以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の説明では、全体を通じて同じ要素には同じ番号を付している。
まず、本実施形態の連続シート巻取り装置が組み込まれるロールシート画像形成装置が適用される画像形成部(プリンタ)について説明した後に、ロールシート画像形成装置、及び本発明の主題である連続シート巻取り装置について説明を行う。
(画像形成部)
図8(a)は、画像形成部としてのプリンタ100の外観を示す斜視図であり、図8(b)は、プリンタ100の内部構造を示した断面図である。
図8(b)に示すように、プリンタ100は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型の一般的なカラープリンタであり、画像形成主要部102、転写ベルトユニット103、トナー供給部104、給送部105、ベルト式熱定着ユニット106、及び両面印刷用搬送ユニット107等で構成されている。
上記画像形成主要部102は、転写ベルトユニット103の転写ベルト108の下部走行面108aに接して同図の右から左へ4個の現像装置109(109k、109c、109m、109y)を多段式に並設して構成される。この画像形成主要部102は、図8(b)に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ100のフレームに保持されている。
上記4個の現像装置109のうち下流側(図の左側)の3個の現像装置109c、109m及び109yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
上記の各現像装置109は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。そこで、以下、イエロー(Y)のトナー用の現像装置109yを例にしてその構成を説明する。
現像装置109は、最上部に感光体ドラム110を備えている。この感光体ドラム110は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム110の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ111、帯電ローラ112、光書込ヘッド113、及び現像器114の現像ローラ115が配置されている。
現像器114は、外部を覆う筐体116、内部に設けられた隔壁117、現像ローラ115、第1の攪拌搬送スクリュー118、及び第2の攪拌搬送スクリュー119を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー118及び119は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
この現像器114には、転写ベルトユニット103の上方に配置されているトナー供給部104のトナーカートリッジ121から、同図にK、C、M、Yで示すブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
転写ベルトユニット103は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト108と、この転写ベルト108を掛け渡されて転写ベルト108を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ122と従動ローラ123を備えている。
駆動ローラ122には、転写ベルト108を介して二次転写ローラ124が圧接し、ここに搬送されて来る被印字媒体である用紙に対し、転写ベルト108上の一次転写トナー像を二次転写する二次転写部を形成している。
上記の転写ベルト108には、一次転写ローラ125がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ125は感光体ドラム110に対し、転写ベルト108を挟むように配置されている。
一次転写ローラ125は、下方を循環移動する転写ベルト108の下部走行面108aにトナー像を直接転写(一次転写)する。転写ベルト108は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく、上記の二次転写部まで搬送する。
また、転写ベルト108には、従動ローラ123に掛け渡されている表面に当接してベルトクリーナ126が配置されている。ベルトクリーナ126の下方にはベルトクリーナ126が転写ベルト108から除去した廃トナーを収容する廃トナー回収容器127が着脱自在に配置されている。
トナー供給部104は、転写ベルト108の上部走行面の上方に配置されている前述した4個のトナーカートリッジ121で構成されている。このトナー供給部104は、特には図示しないが、図8(b)に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ100のフレームに保持されている。
トナー供給部104の4個のトナーカートリッジ121は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナーを収容している。
これらのトナーカートリッジ121は、プリンタ100に対し前面方向に、すなわち図の紙面奥行き方向手前側に挿脱して着脱自在である。トナーカートリッジ121には図8(b)では断面図のため見えないが、現像器109にトナーを補給するためのトナー排出口が形成されている。
トナー排出口は、トナーカートリッジ121がプリンタ100に装着されたとき、現像器109の後方から上に延び出しているトナー補給路に連通し、このトナー補給路を介して現像器109にトナーを補給する。尚、図8(b)では断面図のため見えないが、トナー補給路は転写ベルトユニット103の後方に回り込んで配置されている。
このトナー供給部104の左方には、ベルトクリーナ126の左方から上方にかけて電装部129が配設されている。電装部129には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
給送部105は、1個の給送カセット131を備えている。給送カセット131の給送口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ132、給送ローラ133、捌きローラ134、待機搬送ローラ対135が配置されている。
待機搬送ローラ対135の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、前述した二次転写部が形成されている。この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット106が配置されている。
ベルト式熱定着ユニット106は、定着フレーム106e内に定着ローラ106aと熱ローラ106bを備え、定着ローラ106aと熱ローラ106bには定着ベルト106cが掛け渡されている。また、定着ローラ106aには定着ベルト106cを介し押圧ローラ106dが圧接していて、定着ニップ部を形成している。
ベルト式熱定着ユニット106の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット106から搬出する搬出ローラ対136、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレイ137に排紙する排紙ローラ対138が配設されている。
両面印刷用搬送ユニット107は、外面(図の右方外側面)がプリンタ100の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
この両面印刷用搬送ユニット107は、排紙ローラ対138の直前から図の右横方向に分岐する返送開始路139a、それから下方に曲がる返送中間路139b、更に左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路139cを有する返送路139を備えている。
また、本実施形態のプリンタ100においては、搬出ローラ対136と排紙ローラ対138との間の搬送路中に、後述するロール紙23を破線b方向で示す案内搬送路へ切り替え案内する切替え装置140と排紙口100bにロール紙排紙ローラ対141が配設されている。
また、捌きローラ134と返送終端路139cが配設されているプリンタ100の下部にはロール紙23を矢印cで示す下部方向から導入する給送口100aが形成されている。
このようなプリンタ100において、カット紙のような普通紙(例えばA4紙等)に画像を形成する場合は、給送部105の給送カセット131から用紙取出ローラ132で取出された普通紙が、給送ローラ133及び捌きローラ134で搬送され、待機搬送ローラ対135で二次転写部に送られ、転写ベルト108が掛け渡された駆動ローラ122と二次転写ローラ124とで構成される二次転写部で、転写ベルト108上のトナー画像が普通紙上に二次転写される。
一方、画像が形成される媒体がロール紙等の場合は、プリンタ100の底面に設けられた給送口100aからロール紙が供給され、その供給されたロール紙は、待機搬送ローラ対135を経由して二次転写部に搬送されて転写ベルト108上のトナー画像がロール紙上に二次転写される。
二次転写された普通紙は、二次転写部の上側にあるベルト式熱定着ユニット106に搬送され、トナー画像の定着処理が行われた後、排紙ローラ対138を介して排紙トレイ137に排紙される。一方、ロール紙の場合は、上述したように、ベルト式熱定着ユニット106に搬送されてトナー画像の定着処理が行われた後、切替え装置140、ロール紙排紙ローラ対141を介して排紙口100bから破線b方向に排紙される。
従って、上記で説明したプリンタ100の構成は基本的には一般的なプリンタと同じであり、上記切替え装置140、排紙口100b、ロール紙排紙ローラ対141及び装置下側にロール紙等の供給が可能な給送口100aが形成されている点が特徴構成となる。
(ロールシート画像形成装置)
以下では、ロールシート画像形成装置の構成について詳細に説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係るロールシート画像形成装置の正面図である。なお、図9(a)は規定のロール紙が未装着の状態図、図9(b)は規定のロール紙を給送可能にセットした状態図、図9(c)は規定のロール紙を繰り出し・巻取りつつ画像形成している状態図である。
図9(a)に示すように、ロールシート画像形成装置1は、ロールシート給送装置1aと、該ロールシート給送装置1aの上部に配設された上述のプリンタ100と巻取り装置200とによって構成される。
ロールシート給送装置1aは、図9(b)、図9(c)に示すように、ロール紙23を上部のプリンタ100に供給する。プリンタ100は、印刷対象の画像データに基づいてYMCK(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))の4色のトナーによりロール紙23に多色画像を形成する画像形成部として機能する。
ロールシート給送装置1aは、所定材料からなる巻芯23aの周りに用紙がロール状に巻回されたロール紙23を連続的に巻き出して、所定の搬送経路に沿ってプリンタ100の画像形成主要部102へと搬送する。具体的には、ロールシート給送装置1aは、スライド台7、保持部8、斜行検知センサ11、サイドガイド12、搬送ローラ対13、オートカッタ14、マークセンサ15、進入ローラ対16、進入センサ17、従動ローラ18a、18bを備える。ここで、搬送ローラ対13、進入ローラ対16、従動ローラ18a、18b、サイドガイド12等は給送手段として機能する。
また、保持部8は、ロールシート保持手段として機能し、プリンタ100により画像形成される前のロール紙23を保持する。保持部8は、ロール紙23の巻き中心にある巻芯23aを貫通してロール紙23を保持する回転可能な回転軸(シャフト)8aと、この回転軸を支持する支持台と、によって構成され、ロール紙23を回転可能に保持する。
保持部8には、回転軸8aを回転させるための不図示のモータが搭載される。保持部8は、このモータの駆動により指示された単位時間当たりの回転数(単位時間当たりに回転する回数)で回転軸8aを回転させて、保持しているロール紙23を巻き出すアンワインダとして機能する。
また、保持部8の回転軸8aには、不図示のパウダブレーキが取り付けられる。パウダブレーキは、保持部8から巻き出されて搬送されているロール紙23にかかるテンション(張力)が一定に保たれるように、回転軸8aの回転にブレーキを加える。パウダブレーキの機能により、保持部8から巻き出されたロール紙23は、弛むことなく安定して搬送される。
スライド台7は、両サイドにスライドベアリングを備え、保持部8を回転軸8a方向(ロール紙23の幅方向)にスライドさせる。スライド台7は、斜行検知センサ11がロールシート給送装置1a内部を搬送されるロール紙23の斜行を検知すると、アクチュエータにより駆動力を得て、検知した斜行を打ち消す方向に保持部8を移動させる。
斜行検知センサ11は、ロールシート給送装置1a内部を搬送されるロール紙23の斜行を検知する。具体的には、斜行検知センサ11は、ロール紙23の幅方向の端部を挟むように互いに向かい合って配置された複数の組の発光素子と受光素子とによって構成される。斜行検知センサ11は、この複数の組のそれぞれについて発光素子から発せられた光が遮断されずに受光素子によって受光されたか否かを判別することにより、ロール紙23の端部の幅方向への位置ずれを、ロール紙23に接触することなく測定する。
搬送ロール対13は、保持部8から巻き出され、従動ローラ18a、18b及びサイドガイド12を経由して搬送されたロール紙23を挟持して搬送し、進入ローラ対16へと供給する。進入ローラ対16は、搬送ローラ対13から供給されたロール紙23を挟持して搬送し、プリンタ100の給送口100aを介してプリンタ100へと供給する。
オートカッタ14は、必要に応じてロール紙23をカットする。オートカッタ14は、例えばプリンタ100における画像形成に必要な長さのロール紙23を搬送し終えたときに、ロール紙23の終端(後端)をカットする。また、後述するリード用シート5をオプション給送用連続シート4と切り離すべく不図示の制御手段によりカット制御される。
マークセンサ15は、ロール紙23の表面に記録されプリンタ100による画像形成のための位置基準として用いられるオリジナルマークを検知する。
進入センサ17は、進入ローラ対16からプリンタ100の給送口100bへと進入するロール紙23の始端(前端)27を検知する。具体的には、進入センサ17は、発光素子と受光素子とによって構成され、発光素子から発せられた光がロール紙23の始端により遮られて受光素子により検知されなくなると、ロール紙23の始端を検知したと判別する。進入センサ17がロール紙23の始端を検知すると、プリンタ100は、各種ローラ対の駆動を開始して、内部に進入したロール紙23を搬送させる。
なお、図9から明らかなように、上記の斜行検知センサ11、従動ローラ18b、サイドガイド12、搬送ローラ対13、オートカッタ14、マークセンサ15、進入ローラ対16、進入センサ17等は、略垂直の搬送路を形成している。
そして、ロールシート給送装置1aの右側における破線で示した領域は、仕切壁1bで仕切られ、例えばロール紙やトナー等の消耗品の収納室1cとして用いられる。
一方、巻取り装置200は後に詳述するが、巻取り手段(リワインダ)として機能し、プリンタ100から排出されたロール紙23を、巻取り軸210の周りに巻き取って保持するよう構成されている。
次に、本実施形態のロールシート画像形成装置1において、予め設定されたサイズ(径)のロール紙23を保持部8に装着し、装置を稼動させる操作方法について、図11も参照して以下に説明する。
図11に示すように、ロールシート給送装置1aが備える制御部81は、不図示のCPU、RAM、ROM等の機能により、ロールシート給送装置1a全体の動作を制御する。具体的には、制御部81は、巻き出し部82、搬送部83、及び検知部84として機能する。
図11(a)に示すように、印刷開始前、ユーザは、ロールシート給送装置1aの装置本体から給送部全体を矢印d方向に引き出して、始端27を例えば固定テープ24で固定された印刷前のロール紙23を、保持部8の回転軸8aに取り付ける(白抜き矢印)。そして、固定テープ24を取り除いた始端27を図9(b)の破線にて示すように搬送ローラ対13に挟持させた後、給送部全体を元に戻し(矢印e方向)準備を完了する。
この状態において、不図示のホスト機器から印刷データを受信したプリンタ100から給送要求を受信すると、巻き出し部82は、保持部8の回転軸8aを回転させて、保持部8に取り付けられたロール紙23を始端27から順に巻き出す。搬送部83は、搬送ローラ対13及び進入ローラ対16等を駆動させて、巻き出し部82が巻き出したロール紙23をプリンタ100へと搬送する。
ここで、ロール紙23には、例えば予めオリジナルマーク25が記録されている。オリジナルマーク25は、プリンタ100がロール紙23に画像形成する際の位置の基準となる第1の基準マークとして機能する。検知部84は、巻き出し部82により巻き出されて搬送部83により搬送されるロール紙23に記録されたオリジナルマーク25を、マークセンサ15により検知する。
オリジナルマーク25は、例えばロール紙23をラベル紙で構成する場合に始端27から終端28(図11(c)参照)までの複数の位置に一定間隔で記録され、この間隔は、プリンタ100がラベル毎に画像形成の位置を調整できるように、出力すべき画像データにおける各ラベルのピッチに相当する長さに設定される。
プリンタ100へ搬送されたロール紙23は、所定の画像が形成された後、図10(b)に示すようにプリンタ100の排紙口100bから排出される。
巻取り装置200は、不図示のCPU、RAM、ROM等の機能を備える制御部200aにより全体の動作を制御され、例えばプリンタ100からロール紙23の巻取り要求を受信すると、図9(c)にも破線(矢印f方向または矢印g方向)で示すように、巻取り軸210を矢印hまたは矢印i方向に回転させて、プリンタ100から排出されるロール紙23を巻取り始める。なお、制御部200aには後述する検知部230が備えられている。
ここで、矢印h方向は、プリンタ100の二次転写ローラ124により転写された画像(画像形成面)が外側(フェイスアップ)になるように巻取られる方向であり、矢印i方向は、画像(画像形成面)が内側(フェイスダウン)になるように巻取られる方向である。なお、図10(b)、図10(c)では、巻取り軸210を矢印hの方向へ回転させて巻取る例を記載してある。
巻取りが終了すると、通常印刷も終了する。巻取り終わったロール紙23の終端28は、固定テープ24により仮固定されて巻取り装置9から取り外される。
このような巻取り装置200を用いてロール紙23の巻取りを始める際のユーザ操作として、従来では、例えばロール紙23の先端(始端27)を巻取り軸210に直接巻きつけるか、巻芯23aと同様な巻芯23a´を図10(a)〜図10(c)に示すように巻取り軸210に嵌装し、この巻芯23a´に上記固定テープ24のような粘着テープを用いて固定するようにしていた。
しかしながら、そのような方法では、操作に手間がかかり、固定位置の精度もバラつき易く、巻取り軸210の回転方向(矢印h方向または矢印i方向)によってはテープ固定部のはがれやゆがみが発生することは前述した。そこで、本発明の実施形態においては、巻取り装置200に新規な構成を採用している。以下、その構成を詳述する。
(巻取り装置)
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る連続シート巻取り装置の構成を示す一部破断斜視図である。図1および図2に示すように、巻取り装置200は、巻取り軸210と図1の矢印jに示すように軸210に装脱自在な巻芯220とからなり、それぞれに格別の構成を備えている。
すなわち、巻取り軸210は、図1および図3(a),(b)の断面図に示すように、円筒状の大径部と端部小径部からなり、大径部の端部と端部小径部とがそれぞれ巻取り装置本体の前フレーム201aと巻取り装置本体内部に設けられた支持フレーム201bに軸受202a,202bを介して回転自在に片持ち支持され、不図示の駆動機構に噛合する端部小径部に嵌着された駆動ギア203を介して装置本体の制御部200a(図11参照)により回転駆動制御されるようになっている。
巻取り軸210には、外周部に周方向に間隔を隔てて複数のチャック部(本例では120度間隔で3つ)を有するチャック機構211が設けられ、チャック部を拡開または後退させることで巻芯220を保持またはその取り外しを可能としている。
簡単に説明すると、チャック機構211は、巻取り軸210の大径部の円筒内側にベアリング214aを介して回転自在に支持された回転部材214と、一端が巻取り軸210本体にスライド可能に係合し他端が螺合部215を介して回転部材214と螺合するスライド軸216と、このスライド軸216に一体化されたテーパ部材217と、このテーパ部材217に係合するチャック部(第1チャック部212a、第2チャック部202b、第3チャック部202c)と、上記回転部材214と連結された操作用の摘み213等からなる。
なお、図1では第1チャック部212aのみ確認でき、第2チャック部202b、第3チャック部202cは巻取り軸210の下方から後ろにあるために見えない。
そして、チャック部が後退位置にある図3(a)の状態から摘み213を矢印k方向へ回転操作すると、図3(b),図3(c)に示すように、スライド軸216およびテーパ部材217が図にて右側方向へ移動し、それにつれてチャック部(第1チャック部212a、第2チャック部202b、第3チャック部202c)が径方向外側へ拡開して巻芯220の内周面を内側から保持・固定する構成となっている。
図1、図2に戻って、巻取り軸210の略中央の周面で第1チャック部212aと第3チャック部212cとの中間位置に、第1検知レバー231aと第2検知レバー231bがレバー先端を突出させて埋設されている。これら検知レバーは、図4(a)に示すように検知スイッチとして機能する。
より具体的には、第1検知レバー231aと第2検知レバー231bの電気回路の一端が巻取り軸210に接地され、もう一端がそれぞれ以下のような構成にて装置本体の制御部200aと回路接続されている。
すなわち、図1、図2に示すように、巻取り軸210の巻取り装置本体側の大径部端部の外周面に、一周に亘って2本の導電路が形成されていて、この2本の導電路(第1導電路232a、第2導電路232b)は、上記第1検知レバー231aと第2検知レバー231bと導電線233a,233bを介して電気的に接続されている。また、2本の導電路(第1導電路232a、第2導電路232b)に対して、導電部材からなる第1接点234aと第2接点234bが常時接触すべく圧接されていて、装置本体の制御部200aと回路接続されている。
従って、巻取り軸210の回転、非回転に拘わらず各検知レバーのスイッチ機能は担保される。
これら、第1検知レバー231a、第2検知レバー231b、導電線233a,233b、第1導電路232a、第2導電路232b、第1接点234a、第2接点234b、は検知手段(検知部230)を構成している。
一方、本実施形態の巻芯220は、図2に示すように巻取り軸210に嵌装した際に、上記第1検知レバー231aおよび第2検知レバー231bのレバー先端が内包されるような対応位置に、第1開口221a、第2開口221bが形成されている。また、これら開口近傍に、図1、図2に示すように、その周面の長手方向に沿って連続シートの先端が差し込み可能な程度の間隔の径方向にやや傾斜して切り込まれた後に周方向に沿って形成されたスリット状の第1凹部222aと第2凹部222bが設けられている。
また、切り込まれた外周面側には、差し込まれた連続シートの先端を下方に押さえつけて保持するための第1押さえ部223a、第2押さえ部223bがそれぞれ形成されている。
これら第1凹部222aと第2凹部222bは、基本的に同一形状だが、周方向に互いに対称的に形成されていて、連続シートの先端を差し込む際に、自ずと異なる姿勢で差し込まれるように構成されている。
次に、このように構成された巻取り装置200について、その操作および動作について説明する。
図5(a)は画像(画像形成面)が外側(フェイスアップ)になるように巻取られる場合を示す斜視図であり、図5(b)は画像(画像形成面)が内側(フェイスダウン)になるように巻取られる場合を示す斜視図である。また、図6は連続シート巻取り装置の巻取り制御の流れを示すフローチャートである。
上述したように、プリンタ100へ搬送されたロール紙23は、プリンタ100の画像形成部にて所定の画像が形成された後、図10(b)に示すようにプリンタ100の排紙口100bから排出されるが、それに先立ち、本実施形態では、まず図2に示すようにユーザにより巻取り軸210に巻芯220が嵌装される。すなわち、図3(a)に示した状態の巻取り軸210に巻芯220を図3(b)の矢印l方向へ装着後、摘み213を矢印k方向に回転操作してチャック部を拡開して巻取り軸210に巻芯220を固定保持する。
その後、ユーザは排紙口100bから排出されるロール紙23の先端を図5(a)または図5(b)に示すいずれかの方向(矢印f方向または矢印g方向)から第1凹部222aまたは第2凹部222bに差し込む。この場合、第1凹部222aまたは第2凹部222bは上述のとおり巻芯220の外周面に径方向に傾斜して切り込みを有するので、ロール紙23の先端を巻芯220の外周面に沿わせるだけで容易に第1凹部222aまたは第2凹部222bに誘導されると共に奥部壁に突き当てられ正確に位置決めされる。また、突き当てられたロール紙23の先端は、第1押さえ部223a、第2押さえ部223bにより確実に保持される。
ロール紙23の先端が図5(a)の矢印f方向または図5(b)の矢印g方向に示すように差し込まれると、図6に示すフローチャートの処理が開始される。すなわち、まず第1検知レバー231aの紙先端挿入検知が行われる(ステップS1)。そして、図5(a)に示すようにロール紙23の先端が差し込まれることにより第1検知レバー231aの出力がオンする(ステップS1がY)と、巻取り軸210の回転方向が正回転(矢印h方向)である旨選択決定される(ステップS2)。
ここで、ロール紙23の差し込まれる矢印f方向と、巻取り軸210の周面の移動方向である回転方向矢印h方向とは、共に第1凹部222aの切り込みの傾斜方向に沿った方向、つまり、矢印f方向と矢印h方向とは互いに順方向とされている。これにより、ロール紙23の先端が巻き込み始められる際に、先端部が座屈してその後の使用に不具合が発生するような恐れもない。
一方、第1検知レバー231aの紙先端挿入検知がノーの場合、第2検知レバー231bによる紙先端挿入検知が行われ(ステップS3)、第2検知レバー231bの出力がオンする(ステップS3がY)と、巻取り軸210の回転方向が逆回転(矢印i方向)である旨選択決定される(ステップS4)。この場合も、ロール紙23の差し込まれる矢印g方向と、巻取り軸210の周面の移動方向である回転方向矢印i方向とは、共に第2凹部222bの切り込みの傾斜方向に沿った方向、つまり、矢印g方向と矢印i方向とは互いに順方向とされている。これにより、ロール紙23の先端が巻き込み始められる際に、先端部が座屈してその後の使用に不具合が発生するような恐れもない。
ステップS3またはステップS4で巻取り軸210の回転方向が選択決定された後の巻取り軸210の回転駆動の制御は、ユーザによる手動操作も有り得るが、上記ステップS3またはステップS4の決定判断の数秒後(任意)に回転を開始するという自動制御が望ましい。そうすることで、巻取り軸210の回転開始用のスイッチを削減することができる。
なお、上記実施の形態では、図1に示したように検知センサとしての各検知レバーは、巻取り軸210に埋設しているが、図7に示す変形例のように、第1検知レバー231a´、第2検知レバー231´として巻芯220´側に設けるようにすることもできる(この場合、巻取り軸210側にコネクタを配置)。
また、上記実施の形態においては、第1検知レバー231aと第2検知レバー231bとの検知に基づいて巻取り方向を正逆のいずれかに決定し次いで回転駆動制御を実施するようにしているが、検知手段を1種類に削減することも可能である。
例えば、通常の巻き取り方向を正方向に設定しておき、図5(b)のように第2検知レバー231bが検知信号を出力した場合のみ巻取り軸210の回転方向を逆回転させる制御をするようにして、第1検知レバー231a、導電線233a、第1導電路232a、第1接点234aの系統の各部材を削除してコストダウンを図ることもできる。
ところで、上記の説明においては、連続用紙の巻取りのためには巻芯220を用意し、巻取り軸210に巻芯220を固定保持することを前提として説明したが、本発明の巻取り装置200では、必ずしもそのような構成に限定されない。図12は、そのような本発明の別実施形態に係る連続シート巻取り装置を示す一部破断斜視図である。
図12に示すように、本発明の別実施形態に係る巻取り装置240では、巻取り軸250そのものにロール紙23の先端を把持する第1凹部242a、第1押さえ部243a、第2凹部242b、第2押さえ部243bを形成していることと、ロール紙23の先端を検知する第1検知レバー241aと第2検知レバー241bが、上述の実施形態の第1検知レバー231aと第2検知レバー231bよりもレバー先端の長さが異なる(レバー先端が巻取り軸250の外周面から突出していない)点を除いて、その他の構成は上述の実施形態の巻取り軸210と同様である。
従って、詳細な説明は省略するが、この別実施形態では、ロール紙23を直接巻取り軸250に巻き取るようにしている。なお、この場合、ロール紙23を巻き取り始める際に、図4(b)で示したようにチャック部を拡開しておく。そして、巻取りが完了した時点で、図4(a)の状態にチャック部を後退させて巻取り時の圧力を解除して巻取り軸250からの脱装を可能とする。このようにすることで、巻芯220を不要にすることができる。
なお、上記説明において、検知センサとしての各検知レバーに変えて、詳細な説明は省略するが図4(b)に示すような公知のフォトセンサ245を用いて用紙の検知を非接触で行うようにすることもできる。
このように、本発明によれば、用紙先端をスリット状凹部に差し込み支持部に突き当てるだけで簡単に行えるので、固定用のテープが削減でき作業効率が向上する。また、固定位置のバラツキが低減されて、用紙先端の固定部のゆがみや位置のバラツキが少なくなるため、巻取り時の側端部がフラットになり易いメリットがある。そして、用紙検知手段により巻取り方向が自動的に選択されるためトラブルが低減でき、回転方向選択用スイッチや巻芯の削減も可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
連続シートを直接または巻芯を介してロール状に巻取る巻取軸と、
該巻取軸を正逆いずれかの回転方向に駆動する回転駆動機構と、
該回転駆動機構の作動と非作動を制御する回転駆動制御手段と、
前記連続シートの先端を前記巻取軸に直接または巻芯を介して把持する把持手段と、
該把持手段に把持された前記連続シートの姿勢を検知する検知手段と、
該検知手段の検知結果に応じて前記回転駆動機構による前記巻取軸の回転方向を正逆いずれかに決定する回転方向決定手段と、
を備えることを特徴とする連続シート巻取り装置。
(付記2)
前記回転駆動制御手段は、前記回転方向決定手段による前記決定から所定時間経過後に前記回転駆動機構を作動させるべく制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の連続シート巻取り装置。
(付記3)
前記把持手段は、前記巻取軸の周面長手方向または前記巻芯の周面長手方向に沿って形成され、前記連続シートの先端を異なる姿勢で差し込み可能なスリット状凹部を備える、
ことを特徴とする付記1または2に記載の連続シート巻取り装置。
(付記4)
前記スリット状凹部は、前記巻取軸の回転方向に沿って2箇所備えられる、
ことを特徴とする付記3に記載の連続シート巻取り装置。
(付記5)
前記検知手段は、前記把持手段の近傍に設けられ前記連続シートと接触して該連続シートの有無を検知する検知レバー、または前記連続シートとは非接触で該連続シートの有無を検知するフォトセンサを備える、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の連続シート巻取り装置。