JP6299689B2 - 生体吸収促進剤含有組成物 - Google Patents

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本発明は、機能性成分とこの機能性成分の生体への吸収を促進させる吸収促進剤とを含有する生体吸収促進剤含有組成物であり、更に詳述すれば、コエンザイムQ10やカロテノイドなどの生体吸収性の低い機能性成分の生体への吸収率を向上させることができ、医薬品、健康食品、化粧品などとして好ましく用いることができる生体吸収促進剤含有組成物に関する。
医薬品に薬効成分として配合される機能性成分や、各種サプリメントなどの機能性食品、化粧品などに配合される機能性成分は、カプセル剤、錠剤、液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、スプレー剤などの種々の形態(剤形)に製剤されて経口、経皮、経粘膜などの経路で生体へと投与されるが、その機能性成分には難水溶性の物質も種々存在しており、経口的又は経皮的な摂取では生体への吸収が悪くバイオアベイラビリティーが低い場合がある。
例えば、医薬品、各種サプリメント等の機能性食品や健康食品、化粧品などの機能性成分として用いられているコエンザイムQ10やカロテノイドなどは、その生体に対する好ましい機能から広く注目されているが、いずれも脂溶性で難水溶性の物質であり、経口的又は経皮的に投与しても細胞内への取り込み性に劣り生体吸収性が必ずしも良好ではないので、その機能が十分に発揮されにくく、また機能を発揮することなく生体から排出される量も多い。
従来、このような難水溶性の機能性成分の吸収性を向上させ、バイオアベイラビリティーを改善する方策として、リポソーム、リピッドマイクロスフェア、ミセル、固体分散体、ナノ粒子化などの手法が開発されてきたが、これらの方法は、いずれも生産性を低下させ生産コストの上昇を招くことになり、費用対効果の点で必ずしも満足し得るものではない。また、機能性食品(健康食品)分野では、バイオペリン(コショウ抽出物)、カプサイシン(トウガラシ抽出物)、グリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリソルベート類(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)等の界面活性剤などを吸収促進剤として用いることも提案されているが、その効果は必ずしも満足し得るものではなく、またその使用も好まれていない。
また、オレイン酸やリノレイン酸などの不飽和脂肪酸を含むフォスファチジルコリン(レシチン)などのリン脂質を吸収促進剤として配合して各種薬効成分の経皮吸収率を向上させる方法(特許文献1:特開平10−194994号公報)も提案されており、更にラットを用いた実験で、大豆由来のリン脂質混合物から得られたホスファチジルイノシトールを配合することによりコエンザイムQ10の生体吸収性が向上することが報告されている(特許文献2:国際公開第2008/062559号)。
しかしながら、これらリン脂質を配合しても、コエンザイムQ10やカロテノイドなどの難水溶性成分の吸収性向上効果は必ずしも十分に満足し得るものではなく、更に生体吸収性を向上させてこれら成分の機能をより効果的かつ効率的に発揮させる方法の開発が望まれる。
特開平10−194994号公報 国際公開第2008/062559号
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、コエンザイムQ10やカロテノイドなど難水溶性物質からなる機能性成分の生体吸収性を効果的に向上させて、これら機能性成分のバイオアベイラビリティーを向上させることができ、しかも生産性の低下による生産コストの上昇を招くことなく製造することができる生体吸収促進剤含有組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を行ったところ、コエンザイムQ10やカロテノイドなど難水溶性物質からなる機能性成分にリン脂質を配合して、これら機能性成分の生体への吸収性を向上させる場合に、配合するリン脂質の由来によって吸収促進効果が有意に異なり、その効果の差にレシチン等のリン脂質を構成する脂肪酸の組成が影響している可能性を見い出した。ここで、レシチン等のリン脂質による吸収促進作用は、難水溶性物質からなる機能性成分の結晶表面にリン脂質が吸着又は配向することで、機能性成分の結晶が両親媒性を見かけ上獲得し、生体への吸収に対して障壁となっている腸管粘膜表面の非攪拌水層(水溶性が高いほど透過しやすい)ならびに腸管細胞膜(脂溶性が高いほど透過しやすい)の透過性を高めるためと推定される。また、レシチン等のリン脂質が消化管内での製剤の崩壊性を高め、機能性成分の結晶が効率よく消化管内で分散することも吸収促進に寄与していると推定される。そして、本発明者らは、リン脂質のこのような吸収促進作用に脂肪酸の組成が影響する可能性を見い出したものである。
そこで本発明者らは、上記知見に基づき検討を進めた結果、レシチンを構成するオレイン酸とステアリン酸との比率が吸収促進効果に影響することが見い出され、オレイン酸/ステアリン酸比率の異なる各種由来のリン脂質を用いて機能性成分の細胞への取り込み実験を行って、更に検討を進めた結果、リン脂質の中でもヒマワリ由来レシチンやオキアミ由来レシチンなどのステアリン酸比率の比較的高いレシチンが優れた吸収促進効果を示し、オレイン酸/ステアリン酸比が質量比で0.1〜2の範囲にあるレシチンが、特に上記コエンザイムQ10やカロテノイドなどの難水溶性成分について、従来から汎用されている大豆由来のレシチンを遥かに凌駕する格別な吸収促進効果を発揮し、しかもリポソームやリピッドマイクロスフェアを形成する場合のような生産性を低下させる操作を要することなく、優れた吸収促進効果が得られることを見い出し、本発明を完成したものである。
従って、本発明は、下記請求項1〜の生体吸収促進剤含有組成物を提供するものである。
[請求項1]
コエンザイムQ10と、このコエンザイムQ10の生体への吸収を促進させる吸収促進剤としてクリルオイルとを含有してなることを特徴とする生体吸収促進剤含有組成物。
[請求項
1mgのコエンザイムQ10に対して、クリルオイルを0.1〜5000mg含有する請求項1記載の生体吸収促進剤含有組成物。
[請求項
1mgのコエンザイムQ10に対して、0.1〜10mgのクリルオイルを含有する請求項記載の生体吸収促進剤含有組成物。
[請求項
ハードカプセル、ソフトカプセル又はシームレスカプセルに封入され、あるいは経口ゼリー剤又は経口液剤に製剤された請求項1〜のいずれか1項に記載の生体吸収促進剤含有組成物。
[請求項
医薬品、健康食品又は化粧品である請求項1〜のいずれか1項に記載の生体吸収促進剤含有組成物。
本発明の生体吸収促進剤含有組成物によれば、オレイン酸/ステアリン酸比が上記特定の範囲にあるレシチンの配合により、コエンザイムQ10やカロテノイドなどの難水溶性機能性成分の生体吸収性を効果的に向上させて機能性成分のバイオアベイラビリティーを格段に向上させることができる。しかも、例えばコエンザイムQ10やカロテノイドなどの機能性成分を上記オレイン酸/ステアリン酸比率を満足するヒマワリ由来レシチンやオキアミ由来レシチンなどと混合し、更に必要に応じて適宜な添加剤を配合してカプセル剤等の所望の剤形に製剤することにより、良好な生体吸収性を得ることができ、リポソームやリピッドマイクロスフェアを形成する場合などのように、生産性を低下させ生産コストを大きく上昇させることもない。
実施例1,2、比較例1及び対照例における実験結果を示すもので、各例におけるCaco-2細胞へのコエンザイムQ10取り込み量の変化を示すグラフである。 実施例3,4、比較例2及び対照例における実験結果を示すもので、各例におけるCaco-2細胞へのルテイン取り込み量の変化を示すグラフである。
本発明の生体吸収促進剤含有組成物は、機能性成分と上記特定のリン脂質とを含有するものであり、カプセル剤、錠剤、液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、スプレー剤などの種々の形態(剤形)に製剤して、サプリメントなどの機能性食品(健康食品)、化粧品、医薬品などとすることができるものである。
上記機能性成分としては、特に制限は無く、生体内に吸収されて種々の機能的効果を生じさせるものであればいずれのものも採用することができ、種々の合成又は天然由来の薬効成分や補助食品成分、その他の機能性食品成分などが挙げられるが、特にそのままでは生体吸収性に劣る難水溶性の成分について本発明の効果が顕著である。具体的には、コエンザイムQ10、ルテイン、クルクミノイド、シリマリン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、フコキサンチン、リコピン、セサミン、α−リポ酸、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ノコギリヤシエキス(オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、パルミチン酸)、セントジョーンズワート(ヒペリシン)、ロイヤルゼリー(デセン酸)、ヘスペリジン、ノビレチン、ケルセチン、ケンフェロール、ミリシトリン、カテキン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン、ミリセチン、スチルベンなどが例示され、これらの中でも特にコエンザイムQ10や、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン等のカロテノイドが好ましく用いられる。
上記リン脂質は、上記機能性成分の生体への吸収性を促進させる吸収促進剤として配合されるものであり、上述のとおり、オレイン酸/ステアリン酸比(質量比)(以下、「O/S比」と略記する)が0.1〜2のリン脂質である。この場合、特に制限されるものではないが、より好ましいO/S比は0.15〜1.65である。
上記O/S比を満足するリン脂質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ヒマワリ由来レシチン(O/S比=1.63)、オキアミ(クリル)由来レシチン(O/S比=0.16)が例示され、またエゴマ、ゴマ、菜種、小豆(アズキ)、緑豆(リョクトウ)、ヒヨコ豆、松の実、カシューナッツ、アーモンド、クルミ、乳、ココナッツ、コメ等に由来する種々のレシチンの中から、上記O/S比を満足するものを適宜選択して用いることができ、複数種のレシチンを併用することもできる。なお、O/S比は、例えば次の方法により求めることができる。即ち、分析対象のレシチン約25mgを1mLの0.5mol/L水酸化ナトリウム/メタノール溶液に加えて80〜90℃で10〜15分間反応させた後、1mLの14%三フッ化ホウ素/メタノール溶液を加えて80〜90℃で10〜15分間反応させることによりメチルエステル化し、5mLのn−ヘキサンを加え、更に5mLの飽和食塩水を加えて激しく振盪して分層し、上層の有機相をガスクロマトグラフ(例えば、島津製作所社製「GC−2014」)により分析したときのオレイン酸メチル及びステアリン酸メチルに相当するピークを自動積分法で求め、その面積値比をオレイン酸とステアリン酸の質量比(O/S比)として算出することができる。
上記のように、リン脂質は上記O/S比を満足するものであれば、種々のものを使用することができるが、機能性成分の種類にもよるが、それらの中でも上記ヒマワリ由来レシチン、オキアミ(クリル)由来レシチンが優れた吸収促進効果及び後述する種々の理由から特に好ましく用いられる。この場合、上記ヒマワリ由来レシチンは、ヒマワリ油に水を添加して得られたガム質からレシチンを分離する常法に従って得ることができるが、通常は市販品を用いることができる。また、オキアミ由来レシチンもクリルオイルから抽出したものを用いることができるが、特にレシチン成分を分離抽出することなくクリルオイルとして用いることもできる。即ち、クリルオイル中に含まれるレシチン成分は通常40〜50%であり、その他にEPA、DHA、アスタキサンチンなどが含まれるが、通常これらその他の成分が不都合を生じさせることがなければ、クリルオイルをそのままオキアミ由来レシチンとして配合することができる。
ここで、従来から吸収促進剤として用いられている大豆レシチンのO/S比は3.18であり、大豆レシチンは、本発明に用いられるレシチン(リン脂質)に比してオレイン酸の比率が遥かに高いものである。この場合、オレイン酸とステアリン酸は共に炭素数が18で同一でありながら、オレイン酸の方がより分子体積が小さいため、可溶化力が強く吸収促進効果も大きいと一般的には考えられているが、後述する実施例に示されているように、よりステアリン酸比率の高いヒマワリ由来やオキアミ由来のレシチンが大豆レシチンを凌駕する吸収促進効果を発揮することが確認され、単にオレイン酸比率が高ければよいのではなく、より適正なO/S比が存在し、そのO/S比が0.1〜2、より好ましくは0.15〜1.65であることを、本発明者らは見い出したものである。
上記O/S比を満足するリン脂質の配合量は、上記機能性成分の種類や剤形に応じて適宜設定され、特に制限されるものではないが、上記機能性成分1mgに対して、リン脂質を0.1〜5000mg、特に0.5〜500mg、更には1〜10mgとすることができる。より具体的には、例えばリン脂質がヒマワリ由来レシチン又はクリルオイルで機能性成分がコエンザイムQ10の場合には、1mgのコエンザイムQ10に対してヒマワリ由来レシチン又はクリルオイルを0.1〜10mg、特に0.8〜5mgとすることができる。また、例えばリン脂質がヒマワリ由来レシチン又はクリルオイルで機能性成分がカロテノイドの一種であるルテインの場合には、1mgのルテインに対してヒマワリ由来レシチン又はクリルオイルを0.1〜10mg、特に2.5〜8.3mgとすることができる。なお、これらレシチンの配合量が上記範囲を逸脱して少ないと十分な吸収促進効果が得られない場合があり、一方上記範囲を超えて配合しても更なる吸収促進効果の増大はほとんどなく、むしろコスト高等の不都合を生じる場合がある。
本発明の生体吸収促進剤含有組成物は、上記のとおり、機能性成分の吸収促進剤として特定のO/S比を有するリン脂質を配合したものであり、後述するように、これをそのままカプセルに封入し、又は種々の基剤や賦形剤を用いてカプセル剤を含む種々の剤形に製剤されるが、場合によっては、ヒマワリ由来レシチンやオキアミ由来レシチン等の上記O/S比を満足するリン脂質からなる複数層の膜で上記機能性成分が封入されたリポソームとしたり、大豆油をヒマワリ由来レシチンやオキアミ由来レシチン等の上記リン脂質で乳化し、その油相に上記機能性成分を溶解したリピッドマイクロスフェアとして、更なる吸収性の向上を図ることも可能である。ただし、本発明の生体吸収促進剤含有組成物は、このようなリポソームやリピッドマイクロスフェアとせずとも、良好な生体吸収性を示すものである。
本発明の生体吸収促進剤含有組成物は、後述する実施例のとおり腸管での吸収性に非常に優れ、また特にヒマワリ由来又はオキアミ由来のレシチンは、・胃液や消化液となじみやすく分散しやすいため、服用後の不快な戻り臭が少ないこと、・消化管内で局所的に高濃度にならないため、消化管への刺激が少ないこと、などの理由から、特に制限されるものではないが、カプセル剤等の経口投与剤としての適性に特に優れるものである。
更に、上記ヒマワリ由来又はオキアミ由来のレシチンを用いた場合には、以下の利点もある。即ち、・ヒマワリ由来又はオキアミ由来のレシチンは、粉末状の機能性成分やその他の配合剤と共に製剤する場合、オイル類等の基材と粉末状成分とのなじみやすさを高め、粉末成分の含量均一性を高めることができる。・卵黄又は大豆由来のレシチンには食物アレルギーの懸念があるが、ヒマワリ由来又はオキアミ由来のレシチンにはその懸念が極めて小さい。
本発明の生体吸収促進剤含有組成物は、ハードカプセルやソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、液剤、点眼剤、ローション剤、クリーム剤、ゼリー剤、軟膏剤、スプレー剤、座剤などの種々の形態(剤形)に製剤されて、医薬品、各種サプリメントなどの機能性食品や健康食品、化粧品などとされる。この場合、液体充填のカプセル剤とする場合には、水や高級アルコール、エタノール等の油性基剤以外の添加剤や界面活性剤等を配合する必要がなく、機能性成分とリン脂質(レシチン)とからなる本発明組成物をそのままハードカプセルやソフトカプセルに封入してカプセル剤とすることも可能である。一方、その他の剤形とする場合には、その剤形に応じて適宜な基剤や賦形剤が用いられ、また機能性成分の性質などに応じて公知の添加剤を配合することができる。
以下、剤形に応じた処方例及び製造例を示す。
[ハードカプセル剤]
180gのサフラワー油に10gのコエンザイムQ10と10gのクリルオイルを混合して充填液とした。この充填液を通常のサイズ3号のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ハードカプセルに200mgずつ充填することにより、1カプセルあたり10mgのコエンザイムQ10と10mgのクリルオイルを含有するハードカプセル剤を得た。
[ソフトカプセル剤]
130gのサフラワー油に10gのミツロウと10gのグリセリン脂肪酸エステルを混合後、約70℃に加温して溶解し、攪拌しながら室温まで冷後、50gのコエンザイムQ10と50gのヒマワリレシチンを混合してカプセル充填液とした。この充填液を用いて回転金型式カプセル充填機により打ち抜き法にて充填液250mgを充填されたフットボール型のソフトカプセルを製造することにより、1カプセルあたり50mgのコエンザイムQ10と50mgのヒマワリレシチンを含有するソフトカプセル剤を得た。ゼラチン皮膜液は、ゼラチン:100、濃グリセリン:35、精製水:80の重量比率にて溶解したものを使用した。
[錠剤]
1.5gのルテインと6gのサフラワー油と7.5gのクリルオイルを混合して混合液とした。攪拌造粒機の容器内に82gのデキストリンと50gの結晶セルロースを投入し、1分間攪拌後、上記混合液を攪拌しながら少量ずつ添加し、次いで70V/V%エタノール水溶液を混合物に対して適量(仕込み量に対し約35%)添加し湿性品を得た。この湿性品を棚乾燥機にて乾燥し、この乾燥品を標準篩(目開き:1.09mm)を用いて篩過し、ルテインとクリルオイルの造粒物を得た。この造粒物に3gの二酸化ケイ素と50gの結晶セルロースと97gのソルビトールと3gのステアリン酸カルシウムを添加した後、袋混合をおこない、打錠用末を得た。この打錠用末をロータリー式打錠機を用いて300mgずつ成型することにより、一錠あたり1.5mgのルテインと7.5mgのクリルオイルを含有する錠剤を得た。
[顆粒剤]
3gのルテインと12gのサフラワー油と15gのヒマワリレシチンを混合して混合液とした。攪拌造粒機の容器内に164gのデキストリンと100gの結晶セルロースを投入し、1分間攪拌後、混合液を攪拌しながら少量ずつ添加した。次いで、70V/V%エタノール水溶液を混合物に対して適量(仕込み量に対し約35%)添加し湿性品を得た。この湿性品を棚乾燥機にて乾燥し、この乾燥品を標準篩(目開き:1.09mm)を用いて篩過したあと、6gの二酸化ケイ素を添加して袋混合することにより、3gあたり3mgのルテインと15mgのヒマワリレシチンを含有する顆粒を得た。
[液剤]
加温装置付きの攪拌容器に882gの精製水を投入し、キサンタンガム4g、上白糖100gを添加して10分間攪拌したあと、90℃で30分間攪拌し、70℃まで冷後、クエン酸4g、クエン酸三ナトリウム4g、ルテイン0.2g、サフラワー油0.8g、ヒマワリレシチン1g、香料4gを添加して混合し、充填液を得た。この充填液を液体充填機を用いて10gずつ容器に分注することにより、1個あたり2mgのルテインと10mgのヒマワリレシチンを含有する液剤を得た。
[ローション剤]
6gのフェノキシエタノールと1gのL−メントールを500gのエタノールに溶解させた後、50gの1,3−ブチレングリコール、0.3gのコエンザイムQ10、1gのヒマワリレシチン、40gのPEG−60水添ヒマシ油、及び2gの香料を混合して溶解させた。その後、煮沸して放冷した390.7gの精製水を添加して均一になるまで混合し、0.03%のコエンザイムQ10と0.1%のヒマワリレシチンを含有するローション剤を得た。
[クリーム剤]
3gのコエンザイムQ10、10gのヒマワリレシチン、80gのミネラルオイル、40gのステアリン酸ステアリル、20gのトリエチルヘキサノイン、30gのジメチコン、30gのベヘニルアルコール、20gのステアリン酸グリセリル、1gのブチルパラベンを約80℃で加温して混合溶解し油相とした。一方、50gの1,3−ブチレングリコールと2gのメチルパラベンと2gのカルボマーを715gの精製水に攪拌しながら投入し、約80℃に加温して溶解し水相とした。約80℃下で、水相を高速攪拌しながら油相を少量ずつ添加した後、20%水酸化ナトリウム水溶液でpHを5.8±0.3に調整し、パドル攪拌しながら40℃まで冷却して、0.03%のコエンザイムQ10と0.1%のヒマワリレシチンを含有するクリーム剤を得た。
[ゼリー剤]
加温装置付きの攪拌容器に778gの精製水を投入し、キサンタンガム4g、ローカストビーンガム4g、上白糖200gを添加して30分間攪拌したあと、90℃で30分間攪拌し、70℃まで冷後、クエン酸4g、クエン酸三ナトリウム4g、ルテイン0.2g、サフラワー油0.8g、ヒマワリレシチン1g、香料4gを添加して混合し、ゼリー充填液を得た。この充填液をゼリー充填機を用いて10gずつ容器に分注し冷却固化することにより、1個あたり2mgのルテインと10mgのヒマワリレシチンを含有するゼリー剤を得た。
以下、実施例,比較例を示し、本発明の効果をより具体的に示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1,2及び比較例1]
15mg(17.3μmol)のコエンザイムQ10に対して16.6mgの大豆レシチン(O/S比=3.18)、ヒマワリレシチン(O/S比=1.63)又はクリルオイル(オキアミ由来レシチン、O/S比=0.16)を混合して3種類の生体吸収促進剤含有組成物を調製した。得られた各組成物につき、ヒト大腸ガン由来培養上皮細胞(以下、「Caco-2細胞」という)を用い、下記方法に従って細胞への取り込み実験を行った。結果を表1及び図1に示す。
<Caco-2細胞の培養>
セルカルチャーディッシュ(日本ベクトン・ディッキンソン社)に、ウシ胎児血清(SAFC Biosciences社)20%、MEM非必須アミノ酸溶液(和光純薬工業株式会社)1%、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(和光純薬工業株式会社)1%、及びE−MEM(L−グルタミン、フェノールレッド含有)(和光純薬工業株式会社)78%からなる培地を作製した。この培地にCaco-2細胞を1.2×104cell/plateの割合で播種し、温度37℃で5%Co2/95%空気の雰囲気下に、13〜15日間培養を行った。その際、播種後5〜6日して細胞がコンフルエントに達したことを確認した後は、1日毎に培地交換を行った。
<Caco-2細胞への取り込み実験>
上記セルカルチャーディッシュから培地を取り除き、37℃に加温したリン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」と略記する)で洗浄した。17.3μmol分のコエンザイムQ10を含む上記各生体吸収促進剤含有組成物を3mMタウロコール酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)含有E−MEM(L−グルタミン、フェノールレッド含有)5mLに分散させ、これをCaca-2細胞が付着した上記セルカルチャーディッシュに投入し、温度37℃で5%Co2/95%空気の雰囲気下に所定時間静置してインキュベートした。インキュベーション時間は4時間及び8時間とした。
所定時間インキュベートした後、ポリソルベート20を0.1%含有したPBSを4℃に調温し、このPBSでセルカルチャーディッシュ内を5回洗浄し、細胞内取り込みを終了させた。次いで、塩化ナトリウム150mM、トリス(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)50mM、及びTriton X-100(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)0.1%を含む細胞可溶化液を調製し、この細胞可溶化液に取り込み実験を行ったCaco-2細胞の半分を溶解し、エタノールで除タンパクした後、液体高速クロマトグラフィー(LC-VP/LC-10Aシリーズ、株式会社島津製作所)に供してコエンザイムQ10の濃度を求めた。一方、残り半分のCaco-2細胞からビシンコニン酸法(BCA法)により細胞中のタンパク質の量を求め、Caco-2細胞中へのコエンザイムQ10の取り込み量を単位タンパク重量(1μg)当たりのモル数として評価した。結果を表1及び図1に示す。なお、取り込み量は3回(3ディッシュ)の実験の平均値とした。
また、対照として、レシチンを配合せずに15mgのコエンザイムQ10を3mMタウロコール酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)含有E−MEM(L−グルタミン、フェノールレッド含有)5mLに分散させ、同様にCaco-2細胞への取り込み実験を行い、同様にコエンザイムQ10の取り込み量を評価した。結果を表1及び図1に併記する。
Figure 0006299689
表1及び図1に示されているように、ヒマワリレシチン(O/S比=1.63)及びクリルオイル(オキアミ由来のレシチン、O/S比=0.16)を配合した組成物は、大豆レシチン(O/S比=3.18)を用いた場合を凌駕する細胞吸収性を示した。特にクリルオイル(オキアミ由来のレシチン)の吸収促進効果は極めて顕著である。この場合、吸収実験に用いたCaco-2細胞は、周知のとおり生体の腸管吸収モデルとすることができるものであり、この実験によりオキアミ由来のレシチン及びヒマワリレシチンが、本来は生体吸収性に乏しいコエンザイムQ10の生体吸収性を顕著に向上させることができ、その効果は大豆レシチンを遥かに凌駕するものであることが確認された。
[実施例3,4及び比較例2]
28.4mg(50μmol)のルテインに対して126.1mgの大豆レシチン(O/S比=3.18)、ヒマワリレシチン(O/S比=1.63)又はクリルオイル(オキアミ由来レシチン、O/S比=0.16)を混合して3種類の生体吸収促進剤含有組成物を調製した。得られた各組成物につき、インキュベーションの時間を10時間及び20時間としたこと以外は実施例1,2と同様にして細胞への取り込み実験を行い、ルテインの取り込み量を評価した。結果を表2及び図2に示す。また、対照として、レシチンを配合しないこと以外は同様にして、28.4mg(50μmol)のルテインついてCaco-2細胞への取り込み実験を行い、同様にルテインの取り込み量を評価した。結果を表2及び図2に併記する。
Figure 0006299689
表2及び図2に示されているように、ヒマワリレシチン(O/S比=1.63)及びクリルオイル(オキアミ由来のレシチン、O/S比=0.16)がルテインの生体吸収性を効果的に向上させることが確認され、その吸収促進効果は、大豆レシチン(O/S比=3.18)を用いた場合を遥かに凌駕するものであった。

Claims (5)

  1. コエンザイムQ10と、このコエンザイムQ10の生体への吸収を促進させる吸収促進剤としてクリルオイルとを含有してなることを特徴とする生体吸収促進剤含有組成物。
  2. 1mgのコエンザイムQ10に対して、クリルオイルを0.1〜5000mg含有する請求項1記載の生体吸収促進剤含有組成物。
  3. 1mgのコエンザイムQ10に対して、0.1〜10mgのクリルオイルを含有する請求項記載の生体吸収促進剤含有組成物。
  4. ハードカプセル、ソフトカプセル又はシームレスカプセルに封入され、あるいは経口ゼリー剤又は経口液剤に製剤された請求項1〜のいずれか1項に記載の生体吸収促進剤含有組成物。
  5. 医薬品、健康食品又は化粧品である請求項1〜のいずれか1項に記載の生体吸収促進剤含有組成物。
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