JP3276661B2 - レンズ体の製造方法 - Google Patents
レンズ体の製造方法Info
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Description
体成形するレンズ体の製造方法に関する。
から成る薄い膜を成形加工することにより、硝子材料で
は加工しにくい非球面形状を有するレンズ体を形成する
方法が知られている。この様な方法により成形されたレ
ンズ体は、一般的にレプリカレンズと呼ばれている。
図1に示す様に、所望の非球面形状の成形面52aを有
する型部材52の上に、この非球面形状に近い曲率を有
する球面形状に加工された硝子部材50を載置し、この
硝子部材50の表面50aと、型部材52の成形面52
aとの間に規定される空間部54に、液体状の樹脂を充
填して硬化させることにより、所望の非球面形状を有す
るレプリカレンズ55を形成するという方法が取られて
いる。
0は、例えば、図1に示した様に、完成したレプリカレ
ンズ55を、レンズ鏡筒に対して位置決めするための胴
付き部50bを有している。そして、この胴付き部50
bは、従来、樹脂層を形成するために球面状に加工され
た表面50aを、外周方向に延長したものでものである
か、あるいは、硝子部材50の外周部をフランジ状に加
工したものであった。
来例においては、硝子部材50の表面50aと、型部材
52の成形面52aの間の空間部54からはみ出した樹
脂材料が、図示した様に、胴付き部50bに付着し、こ
の状態で樹脂材料を硬化させた場合には、完成したレプ
リカレンズ55を鏡筒に取りつけたときに、はみ出した
樹脂材料により、レプリカレンズ55の位置決めが不正
確になって、光学性能を低下させるという問題点があっ
た。
なされたものであり、その目的は、樹脂材料が胴付き部
に付着することを防止することができるレンズ体の製造
方法を提供することである。
目的を達成するために、本発明のレンズ体の製造方法
は、硝子部材本体とその外周に接続された胴付き部とか
らなる硝子部材に活性エネルギー線硬化型の樹脂を一体
成形するレンズ体の製造方法であって、前記樹脂材料を
滴下する成形面を形成した型部材の外周位置に、前記胴
付き部を受ける支持面を有した支持部材を配置し、該支
持部材に前記樹脂材料の逃げ部を形成し、前記硝子部材
に、該硝子部材の光学機能面と前記胴付き部との間に、
前記胴付き部方向に向けて削り込んだ樹脂材料の逃げ部
を形成し、前記支持部材を前記硝子部材を下方から支持
するように配置するとともに、前記支持部材に形成する
樹脂材料の逃げ部を、前記硝子部材に形成された樹脂材
料の逃げ部に対応した位置に設け、前記型部材の成形面
に樹脂材料を滴下し、前記型部材の上に前記硝子部材を
載置し、前記胴付き部を前記支持面に突き当て、該突き
当てにより樹脂材料を前記硝子部材の前記逃げ部方向に
逃がすとともに、前記支持部材の前記逃げ部により樹脂
材料の前記胴付き部への付着を阻止するようにしたこと
を特徴としている。
造方法は構成されているので、樹脂材料が胴付き部に付
着することを防止することができるレンズ体の製造方法
を提供することができる。
図面を参照して詳細に説明する。 (第1の実施例)図2は、第1の実施例のレンズ体を成
形する場合に使用される成形装置の概略構造を示した図
である。
に、第1の実施例のレンズ体を成形する成形方法の概略
内容について説明する。この第1の実施例のレンズ体を
成形する成形方法は、ガラス材料の表面に、ガラス材料
では、加工しにくいような形状を形成するものであり、
比較的加工し易い形状に加工したガラス部材の表面に、
樹脂材料から成る所望の複雑な表面形状の樹脂層を形成
するものである。例としては、球面形状に加工した硝子
部材の表面に、非球面形状の樹脂の膜を成形し、ガラス
材料と樹脂材料とを組み合わせた非球面レンズを作成す
ることがあげられる。すなわち、単レンズで収差を補正
したレンズを提供するためには、レンズの表面形状を非
球面形状にする必要があるが、ガラス材料を非球面形状
に加工することは容易ではなく、また、非球面形状に成
形し易い樹脂を用いたレンズでは、レンズのパワーを稼
ぎにくいため、この両者を組み合わせることにより、こ
の両者の長所のみを生かそうとするものである。このよ
うにして製造されたレンズをレプリカレンズと呼ぶ。
状に加工された硝子部材30の片面である接合面30a
に、活性エネルギー線硬化型樹脂の薄い膜から成る樹脂
層32を形成するものである。硝子部材30は、その外
周部にフランジ状の胴付き部30bを有しており、この
胴付き部30bが、支持部材14の上端面14bに当接
した状態で、支持部材14上に保持されている。この上
端面14bは、樹脂材料の表面形状を形成するための、
型部材12の成形面12bのエッジ部から、高さhだけ
突出している。この突出量hにより、樹脂層32の厚み
が最も薄くなる部位においても所定の厚みを有する様に
規定される(成形面12bが非球面形状であるため、樹
脂層の厚みは場所により異なる)。そして、型部材12
の成形面12bと、接合面30aとにより規定される空
間内に充填された液体状の樹脂材料に、活性エネルギー
線を照射することにより、この樹脂材料を硬化させ、レ
プリカレンズ33を完成させる。
成形加工するための装置の構成について説明する。参照
番号10は、樹脂層32を成形するための型部材12
や、硝子部材30を支持するための支持部材14等を保
持するための基板を示しており、水平に沿って延出する
様に設けられている。この基板10の上面には、型部材
12、支持部材14及び、型枠16が支持されており、
基板10の下面には、支持部材14を、型部材12に対
して相対的に移動させるためのエアシリンダ20が配設
されている。
鉛直上方に開口した円柱状の凹部16aを有する型枠1
6が固定されている。円柱状の凹部16aの内側には、
この凹部16aの内径よりも僅かに細い外径を有する、
円筒状の支持部材14が挿入されている。すなわち、こ
の支持部材14は、その外周面が凹部16aの内周面に
嵌合した状態で、型枠16に対して軸方向に沿って(す
なわち、図中上下方向に沿って)スライド可能に嵌入さ
れている。また、この支持部材14は、その下側端面1
4aが、凹部16aの底面16bに当接することによ
り、それ以上下方に移動することを阻止されている。
14の内径よりもわずかに細くされた円柱状の型部材1
2が、さらに挿入されており、支持部材14と型部材1
2とは、型部材12の外周面と支持部材14の内周面が
互いに摺動可能に嵌合した状態で、相対的にスライドす
ることが可能である。ここで、型部材12は、その底面
12aを凹部16aの底面16bに固定されているの
で、支持部材14は、その内周面と外周面とを、それぞ
れ型部材12の外周面と、型枠16の内周面に案内され
た状態で、上下方向にスライド可能にされている。
14を、型部材12及び型枠16に対して、上下方向に
移動させるためのエアシリンダ20が固定されている。
エアシリンダ20は、その上部にエアシリンダ本体20
aに対して相対的に移動するシリンダロッド20bを有
しており、このシリンダロッド20bの上面には、支持
部材14に接続するための円柱状の連結部材22が取り
つけられている。そして、これらのシリンダロッド20
b及び連結部材22は、基板10に穿設された透穴10
aを通して、基板10の上側に配設された機構部材と連
結されている。
2aが形成されており、このフランジ部22aの上面の
円周上3か所には、接続ロッド24A,24B,24C
(24Cのみ不図示)が直立した状態で固定されてい
る。この接続ロッド24A,24B,24Cの上端部
は、型枠16の底部の3か所に穿設された透穴16c,
16d,16e(16eのみ不図示)をそれぞれ通し
て、円柱状凹部16a内に進入し、支持部材14の下側
の端面14aに接続されている。従って、エアシリンダ
20が作動して、連結部材22が上側に移動すると、接
続ロッド24A,24B,24Cを介して、支持部材1
4が上方向に押し上げられることとなる。
態を示した図が、図2であり、この状態では、支持部材
14の上端面14bは、型部材12の上面である樹脂材
料の成形面12bのエッジ部よりも突出量hだけ突出し
ている。ここで、型部材12の成形面12bは、レプリ
カレンズ33の完成形状に要求される非球面形状に加工
されているので、この支持部材14の上端面14b上に
硝子部材30を載置した状態で、硝子部材30の接合面
30aと成形面12bとにより規定される空間内に充填
されている樹脂材料を硬化させることにより、硝子部材
30の表面に、成形面12bの非球面形状が転写された
樹脂層32を形成することができる。
材14の突出量hは、硝子部材30上に形成される樹脂
層32の厚みを規定するものであり、この突出量hを正
確に規定するために、連結部材22の上面には当接面2
2bが形成されている。そして、この当接面22bが型
枠16の下面16fに当接することにより、支持部材1
4の突出量hが規定される。ここで、突出量hの値は、
成形面12bの非球面の度合いによって異なるが、樹脂
層32が最も薄くなる位置で、この樹脂層32の厚みが
例えば30μmよりも薄くならない程度の値に設定され
ている。
料のはみ出し分を収容するための逃げ部14cが形成さ
れており、はみ出した樹脂材料が支持部材14に付着す
ることを防止すると共に、硝子部材30と、支持部材1
4の上端面14bとの接触部分から樹脂材料がはみ出し
てバリが形成されることを防止する様にされている。ま
た、型枠16の下面16fと、連結部材22のフランジ
部22aの上面の間には、接続ロッド24A,24B,
24Cの外周に緩く嵌合した状態で、圧縮バネ26A,
26B,26C(26Cのみ不図示)が配置されてお
り、これにより、連結部材22は、型枠16の下面16
fに対して押し下げられる方向に付勢されている。従っ
て、エアシリンダ20の作動が解除されると、シリンダ
ロッド20b及び、連結部材22は、これらの自重及
び、圧縮バネ26A,26B,26Cの付勢力により下
方に押し下げられ、支持部材14は、型部材12及び型
枠16に対して、下側に移動する。これにより、支持部
材14の上端面14bは、型部材12の成形面12bと
同じ程度の高さまで下げられることとなり、支持部材1
4による硝子部材30の支持状態が解除される。
線を照射するための照射装置34が配置されており、こ
の照射装置34によって、活性エネルギー線を樹脂層3
2に照射することにより、樹脂層32を硬化させること
ができる。この照射装置34は、移動機構36に支持さ
れており、必要に応じて硝子部材30の光軸上から退避
できる様にされている。
34以外に、硝子部材30の光軸上の位置と退避位置と
の間を移動可能とする移動機構38に支持された、樹脂
材料の供給装置40が配置されている。この供給装置4
0は、移動機構38に保持された上下方向の昇降機構4
2と、この昇降機構42に支持されたシリンジ44と、
このシリンジ44のピストンを駆動するための駆動装置
46とを備えている。そして、この供給装置40によ
り、型部材12の成形面12bに樹脂材料が所定量供給
される。
て、レプリカレンズを成形加工する手順について説明す
る。レプリカレンズ33の成形に当たっては、まず、型
部材12の成形面12bに樹脂材料を供給しておく必要
がある。図3は、この樹脂材料の供給動作の手順を示し
た図である。
40を、型部材12に対して、そのシリンジ44の先端
部が、成形面12bの中央に来る様に位置決めする。こ
の状態を示したものが図3(a)である。この状態か
ら、図3(b)に示す様に昇降機構42を作動させて、
シリンジ44を成形面12bに近づける様に下降させて
いき、シリンジ44の先端部が成形面12bに接する直
前で停止させる。この状態で、図3(c)に示す様に、
樹脂材料をシリンジ44の先端部から少しずつ吐出させ
ていき、この吐出開始と同時または、吐出開始から所定
時間経過後に、シリンジ44を、図3(d)に示した様
にゆっくりと上昇させる。このシリンジ44の上昇時に
おいても継続的に樹脂材料の吐出動作は続けられ、樹脂
材料の供給量が所定値に達したところで、吐出動作を終
了する。ただし、このときの樹脂材料の吐出速度及びシ
リンジ44の上昇速度は、このシリンジ44の上昇時
に、成形面12bとシリンジ44の先端部との間で、樹
脂材料が途切れない様な速度に設定される。その後シリ
ンジ44が所定の高さに達したところで、昇降機構42
の動作を停止させる。
例として、樹脂材料にウレタン変性アクリレート及びア
クリレートをモノマー成分とする紫外線硬化型樹脂を使
用し、直径18mmのガラスレンズの表面に中心部の厚
さ30μm、最大厚さ60μmの非球面形状の樹脂層を
成形する場合(このときの樹脂材料の供給される体積
は、14×10-3ccである)について説明する。
の先端部の成形面12bからの高さH1は100mmで
あり、この位置から、シリンジ44をV1=100mm
/sの速度で下降させ、シリンジ44の先端部が、図3
(b)に示す様に、成形面12bから高さH2=1.1
mmとなった位置で停止させる。次に、図3(b)に示
した状態で、樹脂材料を3.5×10-3cc/sの速度
で、シリンジ44から吐出させ始め、図3(c)に示し
た様にシリンジ44の先端から3.5×10-3ccの樹
脂材料が吐出されて、この樹脂材料が成形面12bに接
触したところで、シリンジ44をゆっくりと上昇させ始
める。このときの上昇速度は、0.2mm/sである。
このシリンジ44を上昇させている状態においても、図
3(d)に示す様に樹脂材料の吐出動作は続けて行わ
れ、樹脂材料の吐出を開始してから4秒後には、樹脂材
料の適正供給量である14×10-3ccの吐出を終了す
る。このとき、シリンジ44の先端部は、成形面12b
から1.7mmの高さにあるが、この後も、シリンジ4
4の上昇動作は続けて行われ、シリンジ44の先端部が
成形面12bから6mmとなった位置で停止する。その
後、シリンジ44は、高速で上昇され、図3(e)に示
したように、図3(a)に示した位置と同じ位置に戻
り、樹脂材料の供給の工程を終了する。
ことにより、以下のような2つの効果が得られる。 (1)樹脂材料を、成形面12bの上方の高い位置から
落下させずに、樹脂材料を、その表面張力により玉状に
なった状態で、成形面12bに接触させているので、樹
脂材料の落下のショックにより、樹脂材料に気泡が混入
することを防止できる。 (2)成形面12bに近い位置で、吐出を続けた場合に
は、樹脂材料の表面張力により、シリンジ44の先端部
分を包み込む様に、樹脂材料の玉が形成されるため、シ
リンジ44の先端部に樹脂材料が付着し、供給量が不正
確になる。これに対し、吐出につれてシリンジ44の先
端部を上昇させた場合には、シリンジ44の先端部に樹
脂材料が付着することがなくなり、樹脂材料の供給量を
正確に制御することができる。
給の工程の後の、硝子部材30を支持部材14上に載置
する工程においても、樹脂材料の中に気泡が混入するこ
とが考えられるので、それぞれの工程において、気泡が
混入しない様に管理することは極めて重要である。たと
え、光学性能に影響のない程度の気泡であっても、目視
で確認することができる様な気泡が混入した場合は、製
品として出荷することは不可能になるため、製品の歩留
りを向上させる上でも重要である。
接合面30aと成形面12bとの間に充填される樹脂材
料の量が極めて微量であるため、この樹脂材料の量を精
密に一定量に制御することは重要である。その点上記の
ような方法をとることにより、供給する樹脂材料の体積
を、正確に一定量に制御することができる。ここで、例
えば、供給時に樹脂材料の重量を制御する様にした場合
には、重量が一定であっても、樹脂材料の体積は、温度
と湿度により大きく変化するため、接合面30aと成形
面12bとの間に、隅々まで樹脂材料を行き渡らせ、且
つはみ出し量も多くならない様にするためには、温度及
び湿度を厳密に管理する必要がある。そのため、樹脂材
料の供給量は、体積で制御することがもっとも好まし
い。
8を作動させて、供給装置40を、硝子部材30の光軸
上から退避させる。そして、第2図に示した様に、エア
シリンダ20を作動させて支持部材14を上昇させ、支
持部材14の上端面14bが型部材12の成形面12b
のエッジ部から突出量hだけ突出した状態にする。この
状態で、支持部材14の上端面14bに、接合面30a
に樹脂層32を剥離しにくくするためのカップリング剤
をコーティングした硝子部材30を、その胴付き部30
bが当接する様に載置する。このとき、樹脂材料が、硝
子部材30の接合面30aと型部材12の成形面12b
とにより規定される空間内に、気泡が混じることなく隅
々まで行き渡る様に、慎重に、硝子部材30を載置す
る。
12の成形面12bとの間の空間の隅々まで行き渡り、
且つ、はみ出しが全くない様に、この樹脂材料の量を制
御することは、実際には不可能である。そのため、必ず
成形面12bのエッジから少量の樹脂材料がはみ出すこ
とになる。そして、このはみ出した樹脂材料が硝子部材
30の胴付き部30bに付着した場合には、完成したレ
プリカレンズ33を鏡筒に組み込む時に鏡筒の光軸に対
して、このレプリカレンズ33が傾いて取りつけられる
ことになり、光学性能を低下させることとなる。そのた
め、このはみ出した樹脂材料が胴付き部30bに付着し
ない様に、硝子部材30には、光線有効径Dの外側と胴
付き部30bとの間に、樹脂材料の逃げ部30cが設け
られている(図6参照)。この逃げ部30cは、硝子部
材30の接合面30aの延長面よりも、上方に向かって
急な斜面を形成する様に硝子部材30を削り込んだもの
である。はみ出した樹脂材料は、重力に従って、下方に
移動しようとするため、このように逃げ部30cを上側
に向かう急な斜面とすることにより、樹脂材料が胴付き
部30bにまで回り込むことを防ぐことができる。
14cが形成されており、はみ出した樹脂材料が支持部
材14に付着することを防止する様にされている。硝子
部材30を、支持部材14上に載置する作業が終了する
と、次に、移動機構36を作動させて、照射装置34を
硝子部材30の光軸上に移動させる。そして、硝子部材
30を通して、活性エネルギー線としての紫外線を樹脂
層32に照射する。この照射により、樹脂層32は硬化
を始める。
着剤の類は、その硬化時に、一般的に、その体積が収縮
する。そのため、樹脂層32が完全に硬化するまで、支
持部材14により硝子部材30を保持していた場合に
は、この樹脂層32の収縮により、樹脂層32と硝子部
材30の接合面30aとの間、または成形面12bとの
間に剥離が生ずることがある。これを解決するために、
第1の実施例においては、樹脂層32が硝子部材30を
保持できる程度の硬度まで硬化した状態で、第4図に示
す様に、支持部材14の支持状態を解除する様にしてい
る。この様にすれば、硝子部材30が、樹脂層32の収
縮につれて移動することができるので、剥離現象を防止
することができる。
と、樹脂材料として、前述したウレタン変性アクリレー
ト及びアクリレートをモノマー成分とする紫外線硬化型
の樹脂を使用した場合には、まず、照射装置34内の蛍
光ランプにより、樹脂層32に対して中心波長365n
mの紫外線を、30mW/cm2の照射強度で30秒間
照射する。この1段目の照射による1cm2 あたりの照
射エネルギー量は30mW×30sec=900mWs
=900mJであり、このときの樹脂材料の重合率は、
第5図の照射エネルギーと重合率の関係を示すグラフ上
に白丸で示した様に、約70%である。重合率が約70
%になった状態では、樹脂層は、支持部材14による硝
子部材30の支持を解除しても、もはや硝子部材30
と、成形面12bの芯ずれが起こらない程度の硬度に達
している。ただし、この状態でも、外部から力を加えれ
ば、硝子部材30を型部材12に対して移動させること
は可能である。
ろで、図4に示した様にエアシリンダ20の作動を解除
し、支持部材14による硝子部材30の支持状態を解除
する。この後、照射装置34内のもう一つの光源である
高圧水銀キセノンランプにより、樹脂層32に対して、
同じく中心波長365nmの紫外線を、100mW/c
m2 の照射強度で60秒間照射する。この2段目の照射
による1cm2 あたりの照射エネルギー量は100mW
×60sec=6000mJであり、1段目の照射エネ
ルギー量とのトータルでは、照射エネルギー量は、69
00mJとなる。この照射エネルギー量に対応する重合
率は、図5に黒丸で示した様に、96%程度であり、略
完全な硬化状態となっている。
り、樹脂材料の重合率が70%となる様に、照射強度及
び照射時間を設定しているが、この重合率の設定値は7
0%に限られるものではなく、実際には、50%〜90
%の範囲で設定すれば同様の効果を得ることができる。
そして、この様に樹脂層32の硬化が完了したレプリカ
レンズ33を、型部材12から離型し、上下の面に所定
のコーティング(例えば反射防止コーティング)を施し
てレプリカレンズ33が完成する。このレプリカレンズ
33の完成形状を示した図が図6である。
ついて説明する。この第2の態様においては、樹脂材料
として、第1の実施例で使用した樹脂材料より、硬化速
度が速いタイプの樹脂材料である、ウレタン変性ポリエ
ステルアクリレート38重量%、ジトリメチロールプロ
パンテトラアクリレート35重量%、イソボロニルアク
リレート25重量%、1−ヒドロキシシクロヘキシルフ
ェニルケトン2重量%の液状組成物を使用し、図2と全
く同じ成形装置及び型部材を用いて成形を行う。
樹脂層32に対して中心波長365nmの紫外線を2m
W/cm2 の照射強度で10秒間照射する。この1段目
の照射による1cm2 あたりの照射エネルギー量は2m
W×10sec=20mWs=20mJであり、このと
きの樹脂材料の重合率は、約90%である。そして、こ
の1段目の照射が終了した時点では、樹脂層32は、あ
る程度硬化しているが、まだ外部から力を加えれば、型
部材12に対して、ガラス部材30を動かすことができ
る様な状態にある。
ろで、図4に示した様にエアシリンダ20の作動を解除
し、支持部材14による硝子部材30の支持状態を解除
する。この後、照射装置34内のもう一つの光源である
高圧水銀キセノンランプにより、樹脂層32に対して、
同じく中心波長365nmの紫外線を、100mW/c
m2 の照射強度で20秒間照射する。この2段目の照射
による1cm2 あたりの照射エネルギー量は100mW
×20sec=2000mJであり、1段目の照射エネ
ルギー量とのトータルでは、照射エネルギー量は、20
20mJとなる。この照射エネルギー量に対応する重合
率は、96%程度であり、略完全な硬化状態となってい
る。
が1段目が10sec、2段目が20sec、合計30
secと短く、従って成形時間の短縮化がなされ、製造
効率の向上に有利である。更に、この第2の態様に使用
される樹脂材料は、1段目照射後の粘度が50000c
psと比較的高いため、硝子部材30を動かした時の樹
脂材料の不規則なはみ出し等がより起こりにくく、樹脂
材料が胴付き部30bに付着しにくい。
るレンズ鏡筒の例を示した図が、図7である。図7にお
いて、レンズ鏡筒48には、前述したレプリカレンズ3
3の胴付き部30bに当接して、このレプリカレンズ3
3の中心位置と、光軸に沿う方向の位置を規定するため
の位置決め部48aが設けられている。また、レプリカ
レンズ33の樹脂の逃げ部30cにはみ出した樹脂材料
を収容するための逃げ部48bが形成されている。そし
て、レンズ鏡筒48の入射側、すなわちレプリカレンズ
33の前方には、入射光線の有効径よりも僅かに大きい
内径を有し、逃げ部30cにはみ出した樹脂の部分に光
線が入射することを防止するための遮光部48cが設け
られている。
はみ出し分を収容するための逃げ部48bを設け、さら
に光線入射側の前方に遮光部48cを設けることによ
り、レプリカレンズ33をレンズ鏡筒48に対して正確
に位置決めすることができると共に、不規則な表面形状
を有している樹脂材料のはみ出し部に光線が入射するこ
とにより生ずる、光線の好ましくない乱反射や、光線の
不規則な屈折を防止して、画質の劣化を防止することが
できる。
するレプリカレンズを成形する場合について説明した
が、凹面を有するレプリカレンズも全く同様に成形する
ことが可能である。図8は、凹面を有するレプリカレン
ズ33を成形する場合の成形装置を示したものである
が、これは、第2図に示した成形装置において、型部材
12を、凹面に対応した型部材に置き換えたのみで、そ
の他の構成及びその成形動作は、図2に示した成形装置
と全く同様である。
ズ33の完成形状を示したものであり、凸面を有するも
のと同様に、胴付き部30b及び樹脂材料の逃げ部30
cを有している。また、図10は、凹面を有するレプリ
カレンズ33を取りつけるレンズ鏡筒を示した図であ
り、図7に示したレンズ鏡筒48と全く同様に、レプリ
カレンズ33の位置決め部48a、はみ出した樹脂を収
容するための逃げ部48b、及び樹脂のはみ出し部に光
線が入射することを防止するための遮光部48cを有し
ている。
出速度、シリンジの移動速度等の条件、及び紫外線照射
時の照射強度、照射時間等の条件に関しては、上記実施
例で示したものは、1つの好適な例であり、上記の実施
例に示した条件に限定されるものではない。また、樹脂
材料を型部材に供給してから硝子部材を支持部材に載置
する様に説明したが、型部材に樹脂供給用の穴部を穿設
しておけば、硝子部材を載置した後に、樹脂材料を、硝
子部材と型部材の間の空間に供給することも可能であ
る。
供給し、樹脂が供給された硝子部材を、支持部材上に載
置する様にしても良い。また、硝子部材の外周部に、平
面状の胴付き部が形成されている場合について説明した
が、胴付き部を、樹脂層を形成するための球面部分を延
長した形状とした硝子部材を使用する場合にも、同様に
適用可能である。
いて説明したが、硝子材料の表面に樹脂層を形成するも
のであれば、他の種類の光学素子にも同様に適用可能で
ある。また、支持部材を上下させるために、エアシリン
ダーとバネを用いる場合について説明したが、これら
を、ボールネジと、ステッピングモータ、あるいはDC
サーボモータ等を組み合わせた様な昇降機構で置き換え
ても良いことは言うまでもない。
材に対して上下させる様に説明したが、逆に支持部材を
固定して型部材を上下させる様にしても良い。以上説明
した様に、第1の実施例のレンズ体によれば、樹脂材料
の逃げ部により、樹脂材料が硝子部材の胴付き部にまで
回り込むことを阻止することが可能となり、胴付き部に
樹脂材料が付着しない様にすることができるという効果
がある。
囲で上記実施例を修正または変形したものに適用可能で
ある。
線硬化型の樹脂として、紫外線硬化型の樹脂を使用する
場合について説明したが、X線硬化型の樹脂や、赤外線
硬化型の樹脂を使用しても良い。また、樹脂層の表面に
非球面形状を形成する場合について説明したが、球面形
状を形成する様にしても良い。
樹脂材料が胴付き部に付着することを防止することがで
きるレンズ体の製造方法を提供することができる。
図である。
した状態を示した図である。
ある。
た図である。
ズ鏡筒の例を示した図である。
を示した図である。
た図である。
ンズ鏡筒の例を示した図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 硝子部材本体とその外周に接続された胴
付き部とからなる硝子部材に活性エネルギー線硬化型の
樹脂を一体成形するレンズ体の製造方法であって、 前記樹脂材料を滴下する成形面を形成した型部材の外周
位置に、前記胴付き部を受ける支持面を有した支持部材
を配置し、該支持部材に前記樹脂材料の逃げ部を形成
し、 前記硝子部材に、該硝子部材の光学機能面と前記胴付き
部との間に、前記胴付き部方向に向けて削り込んだ樹脂
材料の逃げ部を形成し、 前記支持部材を前記硝子部材を下方から支持するように
配置するとともに、前記支持部材に形成する樹脂材料の
逃げ部を、前記硝子部材に形成された樹脂材料の逃げ部
に対応した位置に設け、前記型部材の成形面に 樹脂材料を滴下し、前記型部材の
上に前記硝子部材を載置し、前記胴付き部を前記支持面
に突き当て、該突き当てにより樹脂材料を前記硝子部材
の前記逃げ部方向に逃がすとともに、前記支持部材の前
記逃げ部により樹脂材料の前記胴付き部への付着を阻止
するようにしたことを特徴とするレンズ体の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Applications Claiming Priority (3)
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---|---|---|---|
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JP9918191 | 1991-04-30 | ||
JP9933192A JP3276661B2 (ja) | 1991-04-30 | 1992-04-20 | レンズ体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05119202A JPH05119202A (ja) | 1993-05-18 |
JP3276661B2 true JP3276661B2 (ja) | 2002-04-22 |
Family
ID=26440331
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP9933192A Expired - Fee Related JP3276661B2 (ja) | 1991-04-30 | 1992-04-20 | レンズ体の製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3276661B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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JP4632942B2 (ja) * | 2005-12-15 | 2011-02-16 | オリンパス株式会社 | 光学素子、光学ユニット、光学素子の製造方法及び光学ユニットの製造方法 |
EP2662205B1 (en) | 2012-05-11 | 2020-06-24 | Canon Kabushiki Kaisha | Laminated diffraction optical element and production method thereof |
JP6302812B2 (ja) * | 2014-09-29 | 2018-03-28 | 富士フイルム株式会社 | 光学素子の製造方法 |
-
1992
- 1992-04-20 JP JP9933192A patent/JP3276661B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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