JP6304464B1 - エリア設定装置、エリア設定システム、エリア設定方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2016年10月28日出願の日本出願第2016−211832号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
路車間通信とは、路側通信機と車載通信機(移動通信機)との間の通信であり、車車間通信とは、車載通信機(移動通信機)間の通信である。
上記システムにおいて、路側通信機は、道路上の所定の各地点に設置され、車載通信機に対して無線送信を行うことによって情報提供等のサービスを実行し、安全運転支援を行う。
一方、車載通信機は、路側通信機からのサービスの他、車車間通信によって、自機の位置情報や速度情報といった車両情報を他の車載通信機に提供したり、他の車載通信機の車両情報を取得することで、安全運転支援を行う。
ここで、路側通信機が受信した車載通信機からの無線信号に含まれる当該車載通信機の車両情報を、交通信号機の制御に利用することが考えられる。
これに対し、車載通信機ごとに受信可能エリアにばらつきがあると、ある車載通信機の無線信号は受信でき車両情報を受け取ることができるが同じ地点に位置する他の車載通信機の無線信号は受信できず車両情報を受け取ることができないことがある。
つまり、各車載通信機から取得した車両情報を全て利用しようとすると、車載通信機ごとに受信可能エリアにばらつきがあるため、交通信号機の制御のための情報として適切に利用できないおそれがある。
このため、取得した車両情報の中から、交通信号機の制御用の情報として適切に利用できる情報を特定するためのエリアを設定することが望まれる。
本開示によれば、交通信号機の制御用の情報として適切に利用できる情報を特定するためのエリアを設定することができる。
最初に実施形態の内容を列記して説明する。
(1)一実施形態であるエリア設定装置は、道路を走行する車載通信機からの無線信号を受信する受信部と、前記受信部によって受信される受信信号に含まれる前記車載通信機の車両情報に基づいて、前記受信部が前記無線信号を受信可能な受信可能エリアを複数の前記車載通信機ごとに複数算出する第1算出部と、前記無線信号が前記受信部に受信される確率を示す受信信頼度に対応して定まる信頼度エリアを、前記複数の受信可能エリアに基づいて算出する第2算出部と、前記道路に設置された交通信号機の制御に用いる制御用情報を前記車両情報の中から特定するための特定エリアを、前記信頼度エリアに基づいて設定するエリア設定部と、を備えている。
このように、本実施形態によれば、特定エリアを、交通信号機の制御用情報として適切に利用可能な車両情報を特定することができるエリアとして設定することができる。
この場合、交差点の方路それぞれに対して特定エリアを設定することができる。
(6)また前記制御用情報は、前記交通信号機の感応制御に用いられるものであってもよい。
この場合、交差路から流入する流入車載通信機については、特定エリアの設定に際して排除できる。
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、以下に記載する各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
〔システムの全体構成について〕
図1は、実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、交通信号制御機10、路側通信機2、車載通信機(移動通信機)3、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
中央装置4は、自身が管轄するエリアの交通信号機1、交通信号制御機10、及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。よって、中央装置4と各交通信号制御機10との間、中央装置4と各路側通信機2との間、及び、各交通信号制御機10と各路側通信機2との間において双方向通信が可能である。
なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
なお、図1では、図示を簡略化するために、各交差点に信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点には、互いに交差する道路の上り及び下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機3は、キャリアセンス方式で路側通信機2との間で無線通信(車路間通信)を行うとともに、他の車載通信機3と無線通信(車車間通信)が可能である。
また、路車間通信とは、路側通信機2と車載通信機3との間で行われる通信であり、路側通信機2が車載通信機3に向けて通信パケット(路車間通信情報)をブロードキャスト送信することによって行われる。
また、車車間通信とは、車載通信機3同士で行われる通信であり、キャリアセンス方式によって通信パケット(車車間通信情報)を送信することによって行われる。
また、車路間通信とは、車載通信機3と路側通信機2との間で行われる通信であり、車載通信機3が路側通信機2に向けてキャリアセンス方式で通信パケット(車路間通信情報)を送信することによって行われる。
図2中の(a)に示すように、無線フレーム(スーパーフレーム)は、その時間軸方向の長さ(フレーム長)が100ミリ秒に設定されている。また、無線フレームは、時間軸方向に並べて配置されている。つまり、無線フレームは、1秒間に10フレーム配置される。
タイムスロット12は、路側通信機2に割り当てられる通信用のタイムスロット(路側機通信期間)であり、タイムスロット12のいずれかに送信期間が割り当てられている路側通信機2は、その割り当てられているタイムスロット12内に、当該路側通信機2が無線送信する送信期間を設定する。タイムスロット12は、一つの無線フレーム(100ミリ秒)内に最大16個まで設定可能である。
路側通信機2に割り当てられているタイムスロット12以外の期間は、車載通信機3によるキャリアセンス方式の無線送信用として開放する期間である。このため、路側通信機2に割り当てられているタイムスロット12以外の期間では、路側通信機2による無線送信は行われない。
図2中の(b)は、無線フレームに従って設定される路側通信機2の送信期間及び送信禁止期間の一例を示す図である。図2中の(b)では、路側通信機2にn=4の1つのタイムスロット12が割り当てられている場合の送信禁止期間を示している。路側通信機2は、送信禁止期間以外の期間(送信期間)で無線送信を行う。
各路側通信機2は、割り当てられたタイムスロット12で定まる送信期間で無線送信を行う。
路側通信機2は、自路側通信機2のアプリケーションが生成したアプリケーションデータをパケット化し、アプリケーションデータが格納されたパケットを自路側通信機2に割り当てられたタイムスロット12(送信期間)にて送信する。
上述のように、路側通信機2に割り当てられているタイムスロット12以外の期間が、車載通信機3によるキャリアセンス方式の無線送信用として割り当てられる。つまり、全てのタイムスロット12が路側通信機2に割り当てられている図2中の(c)の場合、各タイムスロット12に対応する期間が送信禁止期間となっている。
車載通信機3は、これら送信禁止期間以外の期間において、キャリアセンス方式で無線送信を行う。
図3は、本実施形態に係る路側通信機2、車載通信機3、中央装置4、及び交通信号制御機10の構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、図3に示すように、無線通信のためのアンテナ15が接続された無線通信部16と、通信回線7を介した有線通信を行うための有線通信部17と、通信制御や各種処理を行う処理装置18とを備えている。
処理装置18は、無線通信部16及び有線通信部17を制御し、無線通信及び有線通信の通信に関する処理を行う機能を有している。これにより処理装置18は、路車間通信や、路路間通信を行うとともに、通信回線7を介して中央装置4及び交通信号制御機10との間で有線通信を行う。
処理装置29は、無線通信部28を制御し、無線通信に関する処理を行う機能を有している。これにより処理装置29は、車車間通信や路車間通信を行う。
また、処理装置29は、自機の車両IDや、位置情報、車速情報、方位情報といった車両情報を通信パケットに格納し、無線通信部28に無線送信させる送信部30を備えている。
位置情報は、通信パケットが生成されるときの車載通信機3の位置を示す情報であり、緯度や経度によって表される。
また、車速情報は、通信パケットが生成されるときの車両5の速度を示す情報であり、方位情報は、通信パケットが生成されるときの車両5の進行方向を示す情報である。
処理装置36は、有線通信部35を制御し、有線通信の通信に関する処理を行う機能を有している。これにより処理装置36は、通信回線7を介して路側通信機2及び交通信号制御機10との間で有線通信を行う。
処理装置47は、有線通信部46を制御し、有線通信の通信に関する処理を行う機能を有している。これにより処理装置47は、通信回線7を介して路側通信機2及び交通信号制御機10との間で有線通信を行う。
また、有線通信部46には、交通信号機1が接続されており、信号制御機10は、交通信号機1の制御を行う。
図4は、図1中、交差点周辺の拡大図である。
図4に示すように、路側通信機2は、交通信号機1の支柱1aに設けられている。また、交通信号制御機10は、交差点Jiの近傍に設置されている。
本実施形態のシステムは、路側通信機2が取得する車載通信機3からの通信パケットに含まれる車両情報を利用して交通信号機1を制御する。
中央装置4は、路側通信機2が特定した制御用情報に基づいて、交通信号機1の制御のために必要な情報を生成し、交通信号制御機10に制御命令を与えることで、当該交通信号制御機10の制御を行う。
路側通信機2が受信する車載通信機3の通信パケットに含まれる車両情報には、上述の車両ID、位置情報、車速情報、及び方位情報が含まれている。
路側通信機2は、車両情報に含まれる位置情報を参照し、位置情報が特定エリア内である場合、当該車両情報を制御用情報として特定し、位置情報が特定エリア外である場合、制御用情報として特定しない。
特定エリアは、その受信信頼度(後に詳述する)が交通信号機1の制御において必要な値に設定されている。
路側通信機2は、車載通信機3からの通信パケットに車両情報として含まれる位置情報に基づいて、受信可能エリアを算出する。
路側通信機2は、受信可能エリアを、交差点Jiの停止線の位置を基準としたときの上流側のエリア端までの距離(受信可能エリア端距離)として求める。
よって、受信可能エリアのエリア端は、車載通信機3ごとに異なることがある。そこで、本実施形態の路側通信機2は、受信可能エリア(受信可能エリア端距離)を複数の車載通信機3ごとに複数算出する。
受信可能エリア(受信可能エリア端距離)の算出は、路側通信機2の第1算出部21(図3)によって実行される。第1算出部21は、受信可能エリアの算出を随時行う。
第1算出部21は、受信可能エリアを車載通信機3ごとに算出する。処理装置18は、受信可能エリアの算出を終えた車載通信機3の車両ID及びその算出結果を登録するためのテーブル(受信可能エリアテーブル)を有している。
第1算出部21は、受信可能エリアを算出するごとにこのテーブルに車両ID及び算出結果を登録する。
路側通信機2の第1算出部21は、まず、車載通信機3からの通信パケットを受信し、自機2が車両情報を取得したか否かを判定する(ステップS2)
第1算出部21は、自機2が車両情報を取得したと判定するまで、ステップS2の判定を繰り返す。
図6は、道路上の車載通信機3が送信する車両情報の受信状況の一例を示す図である。
図6中、下段は、上段の車載通信機3が路側通信機2及び交通信号機1に向かって進行する際に送信する車両情報の受信状況を示しており、連続して多数配置されている丸印は、車載通信機3が通信パケット(車両情報)を送信した道路R1上の位置を示している。図6の下段における紙面左右方向の位置は、上段の道路R1の紙面左右方向の位置に対応している。
また、丸印の内、黒塗りの丸印は、車両情報が路側通信機2に受信されたことを示し、白抜きの丸印は、車両情報が路側通信機2に受信されなかったことを示している。
車載通信機3は、上述したように、原則100ミリ秒ごとに通信パケットを送信する。よって、図6中の各丸印は、100ミリ秒間隔で通信パケットを送信したときの位置が示されている。
位置P1の後、車載通信機3が路側通信機2に近づいたとしても不安定な受信状況が続くが、位置P2より連続的に路側通信機2に通信パケットが受信されるようになる。よって、位置P2から交差点Jiまでのエリアにおいては、ほぼ確実に通信パケットが路側通信機2によって受信される。
本実施形態では、交差点から位置P2までのエリアのように、ほぼ確実に通信パケットが路側通信機2によって受信されるエリアを車載通信機3Aの受信可能エリアとし、位置P2付近を受信可能エリアのエリア端とする。
この場合、交差点から位置P3までのエリアのように、ほぼ確実に通信パケットが路側通信機2によって受信されるエリアを車載通信機3Bの受信可能エリアとし、位置P4付近を受信可能エリアのエリア端とする。
ここで、路側通信機2が1秒間の間に車載通信機3の通信パケットを10個受信した場合、車載通信機3は、受信可能エリア内に位置していると判断することができる。また、路側通信機2が1秒間の間に車載通信機3の通信パケットを10個よりも少ない個数しか受信できなかった場合、車載通信機3は、位置P1と位置P2の間に位置していると判断できる。
また、路側通信機2が1秒間の間に車載通信機3の通信パケットを受信する最大数である10個により近ければ、車載通信機3は、位置P2付近に位置している可能性が相対的に高いと判断できる。
つまり、第1算出部21は、所定期間の間に送信される通信パケットの最大数の8割以上を受信すれば、車載通信機3が位置P2付近に位置していると判断し、そのときの車載通信機3の位置に基づいて受信可能エリアを算出する。
対象車両IDの通信パケットを、1秒間の間に8個以上、受信しなかったと判定すると、第1算出部21は、ステップS2に戻る。この場合、第1算出部21は、対象車両IDの車載通信機3が未だ、受信可能エリアのエリア端に到達していないと判定し、再度ステップS2を実行する。
第1算出部21は、ステップS10による脇道車両の判定によって、対象車両IDの車載通信機3が、交差点Jiに向かって道路R1を走行しているのか、脇道R2を走行しているのか、また、道路R1に対して交差している脇道R2から道路R1に流入し交通信号機1に向かって走行しているのかを判定する。この判定方法については、後に説明する。
なお、脇道R2から流入し交通信号機1に向かって道路R1を走行する車載通信機3を搭載した車両や、脇道R2を走行する車載通信機3を搭載した車両を脇道車両という。
第1算出部21は、算出した受信可能エリア端距離を受信可能エリアテーブルに登録し(ステップS14)、処理を終えてステップS2に戻る。
図7中、受信可能エリアテーブルは、対象車両IDを登録するための領域と、算出した日時を示す日時情報を登録するための領域と、算出した受信可能エリア端距離を登録するための領域とを有している。
日時情報とは、第1算出部21が受信可能エリア端距離を算出した日時を示す情報である。
第1算出部21は、車載通信機3ごとに算出した受信可能エリア端距離をその車両ID及び日時情報とともに登録する。
図6中、道路R1に流入する脇道車両である車載通信機3Cは、脇道R2から流入するので、車載通信機3Cが送信する通信パケットに含まれる位置情報は、図6に示すように、脇道R2を走行しているときは、位置P10から位置P11に向かって現れ、道路R1上ではない位置情報となる。なお、図6下段における紙面上下方向は、図6上段の道路R1に交差する脇道R2が延びる方向に対応している。
このため、脇道R2から流入し交通信号機1に向かって道路R1を走行する車載通信機3や、脇道R2を走行する車載通信機3については、受信可能エリア端距離を算出しない。
脇道車両判定の処理に移行すると、第1算出部21は、まず、対象車両IDの車両情報に含まれる位置情報及び方位情報を取得する(ステップS20)。
また、平均位置からみて平均方位が対象の交差点Jiの方向を向いていない場合、たとえ平均位置が道路R1内にあったとしても、対象車両IDの車載通信機3は、脇道から道路R1内に流入してきた脇道車両であると判定することができる。
上述したように、路側通信機2は、特定エリアを設定するために、送信された通信パケットを車載通信機3が受信する確率を示す受信信頼度に対応して定まる信頼度エリアを、第1算出部21が算出した複数の受信可能エリアのエリア端に基づいて算出する。
信頼度エリアの算出は、路側通信機2の第2算出部22(図3)によって実行される。
第2算出部22は、信頼度エリアの算出を、例えば一定の期間ごとに断続的に行う。
路側通信機2の第2算出部22は、まず、受信可能エリアテーブルを参照し、過去所定期間(例えば、過去直近の15分間)の間に算出された受信可能エリア端距離を取得する(ステップS32)。
よってこの場合、第2算出部22は、階級「200」に対応するエリアの受信信頼度を100%とし、このエリアを受信信頼度100%の信頼度エリアとする。
階級「200」は、受信可能エリア端距離が200より大きく250メートル以下の区間を示している。つまり、階級「200」は、交差点Jiの停止線の位置を基準としたときの上流側の受信可能エリア端の位置が200より大きく250メートル以下であることを示している。
第2算出部22は、階級「200」が示す受信可能エリア端距離に基づいて、受信信頼度100%の信頼度エリアのエリア端距離(信頼度エリア端距離)を200メートルと算出する。
この場合、第2算出部22は、階級「250」に対応するエリアの受信信頼度を90%とし、このエリアを受信信頼度90%の信頼度エリアとする。
第2算出部22は、受信信頼度90%の信頼度エリア端距離を階級「250」が示す受信可能エリア端距離に基づいて250メートルと算出する。
また、階級「350」の累積度数は「10」であり、第2算出部22は、階級「350」に対応するエリアを受信信頼度50%の信頼度エリア(エリア端距離350メートル)とする。
図10では、受信信頼度100%の信頼度エリアの次に低い受信信頼度の信頼度エリアは受信信頼度が90%であるが、例えば、受信信頼度95%の信頼度エリアを補完的に求めてもよい。
エリア設定部23(図3)は、第2算出部22が算出した信頼度エリアに基づいて、特定エリアを設定する。
特定エリアは、複数の車両情報の中から交通信号機1の制御に用いる制御用情報を特定するために各方路上に設定されるエリアである。
ここで、待ち行列長を求める処理においては、75%の受信信頼度が必要であり、交通信号機1の感応制御処理においては、95%以上の受信信頼度が必要であるとする。
さらに、エリア設定部23が特定エリアの設定に用いる信頼度エリアは、交通信号機1の制御に必要な受信信頼度に対応している。これにより、特定エリアを、交通信号機1の制御用情報として適切に利用可能な車両情報を複数の車両情報の中から特定することができるエリアとして設定することができる。
この場合、交差リンクから流入する脇道車両については、特定エリアの設定に際して排除できる。
すなわち、脇道車両について受信可能エリア端距離を算出しないことにより、受信可能エリア端距離を精度よく算出することができ、特定エリアの設定に際して脇道車両を排除することで、より適切に特定エリアを設定することができる。
特定部24(図3)は、エリア設定部23が設定した特定エリアを用いて、受信した車載通信機3からの通信パケットに含まれる車両情報の中から、交通信号機1の制御に用いる制御用情報を特定する。特定部24は、制御用情報の特定を随時行ってもよいし、行列長演算部41及び感応制御処理部42の要求に応じて行ってもよい。
本実施形態の特定部24は、受信信頼度75%の特定エリア、及び受信信頼度100%の特定エリアの両方について、制御用情報を特定する。
本システムは、上述のように、交通信号機1の制御に関する処理として、道路R1の待ち行列長を求める処理と、交通信号機1の感応制御処理とを行う。
行列長演算部41は、道路R1における交通信号機1による待ち行列長を求める処理を行う機能を有している。
行列長演算部41は、受信信頼度75%の特定エリアで特定された制御用情報を用いて待ち行列長を求める。
感応制御処理部42は、受信信頼度100%の特定エリアで特定された制御用情報を用いて交通量の算出を行う。
行列長演算部41及び感応制御処理部42は、生成した制御命令を通信回線7を通じて、交通信号制御機10に与える。
信号制御部48は、交通信号機1の灯色を制御する機能を有している。信号制御部48は、中央装置4の行列長演算部41及び感応制御処理部42から与えられた制御命令に基づいて、灯色制御を行う。
図11では、交通信号機1の停止線で信号待ちをしている複数の車載通信機3が存在している場合を示している。
よって、交通信号機1による待ち行列長が受信信頼度75%の特定エリア内に収まる場合、行列長演算部41は、制御用情報に含まれる位置情報から待ち行列長を求めることができる。
そこで、行列長演算部41は、交通信号機1の灯色が赤色から青色に変わった後、特定エリア内に進入する車載通信機3が、当該特定エリアに入ったときの時間を測定し、交通信号機1の灯色が赤色だったときに特定エリア外に延びていた待ち行列長を推定する機能を有している。
さらに、行列長演算部41は、車載通信機3Dが通過したタイミングから、車載通信機3Dの後方に並んでいた車載通信機3が特定エリア内に進入したタイミングまでの時間間隔t(t1)を求める。
一方、車載通信機3Eと、特定エリア外で待ち行列を構成していなかった車載通信機3Fとの間の時間間隔t6は、図11に示すように、特定エリア外で待ち行列を構成していた車載通信機3同士の時間間隔t0〜t5と比較して大きくなる傾向がある。
例えば、車両1台分で行列長が7メートルになると予め設定しておけば、行列長演算部41は、交通信号機1の灯色が赤色だったときに特定エリア外で待ち行列を構成していた車載通信機3の台数を特定すれば、その台数分の行列長を推定することができる。
感応制御処理部42は、路側通信機2の特定部24から与えられる制御用情報の全てを処理すれば、交通信号機1の上流における交通量を算出することができる。
この場合、感応制御処理部42は、路側通信機2の特定部24から与えられる制御用情報の全てを処理する必要がないので、その処理量を減らすことができる。
本システムでは、各方路について特定エリアを求めるので、上流側の車載通信機3からの車両情報に加えて、交通信号機1の下流側を当該交通信号機1から離れる方向に進行する車載通信機3からの車両情報も制御用情報として取得することができるからである。
図13は、他の実施形態に係る路側通信機2、車載通信機3、中央装置4、及び交通信号制御機10の構成を示すブロック図である。
図13に示すシステムでは、中央装置4が、第1算出部21、第2算出部22、及びエリア設定部23を備えている点において、上記実施形態と相違している。
図13においては、中央装置4の処理装置36が、第1算出部21、第2算出部22、及びエリア設定部23を備えたエリア設定装置を構成している。
中央装置4は、路側通信機2から与えられた車両情報を用いて、受信可能エリア、及び信頼度エリアを算出し、特定エリアを設定する。
路側通信機2の特定部24には、中央装置4から、エリア設定部23が設定した特定エリアを示す情報が与えられる。
特定部24は、特定エリアに基づいて特定した制御用情報を中央装置4の行列長演算部41及び感応制御処理部42に与える。
この構成によれば、交通信号機1や道路上に設置する必要がある路側通信機2の処理負荷を減らせることができる。
なお、上記実施形態では、第2算出部22が複数の受信信頼度に対応する複数の信頼度エリアを算出し、エリア設定部23が複数の信頼度エリアの中から、交通信号機1の制御に必要な受信信頼度の信頼度エリアを選択するように構成した場合を例示したが、第2算出部22において、交通信号機1の制御に必要な受信信頼度の信頼度エリアのみを算出し、エリア設定部23は、この信頼度エリアに基づいて特定エリアを設定してもよい。
この場合、第2算出部22は、交通信号機1の制御に必要な受信信頼度の信頼度エリアのみを算出すればよく、処理負荷が軽減される。
また、より高い割合に設定する必要がある場合には、判定基準をより高い割合に設定してもよい。
さらに、第2算出部22は、過去の日における現在と同じ時間帯及び同じ曜日に求められた受信可能エリア端距離を受信可能エリアテーブルから取得し、信頼度エリアを求めてもよい。道路の交通量は、時刻や曜日に依存するため、直近の情報だけでなく、過去の日における同じ時間帯及び同じ曜日に求められた受信可能エリア端距離を採用することができる。この場合、より多くのデータを用いて累積度数分布を求めることができる。
この場合、道路R1における受信可能エリア端距離の方が、同じく交差点Jiの一方路である道路R2における受信可能エリア端距離よりも長くなる場合があるが、上記実施形態にて示した方法によって、信頼度エリア及び特定エリアを求めることができる。
本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1a 支柱
2 路側通信機
3,3A,3B,3C,3D,3E,3F 車載通信機
4 中央装置
5 車両
6 路側センサ
7 通信回線
8 ルータ
10 交通信号制御機
12 タイムスロット
15 アンテナ
16 無線通信部
17 有線通信部
18 処理装置
21 第1算出部
22 第2算出部
23 エリア設定部
24 特定部
27 アンテナ
28 無線通信部
29 処理装置
30 送信部
35 有線通信部
36 処理装置
41 行列長演算部
42 感応制御処理部
46 有線通信部
47 処理装置
48 信号制御部
R1 道路
R2 脇道
J1〜J12 交差点
Claims (12)
- 道路を走行する車載通信機からの無線信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信される受信信号に含まれる前記車載通信機の車両情報に基づいて、前記受信部が前記無線信号を受信可能な受信可能エリアを複数の前記車載通信機ごとに複数算出する第1算出部と、
前記道路に設置された交通信号機の制御に用いる制御用情報を前記車両情報の中から特定するための特定エリアを、前記複数の受信可能エリアに基づいて設定するエリア設定部と、
を備えている
エリア設定装置。 - 前記無線信号が前記受信部に受信される確率を示す受信信頼度に対応して定まる信頼度エリアを、前記複数の受信可能エリアに基づいて算出する第2算出部をさらに備え、
前記エリア設定部は、前記特定エリアを、前記信頼度エリアに基づいて設定する
請求項1に記載のエリア設定装置。 - 前記信頼度エリアは、前記交通信号機の制御に必要な受信信頼度に対応している
請求項2に記載のエリア設定装置。 - 前記第2算出部は、複数の前記受信信頼度に対応する複数の前記信頼度エリアを算出し、
前記エリア設定部は、複数の前記信頼度エリアの中から、前記交通信号機の制御に必要な受信信頼度の信頼度エリアを選択する
請求項3に記載のエリア設定装置。 - 前記交通信号機は交差点に設置され、
前記第1算出部、前記第2算出部、及び前記エリア設定部は、前記交差点の方路ごとに、前記受信可能エリアの算出、前記信頼度エリアの算出、及び前記特定エリアの設定を行う
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のエリア設定装置。 - 前記交通信号機は交差点に設置され、
前記第1算出部、及び前記エリア設定部は、前記交差点の方路ごとに、前記受信可能エリアの算出、及び前記特定エリアの設定を行う
請求項1に記載のエリア設定装置。 - 前記制御用情報は、前記交通信号機における待ち行列長を求めるために用いられる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエリア設定装置。
- 前記制御用情報は、前記交通信号機の感応制御に用いられる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエリア設定装置。
- 前記第1算出部は、前記受信信号が、前記道路に対して交差する交差路から前記道路に流入した流入車載通信機からの受信信号か否かを前記受信信号の車両情報に基づいて判定し、
前記受信信号が前記流入車載通信機からの受信信号であると判定する場合、当該受信信号の前記受信可能エリアの算出を中止する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のエリア設定装置。 - 道路を走行する車載通信機からの無線信号を受信可能な路側通信機と、
前記路側通信機が前記無線信号を受信することで得られる受信信号に含まれる前記車載通信機の車両情報に基づいて、前記路側通信機が前記無線信号を受信可能な受信可能エリアを複数の前記車載通信機ごとに複数算出する第1算出部と、
前記道路に設置された交通信号機の制御に用いる制御用情報を前記車両情報の中から特定するための特定エリアを、前記複数の受信可能エリアに基づいて設定するエリア設定部と、
を備えている
エリア設定システム。 - 道路を走行する車載通信機からの無線信号を受信する受信部の受信信号に含まれる前記車載通信機の車両情報の中から、前記道路に設置された交通信号機の制御に用いる制御用情報を特定するための特定エリアを設定する方法であって、
前記車両情報に基づいて、前記受信部が前記無線信号を受信可能な受信可能エリアを複数の前記車載通信機ごとに複数算出する第1算出ステップと、
前記特定エリアを、前記複数の受信可能エリアに基づいて設定するエリア設定ステップと、
を含む、
エリア設定方法。 - 道路を走行する車載通信機からの無線信号を受信する受信部の受信信号に含まれる前記車載通信機の車両情報の中から、前記道路に設置された交通信号機の制御に用いる制御用情報を特定するための特定エリアを設定する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
前記車両情報に基づいて、前記受信部が前記無線信号を受信可能な受信可能エリアを複数の前記車載通信機ごとに複数算出する第1算出ステップと、
前記特定エリアを、前記複数の受信可能エリアに基づいて設定するエリア設定ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
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2017
- 2017-07-27 JP JP2017558036A patent/JP6304464B1/ja active Active
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