JP6305234B2 - 固定具 - Google Patents

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本発明の一側面は、固定具に関し、特に、収納棚において棚を構成する長尺部材を固定するための固定具に関する。
従来、収納棚用の固定具に関する技術として、例えば特許文献1に記載された支持具が知られている。特許文献1に記載された支持具は、中間棚板が上面に載置される受板と、受板の一端部が上部に折り曲げられて形成された係止片と、受板の上記一端に隣り合う両端部が下方に折り曲げられて形成された一対の保持片とで構成されている。そして、係止片が収納棚の支柱に設けられた穴に挿入された状態で保持片が支柱に当接され、支持具が支柱に対して固定されることで、受板上に中間棚板が載置可能とされている。
実公平2−40230号公報
ところで、一般的に、収納棚においては、その支柱や梁材等としてL字アングル材等の長尺部材が用いられている。通常、このような長尺部材には、組立用の孔が多数設けられており、長尺部材を収納棚の所望位置に配置させ、当該長尺部材の孔と収納棚の棚孔とにボルト及びナットを挿通して締結することで、長尺部材が収納棚に固定される(収納棚が組み立てられる)。しかしこの場合、ボルト及びナットを締付けるために工具や動力が必要となることから、組立て作業が煩雑となる。特に、多数の収納棚を組み立てる際には、収納棚の製作工数が増加するため、収納棚の組立て作業を簡易化することが望まれる。
本発明の一側面は、上記実情に鑑みてなされたものであり、収納棚の組立て作業を簡易化することができる固定具を提供することを課題とする。
本発明の一側面に係る固定具は、収納棚において棚を構成する長尺部材を固定するための固定具であって、一主面を有する本体部と、本体部の一主面に突設され、互いに連通する収納棚の第1棚孔及び長尺部材の第1部材孔に挿通される第1突起部と、本体部の一主面に突設され、互いに連通する収納棚の第2棚孔及び長尺部材の第2部材孔に挿通される第2突起部と、本体部の一主面に突設され、収納棚の第3棚孔に挿通される第3突起部と、を備え、第1突起部は、その挿通方向において収納棚に対する長尺部材の相対移動を規制する第1規制部を有し、第2突起部は、長尺部材の長手方向において収納棚に対する長尺部材の相対移動を規制する第2規制部を有し、第1突起部及び第2突起部の少なくとも一方は、収納棚に支持されると共に長尺部材を支持し、第3突起部は、その挿通方向において収納棚に係合する係合部を有する。
この固定具では、収納棚に長尺部材を容易に固定することが可能になる。すなわち、第1棚孔及び第1部材孔が互いに連通し、かつ第2棚孔及び第2部材孔が互いに連通している状態にて、第1突起部が第1棚孔及び第1部材孔に、第2突起部が第2棚孔及び第2部材孔に、第3突起部が第3棚孔に、それぞれ挿通されるように固定具を取り付けるだけで、長尺部材が収納棚に固定されることとなる。これにより、組立てに際して工具や動力の必要性を低減することができる。従って、収納棚の組立て作業を簡易化することが可能となる。
本発明の一側面に係る固定具では、第1規制部は、第1突起部の先端側において一主面に沿う方向に所定長延在し、所定長は、第1棚孔及び第1部材孔の内径よりも大きくてもよい。この場合、例えば収納棚に対して突き上げる力等の外力が加わった場合においても、挿通された第1突起部が第1棚孔及び第1部材孔から抜けにくくなるため、長尺部材を収納棚に確実に固定することが可能となる。
本発明の一側面に係る固定具では、第2突起部は、第1突起部と第3突起部との間に設けられており、一主面に対する第1突起部の突出長は、一主面に対する第2突起部の突出長よりも大きく、一主面に対する第2突起部の突出長は、一主面に対する第3突起部の突出長よりも大きくてもよい。この場合、例えば、第1突起部を第1棚孔及び第1部材孔に挿通させ、次に第2突起部を第2棚孔及び第2部材孔に挿通させ、最後に第3突起部を第3棚孔に挿通させて長尺部材を収納棚に固定するという組立て作業を、容易に実現可能となる。
本発明の一側面に係る固定具では、第2突起部には、雄螺子が形成されていてもよい。この場合、固定具により長尺部材を収納棚に固定した後に、更に第2突起部にナット等を螺合させることで、長尺部材を収納棚に強固に固定することができる。
本発明の一側面によれば、収納棚の組立て作業を簡易化することができる。
実施形態に係る固定具を用いて組み立てた部品棚を示す概略図である。 実施形態に係る固定具によりアングル材が部品棚に固定されている箇所を示す拡大図である。 (a)は、実施形態に係る固定具を示す斜視図である。(b)は、実施形態に係る固定具を示す側面図である。(c)は、実施形態に係る固定具を示す正面図である。(d)は、実施形態に係る固定具を示す背面図である。 実施形態に係る固定具と部品棚とアングル材との相互の配置関係を説明する概略図である。 実施形態に係る固定具を用いて部品棚にアングル材を取り付けた状態を示す一部断面図である。 (a)、(b)及び(c)は、実施形態に係る固定具を用いて部品棚にアングル材を取り付ける手順を示す一部断面図である。 (a)、(b)及び(c)は、実施形態に係る固定具を用いて部品棚にアングル材を取り付けた状態の変形例を示す一部断面図である。 (a)は、変形例に係る固定具を用いて部品棚にアングル材を取り付けた状態を示す一部断面図である。(b)及び(c)は、変形例に係る固定具を示す斜視図である。
以下、本発明の一側面に係る好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、「X方向」、「Y方向」及び「Z方向」の語は、図面の状態に基づいており便宜的なものである。
図1は、実施形態に係る固定具を用いて組み立てた部品棚を示す概略図である。図2は、実施形態に係る固定具によりアングル材が部品棚に固定されている箇所を示す拡大図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の固定具100は、部品棚(収納棚)1において棚を構成する長尺部材としてのアングル材1yを固定するブラケットである。そこで、まず部品棚1について概略説明する。
部品棚(収納棚)1は、例えば工場等で用いられる棚であって、例えば棚板や搬送コンベア等が取り付けられて成り、パーツ等が収容された部品箱等を収納する。部品棚1は、複数のL字アングル材(図中のアングル材1x、アングル材1y及びアングル材1z)を含んで組み立てられている。
アングル材1xは、部品棚1のフレーム(骨格)を構成する断面L字状の部材である。アングル材1xは、例えば複数組み合わされて長方形等の枠状とされ、部品棚1の上端部に水平面に沿うように配置される。枠状に組み合わされた当該アングル材1xの四隅部には、下方に延びるようにアングル材1zが取付けられている。
図1及び図2に示すように、アングル材1zは、部品棚1のフレームを構成する断面L字状の部材であり、平面部1zsと該平面部1zsに対して直交(交差)する平面部1ztを含んでいる。アングル材1zは、部品棚1の支柱としての機能を有し、部品棚1において鉛直方向に対応するZ方向に沿って延在している。アングル材1zの平面部1zs,1ztには、種々の形状及びピッチ(間隔)で配列された複数の貫通孔が形成されている。アングル材1zの少なくとも平面部1zsには、X方向に貫通しかつZ方向に長尺な長孔として、第1棚孔1z1と第2棚孔1z2と第3棚孔1z3とが形成されている(図4参照)。ここでの第1棚孔1z1と第2棚孔1z2と第3棚孔1z3は、この順で下方から上方に並ぶようにZ方向に沿って所定ピッチで配列されている。
アングル材1yは、部品棚1において棚を構成する長尺部材であり、Y方向に沿って延在している。アングル材1yは、断面L字状を有し、XZ面に沿う平面部1ysと、XY面(水平面)に沿う平面部1yyとを含んでいる。換言すると、アングル材1yは、Y方向から見て、平面部1ysに対して直交する平面部1yyが部品棚1の内側に突き出すような断面L字状を有している。アングル材1yの平面部1ys,1ytには、種々の形状及びピッチ(間隔)で配列された複数の貫通孔が形成されている。このアングル材1y上には、例えば、部品箱等をX方向に沿って搬送するローラコンベア等が取り付けられる。
アングル材1yの少なくとも平面部1ysには、X方向に貫通しY方向に長尺な長孔としての第1部材孔1y1が複数形成されていると共に、X方向に貫通する貫通孔としての第2部材孔1y2が複数形成されている(図4参照)。ここでは、第2部材孔1y2が第1部材孔1y1の上方に所定長離れて配置されている。また、これら第1部材孔1y1及び第2部材孔1y2のぞれぞれは、Y方向に沿って配列されている。アングル材1yは、後述するように、固定具100によって部品棚1のアングル材1zに固定される。
図2に示すように、固定具100は、アングル材1yとアングル材1zとが重ねられた状態で、アングル材1z側から(部品棚1の正面側から)取り付けられている。以下、固定具100の構成について、図3を参照しつつ具体的に説明する。
図3(a)は、実施形態に係る固定具を示す斜視図である。図3(b)は、実施形態に係る固定具を示す側面図である。図3(c)は、実施形態に係る固定具を示す正面図である。図3(d)は、実施形態に係る固定具を示す背面図である。図3(a)に示すように、固定具100は、概略板状を呈しており、例えば厚さ約2mmの鉄板が用いられる。固定具100は、本体部50と、第1突起部10と、第2突起部20と、第3突起部30とを備えている。
本体部50は、Z方向を長手方向とする長尺板形状を呈している。図3(c)及び図3(d)に示すように、ここでの本体部50は、その厚さ方向から見て、例えば略E字形状の外形とされている。本体部50は、第1面部50aと、第2面部50bと、第3面部50cとを有している。第1面部50a、第2面部50b及び第3面部50cは、連結部52により互いに連結されている。連結部52のY方向に沿う幅Wは、例えば図2に示すように、固定具100が部品棚1に取り付けられた状態において、アングル材1zの平面部1ztに対して外側に突出しない(はみ出さない)範囲の最大幅とされ、例えば本体部50の端部が平面部1ztの縁部と略一致する幅とされている。本体部50は、図3(a)に示すように、その内側の主面である一主面51を有している。
第1突起部10は、図3(a)及び図3(b)に示すように、一主面51における下方側にて鉤状(爪状)に突設されており、いわゆる下フック部を形成する。一主面51に対する第1突起部10の突出長h1は、一主面51に対する第2突起部20の突出長h2(後述)よりも大きくされている。この第1突起部10は、第1挿通部12と、第1規制部13と、を有している。
第1挿通部12は、第1面部50aから折曲部11を介して形成され、幅d1zを有している。幅d1zは、第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1の内径よりも小さくされている。第1挿通部12は、その側面として、縁部12aと角部12bと当接部12cとを含んでいる。
第1規制部13は、第1挿通部12の先端側から幅d1xで連なって下方へ曲がるように延びている。ここでの第1規制部13は、一主面51に沿う方向であるZ方向に所定長L1で延在している。幅d1xは、第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1の内径よりも小さくされている。所定長L1は、第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1の内径よりも大きくされている。第1規制部13は、その側面として、縁部13aと先端部13bと当接部13cとを含んでいる。
なお、図示する例では、第1挿通部12の縁部12aと第1規制部13の縁部13aとは、Y方向視で円弧状とされた角部12bを介して滑らかに接続されている。また、第1挿通部12の当接部12cと第1規制部13の当接部13cとは、Y方向視で略直角に交差するように接続されている。
第2突起部20は、一主面51におけるZ方向中央位置にて柱状に突設されている。換言すると、第2突起部20は、第1突起部10の上方(第1突起部10と第3突起部30との間)に設けられている。一主面51に対する第2突起部20の突出長h2は、一主面51に対する第3突起部30の突出長h3(後述)よりも大きくされている。第2突起部20は、例えば雄螺子を有する低頭ボルトが用いられている。この第2突起部20は、低頭ボルトの軸部に対応する第2規制部21と、低頭ボルトの頭部22とを含んで構成されている。第2規制部21には、雄螺子が形成されている。
第2規制部21は、直径d2を有しており、この直径d2は、第2部材孔1y2及び第2棚孔1z2の内径よりも小さくされている。第2突起部20は、例えばスポット溶接による接合部SWを介して頭部22が第2面部50bに溶接されることで固定される(図3(d)参照)。頭部22は、例えば一般的なサイズに比べて小型化(小径化)されている。
第3突起部30は、一主面51における上方側(換言すると、第2突起部20の上方)にて鉤状(爪状)に突設されており、いわゆる上フック部を形成する。第3突起部30は、一主面51に対して突出長h3を有している。第3突起部30は、第3挿通部32と、係合部33と、を有している。第3挿通部32は、第3面部50cから折曲部31を介して形成され、幅d3zを有している。幅d3zは、第3棚孔1z3の内径よりも小さくされている。第3挿通部32は、その側面として、縁部32aと角部32bと当接部32cとを含んでいる。
係合部33は、第3挿通部32の先端側から連なって下方へ曲がるように延びている。ここでの係合部33は、Z方向に沿って長さL2で延在している。長さL2は、第3棚孔1z3の内径よりも小さい所定長とされている。係合部33は、その側面として、縁部33aと先端部33bと当接部33cとを含んでいる。
なお、図示する例では、第3突起部30の縁部32aと係合部33の縁部33aとは、Y方向視で円弧状とされた角部32bを介して滑らかに接続されている。また、第3挿通部32の当接部32cと係合部33の当接部33cとは、Y方向視で略直角に交差するように接続されている。以上のような固定具100については、例えば、平板状の板材から展開形状で切り抜かれた後、プレス等の曲げ加工が施され、本体部50と第1突起部10及び第3突起部30とが形成されると共に、第2突起部20が取り付けられて頭部22がスポット溶接により溶接固定されることによって製造される。
次に、固定具100によって部品棚1(アングル材1z)に長尺部材(アングル材1y)を取り付けた状態について、図4及び図5を参照して詳説する。図4は、実施形態に係る固定具と部品棚とアングル材との相互の配置関係を説明する概略図である。図5は、実施形態に係る固定具を用いて部品棚にアングル材を取り付けた状態を示す一部断面図である。なお、図5中では、説明の便宜上、その構成の少なくとも一部を適宜端面として示している(図6〜図8の断面図において同じ)。
図4に示すように、固定具100は、アングル材1y及び部品棚1(アングル材1z)に対して所定の配置関係で取り付けられて使用される。具体的には、固定具100は、第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1が互いに連通し、かつ第2棚孔1z2及び第2部材孔1y2が互いに連通している状態で、第1突起部10が第1棚孔1z1及び第1部材孔に、第2突起部20が第2棚孔及び第2部材孔に、第3突起部30が第3棚孔に、それぞれ挿通されて係合される。このようにして固定具100が取り付けられることにより、アングル材1yはアングル材1zに固定される。
より具体的には、第1突起部10は、図4及び図5に示すように、互いに連通するアングル材1zの第1棚孔1z1及びアングル材1yの第1部材孔1y1に挿通される。第1突起部10における第1規制部13の当接部13cは、第1突起部10の挿通方向(X方向)において、アングル材1yの平面部1ytに当接されている。そして、アングル材1yは、平面部1ysにおけるアングル材1zの平面部1ztと当接されている。つまり、第1規制部13は、アングル材1zと協働してアングル材1yをX方向に挟み込む状態となっている。従って、第1規制部13により、当該挿通方向(X方向)においての部品棚1に対するアングル材1yの相対移動が規制される。
また、第1突起部10では、第1挿通部12の縁部12aは、Z方向においてアングル材1yの第1部材孔1y1の内面に当接されている。そして、第1挿通部12の当接部12cは、Z方向においてアングル材1zの第1棚孔1z1の内面に当接されている。つまり、第1突起部10は、Z方向において、部品棚1としてのアングル材1zに支持されると共に、長尺部材としてのアングル材1yを支持する状態となっている。
第2突起部20は、図4に示すように、互いに連通するアングル材1zの第2棚孔1z2及びアングル材1yの第2部材孔1y2に挿通される。第2突起部20における第2規制部21は、アングル材1yの長手方向(Y方向)について、第2部材孔1y2及び第2棚孔1z2に対して当接あるいは僅かな隙間を有する状態とされている。これにより、第2規制部21は、アングル材1yの長手方向の動きを妨げる状態となっている。従って、第2規制部21により、当該長手方向においての部品棚1に対するアングル材1yの相対移動が規制される。
第3突起部30は、図4及び図5に示すように、アングル材1zの第3棚孔1z3に挿通される。第3突起部30における係合部33の当接部33cは、アングル材1zに当接されている。つまり、係合部33は、第3棚孔1z3を介してアングル材1zに引っ掛かり、X方向においてアングル材1zに係合する。これにより、当該挿通方向においての部品棚1に対する固定具100の相対移動(固定具100の上方が倒れるように外れること)が規制される。
以上のように、第1突起部10及び第2突起部20は、部品棚1に支持されると共にアングル材1zを支持しつつ、3軸方向(X方向、Y方向及びZ方向)におけるアングル材1yの相対移動を規制し、これにより、固定具100はアングル材1yを部品棚1に固定する。また、第3突起部30によって固定具100が部品棚1に係合されることで、固定具100は部品棚1に確実に取り付けられる。
なお、第2突起部20には雄螺子が形成されていることから、例えば図5中の破線で示すように、固定具100でアングル材1yを部品棚1に固定した後に、第2規制部21にナットNTを更に螺合させてもよい。この場合、アングル材1y及びアングル材1zは、固定具100によりX方向に強く挟持され(締め付けられ)、よって、アングル材1yが強固に固定される。
ちなみに、例えば図5の例では、固定具100は、Z方向に微動可能とされているが、第1突起部10の第1規制部13が所定長L1(図3(b)参照)で延在しているため、固定具100がZ方向に沿って微動したとしても、第1突起部10が第1棚孔1z1から通過する(抜き出る)のを防止できる。つまり、例えば地震等により、部品棚1に対して突き上げる力等の外力が加わった場合においても、挿通された第1突起部10が第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1から抜けにくくなり、固定具100が外れることを抑制できる。
次に、固定具100により部品棚1の所望位置にアングル材1yを取り付ける取付け作業(組立て作業)について、図6を参照しつつ説明する。図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、実施形態に係る固定具を用いて部品棚にアングル材を取り付ける手順を示す一部断面図である。本実施形態の固定具100では、例えば以下の一連の手順により部品棚1(アングル材1z)にアングル材1yをワンタッチ固定できる。
すなわち、図6(a)に示すように、まず、部品棚1の所望位置にアングル材1yを配置すると共に、第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1が互いに連通し、かつ、第2棚孔1z2及び第2部材孔1y2が互いに連通する状態となるように、アングル材1zに対してアングル材1yの位置を調整する。そして、例えば本体部50の長手方向がXY面に沿うように固定具100を傾倒させ(寝かせ)、第1規制部13の延在方向を第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1の連通方向とさせる。この状態において、第1突起部10の第1規制部13を第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1に挿通させる。なお、先端部13bがY方向視で円弧状とされているため、第1規制部13は、第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1に挿通されやすくなっている。
続いて、第1規制部13を第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1に挿通させた状態で、第2突起部20及び第3突起部30がアングル材1zに近づくように、固定具100を図6(a)の矢印で示す方向に回転させる(起こす)。これにより、第1突起部10の第1規制部13が第1部材孔1y1から内側に抜けてアングル材1yにX方向に係合すると共に、第1挿通部12が第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1に挿通された状態となる。また、第2突起部20の第2規制部21が、第2棚孔1z2及び第2部材孔1y2に挿通された状態となる。
続いて、図6(b)に示すように、本体部50が立姿勢となるまで固定具100を引き続き回転させ、本体部50の一主面51をアングル材1zの平面部1zsに当接させる。この際、第3突起部30は、その係合部33の長さL2(図3(b)参照)が第3棚孔1z3の内径よりも小さい所定長とされているため、係合部33が第3棚孔1z3をそのまま通り抜け、第3挿通部32が第3棚孔1z3に挿通された状態となる。そして、固定具100をアングル材1yと共にZ方向(図6(b)の矢印で示す方向)に引き下げる。これにより、図6(c)に示すように、第3突起部30が第3棚孔1z3に引っ掛かり、係合部33がX方向においてアングル材1zに係合する。なお、第3突起部30を第3棚孔1z3に挿通させる際には、必要に応じて、固定具100をアングル材1yと共に上下方向に微動させる場合もある。
以上の取付け作業により、固定具100によるアングル材1zに対するアングル材1yの固定が完了される。ここで、本実施形態に係る固定具100では、第1突起部10の突出長h1が第2突起部20の突出長h2よりも大きくされ、第2突起部20の突出長h2が第3突起部30の突出長h3よりも大きくされている。換言すると、第1突起部10、第2突起部20及び第3突起部30は、Y方向視にて階段状となるように、その突出長がこの順で小さくされている。よって、上記取付け作業のように、第1突起部10を第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1に挿通させて固定具100を回転させるだけで、当該回転に伴って、第2突起部20が第2棚孔1z2及び第2部材孔1y2に挿通され、第3突起部30が第3棚孔1z3に挿通され、ひいては、アングル材1zにアングル材1yが固定されることとなる。
以上、本実施形態の固定具100によれば、アングル材1zにアングル材1yを容易に固定できる。その結果、組立てに際して工具や動力の必要性を低減することができる。従って、部品棚1の組立て作業を簡易化することが可能となる。特に、多数の部品棚1を組立てる場合、部品棚1の製作工数の削減を図ることができ、その作用効果は顕著となる。
なお、一般的には、アングル材1yを部品棚1(アングル材1z)に固定するために、片手でアングル材1yを保持しながらナットを仮付けした後、ナットがボルトと共回りしないようにナットを手や工具で保持しながら、ハンドツール又は電動工具を用いてボルトを締める工程を要する。これに対し、固定具100によれば、動力レスでの部品棚1の組立てが可能となる。
本実施形態では、第1規制部13は、第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1の内径よりも大きい所定長L1で延在している。よって、上述したように、例えば部品棚1に対して突き上げる力等の外力が加わった場合でも、挿通された第1突起部10が第1棚孔1z1及び第1部材孔1y1から抜けにくくなり、固定具100が部品棚1から外れることを抑制し、アングル材1yを部品棚1に確実に固定可能となる。
本実施形態では、第1突起部10の突出長h1が第2突起部20の突出長h2よりも大きくされ、第2突起部20の突出長h2が第3突起部30の突出長h3よりも大きくされている。このような突起部10,20,30の関係で固定具100が構成されることで、上述した一連の手順によるワンタッチ固定が容易かつ好適に実現可能となる。
また、本実施形態では、第2突起部20に雄螺子が形成されている。これにより、上述したように、固定具100でアングル材1yを部品棚1に固定した後に第2突起部20にナットNTを螺合させることで、部品棚1にアングル材1yを強固に固定できる。
なお、本実施形態の第2突起部20は、固定具100の取付けに際してガイド部としても機能する。すなわち、第2突起部20を第2棚孔1z2及び第2部材孔1y2に挿通させることによって、第3突起部30の第3棚孔1z3への挿入がスムーズなものとなる。また、第2突起部20が第2棚孔1z2及び第2部材孔1y2に挿通された状態では、当該第2突起部20によりアングル材1yのZ方向への相対移動を規制でき、固定具100がZ方向に抜けて外れることを抑制できる。
また、上述したように、第2突起部20の頭部22は、例えば一般的なサイズに比べて小型化されている。また、連結部52のY方向に沿う幅Wは、固定具100が部品棚1に取り付けられた際に、アングル材1zの平面部1ztに対して外側に突出しない範囲の最大幅とされている。よって、第2突起部20(頭部22)の溶接固定に伴う入熱量を抑えつつ本体部50の剛性を向上でき、溶接に起因して本体部50が反ることを抑制でき、ひいては、反りを修正する仕上げ加工を不要として固定具100の製作効率向上が可能となる。また、本体部50がアングル材1zから外側に突出しないため、例えば作業者が固定具100に引っ掛かるのを抑制することができる。
以上、本発明の一側面に係る実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
例えば、上記実施形態の第1突起部10は、部品棚1としてのアングル材1zに支持されると共に、長尺部材としてのアングル材1yを支持していたが、次に例示するように、第1突起部10及び第2突起部20の少なくとも一方が部品棚1に支持されると共にアングル材1yを支持していればよい。すなわち、図7(a)に示すように、第2突起部20がアングル材1zに支持されると共にアングル材1yを支持してもよい。また、図7(b)に示すように、第2突起部20がアングル材1zに支持されると共に、第1突起部10がアングル材1yを支持してもよい。また、図7(c)に示すように、第1突起部10がアングル材1zに支持されると共に、第2突起部20がアングル材1yを支持してもよい。また、第1突起部10及び第2突起部20の双方が、部品棚1に支持されると共にアングル材1yを支持していてもよい。
上記実施形態では、水平面に沿う平面部1yyが平面部1ysの下端から内側に突き出すような断面L字状を有するアングル材1yを固定したが、例えば、図8(a)に示すように、水平面に沿う平面部1yy´が平面部1ysの上端から内側に突き出すような断面L字状を有するアングル材1y´を固定することもできる。この場合の固定具101は、固定具100(図5等参照)に比べ、例えば第2突起部20に対して第3突起部30が離間するようにZ方向に長尺化されている。そして、図示するように、例えばアングル材1zにおいて第3棚孔1z3の上方に隣接する別の貫通孔としての第3棚孔1z3´に、第3突起部30が挿通されて係合される。この場合のアングル材1y´は、例えば棚板の取付けに好適なものとされる。
上記実施形態では、第2突起部20として低頭ボルトを用い、当該第2突起部20に雄螺子を形成しているが、第2突起部20に雄螺子を形成しない場合もある。例えば図8(b)に示すように、第2突起部20´の第2規制部21´は、雄螺子とされていない円柱状や角柱状等の棒状とされていてもよい。
上記実施形態では、固定具100は、Z方向に沿って延びるアングル材1zに対して、Y方向に沿って延びるアングル材1yを固定するために用いられているが、アングル材1y,1zが延びる方向はこれらに限られない。例えば、アングル材1y,1zは、X方向、Y方向、Z方向又はこれらの少なくとも何れかと交差する方向に沿って延びていてもよい。また、固定具100は、部品棚1のアングル材1z以外の部位にアングル材1yを固定するために用いられてもよく、要は、部品棚1においてアングル材1yを固定できればよい。
上記実施形態では、本体部50が平板状とされているが、例えば図8(c)に示すように、本体部50´は、突起部10,20,30の突出側とは反対側に、端部が折り曲げられて成るフランジ(補強リブ)53を有していてもよい。また、連結部52のY方向に沿う幅W(図3(c)等参照)は、固定具100が取り付けられた際にアングル材1zの平面部1ztから外側に突出しない幅とされていたが、これよりも更に幅広とされていてもよい。これらの場合、例えば第2突起部20(頭部22)の溶接固定に起因する反り(熱変形)を一層抑制でき、更なる製作効率の向上を図ることができる。
1…部品棚(収納棚)、1y…アングル材(長尺部材)、1z…アングル材(収納棚)、1y1…第1部材孔、1y2…第2部材孔、1z1…第1棚孔、1z2…第2棚孔、1z3…第3棚孔、10…第1突起部、13…第1規制部、20,20´…第2突起部、21,21´…第2規制部、30…第3突起部、33…係合部、50,50´…本体部、51…一主面、100,101,102,103…固定具。

Claims (4)

  1. 収納棚において棚を構成する長尺部材を固定するための固定具であって、
    一主面を有する本体部と、
    前記本体部の前記一主面に突設され、互いに連通する前記収納棚の第1棚孔及び前記長尺部材の第1部材孔に挿通される第1突起部と、
    前記本体部の前記一主面に突設され、互いに連通する前記収納棚の第2棚孔及び前記長尺部材の第2部材孔に挿通される第2突起部と、
    前記本体部の前記一主面に突設され、前記収納棚の第3棚孔に挿通される第3突起部と、を備え、
    前記第1突起部は、その挿通方向において前記収納棚に対する前記長尺部材の相対移動を規制する第1規制部を有し、
    前記第2突起部は、前記長尺部材の長手方向において前記収納棚に対する前記長尺部材の相対移動を規制する第2規制部を有し、
    前記第1突起部及び前記第2突起部の少なくとも一方は、前記収納棚に支持されると共に前記長尺部材を支持し、
    前記第3突起部は、その挿通方向において前記収納棚に係合する係合部を有する、固定具。
  2. 前記第1規制部は、前記第1突起部の先端側において前記一主面に沿う方向に所定長延在し、
    前記所定長は、前記第1棚孔及び前記第1部材孔の内径よりも大きい、請求項1に記載の固定具。
  3. 前記第2突起部は、前記第1突起部と前記第3突起部との間に設けられており、
    前記一主面に対する前記第1突起部の突出長は、前記一主面に対する前記第2突起部の突出長よりも大きく、
    前記一主面に対する前記第2突起部の突出長は、前記一主面に対する前記第3突起部の突出長よりも大きい、請求項1又は2に記載の固定具。
  4. 前記第2突起部には、雄螺子が形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の固定具。
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