JP6303301B2 - Fe系金属板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明のFe系金属板は、自動車や建材、家電製品などに用いられる機械的特性に優れたFe系金属板及びその製造方法に関するものである。
近年、自動車分野においては衝突安全性の確保と燃費向上が求められており、高強度鋼板が適用されている。衝突安全性に関しては法規制の強化から、これまで低強度の鋼板を用いていた複雑形状を有する部品へまで高強度鋼板の適用が試みられている。しかしながら、材料の成形性は強度の向上に伴って劣化するため、複雑形状を有する部品への高強度鋼板の適用は難しかった。
これに対して特許文献1には仕上げ圧延を変態点以下で潤滑を施しつつ圧延を行うことで、高強度鋼板の深絞り性を向上させる技術が記載されている。しかしながら、この方法の実施には潤滑設備を付帯させたり、多量の潤滑油が必要となる。
さらに特許文献2には極低炭素鋼にTiやNbを固溶炭素、固溶窒素を固着する量添加し、さらにSi、Mn、Pなどの固溶固溶化元素を添加することで高r値を有しながら高強度化する技術が記載さている。しかしながらこの技術では440MPa以上の鋼板を製造するには多量の合金元素を添加する必要があり、r値の劣化を引き起こしてしまう。
圧延面内に{222}面を高集積化させ、深絞り性の指標である平均r値を高めたFe系金属板については、本発明者らは、先に特許文献3として次のような技術を提案している。
(a)α‐γ変態系のFe系金属よりなる母材金属板の片面あるいは両面にフェライト生成元素を付着させる工程と、
(b)該母材金属板を室温から母材金属板のA3点まで加熱して母材金属板内にフェライト生成元素を拡散させ、一部を母材に合金化させるとともに、合金化された領域でのα‐Fe相の{222}面集積度を25%以上50%以下とし、かつ、{200}面集積度を40%以下とする工程と、
(c)母材金属板をA3点以上の温度に加熱、保持して、フェライト生成元素と合金化されたα‐Fe相の面集積度について、{222}面集積度を増加させるとともに、{200}面集積度を低下させる工程と、
(d)母材金属板をA3点未満の温度へ冷却し、合金化していない領域のγ‐Fe相がα‐Fe相へ変態する際に、該α‐Fe相の{222}面集積度を高めて、{222}面集積度が30%以上99%以下となり、かつ、{200}面集積度が30%以下となるようにする工程とを有することを特徴とする高い{222}面集積度を有するFe系金属板の製造方法。
特開平5−339643号公報 特開昭56−139654号公報 特開2009−256724号公報
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、高強度であり、加工性に優れたFe系金属板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、様々な異種元素を付与したFe系金属板の機械的特性について、鋭意研究、検討を行った。その結果、本発明者らはFe系金属板にフェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を付与して熱処理を行うと、高いr値が得られるのと同時に、引張強度が向上することを見出した。
本発明のFe系金属板は、
(1)片面もしくは両面にフェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素が合金化してα−Fe単相となった合金化領域を有し、
質量%で、前記合金化領域の異種元素のフェライト生成元素の濃度をx%、オーステナイト生成元素の濃度をy%とすると、0.001<y/x<5であり、
少なくとも板厚中心部がα-γ変態成分系であり、
板面における{222}面集積度が30%以上99%以下、及び、{200}面集積度が0.01%以上30%以下であり、
前記合金化した異種元素のオーステナイト生成元素がC、Co、Cu、Ni、N、Mn、Pdのうち1種以上であり、フェライト生成元素がAl、Cr、Ga、Ge、Mo、Sb、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、のうち1種以上である
ことを特徴とする引張強度が400MPa以上のFe系金属板。
ここで{222}面集積度とは、試料表面に対して平行なα−Fe結晶の11ある方位面({110}、{200}、{211}、{310}、{222}、{321}、{411}、{420}、{332}、{521}、{442})の積分強度を測定し、その測定値それぞれを、ランダム方位である試料の理論積分強度で除した後、{222}強度の比率を百分率で求めたものである。
)Fe系金属板の板厚が10μm以上6mm以下であることを特徴とする(1)に記載のFe系金属板。
)Fe系金属よりなる母材金属板上に異種元素を付着させ、熱処理して拡散させたFe系金属板を製造する方法であって、
(a)α−γ変態成分系のFe系金属よりなる鋳片から熱間圧延及び圧下率30%以上95%以下の範囲で冷間圧延して厚みを減少させて母材金属板を得る工程と、
(b)前記母材金属板の片面もしくは両面に、フェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を、その後の加熱・拡散・冷却工程によってFe系金属板の最表層がα―Fe単相からなる合金化領域となるように付着させる工程と、
(c)異種元素が付着した前記母材金属板を、母材金属板のA3点まで加熱して、異種元素を母材金属板に拡散させる工程と、
(d)前記金属板をさらにA3点以上1300℃以下の温度に加熱、保持して異種元素を拡散させる工程と、
(e)前記金属板をA3点未満の温度へ冷却する工程を有し
質量%で、前記合金化領域の異種元素のフェライト生成元素の濃度をx%、オーステナイト生成元素の濃度をy%とすると、0.001<y/x<5であり、
前記異種元素となるオーステナイト生成元素がC、Co、Cu、Ni、N、Mn、Pdのうち1種以上であり、フェライト生成元素がAl、Cr、Ga、Ge、Mo、Sb、Si、Sn、Ta、Ti、V、Wのうち1種以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のFe系金属板の製造方法。
)付着させる異種元素層の厚みが0.05μm以上1000μm以下であることを特徴とする(3)に記載のFe系金属板の製造方法。
)該Fe金属板の厚みが10μm以上6mm以下であることを特徴とする(または4)に記載のFe系金属板の製造方法。
本発明によれば、Fe系金属板にフェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を拡散させて熱処理すると、集合組織を制御でき、かつ従来よりも高い機械的特性が得られることがわかった。
また、本発明によれば、既存設備を利用して、集合組織が制御され、かつ高い機械的特性を両立したFe系金属板を短時間で安定して製造することができ、経済性に優れる。
本発明者らは、特許文献1に示した方法についてさらに検討を加えた結果、金属板表面に拡散させる異種元素としてフェライト生成元素に加えて、オーステナイト生成元素を加えることにより、金属板の集合組織を制御して、機械的特性が向上する現象を見出した。
(本発明の基本原理の説明)
まず、フェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を拡散させた時に、従来技術よりも機械的特性が向上する基本原理を説明する。
本発明では母材となるFe系金属板にα−γ変態系の組成のものを用い、その片面もしくは両面にフェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を付着させ、異種元素を拡散させて集合組織を制御し、かつ機械的特性に優れたFe系金属板を得る。
工程(a)では、α−γ変態成分系のFe系金属からなる鋳片を熱間圧延及び冷間圧延によって板厚を減少させ、板の片面もしくは両面の全面に{222}に近い方位に配向した組織を付与する。
工程(b)では、母材金属板にフェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を付着させる。
工程(c)で、異種元素の付着した金属板を、母材金属板のA3点以上まで加熱して、母材金属板内の{222}に近い方位が配向した領域の一部または全体に異種元素を拡散させ、母材に合金化させ、合金化した領域でα−Fe相を保存する。あるいは{222}に近い方位が配向した領域を超えて内部にフェライト生成元素を拡散させて、γ−Fe相であった領域をα−Fe相へ変態させる。その時、保存されたα−Fe相の配向を引き継いで変態するため、合金化した領域でも{222}に近い方位に配向した組織が形成される。また、先にα相化した粒においても、さらに{222}に近い方位への配向が高まる。
工程(d)では前記金属板をA3点以上1300℃以下の温度に加熱、保持する。α−Fe単相成分の領域は、γ変態を起こさないため、{222}に近い方位に配向した結晶粒はそのまま保存され、その領域の中で{222}に近い方位の結晶粒が優先成長して{222}面集積度が高まる。また、α−Fe単相成分でない領域はγ−Fe相へと変態する。保持時間を長くすると、{222}結晶粒は食い合いによって優先的に成長し、その結果、{222}面集積度はさらに高くなる。
工程(e)では金属板をA3点未満の温度へ冷却する。この時、合金化していない内部の領域のγ−Fe相はα−Fe相へ変態する。この内部の領域はA3点以上の温度域において、既に{222}に近い方位へ配向したα−Fe粒となっている領域に隣接しており、γ−Fe相からα−Fe相へ変態する際に、隣接するα−Fe粒の結晶方位を引き継いで変態する。このため、その領域でも{222}に近い方位が集積する。
異種元素としてフェライト生成元素とオーステナイト生成元素を適用すると、工程(e)において金属板内でA3点が変化する。すなわち、最表層の異種元素が十分に合金化した領域はα−Fe単相となるが、内部では、最表層から拡散してきた異種元素が合金化するため、合金量が少ない。このためオーステナイト生成元素の影響が大きく現れ、この領域ではA3点が存在する。従ってフェライト生成元素のみを拡散させた場合よりも、工程(d)でα−Fe相からγ−Fe相へと変態する領域を広くすることができ、この領域の配向をランダムにすることができる。工程(e)で冷却すると、この領域はγ−Fe相からα−Fe相へと変態するが、変態の際にα−Fe相の核生成サイトとなるγ粒界が多く存在するため、冷却後のα−Fe粒が細かくなる。さらにこの領域のγ−Fe相のランダム粒は、最表層のα−Fe単相領域で保存、成長した{222}結晶粒の方位を引き継いでα−Fe相へ変態するため、{222}に近い方位に配向する。このため高い{222}面集積度を有し、かつ、機械的性質に優れた金属板が得られる。
以上、本発明の基本的な構成について説明したが、さらに本発明の製造方法を規定する個々の条件の限定理由及び本発明を実施するに当たり、好ましい条件について説明する。
(母材金属板の成分)
母材金属板にはA3点を有するα−γ変態系の成分を有するFe系金属を用いる。C:1質量ppm〜0.2質量%、残部Fe及び不可避不純物からなる純鉄や低炭素鋼を基本とし、適宜、添加元素を含有させたものである。C:0.1質量%以下、Si:0.1〜2.5質量%を基本成分とするα−γ変態系成分のケイ素鋼でもよい。MnやCrは添加することでα−γ変態領域を拡大させることができる。また、その他の不純物としては微量のMn,Ni,Cr,Al,Mo,W,Ti,V,Nb,B,Cu,Co,Zr,Y,Hf,La,Ce,N,O,P,S等が含まれる。
(フェライト生成元素の種類)
母材金属板の表層から拡散させるフェライト生成元素は、特にAl,Cr,Ga,Mo,Sb,Si,Sn,Ta,Ti,V,のうち1種以上であると良い。
(オーステナイト生成元素の種類)
母材金属板の表層から拡散させるオーステナイト生成元素は、特にC、Co、Cu、Ni、N、Mn、Pdの1種以上であると良い。
(Fe系金属板の厚み)
Fe系金属板の厚みは10μm以上、6mm以下とすることが好ましい。厚みが10μm未満であると異種元素を付与した際に鋼板との界面に亀裂が入りやすいという問題が生じる。また、厚みが6mm超であると、拡散処理後の冷却後に、十分に内部まで集合組織が制御できない。
(Fe系金属板の集合組織)
製品金属板の板面に対するα−Fe相の{222}面集積度は、30%以上99%以下とする必要がある。この集積度が30%未満であると、十分に高いr値が得られない。また99%を超えると、r値は飽和し、製造も困難になる。望ましくは50%以上95%以下である。
なお、上記方位面の面集積度の測定は、MoKα線によるX線回折で行うことができる。
詳細に述べると、各試料について、試料表面に対して平行なα−Fe結晶の11ある方位面({110}、{200}、{211}、{310}、{222}、{321}、{411}、{420}、{332}、{521}、{442})の積分強度を測定し、その測定値それぞれを、ランダム方位である試料の理論積分強度で除した後、{222}強度の比率を百分率で求める。
その際、{222}強度比率では、以下の式(I)で表される。
{222}面集積度=[{i(222)/I(222)}/Σ{i(hkl)/I(hkl)}]×100 ・・・ (I)
ただし、記号は以下のとおりである。
i(hkl): 測定した試料における{hkl}面の実測積分強度
I(hkl): ランダム方位をもつ試料における{hkl}面の理論積分強度
Σ: α−Fe結晶の11の方位面についての和
ここで、ランダム方位を持つ試料の積分強度は、試料を用意して実測して求めてもよい。
(フェライト生成元素とオーステナイト生成元素の割合)
濃化領域の異種元素のフェライト生成元素の濃度を質量%で、x%、オーステナイト生成元素の濃度を質量%で、y%とすると、0.001<y/x<5を満たす割合で付着させる。y/xが0.001未満だと拡散領域のA3点を十分に下げることができず、強度が向上しない。また5超では冷却後にγ−Fe相が残ってしまうため、{222}面集積度が低下する。より好ましくは0.005≦y/x≦4である。
次に製造方法について述べる。
(母材金属板)
α−γ変態成分のFe系金属から成る鋳片を、熱間圧延及び冷間圧延によって板厚を減少させて母材金属板を得る。冷延圧下率は30%以上95%以下とする。30%未満では熱処理工程後に得られる{222}面集積度が低く、95%超では{222}面集積度の増加は飽和し、製造コストが増加する。
(異種元素の付着)
異種元素層の厚さは、0.05μm以上1000μm以下であることが好ましい。異種元素層の厚さが0.05μm未満であると、合金領域を十分に形成することが困難になって、十分なα相の{200}面集積度が得られないことがある。また、異種元素層の厚さが1000μmを超えていると、A3点未満への冷却後に異種金属層が厚く残存して剥離や、r値の低下を生じることがある。異種元素の付着方法はEB蒸着法、イオンプレーティング法、めっき法及びスパッタ法のいずれでも良い。フェライト生成元素とオーステナイト生成元素はこれらの方法によって同時に付着させても良いし、別々に付着させても良い。
(拡散熱処理)
フェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を付着させた母材金属板を、母材金属板のA3点まで加熱して、母材金属板内の一部または全体に異種元素を拡散させ、母材に合金化させ、合金化した領域でα相を保存する。そして、母材金属板をさらにA3点以上1300℃以下の温度に加熱して、保持する。すでに合金化されている領域はγ変態しないα単相組織となり、その領域の結晶粒の配向はそのまま保存される。また、α単相でない領域はγ変態を起こす。さらに、異種元素の拡散に伴い、合金化した領域ではγ−α変態が進む。その際、変態する領域に隣接する領域ではすでに集合組織が保存されたα粒となっており、γ相からα相へ変態する際に、隣接するα粒の結晶方位を引き継ぐかたちで変態する。保持時間が長くなると集合組織が揃う半面、結晶粒が粗大化してしまい強度が低下するので、保持時間は0.5sec以上36000sec以下が好ましい。
本発明を実施例でさらに説明する。実施例での条件は本発明の実施可能性及び効果を確かめるために行った一条件例であり、本発明はこの一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用しうるものである。
(実施例1)
真空溶解炉で表1に示す鋼種A〜Fの成分の鋼を溶解し、インゴットを鋳造した。インゴットをγ域で厚さ45mmまで熱間圧延し、続いて温間または冷間で加工し、母材金属板とした。表1に母材金属板の化学成分及びA3点を示した。次いで、母材金属板の両面にフェライト生成元素のAlとオーステナイト生成元素のNiを合計の厚みで2μmとなるように付着させた。
Figure 0006303301
次いで、異種元素の付着した金属板に熱処理を行った。熱処理炉には赤外炉を用い、10-3Paレベルまで真空引きした雰囲気中で熱処理した。1050℃、保持時間を1200secとした。
得られたFe系金属板の評価は以下のように行った。まず、集合組織についてはX線回折法で評価した。
続いて、引張強度はJIS5号引張り試験片を採取して、機械的性質を測定した。フェライト生成元素とオーステナイト生成元素の比率は、金属板表面の任意の位置においてφ100μmのエリアをEPMA(Electron Probe Micro−Analysis)法を用いて面分布を測定し、その平均値から求めた。平均r値はJIS Z 2254で求められる平均塑性ひずみ比を意味し、以下の式(II)で算出される値である。
平均r値=(r0+2r45+r90)/4・・・(II)
なお、r0、r45、r90は、試験片を板面の圧延方向に対し、それぞれ0°、45°、90°方向に採取し測定した塑性ひずみ比である。
表2及び表3から明らかなように、母材成分がα−γ変態系成分であり、A3点を有するものは高い{222}面集積度を有し、かつ、引張強度も高くなった。一方、母材がα‐γ変態系成分でない比較例1では{222}面集積度が低くr値は2を超えることはなく、また引張強度も低かった。
Figure 0006303301
Figure 0006303301
(実施例2)
本実施例では母材に表1に記載の鋼種Aを用いた。この母材は真空溶解によってインゴットを溶製した後に、熱間圧延、温間または冷間圧延により様々な厚みに加工したものである。熱間圧延は1200℃に加熱した厚さ245mmのインゴットを厚さ50mmまで薄肉化した。この熱間圧延板から機械加工によって各種の板材を切り出し、温間または冷間で圧延を実施し、厚み0.1〜5.6mmの母材金属板を製造した。得られた母材金属板の両面に種々のフェライト生成元素とオーステナイト生成元素を付着させた。フェライト生成元素としてAl,Mo,Si,Sn,V、オーステナイト生成元素としてCo、Cu、Ni、Mn、Pdを付着させた。比較例においてはフェライト生成元素またはオーステナイト生成元素を単独で付着させた場合、さらには異種元素を付着させなかった場合を検討した。
熱処理炉には赤外炉を用い、10-3Paレベルまで真空引きした雰囲気中で熱処理した。保持温度は920℃〜1200℃、保持時間を5〜18000secとした。評価は実施例1と同じ方法により行った。
表4及び表5から明らかなように、発明例はすべて400MPa以上の引張強度を有すると同時に、平均r値が2.0以上となることがわかった。これに対し、本発明の条件を外れる場合や、異種元素を付着させなかった場合には、集合組織も制御できず、引張強度も低かった。また比較例2や3のようにy/xが5を超えた場合には、平均r値が低く、引張強度も低くなった。また比較例4のようにフェライト生成元素のみを付着させた場合、高い{200}面集積度が得られたものの、引張強度は低かった。比較例6ではオーステナイト生成元素のみを付着させたが、この場合には{200}面集積度も低く、引張強度も低い結果であった。
Figure 0006303301
Figure 0006303301
Figure 0006303301
Figure 0006303301
(実施例3)
本実施例では母材に表1に記載の鋼種Cを用いた。この母材は真空溶解によってインゴットを溶製した後に、熱間圧延、温間または冷間圧延により様々な厚みに加工したものである。熱間圧延は1200℃に加熱した厚さ205mmのインゴットを厚さ25mmまで薄肉化した。この熱間圧延板から機械加工によって各種の板材を切り出し、冷間で圧延を実施し、厚み0.2〜4.7mmの母材金属板を製造した。得られた母材金属板には実施例2と同様に異種元素を付着させ、熱処理を行った。保持温度は950〜1280℃、保持時間を0.5〜12000secとした。評価は実施例1と同じ方法により行った。
表6及び表7に示したように、発明例では高い{222}面集積度を有し、かつ、引張強度が500MPa以上となった。比較例10のようにy/xが5を超えると、{222}面集積度は低く、引張強度も低くなった。フェライト生成元素のみを付着させた比較例11では、非常に高い{222}面集積度が得られたが、引張強度は428MPaと低かった。オーステナイト生成元素のみを付着させた比較例12の場合、{222}面集積度も引張強度も低いことがわかった。
Figure 0006303301
Figure 0006303301
Figure 0006303301
Figure 0006303301
(実施例4)
本実施例では母材に表1に記載の鋼種Dと鋼種Eを用いた。この母材は真空溶解によってインゴットを溶製した後に、熱間圧延、温間または冷間圧延により様々な厚みに加工したものである。熱間圧延は1200℃に加熱した厚さ225mmのインゴットを厚さ25mmまで薄肉化した。この熱間圧延板から機械加工によって各種の板材を切り出し、冷間で圧延を実施し、厚み0.008〜6.2mmの母材金属板を製造した。得られた母材金属板の両面にフェライト生成元素のSiやZn、オーステナイト生成元素のMn,Cuを付着させた。熱処理は実施例2と同様に行った。保持温度は700〜1325℃、保持時間を0.05〜40000secとした。評価は実施例1と同じ方法により行った。
表8及び表9から明らかなように、発明例はすべて500MPa以上の引張強度を有すると同時に、{222}面集積度が30%以上となることがわかった。これに対し、本発明の条件を外れる場合には{222}面集積度は低く、引張強度も低いレベルに留まった。
Figure 0006303301
Figure 0006303301

Claims (5)

  1. 片面もしくは両面にフェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素が合金化してα−Fe単相となった合金化領域を有し、
    質量%で、前記合金化領域の異種元素のフェライト生成元素の濃度をx%、オーステナイト生成元素の濃度をy%とすると、0.001<y/x<5であり、
    少なくとも板厚中心部がα−γ変態成分系であり、
    板面における{222}面集積度が30%以上99%以下、及び、{200}面集積度が0.01%以上30%以下であり、
    前記合金化した異種元素のオーステナイト生成元素がC、Co、Cu、Ni、N、Mn、Pdのうち1種以上であり、フェライト生成元素がAl、Cr、Ga、Ge、Mo、Sb、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、のうち1種以上であることを特徴とする引張強度が400MPa以上のFe系金属板。
    ここで{222}面集積度とは、試料表面に対して平行なα−Fe結晶の11ある方位面({110}、{200}、{211}、{310}、{222}、{321}、{411}、{420}、{332}、{521}、{442})の積分強度を測定し、その測定値それぞれを、ランダム方位である試料の理論積分強度で除した後、{222}強度の比率を百分率で求めたものである。
  2. Fe系金属板の板厚が10μm以上6mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のFe系金属板。
  3. Fe系金属よりなる母材金属板上に異種元素を付着させ、熱処理して拡散させたFe系金属板を製造する方法であって、
    (a)α−γ変態成分系のFe系金属よりなる鋳片から熱間圧延及び圧下率30%以上95%以下の範囲で冷間圧延して厚みを減少させて母材金属板を得る工程と、
    (b)前記母材金属板の片面もしくは両面に、フェライト生成元素とオーステナイト生成元素からなる異種元素を、その後の加熱・拡散・冷却工程によってFe系金属板の最表層がα―Fe単相からなる合金化領域となるように付着させる工程と、
    (c)異種元素が付着した前記母材金属板を、母材金属板のA3点まで加熱して、異種元素を母材金属板に拡散させる工程と、
    (d)母材金属板をさらにA3点以上1300℃以下の温度に加熱、保持して異種元素を拡散させる工程と、
    (e)母材金属板をA3点未満の温度へ冷却する工程を有し、
    質量%で、前記合金化領域の異種元素のフェライト生成元素の濃度をx%、オーステナイト生成元素の濃度をy%とすると、0.001<y/x<5であり、
    前記異種元素となるオーステナイト生成元素がC、Co、Cu、Ni、N、Mn、Pdのうち1種以上であり、フェライト生成元素がAl、Cr、Ga、Ge、Mo、Sb、Si、Sn、Ta、Ti、V、Wのうち1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のFe系金属板の製造方法。
  4. 付着させる異種元素層の厚みが0.05μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項に記載のFe系金属板の製造方法。
  5. 該Fe金属板の厚みが10μm以上6mm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のFe系金属板の製造方法。
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