JP6302812B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学基材、光学素子、光学素子鏡筒、及び光学機器に関する。
ガラスなどで形成される光学基材の表面に樹脂層を設け、樹脂層を所望の光学面形状に成形してなる複合光学素子が知られている。この種の複合光学素子では、樹脂の硬化収縮に起因して樹脂層への光学面形状の転写不良が生じる場合がある。特許文献1に記載された複合光学素子の製造方法では、転写不良を抑制するため、樹脂層が多数の層に分けられて成形されている。
特開2005−001319号公報
複合光学素子では、樹脂の硬化収縮に起因して光学素子に応力が作用し、この応力によって光学素子に歪が発生する場合がある。そして、歪の影響により光学素子の外周面が傾く虞がある。光学素子の外周面は、一般に光学素子を収容保持する鏡筒に嵌合する部位であるところ、外周面の傾きは鏡筒内での光学素子の安定性を低下させる虞がある。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、光学基材の表面に光学基材とは異なる材料からなる光学部材が複合されて形成される光学素子の鏡筒内での安定性を高めることができる光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の一態様の光学素子の製造方法は、光学基材の少なくとも一方の表面に上記光学基材と異なる材料からなる光学部材が複合されてなる光学素子であって、上記光学基材は、上記光学部材が複合されていない状態で上記光学部材が複合される上記表面側から反対の表面側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状のコバ面を、外周面の少なくとも一部に有しており、上記表面に上記光学部材が複合された状態で、上記光学基材の上記コバ面が光軸と平行である。
本発明によれば、光学基材の表面に光学基材とは異なる材料からなる光学部材が複合されて形成される光学素子の鏡筒内での安定性を高めることができる光学素子の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態を説明するための、光学素子を備える光学素子鏡筒の一例の構成を示す図である。 (A)は図1の光学基材の構成を示し、(B)は同図(A)の点線円IIBで囲まれた部分を拡大して示す図である。 (A)は図1の光学素子の構成を示し、(B)は同図(A)の点線円IIIBで囲まれた部分を拡大して示す図である。 (A)は図1の光学素子の変形例の構成を示し、(B)は同図(A)の点線円IVBで囲まれたす図である。 (A)は図4の光学基材の構成を示し、(B)は同図(A)の点線円VBで囲まれた部分を拡大して示す図である。 本発明の実施形態を説明するための、光学素子の他の例の構成を示す図である。 (A)は図6の光学基材の構成を示し、(B)は同図(A)の点線円VIIBで囲まれた部分を拡大して示す図である。
図1は、本発明の実施形態を説明するための、光学素子を備える光学素子鏡筒の一例の構成を示す。
図1に示す光学素子1は、光学基材2の一方の表面20に光学部材3が複合されて形成されているものであり、図示の例では光学部材3によって構成される一方の光学面が自由曲面とされ、光学基材2の他方の表面21によって構成される他方の光学面が凸球面とされたレンズである。なお、光学素子1の両光学面の形状の組み合わせは特に限定されず、凸又は凹の球面や自由曲面や平面などの種々の形状の適宜な組み合わせとすることができる。
光学基材2はガラスによって形成されている。光学基材2の両表面20,21は、光学素子1の対応する光学面の形状に応じて、典型的には凸若しくは凹の球面、又は平面とされ、図示の例では、光学部材3が複合された表面20、及び露呈された表面21がいずれも凸球面に形成されている。
光学部材3は、光学基材2とは異なる材料からなり、本例では樹脂によって形成されている。なお、光学部材3は、光学基材2とは組成の異なるガラスで形成されていてもよい。
そして、光学素子1の外周面22、即ち表面20に光学部材3が複合された状態での光学基材2の外周面22は、光学素子1の光軸Xと平行となっている。
光学素子鏡筒4は、鏡筒5を備え、鏡筒5の内部に一つ以上の光学素子1を収容保持して構成されている。本例では、光学素子1の外周面22の全体がコバ面となっており、鏡筒5は、光学素子1の外周面(コバ面)22に嵌合し、光学素子1を収容保持する。
上記のとおり、光学素子1の外周面22は光学素子1の光軸Xと平行となっており、鏡筒5の内周面と全面に亘って密接する。それにより、鏡筒5内で光学素子1を安定に保持でき、光軸のぶれを抑制して光学素子鏡筒4の所期の光学性能を得ることができる。
図2(A)は、光学基材2の構成を示し、図2(B)は同図(A)の点線円IIBで囲まれた部分を拡大して示す。また、図3は、光学素子1の構成を示し、図3(B)は同図(A)の点線円IIIBで囲まれた部分を拡大して示す。
光学部材3が表面20に複合されていない状態で、光学基材2の外周面22は、その全体が、光学部材3が複合される表面20側から反対の表面21側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状に形成されている。
光学部材3は、光学基材2の表面20に樹脂層を設け、成形型を用いて樹脂層に所望の光学面形状を転写し、樹脂層を硬化させることにより、表面20に接合された状態で形成される。
光学部材3を形成する樹脂層が硬化する際の硬化収縮に伴い、光学基材2には求心的な収縮応力が作用し、応力は光学部材3が複合された表面20側ほど大きい。そのため、表面21側よりも光学部材3が複合された表面20側での収縮量が大きくなり、外周面22に傾きが生じる。応力に起因する外周面22の傾き角度は、典型的には0.2°〜0.5°程である。
上記の応力に起因する外周面22の傾きに対し、光学部材3が表面20に複合されていない状態での光学基材2の外周面22は、表面20側から表面21側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状に形成されている。そこで、表面20に光学部材3が複合された状態では、応力に起因する外周面22の傾きが相殺され、外周面22は光学素子1の光軸Xと平行となる。なお、本明細書において、光軸Xに「平行」であるとは、光軸Xとのなす角度が0.1°以下である場合を含むものとする。
応力に起因する外周面22の傾きは、光学素子1の厚みや外径にも関連し、偏平なほど傾きが顕著となる傾向にある。光軸X上の光学素子1の厚みをd[mm]、外径をφ[mm]として、3<φ/d<100である場合に、上記のように、光学基材2の外周面22をテーパ状に形成しておき、応力に起因する外周面22の傾きを相殺することは、特に有用である。条件式の下限に近づくほど、レンズ形状がブロックに近くなり、収縮応力の影響によるコバ面が傾斜する範囲の割合が小さくなるため、収縮応力の影響の寄与率が小さくなる。一方、上限に近づくほど、レンズの形状は収縮応力の影響によるコバ面が傾斜する範囲の割合が大きくなり、更にレンズの全体のそりの影響も加わるため縮応力の影響の寄与率が高くなる。なお、φ/dの値が大きくなる、即ちレンズが偏平になるほどに、レンズのパワーも小さく、面を複合するメリットも軽減するため、φ/dの上限としては100未満が適当である。
なお、光学基材2の外周面22の少なくとも一部にテーパ状のコバ面が設けられ、表面20に光学部材3が複合されることによってコバ面が光学素子1の光軸Xに平行となっていればよく、光軸Xに平行となったコバ面を鏡筒5の内周面と密接させることによって鏡筒5内で光学素子1を安定に保持することができる。
図4及び図5に示す例では、光学基材2は、光学部材3が複合される表面20側の大径部2aと、他方の表面21側の小径部2bとで構成されている。そして、大径部2aの外周面22aが、表面20側から表面21側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状に形成され、コバ面とされている。
この場合に、光学部材3が表面20に複合されることによって、コバ面22aは光学素子1の光軸Xに平行となり、光学素子1が鏡筒5(図1参照)に収容された際には、コバ面22aは鏡筒5の内周面と密接する。それにより、鏡筒5内で光学素子1を安定に保持することができる。小径部2bの外周面22bは鏡筒5との嵌合に寄与しないので、その形状は任意である。
図6は、本発明の実施形態を説明するための、光学素子の他の例の構成を示す。また、図7(A)は、図6の光学基材の構成を示し、図6(B)は同図(A)の点線円VIIBで囲まれた部分を拡大して示す。
図6に示す光学素子101は、光学基材102の表面120に光学部材3aが複合され、他方の表面121にも光学部材3bが複合されて形成されており、光学素子101の外周面122、即ち表面120,121に光学部材3a,3bがそれぞれ複合された状態での光学基材102の外周面122は、光学素子101の光軸Xと平行となっている。
図7に示すように、光学部材3a,3bが表面120,121に複合されていない状態で、光学基材102の表面120側の外周面122aは、表面120側から反対の表面121側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状に形成され、コバ面とされており、また、表面121側の外周面122bは、表面121側から反対の表面120側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状に形成され、コバ面とされている。
表面120に光学部材3aが複合されることにより、光学基材102には表面120側ほど大きい求心的な収縮応力が作用し、また、表面121に光学部材3bが複合されることにより、光学基材102には表面121側ほど大きい求心的な収縮応力が作用し、これらの応力に起因して外周面122に傾きが生じるが、応力に起因する外周面122の傾きは、コバ面122a,122bの各々のテーパ形状によって相殺され、コバ面122a,122bは光学素子101の光軸Xと平行となる。
上述した光学素子鏡筒4を備えた光学機器の一例として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子をさらに備える撮像装置では、鏡筒5内で光学素子1が安定に保持され、光軸のぶれが抑制されるので、光学素子鏡筒4を通して撮像素子により取得される画像の画質を高めることができる。
また、上述した光学素子鏡筒4を備えた光学機器の他の例として、LCD(Liquid Crystal Display)パネルなどの画像表示素子をさらに備える投射装置では、鏡筒5内で光学素子1が安定に保持され、光軸のぶれが抑制されるので、光学素子鏡筒4を通して画像表示素子により投射される画像の画質を高めることができる。
なお、光学部材3,3a,3bは、予め成形された状態で光学基材2,102の表面に接合され、それにより光学基材2,102の表面に複合されてもよい。光学基材2,102と光学部材3,3a,3bとの線膨張差に起因して光学部材3,3a,3bが複合される表面側ほど大きい求心的な収縮応力が光学基材2,102に作用する場合に、同様の効果を得ることができる。
以上説明したとおり、本明細書に開示された光学基材は、少なくとも一方の表面に上記光学基材と異なる材料からなる光学部材が複合されて光学素子を形成する光学基材であって、外周面の少なくとも一部に、上記光学部材が複合される上記表面側から反対の表面側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状のコバ面が設けられている。
また、本明細書に開示された光学素子は、上記光学基材の上記コバ面が光軸と平行である。
また、本明細書に開示された光学素子は、光軸上の光学素子の厚みをd[mm]、光学素子の外径をφ[mm]として、3<φ/d<100である。
また、本明細書に開示された光学素子は、レンズである。
また、本明細書に開示された光学素子鏡筒は、上記光学素子における上記光学基材の上記コバ面に嵌合してこの光学素子を収容保持する鏡筒と、を備える。
また、本明細書に開示された光学機器は、上記光学素子鏡筒を備える。
1 光学素子
2 光学基材
3 光学部材
4 光学素子鏡筒
5 鏡筒
6 撮像素子
7 画像表示素子
20 光学基材の表面
21 光学基材の表面
22 光学基材の外周面(コバ面)
X 光軸

Claims (3)

  1. 光学基材の少なくとも一方の表面に前記光学基材と異なる材料からなる光学部材が複合されてなる光学素子の製造方法であって、
    前記光学基材は、前記光学部材が複合されていない状態で前記光学部材が複合される前記表面側から反対の表面側に向かうほどに求心的に縮小するテーパ状のコバ面を、外周面の少なくとも一部に有しており、
    前記表面に前記光学部材が複合された状態で、前記光学基材の前記コバ面が光軸と平行である光学素子の製造方法
  2. 請求項1記載の光学素子の製造方法であって、
    光軸上の該光学素子の厚みをdミリメートル、該光学素子の外径をφミリメートルとして、3<φ/d<100である光学素子の製造方法
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光学素子の製造方法であって、
    レンズである光学素子の製造方法
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