JP6306602B2 - 分子内環化−脱離による制御されたhno放出 - Google Patents

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Description

連邦政府支援による研究または開発
本発明は、一部、国立科学財団(NSF:National Science Foundation)によって授与されたCHE−0911305のもとでのアメリカ合衆国政府の支援のもとになされた。アメリカ合衆国政府は本発明において特定の権利を有する。
ニトロキシル(HNO)は、心不全のインビトロおよびインビボモデルにおいて、心血管系にポジティブな影響を有することが示されている。しかしながら、その固有の反応性のため、HNOはプロドラッグの使用によってインサイチュで生成させなければならない。しかし、アンジェリ塩(Na)、ピローティ酸(Piloty's acid)(RSONR’OR”)の誘導体およびアシルオキシニトロソ化合物(AcONOR)を凌ぐ生理学的有用なHNO供与体はほとんど存在しない。HNOの生理学的効果をさらに解明し活用するために、より多くのクラスの供与体化合物を開発する必要がある。
いくつかの態様では、本発明で開示する主題は、生理学的条件下、中性のpHで分子内環化−脱離を受けて非酵素的にHNOを放出または供与することができる化合物を提供する。
特定の態様では、本発明で開示する主題は式(I)の化合物:
(式中、nは1、2または3からなる群から選択される整数であり;XはOおよびNRからなる群から選択され;RおよびRはそれぞれ独立に、H、非置換または置換の直鎖状または分枝状アルキルおよび非置換または置換アリールからなる群から選択され;Xは、ハロゲンおよびL−Yからなる群から選択される離脱基であり、Lは結合、−SO−または−O−であり、Yは、そのそれぞれが置換されていないかまたは1つもしくは複数の置換基で置換されているW(本明細書で以下に定義する通りである)、アルキルまたは単環式、二環式もしくは三環式のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
ならびに薬学的に許容されるその塩および水和物を提供する。
特定の態様では、式(I)の化合物は以下の構造:
(式中、mは0、1、2、3、4および5からなる群から選択される整数であり;各Yは独立に、置換または非置換の直鎖状または分枝状アルキル、アルコキシル、ペルハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、カルボキシル、カルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ハロゲン、アミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシル、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ニトロ、シアノ、ニトリル、アミド、ハロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、アリールオキシル、置換アリールオキシル、シクロアルキル、アラルキルオキシル、−SOHおよびアシルからなる群から選択される)
を有する。
他の態様では、本発明で開示する主題は、それを必要とする対象におけるインビボでのニトロキシルのレベルを調節する方法であって、その対象に、1つもしくは複数の本発明で開示する式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を、インビボでのニトロキシルのレベルを調節するのに有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの態様では、本発明で開示する式(I)の化合物は、心不全を治療するために使用することができ、これを静脈内、経口または経皮で投与することができる。したがって、いくつかの態様では、本発明で開示する主題は、ニトロキシル療法に応答する疾患または状態を治療する、またはその開始もしくは進行を防止するもしくは遅延させる方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の1つもしくは複数の直前に開示した本発明で開示する式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与するステップを含む方法を提供する。特定の態様では、本開示の方法によって治療される疾患または状態は、循環器疾患、うっ血性心不全および心筋虚血/再かん流傷害からなる群から選択される。
特定の態様では、本開示の治療方法は、対象に1つまたは複数の本発明の化合物と組み合わせて、アンジオテンシンI−変換酵素(ACE)阻害剤、α−アドレナリン遮断薬、中枢性アドレナリン阻害剤、β−アドレナリン遮断薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、血管拡張剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、コレステロール降下剤、抗不整脈剤、ジギタリス製剤、硝酸塩、利尿剤、抗凝固剤、抗血小板剤、血栓溶解剤、抗酸化剤およびその組合せからなる群から選択される第2の治療剤を投与するステップをさらに含む。
他の態様では、本発明で開示する主題は、1つもしくは複数の本発明で開示する式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
さらに他の態様では、本発明で開示する主題は、1つもしくは複数の本発明で開示する式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を含むキットであって、ニトロキシル療法に応答する疾患または状態の治療において使用するための指示書をさらに含むキットを提供する。
本発明で開示する主題の特定の態様は、上で述べられており、これらは、本発明で開示する主題によって全体としてまたは部分的に対処されるが、他の態様は、本明細書で以下に最良のものとして記載される添付の実施例と関連付ければ、その記載が進むにつれて明らかとなるであろう。
(詳細な説明)
ここで、本発明で開示する主題を、本発明で開示する主題のすべてではないが一部の実施形態を示す、添付の実施例を参照して以下でより完全に説明することとする。本発明で開示する主題は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書で示す実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく;むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。実際、本明細書で示す本発明で開示する主題の多くの修正形態および他の実施形態は、上記説明および関連する実施例において示された教示の利益を有することを、本発明で開示する主題が関係する当業者に留意させることになろう。したがって、本発明で開示する主題は、開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、修正形態および他の実施形態は添付の特許請求の範囲に包含されることを理解すべきである。
I.分子内環化−脱離によって制御されたHNO放出
スペーサー分子での分子内環化−脱離は、一般に用いられる薬物放出戦略である。分子内環化−脱離経路は、アルコールおよびフェノールのプロドラッグにおいて実証されている。Saari, W. S.ら、J. Med. Chem. 1990, 33, 97〜101頁;Thomsen, K. F.ら、Int. J. Pharm. 1994, 112, 143〜152頁。この戦略は、カルバメートかまたはカーボネート結合を介した、所望のアルコールまたはフェノールのアルキルアミンスペーサーへの連結を含む。Id。溶液中で、アルキルアミンは環化し、アルコールまたはフェノールを放出する(スキーム1)。環化と放出の速度は、トリガー窒素上とカルバメート窒素上の両方の置換基(すなわち、「R」基)によって決定付けられる。Id。
スキーム1。分子内環化−脱離によって放出されるフェノール。
いくつかの実施形態では、本発明で開示する主題は、HNO供与体としてのアルキルアミンスペーサーに連結されたピローティ酸(PA)およびN−ヒドロキシ−2−ブロモベンゼンスルホンアミド(2BrPA)を提供する(スキーム2)。ベンゼンスルホンアミジル−アルキルアミノアルキルカルバメート塩酸塩1からのPAの放出および2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−アルキルアミノアルキルカーボネート塩酸塩2からの2BrPAの放出は、アルキルアミンR−置換基およびスペーサー(n)の長さの改変によって調整することができる(スキーム2)。
スキーム2。アルキルアミンスペーサーでのPAおよび2BrPAの連結は、ベンゼンスルホンアミジル−アルキルアミノアルキルカルバメート塩酸塩1および2−ブロモベンゼンスルホンアミジル−アルキルアミノアルキルカーボネート塩酸塩2を生成させる。
ベンゼンスルホンアミジル−アルキルアミノエチルカルバメート塩酸塩1
代表的な実施形態では、PA誘導体でのスペーサーの使用が実行可能であるかどうか決定するために、PA/カルバメート連結体1を合成し評価した。このような実施形態では、出発試薬の利用可能性に起因して、PAを試験分子として使用した。放出させるモデル薬物としてのPAの使用は、分解分析のために有利であった。その長い半減期(>1時間)のため、PAは蓄積し、HPLCによって、1の分解の間に観察される(表1)。
供与体化合物を、PBS中(pH7.4)、37℃でインキュベートした。HPLCにより決定した(SEM±5%;n=3)。副生成物は分析を妨害した。13時間にわたって安定である。24時間にわたって安定である。
表1のデータは、PA誘導体のための制御放出戦略としてスペーサーを使用することの実行可能性を表している。誘導体1a、1b、1cおよび1eはすべてPAを放出した。トリガーアミンの立体環境(R)は半減期に影響を及ぼしている。例えば、1c(Rはイソ−プロピルである)の半減期が29分間であるのに対して、1a(Rはメチルである)の半減期は3分間である(表1)。
カルバメート結合の立体環境(R’)は、環化速度にも影響を及ぼす。1f(R’はベンジルある)および1g(R’はsec−ブチルである)のR’の増大したサイズは、1a(R’はメチルである)および1e(R’はエチルである)と比較して、本質的な安定性をそれらに付与する。
いずれか一つの特定の理論に拘泥するわけではないが、トリガーアミンのアルキル基(R)に対する改変は、カルバメート窒素上の(R’)と比較して、PAの環化および脱離の速度のさらなる(more)制御を可能にすると考えられる。カルバメートスペーサーは合成し精製するのが困難であったため、その代わりに、カーボネート結合(X=O)類似体2に注目が集中している。
ベンゼンスルホンアミジル−アルキルアミノ−アルキルカーボネート塩酸塩2
供与体2BrPAは、pH7.4で、約2分間の単一の規定された(single defined)半減期を有するHNOを高い収率で生成する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Toscanoらの米国特許第8,030,356号を参照されたい。2におけるトリガーアミン上の(R)またはスペーサー長さ(n)を変更すると、制御された2BrPA放出によって効果的なHNO生成速度を調整することができる(表2)。2BrPAの半減期より遅い放出速度を有する供与体2は、環化の速度でHNOを生成する。分解生成物、速度およびHNO生成を分析し2BrPAと比較した(表2)。
供与体化合物を、PBS中(pH7.4)、37℃でインキュベートした。HNO収率は、完全分解に続く較正基準を用いたNOヘッドスペース分析によって決定した(SEM±5%;n=3)。HNO収率を2BrPAと比較して報告する。グルタチオンを添加して完全にクエンチすることにより、NOの供給源としてのHNOが確認された。UV/visで決定した(SEM±5%;n=3)。HPLCで決定した(SEM±5%;n=3)。
アミン立体環境、および放出速度に対するその効果
表2のデータは、アルキルアミントリガーを含む脂肪族誘導体2a、2bおよび2cが、PBS緩衝液中でインキュベートした場合、2BrPAを急速に放出することを表している。2a、2bおよび2cの半減期はそれぞれ1分間未満であった。この観察は、アルキルアミンが良好な求核試薬であること、および5員環の形成し易さと一致する(ステップ(a)、スキーム3)。2dにおけるtert−ブチルアミンの使用は、環化を妨げている(表3)。誘導体2は、47分間の半減期を有しており、2a、2bおよび2cより大幅に長い。2dの分解は、2BrPAから期待されるHNOの量の64%しかもたらさない(表2)。
副生成物環サイズ、および放出速度に対するその効果
スペーサーを1つのメチレンで延長した場合、半減期はまた大幅に増大する。N−イソプロピル−アミノプロピル誘導体2hは、約0.8分間の半減期を有するそのより短いN−イソプロピル−アミノエチル類似体2cと比較して、18時間の半減期を有する(表2)。放出動力学における差はまた、形成された環のサイズに基づいて一致していた(スキーム3)。アルキルスペーサー上に増大した分枝を用いて、2hの半減期を改変させることができる。分枝を増大させると、トリガーアミンがカーボネート結合に近接している構造にバイアスをかけることができる。この構造は、2hと比較してより速い放出速度をもたらすことになる。同様に、2hのHNO収量は、2BrPAについて観察された収量のわずか30%にすぎなかった。
スキーム3。(a)5員の副生成物3および(b)6員の副生成物4を生成する2cおよび2hの予測される分解。
アミン求核性、および放出速度に対するその効果
トリガーアミン(R)の立体構造およびスペーサーの長さ(n)を変える(スキーム2を参照されたい)ことに加えて、アミントリガーの求核性を検討した。フェニル誘導体2eは、22分間の半減期を有しており、2dを除いたそのアルキルアミン対応物2a、2b、2cより大幅に長い(表2)。アルキルアミンは、アリールアミンと比較して、求核的である。2e、2fおよび2gにおけるアリールアミントリガーの比較は、それぞれ22分間、0.8分間および50分間の半減期を示している(表2)。2fなどの活性化された環系は、置換されていない2eと比較して、2BrPAの放出を加速すると予測され、2gのような不活性化された系は放出を減速すると予測される。この観察は、2BrPAの放出を、アミントリガーの求核性に基づいて調整できることを実証している。2gは、2BrPAから生成されるHNOの69%しかもたらさないことにも注意すべきである。
誘導体1および2の分解を、HPLC分析によりモニターした。それぞれの場合、その誘導体からPAかまたは2BrPA分解の副生成物である2−ブロモベンゼンスルフィン酸(2BrSA)への完全(clean)な分解が観察された。2d、2gおよび2hを、2BrPAと比較してHNO生成について評価した場合、その収率は著しく低い(表2)。NMR実験によって2dをより周到にモニターすると、HPLCでは観察されない他の経路の存在が示唆される(スキーム4)。
スキーム4。2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−(tert−ブチルアミノ)エチルカーボネート塩酸塩2dの分解生成物
HNO形成経路から予測される環化した副生成物3が、2dから約60%の収率で生成した(スキーム4)。3の収率は、検出されたHNOの収率(64%)と一致している(表2)。環化生成物5も特定され、約10%の収率で生成した。他の副生成物は約30%の収率で生成した。
式(I)の化合物の代表的な実施形態
本発明で開示する主題は、生理学的条件下、中性のpHで分子内環化−脱離を受けて非酵素的にHNOを放出または供与することができる式(I)の化合物を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明で開示する主題は式(I)の化合物:
(式中、nは1、2または3からなる群から選択される整数であり;
はOおよびNRからなる群から選択され;
RおよびRは、それぞれ独立に、H、非置換または置換の直鎖状または分枝状アルキルおよび非置換または置換アリールからなる群から選択され;
は、ハロゲンおよびL−Yからなる群から選択される離脱基であり、Lは結合、−SO−または−O−であり、Yは、W、アルキルまたは単環式、二環式もしくは三環式のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、置換されていないか、またはWから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されており、Wは、置換または非置換の直鎖状または分枝状アルキル、アルコキシル、ペルハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、カルボキシル、カルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ハロゲン、アミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシル、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ニトロ、シアノ、ニトリル、アミド、ハロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、アリールオキシル、置換アリールオキシル、シクロアルキル、アラルキルオキシル、−SOH、アシル、−COR、−COOR、−CONR、−CH(C(O)R、−SOまたは−COXからなる群から選択される置換基であり、Xはハロゲンであり、RおよびRは独立にアルキルまたはアリールであるか、あるいはRとRは一緒になって置換もしくは非置換のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成する)
ならびに薬学的に許容されるその塩および水和物を提供する。
式(I)の化合物は、発行日2011年10月4日のToscanoらの「N-hydroxylsulfonamide Derivatives as New Physiologically Useful Nitroxyl Donors」についての米国特許第8,030,356号および発行日2012年7月24日のToscanoらの「N-hydroxylsulfonamide Derivatives as New Physiologically Useful Nitroxyl Donors」についての8,277,639、公開日2011年6月9日のToscanoらの「Bis-Acylated Hydroxylamine Derivatives」についての米国特許出願公開第US2011/0136827号、公開日2011年6月16日のToscanoらの「N-Acyloxysulfonamide and NHydroxy-N-Acylsulfonamide Derivatives」についてのUS2011/0144067、公開日2011年12月15日のToscanoらの「N-Hydroxylsulfonamide Derivatives as New Physiologically Useful Nitroxyl Donors」についてのUS2011/0306614、公開日2012年10月11日のToscanoらの「N-Hydroxylsulfonamide Derivatives as New Physiologically Useful Nitroxyl Donors」についてのUS2012/0258965、公開日2011年6月16日のToscanoらのBis-Acylated Hydroxylamine Derivativesについての国際PCT特許出願公開番号WO/2011/071947、公開日2011年6月16日のToscanoらのN-Acyloxysulfonamide and N-Hydoxy-N-Acylfulfonamide DerivativesについてのWO/2011/071951、公開日2009年4月2日のToscanoらのN-Hydroxylsulfonamide Derivatives as New Physiologically Useful Nitroxyl DonorsについてのWO/2009/042970、出願日2012年10月16日のToscanoらの「N-Substituted Hydroxylamine Derivatives with Carbon-based Leaving Groups」についての国際PCT特許出願番号PCT/US2012/060425および出願日2011年10月17日のToscanoらの「N-Substituted Hydroxylamine Derivatives with Carbon-Based Leaving Groups as Physiologically Useful Nitroxyl (HNO) Donors」についての米国仮出願第61/548,036号に開示されている離脱基を含む。これらのそれぞれを、その全体において、参照により本明細書に組み込む。
いくつかの実施形態では、その離脱基は、これらに限定されないが、出願日2012年10月16日のToscanoらの「N-Substituted Hydroxylamine Derivatives with Carbon-based Leaving Groups」についての国際PCT特許出願番号PCT/US2012/060425および出願日2011年10月17日のToscanoらの「N-Substituted Hydroxylamine Derivatives with Carbon-Based Leaving Groups as Physiologically Useful Nitroxyl (HNO) Donors」についての米国仮出願第61/548,036号に開示されているものを含む炭素ベースの離脱基を含む。これらのそれぞれを、その全体において、参照により本明細書に組み込む。
このような炭素ベースの離脱基は、本明細書で直後に示すN−置換ヒドロキシルアミン誘導体
(式中、XおよびZは独立に、−O−、−NR−、−S−、−CR−および−CR−から選択され;Yは−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=NR)−および−CR−から選択され;RはC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシル、C〜C10アリール、−C(=O)R、−C(=S)R、−C(=NR)Rおよび−C(=NOR)Rであり、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシルおよびアリールは置換されていないか、または1つもしくは複数の置換基で置換されており;R、R、R、R、RおよびRは独立に、−H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜C10アリール、C〜C10ヘテロシクロアルキル、C〜C10ヘテロシクロアルケニル、C〜C10ヘテロアリールから選択され、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルおよびヘテロアリールは置換されていないか、または1つもしくは複数の置換基で置換されている);および
(式中、RはC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシル、C〜C10アリール、−C(=O)R、−C(=S)R、−C(=NR)Rおよび−C(=NOR)Rであり、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシルおよびアリールは置換されていないか、または1つもしくは複数の置換基で置換されており;Rは−H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜C10アリール、C〜C10ヘテロシクロアルキル、C〜C10ヘテロシクロアルケニルおよびC〜C10ヘテロアリールから選択され、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルおよびヘテロアリールは置換されていないか、または1つもしくは複数の置換基で置換されており;R、RおよびRは独立に、−H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜C10アリール、C〜C10ヘテロシクロアルキル、C〜C10ヘテロシクロアルケニル、C〜C10ヘテロアリールから選択され、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルおよびヘテロアリールは置換されていないか、または1つもしくは複数の置換基で置換されている)
から誘導することができる。
特定の実施形態では、式(I)の化合物は以下の構造:
(式中、
mは0、1、2、3、4および5からなる群から選択される整数であり;
各Yは独立に、置換または非置換の直鎖状または分枝状アルキル、アルコキシル、ペルハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、カルボキシル、カルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ハロゲン、アミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシル、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ニトロ、シアノ、ニトリル、アミド、ハロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、アリールオキシル、置換アリールオキシル、シクロアルキル、アラルキルオキシル、−SOHおよびアシルからなる群から選択される)
を有する。
より特別な実施形態では、式(I)の化合物は以下の構造:
を有する。特定の実施形態では、Rはメチル、イソプロピル、ベンジルおよびフェニルからなる群から選択される。他の特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、sec−ブチルおよびベンジルからなる群から選択される。
他の実施形態では、式(I)の化合物は以下の構造:
を有する。特定の実施形態では、Rはメチル、イソプロピル、t−ブチル、ベンジル、フェニル、4−クロロフェニルおよび4−メトキシフェノールからなる群から選択される。
他の実施形態では、本発明で開示する主題は、1つもしくは複数の直前に開示した本発明で開示する式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明で開示する主題は、1つもしくは複数の直前に開示した本発明で開示する式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を含むキットであって、ニトロキシル療法に応答する疾患または状態の治療において使用するための指示書をさらに含むキットを提供する。
本明細書で開示するすべての化合物について、立体中心の存在のため、適切な場合には、その化合物は、表示または説明される化合物の可能なすべての立体異性体を包含するものとする。少なくとも1つの立体中心を有する化合物を含む組成物も本発明で開示する主題によって包含され、それらは、ラセミ混合物、または鏡像異性体的に過剰な1つの鏡像異性体を含む混合物または単一のジアステレオマーもしくはジアステレオマー混合物を含む。これらの化合物のこのようなすべての異性体は、あらゆる異性体が具体的かつ個別的に挙げられているかのように、本明細書では明確に包含される。本明細書の化合物は、結合の回転が特定の連結周りで制約される連結(例えば、炭素−炭素結合)、例えば環または二重結合の存在によってもたらされる制約を含むこともできる。したがって、すべてのcis/trans型およびE/Z型の異性体も明らかに本発明で開示する主題に含まれる。本明細書の化合物は複数の互変異性型で表すこともでき、このような場合、本発明で開示する主題は、単一の互変異性型しか表されていなくても、本明細書で説明する化合物のすべての互変異性型を明らかに含むものとする。実質的に純粋な化合物の組成物も包含される。実質的に純粋な化合物の組成物は、組成物が実質的に純粋な単一の異性体を含む場合、その化合物の異なる立体化学形態を含むことができる生物学的に活性な異なる化合物などの25%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下の不純物または1%以下の不純物を含むことを意味する。
II.治療の方法
心不全のまとめ
うっ血性心不全(CHF)は一般に、心筋収縮能が低下し、その結果心臓が血液を適切に送り出してもとに戻すことができなくなる進行性の生命にかかわる状態であり、代償不全とも称される。その症状には、息切れ、疲労、脱力、下肢の腫脹および運動不耐性が含まれる。理学的検査(physical examination)で、心不全を有する患者はしばしば、高い心拍数および呼吸数(肺内の流動性の指標(indication of fluid in the lung))、浮腫、頸静脈怒張(jugular venous distension)および肥大心を有する。CHFの最も一般的な原因は、心筋への血流をもたらす冠動脈において閉塞を引き起こすアテローム性動脈硬化症である。最終的に、このような閉塞は、その後に心臓機能の低下および結果として心不全を伴う、心筋梗塞を引き起こす可能性がある。CHFの他の原因には、弁膜心疾患、高血圧、心臓のウイルス感染症、アルコール消費および糖尿病が含まれる。一部の場合、CHFは、明確な病因なしで起こり、これは特発性のCHFと称される。この状態を抱えている対象に対するCHFの影響は致命的である。
数種類のCHFが存在する。2つの種類のCHFは心拍出周期(cardiac pumping cycle)のどの期(phase)がより影響を受けているかによって特定される。収縮期心不全は、心臓の収縮能力が低下したときに起こる。心臓は、十分な量の血液を循環系へ押出すのに十分な力で送り出すことができず、左心室駆出率の低下をもたらす。肺うっ血は、収縮期心不全の典型的な症状である。拡張期心不全は、収縮の間に心臓を弛緩させて十分な血液が心室に入るようにすることができないことを指す。心拍出量を維持するためには、より高い充満圧が必要となるが、左心室駆出率で測定される収縮性は一般に正常である。腹部および脚部の腫れ(浮腫)は、拡張期心不全の典型的な症状である。しばしば、心不全を抱える個体は、ある程度の収縮期心不全と拡張期心不全の両方をもつことになる。
CHFは、その重症度によっても分類される。ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)はCHFを4つのクラスに分類している。すなわち:クラスIは明らかな症状は伴わず、身体活動性に対する制限はなく;クラスIIは通常の活動の間またはその後にいくらかの症状を伴い、軽度の身体活動性に制限があり;クラスIIIは通常より少ない活動で症状を伴い、中程度から相当な程度の身体活動性の制限があり;クラスIVは安静時で相当な程度の症状を伴い、重い身体活動性制限から完全な身体活動性の制限がある。一般に、個体は、この状態を抱えて生活するのにしたがって、これらのクラスを進行してゆくことになる。
CHFは、一般に慢性的で進行性の状態と考えられているが、突然発現する可能性もある。この種のCHFは、急性CHFと称され、医学的な緊急事態である。急性CHFは、心筋梗塞などの心筋パフォーマンスか、または僧帽弁逆流もしくは心室中隔破裂などの心臓弁/室の完全性に影響を及ぼす急性心筋損傷によって引き起こされる可能性があり、結果的に肺浮腫および呼吸困難となる左心室および拡張期の圧力の急激な上昇をもたらす。
CHFのための一般的な治療剤には、血管拡張剤(血管を拡張する薬物)、陽性変力物質(心臓が収縮する能力を増大させる薬物)および利尿剤(体液(fluid)を減少させるための薬物)が含まれる。さらに、β−アンタゴニスト(β−アドレナリン受容体をアンタゴナイズする薬物)は、軽度〜中程度の心不全を治療するための標準的な薬剤になってきている。Lowesら、 Clin. Cardiol, 23:11111〜11116頁(2000)。
陽性変力剤には、ドーパミン、ドブタミン、ドペキサミンおよびイソプロテレノールなどのβ−アドレナリンアゴニストが含まれる。しかし、β−アゴニストの使用には、催不整脈、および心臓による酸素要求量の増大などの合併症の可能性がある。さらに、これらの薬物によってもたらされる、心筋収縮能の初期での短命な改善には、より高い頻度の突然死によって主にもたらされる死亡率の加速が後に続く。Katz, HEART FAILURE:PATHOPHYSIOLOGY, MOLECULAR BIOLOGY AND CLINICAL MANAGEMENT, Lippincott, Williams & Wilkins(1999)。
β−アンタゴニストはβ−アドレナリン受容体機能をアンタゴナイズする。それらは、心不全において当初は禁忌であったが、臨床試験において死亡率および罹患率の顕著な低下をもたらすことが分かっている。Bouzamondoら、Fundam. Clin. Pharmacol, 15:95〜109頁(2001)。したがって、それらは心不全のための確立された治療法となってきている。しかし、β−アンタゴニスト療法のもとで良くなってきている対象でも、代償不可能となり(decompensate)、陽性変力剤での急性期治療を必要とする可能性がある。残念なことに、それらの名前が示唆するように、β−アンタゴニストは、救急医療センターで使用される陽性変力β−アゴニストの作用の機序を遮断する。Bristowら、J. Card. Fail, 7:8〜12頁(2001)。
ニトログリセリンなどの血管拡張剤は、心不全を治療するために長い期間にわたって使用されている。しかし、ニトログリセリンの治療効果の原因は、一酸化窒素分子(NO)がニトログリセリンの有益な効果に関与していることが発見された前世紀末まで分かっていなかった。心不全を抱えた一部の対象においては、一酸化窒素供与体が、血管拡張の惹起と心筋収縮能の増大の両方のために、陽性変力剤と併用して投与される。しかし、この併用投与は、陽性変力治療剤の有効性を損なう恐れがある。例えば、Hartら、 Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol., 281:146〜154頁(2001)は、一酸化窒素供与体のニトロプルシドナトリウムを、陽性変力物質であるβ−アドレナリンアゴニストドブタミンと併用して投与すると、ドブタミンの陽性変力効果を損なうことを報告している。Hareら、Circulation, 92:2198〜203頁(1995)も、ドブタミンの有効性に対する一酸化窒素の阻害作用を開示している。
米国特許第6,936,639号に記載されているように、生理学的条件下でニトロキシル(HNO)を供与する化合物は、陽性変力効果と変弛緩効果の両方を有しており、心不全のための既存の治療に優る重要な利点を提供する。同時に起こるそれらの陽性変力/変弛緩作用および負荷軽減効果のため、ニトロキシル供与体は、高い負荷抵抗と低い収縮性能を特徴とする循環器疾患を治療するために有用であると報告されている。特に、ニトロキシル供与化合物は、β−アンタゴニスト療法を受けている個体の心不全を含む、心不全の治療に有用であると報告されている。
虚血のまとめ
虚血は、組織への血液供給の妨害またはその不十分な供給を特徴とする状態であり、罹患組織において酸素欠乏を引き起こす。心筋虚血は、動脈硬化性プラークの閉塞または破裂で起こり得るような、冠動脈の1つもしくは複数の封鎖または狭窄によって引き起こされる状態である。その封鎖または狭窄は、かん流されていない組織の酸素欠乏を引き起こし、これは組織損傷を引き起こす可能性がある。さらに、続く組織の再酸素化での再かん流の際に、血液が再び流れ得るようになるかまたは組織の酸素要求が鎮まったとき、酸化的ストレスによって追加的な損傷が引き起こされる可能性がある。
虚血/再かん流傷害は、酸素欠乏、それに続く再酸素化によって引き起こされる組織損傷を指す。その状態を抱えた対象における虚血/再かん流傷害の影響は、特に、その損傷が心臓または脳などの極めて重要な臓器で起こる場合、致命的となる恐れがある。
したがって、虚血/再かん流傷害を防止または防御するのに効果的な化合物および組成物は有用な薬剤であろう。血管緊張の制御および心筋虚血/再かん流傷害の防止を助けるために、ニトログリセリンなどの化合物が長い間使用されてきた。一酸化窒素分子がニトログリセリンの有益な効果に関与していることが発見された。この発見は、一酸化窒素についての医学的用途への関心およびニトロキシルなどの関連種の研究を促進させた。米国特許出願第10/463,084号(米国特許公開第2004/0038947号)に報告されているように、虚血に先立つ、生理学的条件下でニトロキシルを供与する化合物の投与は、組織、例えば心筋組織への虚血/再かん流傷害を弱めることができる。従来は、ニトロキシルは虚血/再かん流傷害を増大させると報告されていたことを考えれば、この有益な効果は驚くべき結果であると報告されている(虚血の間でかつ再かん流の5分前での、麻酔をかけたウサギへのアンジェリ塩(生理学的条件下でニトロキシル供与体)の投与が心筋虚血/再かん流傷害を増進させることを報告しているMaら、「Opposite Effects of Nitric Oxide and Nitroxyl on Postischemic Myocardial Injury」 Proc. Nat'l Acad. ScL, 96(25):14617〜14622頁(1999)、および、ラット腎組織の虚血の間でかつ再かん流の5分前でのアンジェリ塩の投与が虚血/再かん流傷害を媒介すると考えられる、組織中への好中球浸潤に寄与することを報告しているTakahiraら、「Dexamethasone Attenuates Neutrophil Infiltration in the Rat Kidney in Ischemia/Reperfusion Injury: The Possible Role of Nitroxyl」 Free Radical Biology & Medicine, 31(6):809〜815頁(2001)を参照されたい)。特に、アンジェリ塩およびイソプロピルアミン/NOの虚血前投与は、虚血/再かん流傷害を防止または軽減すると報告されている。
化合物および組成物の使用方法
本明細書で開示する式(I)の化合物および組成物は、ニトロキシル療法に応答する疾患または状態を治療、および/またはその開始および/または進行を防止するために使用することができる。本発明で開示する主題は、個体(このような治療を必要とすると確認された個体を含む)に有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与して所望の効果をもたらす方法を包含する。このような治療を必要とする対象を確認するのは、医師、臨床スタッフ、救急救命士または他の健康管理の専門家の判断であってよく、それは主観的(例えば、意見)であっても客観的(例えば、試験または診断法によって測定可能なもの)であってもよい。
1つの実施形態は、それを必要とする個体におけるインビボでのニトロキシルのレベルを調節する(増大させることを含む)方法であって、その個体に、生理学的条件下でニトロキシルを供与する化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与するステップを含む方法を提供する。個体が、ニトロキシル療法に応答する疾患または状態を有する、あるいはそれを有していると疑われるまたはそれを有しているもしくは発現する危険性がある場合、彼らはニトロキシルの調節を必要とする。
本開示の方法に包含される具体的な疾患または状態には、循環器疾患、例えば心不全または状態、および虚血/再かん流傷害に関係しているまたは関係している可能性がある疾患または状態が含まれる。これらの方法を、本明細書で以下でより詳細に説明する。
本発明で開示するニトロキシル供与化合物を含む組成物は、本発明で開示する主題に包含される。しかし、説明する方法は、2つ以上のニトロキシル供与化合物を使用することができる;例えば、この方法は、一緒に投与してもまた逐次的に投与してもよい、アンジェリ塩、および本発明で開示する式(I)もしくは式(II)の化合物または2つ以上の本発明で開示するヒドロキシルアミン誘導体を用いることができる。
循環器疾患
有効量の少なくとも1つのニトロキシル供与化合物を、それを必要とする個体に投与することによって、心不全などの循環器疾患を治療する方法を本明細書で提供する。治療有効用量の少なくとも1つのニトロキシル供与化合物を、少なくとも1つの他の陽性変力剤と併用して、それを必要とする個体に投与する方法も提供する。治療有効量の少なくとも1つのニトロキシル供与化合物を、β−アンタゴニスト療法を受けており、心不全を抱えている個体に投与する方法をさらに提供する。心不全を治療するために、本発明で開示する式(I)の化合物を、β−アドレナリンアゴニストと併用して投与する方法を本明細書で提供する。このようなアゴニストには、ドーパミン、ドブタミンおよびイソプロテレノールならびにこのような化合物の類似体および誘導体が含まれる。ニトロキシル供与体を、プロプラノロール、メトプロロール、ビソプロロール、ブシンドロールおよびカルベジロールなどのβ−拮抗剤で治療を受けている個体に投与する方法も提供する。さらに、クラスHI心不全および急性心不全などの特定の部類の心不全を治療するための方法を本明細書で提供する。
有効量の少なくとも1つのニトロキシル供与化合物を、心不全を抱えている可能性のあるそれを必要とする個体に投与することによって、急性うっ血性心不全を含むうっ血性心不全(CHF)を治療する方法も本発明で開示する主題に包含される。有効量の少なくとも1つのニトロキシル供与化合物を、有効量の少なくとも1つの他の陽性変力剤と併用して、心不全を抱えている可能性のあるそれを必要とする個体に投与するステップを含むCHFを治療する方法も開示する。1つの変形体では、他の陽性変力物質はドブタミンなどのβ−アドレナリンアゴニストである。ニトロキシル供与体と少なくとも1つの他の陽性変力剤の併用投与は、ニトロキシル供与体を他の陽性変力剤に対して逐次的に投与するステップ、例えば、最初に1つの薬剤、次いで第2の薬剤を用いた治療か、または、両方の薬剤をほぼ同時に(そこでは投与の実行において重複がある)投与するステップを含む。逐次投与で、第2の薬剤との併用において治療的に有効であるのに十分ないくらかの量の第1の薬剤が、他方の薬剤を投与したときその対象中に残留している限り、個体は異なる時間にそれらの薬剤に暴露される。両方の薬剤による同時での治療は、物理的に混合された用量などの同一用量、または同時に投与される別個の用量での薬剤の投与を含むことができる。
特定の実施形態では、ニトロキシル供与体を、β−アンタゴニスト療法を受けている心不全を抱える個体に投与する。β−アンタゴニスト(β遮断薬としても公知である)には、対象のβ−アドレナリン受容体でアンタゴニストとして効果的に作用して、血管緊張および/または心拍数の減少などの所望の治療的または薬学的結果を提供する任意の化合物が含まれる。β−アンタゴニスト療法を受けている対象は、β−アンタゴニストが投与されており、かつβ−アンタゴニストが対象のβ−アドレナリン受容体でアンタゴニストとして作用し続けている任意の対象である。特定の実施形態では、対象がβ遮断治療を受けているかどうかの判定は、その対象の病歴を検査することによってなされる。他の実施形態では、対象は、Thevisら、Biomed Chromatogr., 15:393〜402頁(2001)に記載されているような高速液体クロマトグラフィーなどの化学的試験によってβ遮断剤の存在についてスクリーニングされる。
ニトロキシル供与化合物の単独かまたは陽性変力剤との併用でβ−アンタゴニスト療法を受けている対象への投与は、すべての部類の心不全の治療のために用いられる。特定の実施形態では、ニトロキシル供与化合物を、クラスII心不全などの初期段階の慢性心不全を治療するために使用する。他の実施形態では、ニトロキシル供与化合物を、イソプロテレノールなどの陽性変力剤と併用してクラスIV心不全を治療する。さらに他の実施形態では、ニトロキシル供与化合物を、イソプロテレノールなどの別の陽性変力剤と併用して急性心不全を治療する。いくつかの実施形態では、ニトロキシル供与体を、初期段階の心不全を治療するために使用する場合、投与される用量は、急性心不全を治療するために使用される用量より少ない。他の実施形態では、その用量は、急性心不全を治療するために使用される用量と同じである。
虚血/再かん流傷害
本発明で開示する主題は、虚血/再かん流傷害を治療または防止もしくは防御する方法を包含する。特に、本発明で開示する式(I)の化合物は、虚血イベントの危険性のある個体に有益である。したがって本明細書では、好ましくは虚血の開始前に、有効量の少なくとも1つのニトロキシル供与化合物を個体に投与することによって、虚血/再かん流に伴う損傷を防止または軽減する方法を提供する。本発明で開示する式(I)の化合物は、虚血後であるがしかし再かん流の前に、個体に投与することができる。本発明で開示する式(I)の化合物は、虚血/再かん流後ではあるがその投与がさらなる損傷を防御する場合に、投与することもできる。個体に虚血イベントの危険性があることが実証される方法も提供する。ニトロキシル供与化合物を、移植臓器のレシピエントにおける再かん流の際の臓器組織への虚血/再かん流傷害を軽減するのに効果的な量で、移植されることになる臓器に投与する方法も開示する。
したがって、本発明で開示する主題のニトロキシル供与体は、将来の虚血/再かん流に伴う損傷を防止または軽減する方法において使用することができる。例えば、虚血の開始前でのニトロキシル供与体の投与は、危険性のある組織における組織壊死(梗塞のサイズ)を減少させることができる。生体対象(live subject)において、これは、虚血の開始前の個体への有効量のニトロキシル供与化合物の投与によって遂行することができる。移植を受ける臓器では、これは、移植レシピエントにおける臓器再かん流の前に、その臓器をニトロキシル供与体と接触させることによって遂行される。2つ以上のニトロキシル供与化合物を含む組成物、例えばアンジェリ塩および式(I)の化合物を、説明する方法において使用することもできる。ニトロキシル供与化合物は、β遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、抗血小板治療などの虚血性傷害を最少化するように設計された他のクラスの治療剤、または冠動脈疾患を有する個体において心筋を保護するための他の介入治療と併用することもできる。
ニトロキシル供与体を生体対象へ投与する1つの方法は、虚血の開始前でのニトロキシル供与化合物の投与を含む。これは虚血のそれぞれの場合の開始だけを指すものであり、前に虚血イベントを有していた対象でのこの方法のパフォーマンスを排除するものではない、すなわち、この方法は、過去に虚血イベントを有していた対象へのニトロキシル供与化合物の投与も考慮する。
初めてまたは継続して虚血イベントが起こる危険性のある個体を選択することができる。その例には、既知の高コレステロール血症、虚血の危険性に伴うEKG変化、セデンタリーライフスタイル、部分的な冠動脈閉塞の血管造影法的な証拠、心筋損傷の心エコー的な証拠、または将来的なもしくは追加的虚血イベントの危険性の他の任意の証拠(例えば心筋梗塞(MI)などの心筋虚血イベントまたは脳血管発作CVAなどの神経血管性虚血)を有する個体が含まれる。これらの方法の特定の例では、将来虚血の危険性があるが、現在は虚血の証拠(虚血に伴う心電図上の変化(例えば、適切な臨床状況における、ピーク型または逆転型のT波またはST部分の上昇または下降)、高いCKMBまたは虚血の臨床的証拠、例えば激しい胸骨下の胸痛または腕の痛み、息切れおよび/または発汗)がない個体が治療のために選択される。ニトロキシル供与化合物を、心筋虚血が起こり得る手順、例えば血管形成術または外科手術(冠動脈のバイパス移植手術など)に先行して投与することもできる。虚血イベントについて危険性が実証されている個体に、ニトロキシル供与化合物を投与する方法も包含される。このような状態を有する個体の選択は、その一部が上で注記されている様々な方法で実施することができる。例えば、アクティブ虚血に関係しない異常EKG、心筋梗塞の履歴、高い血清コレステロールなどの1つまたは複数を有する個体は、虚血イベントの危険性があることになる。したがって、危険性のある個体は、その対象が虚血イベントの危険性の何らかの兆候を有しているどうかを判定するために、理学的試験をするかまたは潜在的な対象の病歴を引き出すことによって選択することができる。上で論じた兆候、または当業者が理解し得る他の任意の兆候に基づいて危険性が実証された場合、その個体は、虚血イベントの危険性が実証されていると考えられる。
虚血/再かん流は、心筋の組織以外の組織にも損傷を与える可能性があり、本発明で開示する主題はこのような損傷を治療または防止する方法を包含する。1つの変形体では、その方法は、脳、肝臓、消化管(gut)、腎臓、腸の組織または他の任意の組織における虚血/再かん流による損傷を軽減するのに用いられる。これらの方法は、このような損傷の危険性のある個体へのニトロキシル供与体の投与を含むことが好ましい。非心筋性虚血の危険性のある者を選ぶのには、心筋虚血の危険性を評価するために用いられる指標の決定を含むことができる。しかし、他の因子が、他の組織における虚血/再かん流の危険性を示す可能性がある。例えば、外科手術患者はしばしば外科手術に関連した虚血を経験する。したがって、外科手術が予定されている個体は、虚血イベントの危険性があると考えられる。脳梗塞についての以下の危険因子(またはこれらの危険因子のサブセット)、すなわち:高血圧、喫煙、頸動脈狭窄、肉体的不活発、真性糖尿病、脂質異常症、一過性脳虚血発作、心房性細動、冠動脈疾患、うっ血性心不全、心筋梗塞後症候群(past myocardial infarction)、壁在血栓による左心室機能障害および僧帽弁狭窄症は、脳組織の虚血に対する対象の危険性を実証することになる。Ingall, 「Preventing ischemic stroke:current approaches to primary and secondary prevention」Postgrad. Med., 107(6):34〜50頁(2000)。さらに、高齢者における未治療の感染性下痢症の合併症は、心筋、腎臓、脳血管および腸の虚血を含む可能性がある。Slotwiner-Nie & Brandt, 「Infectious diarrhea in the elderly」 Gastroenterol, Clin. N. Am., 30(3):625〜635頁(2001)。あるいは、個体を、虚血性の腸、腎臓または肝臓疾患についての危険因子に基づいて選択することができる。例えば、治療は、低血圧性エピソード(外科手術による失血など)の危険性のある高齢対象者において開始されよう。したがって、このような兆候を提示する対象は、虚血イベントの危険性があると考えられることになる。また、本発明で開示するニトロキシル供与化合物を、真性糖尿病または高血圧などの本明細書で挙げる状態のいずれか1つもしくは複数を有する個体に投与する方法も包含される。脳動静脈奇形などの虚血をもたらす可能性のある他の状態は、虚血イベントの危険性を示すと考えられる。
移植される臓器にニトロキシルを投与する方法は、例えば、臓器の取り出し過程において使用されるようなかん流カニューレを介した、ドナーからその臓器を取り出す前でのニトロキシルの投与を含む。臓器ドナーが生きたドナー、例えば腎臓ドナーである場合、虚血イベントの危険性のある対象のために、ニトロキシル供与体を、上で記載したような臓器ドナーに投与することができる。他の場合、ニトロキシル供与体を、ニトロキシル供与体を含む溶液中に臓器を保存することによって投与することができる。例えば、ニトロキシル供与体を、エチレングリコール、エチレンクロロヒドリンおよびアセトンを実質的に含まない、ヒドロキシエチルデンプンを含む溶液であるウィスコンシン大学の「UW」溶液(米国特許第4,798,824号を参照されたい)などの臓器保存溶液中に含めることができる。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明で開示する主題は、それを必要とする対象におけるインビボでのニトロキシルのレベルを調節する方法であって、その対象に、1つもしくは複数の本明細書で開示する本発明で開示の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を、インビボでのニトロキシルのレベルを調節するのに有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
他の実施形態では、本発明で開示する主題は、ニトロキシル療法に応答する疾患もしくは状態を治療する、またはその開始もしくは進行を防止または遅延させる方法を提供する。この方法は、それを必要とする対象に治療有効量の1つもしくは複数の本明細書で開示する本発明で開示の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与するステップを含む。
特定の実施形態では、本開示の治療方法は、対象に、1つまたは複数の本明細書で開示する本発明で開示の式(I)の化合物と併用して、アンジオテンシンI−変換酵素(ACE)阻害剤、α−アドレナリン遮断薬、中枢性アドレナリン阻害剤、β−アドレナリン遮断薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、血管拡張剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、コレステロール降下剤、抗不整脈剤、ジギタリス製剤、硝酸塩、利尿剤、抗凝固剤、抗血小板剤、血栓溶解剤、抗酸化剤およびその組合せからなる群から選択される第2の治療剤を投与するステップをさらに含む。特定の実施形態では、抗酸化剤は、脳梗塞および循環器疾患の治療のために現在臨床使用されている強力な抗酸化剤であるエダラボンを含む。例えばHigashi, Y.ら、「Edaravone (3-Methyl-1-Phenyl-2-Pyrazoin-5- one), A Novel Free Radical Scavenger, for Treatment of Cardiovascular Diseases」 Recent Patents on Cardiovascular Drug Discovery, 1, 85〜93頁(2006); Watanabe, T.「The Novel Antioxidant Edaravone: From Bench to Bedside」 Cardiovascular Therapeutics, 26, 101〜114頁(2008) を参照されたい。さらに、伝統的なHNO供与体であるアンジェリ塩は、特定の条件下で少量のヒドロキシル基を生成することが報告されている。例えばHughes, M. N.およびWimbledon, P. E., 「The Chemistry of Trioxodinitrates. Part I. Decomposition of Sodium Trioxodinitrate (Angeli's Salt) in Aquesous Solution」J. Chem. Soc. Dalton, 703〜707頁(1976); Ivanova, J.ら、「Formation of Nitroxyl and Hydroxyl Radical in Solutions of Sodium Trioxodinitrate」 J. Biol. Chem. 278(44):42701〜42708頁(2003)を参照されたい。
特定の実施形態では、本開示の方法で治療される疾患または状態は、循環器疾患、うっ血性心不全および心筋虚血/再かん流傷害からなる群から選択される。
医薬組成物、投与形態および治療レジメン
本発明で開示する化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を含む薬学的に許容される組成物も含まれ、これらの方法のいずれも、本発明で開示する式(I)の化合物を薬学的に許容される組成物として使用することができる。一般に、本発明で開示する式(I)の化合物は非常に良好な水溶性を示す。この特徴は、水溶性が劣る恐れのある多くのピローティ酸誘導体および多くのアシルオキシニトロソ化合物に優る利点である可能性がある。
薬学的に許容される組成物は、本発明で開示する式(I)の化合物の1つまたは複数を、薬学的に許容される担体と一緒に含む。本発明で開示する主題の医薬組成物は、経口、経直腸、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適したものを含む。
特定の実施形態では、本発明で開示する主題は、1つまたは複数の本発明で開示する式(I)の化合物を、本発明で開示する薬学的に活性な化合物の溶解性および生物学的利用能を改善できる改変されたシクロデキストリン分子に基づいてCaptisol(登録商標)(CyDex Pharmaceuticals、Inc.、Lenexa、Kansas、United States of America)と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。より具体的には、Captisol(登録商標)は、一連の負に荷電したスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン(SBE−CD)の1つである。当業者には、他のSBE−CDも、本発明で開示する化合物と一緒に使用するのに適している可能性があることが理解されよう。
これらの化合物または組成物は、使用できる任意の投与形態として調製することができる。単位投与形態も目的とするものであり、これらは、それぞれ所定量の化合物を;散剤または顆粒剤として;水性液体または非水性液体中の液剤または懸濁剤として;あるいは水中油型の液体乳剤もしくは油中水型の液体乳剤、またはリポソーム中に詰められたもの、およびボーラスなどとして含む、カプセル剤、サッシェ剤または錠剤などの化合物または組成物の個別の単位を含む。
その化合物または組成物を含む錠剤は、任意選択で1つまたは複数の副成分(accessory ingredient)と一緒に圧縮または成形することにより作製することができる。圧縮錠剤は、適切な機械中で、任意選択で結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、表面活性剤または分散剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械中で、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末状化合物の混合物を成形することによって作製することができる。錠剤は任意選択でコーティングするかまたは割線を入れることができ、その中の活性成分が遅延または制御放出を提供するように処方することができる。本明細書での化合物および当分野で公知の他の化合物などの薬学的に活性な成分のこのような遅延または制御放出組成物を処方する方法は当分野で公知であり、その一部がこれらに限定されないが米国特許第4,369,174号および同第4,842,866号を含むいくつかの発行された米国特許、ならびにそこに引用されている文献に記載されている。コーティングは、化合物を腸に送達させるために使用することができる(例えば、米国特許第6,638,534号、同第5,217,720号および同第6,569,457号ならびにそこに引用されている文献を参照されたい)。当業者には、錠剤に加えて、他の投与形態を処方して活性成分の遅延または制御放出を提供できることが理解されよう。このような投与形態には、これらに限定されないが、カプセル剤、顆粒剤およびジェルキャップ剤が含まれる。
局所投与に適した組成物には、香味付けされたベース、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に成分を含むトローチ剤;ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性ベース中に活性成分を含むパスティール剤が含まれる。
非経口投与に適した組成物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、およびその処方物に対象とするレシピエントの血液との等張性を付与する溶質を含むことができる水性および非水性の滅菌注射液剤;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含むことができる水性および非水性の滅菌懸濁剤が含まれる。これらの処方物は、単一用量または複数用量の容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル中に存在してよく、これらを、使用直前に、滅菌液体担体、例えば注射用の水を添加するだけでよいフリーズドライした(凍結乾燥した)状態で保存することができる。
即時注射液剤および懸濁剤は、滅菌した散剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
個体への化合物および組成物の投与は全身暴露を含むことも、また、化合物または組成物を目的の部位に投与する場合などの局所投与であってもよい。注射による、またはカテーテル、トロカール、発射器具(projectile)、プルロニックゲル剤(pluronic gel)、ステム、持続薬物放出ポリマーもしくは内部アクセスをもたらす他のデバイスを使用するなどの様々な技術を、主題組成物を目的部位に投与するために用いることができる。患者からの取り出しのために、臓器または組織がアクセス可能である場合、このような臓器または組織を、主題組成物を含む媒体中に浸すことができ、その主題組成物を臓器上に塗布する、または好都合な任意の仕方で塗布することができる。本発明で開示する主題の方法は、供与される臓器への化合物の投与を包含する(虚血/再かん流傷害を防止するためなど)。したがって、別の個体へ移植するために一方の個体から取り出される臓器を、本明細書で説明するような化合物または組成物を含む媒体中に浸すかあるいはそれに暴露させることができる。
本発明で開示する式(I)の化合物は、成人について1日に1回約0.0001〜4.0グラム(または分割用量で1日に複数用量)の投薬レベルを含み得る適切な任意の投薬量で投与することができる。したがって、本発明で開示する主題の特定の実施形態では、本明細書の化合物を、その範囲の下限が0.1mg/日〜400mg/日の間の任意の量であり、その範囲の上限が1mg/日〜4000mg/日の間の任意の量(例えば、5mg/日〜100mg/日、150mg/日〜500mg/日)である任意の投薬量範囲で投与する。他の実施形態では、本明細書の化合物を、その範囲の下限が0.1mg/kg/日〜90mg/kg/日の間の任意の量であり、その範囲の上限が1mg/kg/日〜100mg/kg/日の間の任意の量(例えば、0.5mg/kg/日〜2mg/kg/日、5mg/kg/日〜20mg/kg/日)である任意の投薬量範囲で投与する。投与間隔は個体の必要性に応じて調整することができる。より長い投与間隔のためには、持続放出製剤またはデポー製剤を使用することができる。投薬は、静脈内投与と釣り合わせることができる。例えば、化合物を、例えば静脈内投与に適している医薬組成物中で、約0.01μg/kg/min〜約100μg/kg/min、約0.05μg/kg/min〜約95μg/kg/min、約0.1μg/kg/min〜約90μg/kg/min、約1.0μg/kg/min〜約80μg/kg/min、約10.0μg/kg/min〜約70μg/kg/min、約20μg/kg/min〜約60μg/kg/min、約30μg/kg/min〜約50μg/kg/min、約0.01μg/kg/min〜約1.0μg/kg/min、約0.01μg/kg/min〜約10μg/kg/min、約0.1μg/kg/min〜約1.0μg/kg/min、約0.1μg/kg/min〜約10μg/kg/min、約1.0μg/kg/min〜約5μg/kg/min、約70μg/kg/min〜約100μg/kg/minまたは約80μg/kg/min〜約90μg/kg/minの量で投与することができる。1つの変形体では、この化合物は個体に、例えば静脈内投与に適している医薬組成物中で、少なくとも約0.01μg/kg/min、少なくとも約0.05μg/kg/min、少なくとも約0.1μg/kg/min、少なくとも約0.15μg/kg/min、少なくとも約0.25μg/kg/min、少なくとも約0.5μg/kg/min、少なくとも約1.0μg/kg/min、少なくとも約1.5μg/kg/min、少なくとも約5.0μg/kg/min、少なくとも約10.0μg/kg/min、少なくとも約20.0μg/kg/min、少なくとも約30.0μg/kg/min、少なくとも約40.0μg/kg/min、少なくとも約50.0μg/kg/min、少なくとも約60.0μg/kg/min、少なくとも約70.0μg/kg/min、少なくとも約80.0μg/kg/min、少なくとも約90.0μg/kg/minまたは少なくとも約100.0μg/kg/minもしくはそれ以上の量で投与することができる。他の変形体では、この化合物を個体に、例えば静脈内投与に適している医薬組成物中で、約100.0μg/kg/min未満、約90.0μg/kg/min未満、約80.0μg/kg/min未満、約80.0μg/kg/min未満、約70.0μg/kg/min未満、約60.0μg/kg/min未満、約50.0μg/kg/min未満、約40.0μg/kg/min未満、約30.0μg/kg/min未満、約20.0μg/kg/min未満、約10.0μg/kg/min未満、約5.0μg/kg/min未満、約2.5μg/kg/min未満、約1.0μg/kg/min未満、約0.5μg/kg/min未満、約0.05μg/kg/min未満、約0.15μg/kg/min未満、約0.1μg/kg/min未満、約0.05μg/kg/min未満または約0.01μg/kg/min未満の量で投与することができる。
本発明で開示する主題は、本明細書で説明するような1つまたは複数の化合物を含むキットをさらに提供する。キットは、本明細書で開示する化合物のいずれかおよび使用するための指示書を含むことができる。化合物は、許容される任意の形態で処方することができる。キットは、本明細書で説明する用途の任意の1つまたは複数のために使用することができ、したがって、それは、言及された用途(例えば、心不全または虚血/再かん流傷害を治療する、かつ/またはその開始および/または進行を防止するかつ/または遅延させること)のいずれか1つまたは複数のための指示書を含むことができる。
キットは一般に適切な包装を含む。キットは、本明細書で説明する任意の化合物を含む1つまたは複数の容器を備えることができる。各成分(2つ以上の成分が存在する場合)を別個の容器に包装するか、または、交叉反応性および保存寿命が許容される場合、いくつかの成分を1つの容器中に一緒にすることができる。
キットは、任意選択で一式の指示書、一般に文書での指示書を備えることができるが、本発明で開示する主題の方法(例えば、心臓疾患または虚血/再かん流傷害を治療する、その開始および/または進行を防止するかつ/または遅延させること)の成分の使用に関して、指示書を含む電子記憶媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光ディスク)も許容される。キットに含められる指示書は一般に、成分およびそれらの個体への投与に関する情報を含む。
III.定義
本明細書で特定の用語を使用するが、それらは、包括的で記述的な意味だけにおいて使用されるものであり、限定を目的とするものではない。別段の定義のない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明で説明する主題が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有するものとする。
式(I)の化合物の関する以下の用語は当業者によって十分理解されているものと考えるが、本発明で開示する主題の説明を容易にするために、以下の定義を示す。これらの定義は、補足し例示するためのものであり、本開示を検討すれば当業者に明らかである定義を排除するものではない。
「アラルキル」は、アリール部分がアルキル残基を介して親構造と結合している残基を指す。その例には、ベンジル(−CH−Ph)、フェネチル(−CHCHPh)、フェニルビニル(−CH=CH−Ph)、フェニルアリルなどが含まれる。
「アシル」は、基−C(O)H、−C(O)アルキル、−C(O)置換アルキル、−C(O)アルケニル、−C(O)置換アルケニル、−C(O)アルキニル、−C(O)置換アルキニル、−C(O)シクロアルキル、−C(O)置換シクロアルキル、−C(O)アリール、−C(O)置換アリール、−C(O)ヘテロアリール、−C(O)置換ヘテロアリール、−C(O)複素環および−C(O)置換複素環を指しそれらを含む。ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は本明細書で定義されるか、あるいは当分野で公知である通りである。
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」は、その炭素の1〜4個が、酸素、窒素または硫黄などのヘテロ原子で置き換えられているシクロアルキル残基を指す。その基がヘテロシクリル基である複素環の例には、テトラヒドロピラン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、チアゾリジン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが含まれる。ヘテロシクリル残基の具体的な例はテトラヒドロピラン−2−イルである。
「置換ヘテロシクロ」または「置換ヘテロシクロアルキル」は、1〜5個の置換基を有するヘテロシクリル基を指す。例えば、ハロ、ニトロ、シアノ、オキソ、アリール、アルコキシル、アルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルキル、ヘテロシクリル、−OS(O)−アルキルなどの1〜5個の基で置換されたヘテロシクリル基が、置換アルキルである。置換ヘテロシクロアルキルの具体的な例はN−メチルピペラジノである。
「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有する直鎖状炭化水素構造を意味するものとする。1〜4個の炭素原子を有するいわゆる「低級アルキル」基などのより少ない炭素原子数のアルキル基が包含される。「アルキル」は、3〜20個の炭素原子、好ましくは3〜12個の炭素原子、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有する分枝状または環状炭化水素構造も意味するものとする。「アルキル」という用語の任意の使用について、別段の明らかな表示のない限り、これは、その用語の各使用について、各およびあらゆるアルキル基が明白にかつ個別的に挙げられているのとあたかも同じように、炭素原子数によって測られる本明細書で開示するアルキル基のすべての変形体を包含するものとする。例えば、Rなどの基が「アルキル」であってよい場合、意図されるものはC〜C20アルキル、C〜C12アルキル、C〜Cアルキル、低級アルキル、C〜C20アルキル、C〜C12アルキルまたはC〜Cアルキルである。同じことは、定義において特定の数の原子が挙げられている他の定義下での基を含んでよい、本明細書で挙げられる他の基にもあてはまる。アルキル基が環状である場合、それは、シクロアルキル基を指すこともでき、例えば3〜20個の環炭素原子、好ましくは3〜12個の環炭素原子、より好ましくは3〜8個の環炭素原子を有する。特定の数の炭素を有するアルキル残基の名前が挙げられている場合、その炭素数を有するすべての幾何異性体が包含されるものとする。したがって、例えば「ブチル」はn−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルおよびt−ブチルを含むことを意味し;「プロピル」はn−プロピルおよびイソ−プロピルを含む。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチル、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、ノルボルニルなどが含まれる。1つまたは複数程度の不飽和が、アルキル基中に存在し得る。したがって、アルキル基は、アルケニルおよびアルキニル残基も包含する。「アルケニル」は2個以上の炭素原子、例えば2〜10個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子からなり、少なくとも1個、好ましくは1〜2個のアルケニル不飽和部位を有する基を指すものと理解される。アルケニル基の例には、−C=CH、−CHCH=CHCHおよび−CHCH=CH−CH=CHが含まれる。「アルキニル」は、好ましくは2〜10個の炭素原子、より好ましくは3〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1〜2個のアルキニル不飽和部位、例えば部分−C≡CHを有するアルキニル基を指す。アルキルは本明細書では、また、より大きい官能基の一部としてのアルキル残基を表すためにも用いられ、そのように用いられる場合、これは他の原子と一緒になって別の官能基を形成する。例えば、−C(O)Oアルキルへの参照は、その部分のアルキル部が任意のアルキル基であってよいエステル官能基を意味するものとする。単なる例としては、官能基−C(O)OCH、−C(O)(O)CH=CHなどが挙げられる。より大きい構造の一部としてのアルキル基の他の例には、残基−NHC(O)アルキルC(O)OHが含まれる。アルキルが−CHCH−である場合、これは例えばNHC(O)CHCHC(O)OHであってよい。
「置換アルキル」は1〜5個の置換基を有するアルキル基を指す。例えば、例えばハロ、ニトロ、シアノ、オキソ、アリール、アルコキシル、アシル、アシルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルキル、ヘテロシクリル、−OS(O)−アルキルなどの基で置換されたアルキル基が置換アルキルである。同様に、「置換アルケニル」および「置換アルキニル」は1〜5個の置換基を有するアルケニルまたはアルキニル基を指す。
本明細書で用いる「置換基」または「置換(された)(substituted)」という用語は、化合物または基(例えばアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルなど)上の水素基が、その化合物の安定性に実質的に悪影響を及ぼさない任意の所望基で置き換えられていることを意味する。一実施形態では、所望置換基は、化合物の活性に悪影響を及ぼさないものである。「置換(された)」という用語は、それぞれ水素原子を置き換える1つまたは複数の置換基(これは同じであっても異なっていてもよい)を指す。置換基の例には、これらに限定されないが、ハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、オキソ(すなわち、カルボニル)、チオ、イミノ、ホルミル、カルバミド、カルバミル、カルボキシル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、アルキル、アルケニル、アルコキシル、メルカプトアルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリルが含まれ、ここで、アルキル、アルケニル、アルキルオキシル、アリール、ヘテロアリール、シクリルおよびヘテロシクリルは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)またはイミノ(=Nアルキル)で任意選択で置換されていてよい。他の実施形態では、任意の基(例えば、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルなど)の上の置換基は、その基の任意の原子において(例えば、置換アルキル基の主炭素鎖の炭素原子上、または置換アルキル基上にすでに存在する置換基上)であっても、また、水素原子を置き換えるそれぞれの任意の原子においてであってもよく、ここで、置換されていてよい任意の基(例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクリル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクリルなど)は1つまたは複数の置換基(同じであっても異なっていてもよい)で任意選択で置換されていてよい。適切な置換基の例には、これらに限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシル、アリールオキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、オキソ(すなわち、カルボニル)、カルボキシル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシル、ヘテロアリールオキシカルボニル、チオ、メルカプト、メルカプトアルキル、アリールスルホニル、アミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルもしくはアルコキシカルボニルアミノ;アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルカルボニルもしくはアリールアミノ−置換アリール;アリールアルキルアミノ、アラルキルアミノカルボニル、アミド、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、イミノ、カルバミド、カルバミル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、スルホニルアルキル、スルホニルアリールまたはメルカプトアルコキシが含まれる。アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクリル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクリル上の追加的な適切な置換基には、これらに限定されないが、ハロゲン、CN、NO、OR11、SR11、S(O)OR11、NR1112、C〜Cペルフルオロアルキル、C〜Cペルフルオロアルコキシル、1,2−メチレンジオキシル、(=O)、(=S)、(=NR11)、C(O)OR11、C(O)R1112、OC(O)NR1112、NR11C(O)NR1112、C(NR12)NR1112、NR11C(NR10NR1112、S(O)NR111213、C(O)H、C(O)R13、NR11C(O)R13、Si(R11、OSi(R11、Si(OH)11、B(OH)、P(O)(OR11、S(O)R13、またはS(O)13が含まれる。各R11は独立に、水素である、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールで任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。各R12は独立に、水素、C〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C〜Cアルキルである、またはC〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールで置換されたC〜Cアルキルである。各Rは独立に、C〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C〜Cアルキルである、またはC〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールで置換されたC〜Cアルキルである。各R11、R12およびR13中の各C〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびC〜Cアルキルは、ハロゲン、CN、C〜Cアルキル、OH、C〜Cアルコキシル、COOH、C(O)OC〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノで任意選択で置換されていてよい。置換基は「電子求引基」であってもよい。
「電子求引基」は、それらが結合する部分の電子密度を低下させる(置換基をもたない部分の密度に対して)基を指す。このような基には、例えばF、Cl、Br、I、−CN、−CF、−NO、−SH、−C(O)H、−C(O)アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)OH、−C(O)Cl、−S(O)OH、−S(O)NHOH、−NHなどが含まれる。
「ハロ」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
「アルキルスルホニル」は、残基−SOシクロアルキル、−SO置換シクロアルキル、−SOアルケニル、−SO置換アルケニル、−SOアルキニル、−SO置換アルキニルを含む基−SOアルキル、−SO置換アルキルを指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルは本明細書で定義する通りである。
「W−ヒドロキシルスルホンアミジル」は、RがHまたはアルキルである−S(O)NROHを指す。
「ペルハロアルキル」は、その炭化水素の各HがFで置き換えられているアルキル基を指す。ペルハロ基の例には、−CFおよび−CFCFが含まれる。
「アリール」は単環式、二環式または三環式芳香族環を表すものとする。アリール基は、好ましくは、O、NもしくはSから選択される0〜3個の環ヘテロ原子を含む5もしくは6員の芳香族またはヘテロ芳香族環;O、NもしくはSから選択される0〜3個の環ヘテロ原子を含む二環式9もしくは10員の芳香族またはヘテロ芳香族環系(その環系が9もしくは10個の環原子をもつことを意味する)あるいはO、NもしくはSから選択される0〜3個の環ヘテロ原子を含む三環式13もしくは14員の芳香族またはヘテロ芳香族環系(その環系が13または14個の環原子をもつことを意味する)である。その基がアリール基である基の例には、例えばベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、ベンゾピラノン、チアゾール、フラン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾールおよびピラゾールが含まれる。
「置換アリール」は1〜3個の置換基を有する基を指す。例えば、ハロ、ニトロ、シアノ、オキソ、アリール、アルコキシル、アルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルキル、ヘテロシクリル、−OS(O)−アルキルなどの1〜3個の基で置換されたアリール基が置換アリールである。
「アルコキシ」は、酸素原子を介して親構造と連結されているアルキル基(−O−アルキル)を指す。シクロアルキル基が酸素原子を介して親構造と連結されている場合、この基はシクロアルコキシル基と称することもできる。その例には、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル、シクロプロピルオキシル、シクロヘキシルオキシルなどが含まれる。「ペルハロアルコキシル」は、酸素を介して親構造と結合しているペルハロアルキル基、例えば残基−O−CFを表すものとする。
「アリールオキシ」は、酸素原子を介して親構造と連結されているアリール基(−O−アリール)を指し、この例には、残基フェノキシル、ナフトキシルなどが含まれる。「置換アリールオキシル」は、酸素原子を介して親構造と連結されている置換アリール基(−O−置換アリール)を指す。
「アルキルスルファニル」は、硫黄原子を介して親構造と連結されているアルキル基(−S−アルキル)を指し、かつ、基−S−アルキルおよび−S−置換アルキルを指し、これは、残基−S−シクロアルキル、−S−置換シクロアルキル、−S−アルケニル、−S−置換アルケニル、−S−アルキニル、−S−置換アルキニルを含み、ここでアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルは本明細書で定義する通りである。シクロアルキル基が硫黄原子を介して親構造と連結されている場合、この基は、シクロアルキルスルファニル基と称することもできる。例として、アルキルスルファニルには、−S−CH(CH)、−S−CHCHなどが含まれる。
「アルキルスルフィニル」はS(O)部分を介して親構造と連結されているアルキル基を指し、かつ、基−S(O)アルキルおよび−S(O)置換アルキルを指し、これは、残基−S(O)シクロアルキル、−S(O)置換シクロアルキル、−S(O)アルケニル、−S(O)置換アルケニル、−S(O)アルキニル、−S(O)置換アルキニルを含み、ここでアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルは本明細書で定義する通りである。例として、アルキルスルフィニルには、残基−S(O)CH(CH)、−S(O)CH、−S(O)シクロペンタンなどが含まれる。
「アリールスルフィニル」はS(O)部分を介して親構造と連結されているアリール基を指し、その例には、残基−S(O)Phが含まれる。
「ジアルキルアミノ」は、各Rがアルキル基である基−NRを指す。ジアルキルアミノ基の例には、−N(CH、−N(CHCHCHCHおよびN(CH)(CHCHCHCH)が含まれる。
「カルボキシル」は−C(O)OHを指す。
本明細書で用いる「カルボキシルエステル」は、基−C(O)O−アルキル、−C(O)O−置換アルキル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−置換アリール、−C(O)O−アルケニル、−C(O)O−置換アルケニル、−C(O)O−アルキニル、−C(O)O−置換アルキニル、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−置換ヘテロアリール、−C(O)O−複素環または−C(O)O−置換複素環を指す。
「アシルアミノ」は基−C(O)NRを指す。ここで、各RおよびR基は独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環からなる群から選択されか、またはRとR基は窒素原子と一緒に結合して複素環式または置換複素環式環を形成していてよい。アシルアミノ部分の例には、−C(O)モルホリノが含まれる。
「スルホニルアミノ」は、基−SONH、−SONR−アルキル、−SONR−置換アルキル、−SONR−アルケニル、−SONR−置換アルケニル、−SONR−アルキニル、−SONR−置換アルキニル、−SONR−アリール、−SONR−置換アリール、−SONR−ヘテロアリール、−SONR−置換ヘテロアリール、−SOR−複素環および−SONR−置換複素環を指す。ここで、Rは水素、アルキルまたは−SONRであり、この2つのR基はそれらが結合している窒素原子と一緒になって複素環式または置換複素環式環を形成する。
「カルボニルアミノ」は基−CONH、−CONR−アルキル、−CONR−置換アルキル、−CONR−アルケニル、−CONR−置換アルケニル、−CONR−アルキニル、−CONR−置換アルキニル、−CONR−アリール、−CONR−置換アリール、−CONR−ヘテロアリール、−CONR−置換ヘテロアリール、−CONR−複素環および−CONR−置換複素環を指す。ここで、Rは水素、アルキルまたは−CONRであり、その2つのR基は、それらと結合している窒素原子と一緒になって複素環式または置換複素環式環を形成する。
「薬学的に許容される塩」は、ヒドロキシルアミン誘導体または他の本発明で開示するニトロキシル供与体などの本明細書で説明する化合物の薬学的に許容される塩を指す。この塩は、当分野で周知の様々な有機および無機対イオンから誘導することができ、それらには、例に過ぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが含まれ;その分子が塩基性官能基を含む場合、有機または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが含まれる。例示的な塩には、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸、酢酸塩、クロリド、ブロミド、ヨージド、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸水素塩(acid citrate)、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ベシル酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩が含まれる。したがって、塩は、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する本明細書で開示する式のいずれか1つの化合物、および薬学的に許容される無機または有機塩基から調製することができる。適切な塩基には、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、および有機アミン、例えば非置換またはヒドロキシ置換のモノ、ジもしくはトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ、ビスもしくはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)、例えばモノ、ビスもしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン、例えばN,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N−メチル−D−グルカミン;およびアルギニン、リシンなどのアミノ酸などが含まれる。塩は、アミノ官能基などの塩基官能基を有する本明細書で開示する式のいずれか1つの化合物、および薬学的に許容される無機または有機酸からも調製することができる。適切な酸には、硫酸水素(hydrogen sulfate)、クエン酸、酢酸、塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)、ヨウ化水素酸(HI)、硝酸、リン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸(glucaronic acid)、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸が含まれる。
別段の明らかな表示のない限り、本明細書で用いる「個体(an individual)」は、これに限定されないがヒトを含む哺乳動物を表すものとする。「個体」は、本明細書でこれらの用語が互換的に使用されるため、「対象(subject)」であってもよい。したがって、それらの多くの実施形態における本開示の方法によって治療される「対象」は望ましくはヒト対象であるが、本明細書で説明する方法は、「対象」という用語に含まれることになるすべての脊椎動物種に関して効果的であることを理解すべきである。したがって、「対象」は、既存の状態もしくは疾患の治療、または状態もしくは疾患の開始を防止するための予防的治療のためなどの医学的目的でのヒト対象、あるいは医学的、獣医学的目的または開発目的のための動物対象を含んでもよい。適切な動物対象には、これらに限定されないが、霊長類、例えばヒト、サル、類人猿(apes)など;ウシ類、例えばウシ、雄ウシなど;ヒツジ類(ovines)、例えばヒツジなど;ヤギ類(caprines)、例えばヤギなど;ブタ類(porcines)、例えばブタ、雄ブタなど;ウマ類、例えばウマ、ロバ、シマウマなど;野生ネコおよびイエネコを含むネコ類;イヌを含むイヌ類;ウサギ、野ウサギなどを含むウサギ目の動物;ならびにマウス、ラットなどを含む齧歯類などを含む哺乳動物が含まれる。動物はトランスジェニック動物であってよい。いくつかの実施形態では、対象は、これらに限定されないが、胎児、新生児、幼児、若年者(juvenile)および成人対象を含むヒトである。さらに、「対象」は、状態または疾患に苦しむ、または苦しんでいると疑われる患者を含むことができる。したがって「対象」および「患者」という用語は本明細書では互換的に使用される。「対象」という用語は生物体、組織、細胞または対象からの細胞の集合体も指す。
「有効量」という用語は、有効性および毒性のそのパラメーターと組み合わせて、また実務の専門家の知見に基づいて、所与の治療形態で効果的であるべき化合物または薬学的に許容されるその塩の量を表すものとする。当分野で理解されているように、有効量は1つまたは複数用量であってよい。
本明細書で用いる「治療(treatment)」または「治療すること(treating)」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。本発明で開示する主題のためには、有益なまたは所望の結果は、これらに限定されないが、ニトロキシル療法に応答する疾患もしくは状態の開始および/または進行を阻害および/または抑制する、またはその疾患もしくは状態に伴う症状の数および/または重症度の低減などのこのような疾患もしくは状態の重症度を低減すること、その疾患もしくは状態に苦しむものの生活の質を増進させること、その疾患もしくは状態を治療するのに必要な他の医薬の用量を低減させること、その疾患もしくは状態のために個体が取っている別の医薬の効果を増進させること、およびその疾患もしくは状態を有する個体の生存を延長させることを含む。その疾患または状態は、これらに限定されないが、冠状動脈閉塞、冠動脈疾患(CAD)、アンギナ、心臓発作、心筋梗塞、高血圧、虚血性の心筋ミオパチーおよび梗塞、拡張期心不全、肺うっ血、肺水腫、心筋線維症、弁膜心疾患、心膜疾患、循環うっ血状態(circulatory congestive state)、末梢浮腫、腹水症、シャーガス病、心室肥大、心臓弁膜症、これらに限定されないが急性うっ血性心不全および急性非代償性心不全などのうっ血性心不全を含む心不全を含む心臓血管の疾患または状態であってよい。本明細書の方法で軽減することができる関連症状には、上記疾患または障害に関連した息切れ、疲労、足首または脚の腫れ、アンギナ、食欲不振、体重の増減が含まれる。この疾患または状態は、虚血/再かん流傷害を含むことができる。
本明細書で用いる「防止すること(preventing)」は、疾患または状態を有してはいないがそれを発現する危険性を有する個体において、疾患または状態の発現可能性を減少させることを指す。
「危険性がある(at risk)」個体は、検出可能な疾患または状態を有していても有していなくてもよく、本明細書で説明する治療方法の前に、検出可能な疾患または状態を現わしていてもいなくてもよい。「危険性がある」ということは、個体が、疾患または状態の発現と関連があり、当分野で公知である測定可能なパラメーターである1つまたは複数のいわゆる危険因子を有していることを表す。これらの危険因子の1つまたは複数をもつ個体は、これらの危険因子をもたない個体より、高い疾患または状態の発現可能性を有している。
「ニトロキシル」は種HNOを指す。
本明細書で用いるように、生理学的条件下でニトロキシルを供与する場合、化合物は「ニトロキシル供与体」である。本明細書で用いるように、本発明で開示するニトロキシル供与体は代替的に「化合物(a compound)」または「化合物(the compound)」と称することができる。好ましくは、ニトロキシル供与体は、インビボで有効量のニトロキシルを供与することができ、その化合物が治療効果を達成するのに必要な量で個体によって許容されることを示す安全プロファイルを有する。当業者は、特定の化合物および投薬量を生体対象に投与する安全性を判定することができよう。当業者はまた、生理学的条件下でそれがHNOを放出するかどうかを評価することによって、化合物がニトロキシル供与体であるかを判定することもできる。化合物は、慣行的実験でニトロキシル供与について容易に試験される。ニトロキシルが供与されるかどうかを直接測るのは実際的でないが、化合物がニトロキシルを供与するかどうかを判定するために、いくつかの試験が受け入れられている。例えば、着目する化合物を、密封した容器中で溶液、例えば水に入れることができる。解離させるために十分な時間、例えば数分間から数時間経過させた後、ヘッドスペースガスを引き抜き、ガスクロマトグラフィーおよび/または質量分析などによって、分析してその組成を決定する。ガスNOが形成される場合(これはHNOの二量化によって起こる)、試験は、ニトロキシル供与に対してポジティブであり、その化合物はニトロキシル供与体である。ニトロキシル供与能力のレベルは、化合物の理論最大量のパーセンテージとして表すことができる。「相当なレベルのニトロキシル」を供与する化合物は、ニトロキシルの理論最大量の40%以上または50%以上を供与する化合物を表すものとする。1つの変形体では、本明細書で使用するための化合物は、ニトロキシルの理論最大量の60%以上を供与する。他の変形体では、本明細書で使用するための化合物は、ニトロキシルの理論最大量の70%以上を供与する。他の変形体では、本明細書で使用するための化合物は、ニトロキシルの理論最大量の80%以上を供与する。他の変形体では、本明細書で使用するための化合物は、ニトロキシルの理論最大量の90%以上を供与する。さらに他の変形体では、本明細書で使用するための化合物は、ニトロキシルの理論最大量の約70%〜約90%を供与する。さらに他の変形体では、本明細書で使用するための化合物は、ニトロキシルの理論最大量の約85%〜約95%を供与する。さらに他の変形体では、本明細書で使用するための化合物は、ニトロキシルの理論最大量の約90%〜約95%を供与する。
それらの理論量のニトロキシルの40%未満または50%未満を供与する化合物はそれでもニトロキシル供与体であり、本発明で開示する主題で使用することができる。理論量のニトロキシル50%未満を供与する化合物は、本明細書で説明する方法で使用することができ、相当なレベルのニトロキシルを供与する化合物と比較して、より高い投薬量レベルを必要とする可能性がある。ニトロキシル供与は、試験化合物をメトミオグロビン(Mb3+)に暴露させることによって検出することもできる。ニトロキシルはMb3+と反応してMb2+−NO複合体を生成し、これを、紫外線/可視スペクトルの変化または電子常磁性共鳴(EPR)によって検出することができる。Mb2+−NO複合体は、約2のg値周りを中心としたEPRシグナルを有する。他方、一酸化窒素はMb3+と反応して、EPRサイレントであるMb3+−NO複合体を生成する。したがって、その候補化合物がMb3+と反応して紫外線/可視またはEPRなどの一般的な方法で検出可能な複合体を生成する場合、その試験はニトロキシル供与に対してポジティブである。ニトロキシル供与についての試験は、生理学的に関連性のあるpHで実施することができる。
本明細書で用いる「陽性変力物質」は、心筋収縮機能の増大を引き起こす薬剤である。このような薬剤には、β−アドレナリン受容体アゴニスト、ホスホジエステラーゼ活性の阻害剤およびカルシウム感受性増強薬が含まれる。βアドレナリン受容体アゴニストには、とりわけ、ドーパミン、ドブタミン、テルブタリンおよびイソプロテレノールが含まれる。このような化合物の類似体および誘導体も目的とするものとする。例えば、米国特許第4,663,351号は経口で投与できるドブタミンプロドラッグを記載している。当業者は、化合物が陽性変力効果を引き起こすことができるかどうかを決定することができ、また追加のβ−アゴニスト化合物も決定することができよう。特定の実施形態では、β−受容体アゴニストはβ−1受容体に対して選択的である。しかし、他の実施形態では、β−アゴニストはβ−2受容体に対して選択的であるか、またはどの特定の受容体に対しても選択的ではない。
「ニトロキシル療法に応答する」疾患または状態は、生理学的条件下で有効量のニトロキシルを供与する化合物の投与が、それらの用語が本明細書で定義されるような疾患または状態を治療および/または防止する任意の疾患または状態を表すものとする。ニトロキシル供与体の投与によってその症状が抑制または軽減される疾患または状態は、ニトロキシル療法に応答する疾患または状態である。ニトロキシル療法に応答する疾患または状態の非限定的な例には、冠状動脈閉塞、冠動脈疾患(CAD)、アンギナ、心臓発作、心筋梗塞、高血圧、虚血性の心筋ミオパチーおよび梗塞、拡張期心不全、肺うっ血、肺水腫、心筋線維症、心臓弁膜症、心膜疾患、循環うっ血状態、末梢浮腫、腹水症、シャーガス病、心室肥大、心臓弁膜症、これらに限定されないが急性うっ血性心不全および急性非代償性心不全などのうっ血性心不全を含む心不全が含まれる。他の循環器疾患または状態も目的とするものであり、また、虚血/再かん流傷害と関係する疾患または状態も同様である。
長年にわたる特許法の慣例にしたがって、「a」、「an」および「the」という用語は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「1つまたは複数(one or more)」を指す。したがって、例えば「対象(a subject)」への参照は、その文脈が明らかにそれと反対でない限り、複数の対象(例えば、複数の対象)を含む等である。
本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」という用語は、その文脈が別途必要とする場合を除いて非排他的な意味で使用される。同様に、「含む(include)」という用語およびその語法上の文法的変形体は非限定的であることを意図するものであり、したがってリストでの項目の列挙は、そのリストに挙げられた項目を置き換えるまたはそれに加えることができる他の同様の項目を排除するものではない。
本明細書および添付の特許請求の範囲のために、別段の表示のない限り、量(amount)、サイズ、寸法、割合、形状、処方、パラメーター、パーセンテージ、パラメーター、数量(quantity)、特徴ならびに本明細書および特許請求の範囲で使用される他の数値を表すすべての数は、その値、量または範囲について「約」という用語が明確に現れていなくても、すべての場合において「約(about)」という用語で修飾されていると理解すべきである。したがって、それとは反対に示されていない限り、以下の本明細書および添付の特許請求の範囲において示される数値パラメーターは、正確ではなく、正確である必要もないが、本発明で開示する主題によって得ようとする所望特性に応じて、許容範囲、変換係数、端数計算、測定誤差など、および当業者に公知の他の因子を反映して、概数であっても、かつ/または、要望に応じて、より大きくてもまたより小さくてもよい。例えば、値を参照する場合、「約(about)」という用語は、このような変動が本開示の方法を実施するまたは本開示の組成物を使用するのに適切である場合、指定された量から、いくつかの実施形態では±100%、いくつかの実施形態では±50%、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%、およびいくつかの実施形態では±0.1%の変動を包含することを意味することができる。
さらに、1つもしくは複数の数または数の範囲に関連して使用する場合、「約(about)」という用語は、範囲内のすべての数を含むすべてのこのような数を指すと理解すべきであり、示された数値の上または下にその境界を拡げることによってその範囲を改変する。終点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含されるすべての数、例えばその小部分(fraction)を含む全整数(例えば、1〜5の記述は、1、2、3、4および5ならびにその小部分、例えば1.5、2.25、3.75、4.1,などを含む)およびその範囲内の任意の範囲を含む。
(実施例)
以下の実施例は、本発明で開示する主題の代表的な実施形態を実行するための当業者への指針を提供するために含めるものである。本開示および当業者の一般的な水準に照らして、当業者は、以下の実施例が例示のために過ぎないことを理解でき、本発明で開示する主題の範囲を逸脱することなく、多くの変更形態、修正形態および改変形態を用いることができる。以下の合成上の説明および具体的な例は、例示の目的のみを意図するものであり、他の方法で本開示の化合物を作製するためのいかなる様式においても限定しようとするものとは解釈されない。
合成手順
N−アリールアミノエタノールの一般的合成
方法A:2−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−エタノール。200mL酢酸エチル中の1当量の4−メトキシアニリン(5g)の溶液に、1当量のHBr(酢酸中に33%の溶液)を加える。得られた沈殿物をろ過する。沈殿物とエチレンカーボネートの純混合物(neat mixture)を、反応混合物の未処理の(crude)H NMRが、エチレンカーボネートの消費を示すまで、130℃で加熱する。反応物を冷却し、10%NaOH溶液で洗浄する。溶液を酢酸エチルで2回抽出する。有機相を一緒にし、MgSOで脱水し、溶媒を蒸発させる。
方法B:2−(4−クロロ−フェニルアミノ)−エタノール。50mLジクロロメタン中の1mLエチレングリコールの溶液に、1.2当量のSOClを徐々に加える。添加後、溶液を、反応混合物の未処理のH NMRが、エチレングリコールの完全な消費とエチレンスルフィドの出現を示すまで還流させる。完了したら、溶媒を蒸発させ、1当量の4−クロロアニリンを加える。純混合物を、H NMRが反応の完了を示すまで130℃で加熱する。
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキルアミノアルコールの一般的合成
方法A:アルキルアミノアルコールおよび4−メトキシ−フェニルアミノアルコール。ジ−tert−ブチル−ジカーボネート(10g)に、室温で1当量のアミノアルコールを加える。ガス発生による発泡が停止したら、残留物を水でクエンチする。水層をエーテルまたは酢酸エチルで抽出する。有機層をMgSOで脱水し、溶媒を蒸発させる。収率は概ね定量的であった。
方法B:2−(tert−ブチルアミノ)−エタノールおよび4−クロロ−フェニルアミノアルコール。方法Aと同様に、アミノアルコール(5g)を1当量のジ−tert−ブチル−ジカーボネートに加える。得られた混合物を、50mLクロロホルムに溶解し還流させる。H NMRで判定して反応が完了した後、方法Aと同様に後処理をする。収率は概ね定量的であった。
方法C:2−フェニルアミノエタノール。ジ−tert−ブチル−ジカーボネート(10g)に、1当量の2−フェニルアミノエタノールを加える。この混合物に0.10当量のIを加える。溶液を2時間撹拌する。10%Na溶液を加える。粗アミノエタノールをジクロロメタンで抽出し、乾燥し、蒸発させる。この粗製残留物を石油エーテルで結晶化させた。収率は概ね75〜100%であった。
2−(N−tert−ブトキシカルボニル)−2−N−アルキルアミノ−アセトアルデヒドの一般的合成
合成は、若干修正された文献の手順を用いた。Kato, S.ら、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 1997, 3219〜3226頁。50mLジクロロメタン中の2−(N−tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキルアミノ−エタノール(2g)の溶液に、10当量のジメチルスルホキシドおよび2当量のトリエチルアミンを加えた。混合物を15℃に冷却した。分割して、2当量の三酸化硫黄−ピリジン錯体をその溶液に加えた。添加の間、温度を20℃未満に保持するよう注意した。反応物を2時間撹拌した。水を加えて反応混合物をクエンチした。有機層を抽出し、MgSOで脱水し、溶媒を蒸発させて所望生成物を得た。収率は概ね90〜100%であった。
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキル−N’−アルキル−エチレンジアミンの一般的合成
合成は、若干修正された文献の手順を用いた。Kato, S.ら、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 1997, 3219〜3226頁。100mLメタノール中の2−(N−tert−ブトキシカルボニル)−2−N−アルキルアミノ−アセトアルデヒド(1.5g)の溶液に、1当量のアルキルアミンを加える。この溶液に2当量の炭酸カリウムを加える。溶液を還流下で30分間加熱した。溶液を氷浴中で冷却し、2当量のNaBHを徐々に加えた。添加した後、反応混合物を徐々に室温に上昇させ、2時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、残留物を水とクロロホルムに分配させた。クロロホルム層を分離し、MgSOで脱水し、溶媒を蒸発させて生成物を得た。収率は概ね30〜40%であった。
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキルアミノ−アルキルカルボニル結合N’−(tert−ブトキシカルボニル)−ヒドロキシルアミンの一般的合成
20mLジクロロメタン中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−アルキルアミノアルコール(N−Boc)(0.5g)に0.35当量のトリホスゲンを加える。この溶液に1当量のピリジンを滴下添加する。この溶液に、1当量のN−Bocヒドロキシルアミンを加え、続いて1当量のピリジンを加える。溶液を5分間撹拌し、反応物全体を短いシリカ充填物でろ過する。この充填物をジクロロメタンで洗浄し、ろ液を蒸発させた。収率は概ね90〜100%であった。
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキルアミノ−エチルカルバモイル結合N’−(tert−Bブトキシカルボニル)−ヒドロキシルアミンの一般的合成
20mLジクロロメタン中のN−Bocヒドロキシルアミン(0.5g)に、0.35当量のトリホスゲンを加える。この溶液に1当量のピリジンを滴下添加する。この溶液に1当量のN−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキル−N’−アルキルエチレン−ジアミンを加え、続いて2当量のトリエチルアミンを加える。溶液を5分間撹拌し、反応物全体を10%HClで洗浄する。有機層を分離し、MgSOで脱水し、蒸発させる。
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキルアミノ−アルキル(カルボニル/カルバモイル)結合N’−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−アレーンスルホンアミドの一般的合成
20mLジクロロメタン中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキルアミノ−アルキル(カルボニル/カルバモイル)結合N’−(tert−ブトキシカルボニル)−ヒドロキシルアミン(1g)の溶液に、1当量のアリールスルホニルクロリドおよび0.10当量のDMAPを加える。この混合物に1当量のトリエチルアミンを加える。反応物を、TLCによって完了が示されるまで撹拌する。反応溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。精製の前に、シリカをトリエチルアミンで予め不活性化させておくことが重要である。収率は概ね60%である。
スルホンアミジル−アルキルアミノ(カルバメート/カーボネート)塩酸塩1および2の一般的合成
ドライアイス/アセトン浴中で冷却した50mLメタノール中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−N−アルキルアミノ(カルボニル/カルバモイル)結合N’−(tert−ブトキシカルボニル)−N’アレーンスルホンアミド(1g)の溶液に、無水HClを20分間にわたってバブリングさせる。バブリングした後、反応混合物を室温で2時間撹拌する。混合物を蒸発させ、得られた化合物をエーテルで数回洗浄する。洗浄した後、この塩を真空ポンプで数時間乾燥する。収率は概ね90〜100%である。
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(メチルアミノ)−エチルカーボネート塩酸塩(5a)1H NMR (400 MHz, δ) 2.53 (3H, s), 3.21 (2H, t), 4.44 (2H, t), 7.66 (2H, m), 7.92 (1H, d), 7.98 (1H, d), 9.09 (2H, brs), 12.11 (1H, brs); 13C NMR (100 MHz, δ) 32.62, 46.38, 65.10, 120.17, 128.45, 131.52, 135.47, 135.91, 136.29, 152.91; FAB-MS 352.98093 (M+H 79Br) (352.98068計算値), 354.97905 (M+H 81Br) (354.97863計算値)
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(ベンジルアミノ)−エチルカーボネート塩酸塩(5b)1H NMR (400 MHz, δ) 2.02 (2H, m), 2.93 (2H, m), 4.11 (2H, t), 4.26 (2H, t), 7.41-7.56 (5H, m), 7.66 (2H, m), 7.92 (1H, d), 8.01 (1H, d), 9.43 (2H, brs), 12.05 (1H, brs); 13C NMR (100 MHz, δ) 24.72, 43.23, 49.93, 120.16, 128.46, 128.63, 128.90, 130.06, 131.50, 132.00, 135.43, 135.87, 136.25, 153.10; FAB-MS 429.01181 (M+H 79Br) (429.01198計算値), 431.00911 (M+H 81Br) (431.00993計算値)
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(イソ−プロピルアミノ)−エチルカーボネート塩酸塩(5c)1H NMR (400 MHz, δ) 1.22 (6H, d), 3.20 (1H, m) 3.20 (2H, m) 4.48 (2H, t) 7.66 (2H, m), 7.92 (1H, d), 8.05 (1H, d), 9.25 (2H, brs), 12.26 (1H, brs); 13C NMR (100 MHz, δ) 18.86, 42.63, 50.35, 65.67, 120.57, 128.87, 131.93, 135.86, 136.30, 136.78, 153.33; FAB-MS 381.01203 (M+H 79Br) (381.01198計算値), 383.00981 (M+H 81Br) (383.00993計算値)
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(tert−ブチルアミノ)−エチルカーボネート塩酸塩(5d)1H NMR (400 MHz, δ) 1.26 (9H, s), 3.16 (2H, brs), 4.49 (2H, t), 7.64 (2H, m), 7.91 (1H, d), 8.06 (1H, d), 9.31 (2H, brs), 12.28 (1H, brs); 13C NMR (100 MHz, δ) 24.89, 56.48, 65.25, 120.11, 128.39, 131.47, 135.37, 135.82, 136.34, 152.87; FAB-MS 395.02744 (M+H 79Br) (395.02763計算値), 397.02573 (M+H 81Br) (397.02558計算値)
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(フェニルアミノ)−エチルカーボネート塩酸塩(5e)1H NMR (400 MHz, δ) 3.52 (2H, t), 4.43 (2H, t), 7.20-7.36 (5H, m), 7.64 (2H, m), 7.91 (1H, d), 8.04 (1H, d), 9.90 (2H, brs), 12.13 (1H, brs); 13C NMR (100 MHz, δ) 64.96, 65.71, 118.01, 119.79, 120.16, 128.43, 128.91, 129.64, 131.57, 135.41, 135.86, 136.30, 153.05; FAB-MS 414.99567(M+H 79Br) (414.99633計算値), 416.99335 (M+H 81Br) (416.99428計算値)
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−エチルカーボネート塩酸塩(5f)1H NMR (400 MHz, δ) 3.54 (2H, t), 3.76 (3H, s), 4.46 (2H, t), 7.01 (2H, m), 7.37 (2H, m), 7.66 (2H, m), 7.93 (1H, d), 8.04 (1H, d); 13C NMR (100 MHz, δ) 55.51, 61.35, 64.98, 114.05, 114.95, 119.99, 120.17, 128.41, 131.55, 131.75, 135.42, 135.87, 136.28, 152.89; FAB-MS 445.00601 (M+H 79Br) (445.00684計算値), 447.00464 (M+H 81Br) (447.00485計算値)
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(4−クロロ−フェニルアミノ)−エチルカーボネート塩酸塩(5g)1H NMR (400 MHz, δ) 3.35 (2H, t), 4.31 (2H, 5), 6.80 (2H, m), 7.18 (2H, m), 7.63 (2H, m), 7.90 (1H, d), 8.01 (1H, d), 8.90 (2H, brs), 12.04 (1H, brs); 13C NMR (100 MHz, δ) 65.01, 67.40, 120.17, 122.30, 128.43, 128.94, 129.71, 131.56, 135.41, 135.87, 136.30, 153.28; FAB-MS 447.95076 (M+H 35Cl79Br) (447.94953計算値)
2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−3−(イソ−プロピルアミノ)−プロピルカーボネート塩酸塩(5h)1H NMR (400 MHz, δ) 1.21 (6H, m), 2.01 (2H, brs), 2.89 (2H, brs), 3.22 (1H, brs), 4.27 (2H, brs), 7.64 (2H, m), 7.90 (1H, m), 8.04 (1H, m), 9.14 (2H, brs), 12.14 (1H, brs); 13C NMR (100 MHz, δ) 18.48, 25.00, 40.49, 49.40, 66.97, 120.15, 128.44, 131.50, 135.39, 135.82, 136.23, 153.12; FAB-MS 395.02704(M+H 79Br) (395.02763計算値), 397.02519 (M+H 81Br) (397.02558計算値)
参照
本明細書で挙げたすべての出版物、特許出願、特許および他の文献は、本発明で開示する主題が関係する当業者の水準を示すものである。すべての出版物、特許出願、特許および他の文献を、それぞれ個別の出版物、特許出願、特許および他の文献があたかも、参照により組み込まれていると具体的にかつ個別的に示されているかのようにそれと同じ程度に参照により本明細書に組み込む。多くの特許出願、特許および他の文献を本明細書で参照するが、このような参照は、これらの文書のいずれかが、当分野における普通の一般知識の一部を形成するという承認を構成するものではないことが理解されよう。
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上記主題を、理解を明解にさせるために例示および実施例によって若干詳細に説明してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲内で特定の変更および修正を行うことができることが理解されよう。

Claims (24)

  1. 式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物。
    (式中、
    nは1、2および3からなる群から選択される整数であり、
    はOおよびNRからなる群から選択され、
    RおよびRは、それぞれ独立に、H、非置換または置換直鎖状アルキル、非置換または置換分枝状アルキル、および非置換または置換アリールからなる群から選択され、
    は、ハロゲンおよびL−Yからなる群から選択される離脱基であり、
    Lは結合、−SO−または−O−であり、
    Yは、W、アルキル、単環式シクロアルキル、二環式シクロアルキル、三環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであって、それぞれが置換されていないかまたはWから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されており、
    Wは、非置換または置換直鎖状アルキル、非置換または置換分枝状アルキル、アルコキシル、ペルハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、カルボキシル、カルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ハロゲン、アミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシル、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ニトロ、トリル、アミド、ハロアルキル、非置換または置換ヘテロシクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換アリールオキシル、シクロアルキル、アラルキルオキシル、−SOH、アシル、−COR、−COOR、−CONR、−CH(C(O)R、−SOおよび−COXからなる群から選択される置換基であり、
    はハロゲンであり、
    およびRは独立に非置換アルキルもしくはアリールである、またはRとRは一緒になって置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルを形成する)
  2. 式(I)の化合物が以下の構造:
    (式中、
    mは0、1、2、3、4および5からなる群から選択される整数であり、
    各Yは独立に、非置換または置換直鎖状アルキル、非置換または置換分枝状アルキル、アルコキシル、ペルハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、カルボキシル、カルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ハロゲン、アミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシル、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ニトロ、トリル、アミド、ハロアルキル、非置換または置換ヘテロシクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換アリールオキシル、シクロアルキル、アラルキルオキシル、−SOHおよびアシルからなる群から選択される)
    を有する、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  3. 式(I)の化合物が以下の構造:
    を有する、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  4. Rが、メチル、イソ−プロピル、ベンジルおよびフェニルからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  5. が、メチル、エチル、sec−ブチルおよびベンジルからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  6. 式(I)の化合物が以下の構造:
    を有する、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  7. Rが、メチル、イソ−プロピル、tert−ブチル、ベンジル、フェニル、4−クロロフェニルおよび4−メトキシフェニルからなる群から選択される、請求項6に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  8. 生理学的条件下、中性のpHで分子内環化−脱離を受けて非酵素的にHNOを放出または供与することができる、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  9. 次の構造の化合物または薬学的に許容されるその塩
    (式中、Rはメチルであり、R’はメチルであり、
    Rはベンジルであり、R’はメチルであり、
    Rはイソ−プロピルであり、R’はメチルであり、
    Rはフェニルであり、R’はメチルであり、
    Rはメチルであり、R’はエチルであり、
    Rはメチルであり、R’はベンジルである、または
    Rはメチルであり、R’はsec−ブチルである)
  10. 2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(メチルアミノ)−エチルカーボネート
    塩酸塩、
    2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(ベンジルアミノ)−エチルカーボネート
    塩酸塩、
    2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(イソ−プロピルアミノ)−エチルカーボ
    ネート塩酸塩、
    2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(tert−ブチルアミノ)−エチルカー
    ボネート塩酸塩、
    2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(フェニルアミノ)−エチルカーボネート
    塩酸塩、
    2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−エチ
    ルカーボネート塩酸塩、
    2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−2−(4−クロロ−フェニルアミノ)−エチル
    カーボネート塩酸塩、もしくは
    2−ブロモ−ベンゼンスルホンアミジル−3−(イソ−プロピルアミノ)−プロピルカー
    ボネート塩酸塩
    である化合物または薬学的に許容されるその塩
  11. nが1または2である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  12. nが1である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  13. nが1または2である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  14. nが1である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  15. nが1または2である、請求項3に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  16. nが1である、請求項3に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、インビボでのニトロキシルのレベルを調節するための医薬。
  18. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、ニトロキシル療法に応答する疾患または状態を治療するまたはその開始もしくは進行を防止するまたは遅延させるための医薬。
  19. ンジオテンシンI−変換酵素阻害剤、α−アドレナリン遮断薬、中枢性アドレナリン阻害剤、β−アドレナリン遮断薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、血管拡張剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、コレステロール降下剤、抗不整脈剤、ジギタリス製剤、硝酸塩、利尿剤、抗凝固剤、抗血小板剤、血栓溶解剤、抗酸化剤およびその組合せからなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、請求項18に記載の医薬
  20. 抗酸化剤がエダラボンを含む、請求項19に記載の医薬
  21. 疾患または状態が、循環器疾患、うっ血性心不全および心筋虚血/再かん流傷害からな
    る群から選択される、請求項18に記載の医薬
  22. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  23. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を含むキット。
  24. ニトロキシル療法に応答する疾患または状態の治療において使用するための指示書をさらに含む、請求項23に記載のキット。
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