JP6298676B2 - 塩化水素精製方法 - Google Patents

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本発明は、圧力変動吸着法を利用して塩化水素を精製するための方法および装置に関する。
塩化水素は非常に重要な工業中間原料であり、多くの化学産業で使用されている。特に、半導体原料に用いられる塩化水素は高純度のものが要求され、例えば塩化水素濃度が99.99〜99.999vol.%の高純度塩化水素ガスが使用されている。塩化水素の製造方法としては、化学設備での合成反応で副生される塩化水素を含む排ガスからの分離・濃縮による方法、または、塩素と水素から塩化水素を直接合成する方法が挙げられる。塩素と水素からの合成方法としては、バーナーを用いた高温での燃焼反応法があり、この他に光照射下で塩素と水素を反応させる方法もある。一般的には、合成後の反応ガス中に残る未反応塩素を限りなく少なくするために、水素過剰条件で燃焼が行われる。そのため、合成後の反応ガス中には、過剰に加えた分の水素が残存することとなる。反応ガス中に水素が約1〜10vol.%残存し、燃焼出口ガス(反応ガス)圧力は約0〜0.03MPaG(ゲージ圧)である。この過剰に含まれる水素と塩化水素を分離する方法としては、(1)高圧低温の蒸留による分離法、(2)溶媒による吸着法、(3)水と接触させ塩酸として分離する方法、などがある。(1)の方法では、塩化水素と水素の相対揮発度の差が小さく、高圧低温の過酷な条件となるため、エネルギー消費量、設備費が高くなり、経済的に有利な方法ではない。(2)の方法では、塩化水素の純度は低く、高純度の塩化水素ガスを必要とするプロセスには使用できない。(3)の方法では塩化水素は水溶液の塩酸として回収されるため、そのあとに共沸点混合物である塩酸中の塩化水素と水を分離することは、プロセスが増え、設備も大きくなり経済的とはいえない。
不純物を含む混合ガスから目的ガスを分離するための方法として、圧力変動吸着法(PSA法)がある。PSA法によるガス分離は、一般に、酸素、窒素の高純度化や一酸化炭素、水素の高純度化に使用される。PSA法を利用した塩化水素の分離は、一般的ではないので従来例が少ないが、例えば下記の特許文献1,2に記載されている。
特許文献1においては、酸性ガスの吸着分離において塩化水素と窒素の分離例が示されているものの、水素と塩化水素の分離に関しては一切述べられていない。また、使用する吸着剤も市販のアルミナに添加物を加えて調製するという手間があり、吸着剤をプラントレベルで大量に使用することを想定すると現実的ではない。
特許文献2においては、特定の吸着剤を用い、導入した原料ガスよりも塩化水素濃度の高い排出ガスを得る方法であるが、実施例では、一酸化炭素、および一酸化炭素と水素以外の不純物が含まれている原料についてしか述べられていない。また、精製された塩化水素ガス純度も99vol.%程度であり、半導体原料に要求される99.99vol.%以上には達していない。
特開昭62−110744号公報 特開平5−301011号公報
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであって、圧力変動吸着法を利用して、塩化水素および水素を含むガスから塩化水素を精製し、高純度な塩化水素ガスを得るのに適した方法および装置を提供することを課題としている。
本発明の第1の側面によって提供される塩化水素精製方法は、不純物として水素を含む粗塩化水素ガスから塩化水素を精製するための方法であって、塩化水素を選択的に吸着する、平均細孔径が8Å(オングストローム:1Å=10-10m)以上の吸着剤が充填された吸着塔を用いて行う圧力変動吸着法により、3塔以上の上記吸着塔の各々において、上記吸着塔が相対的に高圧である状態にて、上記吸着塔に上記粗塩化水素ガスを導入して当該粗塩化水素ガス中の塩化水素を上記吸着剤に吸着させ、当該吸着塔から非吸着ガスを排出する吸着工程と、上記吸着塔に上記粗塩化水素ガスよりも塩化水素濃度が高い洗浄ガスを導入し、当該吸着塔から洗浄オフガスを排出する洗浄工程と、上記吸着塔のガスの出入りを遮断する待機工程と、上記吸着塔内を減圧して上記吸着剤から塩化水素を脱着させ、当該吸着塔から塔内ガスを排出させる脱着工程と、を含むサイクルを繰り返し行い、上記脱着工程において上記吸着塔から排出される上記塔内ガスを製品ガスとして取得し、上記脱着工程にある上記吸着塔から排出される上記塔内ガスの一部を、上記洗浄工程にある上記吸着塔に上記洗浄ガスとして導入する
好ましくは、上記吸着塔から排出される上記洗浄オフガスを、上記吸着塔に導入される前の上記粗塩化水素ガスに添加する。
好ましくは、上記吸着剤は、ゼオライト、および非ゼオライト系多孔質酸性酸化物からなる群より選択される1または複数で構成される。より好ましくは、上記吸着剤は、Y型ゼオライト、ハイシリカ型ゼオライト、および活性アルミナからなる群より選択される1または複数で構成される。
好ましくは、上記洗浄ガスの塩化水素濃度は、99.9vol.%以上である。
本発明の第2の側面によって提供される塩化水素精製装置は、不純物として水素を含む粗塩化水素ガスから塩化水素を精製するための装置であって、第1ガス通過口および第2ガス通過口を有し、当該第1および第2ガス通過口の間において塩化水素を選択的に吸着する、平均細孔径が8Å以上の吸着剤が充填された3塔以上の吸着塔と、上記吸着塔の内部を減圧する減圧手段と、粗塩化水素ガス導入端を有する主幹路、および、上記吸着塔ごとに設けられて当該吸着塔の上記第1ガス通過口側に接続され且つ開閉弁が付設された複数の分枝路、を有する第1配管と、非吸着ガス排出端を有する主幹路、および、上記吸着塔ごとに設けられて当該吸着塔の上記第2ガス通過口側に接続され且つ開閉弁が付設された複数の分枝路、を有する第2配管と、洗浄オフガス排出端を有する主幹路、および、上記吸着塔ごとに設けられて当該吸着塔の上記第2ガス通過口側に接続され且つ開閉弁が付設された複数の分枝路、を有する第3配管と、上記減圧手段が付設された主幹路、および、上記吸着塔ごとに設けられて当該吸着塔の上記第1ガス通過口側に接続され且つ開閉弁が設けられた複数の分枝路、を有する第4配管と、上記第4配管の上記主幹路に接続され且つ流量調整手段が付設された主幹路、および、上記吸着塔ごとに設けられて当該吸着塔の上記第1ガス通過口側に接続され且つ開閉弁が付設された複数の分枝路、を有する第5配管と、を備える。
好ましくは、上記第3配管の上記主幹路と上記第1配管の上記主幹路との間を連結し、開閉弁が付設された第6配管を備える。
本発明者らは、圧力変動吸着法により粗塩化水素ガスから水素を分離する方法について鋭意検討したところ、一般的に市販されている吸着剤であって特定の大きさ以上の平均細孔径を持つ吸着剤に粗塩化水素ガス中の塩化水素を吸着させ、次に高純度塩化水素ガス(洗浄ガス)を吸着剤が充填された吸着塔内に導入し、塔内に残存する水素を分離して精製した塩化水素ガスが99.99vol.%以上になることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記の吸着剤においては、塩化水素は不純物成分に比較してより強い親和力を有しているので、当該吸着剤を充填した吸着塔に粗塩化水素ガスを導入すると塩化水素は水素よりも優先的に吸着される。しかし、吸着を終了した時点ですぐに、水素は吸着剤の一部表面に微量に吸着しているものや、吸着剤細孔内または、吸着剤と吸着剤との間の隙間の空間に残存しており、吸着後すぐに導入した時よりも低い圧力にして吸着ガスを脱着させ回収することでは、回収したガスの塩化水素純度が99.99vol.%以上にはならない。
そこで、水素を含む粗塩化水素ガスを吸着塔に導入し、塔内の吸着剤に塩化水素を吸着させた後、水素濃度の低い高純度塩化水素ガス(洗浄ガス)を吸着塔内に導入して通気させる(洗浄工程)。これにより、吸着剤に微量に吸着している水素が洗浄ガスに置き換わり、また、吸着剤の一部の細孔内や、吸着剤と吸着剤との間の隙間の空間に残存していた水素が吸着塔外に排出される。その後、洗浄ガスを導入した時よりも低い圧力にして吸着塔内のガスを回収することにより(脱着工程)、高純度塩化水素ガス(製品ガス)を取得することができる。
特に、吸着剤として平均細孔径が8Å(オングストローム)以上であるものを用いることにより、純度99.99vol.%以上の高純度塩化水素ガス(製品ガス)を取得することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明に係る塩化水素精製装置の概略構成を表す。 本発明に係る塩化水素精製方法のステップ1〜3におけるガス流れ状態を表す。 本発明に係る塩化水素精製方法のステップ1〜3’におけるガス流れ状態を表す。 実施例および比較例(原料ガスにおける水素濃度が5vol.%)について、使用した吸着剤の平均細孔径と製品ガス純度との関係を示すグラフである。 実施例(原料ガスにおける水素濃度が1vol.%)について、洗浄ガス量と製品ガス純度との関係を示すグラフである。 実施例(原料ガスにおける水素濃度が500vol.ppm)について、洗浄ガス量と製品ガス純度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係る塩化水素精製方法を実行するのに使用することができる塩化水素精製装置Xの概略構成を示している。塩化水素精製装置Xは、吸着塔10A,10B,10Cと、圧縮機21と、真空ポンプ22と、配管31〜36とを備え、塩化水素を含む原料ガス(粗塩化水素ガス)から圧力変動吸着法(PSA法)を利用して塩化水素を濃縮分離することが可能なように構成されている。原料ガスについては、例えば水素過剰条件にて水素と塩素を合成させた後のガスが挙げられ、当該ガス(原料ガス)には、主成分としての塩化水素、および不純物としての水素が含まれる。また、原料ガスには、水素以外に不純物成分が微少量含まれる場合がある。このような水素以外の不純物成分としては、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、アルゴンなどの空気成分や、反応希釈用として用いるヘリウム、アルゴンなどが挙げられる。
吸着塔10A,10B,10Cの各々は、両端にガス通過口11,12を有し、ガス通過口11,12の間において、原料ガス中の塩化水素を選択的に吸着するための吸着剤が充填されている。具体的には、吸着塔10A,10B,10Cの各々の内部には、例えば多孔板(図示略)によって区画された空間領域が形成されており、当該領域に吸着剤が充填される。塩化水素を選択的に吸着するための吸着剤としては、例えば、ゼオライト(合成および天然ゼオライト)が挙げられる。本実施形態において、各吸着塔10A,10B,10Cの内部に充填される吸着剤は、平均細孔径が8Å(オングストローム)以上である。8Å以上の平均細孔径を有する吸着剤について、ゼオライトとしてはY型、L型などが挙げられ、好ましくはY型ゼオライトまたはハイシリカ型ゼオライトが用いられる。この他に用いられる吸着剤としては、アルミナなどの非ゼオライト系多孔質酸性酸化物が挙げられる。これらの吸着剤は、添加剤などを加える必要はなく、一般的に市販され、容易に入手できるものである。上記した吸着剤は、単独で使用しても、複数種を併用してもよい。吸着塔10A,10B,10C内に充填する吸着剤の種類や量については、例えば原料ガス中の不純物の種類や量に応じて決定する。
圧縮機21は、原料ガスを吸着塔10A,10B,10Cに圧送するためのものである。真空ポンプ22は、吸着塔10A,10B,10Cの内部を減圧するためのものである。
配管31は、原料ガス導入端E1を有する主幹路31’、および、吸着塔10A,10B,10Cの各ガス通過口11側に各々が接続された分枝路31A,31B,31Cを有する。主幹路31’には、圧縮機21が設けられている。分枝路31A,31B,31Cには、開状態と閉状態との間を切り替わることが可能な自動弁31a,31b,31cが付設されている。
配管32は、ガス排出端E2を有する主幹路32’、および、吸着塔10A,10B,10Cの各ガス通過口12側に各々が接続された分枝路32A,32B,32Cを有する。分枝路32A,32B,32Cには、開状態と閉状態との間を切り替わることが可能な自動弁32a,32b,32cが付設されている。
配管33は、ガス排出端E3を有する主幹路33’、および、吸着塔10A,10B,10Cの各ガス通過口12側に各々が接続された分枝路33A,33B,33Cを有する。分枝路33A,33B,33Cには、開状態と閉状態との間を切り替わることが可能な自動弁33a,33b,33cが付設されている。
配管34は、真空ポンプ22が付設された主幹路34’、および、吸着塔10A,10B,10Cの各ガス通過口11側に各々が接続された分枝路34A,34B,34Cを有する。分枝路34A,34B,34Cには、開状態と閉状態との間を切り替わることが可能な自動弁34a,34b,34cが付設されている。主幹路34’は、その下流側に製品ガス取り出し端E4を有する。
配管35は、配管34の主幹路34’に接続された主幹路35’、および、吸着塔10A,10B,10Cの各ガス通過口11側に各々が接続された分枝路35A,35B,35Cを有する。分枝路35A,35B,35Cには、開状態と閉状態との間を切り替わることが可能な自動弁35a,35b,35cが付設されている。主幹路35’には、流量調整弁35d(流量調整手段)が付設されている。
配管36は、配管33の主幹路33’と配管31の主幹路31’との間を連結している。配管36には、開状態と閉状態との間を切り替わることが可能な自動弁36aが付設されている。配管36は、いずれかの吸着塔(10A,10B,10C)から排出される後述の洗浄オフガスを、配管31の主幹路31’に送り、当該主幹路31’を流れる原料ガスに添加するためのものである。なお、この配管36を具備しない構成としてもよく、図1においては、配管36および自動弁36aを点線で表している。
以上のような構成を有する塩化水素精製装置Xを使用して、本発明の実施形態に係る塩化水素精製方法を実行することができる。塩化水素精製装置Xの稼働時において、自動弁31a〜31c,32a〜32c,33a〜33c,34a〜34c,35a〜35c,36a、および流量調整弁35dを適宜切り替えることにより、装置内において所望のガスの流れ状態を実現し、以下のステップ1〜3からなる1サイクルを繰り返すことができる。本方法の1サイクルにおいては、吸着塔10A,10B,10Cの各々にて、吸着工程、洗浄工程、および脱着工程が行われる。図2は、ステップ1〜3における塩化水素精製装置Xでのガスの流れ状態を模式的に表したものである。
ステップ1では、図2(a)に示すようなガス流れ状態が達成されて、吸着塔10Aにて吸着工程が、吸着塔10Bにて脱着工程が、吸着塔10Cにて洗浄工程が行われる。ステップ1の各工程の操作時間は、例えば120秒とされる。
図1および図2(a)を併せて参照するとよく理解できるように、ステップ1では、原料ガスが、原料ガス導入端E1を有する配管31を介して吸着塔10Aのガス通過口11側に導入される。吸着工程にある吸着塔10A内は所定の高圧状態に維持されており、原料ガス中の塩化水素が吸着塔10A内の吸着剤に吸着され、且つ、吸着塔10Aのガス通過口12側から塩化水素濃度の低い非吸着ガスが排出される。この非吸着ガスは、配管32を介してガス排出端E2から装置外へ排出される。より詳細には、吸着工程における非吸着ガスの組成は、経時的に変化する。吸着工程の初期においては、非吸着ガスにおける塩化水素濃度は相対的に低い。吸着工程が進むにつれて、吸着剤の塩化水素に対する吸着量が飽和状態に近づき、塩化水素の吸着量が低下していくので、非吸着ガスの組成は原料ガスの組成に近づいていく。
ここで、吸着塔10Aに導入される原料ガスにおける塩化水素濃度について、特に制限はないが、好ましくは80vol.%以上、より好ましくは95vol.%以上である。吸着工程にある吸着塔10Aの内部圧力(吸着圧力)は、例えば0〜1MPaGであり、好ましくは0〜0.07MPaGである。
吸着塔10Bについては、先に洗浄工程を行っていたから(図2(c)に示されるステップ3参照)、ステップ1の開始時には、後述の塩化水素濃度が高い洗浄ガスによって不純物である水素が置換されており、塔内に残存するガスの不純物濃度が低くなっている。ステップ1では、吸着塔10Bの内部が真空ポンプ22により減圧されて、吸着塔10B内の吸着剤から塩化水素が脱着され、吸着塔10Bのガス通過口11側から塔内ガス(主に脱着ガス)が排出される。この排出されたガスは、配管34、および真空ポンプ22を介して製品ガス取出し端E4から装置外に取り出される。脱着工程にある吸着塔10Bの内部圧力(脱着圧力)は、例えば−0.1〜−0.01MPaGであり、好ましくは−0.1〜−0.05MPaGである。
これとともに、ステップ1では、後述のステップ3(吸着工程)を既に経ている吸着塔10Cのガス通過口11側に対し、真空ポンプ22を通過した吸着塔10Bからのガスの一部が配管35および流量調整弁35dを介して洗浄ガスとして導入されつつ、吸着塔10Cのガス通過口12側から洗浄オフガスが排出される。この洗浄オフガスは、配管33を介してガス排出端E3から装置外へ排出される。このようなステップ1では、吸着塔10Bから排出されるガスによって吸着塔10Cが清浄化される。
ここで、吸着塔10Cに導入する洗浄ガスの量については、当該洗浄ガスの量を、吸着塔内の吸着剤充填領域における空隙容積で除した値が0.56以上となるように調整され、好ましくは当該除した値が2.0以上となるように調整される。なお、上記の「吸着塔内の吸着剤充填領域」とは、吸着塔内において多孔板等によって区画された、吸着剤を充填可能な空間領域のことである。「吸着剤充填領域における空隙容積」とは、吸着剤充填領域において、充填された吸着剤が占める領域以外の空間容積であり、主に吸着剤と吸着剤の間(吸着剤の粒どうしの間)の空間容積によって占められる。一定容積である吸着剤充填領域の全体に粒状の吸着剤を充填する場合において、吸着剤の粒自体の形状やサイズによって、「吸着剤充填領域における空隙容積」は変化しうる。
ステップ2では、図2(b)に示すようなガス流れ状態が達成されて、吸着塔10Aにて洗浄工程が、吸着塔10Bにて吸着工程が、吸着塔10Cにて脱着工程が行われる。即ち、ステップ2では、ステップ1で吸着塔10Aにおいて行われたのと同様に、吸着塔10Bにおいて、吸着工程が行われる。これとともに、ステップ2では、ステップ1で吸着塔10Bにおいて行われたのと同様に、吸着塔10Cにおいて、脱着工程が行われる。これとともに、ステップ2では、ステップ1で吸着塔10Cにおいて行われたのと同様に、吸着塔10Aにおいて、洗浄工程が行われる。
ステップ3では、図2(c)に示すようなガス流れ状態が達成されて、吸着塔10Aにて脱着工程が、吸着塔10Bにて洗浄工程が、吸着塔10Cにて吸着工程が行われる。即ち、ステップ3では、ステップ1で吸着塔10Aにおいて行われたのと同様に、吸着塔10Cにおいて、吸着工程が行われる。これとともに、ステップ3では、ステップ1で吸着塔10Bにおいて行われたのと同様に、吸着塔10Aにおいて、脱着工程が行われる。これとともに、ステップ3では、ステップ1で吸着塔10Cにおいて行われたのと同様に、吸着塔10Bにおいて、洗浄工程が行われる。
そして、以上に説明したステップ1〜3が吸着塔10A,10B,10Cの各々において繰り返し行われることにより、吸着塔10A,10B,10Cのいずれかに原料ガスが連続的に導入され、且つ塩化水素濃度の高いガス(製品ガス)が連続的に取得される。なお、ステップ1〜3からなる1サイクルを繰り返し行う際の吸着塔10A,10B,10Cの内部温度については、季節に応じた温度変化を考慮し、0〜40℃程度であれば問題はない。
本実施形態の塩化水素精製方法において、吸着塔10A,10B,10Cの各々において実行されるPSA法による1サイクルについて、吸着工程の後、且つ脱着工程の前に、洗浄工程を行う。洗浄工程にあるいずれかの吸着塔(10A,10B,10C)に導入される洗浄ガスは、脱着工程にある他のいずれかの吸着塔(10A,10B,10C)から排出されたガスの一部である。当該ガス(洗浄ガス)は、吸着剤から脱着した塩化水素が主であり、塩化水素濃度が高い。上記洗浄ガスの塩化水素濃度は、例えば99.9vol.%以上であり、条件によっては99.99vol.%以上の場合もある。
洗浄工程においては、吸着剤の一部の細孔内や、吸着剤と吸着剤との間の隙間の空間に残存していた原料組成の不純物が、洗浄ガスの導入により例えば99.9vol.%の純度の塩化水素で置き換えられる。そして、洗浄工程において導入する洗浄ガスの量よりも、その後の脱着工程において、塔内を減圧して塔内ガスを回収するときに吸着剤から脱着する純塩化水素の量のほうがはるかに多い。このため、脱着工程の開始時において塔内に残存するガスに含まれる不純物成分は十分に希釈され、最終的に純度99.99vol.%以上の高純度の塩化水素ガス(製品ガス)が回収される。
本実施形態においては、各吸着塔10A,10B,10Cに充填される吸着剤として平均細孔径が8Å以上であるものを用いることにより、純度99.99vol.%以上の塩化水素ガスを得ることができる。
ゼオライトは、一般的に、その構造の種類が決まると平均細孔径の値も決まることとなる。例えば、A型ゼオライトであれば平均細孔径は3〜5Å、X型ゼオライトであれば平均細孔径は8Å、Y型ゼオライトであれば平均細孔径は8Åであることが一般に知られている。
本発明者らが、さまざまな平均細孔径を持つゼオライト、および非ゼオライト系多孔質酸性酸化物を用いて検討を行った結果、塩化水素と水素の分離性が悪い吸着剤の特徴として、平均細孔径が7Å以下であることを見出した。7Å以下の細孔をもつ吸着剤では、塩化水素分子よりもはるかに小さい微量の水素分子(分子径約3Å)が細孔内に入りこんでしまい、洗浄工程時のガス洗浄では脱離せずに吸着剤の細孔内に留まり、脱着工程時の減圧により水素が吸着剤から脱離していると考えられる。それに対し、平均細孔径が8Å以上であるゼオライト、および非ゼオライト系多孔質酸性酸化物を用いた吸着剤では、上述した圧力変動吸着操作により、99.99vol.%以上の高純度塩化水素の精製が可能であった。一般に、ゼオライトの平均細孔径は、Y型のものが最も大きいとされているが(最大9Å程度)、もしも、それよりも大きい細孔を持つゼオライトや非ゼオライト系多孔質酸性酸化物を用いたとしても、上述した圧力変動吸着操作を行うことにより、99.99vol.%以上の高純度塩化水素の精製が可能である。
洗浄工程において吸着塔10A,10B,10Cに導入する洗浄ガスの量は、上述のように、当該洗浄ガス量を、吸着塔10A,10B,10C内の吸着剤充填領域における空隙容積で除した値が0.56以上、好ましくは2.0以上とされる。このように、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積、の比率が0.56以上とすることにより、塔内に残存していた原料組成のガス(不純物としての水素を含む)が適切に洗浄ガスに置き換えられるとともに、吸着剤の表面に吸着された微量の不純物成分(主に水素)や吸着剤の細孔内に残存していた不純物成分も塔外に排出されるものと考えられる。その結果、後の脱着工程において回収される製品ガスにおける塩化水素濃度を所望の高純度とすることができる。なお、上記空隙容積は、吸着剤の形状や充填方法によって変化するが、以下の計算式によって容易に算出することできる。
<空隙容積を求める計算式:(1)空隙容積=吸着剤充填領域の容積−吸着剤充填領域で吸着剤が占める体積、(2)空隙容積=吸着剤充填領域の容積−吸着剤の単位質量当たりの体積×吸着剤の充填質量>
上記した洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積の比率について、特に上限は設けないが、実用上の観点から上記比率を極端に大きな値にするのは適切でない。即ち、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積、の比率が過大になると、洗浄ガス量が必要以上に増えることになり、洗浄工程の所要時間が延びる。その結果、1サイクルの時間(サイクルタイム)が長くなり、製品ガスの生産効率(単位時間当たりの製品ガスの取得量)が低下するので、好ましくない。
洗浄工程にある吸着塔に導入される洗浄ガスの量は上記のように調整されるが、洗浄工程にある吸着塔に導入する洗浄ガスの単位時間当たりの流量および導入時間についても、流量調整弁35dを操作することによって適宜調整することができる。脱着工程にある吸着塔から排出されるガスが製品ガスとして回収され、その排出ガス(製品ガス)の一部が洗浄ガスとして利用されるが、脱着工程において塔外に排出される製品ガスの塩化水素濃度は、経時的に変化する。脱着工程の初期においては予め塔内に残存するガスが排出されるので塩化水素濃度が相対的に低く、脱着工程が進むにつれて、吸着剤から脱着されたガスが排出されるので、塩化水素濃度が高くなっていく。このようなことから、製品ガス全体の純度を高める観点によると、脱着工程の開始から途中の時点まで排出されるガスを洗浄ガスとして利用するのが好ましい。
脱着工程の開始から途中の時点まで排出されるガスを洗浄ガスとして利用する場合、図2を参照して上述した各ステップ1〜3において、洗浄工程については、これと並行して行う脱着工程の開始から途中の時点まで行い、その後引き続いて行う脱着工程が終了するまでは、洗浄工程を行っていた吸着塔のガスの出入りを遮断して待機させればよい。
図3は、洗浄工程の後、脱着工程に切り替わるまでの間に待機工程が挿入される場合における、塩化水素精製装置Xでの1サイクルのガスの流れ状態を模式的に表したものである。待機工程は、図2に示したステップ1,2,3の各々の直後にステップ1’,2’,3’として挿入される。
ステップ1’では、図3(b)に示すようなガス流れ状態が達成されて、吸着塔10Aにてステップ1に引き続き吸着工程が、吸着塔10Bにてステップ1に引き続き脱着工程が、吸着塔10Cにてステップ1での洗浄工程の後の待機工程が行われる。ステップ2’では、図3(d)に示すようなガス流れ状態が達成されて、吸着塔10Aにてステップ2での洗浄工程の後の待機工程が、吸着塔10Bにてステップ2に引き続き吸着工程が、吸着塔10Cにてステップ2に引き続き脱着工程が行われる。ステップ3’では、図3(f)に示すようなガス流れ状態が達成されて、吸着塔10Aにてステップ3に引き続き脱着工程が、吸着塔10Bにてステップ3での洗浄工程の後の待機工程が、吸着塔10Cにてステップ3に引き続き吸着工程が行われる。
上述のように、原料ガスにおける塩化水素濃度は、好ましくは80vol.%以上、より好ましくは95vol.%以上とされる。原料ガスにおける水素濃度(不純物ガス成分の濃度)が高い場合、回収したい高純度の塩化水素ガスになるまでの、洗浄ガスの導入量が増え、洗浄工程の所要時間が延びることにより製品ガスの生産効率が著しく低下するため好ましくない。また、洗浄ガスの導入量が増えることに伴い、洗浄ガスを流す時間が長くなると、設備の運転効率が下がるので好ましくない。
洗浄工程にある吸着塔から排出される洗浄オフガスについては、当該洗浄オフガス中の不純物濃度(水素濃度)が原料ガスにおける水素濃度よりも低い。このため、洗浄オフガスをガス排出端E3から装置外へ排出するのに代えて、配管36の自動弁36aを開状態にし、洗浄オフガスを、配管36を介して配管31側の原料ガスに添加してリサイクルしてもよい。このように洗浄オフガスを原料ガス系にリサイクルすれば、装置外へ排出するガスの量が減少するので、回収される製品ガス全体の収率改善を図ることができる。なお、配管36を流れる洗浄オフガスの圧力が配管31を流れる原料ガスの圧力よりも低くなる場合、配管36に、配管31に向けて洗浄オフガスを圧送するための圧縮機(図示略)を設けてもよい。
また、塩化水素は腐食作用が特に高く、水分があると吸着塔10A,10B,10Cの材料の劣化が進む。そのため、吸着塔10A,10B,10Cは、使用前に不活性ガスで十分に置換し、水分濃度が1000vol.ppm以下、好ましくは100vol.ppm以下に保たれるのがよい。必要に応じて、圧縮機21の上流側に脱水機(図示略)を設置してもよい。
真空ポンプ22により高純度の塩化水素ガス(製品ガス)が回収され、その一部が洗浄ガスとして使用されるが、洗浄ガス供給時の圧力変動を抑えるために、真空ポンプ22の下流側にバッファタンク(図示略)を設置し、当該バッファタンク内に製品ガスを一時的に貯留してもよい。
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本発明に係る塩化水素精製方法を実行する装置におけるガス流路をなす配管の構成については、上記実施形態とは異なる構成を採用してもよい。吸着塔の数については上記実施形態で示した3塔式だけに限定されるものではなく、2塔以下、或いは4塔以上の場合でも同様の効果が期待できる。
次に、本発明の有用性を実施例および比較例により説明する。以下に示す実施例および比較例でのPSA法による操作は、全てステンレス製の吸着塔(吸着剤充填領域:φ45mm×500mm、吸着剤充填領域の容積:800ml)1塔を用いて室温(25℃)で行った。また、原料ガスを通気して吸着塔内を昇圧させるために、吸着塔の出口側に背圧弁を設けた。なお、各吸着剤の平均細孔径はメーカーの開示値または開示データを用いた。
〔実施例1〕
吸着塔内に、ハイシリカゼオライト(ユニオン昭和製、HISIV−1000、円柱状で外径1.7mm、長さ3〜6mm、平均細孔径9Å)を400g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/477mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(95vol.%)と水素(5vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaG(ゲージ圧)になるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を2.0分間洗浄(洗浄ガス導入量800ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=800/(800−477)=2.48であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた(脱着工程)。このとき回収した塩化水素ガスは4300mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は定量下限以下(10vol.ppm以下)であり塩化水素濃度は99.999vol.%以上であった。本実施例の結果を表1および図4のグラフに示した。
〔実施例2〕
吸着塔内に、Y型ゼオライト(東ソー製、385HUD1C、円柱状で外径1.5mm、長さ3〜6mm、平均細孔径9Å)を340g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/448mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(95vol.%)と水素(5vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を2分間洗浄(洗浄ガス導入量800ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=800/(800−448)=2.27であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた。このとき回収した塩化水素ガスは4000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は定量下限以下(10vol.ppm以下)であり塩化水素濃度は99.999vol.%以上であった。本実施例の結果を表1および図4のグラフに示した。
〔実施例3〕
吸着塔内に、Y型ゼオライト(東ソー製、385HUD1C、円柱状で外径1.5mm、長さ3〜6mm、平均細孔径9Å)を340g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/448mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(99vol.%)と水素(1vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を600ml/minで通気させ、塔内を1分間洗浄(洗浄ガス導入量600ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=600/(800−448)=1.71であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた。このとき回収した塩化水素ガスは4000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は90vol.ppmであり塩化水素濃度は99.991vol.%であった。本実施例の結果を表1および図5のグラフに示した。
〔実施例4〕
吸着塔内に、Y型ゼオライト(東ソー製、385HUD1C、円柱状で外径1.5mm、長さ3〜6mm、平均細孔径9Å)を340g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/448mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(99vol.%)と水素(1vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を2分間洗浄(洗浄ガス導入量800ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=800/(800−448)=2.27であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた。このとき回収した塩化水素ガスは4000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は定量下限以下(10vol.ppm以下)であり塩化水素濃度は99.999vol.%以上であった。本実施例の結果を表1および図5のグラフに示した。
〔実施例5〕
吸着塔内に、活性アルミナ(住友化学製、KHS−46、球状で外径4〜6mm、平均細孔径30〜50Å)を450g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/443mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(95vol.%)と水素(5vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を2分間洗浄(洗浄ガス導入量800ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=800/(800−443)=2.24であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた(脱着工程)。このとき回収した塩化水素ガスは3000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は定量下限以下(10vol.ppm以下)であり塩化水素濃度は99.999vol.%以上であった。本実施例の結果を表1および図4のグラフに示した。
〔実施例6〕
吸着塔内に、活性アルミナ(住友化学製、KHS−46、球状で外径4〜6mm、平均細孔径30〜50Å)を450g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/443mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(99.95vol.%)と水素(500vol.ppm)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.995vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL EG品)を400ml/minで通気させ、塔内を0.5分間洗浄(洗浄ガス導入量200ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=200/(800−443)=0.56であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた(脱着工程)。このとき回収した塩化水素ガスは3000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は定量下限以下(10vol.ppm以下)であり塩化水素濃度は99.999vol.%以上であった。本実施例の結果を表1および図6のグラフに示した。
〔実施例7〕
吸着塔内に、活性アルミナ(住友化学製、KHS−46、球状で外径4〜6mm、平均細孔径30〜50Å)を450g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/443mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(99.95vol.%)と水素(500vol.ppm)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.995vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL EG品)を400ml/minで通気させ、塔内を2分間洗浄(洗浄ガス導入量800ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=800/(800−443)=2.24であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた(脱着工程)。このとき回収した塩化水素ガスは3000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は定量下限以下(10vol.ppm以下)であり塩化水素濃度は99.999vol.%以上であった。本実施例の結果を表1および図6のグラフに示した。
〔実施例8〕
吸着塔内に、L型ゼオライト(東ソー製、500KOD1C、円柱状で外径1.6mm、長さ3〜7mm、平均細孔径8Å)を480g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/498mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(95vol.%)と水素(5vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を2分間洗浄(洗浄ガス導入量800ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=800/(800−498)=2.65であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた。このとき回収した塩化水素ガスは4000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は30vol.ppmであり塩化水素濃度は99.997vol.%であった。本実施例の結果を表1および図4のグラフに示した。
〔比較例1〕
吸着塔内に、モルデナイト型ゼオライト(東ソー製、690HOD3A、円柱状で外径3.0mm、長さ3〜6mm、平均細孔径7Å)を460g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/507mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(95vol.%)と水素(5vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を8分間洗浄(洗浄ガス導入量3200ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=3200/(800−507)=10.9であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた。このとき回収した塩化水素ガスは8000mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は6000vol.ppmであり塩化水素濃度は99.4vol.%であった。本比較例の結果を表1および図4のグラフに示した。
〔比較例2〕
吸着塔内に、ハイシリカゼオライト(ユニオン昭和製、HISIV−3000、円柱状で外径1.6mm、長さ3〜6mm、平均細孔径6Å)を500g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/538mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(95vol.%)と水素(5vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を8分間洗浄(洗浄ガス導入量3200ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=3200/(800−538)=12.2であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた(脱着工程)。このとき回収した塩化水素ガスは7200mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は13000vol.ppmであり塩化水素濃度は98.7vol.%であった。本比較例の結果を表1および図4のグラフに示した。
〔比較例3〕
吸着塔内に、ZSM−5型ゼオライト(東ソー製、891HOD1C、円柱状で外径1.5mm、長さ3〜6mm、平均細孔径5.8Å)を520g充填した。吸着剤充填領域の容積/吸着剤が占める体積=800ml/538mlであった。吸着塔に、原料ガスとして塩化水素(95vol.%)と水素(5vol.%)の組成ガスを1500ml/minで0.05MPaGになるまで通気し続けた(吸着工程)。その後、原料ガスの供給を停止し、洗浄ガスとして純度99.9vol.%の塩化水素ガス(住友精化製、HCL PURE品)を400ml/minで通気させ、塔内を8分間洗浄(洗浄ガス導入量3200ml)した(洗浄工程)。このとき、洗浄ガス量/吸着剤充填領域における空隙容積=3200/(800−538)=12.2であった。その後、洗浄ガスの供給を停止し、真空ポンプで吸着塔内を−0.09MPaGまで減圧させ、塩化水素を脱着させた(脱着工程)。このとき回収した塩化水素ガスは9200mlであった。また、得られた塩化水素ガス(製品ガス)をガスクロマトグラフィー(TCD)で分析したところ、水素濃度は13000vol.ppmであり塩化水素濃度は98.7vol.%であった。本比較例の結果を表1および図4のグラフに示した。
Figure 0006298676
X 塩化水素精製装置
10A,10B,10C 吸着塔
11,12 ガス通過口
21 圧縮機
22 真空ポンプ
31〜36 配管
31’,32’,33’,34’,35’ 主幹路
31A〜31C,32A〜32C,33A〜33C,34A〜34C,35A〜35C
分枝路
31a〜31c,32a〜32c,33a〜33c,34a〜34c,35a〜35c,36a 自動弁
35d 流量調整弁(流量調整手段)

Claims (4)

  1. 不純物として水素を含む粗塩化水素ガスから塩化水素を精製するための方法であって、
    塩化水素を選択的に吸着する、平均細孔径が8Å以上の吸着剤が充填された吸着塔を用いて行う圧力変動吸着法により、3塔以上の上記吸着塔の各々において、上記吸着塔が相対的に高圧である状態にて、上記吸着塔に上記粗塩化水素ガスを導入して当該粗塩化水素ガス中の塩化水素を上記吸着剤に吸着させ、当該吸着塔から非吸着ガスを排出する吸着工程と、上記吸着塔に上記粗塩化水素ガスよりも塩化水素濃度が高い洗浄ガスを導入し、当該吸着塔から洗浄オフガスを排出する洗浄工程と、上記吸着塔のガスの出入りを遮断する待機工程と、上記吸着塔内を減圧して上記吸着剤から塩化水素を脱着させ、当該吸着塔から塔内ガスを排出させる脱着工程と、を含むサイクルを繰り返し行い、
    上記脱着工程において上記吸着塔から排出される上記塔内ガスを製品ガスとして取得し、
    上記脱着工程にある上記吸着塔から排出される上記塔内ガスの一部を、上記洗浄工程にある上記吸着塔に上記洗浄ガスとして導入する、塩化水素精製方法。
  2. 上記吸着塔から排出される上記洗浄オフガスを、上記吸着塔に導入される前の上記粗塩化水素ガスに添加する、請求項1に記載の塩化水素精製方法。
  3. 上記吸着剤は、ゼオライト、および非ゼオライト系多孔質酸性酸化物からなる群より選択される1または複数で構成される、請求項1または2に記載の塩化水素精製方法。
  4. 上記洗浄ガスの塩化水素濃度は、99.9vol.%以上である、請求項1ないしのいずれかに記載の塩化水素精製方法。
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