JP6300584B2 - レンズ保持枠、レンズユニット、および干渉計 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、このようなレンズ保持枠であるレンズ保持部材が、レンズ部材を保持するレンズ受け部と、鏡筒に保持される鏡筒保持部とを備え、レンズ受け部と鏡筒保持部との間に空間が形成されることにより、鏡筒からレンズ部材方向に加えられる応力に対して、レンズ受け部と鏡筒保持部との間に空間にて応力を緩和するレンズ保持装置が記載されている。
特許文献1では、レンズ保持部材はいずれもレンズの側面に固定する略円筒状の部材である。また、レンズ受け部と鏡筒保持部との間に空間としては、レンズ保持部材の軸方向に貫通する円弧状の狭隘な貫通溝と、レンズ保持部材の軸方向の中間部まで延びる周方向に貫通する狭隘な溝部とが記載されている。
特許文献1には、レンズ保持部材に設けられた空間(以下、溝空間と称する)によりレンズ受け部と鏡筒保持部との間を縁切りしていることが記載されている。これは、レンズ受け部と鏡筒保持部との間に応力を伝播しない溝空間があるため、溝空間に面した鏡筒保持部から溝空間に面したレンズ受け部には応力が伝播しないということである。
しかし、特許文献1におけるレンズ受け部と鏡筒保持部とは、一体に形成されており、溝空間以外の部位では互いに連続している(以下、連続部と称する)。このため、鏡筒保持部が溝空間の範囲で変形すれば、連続部を通じて応力が伝播してレンズ受け部にも応力分布が発生する。これによりレンズ受け部も連続部の近くで変形する。
例えば、干渉計に用いる参照レンズの場合、参照面の面精度はλ/20以下程度が要求されるため、レンズ受け部の変形は極力低減する必要がある。
特許文献1において、レンズ受け部の変形を低減するには、レンズ保持部材において、レンズ受け部の剛性を大きくし、鏡筒保持部の剛性を低減する必要がある。また、連続部の位置はレンズからできるだけ離す必要がある。
このため、例えば、溝空間に対向する鏡筒保持部の断面積を小面積にするとともに溝空間の周方向の長さを長くし、かつ連続部ができるだけレンズから離れるようにレンズ受け部を肉厚な円筒状に形成することが必要である。
特許文献1に記載の構成において、このような形状を形成するには、薄肉の鏡筒保持部を残して狭隘な溝空間を加工することが必要になるため、加工が難しくなり製造コストが増大するという問題がある。
本発明の第1の実施形態の干渉計について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の干渉計の構成を示す模式的なシステム構成図である。
被測定面5aとしては、適宜の形状を測定できるが、以下では、凹面形状を測定する場合の構成例を用いて説明する。
干渉計50の概略構成は、光源1、コリメートレンズ2、ビームスプリッタ3、レンズユニット40、保持台8、移動ステージ9、集光レンズ6、撮像部7、測定制御部10、および表示部11からなる。
ビームスプリッタ3は、平行光30aを反射してレンズユニット40の光軸上に導くとともに、レンズユニット40側から入射する後述の被測定面反射光30c、参照面反射光30dを透過する光分岐素子である。
参照面41aの形状は、被測定面5aの理想的な形状に併せて精度よく仕上げられており、干渉計50を用いた干渉縞計測の参照面を構成している。
図1は模式図のため、レンズユニット40が1枚のレンズを有する形状に描かれているが、レンズユニット40には、参照面41aを備える参照レンズを含む1以上のレンズがレンズ鏡筒に保持された構成を採用することができる。
本実施形態におけるレンズユニット40の詳細構成の一例については、干渉計50の全体構成を説明した後に説明する。
レンズユニット40は、レンズ鏡筒の外周部に設けられた図示略の取り付け溝において、干渉計50内の図示略の支持部材に着脱可能に固定されている。
被測定面5aは、干渉縞測定を行う際には、被測定面5aの光軸がレンズユニット40の光軸に一致するとともに、被測定面5aの曲率中心が、透過光30bの集光位置に一致するように配置する必要がある。
このような配置を実現する被測定面5aの位置調整を行うため、保持台8は、移動ステージ9によって移動可能に支持されている。
移動ステージ9は、少なくともレンズユニット40の光軸に沿う方向の移動と、これに直交する2軸方向への移動とが可能な3軸移動ステージを採用することができる。また、必要に応じて、レンズユニット40の光軸に対する移動方向のアライメント調整を行う傾動ステージを備えることが可能である。
撮像部7は、撮像面7a上に結像された干渉縞画像を光電変換する撮像素子である。撮像部7としては、例えば、CCDなどを採用することができる。
撮像部7は、測定制御部10に電気的に接続されており、測定制御部10によって撮像動作を制御され、撮像部7で撮像した画像信号は測定制御部10に送出される。
図2は、本発明の第1の実施形態のレンズユニットの構成を説明する光軸を含む断面における模式的な断面図である。図3(a)は、本発明の第1の実施形態のレンズ保持枠における筒状部材の模式的な正面図である。図3(b)は、図3(a)におけるA−A断面図である。図4(a)は、本発明の第1の実施形態のレンズ保持枠におけるレンズ保持部材の模式的な正面図である。図4(b)は、図4(a)におけるB−B断面図である。図5は、図2におけるC部の部分拡大図である。
レンズ42および参照レンズ41のそれぞれのレンズ光軸と、レンズ鏡筒43の中心軸線とは、レンズユニット40の光軸Oに同軸に整列している。
レンズ42を固定する押え枠44は、レンズ42をレンズ光軸に沿う方向に押圧する押え面44dを一方の端面に備える環状部材である。
押え枠44の外周部には、レンズ鏡筒43と螺合するための雄ねじ部44cが設けられている。
押え枠44の内周部には、レンズ42の有効レンズ径よりも大径の開口部44aが軸方向に沿って設けられている。
開口部44aにおいて、押え面44dの近傍には、レンズユニット40の開口絞りとなる環状突起部44bが全周にわたって形成されている。
押え枠44において、押え面44dと反対側の端面には、押え枠44をレンズ鏡筒43に螺合する際にカニ目治具を挿入する複数のカニ目穴44eが設けられている。
第1面41bの外周部と参照面41aの外周部との間には、レンズ光軸を中心とする円筒面からなるレンズ側面41cが形成されている。
第1面41bは、レンズ42によって集光された透過光30bを屈折して、参照面41aに垂直入射するように集光するレンズ面である。
本実施形態では、参照レンズ41は、第1面41bが凸面、参照面41aが凹面の正メニスカスレンズを採用している。
レンズ保持枠47は、レンズ鏡筒43と固定するための中間枠部材45(筒状部材)と、中間枠部材45の内周側で固定され、参照レンズ41を保持するレンズ保持部材46とを備える。
内周面45aの内径は、参照レンズ41のレンズ側面41cよりも大径とされている。
内周面45aと外周面45bとの間の厚さはt1であり、中間枠部材45の軸方向の長さはL1である。
中間枠部材45の軸方向における第1端面45fは、レンズ鏡筒43の内方に向いて配置される端面であり、レンズ保持枠47を組み立てる際にカニ目治具を挿入する複数のカニ目穴45gが設けられている。
中間枠部材45において第1端面45fの反対側の端面である第2端面45eは、中間枠部材45の中心軸線に直交する平面であり、レンズ保持部材46を軸方向に係止することが可能である。
中間枠部材45の内周面45aにおいて、第2端面45eの近傍には、レンズ保持部材46と螺合するための雌ねじ部45cが形成されている。雌ねじ部45cのピッチ円径は、雌ねじ部45cの内径よりも小径である。
中間枠部材45として好適な材料としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金などの例を挙げることができる。
中間枠部材45の製造方法の種類は、特に限定されない。例えば、プレス加工、鋳造、射出成形、切削加工、あるいはこれらを適宜の組み合わせた加工などを採用することができる。
環状部46Aは、断面が略直角三角形状を有する円環状の部位であり、軸方向の一方の端部に中心軸線Pに直交する平面からなる平面部46eが形成されている。
環状部46Aの軸方向の他方の端部には、中心軸線Pに直交する方向に沿って径方向外方に延ばされた円環状のフランジ部46cが形成されている。
フランジ部46cの外径は、中間枠部材45における外周面45bの外径以下である。
フランジ部46cには、レンズ保持部材46を中間枠部材45に螺合する際にカニ目治具を挿入する複数のカニ目孔46dが厚さ方向に貫通して設けられている。
環状部46Aの内周部には、参照レンズ41のレンズ側面41cよりも小径、かつ参照面41aにおける有効レンズ径よりも大径の円筒面により、開口部46aが形成されている。
本実施形態では、平面部46eから軸方向に沿って延ばされた肉厚が厚さt2(ただし、t2<t1)を有する円筒状の突出部である。薄肉突出部46Bの平面部46eからの突出長さはL2である。
本実施形態では、さらに、厚さt2は、環状部46Aの径方向の厚さよりも薄くなっている。このため、薄肉突出部46Bは、径方向の変形に関しては、環状部46Aに比べても、より変形しやすい形状にもなっている。
また、フランジ部46cから薄肉突出部46Bの先端までの軸方向の長さはL3(ただし、L1>L3>L2)である。
薄肉突出部46Bの外径は、雄ねじ部46bのピッチ円径よりも小径とされるともに、中間枠部材45に固定された状態で、薄肉突出部46Bの外周面と中間枠部材45の内周面45aとの間に隙間H0が形成される寸法である。
隙間H0(H1)は、環状部46Aに作用すると想定される外力により薄肉突出部46Bが変形する際に、薄肉突出部46Bが第2穴部73e(レンズ側面41c)と接触しない寸法に設定しておく。
このような寸法は、例えば、レンズ保持部材46の変形に関する数値計算や実験を行うなどして、最小限の隙間寸法を求めることにより設定することができる。
突起部46fは、参照レンズ41のレンズ側面41cと接着部48を介して固定するために設けられた部位であり、環状部46Aの内周面からの突出高さは高さH1以下である。
これにより、突起部46fの突出方向の頂部の内径は、レンズ側面41cの外径以上になっている。このため、参照レンズ41を固定するために内側に挿通させたときに、レンズ側面41cが押圧されて参照レンズ41がひずまないようになっている。
接着部48は、周方向に離間して複数箇所に形成されていてもよいが、本実施形態では、一例として、全周に設けられている。
このようにすることで、レンズ保持部材46が外力によって変形した際に、突起部46fから作用する外力が、周方向に分散されるため、参照レンズ41の変形が抑制しやすくなるため、より好ましい。
また、接着部48が硬化する際の変形による応力が参照レンズ41に作用する場合にも、周方向において局所的な変形が発生しないため、参照レンズ41の変形を周方向に均等化することができるため、より好ましい。
雄ねじ部46bは、中間枠部材45の軸方向において、第1固定部に対して離間した位置で、中間枠部材45の内周部の雌ねじ部45cに固定される第2固定部を構成している。
このため、薄肉突出部46Bの材質は、中間枠部材45に使用可能な材質は、すべて採用することが可能である。
ただし、薄肉突出部46Bの材質は、中間枠部材45の材質の縦弾性係数よりも小さい縦弾性係数を有することが可能である。この場合、薄肉突出部46Bを中間枠部材45に比べてさらに変形しやすくすることができる。
レンズ保持部材46に用いるのに特に好ましい低縦弾性係数の材質の例としては、例えば、アルミニウム合金、真鍮、青銅などを挙げることができる。
レンズ保持部材46の製造方法の種類は、特に限定されない。例えば、プレス加工、鋳造、射出成形、切削加工、あるいはこれらを適宜の組み合わせた加工などを採用することができる。
また、レンズ保持部材46において、環状部46Aと薄肉突出部46Bとの材質を変えた構成も可能である。
すなわち、外力が作用した断面では、薄肉突出部46Bは、軸方向に延びる梁部材状になっているため、先端側の突起部46fが基端部46hに対して、図示矢印R方向に相対回転したような撓み変形が起こる。このため、薄肉突出部46Bの剛性が高いために、撓み変形が少ない場合に比べて、突起部46fから参照レンズ41に作用する応力が低減される。
これにより、レンズ保持枠47が形成される。
本実施形態では、L1>L3であるため、薄肉突出部46Bの全体は、中間枠部材45の内部に位置している。このため、薄肉突出部46Bは、レンズ保持枠47として中間枠部材45と組み立てられた状態では、中間枠部材45によって径方向外側から覆われており、径方向外側からの直接的な外力を受けにくくなっている。
この状態で、平面部46eからの反力によるひずみが十分小さく、参照面41aの面精度が許容範囲に保たれる場合には、このまま接着を行うことが可能である。
ただし、参照面41aの面精度の悪化を確実に防止するため、エッジ部41dを平面部46eから離間した状態で、接着することも可能である。この場合、例えば、エッジ部41dを平面部46eと当接させて参照レンズ41の軸方向の位置決めを行った後、適宜の治具を用いて参照レンズ41のレンズ側面41cを軸方向に一定距離だけ移動した後に接着を行う。
このため、図5に示すように、レンズ鏡筒43の一方の端面の内側には、レンズ42を配置するためのレンズ42よりも大径の円筒状の第1穴部43aを有し、他方の端面の内側には、組立体49を配置するための円筒状の第2穴部43eを有している。
第1穴部43aと第2穴部43eとのそれぞれの底部には、レンズ42のレンズ外径よりも小径であって、有効光束の最外部ELの外側の領域に開口する孔43gが軸方向に貫通している。
レンズ鏡筒43の外周面43hには、レンズユニット40を干渉計50の図示略の支持部材に固定するため、周方向に延ばされた取り付け溝43dが設けられている。取り付け溝43dは、第2穴部43eと重ならない領域に設けられることが好ましい。本実施形態では、第1穴部43aの径方向外方に設けられている。
第1穴部43aの内周面には、押え枠44の雄ねじ部44cを螺合する雌ねじ部43cが設けられている。
このため、レンズ42は、レンズ保持部43bに挿入してから、第1穴部43aに押え枠44を挿入し、雄ねじ部44cを雌ねじ部43cに螺合していくことにより、押え面44dによってレンズ保持部43bに固定される。
このため、組立体49は、参照レンズ41の第1面41bを第2穴部43eの奥側に向けた状態で、中間枠部材45の雄ねじ部45dを雌ねじ部43fに螺合していくことができる。これにより、組立体49は、第2穴部43e内で軸方向の位置調整が可能な状態で取り付けられる。
次に、レンズ42に対する位置調整を行う調整治具によって、組立体49の固定位置を決めてから、雄ねじ部45dおよび雌ねじ部43fの螺合部の隙間に浸透する接着剤を塗布してから硬化させる。これにより、第2穴部43eに組立体49が固定される。
中間枠部材45をレンズ鏡筒43に固定する接着剤としては、中間枠部材45およびレンズ鏡筒43の材質等に応じて適宜の接着剤を採用することができる。
干渉計50に用いる参照レンズ41は、参照面41aが干渉縞測定の参照面として用いられるフィゾーレンズであるため、被測定面5aの面精度に比べて格段に良好な面精度が求められる。被測定面5aとして光学レンズのレンズ面を測定する場合には、参照面41aの面精度は、例えば、PV(peak to valley)値が0.05λ(λ=632.8nm)以下にすることが多い。
このような面精度を維持するには、参照レンズ41に作用する外力によって、参照面41aが極力ひずまないようにする必要がある。
参照面41aがひずむ原因としては、例えば、レンズユニット40を干渉計50に取り付ける際にレンズ鏡筒43が受ける外力や、例えば、雌ねじ部43fと雄ねじ部45dとの間に浸透する接着剤の硬化時の変形によって径方向に発生する応力などの例を挙げることができる。
中間枠部材45に外力が作用して中間枠部材45がひずむと、中間枠部材45が変形して、雄ねじ部46bを介して環状部46Aに応力が伝達される。これにより、環状部46Aは、径方向において雄ねじ部46bの位置における中間枠部材45と略同様に変位する。
このため、突起部46fにおける応力が低減され、突起部46fから参照レンズ41に伝わる力は、中間枠部材45から作用する力に比べて低減される。
さらに、突起部46fと参照レンズ41との間には、突起部46fに比べて縦弾性係数の小さい接着部48が介在しているため、レンズ保持部材46に実際に作用する外力はさらに弱まる。
さらに、接着部48が、レンズ側面41cにおいて、レンズ42の近傍に形成され、参照面41aから離れた位置に形成されている。このため、接着部48からある程度の外力が作用するとしても、ひずみは、接着部48の近傍に分布するため、参照面41aにおけるひずみを抑制することができる。
このため、薄肉突出部46Bを第1面41bまたは参照面41aの外縁部から軸方向外側に延ばす構成とする場合に比べて、レンズユニット40の軸方向の厚さを低減することができる。
このため、干渉計50への取り付け時に、取り付け溝43dから外力が作用してレンズ鏡筒43がひずむ場合に、レンズユニット40に伝わる応力を、より低減することができる。
また、中間枠部材45およびレンズ保持部材46は、いずれも筒状であって、例えば、狭隘な貫通孔や溝部等の難加工部を有しない製造容易な形状である。また、中間枠部材45およびレンズ保持部材46は、互いに異なる製法によって製造したり、剛性の異なる材料で製造したりすることもできる。
このため、レンズ保持枠47は、容易に製造することができ、製造コストを低減することができる。
次に、上記第1の実施形態の変形例(第1変形例)について説明する。
図6(a)は、本発明の第1の実施形態のレンズ保持枠の変形例(第1変形例)に用いるレンズ保持部材の模式的な正面図である。図6(b)は、図6(a)におけるD−D断面図である。
レンズユニット60は、図5に示すように、上記第1の実施形態のレンズユニット40のレンズ保持枠47に代えて、レンズ保持枠67を備える。
レンズ保持枠67は、上記第1の実施形態のレンズ保持枠47のレンズ保持部材46に代えて、レンズ保持部材66を備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
薄肉突出部66Bは、薄肉突出部46Bが平面部46eにおいて周方向の全周から突出されていたのに対して、周方向の一部の範囲のみに突出され、平面部46eにおいて周方向に離間した位置から突出された複数のものからなる点が、薄肉突出部46Bと異なる。
すなわち、図6(b)に示すように、薄肉突出部66Bの径方向の断面形状は、薄肉突出部46Bと同一である。
本変形例では、薄肉突出部66Bは、一例として、円周を三等分する三箇所の位置に設けられている。
薄肉突出部66Bの周方向の幅Wは、薄肉突出部66Bに必要な剛性に応じて設定することができる。
また、薄肉突出部66Bの突起部46fに、参照レンズ41を接着して固定することにより、レンズユニット60を製造することができる。ただし、本変形例では、突起部46fが周方向に離間した3箇所に設けられているため、接着部48も、各突起部46fの近傍の三箇所に形成される点が上記第1の実施形態と異なる。
レンズユニット60は、レンズユニット40と同様にして、干渉計51の図示略の支持部材に着脱可能に固定される。
特に、薄肉突出部66Bによれば、径方向の厚さt2に加えて、周方向の幅Wを変えることによっても、剛性を調整することができるため、応力緩和の自由度が向上する。
また、薄肉にすることが難しい材料や、薄肉化すると製造コストが増大する材料を用いても、必要な剛性を得ることができる。このため、製造がより容易となり、製造コストも低減することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態のレンズユニットの主要部の構成を示す模式的な断面図である。図8(a)は、本発明の第2の実施形態のレンズ保持枠におけるレンズ保持部材の模式的な正面図である。図8(b)は、図8(a)におけるE−E断面図である。
レンズユニット70は、図7に示すように、上記第1の実施形態のレンズユニット40のレンズ保持枠47、レンズ鏡筒43に代えて、レンズ保持部材76、レンズ鏡筒73(筒状部材)を備える。
レンズ保持部材76は、上記第1の実施形態のレンズ保持部材46と同様にして参照レンズ41を保持する部材であり、環状部46Aに代えて、環状部76Aを備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
すなわち、環状部76Aは、上記第1の実施形態の環状部46Aのフランジ部46cを削除した円環状の部位になっている。
環状部76Aにおいて、平面部46eと反対側の端面には、レンズ保持部材76をレンズ鏡筒43に螺合する際にカニ目治具を挿入する複数のカニ目穴76dが設けられている。
環状部76Aの外径は、レンズ保持部材76をレンズ鏡筒73に固定した際に、後述するレンズ鏡筒73の第2穴部73eと薄肉突出部46Bとの間の径方向の隙間H2を確保できる寸法とする。
隙間H2は、上記第1の実施形態における隙間H0と同様、環状部76Aに作用すると想定される外力により薄肉突出部46Bが変形する際に、薄肉突出部46Bが第2穴部73eと接触しない寸法に設定しておく。
第2穴部73eは、参照レンズ41が固定されたレンズ保持部材76を配置するための円筒状の穴部であり、内周面には、レンズ保持部材76の雄ねじ部76bを螺合する雌ねじ部73fが設けられている。
このため、参照レンズ41が固定されたレンズ保持部材76は、参照レンズ41の第1面41bを第2穴部73eの奥側に向けた状態で、レンズ保持部材76の雄ねじ部76bを雌ねじ部73fに螺合していくことができる。これにより、レンズ保持部材76は、第2穴部73e内で軸方向の位置調整が可能な状態で取り付けられる。
このため、例えば、レンズ鏡筒73の材質として、中間枠部材45と同材質を採用する場合、少なくとも、t3≧t1とすることが好ましい。図7に示す例のように、第2穴部73eの開口部の外周側に面取り加工がなされて一部の剛性が低下する場合には、t3>t1として、中間枠部材45と同等以上の剛性を確保することが好ましい。
レンズ鏡筒73の材質としては、上記第1の実施形態のレンズ鏡筒43と同様な材質を採用することができる。
参照レンズ41が固定されたレンズ保持部材76は、参照レンズ41の第1面41bを第2穴部73eの奥側に向けた状態で、雄ねじ部76bがレンズ鏡筒73の雌ねじ部73fに螺合され、第2穴部73e内で軸方向の位置調整を行ってから、図示略の接着剤によりレンズ鏡筒73と固定されている。
これにより、レンズユニット70が形成される。
レンズユニット70は、レンズユニット40と同様にして、干渉計52の図示略の支持部材に着脱可能に固定される。
このため、本変形例では、レンズユニット70は、参照レンズ41に関しては、筒状部材であるレンズ鏡筒73とレンズ保持部材76とからなるレンズ保持枠を構成している。
また、レンズ鏡筒73およびレンズ保持部材76は、いずれも筒状であって難加工部を有しない製造容易な形状であり、互いに剛性の異なる材料で製造することもできる。このため、いずれも容易に製造することができ、製造コストを低減することができる。
次に、上記第2の実施形態の変形例(第2変形例)について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態の変形例(第2変形例)のレンズユニットの主要部の構成を示す模式的な断面図である。
レンズユニット80は、図9に示すように、上記第2の実施形態のレンズ保持部材76に代えて、レンズ保持部材86を備える。
以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
環状部86Aの内径は、参照レンズ41の外径よりも大径とされ、参照レンズ41が内部に挿入可能になっている。
薄肉突出部86Bの先端部には、有効光束の最外部ELの外側の領域内で径方向内側に突出し、参照レンズ41の第1面41bを受けるレンズ受け部86fが設けられている。
レンズ受け部86fに接続する部位の薄肉突出部86Bは、内径が参照レンズ41の外径よりもわずかに大きい穴部になっており、参照レンズ41の径方向の位置決めが可能になっている。
このように、レンズ保持部材86の内周側には、環状部86Aの方から参照レンズ41を挿入して軸方向に保持可能なすり鉢状の穴部が形成されている。
薄肉突出部86Bの長さは、厚さt4に応じて、必要な弾性変形が可能となる適宜長さにする。
本変形例では、一例として、参照レンズ41のエッジ部41dが環状部86Aの内側に隠れるような長さにしている。
薄肉突出部86Bの先端部と第2穴部73eの内周面との隙間H3と、環状部86Aの内周面とレンズ側面41cとの間の隙間H4は、それぞれ上記第2の実施形態のH2、H1と同様にして設定することができる。
ただし、本変形例における接着部48は、レンズ側面41cと薄肉突出部86Bの間の隙間を通して、レンズ受け部86fの近傍に塗布された接着剤を硬化して形成されている。
参照レンズ41が固定されたレンズ保持部材86は、上記第2の実施形態のレンズ保持部材76と同様にして、雄ねじ部76bがレンズ鏡筒73の雌ねじ部73fに螺合され、第2穴部73e内で軸方向の位置調整を行ってから、図示略の接着剤によりレンズ鏡筒73と固定されている。
これにより、レンズユニット80が形成される。
レンズユニット80は、レンズユニット70と同様にして、干渉計53の図示略の支持部材に着脱可能に固定される。
また、本変形例は、レンズ鏡筒43および参照レンズ41の軸方向に沿って傾斜しつつ延びる薄肉のテーパー状の筒体により、弾性変形部が構成される場合の例になっている。
また、レンズ保持部材86は、筒状であって難加工部を有しない製造容易な形状であり、互いに剛性の異なる材料で製造することもできる。このため、レンズ保持部材86は、容易に製造することができ、製造コストを低減することができる。
ただし、環状部における第2固定部が、薄肉突出部と反対側の端部のみに形成され、環状部が、薄肉突出部との間に筒状部材と径方向に離間している部位を有しており、かつこの部位の径方向の厚さが筒状部材よりも薄い構成も可能である。
この場合には、第2固定部と薄肉突出部との間の環状部は、径方向に弾性変形すると、第2固定部とは異なる変位をするため、第1固定部の変位抑制に寄与することになる。この場合の環状部は、薄肉突出部とともに本発明における弾性変形部を構成する。
例えば、薄肉突出部を筒状部材と同じ肉厚で形成しても、縦弾性係数がより小さい部材で構成したり、突片状としたりすれば、より低剛性であるため、より弾性変形しやすくなる。
例えば、上記第2実施形態および第2変形例の薄肉突出部46B、86Bを、上記第1変形例の薄肉突出部66Bのような突片状の形状にすることが可能である。
また、上記第1の実施形態の薄肉突出部46Bに代えて、上記第2変形例における薄肉突出部86Bを用いることも可能である。
また、上記第1変形例の薄肉突出部66Bの基端部と環状部46Aとの間に、薄肉突出部46Bのような筒状の薄肉突出部を介在させることにより、剛性を変化させた薄肉突出部の構成も可能である。
41 参照レンズ
41a 参照面
41b 第1面
41c レンズ側面
42 レンズ
43、73 レンズ鏡筒
43d 取り付け溝
43e、73e 第2穴部
43f、45c、73f 雌ねじ部
43h、73h 外周面
45 中間枠部材(筒状部材)
45a 内周面
45b 外周面
45d 雄ねじ部
45e 第2端面
45f 第1端面
46、66、76、86 レンズ保持部材
46A、76A、86A 環状部
46B、66B、76B、86B 薄肉突出部(弾性変形部)
46b、76b 雄ねじ部(第2固定部)
46e 平面部
46f 突起部(第1固定部)
47、67 レンズ保持枠
48 接着部
49 組立体
50、51、52、53 干渉計
73 レンズ鏡筒(筒状部材)
86f レンズ受け部(第1固定部)
Claims (10)
- 筒状部材と、
該筒状部材の内周側に配置され、レンズを保持するレンズ保持部材と、
を有しており、
該レンズ保持部材は、
前記レンズと固定される第1固定部と、
前記筒状部材の軸方向において前記第1固定部に対して離間した位置で、前記筒状部材の内周部に固定される第2固定部と、
前記第1固定部および前記第2固定部の間に設けられ、前記第2固定部が外力を受けた際に径方向に弾性変形することにより、前記第1固定部の径方向の変位を抑制する弾性変形部と、
を備える、レンズ保持枠。 - 前記レンズ保持部材は、
前記筒状部材の周方向に沿って延び、前記第2固定部が外周部に設けられた環状部と、
該環状部から、前記筒状部材の軸方向に沿って延ばされ、前記筒状部材の径方向の厚さよりも薄肉に形成され、先端部の内周側に前記第1固定部が突出して設けられた薄肉突出部と、
を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載のレンズ保持枠。 - 前記弾性変形部は、
前記筒状部材の縦弾性係数よりも小さい縦弾性係数を有する材料で形成された
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のレンズ保持枠。 - 前記レンズ保持部材の前記第2固定部は、
前記筒状部材の内周部に設けられた雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズ保持枠。 - 前記筒状部材は、
レンズ鏡筒の内周部に挿入して固定される中間枠部材である
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ保持枠。 - 前記中間枠部材は、
前記レンズ鏡筒の縦弾性係数よりも大きい縦弾性係数を有する材料で形成された
ことを特徴とする、請求項5に記載のレンズ保持枠。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズ保持枠と、
前記レンズ保持部材の前記第1固定部と固定されたレンズと、
を備える、レンズユニット。 - 前記第1固定部と固定されたレンズは、
必要な面精度が異なる複数のレンズ面を有し、
前記第1固定部は、
前記複数のレンズ面の外縁部に対する軸方向の位置が、もっとも高精度の面精度が必要なレンズ面の外縁部から最も離れた位置において、前記レンズと固定されている
ことを特徴とする、請求項7に記載のレンズユニット。 - 前記レンズと前記第1固定部とは、
硬化時の縦弾性係数が、前記レンズ保持部材の縦弾性係数よりも小さい接着剤を介して固定されている
ことを特徴とする、請求項7または8に記載のレンズユニット。 - 請求項7〜9のいずれか1項に記載のレンズユニットと、
干渉測定の参照面を構成するレンズ面を有する参照レンズと、
を備え、
前記レンズ保持部材の前記第1固定部と固定されているレンズが、前記参照レンズである、干渉計。
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