JP6297604B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光装置に関する。
近年は、発光装置の光源に有機EL素子が用いられるようになっている。有機EL素子は、有機層を2つの電極で挟んだ構成を有している。そして、これら2つの電極は、配線を介して端子に接続している。
一方、発光装置には、有機EL素子の範囲を定めるために、絶縁層が設けられている。この絶縁層は、有機EL素子の周囲を囲んでいる。そして、有機EL素子に接続する配線は、厚さ方向で見た場合、この絶縁層と基板の間を延在している(例えば特許文献1参照)。
特開2007−264583号公報
上記した絶縁層には、例えば薬液を用いて、有機EL素子となるべき領域に開口が形成される。一方、上記したように、この絶縁層の縁を跨ぐ位置に、配線などの導電層が形成される場合がある。この導電層が2層構造で形成されている場合、絶縁層と導電層の界面から薬液が浸透し、絶縁層の縁で覆われている導電層のうち上側の層が除去されることがある。この場合、絶縁層の縁は浮いた形になり、折れる可能性が出てくる。絶縁層の縁が折れた場合、この縁に起因して発光装置に不具合が生じる可能性が出てくる。
本発明が解決しようとする課題としては、有機EL素子を囲む絶縁層の縁が折れないようにすることが一例として挙げられる。
請求項1に記載の発明は、基板と、
前記基板に形成された有機EL素子と、
前記有機EL素子を囲む絶縁層と、
前記基板と前記絶縁層の間に位置し、前記絶縁層のうち前記有機EL素子とは逆側の縁を跨いでいる導電層と、
を備え、
前記導電層は、第1層と、前記第1層上に形成された第2層を有しており、
前記導電層は、前記絶縁層のうち前記有機EL素子とは逆側の縁と重なる部分において、前記第2層の一部を有していない発光装置である。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。 図1から絶縁層を取り除いた図である。 有機EL素子の構成を説明するための断面図である。 比較例に係る発光装置の断面図である。 図2のA−A断面図である。 実施例1に係る発光装置の平面図である。 図6から封止膜、隔壁、第2電極、有機層、及び絶縁層を取り除いた図である。 図6のB−B断面図である。 図6のC−C断面図である。 図6のD−D断面図である。 図6のE−E断面図である。 図6のF−F断面図である。 実施例2に係る発光装置の構成を示す平面図である。 図13のI−I断面図である。 実施例3に係る発光装置の構成を示す平面図である。 実施例4に係る発光装置の構成を示す平面図である。 図11の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、実施形態に係る発光装置10の構成を示す平面図である。図2は、図1から絶縁層120を取り除いた図である。図3は、有機EL素子102の構成を説明するための断面図である。実施形態に係る発光装置10は、基板100、有機EL素子102、絶縁層120、及び導電層300を有している。有機EL素子102は基板100に形成されており、絶縁層120は、有機EL素子102を囲んでいる。導電層300は厚さ方向において基板100と絶縁層120の間に位置し、絶縁層120のうち有機EL素子102とは逆側の縁126を跨いでいる。導電層300は、第1層310及び第2層320を有している。第2層320は第1層310上に形成されている。そして導電層300は、絶縁層120の縁126と重なる部分において第2層320の一部を有していない。発光装置10は、例えばディスプレイであるが、照明装置であってもよい。以下、詳細に説明する。
基板100は、たとえばガラス基板や樹脂基板などの透明基板である。基板100は、可撓性を有していてもよい。この場合、基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。この場合においても、基板100は無機材料及び有機材料のいずれで形成されていてもよい。基板100は、例えば矩形などの多角形である。
有機EL素子102は、図3に示すように、第1電極110及び第2電極150の間に有機層140を挟んだ構成を有している。有機層140は、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層をこの順に積層した構成を有している。第1電極110が陽極の場合は、正孔輸送層が第1電極110の上に形成される。また、第1電極110が陰極の場合は、電子輸送層が第1電極110の上に形成される。
第1電極110及び第2電極150のうち少なくとも一方は透光性の電極になっている。また、残りの電極は、例えばAlやAgなどの金属によって形成されている。透光性の電極の材料は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の無機材料、またはポリチオフェン誘導体などの導電性高分子、又は銀もしくは炭素からなるナノワイヤを利用した網目状電極である。本図に示す例では、ボトムエミッション型の有機EL素子102であって、第1電極110は透光性の電極になっており、第2電極150は、Alなど光を反射する電極になっている。また、トップエミッション型の有機EL素子102であって、基板100の上に第1電極110、有機層140、及び第2電極150をこの順に積層した構成を有している場合、第1電極110はAlなど光を反射する電極になっており、第2電極150は透光性の電極になっている。また、両方の電極(第1電極110、第2電極150)を透光性の電極として、透光型の発光装置としても良い(デュアルエミッション型)。
絶縁層120は、例えばポリイミド系樹脂などの感光性の樹脂であり、露光及び現像されることによって、所望のパターンに形成されている。絶縁層120としては、例えば、ポジ型の感光性樹脂が用いられる。なお、絶縁層120はポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂であっても良い。
導電層300は、第1層310の上に第2層320を積層した構成を有している。導電層300は、例えば有機EL素子102に接続する配線であるが、ダミーとなる導電パターンやアライメントマークであってもよい。第1層310は、例えば有機EL素子102が有する2つの電極のうち基板100側に位置する電極と同様の材料(例えば透光性の導電材料)によって形成されている。そして第2層320は、第1層310よりも低抵抗な材料(例えばAlなどの金属)によって形成されている。なお、第2層320は多層構造を有していてもよい。
ここで、有機EL素子102の配線は、第1層310としてITO、第2層320としてアルミニウムを利用する場合が多い。特に、第2層は、MoNb/AlNd/MoNbの積層構造を採用している場合が多い。この理由は、以下の通りである。
まず、アルミニウムとITOとを直接接触させた場合、電気化学的効果により、ITOの化学的耐性が弱まる。また、アルミニウムとITOとの電気的な接触は粗悪であり、これらの間の接触抵抗は経時劣化してしまう。これらの問題を避けるため、アルミニウムとITOとの間にモリブデン(Mo)、クロム(Cr)など異種金属を介在させ、直接の接触を絶つことが好ましい。特に、Moは、アルミニウムとITOとの反応を遮断し、両者との接触抵抗も低い。
更に、アルミニウムやアルミニウムにネオジウム(Nd)を含有したAlNd合金には酸化しやすいものが多い。第2層320を形成する材料が酸化された場合、その酸化物中の酸素がアルミニウムやAlNd合金に拡散するおそれが生じる。この現象を抑制するために、特定の数量のニオブ(Nb)を含有したMoNb合金層を第2層320の表面に保護膜として形成する。この保護層(MoNb)およびAlNd合金の第2層320は燐酸、酢酸、及び硝酸の混合水溶液よりなるエッチング液で一括エッチングすることも可能である。有機EL素子を用いた一般的な発光装置において、絶縁層120の材料であるポリイミド膜をスピンコーティングし、フォトリソ工程でパターニングを行った後、320℃程度の温度で熱処理することにより、絶縁層120を作成する。この熱処理により、第2層320のAlNd合金の抵抗を低くすることができる。この理由は、熱処理の熱でNdがAlの粒界に移動するためと考えられる。
絶縁層120には開口122が形成されている。そして開口122を用いて有機EL素子102が形成されている。発光装置10がディスプレイの場合、導電層300には複数の開口122が形成されており、これら複数の開口122を用いて複数の有機EL素子102が形成されている。また発光装置10が照明装置の場合、導電層300には一つの開口122が形成されている場合もあれば、複数の開口122が形成されている場合もある。後者の場合、これら複数の開口122を用いて複数の有機EL素子102が形成されている。
そして、上記したように、導電層300は、絶縁層120の縁126と重なる部分において第2層320を有していない。導電層300のうち第2層320を形成していない部分の幅Wは、例えば10μm以上500μm以下である。また、絶縁層120の縁126から絶縁層120の下に位置する第2層320の縁までの距離Lは、例えば5μm以上250μm以下である。また、絶縁層120の縁126から絶縁層120の外に位置する第2層320の縁までの距離Lは、例えば5μm以上250μm以下である。
なお、導電層300のうち絶縁層120で覆われている部分(ただし縁126の近くを除く)、及び導電層300のうち絶縁層120で覆われていない部分(ただし縁126の近くを除く)は、いずれも第1層310の上に第2層320を積層した構成を有している。すなわちこれら2つの部分は、同一の層構造を有している。そして、導電層300のうち縁126と重なる部分覆う構造は、上記した2つの部分のいずれとも異なる。
次に、発光装置10の製造方法について説明する。まず、基板100上に第1電極110となる導電層を形成する。次いで、この導電層をエッチング(例えばドライエッチング又はウェットエッチング)などを利用し、選択的に除去する。これにより、基板100上には、第1電極110及び導電層300の第1層310が形成される。
次いで、基板100上、第1電極110上、及び第1層310上に、導電層300の第2層320となる導電層を形成する。次いで、この導電層をエッチング(例えばドライエッチング又はウェットエッチング)などを利用し、選択的に除去する。これにより、第1層310上には第2層320が形成される。このとき、第1層310のうち絶縁層120の縁126と重なる領域には、第2層320を残さない。
次いで、基板100上、第1電極110上、及び導電層300に絶縁層を形成し、この絶縁層を、薬液(例えば現像液)を利用して選択的に除去する。これにより、絶縁層120及び開口122が形成される。絶縁層120が絶縁層で形成されている場合、絶縁層120及び開口122は、露光処理及び現像処理によって形成される。絶縁層120がポリイミドで形成されている場合、絶縁層120には、さらに加熱処理が行われる。これにより、絶縁層120のイミド化が進む。
次いで、開口122内に有機層140を形成する。有機層140を構成する少なくとも一つの層(例えば正孔輸送層)は、例えばスプレー塗布、ディスペンサー塗布、インクジェット、又は印刷などの塗布法を用いて形成されてもよい。なお、有機層140の残りの層は、例えば蒸着法を用いて形成されるが、これらの層も塗布法を用いて形成されてもよい。
次いで、有機層140上に第2電極150を、例えば蒸着法やスパッタリング法を用いて形成する。
図4は、比較例に係る発光装置10の断面図であり、図2のA−A断面に相当している。本図に示す発光装置10において、絶縁層120の縁126と重なる部分にも第2層320が形成されている。この場合、絶縁層120を選択的に除去するとき、第2層320と絶縁層120の界面から薬液が進入する。また、次工程のウェットプロセス時の薬液も進入する。そのため、第2層320のうち縁126の下に位置する部分は除去されることがある。この場合、絶縁層120の縁126には、浮遊部121が形成される。
図5は、図2のA−A断面図である。上記したように、絶縁層120の縁126と重なる部分には、導電層300の第2層320は形成されていない。従って、縁126は、第1層310に接している。このため、絶縁層120を選択的に除去するとき、及び、次工程のウェットプロセス時に、第2層320はエッチング液や現像液などの薬液に触れない。従って、この薬液に対して第2層320がエッチングされやすい場合においても、第2層320のうち絶縁層120で覆われている部分はエッチングされない。従って、本実施形態によれば、縁126に浮遊部121が形成されることを抑制できる。
(実施例1)
図6は、実施例1に係る発光装置10の平面図である。図7は、図6から封止膜210、隔壁170、第2電極150、有機層140、及び絶縁層120を取り除いた図である。図8は図6のB−B断面図であり、図9は図6のC−C断面図であり、図10は図6のD−D断面図である。本図に示す発光装置10は、例えばディスプレイとして用いられる。
発光装置10は、基板100、第1電極110、有機EL素子102、絶縁層120、複数の開口122、複数の開口124、複数の引出配線130、有機層140、第2電極150、複数の引出配線160、及び複数の隔壁170を有している。引出配線130及び引出配線160は、実施形態における導電層300に対応している。
第1電極110は、基板100の第1面側に形成され、第1方向(図6におけるY方向)にライン状に延在している。第1電極110は透光性の材料によって形成されている。第1電極110は、光が透過する程度に薄い金属薄膜であっても良い。そして第1電極110の端部は、引出配線130に接続している。
引出配線130は、第1電極110を端子に接続する配線である。本図に示す例では、引出配線130の一端側は第1電極110に接続しており、引出配線130の他端側は端子となっている。引出配線130は、第1層132と第2層134とを積層した構成を有している。引出配線130は実施形態における導電層300の一例である。第1層132は実施形態における第1層310に対応しており、第2層134は実施形態における第2層320に対応している。また、第2層134は、後述するように、複数の金属層を積層した構成を有している。ここで、金属層は、合金層の場合もある。例えば、ここで用いられる金属層はMo層、Al層、NiとMoの合金層、又はMoとNbの合金層である。特に好ましくは、前述したMoNb合金層、AlNd合金層、MoNb合金層の積層構造である。そしてこれらの金属層を複数積層することによって、第2層134が形成される。なお、同一の金属層が複数回積層されてもよい。
そして、図7に示すように、実施形態と同様に、第1層132(第1層310)のうち絶縁層120の縁126と重なる部分には、第2層134(第2層320)が形成されていない。また、第1層132は、第1電極110と一体に形成されている。
絶縁層120は、図6、及び図8〜図10に示すように、複数の第1電極110上及びその間の領域に形成されている。絶縁層120には、複数の開口122及び複数の開口124が形成されている。複数の第2電極150は、詳細を後述するように、第1電極110と交差する方向(例えば直交する方向:図6におけるX方向)に互いに平行に延在している。そして、複数の第2電極150の間には、隔壁170が延在している。開口122は、平面視で第1電極110と第2電極150の交点に位置している。複数の開口122は、所定の間隔を空けて設けられている。そして、複数の開口122は、第1電極110が延在する方向(図6におけるY方向)に並んでいる。また、複数の開口122は、第2電極150の延在方向(図6におけるX方向)にも並んでいる。このため、複数の開口122はマトリクスを構成するように配置されていることになる。
開口124は、平面視で複数の第2電極150のそれぞれの一端に位置している。また開口124は、開口122が構成するマトリクスの一辺に沿って配置されている。そしてこの一辺に沿う方向(例えば図6におけるY方向)で見た場合、開口124は、第1電極110に沿う方向において、所定の間隔で配置されている。開口124からは、引出配線160の一部分が露出している。
開口122と重なる領域には、有機層140が形成されている。有機層140の正孔輸送層は第1電極110に接しており、有機層140の電子輸送層は第2電極150に接している。このようにして、有機層140は第1電極110と第2電極150の間で挟持されている。
なお、図8及び図9に示す例では、有機層140を構成する各層は、いずれも開口122の外側まではみ出している場合を示している。そして図5に示すように、有機層140を構成する各層は、隔壁170が延在する方向において、隣り合う開口122の間にも連続して形成されていてもよいし、連続して形成していなくてもよい。ただし、図10に示すように、有機層140は、開口124には形成されていない。
上記したように、有機層140は、第1電極110及び第2電極150に挟持されている。第2電極150は、図6、図8〜図10に示すように、有機層140より上に形成され、第1方向と交わる第2方向(図6におけるX方向)に延在している。第2電極150は、有機層140に電気的に接続している。例えば第2電極150は、有機層140上に形成されていても良いし、有機層140の上に形成された導電層の上に形成されていても良い。発光装置10は、互いに平行な複数の第2電極150を有している。一つの第2電極150は、複数の開口122上を通過する方向に形成されている。
第2電極150は引出配線160に接続している。図示の例では、第2電極150の端部が開口124上に位置することにより、開口124において第2電極150と引出配線160は接続している。
引出配線160は、第2電極150を端子に接続する配線である。引出配線160の一端側は開口124の下に位置しており、引出配線160の他端側は、絶縁層120の外部に引き出されている。そして本図に示す例では、引出配線160の他端側が端子となっている。引出配線160は、実施形態における導電層300の一例であり、第1層162と第2層164とを積層した構成を有している。第1層162は実施形態における第1層310に対応しており、第2層164は実施形態における第2層320に対応している。そして第1層162は第1層132と同様の材料によって形成されており、第2層164は第2層134と同様の材料によって形成されている。
そして、図7に示すように、実施形態と同様に、第1層162(第1層310)のうち絶縁層120の縁126と重なる部分には、第2層164(第2層320)が形成されていない。
隣り合う第2電極150の間には、隔壁170が形成されている。隔壁170は、第2電極150と平行すなわち第2方向に延在している。隔壁170の下地は、例えば絶縁層120である。隔壁170は、例えばポリイミド系樹脂などの感光性の樹脂であり、露光及び現像されることによって、所望のパターンに形成されている。隔壁170は、例えばネガ型の感光性樹脂を用いて形成される。なお、隔壁170はポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂、二酸化珪素等の無機材料で構成されていても良い。
隔壁170は、断面が台形の上下を逆にした形状(逆台形)になっている。すなわち隔壁170の上面の幅は、隔壁170の下面の幅よりも大きい。このため、隔壁170を第2電極150より前に形成しておくと、蒸着法やスパッタリング法を用いて、第2電極150を基板100の一面側に形成することで、複数の第2電極150を一括で形成することができる。
また、隔壁170は、有機層140を分断する機能も有している。
第2電極150より上には、封止膜210が形成されている。封止膜210は、例えば酸化アルミニウム膜であり、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて形成されている。封止膜210の膜厚は、例えば10nm以上200nm以下である。封止膜210は、図8〜図10に示すように、絶縁層120、引出配線160、及び引出配線130を覆っている。なお、封止膜210は、ALD法以外の成膜法、例えばCVD法を用いて形成されても良い。
図11は、図6のE−E断面図である。本図に示す例において、封止膜210は、段差被覆性が高い。このため、封止膜210は、絶縁層120の端面、第2層134の端面、及び第1層132のうち絶縁層120及び第2層134のいずれにも覆われていない領域も連続して被覆している。
また、第2層134は、保護層322、金属層324、及び保護層326をこの順に積層した構成を有している。保護層322及び保護層326は、金属層324よりも硬くて耐食性の高い材料、例えばMoであり、金属層324は例えばAlである。
なお、図6のG−G断面も、上記した構造と同様になっている。
次に、本実施例における発光装置10の製造方法を説明する。まず、基板100上に第1電極110、引出配線130の第1層132、及び引出配線160の第1層162を形成する。これらの形成方法は、実施形態と同様である。
次いで、基板100上、第1電極110上、及び第1層132,162上に、第2層134,第2層164となる導電層を形成し、この導電層を、ウェットエッチングなどを利用し、選択的に除去する。これにより、第2層134,164が形成される。このとき、第1層132,162のうち絶縁層120の縁126と重なる領域には、第2層134,164を残さない。
次いで、絶縁層120を形成する。絶縁層120の形成方法は、実施形態と同様である。この工程において、複数の開口122及び複数の開口124が形成される。
次いで、絶縁層120上に隔壁170を形成し、さらに有機層140及び第2電極150を形成する。これらの形成方法は、実施形態と同様である。
次いで、封止膜210を、例えばALD法を用いて形成する。その後、封止膜210上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして封止膜210を選択的にエッチング(例えばドライエッチング又はウェットエッチング)する。これにより、封止膜210のうち引出配線130の端部上に位置する部分、及び引出配線160の端部上に位置する部分は、除去される。
図12は、図6のF−F断面図である。上記したように、第2層134は、保護層322、金属層324、及び保護層326を積層した構成を有している。そして、保護層326は、金属層324よりも耐食性の高い材料によって形成されている。一例が、前述した保護層322にMoNb合金層、金属層324にAlNd合金層、保護層326にMoNb合金層の積層構造である。このMoNb合金層で形成した保護膜322、326およびAlNd合金で形成した金属層324は燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液(薬液)よりなるエッチング液で一括エッチングが可能である。しかし、薬液へのエッチング耐性の違いから、金属層324の端部はエッチングされ、金属層324の幅は保護層326の幅よりも狭くなる。このため、保護層326の端部の下方には空洞328が形成されてしまう。
第2層134が縁126の下方にも形成されている場合、空洞328は絶縁層120の下方に位置する部分まで連続して形成される。従って、空洞328を介して水分や酸素など、有機層140を劣化させる成分が有機層140に伝わる可能性が出てくる。これに対して本実施例では、第2層134は縁126と重なる部分で分断されている。従って、空洞328も縁126と重なる部分で分断されるため、有機層140を劣化させる成分が空洞328を介して有機層140に伝わることを抑制できる。
なお、図17に示すように、第2層320及び第2層134の間の領域において、縁126と重なる部分で保護層326のみを分断し、保護層322及び金属層324はつながった状態にしても良い。この場合においても、有機層140を劣化させる成分が空洞328を介して有機層140に伝わることを抑制できる。
なお、図6のH−H断面も同様である。
また、本実施例によっても、絶縁層120の縁126に浮遊部121が形成されることを抑制できる。
(実施例2)
図13は、実施例2に係る発光装置10の構成を示す平面図である。図14は、図13のI−I断面図である。本実施例に係る発光装置10は、例えば調光が可能な照明装置であり、以下の点を除いて、実施例1に係る発光装置10と同様の構成である。
まず、隣り合う隔壁170の間には、有機EL素子102が一つずつ形成されている。具体的には、隣り合う隔壁170の間において、絶縁層120の開口122は一つのみ形成されている。この一つの開口122は隔壁170と同一の方向に延在している。また、第1電極110も、隣り合う隔壁170の間に、第2電極150と同一方向に延在している。そして互いに異なる色(例えば赤色、緑色、及び青色)を発光する複数種類の有機EL素子102が、隔壁170と交わる方向に繰り返し配置されている。
そして、隔壁170が延在する方向において、隔壁170の一方の端部側に引出配線130が形成され、隔壁170の他方の端部側に引出配線160が形成されている。引出配線130及び引出配線160の構成は、実施例1と同様である。
本実施例によっても、実施例1に示した空洞328を縁126と重なる部分で分断することができるため、有機層140を劣化させる成分が空洞328を介して有機層140に伝わることを抑制できる。また、絶縁層120の縁126に浮遊部121が形成されることを抑制できる。
(実施例3)
図15は、実施例3に係る発光装置10の構成を示す平面図である。本実施例に係る発光装置10は、ダミーパターン304を備える点を除いて、実施形態、実施例1、又は実施例2に係る発光装置10と同様の構成である。本図は、実施形態と同様の場合を示している。
ダミーパターン304は、第1層310及び第2層320を積層した構成を有している。そしてダミーパターン304のうち絶縁層120の縁126と重なる部分には、第2層320が設けられていない。
本実施例によっても、絶縁層120の縁126のうち導電層300と重なる部分に浮遊部121が形成されることを抑制できる。さらに、縁126のうちダミーパターン304と重なる部分に、浮遊部121が形成されることを抑制できる。
(実施例4)
図16は、実施例4に係る発光装置10の構成を示す平面図である。本実施例に係る発光装置10は、アライメントマーク306を備える点を除いて、実施形態、実施例1、実施例2、又は実施例3に係る発光装置10と同様の構成である。本図は、実施形態と同様の場合を示している。
アライメントマーク306は、第1層310及び第2層320を積層した構成を有している。そしてアライメントマーク306のうち絶縁層120の縁126と重なる部分には、第2層320が設けられていない。アライメントマーク306は、例えば絶縁層120に開口122を形成するときの位置決めの目印として使用される。
本実施例によっても、絶縁層120の縁126のうち導電層300と重なる部分に浮遊部121が形成されることを抑制できる。さらに、縁126のうちアライメントマーク306と重なる部分に、浮遊部121が形成されることを抑制できる。
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。

Claims (6)

  1. 基板と
    開口部を有する絶縁層と、
    前記開口部の中に位置する有機EL素子と、
    前記基板と前記絶縁層の間に位置し、前記絶縁層の外周側の縁を跨いでいる導電層と、
    を備え、
    前記導電層は、第1層と、前記第1層上に形成された第2層を有しており、
    前記導電層は、前記外周側の縁と重なる部分において、前記第2層の一部を有していない発光装置。
  2. 請求項1に記載の発光装置において、
    前記導電層のうち前記絶縁層で覆われている部分の層構造は、前記導電層のうち前記絶縁層で覆われていない部分の層構造と同じである発光装置。
  3. 請求項2に記載の発光装置において、
    前記基板に形成され、前記絶縁層よりも外側に位置する端子を備え、
    前記導電層は、前記有機EL素子と前記端子とを接続する配線である発光装置。
  4. 請求項3に記載の発光装置において、
    前記第1層は透光性を有しており、
    前記第2層は、前記第1層よりも抵抗値が低い材料によって形成されている発光装置。
  5. 請求項4に記載の発光装置において、
    前記第2層は、
    金属層と、
    前記金属層の上に形成されていて前記金属層よりも硬い材料からなる保護層と、
    を有している発光装置。
  6. 請求項5に記載の発光装置において、
    前記配線のうち前記絶縁層の前記縁と重なる部分の層構造は、前記配線のうち前記絶縁層で覆われている部分の層構造とは異なる発光装置。
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