演算が行えるマイクロコンピュータ(適宜「マイコン」と表記する)等も必要になる。そのため、制御回路としては120度通電方式に比べて高価となる。
<モータの誘起電圧と120度通電時の位相モードの関係>
次に、モータの誘起電圧と120度通電時の位相モードの関係について、説明する。
図10は、モータの誘起電圧と120度通電時の位相モードとの関係を示す図である。
図10に示すように、120度通電は、電気角60度毎に位相モード(1〜6)を設定し、位相モードに従って、インバータ素子の通電相を決定している。
図10においては、位相モード(モード)1で通電方式を切替える設定しているので、誘起電圧の位相信号が、240度から300度にある時に切替が実行される。
以上の処理を実行することで、通電方式の切替が可能となる。
ここで、位相モードの関連事項について補足説明をする。
位相モードとは、図10に示すように、誘起電圧の位相を電気角60度毎に区切って振り分けて任意に設定したモード(1〜6)である。
換言すれば、図23に示すように、120度通電方式は、電気角60度毎にしかロータの位置が分からない(電気角60度以下の詳細な位置は分からない)ので、電気角60度を一つの単位としてロータの位置を特定するために設定したものである。
例えば、図10において、位相モード(モード)3は、誘起電圧位相330度から30度の範囲を示しており、その間の通電状態は、図23に示すように、V相の上アーム素子(V+)をオン、W相の下アーム素子(W−)をオンしている領域であり、位相モードでインバータのスイッチング素子のオンオフ状態が一意的に決まる。
<制御回路4の処理:その2>
制御回路4の構成の背景にある本発明の第1実施形態の起動方法、および、その関連技術・事項、また、120度通電方式と180度通電方式の説明をしたので、制御回路4の説明に戻る。
図5は、前記したように、制御回路4の処理の構成例を示すブロック図である。
図5のブロック図は、モータ駆動に関する部分を主として記載している(システム全体の制御に関する部分は省略している)。
また、制御回路4は、マイコンを用い、すべての処理をソフトウエアで実現している。
Iq設定処理401は、上位処理から設定される回転速度指令Nと、運転状態信号と、巻線切替信号と、後記する通電方式切替信号400Aと、回転速度Nと、モータ電流のdq変換値である励磁電流Idと、トルク電流Iqを信号として入力している。
そして、これらの信号を基に、電流指令値Iq、および、Id初期値を算出する。詳細は後記する。
なお、図5においては、「Iq設定処理」をブロック内の表記では、「Iq設定」として、「処理」という文言を簡単化のため省略している。
以下においても、図5の各ブロック401〜412の表記は、説明の文言に対して「処理」の文言を省略して表記している。
Id設定処理412は、前記運転状態信号と通電方式切替信号400AとId初期値を基に、電流指令Idを算出する。詳細は後記する。
電流制御処理402は、前記電流指令値(Id、Iq)と電流検出値(Id、Iq)の差が0になるように第二の電流指令値(Id**、Iq**)を演算する。
具体的には、各電流偏差を基に比例積分制御を用いて第二の電流指令値(Id**、Iq**)を算出している。
ベクトル演算処理403は、前記第二の電流指令値(Id**、Iq**)と、後記するモータ3の回転速度N180と回転位相θ180を入力している。
また、ベクトル演算処理403は、前記第二の電流指令値(Id**、Iq**)と設定されたモータ定数(R、Ld、Lq、Ke)を基に、次に示す式(2)を用いて180度通電時のモータ印加電圧(Vd、Vq)を算出している。
Figure 0006307168
ここで、
Ke:発電定数
このベクトル演算処理403において、モータ定数として直列巻線定数と並列巻線定数の二種類を具備し、巻線切替信号に同期してモータ定数の変更がされる。
電圧演算処理406は、前記電流指令値Iqを基に120度通電時の電圧指令値V120 を算出している。
電圧指令選択/パターン発生処理407は、通電方式切替信号400Aに応じて、前記モータ印加電圧(Vd、Vq)及び電圧指令値V120 のどちらかを選択し、通電方式に対応した電圧パターン(180度通電は正弦波、120度通電は矩形波)を出力する。
また、電圧指令選択/パターン発生処理407は、平滑回路11(図2)の両端の直流電圧である直流電圧検出値4Aも入力している。
PWM信号出力処理408は、前記電圧指令選択/パターン発生処理407が出力した電圧パターンをPWMパルス信号(ドライブ信号)4Cに変換して前記インバータ回路12に出力している。
120度通電速度/位置推定処理405は、前記端子電圧検出値4Dを基に前記モータ3の回転速度N120と回転位相θ120を算出している。
電流再現処理411は、前記直流電流検出値4BとPWMパルス信号(ドライブ信号)4Cのスイッチタイミングからモータ電流検出値(Id、Iq)を再現している。
180度通電速度/位置推定処理404は、前記電流検出値(Id、Iq)と前記モータ印加電圧(Vd、Vq)とを用いて、前記モータ3の回転速度N180と回転位相θ180を算出している。
速度選択処理410は、前記通電方式切替信号400Aを基に、前記回転速度N180と回転速度N120のどちらかを選択し、回転速度Nとして出力している。
具体的には、通電方式が120度通電の場合は回転速度N120を、180度通電の場合は回転速度N180を選択する。
通電方式切替判定処理409は、前記運転状態信号及び、回転速度N、回転位相θ180、回転位相θ120を用いて通電方式切替信号400Aを出力している。詳細は後記する。
≪Iq設定処理、Id設定処理、通電方式切替判定処理≫
次に本発明の主要部となるIq設定処理401、Id設定処理412、通電方式切替判定処理409について詳細を説明する。
図6にIq設定処理401の内部構成を示し、図7にIq設定処理401のフローチャートを示す。順に説明する。
<Iq設定処理401のブロック図>
図6は、Iq設定処理401の内部における処理の構成例を示すブロック図である。
Iq設定処理401は、速度制御処理401Aと、初期値選択処理401Bと、120度初期値処理401Cと、180度初期値処理401Dとを備えて構成されている。
ここで、速度制御処理401Aは、上位処理からの回転速度指令Nと回転速度Nとの偏差からトルク電流指令Iqを算出する。なお、速度制御処理401Aは、演算の過程に積分(積分項)を有する。
また、初期値選択処理401Bは、通電方式切替信号400Aと運転状態信号と巻線切替信号(巻線状態を把握)とを用いて、前記Iq設定処理401と前記Id設定処理412の積分項初期値を選択する。
また、120度初期値処理401Cは、前記初期値選択処理401Bで選択する120度通電の初期値を算出する。
また、180度初期値処理401Dは、前記初期値選択処理401Bで選択する180度通電の初期値を算出する。
<Iq設定処理401のフローチャート>
図7は、Iq設定処理401の動作例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートを用いてIq設定処理401の動作について説明する。
《ステップS100、S101》
図7において、丸印に「1」で表記したステップS100が開始状態である。
まず、ステップS101で運転状態信号を用いて運転状態を判断する(運動状態は?)。
「停止及び位置決め中」であればステップS102に進む。
また、「駆動中」であれば、ステップS105に進む。
《ステップ102》
ステップ102では、位置決めが完了しているかを確認する(位置決め完了?)。
停止もしくは位置決め中(「停止・位置決め中」)であれば、ステップS103に進む。
位置決めが完了(「位置決め完了」)であれば、ステップS104に進む。
《ステップ103》
ステップS103において、トルク電流指令Iqに0を設定する。
そして、丸印に「1」のステップに進む。つまり、ステップS100の開始状態に戻る。
《ステップ104》
ステップ104において、トルク電流指令Iq及び前記速度制御処理401Aの積分項に前記120度初期値処理401Cで算出されているIq120度初期値をセットする。
そして、丸印に「1」のステップに進む。つまり、ステップS100の開始状態に戻る。
《ステップ105》
前記したステップS101において、「駆動中」であれば、ステップS105に進む。
ステップS105において通電方式切替信号400Aを基に通電方式を確認する(180度通電?)。
「120度通電中」の場合は、ステップS106に進む。また、「180度通電中」の場合は、ステップS108に進む。
《ステップ106》
ステップ106では、前記180度初期値処理401Dにおいて、Iq180度初期値を算出・保持する。そして、ステップS107に進む。
《ステップ107》
ステップ107では、通電方式切替信号400Aを確認して通電方式の切替えの有無を判断する(180度通電切替?)。
「180度切替時」の場合、すなわち180度通電への切替え要求があればステップS110に進む。
180度通電への切替え要求が無ければ「No」、ステップ111へ進む。
《ステップ110》
ステップ110では、トルク電流指令Iq及び前記した速度制御処理401Aの積分項に、前記180度初期値処理401Dで算出されているIq180度初期値をセットする(Iq及び前記した速度制御積分項にIq180度初期値をセット)。
《ステップ111》
ステップ111では、前記したとおり、速度制御処理401Aにてトルク電流指令Iqを算出する(速度制御)。
《ステップ108》
前記したステップS105において、「180度通電中」であれば、ステップS108に進む。
ステップS108において、前記した120度初期値処理401CにおけるIq120度初期値を算出・保持する。
そして、ステップS109に進む。
《ステップS109》
ステップS109では、通電方式切替信号400Aを確認して通電方式の切替えの有無を判断する(120度通電切替?)。
120度通電への切替え要求があれば(120度切替時)、ステップS112に進む。
切替え要求が無ければ(No)、ステップS111に進む。
《ステップS111:再掲》
ステップS111は、前記したので重複する説明は省略する。
《ステップS112》
ステップS112では、トルク電流指令Iq及び前記速度制御処理401Aの積分項に前記120度初期値処理401Cで算出されているIq120度初期値をセットする。
以上のステップS101〜S112処理を行うことにより、Iq120度初期値、Iq180度通電初期値の算出・保持を行いながら、速度制御処理及び安定した巻線切替後の再起動並びに通電方式切替処理が可能となる。
また、以上のIq設定処理401の処理、動作によって、巻線切替後のモータ電流初期値は、停止前のモータ電流値と巻線の結線状態とから算出したモータ電流値以上となるように設定される。
また、トルク電流指令(Iq)は、Iq設定処理401によってなされるので、モータ3(図1)のトルクに関しても、巻線切替後のトルクは、停止前のトルク以上が確保される。
<初期電流設定値(120度通電、180度通電)の算出法>
ここで、前述の初期電流設定値(120度通電、180度通電)の算出法に関して説明する。
図25は、通電方式と巻線状態に対応した演算式の例を示す図である。なお、図8〜図10については、後で説明する。
図25において、左端の欄には、上から下に、「180度通電→120度通電」、「120度→180度通電」、「180度通電」、「120度通電」の項目が記載されている。
これらの項目は、図11の再起動時において、通電方式を切り替えるか、それとも継続するかを意味している。
すなわち、「180度通電→120度通電」は、180度通電方式から120度通電方式に切り替えることを意味する。
また、「120度→180度通電」は、120度通電方式から180度通電方式に切り替えることを意味する。
また、「180度通電」は、180度通電方式を継続することを意味する。
また、「120度通電」は、120度通電方式を継続することを意味する。
図25において、上段の欄には、左から右へ、「並列接続→直列接続」、「直列接続→並列接続」、「並列接続」、「直列接続」の項目が記載されている。
これらの項目は、図11のT1以前、あるいは図12の「停止中」、あるいは図13の圧縮機停止時間131において、モータの巻線の結線を切り替えるか、継続するかを意味する。
すなわち、「並列接続→直列接続」は、図4において(b)に示した結線から(a)に示した結線に切り替えることを意味する。
また、「直列接続→並列接続」は、図4において(a)に示した結線から(b)に示した結線に切り替えることを意味する。
また、「並列接続」は、図4において(b)に示した結線を継続することを意味する。
また、「直列接続」は、図4において(a)に示した結線を継続することを意味する。
以上のように、再起動時において、通電方式を切り替えるか継続するか、また、モータの停止時において、モータの巻線の結線を切り替えるか、継続するか、の様々な組み合わせによって、初期電流設定値(120度通電、180度通電)が異なる。
図25は、以上の組み合わせに対して、初期電流設定値(120度通電、180度通電)を算出する演算式を一覧にしたものである。
なお、図25における各欄の演算式において、「Ia」は、初期電流設定値であることを意味し、添字の「120」あるいは「180」は、それぞれ120度通電、180度通電を意味し、添字の「s」あるいは「p」は、それぞれ直列、並列を意味している。
なお、本発明の第1実施形態では、図25に示す演算式を用いてそれぞれの状況に合わせた初期電流設定値を予め計算している。
ここで、図25に示した演算式の基となる式を、以下に式(3)、(4)として示す。
また、図25に示す演算式は、式(3)、(4)をもちいて、出力トルクが一定となる電流値をそれぞれの条件のもとで求めた関係式である。
ここで、例えば、停止前の状態が、モータ巻線は並列接続で180度通電しており、停止後再起動時に、モータ巻線を直列接続に切替えて、120度通電で駆動する場合は、図25の(A)の式を使用する。
また、停止前の状態が、モータ巻線は直列接続で180度通電しており、停止後再起動時に、モータ巻線を並列接続に切替えて、そのまま180度通電で駆動する場合は、図25の(B)の式を使用する。
このように、停止前と停止後再起動時の巻線の接続状態と通電方法で演算式を選択する。
Figure 0006307168
Figure 0006307168
ここで、
T180:180度通電の出力トルク
T120:120度通電の出力トルク
Kta:1相あたりのトルク定数、
Ia180:180度通電時のモータ相電流波高値
Ia120:120度通電時のモータ相電流波高値
なお、図25において、トルク定数は、並列接続のトルク定数に対して直列接続時のトルク定数は2倍と設定して計算している。
すなわち、図4に示す通り、並列接続(1Y)−直列接続(2Y)の切替えのため、トルク定数は1対2の関係となる。
また、電流値は、並列接続時の電流と直列接続の電流を区別するために、添え字を付けている(並列接続「p」、直列接続「s」)。
ここで、モータ相電流波高値Iaは、式(5)の関係になる。本実施形態では突極性を持たないモータを想定しているので、Idは0となる。そのため、Ia=Iqと扱える。
Figure 0006307168
本実施形態では、トルク式として式(3)を適用したが、dq座標系のトルク式(相対変換で表記)である式(6)を用いることも可能である。
Figure 0006307168
ここで、τ:モータ出力トルク、P:極対数
突極性があるモータを使用する場合は、突極性も考慮した式((6)式など)を使用する必要がある。換言すれば、図25に示す演算式は、モータの巻線仕様、及び適用するトルク演算式に応じて変化する。
また、本実施形態では、説明の簡単化のため加速トルク分を考慮してないが、急加速が必要なシステムでは、加速トルク分を考慮することも必要である。
すなわち、図25で算出した初期電流設定値に加速トルク分の電流値を加算して設定することが望ましい。
<Id設定処理412のフローチャートと動作>
図8は、Id設定処理412の動作例を示すフローチャートである。
次に図8のフローチャートを用いてId設定処理412の動作について説明する。
《ステップS200、S201》
図8において、丸印に「2」で表記したステップS200が開始状態である。
まず、ステップS201において運転状態を判断する。停止もしくは駆動中(停止・駆動中)であればステップS202へ、起動時(起動)であればステップS206へ、位置決め中であればステップ207へ、それぞれ進む。
《ステップS202》
ステップS202では、通電方式を確認する(180度通電?)。
120度通電時(120度通電中)であればステップS203に進む。
また、180度通電中であれば、ステップS204に進む。
《ステップS203》
ステップS203において、励磁電流指令(Id)を0に設定する(Id=0セット)。
そして、丸印に「2」のステップに進む。つまり、ステップS200の開始状態に戻る。
《ステップS204》
180度通電中が確認された後のステップS204において、弱め界磁制御中かを確認する(弱め界磁制御?)。
通常制御中であれば、ステップS203に進む。
また、弱め界磁中であれば、ステップS205に進む。
《ステップS203:再掲》
ステップS203は、前記したので重複する説明は省略する。
《ステップS205》
ステップS205において、弱め界磁制御で励磁電流指令(Id)を変更する。
そして、丸印に「2」のステップに進む。つまり、ステップS200の開始状態に戻る。
なお、弱め界磁制御の方法に関しては特に特定しない。
《ステップS206》
ステップS206では、Id位置決め電流値(最終値)を前記Iq設定処理401で算出していたIq120度初期値を設定する(Id位置決め電流(最終値)=Iq120度初期値セット)。
ここで、位置決め電流値を別に算出して設定しても良いが、位置決め処理後の120度通電との電流値を一致させるために、Iq120度初期値を設定するのが望ましい。
そして、丸印に「2」のステップに進む。つまり、ステップS200の開始状態に戻る。
《ステップS207》
ステップS207は、位置決め電流の増加処理であり、励磁電流(Id)が設定値(最終値)になるまで増加させる(IdがId最終値になるまで徐々に増加)。
そして、丸印に「2」のステップに進む。つまり、ステップS200の開始状態に戻る。
<通電方式切替判定処理409のフローチャート>
図9は、通電方式切替判定処理409の動作例を示すフローチャートである。
次に図9のフローチャートを用いて、通電方式切替判定処理409の動作について説明する。
《ステップS300、S301》
図9において、丸印に「3」で表記したステップS300が開始状態である。
まず、ステップS301において、運転状態を確認する。
位置決め中であれば、ステップS302に進む。
駆動中であれば、ステップS304に進む。
停止中であれば、丸印に「3」で表記したステップS300の開始状態に戻る。
《ステップS302》
ステップS302においては、位置決めが完了しているかを確認する(位置決めが完了?)。
位置決めが完了している場合は、ステップS303に進む。
位置決め中の場合は、ステップS301に戻る。
すなわち、ステップS302においては、位置決めが完了しているかを確認し、完了するまでステップS301、S302の処理を繰り返す。
《ステップS303》
ステップS303において、通電方式切替信号を1(120度通電)にセットする。
そして、丸印に「3」のステップに進む。つまり、ステップS300の開始状態に戻る。
《ステップS304》
ステップS304において、現状の通電方式を確認する。
120度通電の場合は、ステップS305に進む。
180度通電の場合は、ステップS308に進む。
《ステップS305》
ステップS305では、動作している回転速度(単位時間あたりの回転数)Nと、180度通電に切替える前の回転速度であるN120とを、比較する(N≧N120)。
回転速度Nが切替回転速度(N120)以上であれば、ステップS306に移行する。
回転速度Nが切替回転速度(N120)未満であれば、丸印に「3」のステップに進む。つまり、ステップS300の開始状態に戻る。
《ステップS306》
ステップS306においては、120度通電の位相信号θ120がモード1か否かを判定する。
120度通電の位相信号θ120がモード1の場合は、ステップS307に進む。なお、120度通電の位相信号θ120がモード1(図10)になったタイミングでステップS307に進む
また、120度通電の位相信号θ120がモード1以外の場合は、丸印に「3」のステップに進む。つまり、ステップS300の開始状態に戻る。
《ステップS307》
ステップS307においては、通電方式切替信号を0(180度通電)にセットする。
そして、丸印に「3」のステップに進む。つまり、ステップS300の開始状態に戻る。
《ステップS308》
ステップS308においては、回転速度Nと、120度通電に切替える回転速度であるN180とを比較する(N≦N180)。
回転速度Nが切替回転速度(N180)以下であれば、ステップS309に進む、
また、回転速度Nが切替回転速度(N180)より大きければ、丸印に「3」のステップに進む。つまり、ステップS300の開始状態に戻る。
《ステップS309》
ステップS309において、180度通電の位相信号θ180がモード1である場合には、ステップS310に進む。
ステップS309において、180度通電の位相信号θ180がモード1でない場合には、丸印に「3」のステップに進む。つまり、ステップS300の開始状態に戻る。
《ステップS310》
ステップS310において、通電方式切替信号を1(120度通電)にセットする。
そして、丸印に「3」のステップに進む。つまり、ステップS300の開始状態に戻る。
<巻線切替動作と効果の関係>
これまで説明してきたモータ駆動装置をエアコン(冷凍空調機器)に適用した場合の巻線切替動作と効果の関係について説明する。
図14は、エアコンの構成例を示す図である。
図14において、エアコンは、エアコン室内機(エバポレータ)141と、エアコン室外機(コンデンサ)142とを備えて構成されている。
本発明の実施形態の巻線切替モータ駆動装置(モータ駆動装置)100(図1)と、このモータ駆動装置が駆動するモータ3(図1)とこのモータ3が駆動する圧縮機5(図1)は、図14におけるエアコン室外機(コンデンサ)142に搭載されている。
<モータとインバータの総合効率>
次に、モータとインバータの総合効率について説明する。
図15は、回転速度に対するモータとインバータの総合効率の例を示す図である。また、巻線状態とエアコンの能力(APFの測定条件)も併記している。
図15において、特性線151は、従来(巻線切替しないモータ)の一般的なモータの総合効率を示している。
また、特性線152は、本実施形態の巻線切替駆動装置が駆動するモータ(巻線切替のモータ)の直列接続時のモータを使用した効率、特性線153は、並列接続時のモータを使用した効率を示している。
巻線切替をしないモータ(特性線151)の場合は、過負荷能力領域で駆動を確保する必要があるため、効率のピーク点をあまり低回転速度域に設定できない。
このため、運転時間の長い最小能力域や中間能力域の効率向上が小さくなりAPFも大幅な向上が望めない。
これに対して、本実施形態の巻線切替駆動装置が駆動する巻線切替モータは、巻線を切替えることで効率のピーク点を変更できる。そのため、中間能力以下の領域では、直列接続(特性線152)に切替え効率のピーク値を低回転側に移動する。
反対に、定格能力以上の能力を出力する場合は、定格能力の効率向上と過負荷能力域の駆動確保のため、並列接続(特性線153)に切替える。
なお、図15において、最小能力、中間能力、定格能力、過負荷能力と表記しているが、これらはAPFの評価試験で定められた所定の項目である。例えば、定格能力は範囲を示しており、機器として記載された定格値と必ずしも一致しない。エアコンの場合においても、冷房や換気や暖房において定格値付近の特性は異なる。そのため評価試験における定格能力は図15に示すような所定の範囲を有している。
なお、中間能力は定格能力の概ね50%と設定されている。また、定格能力と過負荷能力の中間の範囲は、評価試験においては、格別な名称のない範囲である。
図16は、モータの回転速度−トルク特性の概要を示す模式図である。また、併せてエアコンの能力域(最小能力、中間能力、定格能力、過負荷能力)が回転速度−トルク特性において、どの範囲に位置するかを示している。
図16において、特性線171が従来(巻線切替しないモータ)である。
また、特性線172が本実施形態の巻線切替駆動装置が駆動するモータ(巻線切替のモータ)の直列接続時、特性線173が本実施形態の巻線切替駆動装置が駆動するモータ(巻線切替のモータ)の並列接続時のモータの特性である。
図16からも分かるように、モータの巻線を低負荷から高負荷に変わるにつれ、直列接続から、並列接続に適宜、切替えることで過負荷能力域を拡大することも可能である。
以上の通り、巻線切替モータ及び起動法を適用することで、広範囲の負荷(回転速度と能力)に対応して効率向上が図れる。言い換えると、低中速域の高効率化と高速域の駆動範囲の拡大の両立をするとともに、差圧を維持した圧縮機を短時間で安定的に再起動する手法、及びそれを用いたモータ駆動装置並びに冷凍空調機器を提供することが可能となる。
以上において、本発明の第1実施形態では、モータ巻線を切替えるタイミング(時機)をエアコンの中間条件と定格条件の間として説明した。ただし、具体的には、予め設定した回転速度やモータ電流値、あるいは、モータ出力、電圧飽和状態(誘起電圧が端子電圧を超える状態)を示す数値などを用いて巻線切替タイミングを判断すれば良い。
特に、直列接続から並列接続に切替える場合は、電圧飽和領域で切替えると最大効率を維持できる。例えば、図15の符号Aで示したタイミングのように、直列接続(特性線152)と並列接続(特性線153)の効率曲線が交わる位置である。
ただし、大規模なシステムであれば、システム駆動中に実際に効率を計算することで切替タイミングを決定することも可能である。
また、巻線切替モータは、システムとして最大効率が得られるように、巻線仕様の設計をする必要ある。
(第2実施形態:巻線切替モータ駆動装置)
本発明の第2実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置を図17〜21を参照して説明する。
第2実施形態は、第1実施形態の巻線切替モータ駆動装置のモータ駆動回路における整流回路の後段に昇圧回路16(図17)を追加し、かつモータの仕様も変更して、モータのより広範囲な高効率な駆動を目指したものである。
<第2実施形態のモータ駆動装置の構成>
図17は、第2実施形態の巻線切替モータ駆動装置のモータ駆動回路の構成例を示す図である。
図17において、図2の構成と異なる部分は、昇圧チョッパ回路(昇圧回路)16が整流回路10の後段に追加された部分である。
追加された昇圧チョッパ回路16は、昇圧リアクトル160、ダイオード161、スイッチング素子162を備えて構成されている。
スイッチング素子162をスイッチング動作させることで、整流回路10の出力電圧を昇圧することが可能である。図17においては、基本的な昇圧チョッパ回路16で記載しているが、インターリーブ方式やその他の昇圧回路を適用してもよい。
なお、図17において、図2と同一符号の回路、素子は、同一の機能、動作をするので、重複する説明は省略する。
<第2実施形態のモータの巻線構造>
次に、第2実施形態のモータの巻線構造について説明する。
図18は、第2実施形態のモータの巻線が切り替わる構造と状態を示す図であり、(a)はU相、V相、W相がそれぞれ3つの巻線を直列に接続してY結線としたものであり、(b)はU相、V相、W相のひとつずつの巻線でY結線とし、3つのY結線を並列に接続したものである。
図18の(a)は、モータ(3)の巻線U1、U2、U3、巻線V1、V2、V3、巻線W1、W2、W3は、それぞれ直列に接続され、モータ駆動回路(1)の接続端子U、V、Wとの間にY結線が構成される(直列接続1Y)。
また、図18の(b)は、モータ(3)の巻線U1、V1、W1でひとつのY結線が構成され、巻線U2、V2、W2で2つ目のY結線が構成され、巻線U3、V3、W3で3つ目のY結線が構成されている(並列接続3Y)。
すなわち、第1実施形態では、2つの巻線の切り替えによる直列接続(1Y)と並列接続(2Y)としたが、第2実施形態では、3つの巻線の切り替えによる直列接続(1Y)、並列接続(3Y)とする。
この3つの巻線による直列と並列の切り替えでは、直列接続と並列接続との特性の差がさらに顕著になるので、第2実施形態は、第1実施形態に比較して、低域および高域の回転速度のそれぞれの領域において、さらなるモータの効率向上が図れる。
なお、図18の(a)から(b)への巻線切替回路(2)の具体的な回路構成については、実在することは自明であるが、煩雑であるので記載を省略する。
<第2実施形態における起動時の波形>
図19は、第2実施形態における起動時の起動方法の例と波形例を示す図である。
第2実施形態においては、前記したように、モータ駆動回路に昇圧チョッパ回路16を追加したこと、モータの巻線、および巻線切替回路を3つの巻線の直列と並列の切り替えにしたことであるが、さらに、起動時の手順を変えている。
図19に示す第2実施形態の起動時の波形が、図11に示す第1実施形態の起動時の波形と異なるのは、位置決め処理を無くしたことである。
モータの停止状態でもロータ位置が分かる場合には、位置決め処理は必ずしも必要でない。
第2実施形態では、位置決め処理に変わり、初期位相検出パルスを出力し、そのときの端子電圧から初期位相を検出する初期位相検出処理を行い、検出した初期位相から120度通電で駆動するものである。
120度通電動作以降の動作は、図19と図11と同じである。
<第2実施形態のモータとインバータの総合効率>
図20は、第2実施形態の回転速度に対するモータとインバータの総合効率の例を示す図である。また、図20においては、モータ駆動回路における昇圧チョッパ回路16の出力後の平滑回路11の両端の直流電圧も併せて示している。なお、昇圧チョッパ回路16を追加することで、前記の直流電圧を昇圧できる。
また、第2実施形態では、図18に示した通り、各相の巻線が3個ずつ(U1〜U3、V1〜V3、W1〜W3)で、直列接続(1Y)−並列接続(3Y)切替を行うため、直列接続(1Y)のときは第1実施形態の場合より更に低速設計が可能となる。
すなわち、図20に示す通り、直列接続時の効率曲線(特性線202)の効率ピーク値を最小能力側に移動できる。
ここで、効率ピーク値を最小能力側に移動すると中間能力範囲では、弱め界磁制御を行う必要があり効率が低下してしまう。
そこで、中間能力範囲で直流電圧を昇圧(特性線204)すると効率曲線は特性線202Bに示すとおり、弱め界磁制御分の損失が少なくなり効率向上が可能となる。
定格条件では、図18の(b)に示すように並列接続(3Y)に切替えることで、定格能力付近の効率向上を図る。なお、このときは直流電圧を昇圧しなくても(特性線205)、並列接続(3Y)による効率向上がある。
その後、回転速度が増加すると、中間能力時と同様に直流電圧の昇圧を行う(特性線206)ことで、過負荷能力域の効率向上及び過負荷能力領域を大幅に拡大する(特性線203→特性線203B)ことができる。
<第2実施形態のモータの回転速度−トルク特性>
図21は、第2実施形態のモータの回転速度−トルク特性の概要を示す模式図である。併せてエアコンの能力域(最小能力、中間能力、定格能力、過負荷能力)が回転速度−トルク特性において、どの範囲に位置するかを示している。
図21において、特性線201が従来(巻線切替しないモータ)の回転速度−トルク特性である。
また、特性線202が第2実施形態の巻線切替駆動装置が駆動するモータ(巻線切替のモータ)の直列接続時の回転速度−トルク特性である。ただし、直流電圧を昇圧させている領域については、特性線202Bとして特性線202に付随して表記している。
また、特性線203が第2実施形態の巻線切替駆動装置が駆動するモータ(巻線切替のモータ)の並列接続時の回転速度−トルク特性である。ただし、直流電圧を昇圧させている領域については特性線203Bとして特性線203に付随して表記している。
図21に示すように、特性線201で示す従来の巻線切替しないモータの特性に比較して、前記した直列接続(1Y)−並列接続(3Y)切替の巻線切替モータと昇圧動作を組み合わせることで、低速域の効率向上(特性線202、202B)と過負荷能力範囲を大幅に拡大(特性線203(203B))が図れる。
さらに、図21を図16(直列接続(1Y)−並列接続(2Y)の切替のみ)を比較すれば、図21に示す特性線202(202B)が、低速域においてはトルクを増大している。また、特性線203(203B)が、高速域においては高い回転速度の領域を広げている。
すなわち、第2実施形態において、前記した直列接続(1Y)−並列接続(3Y)切替の巻線切替モータと昇圧動作を組み合わせることで、低速域の効率向上(特性線202、202B)と過負荷能力範囲を大幅に拡大(特性線203(203B))が図れる。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態の位置決めの方法ではなく、初期位相検出パルスによる方法に変えたが、この相違は、前記の図21に示した回転速度−トルク特性には、無関係である。図21に示した回転速度−トルク特性は、前記した直列接続(1Y)−並列接続(3Y)切替の巻線切替モータと昇圧動作を組み合わせによる特性であり、効果である。
(第3実施形態:巻線切替モータ駆動装置)
次に、第3実施形態として、直列接続の巻線の半分の巻線と全部の巻線を使用する様に切替える構成について説明する。
図22は、本発明の第3実施形態に係る巻線切替モータ駆動装置103の構成例と、この巻線切替モータ駆動装置103が駆動制御するモータ(永久磁石同期モータ)30と、このモータ30が駆動する圧縮機5の全体の構成、関連を示す図である。
図22で、第1実施形態を示す図1と異なるのは、巻線切替モータ駆動装置103における巻線切替回路20とモータ30の構成である。
第1、第2実施形態では、モータの巻線構造は並列接続と直列接続を切替えることを前提で述べているが、直列接続の巻線の例えば半分の巻線(誘起電圧が低くなる直列接続)と全部の巻線(誘起電圧が高くなる直列接続)を使用する様に切替える構成でも本願を適用できる。
具体的には、図4の(a)の直列接続(1Y)の図において、U相では巻線U1と巻線U2を直列接続した状態で使用する場合と、巻線U1と巻線U2の間に端子を設け、巻線U2のみを使用する場合である。
また、V相、W相でも同様に切り替える。
図22に示す構成では、モータ30の出力端子は6本(U1、U2、V1、V2、W1、W2)となり、図1のモータ3の出力端子の9本(図3)に比較して3本低減でき、圧縮機等モータを組込み機器のコスト低減に有利である。ただし、モータの巻線利用率は低下する。
(第4実施形態:冷凍空調機器)
図14において、第1実施形態の巻線切替モータ駆動装置100によってモータ3を駆動し、このモータによって圧縮機5を稼動し、この圧縮機5を搭載したエアコン(141、142:冷凍空調機器)を示した。
このように、第1〜第3実施形態の巻線切替モータ駆動装置(100、103)によってモータ(3、30)を駆動し、このモータによって圧縮機5を稼動し、この圧縮機5を備えた冷凍空調機器は、モータの低速域、高速域における前記した特性向上により、性能が向上することが期待できる。
なお、冷凍空調機器は、前記したエアコンには限らない。ビル用マルチ エアコン、冷凍機、冷水機、製氷機、チラー、自動販売機、食品売り場ショーケース等の各種の冷凍空調機器およびその範疇に属する機器が対象となる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があってもよく、以下にその例をあげる。
《3段階の直並列巻線切替方法》
第1、第2実施形態においては、巻線を直列と並列の2段階に切り替える方法について説明したが、切り替えは2段階に限定されない。次に3段階の直並列巻線切替方法について説明する。
図26は、U相における3段階の直並列巻線切替方法を説明する図であり、(a)はU1〜U4の巻線が直列に接続され、(b)はU1、U2およびU3、U4がそれぞれ並列に接続され、(c)はU1〜U4の巻線がすべて並列に接続されていることを示している。
図26の(a)は、U1〜U4の巻線がすべて直列に接続されているので、モータは低回転速度域での特性にすぐれ、(c)はU1〜U4の巻線がすべて並列に接続されているので、モータは高回転速度域での特性にすぐれている。
ただし、図26の(a)のU1〜U4の巻線がすべて直列に接続された状態から(c)のU1〜U4の巻線がすべて並列に接続された状態にすると、その切り替え時において特性の変動が大きい場合がある。
この急激な特性の変動を軽減するために、図26の(b)においては、U1、U2の巻線、およびU3、U4の巻線をそれぞれ並列に接続し、これらの2つの並列に接続された巻線同士を直列に接続する構成としている。
すなわち、図26の(a)、(b)、(c)の構成を、負荷の状況に応じて順次移行、あるいは選択することにより、より望ましい特性が得られる。
なお、図26においては、3段階に移行する例をあげたが、4段階以上に移行させてもよい。
《巻線の部分を半分以外に利用する方法》
第3実施形態において、図4の(a)のU相における巻線U1、U2を直列接続した状態で使用する場合と、巻線U1と巻線U2の間に端子を設け、巻線U2のみを使用する場合について説明したが、2つの巻線U1、U2の場合について限定されない。
図18の(a)のように、U相において巻線U1、U2、U3を3つ直列接続した場合と、巻線U2、U3の2つ直列接続した場合と、巻線U3のみを使用する場合を、切り替えて使い分ける方法もある。
《Δ結線における方法》
第1実施形態の図4、および第2実施形態の図18では、Y結線において、直列接続と並列接続を切り替える方法を説明したが、Y結線には限定されない。
U相の巻線U1、U2を直列に接続し、また同様にV相の巻線V1、V2を直列、W相の巻線W1、W2を直列に接続して、それぞれ直列に接続したU相、V相、W相の巻線でΔ結線を構成する。
そして、次に切り替える方法として、巻線U1、V1、W1で第1のΔ結線を構成し、巻線U2、V2、W2で第2のΔ結線を構成し、第1のΔ結線Y結線と第2のΔ結線を並列状態で接続する。
このように、Y結線のみならずΔ結線で直列接続と並列接続を切り替える方法もある。
《Y結線とΔ結線を混在させる方法》
以上において、Y結線で直列接続と並列接続を切り替える方法と、Δ結線で直列接続と並列接続を切り替える方法について説明したが、Y結線とΔ結線を混在させる方法もある。
Y結線で直列接続する場合を最も低回転速度域とし、Δ結線で並列接続する場合を最も高回転速度域とする。そして、Δ結線で直列接続やY結線で並列接続を前記の回転速度の中間域とする方法もある。
《冷凍空調機器以外の機器》
第4実施形態においては、第1〜第3実施形態の巻線切替モータ駆動装置(100、103)によってモータ(3、30)を駆動し、このモータによって圧縮機5を稼動し、この圧縮機5を搭載した冷凍空調機器について説明した。
しかし、第1〜第3実施形態の巻線切替モータ駆動装置は、モータを駆動する場合に効果があるので、第1〜第3実施形態の巻線切替モータ駆動装置(100、103)およびモータ(3、30)を応用する機器は、冷凍空調機器に限定されない。
巻線の切り替え時において、一時、モータが停止することを許容されるならば、モータを使用する機器において、第1〜第3実施形態の巻線切替モータ駆動装置および巻線切替モータの駆動方法は、有効で広く活用できる。
(モータの起動法の比較例)
次に、本発明の巻線切替モータ駆動装置および巻線切替モータの駆動方法の特徴をより分かりやすくするために、モータの起動法の比較例をあげてその特徴を説明する。
図27は、比較例のモータの起動法を説明する図である。なお、図27に示す起動方法は、位置センサレス制御の方式である。
図27において、横軸は時間の経緯である。縦軸は上から回転速度指令、電流指令(Id、Iq)、モータ電流(U相電流)を示している。
位置センサレス制御の方式は、誘起電圧を利用した方式のため、停止時並び極低速時にはロータの位置を検出できない。そのため、位置決め、同期運転と呼ぶ処理が必要になる。位置決め処理は、モータ巻線の所定の相に直流電流を流しロータを所定の位置に引き付ける処理である。
比較例では、U相からV相とW相に電流を流す。このとき、ロータが所定の位置付近に来ないと同期運転処理に移行してもロータが回転しない。
そのため、図27に示すように、モータに最大トルクが印加されていると想定し最大電流を流す(Id最大値、特性線271)。
同期運転処理は、当該処理で所定の位置に位置決めされた位相から交流電流を流しながら周波数を増加させていく処理である。交流電流が流れることで回転トルクが発生しモータが回り始める。
ただし、前記の同期運転はオープンループのため、モータの発生トルクに対して負荷トルクが大きいとすぐに脱調(停止)してしまう。
そのため、モータに最大トルクが印加されていると想定し最大電流を流す(Id最大値)設定としている。
しかし、負荷トルクが小さかった場合、モータの発生トルクが過大となり、急加速が発生するなど不安定となる。
回転速度が増加したところで、位置センサレス制御(センサレス運転)に移行する。
以上のように、永久磁石同期モータを位置センサレス制御で駆動するためには、位置決め、同期運転が不可欠である。
比較例の技術を空調機の圧縮機駆動装置として適用した場合、過大な差圧が付いた状態では圧縮機を駆動できないため、一定時間圧縮機を停止する処理が設定されている。
図28は、比較例を用いた場合の空調機の能力と圧縮機の吐出圧力、吸込圧力の関係を示す図である。
図28において、横軸は時間の経緯であり、縦軸に空調機の能力と圧縮機の吐出圧力、吸込圧力の関係を示している。また、併せて圧縮機の停止時間も示している。
前記したように、比較例の起動法を使用している場合、所定の時間(圧縮機停止時間281)圧縮機を停止させ、吐出圧力283と吸込圧力282をバランスさせてから起動する。そのため、空調機の能力284は、停止前の能力に到達するまでに時間がかかる。
(本発明の第1実施形態と比較例との対比)
なお、比較例の各特性の関係を示す図28と、本発明の第1実施形態の各特性の関係を示す図13とを比較すると、図13の圧縮機停止時間131は、図28の圧縮機停止時間281より大幅に短時間となっている。
そのため、本発明の第1実施形態の巻線切替モータ駆動装置および巻線切替モータの駆動方法を用いるとモータ3(図1)、および圧縮機5(図1)は、短時間で安定的に再起動ができる。
1 モータ駆動回路
2、20 巻線切替回路
3、30 永久磁石同期モータ、モータ
4 制御回路
5 圧縮機
10 整流回路
11 平滑回路
12 インバータ回路
13 電流検出回路
14 端子電圧検出回路
14R 抵抗
15 直流電圧検出回路
16 昇圧回路、昇圧チョッパ回路
21、22、23、24 スイッチ
100、103 巻線切替モータ駆動装置
141 エアコン室内機(冷凍空調機器)
142 エアコン室外機(冷凍空調機器)
160 昇圧リアクトル
161 ダイオード
162 スイッチング素子
401 Iq設定処理
401A 速度制御処理
401B 初期値選択処理
401C 120度初期値処理
401D 180度初期値処理
402 電流制御処理
403 ベクトル演算処理
404 180度通電速度/位置推定処理
405 120度通電速度/位置推定処理
406 電圧演算処理
407 電圧指令選択/パターン発生処理
408 PWM信号出力処理
409 通電方式切替判定処理
410 速度選択処理
411 電流再現処理
412 Id設定処理
U1〜U3、V1〜V3、W1〜W3 巻線、巻線

Claims (11)

  1. 永久磁石同期モータを駆動するモータ駆動回路と、
    前記永久磁石同期モータの巻線の結線を切替える巻線切替回路と、
    前記モータ駆動回路と前記巻線切替回路を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記制御回路により制御されることによって前記モータ駆動回路は、前記永久磁石同期モータの再起動後の通電方式として、120度通電方式と180度通電方式の2種類の通電方式を有し、
    前記制御回路の制御によって前記モータ駆動回路が前記永久磁石同期モータを停止させ、前記制御回路の制御によって前記巻線切替回路が前記永久磁石同期モータの巻線の結線を切替え、
    記制御回路の制御によって前記モータ駆動回路が前記永久磁石同期モータの再起動を行う際に、前記制御回路が前記永久磁石同期モータの前記2種類の通電方式の切替え後のモータ電流初期値を前記停止前のモータ電流初期値、または前記通電方式の切替え前のモータ出力トルクと同一もしくはそれ以上とするモータ電流初期値に設定する
    ことを特徴とする巻線切替モータ駆動装置。
  2. 請求項1において、
    記永久磁石同期モータの再起動は前記120度通電方式で起動し、その後、180度通電方式に切り替える
    ことを特徴とする巻線切替モータ駆動装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記巻線切替回路は、前記永久磁石同期モータの巻線の結線を直列接続と並列接続とに切替える
    ことを特徴とする巻線切替モータ駆動装置。
  4. 請求項1または請求項2において、
    前記巻線切替回路は、前記永久磁石同期モータの巻線の結線を、直列接続かつY結線と、直列接続かつΔ結線と、並列接続かつY結線と、並列接続かつΔ結線とに切替える
    ことを特徴とする巻線切替モータ駆動装置。
  5. 請求項において、
    前記巻線切替回路は、前記永久磁石同期モータの巻線の結線を、誘起電圧が高くなる直列接続と誘起電圧が低くなる直列接続とに切替える
    ことを特徴とする巻線切替モータ駆動装置。
  6. 請求項1において、
    前記巻線切替回路は、前記永久磁石同期モータの巻線の結線を誘起電圧が高くなる接続から誘起電圧が低くなる接続に切替え、かつ切替える時機は前記誘起電圧が巻線の端子電圧を超える飽和状態である
    ことを特徴とする巻線切替モータ駆動装置。
  7. 請求項1において、
    前記モータ駆動回路は、昇圧回路を有し、
    前記永久磁石同期モータの負荷または回転速度の増大に応じて、前記昇圧回路の電圧を上昇させる
    ことを特徴とする巻線切替モータ駆動装置。
  8. 永久磁石同期モータからなる巻線切替モータの制御方法であって、
    モータ駆動回路が前記永久磁石同期モータを駆動し、
    線切替回路が前記永久磁石同期モータの巻線を切替え、
    制御回路が前記モータ駆動回路と前記巻線切替回路を制御し、
    前記制御回路により制御されることによって前記モータ駆動回路は、前記永久磁石同期モータの再起動後の通電方式として、120度通電方式と180度通電方式の2種類の通電方式を有し、
    前記制御回路の制御によって前記モータ駆動回路が前記永久磁石同期モータを停止させ、前記制御回路の制御によって前記巻線切替回路が前記永久磁石同期モータの巻線の結線を切替え、
    記制御回路の制御によって前記モータ駆動回路が前記永久磁石同期モータの再起動を行う際に、前記制御回路が前記永久磁石同期モータの前記2種類の通電方式の切替え後のモータ電流初期値を前記停止前のモータ電流初期値、または前記通電方式の切替え前のモータ出力トルクと同一もしくはそれ以上とするモータ電流初期値に設定する
    ことを特徴とする巻線切替モータの駆動制御方法。
  9. 請求項8において、
    前記巻線切替回路は、前記永久磁石同期モータの巻線の結線を直列接続と並列接続とに切替える
    ことを特徴とする巻線切替モータの駆動制御方法。
  10. 請求項8または請求項9において、
    前記巻線切替回路は、前記永久磁石同期モータの巻線の結線を、直列接続かつY結線と、直列接続かつΔ結線と、並列接続かつY結線と、並列接続かつΔ結線とに切替える
    ことを特徴とする巻線切替モータの駆動制御方法。
  11. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の巻線切替モータ駆動装置を備える
    ことを特徴とする冷凍空調機器。
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