I. 定義
本明細書における目的のために、「アクセプターヒトフレームワーク」は、下に定義される、ヒト免役グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免役グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれは、アミノ酸配列変化を含有し得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの実施形態において、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列において、VLヒト免役グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の、総計の非共有性相互作用の強度を指す。別途指定されない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例示説明および例となる実施形態が、以下に記載される。
「親和性成熟」抗体は、変化を有しない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)において1つ以上の変化を有し、かかる変化が抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす、抗体を指す。
「抗CD22抗体」および「CD22に結合する抗体」という用語は、抗体が、診断剤および/または治療剤として、CD22を標的とすることにおいて有用であるように、CD22に十分な親和性で結合可能である抗体を指す。一実施形態において、無関係の非CD22タンパク質への抗CD22抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定するとき、CD22への抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態において、CD22に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、5Nm以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態において、抗CD22抗体は、異なる種由来のCD22の間で保存されるCD22のエピトープに結合する。
「抗体」という用語は、本明細書で最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を含むが、これらに限定されない、種々の抗体構造を包含する。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分を含み、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;二重特異性抗体;線状抗体(linear antibodies);1本鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、その抗原への参照抗体の結合を50%以上遮断する抗体、および逆に、競合アッセイにおいて、その抗原への抗体の結合を50%以上遮断する参照抗体を指す。例となる競合アッセイが本明細書に提供される。
「がん」および「がん性」という用語は、未制御な細胞成長/増殖によって典型的に特徴付けられる、哺乳動物における生理的状態を指すか、または説明する。がんの例としては、黒色腫、がん腫、リンパ腫(例えば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。がんのより特定の例としては、例えば、高、中、および低悪性度リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ系組織B細胞リンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、およびホジキンリンパ腫等のB細胞リンパ腫、ならびにT細胞リンパ腫を含む)、および白血病(二次性白血病、B細胞白血病(CD5+Bリンパ球)等の慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病等の骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)等のリンパ性白血病、および骨髄異形成を含む)を含む、B細胞関連がん、ならびに他の血液および/またはB細胞もしくはT細胞関連がんが挙げられる。また、好塩基球、好酸球、好中球および単球、樹状細胞等の多形核白血球、血小板、赤血球、ならびにナチュラルキラー細胞を含む追加の造血細胞のがんも含まれる。また、次のものから選択されるがん性B細胞増殖性障害も含まれる:リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性緩慢性NHL、難治性NHL、難治性緩慢性NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、およびマントル細胞リンパ腫。B細胞がんの起源には、次のように、辺縁帯におけるメモリーB細胞内の辺縁帯B細胞リンパ腫起源が含まれ、濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、胚中心の明調域における中心細胞に由来し、慢性リンパ球性白血病および小リンパ球性白血病は、B1細胞(CD5+)に由来し、マントル細胞リンパ腫は、マントル域のナイーブB細胞に由来し、バーキットリンパ腫は、胚中心の暗調域における中心芽細胞に由来する。本明細書で「造血細胞組織」と称される造血細胞を含む組織には、胸腺および骨髄、ならびに末梢リンパ系組織、例えば、脾臓、リンパ節、粘膜に関連するリンパ系組織、例えば、腸管関連リンパ系組織、扁桃、パイエル板、および虫垂、ならびに他の粘膜に関連するリンパ系組織、例えば、気管支内層が含まれる。かかるがんのさらに特定の例としては、扁平上皮細胞がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、肺の扁平上皮がん、腹膜のがん、肝細胞がん、消化器がん、膵臓がん、神経膠腫、子宮頚がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝細胞腫、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜または子宮がん腫、唾液腺がん、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、白血病および他のリンパ増殖性障害、ならびに種々の種類の頭頸部がんが挙げられる。
本明細書における「B細胞悪性腫瘍」には、低悪性度/濾胞性NHL、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、およびワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ球優位型ホジキン病(LPHD)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、再発性緩慢性NHLおよびリツキシマブ不応性緩慢性NHLを含む緩慢性NHLを含む、非ホジキンリンパ腫(NHL);急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む、白血病;バーキットリンパ腫;マントル細胞リンパ腫;ならびに他の血液系悪性腫瘍が含まれる。かかる悪性腫瘍は、CD22等のB細胞表面マーカーに対して向けられる抗体で治療されてもよい。かかる疾患は、本明細書において、CD22等のB細胞表面マーカーに対して向けられる抗体の投与によって治療されることが企図され、複合されていない(「裸の」)抗体または本明細書に開示される細胞傷害性薬剤に複合される抗体の投与を含む。かかる疾患はまた、本明細書において、本発明の抗CD22抗体または抗CD22抗体薬物複合体を、同時にまたは連続して投与される別の抗体または抗体薬物複合体、別の細胞傷害性(cytoxic)薬剤、放射線または他の治療との組み合わせを含む、併用療法によって治療されることが企図される。例となる治療法において、抗CD22免疫複合体は、抗CD79b抗体、免疫グロブリン、またはそのCD79b結合断片と組み合わせて、一緒にまたは順次に投与される。抗CD79b抗体は、裸の抗体であっても、抗体薬物複合体であってもよい。別の例となる治療法において、抗CD22免疫複合体は、抗CD20抗体、免疫グロブリン、またはそのCD20結合断片と組み合わせて、一緒にまたは順次に投与される。抗CD20抗体は、裸の抗体であっても、抗体薬物複合体であってもよい。併用療法のいくつかの実施形態において、抗CD22免疫複合体は、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)と共に投与される。
本明細書で使用される「非ホジキンリンパ腫」または「NHL」という用語は、ホジキンリンパ腫以外のリンパ系のがんを指す。ホジキンリンパ腫は一般に、ホジキンリンパ腫におけるリード−シュテルンベルク細胞の存在、および非ホジキンリンパ腫における該細胞の不在によって、非ホジキンリンパ腫から識別され得る。本明細書で使用されるこの用語によって包含される非ホジキンリンパ腫の例としては、当業者(例えば、腫瘍学者または病理学者)によって、Color Atlas of Clinical Hematology(3rd edition)、A.Victor Hoffbrand and John E.Pettit(eds.)(Harcourt Publishers Ltd.,2000)に記載されるRevised European−American Lymphoma(REAL)スキーム等の、当該技術分野で既知の分類スキームに従って、そのように特定されるであろうもののいずれも挙げられる。特に、図11.57、11.58、および11.59における一覧を参照されたい。より具体的な例としては、再発性または難治性NHL、フロントライン低悪性度NHL、第III/IV病期NHL、化学療法耐性NHL、前駆Bリンパ芽球性白血病および/またはリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病および/または前リンパ球性白血病および/または小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性リンパ腫、免疫細胞腫および/またはリンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、結節外辺縁帯−MALTリンパ腫、結節性辺縁帯リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞腫および/または形質細胞骨髄腫、低悪性度/濾胞性リンパ腫、中悪性度/濾胞性NHL、マントル細胞リンパ腫、濾胞中心リンパ腫(濾胞性)、中悪性度びまん性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、侵攻性NHL(侵攻性フロントラインNHLおよび侵攻性再発性NHLを含む)、自家幹細胞移植後に再発するまたはそれに対して不応性のNHL、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変NHL、バーキットリンパ腫、前駆体(末梢)大顆粒リンパ球性白血病、菌状息肉腫および/またはセザリー症候群、皮膚(skin)(皮膚(cutaneous))リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、血管中心性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の源または種に由来する一方で、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なる源または種に由来する、抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメインまたは定常領域の型を指す。5つの主要な抗体クラスIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちの数個は、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分割され得る。免役グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。
本明細書で使用される「細胞傷害性薬剤」という用語は、細胞機能を阻害するもしくは阻止する、および/または細胞死もしくは破壊を引き起こす、物質を指す。細胞傷害性薬剤には、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、およびLuの放射性同位体);化学療法剤もしくは化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、または他のインターカレート剤);成長阻害剤;核酸分解酵素等の酵素およびそれらの断片;抗生物質;細菌、真菌、植物、または動物起源の小分子毒素または酵素活性毒素(それらの断片および/または変異形を含む)等の毒素;ならびに下に記載される種々の抗腫瘍または抗がん薬剤が含まれるが、これらに限定されない。
「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパおよびシクロスホスファミド(CYTOXAN(登録商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファン、およびピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン(bullatacinone));デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトセシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)、および9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドレゼシン、カルゼルシン(carzelesin)、およびビセレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチン(sarcodictyin);スポンギスタチン(spongistatin);クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等の窒素マスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン等のニトロソ尿素類;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンωI1(例えば、Agnew,Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186 (1994)を参照されたい);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;エスペラマイシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連する色素タンパクエンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等の、抗生物質;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)等の代謝拮抗物質;デノプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎剤(anti−adrenal);葉酸等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド(aldophosphamide)グリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン(diaziquone);エルフオルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン(epothilone);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシン(maytansine)およびアンサミトシン(ansamitocin)等のメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);2−エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecene)(特に、T−2トキシン、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)、およびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISIN(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標);Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANE(商標) クレモホールを含有しない、アルブミン操作されたパクリタキセルのナノ粒子製剤 (American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、およびドセタキセル (TAXOTERE(登録商標);Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル(chloranbucil);ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンおよびカルボプラチン等の白金類似体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸のレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびにCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの併用療法の略語);CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの併用療法の略語);およびFOLFOX(5−FUおよびロイコボビンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATINTM(商標))を用いた治療レジメンの略語)等の上記の2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
「エフェクター機能」は、抗体アイソタイプにより様々である、抗体のFc領域に起因し得る生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合および補体依存性細胞傷害作用(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;ならびにB細胞活性化が挙げられる。
薬剤、例えば、医薬製剤の「有効量」は、必要な複数回投薬量で一定期間にわたる、所望の治療的または予防的結果を達成するために有効な量を指す。
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原分子上の特定の部位を指す。
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含有する、免役グロブリン重鎖のC末端領域を定義するように使用される。この用語は、天然配列Fc領域および変異形Fc領域を含む。一実施形態において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在することもあれば、しないこともある。本明細書で別途明記されない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の付番は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれる、EU付番方式に従う。
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメインFR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。したがって、HVRおよびFR配列は、一般に、VH(またはVL)において次の配列で現れる:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、および「全抗体」という用語は、本明細書で、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有する、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する、抗体を指すように交換可能に使用される。
「CD22のグリコシル化型」という用語は、炭水化物残基の付加によって翻訳後修飾されている、CD22の自然発生型を指す。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は、交換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、かかる細胞の子孫を含む。宿主細胞には、初代形質転換細胞および継代の数に関わらずそれに由来する子孫を含む、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれる。子孫は、核酸含量において親細胞と完全に同一でない場合があるが、突然変異を含有し得る。元々形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物活性を有する突然変異体子孫が、本明細書に含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された、またはヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する、抗体のアミノ酸配列、または他のヒト抗体コード配列に対応する、アミノ酸配列を保有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免役グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を代表する、フレームワークである。一般に、ヒト免役グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位集団から行われる。一般に、配列の下位集団は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD(1991),vols.1−3の下位集団である。一実施形態において、VLについて、下位集団は、上記のKabatらの下位集団カッパIである。一実施形態において、VHについて、下位集団は、上記のKabatらの下位集団IIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基およびヒトFRからのアミノ酸残基を含む、キメラ抗体を指す。ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むことになり、そのHVR(例えば、CDR)のすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト抗体に対応し、そのFRのすべてまたは実質的にすべてが、ヒト抗体のそれらに対応する。ヒト化抗体は任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。抗体、例えば非ヒト抗体の、「ヒト化型」は、ヒト化を経た抗体を指す。
本明細書で使用される「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が高度に変化する、かつ/または構造的に規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、天然4本鎖抗体は、6つのHVRを含み、このうち3つがVH(H1、H2、H3)にあり、3つがVL(L1、L2、L3)にある。HVRは一般に、超可変ループからのおよび/または「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含み、このうち後者が、配列可変性が最も高く、および/または抗原認識に関与する。例となる超可変ループは、アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、および96〜101(H3)において生じる。(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。例となるCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3)は、アミノ酸残基L1の24〜34、L2の50〜56、L3の89〜97、H1の31〜35B、H2の50〜65、およびH3の95〜102において生じる。(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)。)VHにおけるCDR1を除いて、CDRは一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原に接触する残基である、「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮型(abbreviated)CDR、またはa−CDRと呼ばれるCDRの領域内に含有される。例となるa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、およびa−CDR−H3)は、アミノ酸残基L1の31〜34、L2の50〜55、L3の89〜96、H1の31〜35B、H2の50〜58、およびH3の95〜102において生じる。(Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照されたい)。別途指定されない限り、可変ドメインにおけるHVR残基および他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において上記のKabatらに従って付番される。
「免疫複合体」は、細胞傷害性薬剤を含むが、これらに限定されない1個以上の異種性分子(複数可)に複合される抗体である。
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサル等の非ヒト霊長類)、ウサギ、および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、個体または対象は、ヒトである。
「単離抗体」は、その天然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、例えば、電気泳動法(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフ法(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定するとき、95%超または99%超の純度まで精製される。抗体の純度の評価のための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B848:79−87(2007)を参照されたい。
「単離核酸」は、その天然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離核酸には、核酸分子を通常含有する細胞内に含有される核酸分子が含まれるが、その核酸分子は、染色体外に、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に、存在する。
「抗CD22抗体をコードする単離核酸」は、抗体重鎖および軽鎖(またはそれらの断片)をコードする1個以上の核酸分子を指し、それには単一のベクターまたは別個のベクターにおけるかかる核酸分子(複数可)が含まれ、かかる核酸分子(複数可)は、宿主細胞内の1つ以上の場所に存在する。
本明細書で使用される「CD22」は、別途指定されない限り、霊長類(例えば、ヒトおよびカニクイザル(cyno))および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然CD22を指す。この用語は、「完全長」未処理のCD22、ならびに細胞内の処理から生じるCD22の任意の形態を包含する。この用語はまた、CD22の自然発生変異形、例えば、スプライス変異形、対立遺伝子変異形、およびアイソフォームを包含する。CD22(CD22ベータ)の主要なアイソフォームは、847個のアミノ酸および細胞外ドメイン中の7個の免役グロブリン様領域を含む(Wilson,G.L.et al.,J.Exp.Med.173:137−146(1991)を参照されたい)。主要なアイソフォームであるCD22アルファは、647個のアミノ酸を含み、細胞外ドメイン中の免役グロブリン様ドメイン3および4を欠く(前掲のStamenkovic,I.and Seed,B.,Nature 345:74−77(1990))and Wilson et al.(1991)を参照されたい)。例となるヒトCD22ベータ前駆体(シグナル配列を含む)のアミノ酸配列は、配列番号28に示される。例となるヒト成熟CD22ベータ(シグナル配列を含まない)のアミノ酸配列は、配列番号29に示される。例となるヒトCD22アルファ前駆体(シグナル配列を含む)のアミノ酸配列は、配列番号30に示される。例となるヒト成熟CD22アルファ(シグナル配列を含まない)のアミノ酸配列は、配列番号31に示される。
「CD22陽性がん」という用語は、細胞の表面上でCD22を発現する細胞を含むがんを指す。
「CD22陽性細胞」という用語は、その表面上でCD22を発現する細胞を指す。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合するが、例えば、自然発生突然変異を含有する、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に発生する、可能性のある変異形抗体は例外であり、かかる変異形は一般に少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含む、ポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対する。故に、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示しており、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されないものとする。例えば、本発明による使用対象のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免役グロブリン遺伝子座のすべてまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない、多様な技法によって作製されてもよく、モノクローナル抗体を作製するためのかかる方法および他の例となる方法が、本明細書に記載されている。
「裸の抗体」は、異種性部分(例えば、細胞傷害性部分)または放射標識に複合されていない抗体を指す。裸の抗体は、医薬製剤中に存在してもよい。
「天然抗体」は、様々な構造を有する、自然発生免役グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメイン(可変重ドメイン)または重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメイン(可変軽ドメイン)または軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて定常軽(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの型うちの1つが割り当てられ得る。
「添付文書」という用語は、かかる治療薬の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症についての情報、および/またはその使用に関する警告を含有する、治療薬の商用のパッケージに通例含まれる指示書を指すように使用される。
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列をアライメントし、配列同一性最大パーセントを得るのに必要な場合はギャップを導入した後に、配列同一性の部分としていかなる保存的置換も考慮に入れずに、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野における技術の範囲内である種々の方式で、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の、公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者は、比較されている配列の完全長にわたる最大のアライメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアライメントするために適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述され、ソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権庁(U.S.Copyright Office),Washington D.C.,20559に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に利用可能であるか、またはソースコードから編集されてもよい。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムで使用する場合は編集すべきである。すべての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され、変更はない。
アミノ酸配列比較のためにALIGN−2が用いられる場合、所与のアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比した、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(代替的に、所与のアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比したある特定のアミノ酸配列同一性%を有する、またはそれを含む、所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、次のように算出される:
100×分数X/Y
(式中、Xは、配列アライメントプログラムALIGN−2によって、そのプログラムのAおよびBのアライメントにおいて完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくはならないことが理解されよう。特に別途定めのない限り、本明細書で使用されるすべてのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるように、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用して得られる。
「医薬製剤」という用語は、調製物の中に含有される活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、製剤が投与されるであろう対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を何ら含有しない、調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、「治療」(および「治療する」または「治療すること」等のその文法上の変形形態)は、治療されている個体の自然過程を変えることを目的とした臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理過程の間に行うことができる。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の予防、疾患進行速度の低減、病状の回復または一次緩和、および寛解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の免疫複合体は、疾患の発症を遅延するために、または疾患の進行を緩徐にするために使用される。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体を抗原に結合することに関与する、抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VHおよびVL)は一般に、同様の構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい)。抗原結合特異性を付与するためには、単一のVHまたはVLドメインで十分であり得る。さらに、抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使用して、それぞれ、相補的VLまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングして、特定の抗原に結合する抗体を単離してもよい。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880−887(1993)、Clarkson et al.,Nature352:624−628(1991)を参照されたい。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、連結している別の核酸を増殖することが可能な核酸分子を指す。この用語には、自己複製核酸構造としてのベクター、ならびに導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。ある特定のベクターは、作動的に連結された核酸の発現を導くことが可能である。かかるベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称される。
「アルキル」は、直鎖(normal)、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する、C1〜C18炭化水素である。例としては、メチル(Me、−CH3)、エチル(Et、−CH2CH3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH2CH2CH3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH2CH2CH2CH3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH3)3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH2CH3)、3−ペンチル(−CH(CH2CH3)2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH2CH3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH3)CH(CH3)2)、3−メチル−1−ブチル(−CH2CH2CH(CH3)2)、2−メチル−1−ブチル(−CH2CH(CH3)CH2CH3)、1−ヘキシル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ヘキシル(−CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3−ヘキシル(−CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3)、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH3)2CH2CH2CH3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH3)(CH2CH3)2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH3)C(CH3)3がある。
本明細書で使用される「C1〜C8アルキル」という用語は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭化水素を指す。代表的な「C1〜C8アルキル」基には、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル、−n−ヘキシル、−n−ヘプチル、−n−オクチル、−n−ノニルおよび−n−デシルが含まれるが、これらに限定されない一方で、分岐鎖C1〜C8アルキルには、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、2−メチルブチルが含まれるが、これらに限定されず、不飽和C1〜C8アルキルには、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、−イソブチレニル、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、−2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、−アセチレニル、−プロピニル、−1−ブチニル、−2−ブチニル、−1−ペンチニル、−2−ペンチニル、−3−メチル−1ブチニルが含まれるが、これらに限定されない。C1〜C8アルキル基は、置換されていないか、または−C1〜C8アルキル、−O−(C1〜C8アルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH2、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)2−NHC(O)R’、−SO3R’、−S(O)2R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N3、−NH2、−NH(R’)、−N(R’)2、および−CNを含むが、これらに限定されない1個以上の基で置換されている可能性があり、式中、各R’は、独立して、H、−C1〜C8アルキル、およびアリールから選択される。
本明細書で使用される「C1〜C6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭化水素を指す。代表的な「C1〜C6アルキル」基には、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル、および−n−ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない一方で、分岐鎖C1〜C6アルキルには、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、および2−メチルブチルが含まれるが、これらに限定されず、不飽和C1〜C6アルキルには、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、および−イソブチレニル、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、−2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、および3−ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。C1〜C6アルキル基は、置換されていないか、またはC1〜C8アルキル基について上述される、1個以上の基で置換されている可能性がある。
本明細書で使用される「C1〜C4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭化水素を指す。代表的な「C1〜C4アルキル」基には、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチルが含まれるが、これらに限定されない一方で、分岐鎖C1〜C4アルキルには、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチルが含まれるが、これらに限定されず、不飽和C1〜C4アルキルには、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、および−イソブチレニルが含まれるが、これらに限定されない。C1〜C4アルキル基は、置換されていないか、またはC1〜C8アルキル基について上述される、1個以上の基で置換されている可能性がある。
「アルコキシ」は、酸素に単結合されたアルキル基である。例となるアルコキシ基には、メトキシ(−OCH3)およびエトキシ(−OCH2CH3)が含まれるが、これらに限定されない。「C1〜C5アルコキシ」は、1〜5個の炭素原子を有するアルコキシ基である。アルコキシ基は、置換されていないか、またはアルキル基について上述される、1個以上の基で置換されている可能性があり得る。
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素、sp2二重結合を有する直鎖、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する、C2〜C18炭化水素である。例としては、エチレンまたはビニル(−CH=CH2)、アリル(−CH2CH=CH2)、シクロペンテニル(−C5H7)、および5−ヘキセニル(−CH2CH2CH2CH2CH=CH2)が挙げられるが、これらに限定されない。「C2〜C8アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素、sp2二重結合を有する2〜8個の直鎖、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する、炭化水素である。
「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素、sp三重結合を有する直鎖、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する、C2〜C18炭化水素である。例としては、アセチレン系(−C≡CH)およびプロパルギル(−CH2C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。「C2〜C8アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素、sp三重結合を有する2〜8個の直鎖、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する、炭化水素である。
「アルキレン」は、1〜18個の炭素原子からなり、親アルカンの同じまたは2個の異なる炭素原子からの2個の水素原子の除去によってもたらされる2つの一価ラジカル中心を有する、飽和の分岐鎖または直鎖または環状炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルキレンラジカルには、メチレン(−CH2−)1,2−エチル(−CH2CH2−)、1,3−プロピル(−CH2CH2CH2−)、1,4−ブチル(−CH2CH2CH2CH2−)等が含まれるが、これらに限定されない。
「C1〜C10アルキレン」は、式−(CH2)1−10−の直鎖、飽和炭化水素基である。C1〜C10アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン(ocytylene)、ノニレン、およびデカレンが挙げられる。
「アルケニレン」は、2〜18個の炭素原子からなり、親アルケンの同じまたは2個の異なる炭素原子からの2個の水素原子の除去によってもたらされる2つの一価ラジカル中心を有する、不飽和の分岐鎖または直鎖または環状炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルケニレンラジカルには、1,2−エチレン(−CH=CH−)が含まれるが、これらに限定されない。
「アルキニレン」は、2〜18個の炭素原子からなり、親アルキンの同じまたは2個の異なる炭素原子からの2個の水素原子の除去によってもたらされる2つの一価ラジカル中心を有する、不飽和の分岐鎖または直鎖または環状炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルキニレンラジカルには、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CH2C≡C−)、および4−ペンチニル(−CH2CH2CH2C≡C−)が含まれるが、これらに限定されない。
「アリール」は、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。炭素環式芳香族基または複素環式芳香族基は、置換されていないか、または−C1〜C8アルキル、−O−(C1〜C8アルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH2、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)2−NHC(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N3、−NH2、−NH(R’)、−N(R’)2、および−CNを含むが、これらに限定されない1個以上の基で置換されている可能性があり、式中、各R’は、独立して、H、−C1〜C8アルキル、およびアリールから選択される。
「C5〜C20アリール」は、炭素環式芳香族環内に5〜20個の炭素原子を有する、アリール基である。C5〜C20アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。C5〜C20アリール基は、アリール基について上述されるように、置換されているか、または置換されていない可能性がある。「C5〜C14アリール」は、炭素環式芳香族環内に5〜14個の炭素原子を有するアリール基である。C5〜C14アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。C5〜C14アリール基は、アリール基について上述されるように、置換されているか、または置換されていない可能性がある。
「アリーレン」は、2つの共有結合を有するアリール基であり、次の構造、
に示されるオルト、メタ、またはパラ配置にあり得、そのフェニル基は、置換されていないか、または−C
1〜C
8アルキル、−O−(C
1〜C
8アルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH
2、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)
2−NHC(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N
3、−NH
2、−NH(R’)、−N(R’)
2、および−CNを含むが、これらに限定されない最大4個の基で置換されている可能性があり、式中、各R’は、独立して、H、−C
1〜C
8アルキル、およびアリールから選択される。
「アリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合した水素原子のうちの1個が、アリールラジカルと置き換えられている、非環状アルキルラジカルを指す。典型的なアリールアルキル基には、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イル等が含まれるが、これらに限定されない。アリールアルキル基は、6〜20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、またはアルキニル基を含む、アルキル部分は、1〜6個の炭素原子であり、アリール部分は、5〜14個の炭素原子である。
「ヘテロアリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合した水素原子のうちの1個が、ヘテロアリールラジカルと置き換えられている、非環状アルキルラジカルを指す。典型的なヘテロアリールアルキル基には、2−ベンズイミダゾリルメチル、2−フリルエチル等が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリールアルキル基は、6〜20個の炭素原子を含み、例えば、ヘテロアリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、またはアルキニル基を含む、アルキル部分は、1〜6個の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は、5〜14個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子である。ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分は、3〜7個の環員を有する単環(2〜6個の炭素原子、または7〜10環員を有する二環(4〜9個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子)、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]系であり得る。
「置換アルキル」、「置換アリール」、および「置換アリールアルキル」は、1個以上の水素原子が各々独立して置換基と置き換えられている、それぞれ、アルキル、アリール、およびアリールアルキルを意味する。典型的な置換基には、−X、−R、−O−、−OR、−SR、−S−、−NR2、−NR3、=NR、−CX3、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO2、=N2、−N3、NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NR2、−SO3 −、−SO3H、−S(=O)2R、−OS(=O)2OR、−S(=O)2NR、−S(=O)R、−OP(=O)(OR)2、−P(=O)(OR)2、−PO− 3、PO3H2、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(=S)R、−CO2R、−CO2 −、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=O)NR2、−C(=S)NR2、−C(=NR)NR2が含まれるが、これらに限定されず、式中、各Xは、独立して、ハロゲン、すなわちF、Cl、Br、またはIであり、各Rは、独立して、−H、C2〜C18アルキル、C6〜C20アリール、C3〜C14複素環、保護基、またはプロドラッグ部分である。上述のアルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基もまた、同様に置換され得る。
「ヘテロアリール」および「複素環」は、1個以上の環原子がヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、および硫黄である、環系を指す。複素環ラジカルは、3〜20個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む。複素環は、3〜7個の環員を有する単環(2〜6個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子)、または7〜10環員を有する二環(4〜9個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子)、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]系であり得る。
例となる複素環は、例えば、Paquette,Leo A.,“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)の特に第1、3、4、6、7、および9章、“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950〜現在)の特に第13、14、16、19、および28巻、ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載される。
複素環の例としては、限定ではなく例として、ピリジル、ジヒドロイピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化型テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス−テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル(azocinyl)、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシンドリル、ベンゾキサゾリニル、およびイサチノイル(isatinoyl)が挙げられる。
限定ではなく例として、炭素が結合する複素環は、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール、もしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位、オキサゾール、イミダゾール、もしくはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位において結合される。さらにより典型的に、炭素が結合した複素環には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、または5−チアゾリルが含まれる。
限定ではなく例として、窒素が結合した複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリニン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、インダゾールの1位、イソインドール、またはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位において結合される。さらにより典型的に、窒素が結合した複素環には、1−アジリジル、1−アゼテジル(azetedyl)、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、および1−ピペリジニルが含まれる。
「C3〜C8複素環」は、環炭素原子のうちの1〜4個が独立して、O、S、およびNからなる群からのヘテロ原子と置き換えられている、芳香族または非芳香族C3〜C8炭素環を指す。C3〜C8複素環の代表的な例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェン、インドリル、ベンゾピラゾリル、クマリニル、イソキノリニル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、キノリニル、ピリミジニル、ピリジニル、ピリドニル、ピラジニル、ピリダジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、およびテトラゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。C3〜C8複素環は、置換されていないか、または−C1〜C8アルキル、−O−(C1〜C8アルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH2、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)2−NHC(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N3、−NH2、−NH(R’)、−N(R’)2、および−CNを含むが、これらに限定されない最大7個の基で置換されている可能性があり、式中、各R’は、独立して、H、−C1〜C8アルキル、およびアリールから選択される。
「C3〜C8ヘテロシクロ」は、複素環基の水素原子のうちの1個が結合と置き換えられている、上に定義されるC3〜C8複素環基を指す。C3〜C8ヘテロシクロは、置換されていないか、または−C1〜C8アルキル、−O−(C1〜C8アルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH2、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)2−NHC(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N3、−NH2、−NH(R’)、−N(R’)2、および−CNを含むが、これらに限定されない最大6個の基で置換されている可能性があり、式中、各R’は、独立して、H、−C1〜C8アルキル、およびアリールから選択される。
「炭素環」は、単環として3〜7個の炭素原子、または二環として7〜12個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の環を意味する。単環式炭素環は、3〜6個の環原子、さらにより典型的には5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、もしくは[6,6]系として配置される、7〜12個の環原子、またはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配置される、9もしくは10個の環原子を有する。単環式炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
「C3〜C8炭素環」は、3、4、5、6、7、または8員の飽和または不飽和の非芳香族炭素環式環である。代表的なC3〜C8炭素環には、−シクロプロピル、−シクロブチル、−シクロペンチル、−シクロペンタジエニル、−シクロヘキシル、−シクロヘキセニル、−1,3−シクロヘキサジエニル、−1,4−シクロヘキサジエニル、−シクロヘプチル、−1,3−シクロヘプタジエニル、−1,3,5−シクロヘプタトリエニル、−シクロオクチル、および−シクロオクタジエニルが含まれるが、これらに限定されない。C3〜C8炭素環基は、置換されていないか、または−C1〜C8アルキル、−O−(C1〜C8アルキル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH2、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)2−NHC(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)R’、−OH、−ハロゲン、−N3、−NH2、−NH(R’)、−N(R’)2、および−CNを含むが、これらに限定されない1個以上の基で置換されている可能性があり、式中、各R’は、独立して、H、−C1〜C8アルキル、およびアリールから選択される。
「C3〜C8カルボシクロ」は、炭素環基の水素原子のうちの1個が結合と置き換えられている、上に定義されるC3〜C8炭素環基を指す。
「リンカー」は、共有結合、または抗体を薬物部分に共有結合する原子の鎖を含む、化学部分を指す。種々の実施形態において、リンカーには、アルキルジイル、アリールジイル、ヘテロアリールジイル等の二価ラジカル、−(CR2)nO(CR2)n−等の部分、アルキルオキシ(例えば、ポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)およびアルキルアミノ(例えば、ポリエチレンアミノ、Jeffamine(商標))の反復単位、ならびにコハク酸塩、コハク酸アミド、ジグリコール酸塩、マロン酸塩、およびカプロアミドを含む二酸エステルおよびアミドが含まれる。種々の実施形態において、リンカーは、バリン、フェニルアラニン、リジン、およびホモリジン等の1個以上のアミノ酸残基を含むことができる。
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ね合せできない(non−superimposability)特性を有する分子を指し、一方で「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーと重ね合せできる(superimposability)分子を指す。
「立体異性体」という用語は、同一の化学構成を有するが、空間内の原子または基の配置に関して異なる、化合物を指す。
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラル性の中心を有し、それらの分子が互いの鏡像でない、立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動法およびクロマトグラフィー等の高解像度分析手順の下で分離されてもよい。
「鏡像異性体」は、互いに重ね合せできない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。
本明細書で使用される立体化学的な定義および慣例は、一般に、S.P.Parker,Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York、およびEliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物は、光学活性型で存在し、すなわち、それらは、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を説明する際、接頭辞DおよびL、またはRおよびSは、そのキラル中心(複数可)の周りの分子の絶対配置を表すように使用される。接頭辞dおよびlまたは(+)および(−)は、化合物による平面偏光の回転の徴候を表記するために用いられ、このうち(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞を有する化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体はまた、鏡像異性体とも称され得、かかる異性体の混合物は、しばしば鏡像異性体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と称され、それらは化学反応またはプロセスにおいて立体選択または立体特異性が存在していない場合に生じ得る。「ラセミ混合物」および「ラセミ体」という用語は、光学活性を欠く2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
「脱離基」は、別の官能基によって置換され得る官能基を指す。ある特定の脱離基は、当該技術分野で周知であり、例としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、メタンスルホニル(メシル)、p−トルエンスルホニル(トシル)、トリフルオロメチルスルホニル(トリフル酸塩)、およびトリフルオロメチルスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
「保護基」という用語は、特定の官能性を、化合物上の他の官能基を反応させながら、ブロッキングするまたは保護するために一般的に用いられる置換基を指す。例えば、「アミノ保護基」は、化合物中のアミノ官能性をブロッキングするまたは保護する、アミノ基に結合した置換基である。好適なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(fluorenylmethylenoxycarbonyl)(Fmoc)が含まれるが、これらに限定されない。保護基の一般的な説明およびそれらの使用については、 T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991、またはより新しい版を参照されたい。
II. 組成物および方法
一態様において、本発明は、部分的に、CD22に結合する抗体およびかかる抗体を含む免疫複合体に基づく。本発明の抗体および免疫複合体は、例えば、CD22陽性がんの診断または治療に有用である。
A. 例となる抗CD22抗体
いくつかの実施形態において、CD22に結合する単離抗体が提供される。CD22は、分化の成熟期で、B細胞表面上で発現される135−kDaのB細胞制限シアロ糖タンパク質である。CD22は、非ホジキンリンパ腫等の種々のリンパ腫を含む、種々のB細胞関連障害およびがんにおいて発現される。
シグナル配列(アミノ酸1〜19)を含む、例となる自然発生ヒトCD22前駆体配列は、配列番号28に提供され、対応する成熟CD22配列は、配列番号29(配列番号28のアミノ酸20〜847に対応する)に示される。シグナル配列(アミノ酸1〜19)を含む、さらなる例となる自然発生ヒトCD22前駆体配列は、配列番号30に提供され、対応する成熟CD22配列は、配列番号31(配列番号30のアミノ酸20〜670に対応する)に示される。
ある特定の実施形態において、抗CD22抗体は、配列番号28のアミノ酸20〜240内のエピトープに結合する。非限定的な例となるかかる抗体には、10F4およびそのヒト化バージョンが含まれる。いくつかの実施形態において、抗CD22抗体は、ヒトCD22に結合する。いくつかの実施形態において、抗CD22抗体は、ヒトCD22およびカニクイザルCD22に結合する。
いくつかの実施形態において、抗CD22抗体は、ヒトCD22に、10nM以下、または5nM以下、または4nM以下、または3nM以下、または2nM以下、かつ任意に0.0001nM以上、または0.001nM以上、または0.01nM以上の親和性で結合する。非限定的な例となるかかる抗体には、mu10F4、hu10F4v1、およびhu10F4v3、それらは、それぞれ2.4nM、1.1〜1.7nM、および1.6nMの親和性でヒトCD22に結合する。例えば、米国第2008/0050310号を参照されたい。
アッセイ
抗CD22抗体が「配列番号28のアミノ酸20〜240内のエピトープに結合する」かどうかを決定するために、N末端およびC末端欠失を伴うCD22ポリペプチドをCHO細胞内で発現させ、切頭型ポリペプチドへの抗体の結合を前述のようにFACSによって試験する。例えば、米国第2008/0050310号を参照されたい。CHO細胞内で発現される完全長CD22への結合と比べた、切頭型ポリペプチドへの抗体の結合の実質的な低減(70%以上の低減)または排除は、抗体がその切頭型ポリペプチドに結合しないことを示す。
抗CD22抗体が、10nM以下、または5nM以下、または4nM以下、または3nM以下、または2nM以下「の親和性で結合する」かどうかは、表面上でCD22を発現するCHO細胞を使用して、段階希釈された未標識抗CD22抗体を使用する競合アッセイにおいて、決定される。例えば、米国第2008/0050310号を参照されたい。抗体の結合親和性、KDは、非線形曲線当てはめプログラムを利用して行われる標準のスキャッチャード解析に従って決定されてもよい(例えば、Munson et al.,Anal Biochem,107:220−239,1980を参照されたい)。
抗体10F4および他の実施形態
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号12および15〜22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、ならびに(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む、抗CD22抗体または免疫複合体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、ならびに(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む、抗CD22抗体または免疫複合体を提供する。
一態様において、本発明は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、および(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体または免疫複合体を提供する。一実施形態において、本抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。別の実施形態において、本抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3および配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。さらなる実施形態において、本抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3、および配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。さらなる実施形態において、本抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、および(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
別の態様において、本発明は、(a)配列番号12および15〜22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体または免疫複合体を提供する。別の態様において、本発明は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、および(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体または免疫複合体を提供する。一実施形態において、本抗体は、(a)配列番号12および15〜22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。一実施形態において、本抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、および(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
別の態様において、本発明の抗体または免疫複合体は、(a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、および(iii)配列番号11から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべての3つのVH HVR配列を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号12および15〜22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、および(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべての3つのVL HVR配列を含むVLドメインと、を含む。別の態様において、本発明の抗体または免疫複合体は、(a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、および(iii)配列番号11から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべての3つのVH HVR配列を含むVHドメインならびに、(b)(i)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、および(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべての3つのVL HVR配列を含むVLドメインと、を含む。
別の態様において、本発明は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号12および15〜22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、ならびに(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、抗体または免疫複合体を提供する。別の態様において、本発明は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、および(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、抗体または免疫複合体を提供する。
上の実施形態のいずれにおいても、抗CD22抗体は、ヒト化されている。一実施形態において、抗CD22抗体は、上の実施形態のいずれかのHVRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免役グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。ある特定の実施形態において、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトVLカッパIVコンセンサス(VLKI)フレームワークおよび/またはVHフレームワークVHIIIである。いくつかの実施形態において、ヒト化抗CD22抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号12および15〜22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、ならびに(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗CD22抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、および(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
別の態様において、抗CD22抗体は、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある特定の実施形態において、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、VH配列は、参照配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗CD22抗体は、CD22に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態において、総計1〜10個のアミノ酸が、配列番号7において置換され、挿入され、および/または欠失されている。ある特定の実施形態において、総計1〜5個のアミノ酸が、配列番号7において置換され、挿入され、および/または欠失されている。ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRにおいて)生じる。
任意に、抗CD22抗体は、配列番号5または配列番号7のVH配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて、含む。特定の実施形態において、VHは、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、および(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
いくつかの実施形態において、抗CD22抗体が提供され、この抗体は、この抗体は、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある特定の実施形態において、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗CD22抗体は、CD22に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態において、総計1〜10個のアミノ酸が、配列番号8において置換され、挿入され、および/または欠失されている。ある特定の実施形態において、総計1〜5個のアミノ酸が、配列番号8において置換され、挿入され、および/または欠失されている。ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRにおいて)生じる。任意に、抗CD22抗体は、配列番号6または配列番号8のVL配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて、含む。特定の実施形態において、VLは、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、および(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、VLは、(a)配列番号12および15〜22から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2、ならびに(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、1つ、2つまたは3つのHVRを含む。
別の態様において、抗CD22抗体が提供され、この抗体は、上に提供される実施形態のいずれかのVH、および上に提供される実施形態のいずれかのVLを含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、それぞれ配列番号7および配列番号8におけるVHおよびVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて、含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、それぞれ配列番号5および配列番号6におけるVHおよびVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて、含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、それぞれ配列番号24および配列番号23における重鎖および軽鎖配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて、含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、それぞれ配列番号26および配列番号23における重鎖および軽鎖配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて、含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、それぞれ配列番号25および配列番号23における重鎖および軽鎖配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて、含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、それぞれ配列番号27および配列番号23における重鎖および軽鎖配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて、含む。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に提供される抗CD22抗体と同じエピトープに結合する、抗体または免疫複合体を提供する。例えば、ある特定の実施形態において、配列番号7のVH配列および配列番号8のVL配列を含む抗CD22抗体と同じエピトープに結合する、抗体または免疫複合体が提供される。ある特定の実施形態において、アミノ酸20〜240からの、その内の、またはそれらと重複する、配列番号28のエピトープに結合する、抗体が提供される。
本発明のさらなる態様において、上の実施形態のいずれかによる抗CD22抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一実施形態において、抗CD22抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2断片である。別の実施形態において、本抗体は、実質的に完全長の抗体、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体または他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
上述の免疫複合体のうちのいずれにおいても、本抗体は、薬物部分に複合され得る。いくつかの実施形態において、本抗体は、細胞傷害性薬剤に複合される。いくつかのかかる実施形態において、細胞傷害性薬剤は、PNU−159682等のネモルビシン誘導体である。種々の非限定的な例となるネモルビシン誘導体が、本明細書で考察される。
さらなる態様において、上の実施形態のいずれかによる抗CD22抗体または免疫複合体は、下の第1〜7節に記載される特長のうちのいずれをも、単独でまたは組み合わせて、組み込んでもよい。
1. 抗体親和性
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下の、および任意に、10−13M以上である、解離定数(Kd)を有する。(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)。
一実施形態において、Kdは、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原と共に行われる、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって、次のアッセイによって記載されるように測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、Fabを、未標識抗原の一連の滴定の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原と平衡化し、次いで抗Fab抗体コーティングプレートと結合した抗原を捕捉することによって、測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mLの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、2%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSにより、室温(およそ23℃)で2〜5時間ブロッキングする。非吸着性のプレート(Nunc番号269620)中で、100pMまたは26pM[125I]−抗原を、目的のFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593−4599(1997)における、抗VEGF抗体Fab−12の評価と一致)。目的のFabを次いで一晩インキュベートするが、インキュベーションは、平衡に到達することを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物を、室温での(例えば、1時間にわたる)インキュベーションのために、捕捉プレートに移す。溶液を次いで除去し、プレートを、PBS中0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したとき、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT−20(商標);Packard)を添加し、プレートをTOPCOUNT(商標)γ計数器(Packard)により10分間計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおいて使用するために選定する。
別の実施形態によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)−2000またはBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用した表面プラスモン共鳴アッセイを使用して、25℃で、約10応答単位(RU)で固定化された抗原CM5チップを用いて測定される。簡潔に述べると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)により、供給業者の指示に従って活性化する。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)まで希釈した後、5μL/分の流速で注射して、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答単位(RU)を達成する。抗原の注射後、1Mのエタノールアミンを注射して、未反応の基をブロッキングする。動態測定のために、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM〜500nM)を、0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤を含むPBS(PBST)中、25℃で、およそ25μL/分の流速で注射する。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、単純な1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software第3.2版)を使用して、会合センサグラムおよび解離センサグラムを同時に適合することによって、算出する。平衡解離定数(Kd)は、比率koff/konとして算出する。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい。オン速度が、上の表面プラスモン共鳴アッセイによって、106M−1s−1を超える場合、オン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップトフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)または8000−シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃で、PBS(pH7.2)中20nM抗−抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する、蛍光消光技法を使用することによって、決定することができる。
2. 抗体断片
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片には、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、およびscFv断片、ならびに下に記載される他の断片が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)に記載される。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer−Verlag,New York),pp.269−315(1994)を参照されたく、また、国際公開第93/16185号、ならびに米国特許第5,571,894号および同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加した体内半減期を有する、FabおよびF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
ダイアボディは、二価性または二重特異性であり得る、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)、およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448(1993)を参照されたい。トリアボディ(Triabodies)およびテトラボディ(tetrabodies)もまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)に記載される。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分を含む、抗体断片である。ある特定の実施形態において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA、例えば、米国特許第6,248,516 B1号を参照されたい)。
抗体断片は、本明細書に記載される、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、ならびに組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない、種々の技法によって作製することができる。
3. キメラおよびヒト化抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))に記載される。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサル等の非ヒト霊長類に由来する可変領域)およびヒト定常領域を含む。さらなる実施例において、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のそれから変更された、「クラススイッチされた」抗体である。キメラ抗体には、それらの抗原結合断片が含まれる。
ある特定の実施形態において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減するために、ヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(またはそれらの部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはそれらの部分)がヒト抗体配列に由来する、1つ以上の可変ドメインを含む。任意にヒト化抗体はまた、ヒト定常領域の少なくとも一部分も含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を復元するまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)に概説され、また例えば、Riechmann et al.,Nature332:323−329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA86:10029−10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、および同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods36:25−34(2005)(SDR(a−CDR)グラフティングを記載する)、Padlan,Mol.Immunol.28:489−498(1991)(「リサーフェシング(resurfacing)」を記載する)、Dall’Acqua et al.,Methods36:43−60(2005)(「FRシャフリング」を記載する)、ならびにOsbourn et al.,Methods36:61−68(2005)およびKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252−260(2000)(FRシャフリングへの「誘導選択(guided selection)」アプローチを記載する)にさらに記載される。
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、次のものが含まれるが、これらに限定されない:「最良適合(best−fit)」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖または重鎖可変領域の特定の下位集団のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、およびPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞突然変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞株フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照されたい)、ならびにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678−10684(1997)およびRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611−22618(1996)を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。
4. ヒト抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の種々の技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)およびLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450−459(2008)に記載される。
ヒト抗体は、免疫原を、抗原投与に応答してインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を含むインタクトな抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に投与することによって、調製されてもよい。かかる動物は典型的に、内因性免役グロブリン遺伝子座を置き換える、または染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体中に無作為に組み込まれる、ヒト免役グロブリン遺伝子座のすべてまたは一部分を含有する。かかるトランスジェニックマウスにおいて、内因性免役グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117−1125(2005)を参照されたい。また、例えば、米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術を記載する)、米国特許第5,770,429号(HuMab(登録商標)技術を記載する)、米国特許第7,041,870号(K−M MOUSE(登録商標) 技術を記載する)、ならびに米国特許出願公開第US 2007/0061900号(VelociMouse(登録商標)技術を記載する)を参照されたい。かかる動物によって生成されるインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに修飾されてもよい。
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、およびBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557−3562(2006)に記載される。追加の方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、およびNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265−268(2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載する)に記載されるものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(Trioma technology)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927−937(2005)およびVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185−91(2005)にも記載される。
ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって、生成されてもよい。かかる可変ドメイン配列は次いで、所望のヒト定常ドメインと組み合わされてもよい。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技法が、下に記載される。
5. ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、コンビナトリアルライブラリを、所望の活性(単数または複数)を有する抗体についてスクリーニングすることによって、単離されてもよい。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、かかるライブラリを、所望の結合特性を保有する抗体についてスクリーニングするための、多様な方法が当該技術分野で知られている。かかる方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説され、またさらに、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554、Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991)、 Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004)、およびLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)に記載される。
ある特定のファージディスプレイ法において、VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中で無作為に組み換えられ、それを次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは典型的に、1本鎖Fv(scFv)断片としてまたはFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫された源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、Griffiths et al.,EMBO J,12:725−734(1993)によって記載されるように、ナイーブレパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、いかなる免疫化も伴わずに、広範な非自己抗原およびまた自己抗原に対する抗体の単一の源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリはまた、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)に記載されるように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、無作為配列を含有するPCRプライマーを使用して高度可変CDR3領域をコードし、体外で再配列を達成することによって、合成的に作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリを記載する特許公開には、例えば、米国特許第5,750,373号、および米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、および同第2009/0002360号が含まれる。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書でヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
6.多重特異性抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有する、モノクローナル抗体である。ある特定の実施形態において、結合特異性のうちの一方は、CD22に対するものであり、他方は、任意の他の抗原に対するものである。ある特定の実施形態において、二重特異性抗体は、CD22の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体をまた使用して、細胞傷害性薬剤を、CD22を発現する細胞に限局させてもよい。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製することができる。
多重特異性抗体を作製するための技法には、異なる特異性を有する2つの免役グロブリン重鎖−軽鎖対の組み換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))、国際公開第93/08829号、およびTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、「ノブ・イン・ホール(knob−in−hole)」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電的ステアリング(electrostatic steering)効果を操作して抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製すること(国際公開第2009/089004A1号)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、およびBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547−1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)を参照されたい)、および1本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい)、ならびに例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体を調製することによって、作製されてもよい。
「オクトパス(Octopus)抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、米国第2006/0025576A1号を参照されたい)。
本明細書における抗体または断片にはまた、CD22ならびに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用(Dual Acting)FAb」または「DAF」が含まれる(例えば、米国第2008/0069820号を参照されたい)。
7.抗体変異形
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異形が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましいことがある。抗体のアミノ酸配列変異形は、適切な修飾を、抗体をコードするヌクレオチド配列中に導入することによって、またはペプチド合成によって、調製されてもよい。かかる修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、および/またはそこへ残基の挿入、および/またはその内の残基の置換が含まれる。欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを作製して、最終構築物に到達することができるが、但し、その最終構築物が、所望の特性、例えば、抗原結合性を保有することを条件とする。
a) 置換、挿入、および欠失変異形
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異形が提供される。置換型突然変異生成に対する目的の部位には、HVRおよびFRが含まれる。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例となる置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して下にさらに記載される。アミノ酸置換が目的の抗体中に導入され、産物が、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、または改善されたADCCもしくはCDCについて、スクリーニングされてもよい。
[表1]
アミノ酸は、次の一般的な側鎖特性に従って分類されてもよい:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うであろう。
置換型変異形の1つの種類は、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1個以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、さらなる研究のために選択される、結果として生じる変異形(複数可)は、親抗体と比べて、ある特定の生物学的特性における修飾(例えば、改善)(例えば、増加した親和性、低減された免疫原性)を有することになり、および/または親抗体の、実質的に保持されたある特定の生物学的特性を有することになる。例となる置換型変異形は、例えば、本明細書に記載されるもの等のファージディスプレイベースの親和性成熟技法を使用して、好都合に生成され得る、親和性成熟抗体である。簡潔に述べると、1個以上のHVR残基が突然変異させられ、変異形抗体がファージ上で提示され、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
変化(例えば、置換)をHVRにおいて行って、例えば、抗体親和性を改善してもよい。かかる変化は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を経るコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179−196(2008)を参照されたい)、および/またはSDR(a−CDR)において行われてもよく、結果として生じる変異形VHまたはVLが、結合親和性について試験される。二次ライブラリを構築し、そこから再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態において、多様性が、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性突然変異生成)のうちのいずれかによって、成熟のために選定された可変遺伝子中に導入される。二次ライブラリが次いで作り出される。ライブラリは次いで、所望の親和性を有する任意の抗体変異形を特定するために、スクリーニングされる。多様性を導入するための別の方法は、数個のHVR残基(例えば、1回に4〜6個の残基)が無作為化される、HVR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異生成またはモデリングを使用して、具体的に特定されてもよい。特にCDR−H3およびCDR−L3が、しばしば標的とされる。
ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、かかる変化が、抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減しない限り、1つ以上のHVR内で生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的変化(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVRにおいて行われてもよい。かかる変化は、HVR「ホットスポット」またはSDRの外側にあってもよい。上に提供される変異形VHおよびVL配列のある特定の実施形態において、各HVRは、変化させられないか、またはわずか1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含有するにすぎないかのいずれかである。
突然変異生成のための標的とされ得る、抗体の残基または領域の特定のための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081−1085によって記載される、「アラニンスキャニング変異生成」と呼ばれるものである。この方法において、標的残基(例えば、arg、asp、his、lys、およびglu等の荷電残基)のうちのある残基または基が特定され、中性または負荷電アミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられて、抗体の抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の場所に導入されてもよい。代替的に、または追加的に、抗原−抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との間の接触点が特定される。かかる接触残基および隣接する残基は、置換の候補として標的とされるか、または排除されてもよい。変異形をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有するかどうかを決定してもよい。
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドの範囲の長さである、アミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一のまたは多数のアミノ酸残基の配列内(intrasequence)挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入型変異形には、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドに対する抗体のN末端もしくはC末端への融合が含まれる。
b) グリコシル化変異形
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように変化させられる。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作り出されるか、または除去されるように、アミノ酸配列を変化させることによって、好都合に遂行されてもよい。
抗体がFc領域を含む場合、そこに結合した炭水化物が変化させられてもよい。哺乳類細胞によって産生される天然抗体は、典型的に、一般にN−結合によって、Fc領域のCH2ドメインのAsn297に結合される、分岐した二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH15:26−32(1997)を参照されたい。オリゴ糖類には、種々の炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖類構造の「ステム」においてGlcNAcに結合したフコースが含まれる。いくつかの実施形態において、抗体におけるオリゴ糖の修飾は、ある特定の改善された特性を有する抗体変異形を作り出すために行われてもよい。
一実施形態において、Fc領域に(直接的にまたは間接的に)結合されるフコースを欠いた炭水化物構造を有する、抗体変異形が提供される。例えば、かかる抗体におけるフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%、または20%〜40%であってもよい。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されるように、MALDI−TOF質量分析法によって測定するとき、Asn 297に結合したすべての糖鎖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、および高マンノース構造)の合計と比べた、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を算出することによって決定される。Asn297は、Fc領域における約297位(Fc領域残基のEu付番)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、抗体における小規模な配列変異に起因して、297位から約±3アミノ酸上流または下流、すなわち、294位〜300位の間にも位置する。かかるフコシル化変異形は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第US 2003/0157108号(Presta,L.)、同第US 2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異形に関連する刊行物の例としては、米国第2003/0157108号、国際公開第2000/61739号、国際公開第2001/29246号、米国第2003/0115614号、米国第2002/0164328号、米国第2004/0093621号、米国第2004/0132140号、米国第2004/0110704号、米国第2004/0110282号、米国第2004/0109865号、国際公開第2003/085119号、国際公開第2003/084570号、国際公開第2005/035586号、国際公開第2005/035778号、国際公開第2005/053742号、国際公開第2002/031140号、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004)、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することが可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986)、米国特許出願第US 2003/0157108 A1号(Presta、L)、および国際公開第2004/056312 A1号(Adamsら)(特に実施例11で))、およびアルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞等のノックアウト細胞株(例えば、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680−688(2006)、および国際公開第2003/085107号を参照されたい)が挙げられる。
二分されたオリゴ糖類を有する、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖類がGlcNAcによって二分される、抗体変異形がさらに提供される。かかる抗体変異形は、低減されたフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。かかる抗体変異形の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairetら)、米国特許第6,602,684号(Umanaら)、および米国第2005/0123546号(Umanaら)に記載される。Fc領域に結合したオリゴ糖類において少なくとも1個のガラクトース残基を有する、抗体変異形もまた提供される。かかる抗体変異形は、改善されたCDC機能を有し得る。かかる抗体変異形は、例えば、国際公開第1997/30087号(Patelら)、国際公開第1998/58964号(Raju,S.)、および国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載される。
c) Fc領域変異形
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それによってFc領域変異形を生成してもよい。Fc領域変異形は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含んでもよい。
ある特定の実施形態において、本発明は、いくつかのエフェクター機能を保有するが、すべてのエフェクター機能は保有せず、それにより、体内での抗体の半減期が重要であるが、なおもある特定のエフェクター機能(補体およびADCC等)が不必要または有害である場合の適用に対する望ましい候補となる、抗体変異形を企図する。体外および/または体内細胞傷害性アッセイを実行して、CDCおよび/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠いている(よって、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−492(1991)の464ページの表3に要約される。目的の分子のADCC活性を評価するための体外アッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom、I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059−7063(1986)を参照されたい)およびHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499−1502(1985)、同第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351−1361(1987)を参照されたい)に記載される。代替的に、非放射性アッセイ法が用いられてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、およびCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー細胞が含まれる。代替的に、または追加的に、目的の分子のADCC活性は、体内で、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652−656(1998)に開示されるもの等の動物モデルにおいて、評価されてもよい。C1q結合アッセイをまた行って、抗体がC1qに結合不可能であり、よってCDC活性を欠いていることを確認してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号および国際公開第2005/100402号におけるC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行ってもよい(例えば、Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045−1052(2003)、およびCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738−2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合および体内クリアランス/半減期決定もまた、当該技術分野で既知の方法を使用して行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759−1769(2006)を参照されたい)。
低減されたエフェクター機能を有する抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329のうちの1つ以上の置換を有するものが含まれる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc突然変異体には、アラニンへの残基265および297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む(米国特許第7,332,581号)、アミノ酸265、269、270、297、および327位のうちの2つ以上において置換を有するFc突然変異体が含まれる。
FcRへの改善されたまたは減少した結合を有する、ある特定の抗体変異形が記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号、国際公開第2004/056312号、およびShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)を参照されたい)。
ある特定の実施形態において、抗体変異形は、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、および/または334位(残基のEU付番)における置換を有する、Fc領域を含む。
いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、およびIdusogie et al.J.Immunol.164:4178−4184(2000)に記載されるように、変化した(すなわち、改善されたかまたは減少したかのいずれか)C1q結合および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)をもたらす変化が、Fc領域において行われる。
母体IgGの胎児への移入に関与する、増加した半減期および新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)およびKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))が、米国第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載される。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する、1つ以上の置換を内部に有するFc領域を含む。かかるFc変異形には、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7,371,826号)を有するものが含まれる。
また、Fc領域変異形の他の例に関して、Duncan & Winter,Nature 322:738−40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、および国際公開第94/29351号も参照されたい。
d) システイン操作された抗体変異形
ある特定の実施形態において、抗体の1個以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作された抗体、例えば、「チオMab」を作り出すことが望ましい場合がある。特に実施形態において、置換残基は、抗体の利用しやすい部位において生じる。それらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基はそれによって、抗体の利用しやすい部位に位置付けられ、それを使用して、抗体を、薬物部分またはリンカー−薬物部分等の他の部分に複合して、本明細書にさらに記載される、免疫複合体を作り出してもよい。ある特定の実施形態において、次の残基のうちの任意の1個以上が、システインで置換されてもよい:軽鎖のV205(Kabat付番)、重鎖のA118(EU付番)、および重鎖Fc領域のS400(EU付番)。非限定的な例となるシステイン操作された抗CD22抗体の重鎖および軽鎖が、図3に示される(配列番号25〜27)。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成されてもよい。
e) 抗体誘導体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、容易に入手可能な、追加の非タンパク質性部分を含有するようにさらに修飾されてもよい。抗体の誘導体化に好適な部分には、水溶性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性に起因して、製造における利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量のものであってもよく、分岐していても非分岐であってもよい。抗体に結合したポリマーの数は、様々であってもよく、1つを超えるポリマーが結合される場合、それらは、同じ分子または異なる分子であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または種類は、改善対象の抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下で療法において使用されるかどうか等を含むが、これらに限定されない考慮に基づいて、決定することができる。
別の実施形態において、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る、抗体および非タンパク質性部分の複合体が提供される。一実施形態において、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブ(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600−11605(2005)である。)放射線は、任意の波長のものであってもよく、一般の細胞を害さないが、非タンパク質性部分を、抗体−非タンパク質性部分に近位の細胞が死滅させられる温度まで加熱する波長が含まれるが、これらに限定されない。
B. 組み換え法および組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載される、組み換え法および組成物を使用して産生されてもよい。一実施形態において、本明細書に記載される抗CD22抗体をコードする単離核酸が提供される。かかる核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードし得る。さらなる実施形態において、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態において、かかる核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのかかる実施形態において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態において、宿主細胞は、真核性、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態において、抗CD22抗体を作製する方法が提供され、本方法は、上に提供される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む。
抗CD22抗体の組み換え産生のために、例えば、上述の、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニングおよび/または発現のために、1つ以上のベクター中に挿入される。かかる核酸は、慣例の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能である、オリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。
抗体コードベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載される原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌において産生されてもよい。細菌における抗体断片およびポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、および同第5,840,523号を参照されたい。(また、大腸菌における抗体断片の発現を記載する、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245−254も参照されたい)。発現後、抗体は、可溶性画分において細菌細胞ペーストから単離されてもよく、またさらに精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母等の真核微生物は、抗体コードベクターに好適なクローニングまたは発現宿主であり、それには、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全ヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌および酵母株が含まれる。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004)、およびLi et al.,Nat.Biotech.24:210−215(2006)を参照されたい。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物および昆虫細胞が挙げられる。昆虫細胞と併せて、特にヨトウガ細胞のトランスフェクションのために、使用され得る、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、および同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPL抗体(商標)技術を記載している)を参照されたい。
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中で成長するように適合される哺乳類細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の他の例としては、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7);ヒト胚性腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される、293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980)に記載される、TM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頚がん細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝がん細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982)に記載される、TRI細胞;MRC 5細胞;およびFS4細胞がある。他の有用な哺乳類宿主細胞株には、DHFR−CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびにY0、NS0、およびSp2/0等の骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に好適なある特定の哺乳類宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255−268(2003)を参照されたい。
C. アッセイ
本明細書に提供される抗CD22抗体は、それらの物理/化学特性および/または生物活性について、当該技術分野で既知の種々のアッセイによって、特定され、スクリーニングされ、または特徴付けられてもよい。
一態様において、本発明の抗体は、その抗原結合活性について、例えば、ELISA、BIACore(登録商標)、FACS、またはウェスタンブロット等の既知の方法によって、試験される。
別の態様において、競合アッセイを使用して、CD22への結合に対して本明細書に記載される抗体のいずれかと競合する抗体を特定してもよい。ある特定の実施形態において、かかる競合抗体は、本明細書に記載される抗体によって結合される、同じエピトープ(例えば、直線状または立体配座エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例となる方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供される。
例となる競合アッセイにおいて、固定化されたCD22は、CD22に結合する第1の標識抗体(例えば、本明細書に記載される抗体のいずれか)、およびCD22への結合に対して第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の未標識抗体を含む、溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化されたCD22が、第1の標識抗体を含むが、第2の未標識抗体を含まない、溶液中でインキュベートされる。CD22への第1の抗体の結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰の非結合抗体が除去され、固定化されたCD22に関連する標識の量が測定される。固定化されたCD22に関連する標識の量が、対照試料と比べて試験試料中で実質的に低減される場合、それは、第2の抗体がCD22への結合に対して第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
D. 免疫複合体
本発明はまた、本明細書において、化学療法剤もしくは化学療法薬、成長阻害性薬剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはそれらの断片)、または放射性同位体(すなわち、放射性物質複合体(radioconjugate))等の、1つ以上の細胞傷害性薬剤に複合される抗CD22抗体を含む、免疫複合体も提供する。
免疫複合体は、腫瘍への薬物部分の標的化された送達を可能にし、いくつかの実施形態においては、複合されていない薬物の全身投与が、正常な細胞にとって許容できないレベルの毒性をもたらし得る場合に、腫瘍中の細胞内蓄積を可能にする(Polakis P.(2005)Current Opinion in Pharmacology5:382−387)。
抗体−薬物抱合体(ADC)は、強力な細胞傷害性薬物の標的を抗原発現腫瘍細胞に定め(Teicher,B.A.(2009)Current Cancer Drug Targets 9:982−1004)、それによって、有効性を最大限にし、オフターゲット毒性を最小限にすることにより治療指数を増強することによって、抗体および細胞傷害性薬物の両方の特性を組み合わる、標的を定められた化学療法分子である(Carter,P.J.and Senter P.D.(2008)The Cancer Jour.14(3):154−169、Chari,R.V.(2008)Acc.Chem.Res.41:98−107。
本発明のADC化合物には、抗がん活性を有するものが含まれる。いくつかの実施形態において、ADC化合物には、薬物部分に複合された、すなわち、共有結合された、抗体が含まれる。いくつかの実施形態において、本抗体は、リンカーを通じて薬物部分に共有結合される。本発明の抗体−薬物複合体(ADC)は、有効用量の薬物を腫瘍組織に選択的に送達し、それによって、治療指数(「治療濃度域」)を増加させながら、より高い選択性、すなわちより低い効果的用量が、達成され得る。
抗体−薬物複合体(ADC)の薬物部分(D)は、細胞傷害性または細胞静止効果を有する任意の化合物、部分、または基を含んでもよい。例となる薬物部分には、細胞傷害性活性を有する、PNU−159682等の、ネモルビシンおよびその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。かかる免疫複合体の非限定的な例が、下にさらに詳細に考察される。
1. 例となる抗体−薬物複合体
抗体−薬物複合体(ADC)化合物の例となる実施形態は、腫瘍細胞を標的とする抗体(Ab)、薬物部分(D)、およびAbをDに結合するリンカー部分(L)を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、リジンおよび/またはシステイン等の1個以上のアミノ酸残基を通じて、リンカー部分(L)に結合される。
例となるADCは、式I、
Ab−(L−D)pI
を有し、式中、pは、1〜約20である。いくつかの実施形態において、抗体に複合され得る薬物部分の数は、遊離システイン残基の数によって限定される。いくつかの実施形態において、遊離システイン残基は、本明細書に記載される方法によって抗体アミノ酸配列中に導入される。式Iの例となるADCには、1、2、3、または4個の操作されたシステインアミノ酸を有する抗体が含まれるが、これらに限定されない(Lyon,R.et al(2012)Methods in Enzym.502:123−138)。いくつかの実施形態において、1個以上の遊離システイン残基が、操作を使用することなく、抗体においてすでに存在しており、その場合、既存の遊離システイン残基を使用して、抗体を薬物に複合してもよい。いくつかの実施形態において、本抗体は、1個以上の遊離システイン残基を生成するために、抗体の複合前に還元条件に曝露される。
a) 例となるリンカー
「リンカー」(L)は、1個以上の薬物部分(D)を抗体(Ab)に連結して、式Iの抗体−薬物複合体(ADC)を形成するために使用することができる、二機能性または多機能性部分である。いくつかの実施形態において、抗体−薬物複合体(ADC)は、薬物におよび抗体に共有結合するための反応性官能基を有するリンカーを使用して、調製することができる。例えば、いくつかの実施形態において、抗体の(Ab)システインチオールは、リンカーの反応性官能基または薬物−リンカー中間体との結合を形成して、ADCを作製することができる。
一態様において、リンカーは、抗体上に存在する遊離システインと反応して、共有結合を形成することが可能である、官能性を有する。非限定的な例となるかかる反応性官能基には、マレイミド、ハロアセトアミド、α−ハロアセチル、コハク酸イミドエステル、4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル等の活性化エステル、無水物、酸塩化物、塩化スルホニル、イソシアン酸塩、およびイソチオシアン酸塩が含まれる。例えば、Klussman,et al(2004),Bioconjugate Chemistry 15(4):765−773の766ページにおける複合方法、およびその中の実施例を参照されたい。
いくつかの実施形態において、リンカーは、抗体上に存在する求電子基と反応することが可能である、官能性を有する。例となるかかる求電子基には、アルデヒド基およびケトンカルボニル基が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リンカーの反応性官能基のヘテロ原子が、抗体上の求電子基と反応し、抗体単位との共有結合を形成することができる。非限定的な例となるかかる反応性官能基には、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸塩、およびアリールヒドラジドが含まれるが、これらに限定されない。
リンカーは、1つ以上のリンカー構成要素を含んでもよい。例となるリンカー構成要素には、6−マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン−シトルリン(「val−cit」または「vc」)、アラニン−フェニルアラニン(「ala−phe」)、p−アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N−コハク酸イミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタン酸塩(「SPP」)、および4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボン酸塩(「MCC」)が含まれる。種々のリンカー構成要素が当該技術分野で知られており、このうちのいくつかが下に記載される。
リンカーは、薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってもよい。非限定的な例となる切断可能なリンカーには、酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾンを含む)、プロテアーゼ感受性(例えば、ペプチダーゼ感受性)リンカー、感光性リンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Research 52:127−131(1992)、米国第5208020号)が含まれる。
ある特定の実施形態において、リンカーは、次の式II、
を有し、式中、Aは、「ストレッチャー(stretcher)単位」であり、aは、0〜1の整数であり、Wは、「アミノ酸単位」であり、wは、0〜12の整数であり、Yは、「スペーサ単位」であり、yは、0、1、または2である。式IIのリンカーを含むADCは、式I(A)、すなわちAb−(A
a−W
w−Y
y−D)pを有し、式中、Ab、D、およびpは、式Iについて上にあるように定義される。かかるリンカーの例となる実施形態は、米国特許第7,498,298号に記載され、それは参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、リンカー構成要素は、抗体を別のリンカー構成要素にまたは薬物部分に連結する、「ストレッチャー単位」(A)を含む。非限定的な例となるストレッチャー単位が下に示される(ここで波線は、抗体、薬物、または追加のリンカー構成要素への共有結合の部位を示す):
いくつかの実施形態において、リンカー構成要素は、「アミノ酸単位」(W)を含む。いくつかのかかる実施形態において、アミノ酸単位は、プロテアーゼによるリンカーの切断を可能にし、それによって、リソソーム酵素等の細胞内プロテアーゼへの曝露時に免疫複合体からの薬物の放出を容易にする(Doronina et al.(2003)Nat.Biotechnol.21:778−784)。例となるアミノ酸単位には、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、およびペンタペプチドが含まれるが、これらに限定されない。例となるジペプチドには、バリン−シトルリン(vcまたはval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(afまたはala−phe)、フェニルアラニン−リジン(fkまたはphe−lys)、フェニルアラニン−ホモリジン(phe−homolys)、およびN−メチル−バリン−シトルリン(Me−val−cit)が含まれるが、これらに限定されない。例となるトリペプチドには、グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)およびグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)が含まれるが、これらに限定されない。アミノ酸単位は、自然発生アミノ酸残基、ならびに/または微量アミノ酸、および/もしくはシトルリン等の非自然発生アミノ酸類似体を含んでもよい。アミノ酸単位は、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C、およびD、またはプラスミンプロテアーゼによる、酵素的切断のために設計し、最適化することができる。
典型的に、ペプチド型リンカーは、2つ以上のアミノ酸および/またはペプチド断片の間にペプチド結合を形成することによって、調製することができる。かかるペプチド結合は、例えば、液相合成法に従って、調製することができる(例えば、E.Schroder and K.Lubke(1965)“The Peptides”,volume 1,pp 76−136,Academic Press)。
いくつかの実施形態において、リンカー構成要素は、直接、またはストレッチャー単位および/もしくはアミノ酸単位を通じてのいずれかで、抗体を薬物部分に連結する、「スペーサ単位」(Y)を含む。スペーサ単位は、「自己犠牲型(self−immolative)」または「非自己犠牲型」であり得る。「非自己犠牲型」スペーサ単位は、ADCの切断時にスペーサ単位の一部またはすべてが薬物部分に結合したままであるものである。非自己犠牲型スペーサ単位の例としては、グリシンスペーサ単位およびグリシン−グリシンスペーサ単位が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞関連プロテアーゼによる、グリシン−グリシンスペーサ単位を含有するADCの酵素的切断は、ADCの残りの部分からのグリシン−グリシン−薬物部分の放出をもたらす。いくつかのかかる実施形態において、グリシン−グリシン−薬物部分は、腫瘍細胞内で加水分解ステップを受け、故にグリシン−グリシンスペーサ単位を薬物部分から切断する。
「自己犠牲型」スペーサ単位は、薬物部分の放出を可能にする。ある特定の実施形態において、リンカーのスペーサ単位は、p−アミノベンジル単位を含む。いくつかのかかる実施形態において、p−アミノベンジルアルコールは、アミド結合を介してアミノ酸単位に結合し、カルバミン酸塩、メチルカルバミン酸塩、または炭酸塩が、ベンジルアルコールと薬物との間に作製される(Hamann et al.(2005)Expert Opin.Ther.Patents(2005)15:1087−1103)。いくつかの実施形態において、スペーサ単位は、p−アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)を含む。いくつかの実施形態において、自己犠牲型リンカーを含むADCは、構造、
を有し、式中、Qは、−C
1〜C
8アルキル、−O−(C
1〜C
8アルキル)、−ハロゲン、−ニトロ、または−シアノであり、mは、0〜4範囲の整数であり、Xは、1つ以上の追加のスペーサ単位であり得るか、または不在であり得、pは、1〜約20の範囲である。いくつかの実施形態において、pは、1〜10、1〜7、1〜5、または1〜4の範囲である。非限定的な例となるXスペーサ単位には、
が含まれ、式中、R
1およびR
2は、独立して、HおよびC
1−C
6アルキルから選択される。いくつかの実施形態において、R1およびR2は各々、−CH
3である。
自己犠牲型スペーサの他の例としては、2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体等の、PAB基と電子的に同様である芳香族化合物(米国特許第7,375,078号、Hay et al.(1999)Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237)およびオルト−またはパラ−アミノベンジルアセタールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、置換および非置換4−アミノ酪酸アミド(Rodrigues et al(1995)Chemistry Biology2:223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]およびビシクロ[2.2.2]環系(Storm et al(1972)J.Amer.Chem.Soc.94:5815)、ならびに2−アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberry,et al(1990)J.Org.Chem.55:5867)等の、アミド結合加水分解時に環化を経るスペーサを使用することができる。グリシン残基のα−炭素への薬物の結合は、ADCにおいて有用であり得る自己犠牲型スペーサの別の例である(Kingsbury et al(1984)J.Med.Chem.27:1447)。
いくつかの実施形態において、リンカーLは、分岐する多機能性リンカー部分を通じた、抗体への1つを超える薬物部分の共有結合のための、樹状型リンカーであり得る(Sun et al(2002)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12:2213−2215、Sun et al(2003)Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:1761−1768)。樹状リンカーは、ADCの効力に関連する、薬物対抗体のモル比、すなわち、負荷を増加させることができる。故に、抗体が1個のみの反応性システインチオール基を担持する場合、多数の薬物部分が、樹状リンカーを通じて結合され得る。
非限定的な例となるリンカーが、式IのADCの関連において下に示される:
(式中、R
1およびR
2は、独立して、HおよびC
1−C
6アルキルから選択される)。いくつかの実施形態において、R1およびR2は各々、−CH
3である。
(式中、nは、0〜12である)。いくつかの実施形態において、nは、2〜10である。いくつかの実施形態において、nは、4〜8である。
さらなる非限定的な例となるADCには、次の構造が含まれる:
であり、各Rは、独立して、HまたはC
1−C
6アルキルであり、nは、1〜12である)。
いくつかの実施形態において、リンカーは、溶解度および/または反応性を調節する基で置換される。非限定的な例として、スルホン酸塩(−SO3 −)またはアンモニウム等の荷電置換基は、リンカー試薬の水溶性を増加させ、抗体および/もしくは薬物部分とのリンカー試薬のカップリング反応を促進し得るか、またはADCを調製するために用いられる合成経路に応じて、DとのAb−L(抗体−リンカー中間体)、もしくはAbとのD−L(薬物−リンカー中間体)のカップリング反応を促進し得る。いくつかの実施形態において、リンカーの一部分が抗体にカップリングされ、リンカーの一部分が薬物にカップリングされ、次いでAb−(リンカー部分)aが薬物−(リンカー部分)bにカップリングされて、式IのADCを形成する。
本発明の化合物は、次のリンカー試薬、すなわちビス−マレイミド−トリオキシエチレングリコール(BMPEO)、N−(β−マレイミドプロピルオキシ)−N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル(BMPS)、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミドエステル(EMCS)、N−[γ−マレイミドブチリルオキシ]コハク酸イミドエステル(GMBS)、1,6−ヘキサン−ビス−ビニルスルホン(HBVS)、コハク酸イミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロン酸塩)(LC−SMCC)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル(MBS)、4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、コハク酸イミジル3−(ブロモアセトアミド)プロピオン酸塩(SBAP)、コハク酸イミジルヨード酢酸塩(SIA)、コハク酸イミジル(4−ヨードアセチル)アミノ安息香酸塩(SIAB)、N−コハク酸イミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)、N−コハク酸イミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタン酸塩(SPP)、コハク酸イミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸塩(SMCC)、コハク酸イミジル4−(p−マレイミドフェニル)酪酸塩(SMPB)、コハク酸イミジル6−[(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサン酸塩](SMPH)、イミノチオラン(IT)、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、およびスルホ−SMPB、ならびにコハク酸イミジル−(4−ビニルスルホン)安息香酸塩(SVSB)を用いて、また次のビス−マレイミド試薬、すなわちジチオビスマレイミドエタン(DTME)、1,4−ビスマレイミドブタン(BMB)、1,4ビスマレイミジル−2,3−ジヒドロキシブタン(BMDB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、ビスマレイミドエタン(BMOE)、BM(PEG)
2(下に示される)、およびBM(PEG)
3(下に示される);イミドエステルの二機能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCl等)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジル等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムンゾイル等)−エチレンジアミン)、ジイソシアン酸塩(トルエン2,6−ジイソシアン酸塩等)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン等)を含めて、調製される、ADCを明示的に企図するが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ビス−マレイミド試薬は、チオール含有薬物部分、リンカー、またはリンカー−薬物中間体への、抗体におけるシステインのチオール基の結合を可能にする。チオール基と反応性である他の官能基には、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イソシアン酸塩、およびイソチオシアン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
ある特定の有用なリンカー試薬は、Pierce Biotechnology,Inc.(Rockford,IL),Molecular Biosciences Inc.(Boulder,CO)等の、種々の商業的供給源から得るか、または当該技術分野において、例えば、Toki et al(2002)J.Org.Chem.67:1866−1872、Dubowchik,et al.(1997)Tetrahedron Letters,38:5257−60、Walker,M.A.(1995)J.Org.Chem.60:5352−5355、Frisch et al(1996)Bioconjugate Chem.7:180−186、米国第6214345号、国際公開第02/088172号、米国第2003130189号、米国第2003096743号、国際公開第03/026577号、国際公開第03/043583号、および国際公開第04/032828号に記載される手順に従って、合成することができる。
炭素−14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドの複合のための、例となるキレート剤である。例えば、国際公開第94/11026号を参照されたい。
b) 例となる薬物部分
いくつかの実施形態において、ADCは、アントラサイクリンを含む。アントラサイクリンは、細胞傷害性活性を示す抗生物質化合物である。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、研究は、アントラサイクリンが、1)細胞のDNA中への薬物分子のインターカレーションによって、DNA依存性核酸合成を阻害すること、2)薬物により遊離ラジカルが産生され、それが次いで細胞巨大分子と反応して、細胞への損傷を引き起こすこと、および/または3)薬物分子の細胞膜との相互作用を含む、いくつかの異なる機構によって、細胞を死滅させるように作動し得ることを示してきた(例えば、C.Peterson et al.,“Transport And Storage Of Anthracycline In Experimental Systems And Human Leukemia”in Anthracycline Antibiotics In Cancer Therapy;N.R.Bachur,“Free Radical Damage”id.at pp.97−102を参照されたい)。それらの細胞傷害性の可能性のために、アントラサイクリンは、白血病、乳がん、肺がん腫、卵巣腺がん、および肉腫等の多数のがんの治療において使用されてきた(例えば、P.H−Wiernik,in Anthracycline:Current Status And New Developments p 11を参照されたい)。
非限定的な例となるアントラサイクリンには、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ダウノマイシン、ネモルビシン、およびそれらの誘導体が含まれる。ダウノルビシンおよびドキソルビシンの免疫複合体およびプロドラッグが、調製され、研究されてきた(Kratz et al(2006)Current Med.Chem.13:477−523、Jeffrey et al(2006)Bioorganic & Med.Chem.Letters 16:358−362、Torgov et al(2005)Bioconj.Chem.16:717−721、Nagy et al(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829−834、Dubowchik et al(2002)Bioorg.& Med.Chem.Letters12:1529−1532、King et al(2002)J.Med.Chem.45:4336−4343、欧州第0328147号、米国第6630579号)。抗体−薬物複合体BR96−ドキソルビシンは、腫瘍関連抗原Lewis−Yと特異的に反応し、第I相およびII相研究において評価されてきた(Saleh et al(2000)J.Clin.Oncology 18:2282−2292、Ajani et al(2000)Cancer Jour.6:78−81、Tolcher et al(1999)J.Clin.Oncology17:478−484)。
PNU−159682は、ネモルビシンの強力な代謝産物(または誘導体)である(Quintieri,et al.(2005)Clinical Cancer Research 11(4):1608−1617)。ネモルビシンは、ドキソルビシンのグリコシドアミノ上に2−メトキシモルホリノ基を有する、ドキソルビシンの半合成類似体であり、臨床評価段階にあり(Grandi et al(1990)Cancer Treat.Rev.17:133、Ripamonti et al(1992)Brit.J.Cancer65:703;)、それには肝細胞がんに対する第II/III相治験が含まれる(Sun et al(2003)Proceedings of the American Society for Clinical Oncology 22,Abs1448、Quintieri(2003)Proceedings of the American Association of Cancer Research,44:1st Ed,Abs 4649;Pacciarini et al(2006)Jour.Clin.Oncology24:14116)。
ネモルビシンまたはネモルビシン誘導体を含む非限定的な例となるADCは、式Ia、
に示され、式中、R
1は、水素原子、ヒドロキシ、またはメトキシ基であり、R
2は、C
1〜C
5アルコキシ基であるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
L
1およびZは共に、本明細書に記載されるリンカー(L)であり、
Tは、本明細書に記載される抗体(Ab)であり、
mは、1〜約20である。いくつかの実施形態において、mは、1〜10、1〜7、1〜5、または1〜4である。
いくつかの実施形態において、R1およびR2は両方とも、メトキシ(−OMe)である。
ネモルビシンまたはネモルビシン誘導体を含むさらなる非限定的な例となるADCは、式Ib、
に示され、式中、R
1は、水素原子、ヒドロキシ、またはメトキシ基であり、R
2は、C
1〜C
5アルコキシ基であるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
L
2およびZは共に、本明細書に記載されるリンカー(L)であり、
Tは、本明細書に記載される抗体(Ab)であり、
mは、1〜約20である。いくつかの実施形態において、mは、1〜10、1〜7、1〜5、または1〜4である。
いくつかの実施形態において、R1およびR2は両方とも、メトキシ(−OMe)である。
いくつかの実施形態において、ネモルビシン含有ADCのネモルビシン構成要素は、PNU−159682である。いくつかのかかる実施形態において、ADCの薬物部分は、次の構造のうちの1つを有し得る:
式中、波線は、リンカー(L)への結合を示す。
PNU−159682を含む、アントラサイクリンは、数個の結合部位、および本明細書に記載されるリンカーを含む多様なリンカー(米国第2011/0076287号、国際公開第2009/099741号、米国第2010/0034837号、国際公開第2010/009124号)を通じて、抗体に複合されてもよい。
ネモルビシンおよびリンカーを含む例となるADCには、次のものが含まれるが、これらに限定されない:
PNU−159682マレイミドアセタール−Abのリンカーは、酸不安定性である一方で、PNU−159682−val−cit−PAB−Ab、PNU−159682−val−cit−PAB−スペーサ−Ab、およびPNU−159682−val−cit−PAB−スペーサ(R1R2)−Abのリンカーは、プロテアーゼ切断可能である。
c) 薬物負荷
薬物負荷は、式Iの分子における1抗体当たりの薬物部分の平均数である、pによって表される。薬物負荷は、1抗体当たり1〜20個の薬物部分(D)の範囲であり得る。式IのADCは、1〜20個の範囲の薬物部分と共に複合された抗体の集団を含む。複合反応からのADCの調製における、1抗体当たりの薬物部分の平均数は、質量分析法、ELISAアッセイ、およびHPLC等の従来の手段によって特徴付けられてもよい。pの単位でのADCの定量分布がまた決定されてもよい。いくつかの事例において、pがある特定の値である同種のADCの、他の薬物負荷を有するADCからの分離、精製、および特性評価は、逆相HPLCまたは電気泳動等の手段によって達成されてもよい。
いくつかの抗体−薬物複合体について、pは、抗体上の結合部位の数によって限定され得る。例えば、上のある特定の例となる実施形態にあるように、結合がシステインチオールである場合、抗体は、1個のみもしくは数個のシステインチオール基を有し得るか、または、1個のみもしくは数個の十分に反応性のチオール基を有し得、それを通じてリンカーが結合され得る。ある特定の実施形態において、より高い薬物負荷、例えば、5超のpは、ある特定の抗体−薬物複合体において凝集、不溶性、毒性、または細胞透過性の喪失を引き起こし得る。ある特定の実施形態において、ADCについての平均薬物負荷は、1〜約8、すなわち約2〜約6、または約3〜約5の範囲である。実際、ある特定のADCについて、1抗体当たりの薬物部分の最適な比率は、8未満であり得、また約2〜約5であり得ることが示されてきた(米国第7498298号)。
ある特定の実施形態において、理論上の最大数よりも少ない薬物部分が、複合反応中に抗体に複合される。抗体は、下に考察されるように、例えば、薬物−リンカー中間体またはリンカー試薬と反応しないリジン残基を含有し得る。一般に、抗体は、薬物部分に連結し得る多くの遊離および反応性システインチオール基を含有せず、実際、抗体におけるほとんどのシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在する。ある特定の実施形態において、抗体は、ジチオスレイトール(DTT)またはトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)等の還元剤により、部分または完全還元条件下で還元されて、反応性システインチオール基を生成し得る。ある特定の実施形態において、本抗体は、リジンまたはシステイン等の反応性求核基を現わすために、変性条件に供される。
ADCの負荷(薬物/抗体比)は、異なる方式で、ならびに例えば、(i)抗体と比べてモル過剰の薬物−リンカー中間体またはリンカー試薬を限定すること、(ii)複合反応時間または温度を限定すること、および(iii)システインチオール修飾のための部分または限定的還元条件によって、制御されてもよい。
1個を超える求核基が薬物−リンカー中間体またはリンカー試薬と反応する場合、結果として生じる生成物は、1個以上の薬物部分の分布が抗体に結合した、ADC化合物の混合物であることを理解されたい。1抗体当たりの平均数薬物は、抗体に特異的および薬物に特異的である、二重ELISA抗体アッセイによって混合物から算出されてもよい。個々のADC分子は、質量分析法によって混合物中で特定され、HPLC、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって、分離されてもよい(例えば、McDonagh et al(2006)Prot.Engr.Design & Selection 19(7):299−307、Hamblett et al(2004)Clin.Cancer Res.10:7063−7070、Hamblett,K.J.,et al.“Effect of drug loading on the pharmacology,pharmacokinetics,and toxicity of an anti−CD30 antibody−drug conjugate,”Abstract No.624,American Association for Cancer Research,2004 Annual Meeting,March 27−31,2004,Proceedings of the AACR,Volume 45,March 2004;Alley,S.C.,et al.“Controlling the location of drug attachment in antibody−drug conjugates,”Abstract No.627,American Association for Cancer Research,2004 Annual Meeting,March 27−31,2004,Proceedings of the AACR,Volume 45,March 2004を参照されたい)。ある特定の実施形態において、単一の負荷値を有する同種のADCが、電気泳動またはクロマトグラフィーによって複合混合物から単離されてもよい。
d) 免疫複合体を調製するある特定の方法
式IのADCは、(1)抗体の求核基を二価リンカー試薬と反応させて、共有結合を介してAb−Lを形成し、続いて薬物部分Dと反応させることと、(2)薬物部分の求核基を二価リンカー試薬と反応させて、共有結合を介してD−Lを形成し、続いて抗体の求核基と反応させることとを含む、いくつかの経路によって、当業者に既知の有機化学反応、条件、および試薬を用いて調製されてもよい。後者の経路を介して式IのADCを調製するための例となる方法は、米国第7498298号に記載され、それは参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
抗体上の求核基には、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えば、リジン、(iii)側鎖チオール基、例えば、システイン、および(iv)抗体がグリコシル化される糖ヒドロキシルまたはアミノ基が含まれるが、これらに限定されない。アミン、チオール、およびヒドロキシル基は、求核性であり、(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート(haloformate)、および酸ハロゲン化物等の、活性エステル、(ii)ハロアセトアミド等のアルキルおよびベンジルハロゲン化物、ならびに(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基を含む、リンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して、共有結合を形成することが可能である。ある特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、抗体が完全または部分還元されるように、DTT(ジチオスレイトール)またはトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)等の還元剤での処理によって、リンカー試薬との複合に対して反応性にされ得る。各システイン架橋はこのようにして、理論上、2つの反応性のチオール求核剤を形成するであろう。追加の求核基は、リジン残基の修飾を通じて、例えば、リジン残基を2−イミノチオラン(トラウト試薬(Traut’s reagent))と反応させて、アミンのチオールへの変換をもたらすことによって、抗体中に導入することができる。反応性のチオール基もまた、1個、2個、3個、4個、またはそれよりも多いシステイン残基を導入することによって(例えば、1個以上の非天然システインアミノ酸残基を含む変異形抗体を調製することによって)、抗体中に導入され得る。
本発明の抗体−薬物複合体はまた、アルデヒドまたはケトンカルボニル基等の抗体上の求電子基と、リンカー試薬または薬物上の求核基との間の反応によって産生されてもよい。リンカー試薬上の有用な求核基には、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸塩、およびアリールヒドラジドが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、本抗体は、リンカー試薬または薬物上の求核置換基と反応可能である求電子部分を導入するように修飾される。別の実施形態において、グリコシル化抗体の糖を、例えば、過ヨウ素酸塩酸化試薬で酸化させて、リンカー試薬または薬物部分のアミン基と反応し得るアルデヒド基またはケトン基を形成してもよい。結果として生じるイミンシッフ塩基群は、安定した結合を形成し得るか、または例えば、水素化ホウ素試薬によって還元されて、安定したアミン結合を形成し得る。一実施形態において、グリコシル化された抗体の炭水化物部分の、ガラクトースオキシダーゼまたはメタ過ヨウ素酸ナトリウムのいずれかとの反応は、抗体において、薬物上の適切な基と反応することができるカルボニル(アルデヒドおよびケトン)基を生み出し得る(Hermanson,Bioconjugate Techniques)。別の実施形態において、N末端セリンまたはスレオニン残基を含有する抗体は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応して、第1のアミノ酸の代わりにアルデヒドの産生をもたらすことができる(Geoghegan & Stroh,(1992)Bioconjugate Chem.3:138−146、米国第5362852号)。かかるアルデヒドは、薬物部分またはリンカー求核剤と反応させることができる。
薬物部分上の例となる求核基には、(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物等の、活性エステル、(ii)ハロアセトアミド等のアルキルおよびベンジルハロゲン化物、ならびに(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基を含む、リンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して、共有結合を形成することが可能な、アミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸塩、およびアリールヒドラジド基が含まれるが、これらに限定されない。
ADCを調製するために使用され得る、非限定的な例となるクロスリンカー試薬は、本明細書における「例となるリンカー」と題される節に記載される。かかるクロスリンカー試薬を使用して、タンパク質性部分および化学部分を含む、2つの部分を連結する方法は、当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、抗体および細胞傷害性薬剤を含む融合タンパク質は、例えば、組み換え技法またはペプチド合成によって作製されてもよい。組み換えDNA分子は、互いに隣接しているか、または複合体の所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって隔離されているかのいずれかの、複合体の抗体および細胞傷害性部分をコードする領域を含んでもよい。
なおも別の実施形態において、抗体は、腫瘍の事前標的化(pre−targeting)において利用するために「受容体」(ストレプトアビジン等)に複合されてもよく、その腫瘍の事前標的化において抗体−受容体複合体が、患者に投与され、続いて除去剤を使用した血液循環からの非結合複合体の除去、次いで細胞傷害性薬剤(例えば、薬物または放射性ヌクレオチド)に複合されている「リガンド」(例えば、アビジン)の投与が行われる。
E. 診断および検出のための方法および組成物
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗CD22抗体のいずれも、生体試料中のCD22の存在を検出するために有用である。本明細書で使用される「検出すること」という用語は、定量または定性検出を包含する。「生体試料」は、例えば、細胞または組織を含む(例えば、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性緩慢性NHL、難治性NHL、難治性緩慢性NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫を含むが、これらに限定されない、B細胞障害および/またはB細胞増殖性障害を有するまたは有することが疑われる対象からの組織を含む、がん性のまたはがん性の可能性があるリンパ組織を含む、生検材料。
一実施形態において、診断または検出方法において使用するための抗CD22抗体が提供される。さらなる態様において、生体試料中のCD22の存在を検出する方法が提供される。ある特定の実施形態において、本方法は、生体試料を、本明細書に記載される抗CD22抗体と、CD22への抗CD22抗体の結合を許容する条件下で接触させることと、複合体が、生体試料中で、抗CD22抗体とCD22との間で形成されるかどうかを検出することとを含む。かかる方法は、体外方法であっても、体内方法であってもよい。一実施形態において、例えば、CD22が患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗CD22抗体を使用して、抗CD22抗体での治療法にふさわしい対象を選択する。さらなる実施形態において、生体試料は、細胞または組織である(例えば、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性緩慢性NHL、難治性NHL、難治性緩慢性NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫を含むが、これらに限定されない、B細胞障害および/またはB細胞増殖性障害を有するまたは有することが疑われる対象の組織を含む、がん性のまたはがん性の可能性があるリンパ組織。
さらなる実施形態において、抗CD22抗体は、例えば、がんを診断する、がんの予後を判定する、もしくはがんを病期分類する、適切な治療過程を決定する、または治療法に対するがんの反応を監視する目的のために、体内で使用されて、例えば、体内画像法によって、対象におけるCD22陽性がんを検出する。体内検出のための当該技術分野で既知の1つの方法は、例えば、van Dongen et al.,The Oncologist 12:1379−1389(2007)およびVerel et al.,J.Nucl.Med.44:1271−1281(2003)に記載される、免疫−陽電子放出断層撮影(免疫−PET)である。かかる実施形態において、対象においてCD22陽性がんを検出するための方法が提供され、本方法は、標識された抗CD22抗体を、CD22陽性がんを有するかまたはそれを有することが疑われる対象に投与することと、対象における標識された抗CD22抗体を検出することとを含み、その標識された抗CD22抗体の検出は、対象におけるCD22陽性がんを示す。かかる実施形態のある特定のものにおいて、標識された抗CD22抗体は、68Ga、18F、64Cu、86Y、76Br、89Zr、および124I等の陽電子放出体に複合される抗CD22抗体を含む。特定の実施形態において、陽電子放出体は、89Zrである。
さらなる実施形態において、診断または検出方法は、基質に固定化された第1の抗CD22抗体を、CD22の存在について試験されるべき生体試料と接触させることと、その基質を第2の抗CD22抗体に曝露することと、その第2の抗CD22が、生体試料中で、第1の抗CD22抗体とCD22との間の複合体に結合されるかどうかを検出することとを含む。基質は、任意の支持培地、例えば、ガラス、金属、セラミック、ポリマービーズ、スライド、チップ、および他の基質であってもよい。ある特定の実施形態において、生体試料は、細胞または組織(例えば、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性緩慢性NHL、難治性NHL、難治性緩慢性NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫を含むが、これらに限定されない、B細胞障害および/またはB細胞増殖性障害を有するまたは有することが疑われる対象からの組織を含む、がん性のまたはがん性の可能性があるリンパ組織を含む、生検材料)を含む。ある特定の実施形態において、第1または第2の抗CD22抗体は、本明細書に記載される抗体のいずれかである。
上の実施形態のいずれかにより診断または検出され得る例となる障害には、CD22陽性リンパ腫、CD22陽性非ホジキンリンパ腫(NHL、すなわち、CD22陽性侵攻性NHL、CD22陽性再発性侵攻性NHL、CD22陽性再発性緩慢性NHL、CD22陽性難治性NHL、およびCD22陽性難治性緩慢性NHLを含むが、これらに限定されない)、CD22陽性慢性リンパ球性白血病(CLL)、CD22陽性小リンパ球性リンパ腫、CD22陽性白血病、CD22陽性有毛細胞白血病(HCL)、CD22陽性急性リンパ球性白血病(ALL)、CD22陽性バーキットリンパ腫、およびCD22陽性マントル細胞リンパ腫等の、CD22陽性がんが含まれる。いくつかの実施形態において、CD22陽性がんは、「0」(腫瘍細胞の90%超における非常に弱いまたはゼロの染色に対応する)を超える、抗CD22免疫組織化学(IHC)スコアを受けるがんである。いくつかの実施形態において、CD22陽性がんは、1+、2+、または3+レベルでCD22を発現し、ここで1+は、新生物細胞の50%超における弱い染色に対応し、2+は、新生物細胞の50%超における中程度の染色に対応し、3+は、新生物細胞の50%超における強い染色に対応する。いくつかの実施形態において、CD22陽性がんは、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)アッセイに従ってCD22を発現するがんである。いくつかのかかる実施形態において、IHCについて使用されるものと同様のスコアリング体系が使用される。いくつかの実施形態において、CD22陽性がんは、CD22 mRNAを検出する逆転写酵素PCR(RT−PCR)アッセイに従って、CD22を発現するがんである。いくつかの実施形態において、RT−PCRは、定量RT−PCRである。
ある特定の実施形態において、標識された抗CD22抗体が提供される。標識には、直接検出される標識または部分(蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、および放射性標識等)、ならびに例えば、酵素反応または分子相互作用を通じて、間接的に検出される酵素またはリガンド等の部分が含まれるが、これらに限定されない。例となる標識には、放射性同位体32P、14C、125I、3H、および131I、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体等のフルオロフォア、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferases)、例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖質オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−リン酸塩デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化させる酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされた、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ等の複素環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定した遊離ラジカル等が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態において、標識は、陽電子放出体である。陽電子放出体には、68Ga、18F、64Cu、86Y、76Br、89Zr、および124Iが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、陽電子放出体は、89Zrである。
F. 医薬製剤
本明細書に記載されるCD22抗体または免疫複合体の医薬製剤抗は、所望の程度の純度を有するかかる抗体または免疫複合体を、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、調製される。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量および濃度で、受容者に対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム等;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免役グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート薬剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における例となる薬学的に許容される担体には、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)等のヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の、介在性(insterstitial)薬物分散剤がさらに含まれる。rHuPH20を含む、ある特定の例となるsHASEGPおよび使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号および同第2006/0104968号に記載される。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼ等の1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
例となる凍結乾燥抗体または免疫複合体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載される。水性抗体または免疫複合体製剤には、米国特許第6,171,586号および国際公開第2006/044908号に記載されるものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。
本明細書における製剤はまた、治療されている特定の適応症に対する必要に応じて、1つを超える活性成分、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的活性を有する成分を含有してもよい。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、または界面重合によって調製される、マイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中またはマクロエマルション中の、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセル中に、封入されてもよい。かかる技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示される。
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性製剤が調製されてもよい。徐放性製剤の好適な例としては、抗体または免疫複合体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが挙げられ、そのマトリクスは、造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。
体内投与のために使用されるべき製剤は、一般に滅菌されている。滅菌状態は、例えば、滅菌濾過膜を通じた濾過によって、容易に遂行され得る。
G. 治療方法および組成物
本明細書に提供される抗CD22抗体または免疫複合体のいずれも、方法、例えば、治療方法において使用され得る。
一態様において、本明細書に提供される抗CD22抗体または免疫複合体は、CD22陽性細胞の増殖を阻害する方法において使用され、本方法は、細胞を、抗CD22抗体または免疫複合体に、細胞の表面上のCD22への抗CD22抗体または免疫複合体の結合を許容する条件下で曝露し、それによって細胞の増殖を阻害することを含む。ある特定の実施形態において、本方法は、体外方法または体内方法である。いくつかの実施形態において、細胞は、B細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、リンパ腫細胞または白血病細胞等の新生物B細胞である。
体外での細胞増殖の阻害は、Promega(Madison,WI)から市販されている、CellTiter−Glo(商標)Luminescent Cell Viability Assayを使用してアッセイされてもよい。そのアッセイは、代謝的に活性な細胞を示す、存在するATPの定量に基づいて、培養物中の生存細胞の数を決定する。Crouch et al.(1993)J.Immunol.Meth.160:81−88、米国特許第6602677号を参照されたい。アッセイは、自動化高処理スクリーニング(HTS)を受けやすくする、96ウェルまたは384ウェル形式で行われてもよい。Cree et al.(1995)AntiCancer Drugs 6:398−404を参照されたい。アッセイ手順は、単一の試薬(CellTiter−Glo(登録商標)試薬)を培養細胞に直接添加することを伴う。これは、細胞溶解およびルシフェラーゼ反応によって生み出される発光シグナルの生成をもたらす。発光シグナルは、培養物中に存在する生存細胞の数に直接比例する、存在するATPの量に比例する。データは、ルミノメーターまたはCCDカメラ画像化デバイスによって記録することができる。発光出力は、相対発光量(RLU)として表される。
別の態様において、薬として使用するための抗CD22抗体または免疫複合体が提供される。さらなる態様において、治療方法において使用するための抗CD22抗体または免疫複合体が提供される。ある特定の実施形態において、CD22陽性がんを治療することにおいて使用するための抗CD22抗体または免疫複合体が提供される。ある特定の実施形態において、本発明は、CD22陽性がんを有する個体を治療する方法において使用するための抗CD22抗体または免疫複合体を提供し、本方法は、個体に、有効量の抗CD22抗体または免疫複合体を投与することを含む。1つのかかる実施形態において、本方法は、個体に、例えば、下に記載される、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。
さらなる態様において、本発明は、薬の製造または調製における、抗CD22抗体または免疫複合体の使用を提供する。一実施形態において、薬は、CD22陽性がんの治療のためである。さらなる実施形態において、薬は、CD22陽性がんを治療する方法において使用するためのものであり、本方法は、CD22陽性がんを有する個体に、有効量の薬を投与することを含む。1つのかかる実施形態において、本方法は、個体に、例えば、下に記載される、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。
さらなる態様において、本発明は、CD22陽性がんを治療するための方法を提供する。一実施形態において、本方法は、かかるCD22陽性がんを有する個体に、有効量の抗CD22抗体または免疫複合体を投与することを含む。1つのかかる実施形態において、本方法は、個体に、下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。
上の実施形態のいずれかによるCD22陽性がんは、例えば、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性緩慢性NHL、難治性NHL、難治性緩慢性NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫)であってもよい。いくつかの実施形態において、CD22陽性がんは、「0」(腫瘍細胞の90%超における非常に弱いまたはゼロの染色に対応する)を超える、抗CD22免疫組織化学(IHC)またはインサイツハイブリダイゼーション(ISH)スコアを受けるがんである。別の実施形態において、CD22陽性がんは、1+、2+、または3+レベルでCD22を発現し、ここで1+は、新生物細胞の50%超における弱い染色に対応し、2+は、新生物細胞の50%超における中程度の染色に対応し、3+は、新生物細胞の50%超における強い染色に対応する。いくつかの実施形態において、CD22陽性がんは、CD22 mRNAを検出する逆転写酵素PCR(RT−PCR)アッセイに従って、CD22を発現するがんである。いくつかの実施形態において、RT−PCRは、定量RT−PCRである。
いくつかの実施形態において、プロテアーゼ切断可能なリンカーを通じて抗CD22抗体に共有結合されたネモルビシン誘導体を含む免疫複合体は、例えば、実施例B、C、およびDに示される異種移植片モデルによって明らかとなるように、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を治療するのに有用である。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を治療することにおいて使用するための免疫複合体は、いくつかの実施形態において、PNU−159682および図4Bに示される免疫複合体等のval−citを含むリンカーを含み得る。いくつかの実施形態において、プロテアーゼ切断可能なリンカーを通じて抗CD22抗体に共有結合されたネモルビシン誘導体を含む免疫複合体は、バーキットリンパ腫を治療するのに有用である。
いくつかの実施形態において、CD22陽性がんを有する個体を治療する方法が提供され、このCD22陽性がんは、第1の治療薬に対して耐性である。いくつかの実施形態において、第1の治療薬に対して耐性であるCD22陽性がんは、P−糖タンパク質(P−gp)を発現する。いくつかの実施形態において、本方法は、個体に、CD22に結合する抗体を含む有効量の免疫複合体を投与することを含む。いくつかの実施形態において、CD22陽性がんは、リンパ腫、非ホジキン(non−Hogkins)リンパ腫(NHL)、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性緩慢性NHL、難治性NHL、難治性緩慢性NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫から選択される。いくつかの実施形態において、第1の治療薬は、CD22以外の抗原に結合する第1の抗体を含む。いくつかの実施形態において、第1の治療薬は、CD22以外の抗原に結合する第1の抗体および第1の細胞傷害性薬剤を含む、第1の免疫複合体である。いくつかの実施形態において、第1の抗体は、CD79bに結合する。いくつかの実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤と、CD22に結合する抗体を含む免疫複合体の細胞傷害性薬剤とは、異なる。いくつかのかかる実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、MMAE、カリケアマイシン、マイタンシノイド、およびピロロベンゾジアゼピンから選択される。いくつかのかかる実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、MMAEであり、CD22に結合する抗体を含む免疫複合体の細胞傷害性薬剤は、ネモルビシン誘導体である。いくつかのかかる実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、ピロロベンゾジアゼピンであり、CD22に結合する抗体を含む免疫複合体の細胞傷害性薬剤は、ネモルビシン誘導体である。いくつかのかかる実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、マイタンシノイドであり、CD22に結合する抗体を含む免疫複合体の細胞傷害性薬剤は、ネモルビシン誘導体である。
いくつかの実施形態において、第1の抗体は、CD22に結合する。いくつかのかかる実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、MMAE、カリケアマイシン、およびピロロベンゾジアゼピンから選択され、本明細書に記載される免疫複合体の細胞傷害性薬剤は、ネモルビシン誘導体である。いくつかの実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、MMAEであり、本明細書に記載される免疫複合体の細胞傷害性薬剤は、ネモルビシン誘導体である。いくつかの実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、ピロロベンゾジアゼピンであり、本明細書に記載される免疫複合体の細胞傷害性薬剤は、ネモルビシン誘導体である。いくつかの実施形態において、第1の細胞傷害性薬剤は、マイタンシノイドであり、本明細書に記載される免疫複合体の細胞傷害性薬剤は、ネモルビシン誘導体である。
いくつかの実施形態において、CD22陽性がん/P−gp陽性がんを有する個体を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、個体に、有効量の本明細書に記載される免疫複合体を投与することを含む。いくつかの実施形態において、CD22陽性がん/P−gp陽性がんは、リンパ腫、非ホジキン(non−Hogkins)リンパ腫(NHL)、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性緩慢性NHL、難治性NHL、難治性緩慢性NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫から選択される。いくつかの実施形態において、がんが対照細胞または組織よりも高いレベルのP−gp mRNAおよび/またはタンパク質を発現する際、そのがんは、P−gp陽性であると考えられる。対照細胞または組織は、種々の実施形態において、同じ患者からの非がん性細胞または組織、異なる患者もしくは健常な個体からの、または患者もしくは健常な個体のプールからの非がん性もしくはがん性細胞または組織、例えば、初期の治療連隊の前等のより早い時点で採取されたのと同じ患者からの、または健常な個体からの非がん性もしくはがん性細胞または組織等であり得る。
いくつかの実施形態において、がんを有する個体を治療する方法が提供され、このがんは、第1の治療薬に対して耐性である。いくつかの実施形態において、第1の治療薬は、第1のリンカーを通じて第1の細胞傷害性薬剤に連結された第1の抗体を含む、第1の免疫複合体である。いくつかの実施形態において、第1の治療薬(第1の免疫複合体等)に対して耐性であるがんを有する個体を治療する方法は、第2のリンカーを通じて第2の細胞傷害性薬剤に連結された第2の抗体を含む、第2の免疫複合体を投与することを含む。いくつかの実施形態において、第1の抗体および第2の抗体は、異なる抗原に結合し、第1の細胞傷害性薬剤と第2の細胞傷害性薬剤とは、同じであるか、または異なる。いくつかの実施形態において、第1の抗体および第2の抗体は、同じ細胞のうちの少なくともいくつかの上に存在する、異なる抗原に結合する。いくつかの実施形態において、第1の抗体および第2の抗体は、異なる抗原に結合し、第1の細胞傷害性薬剤と第2の細胞傷害性薬剤とは、異なる。いくつかの実施形態において、第1の抗体および第2の抗体は、同じ抗原に結合し、第1の細胞傷害性薬剤と第2の細胞傷害性薬剤とは、異なる。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、第1のリンカーと第2のリンカーとは、同じであっても、異なってもよい。いくつかの実施形態において、第1の抗体および第2の抗体は、異なる抗原に結合し、第1のリンカーと第2のリンカーとは異なり、第1の細胞傷害性薬剤と第2の細胞傷害性薬剤とは、異なる。
上の実施形態のいずれかによる「個体」は、ヒトであり得る。
さらなる態様において、本発明は、例えば、上の治療方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書に提供される抗CD22抗体または免疫複合体のいずれかを含む、医薬製剤を提供する。一実施形態において、医薬製剤は、本明細書に提供される抗CD22抗体または免疫複合体のいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む。別の実施形態において、医薬製剤は、本明細書に提供される抗CD22抗体または免疫複合体のいずれかと、例えば、下に記載される、少なくとも1つの追加の治療剤とを含む。
本発明の抗体または免疫複合体は、治療法において、単独で、または他の薬剤と組み合わせてのいずれかで使用することができる。例えば、本発明の抗体または免疫複合体は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、抗CD22免疫複合体は、抗CD79b抗体または免疫複合体と組み合わせて投与される。非限定的な例となる抗CD79b抗体または免疫複合体は、抗CD79b抗体または免疫複合体が、(i)配列番号32の配列を有するHVRH1、(ii)配列番号33の配列を有するHVRH2、(iii)配列番号34の配列を有するHVRH3、(iv)配列番号35の配列を有するHVRL1、(v)配列番号36の配列を有するHVRL2、および(vi)配列番号37の配列を有するHVRL3を含むように、huMA79bv28の超可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗CD79b抗体または免疫複合体は、huMA79bv28の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。いくつかのかかる実施形態において、抗CD79b抗体または免疫複合体は、配列番号38の配列を有する重鎖可変領域および配列番号39の配列を有する軽鎖可変領域を含む。抗CD79b免疫複合体は、いくつかの実施形態において、オーリスタチン、ネモルビシン誘導体、およびピロロベンゾジアゼピンから選択される細胞傷害性薬剤を含む。いくつかの実施形態において、抗CD79b免疫複合体は、MMAE、PNU−159682、および構造、
![Figure 0006297549](https://patentimages.storage.googleapis.com/d7/bd/5e/525b54e1dc18c7/0006297549-9.png)
を有するPBD二量体から選択される、細胞傷害性薬剤を含み、式中、波線は、抗CD79b抗体に結合するリンカーへの結合を示し、nは、0または1である。抗CD79b免疫複合体に使用され得る非限定的な例となるリンカーには、本明細書に記載されるものを含む。いくつかの実施形態において、抗CD79b免疫複合体は、例えば、米国第8,088,378 B2号に記載される、チオhuMA79bv28 HC A118C−MC−val−cit−PAB−MMAE免疫複合体;チオhuMA79bv28 HC S400C−MC−val−cit−PAB−MMAE免疫複合体、チオhuMA79bv28 LC V205C−MC−val−cit−PAB−MMAE免疫複合体、チオhuMA79bv28 HC A118C−MC−val−cit−PAB−PNU−159682、チオhuMA79bv28 HC A118C−MC−アセタール−PNU−159682、チオhuMA79bv28 HC A118C−MC−val−cit−PAB−PBD、チオhuMA79bv28 HC S400C−MC−val−cit−PAB−PNU−159682、チオhuMA79bv28 HC S400C−MC−アセタール−PNU−159682、チオhuMA79bv28 HC S400C−MC−val−cit−PAB−PBD、チオhuMA79bv28 LC V205C−MC−val−cit−PAB−PNU−159682、チオhuMA79bv28 LC V205C−MC−アセタール−PNU−159682、およびチオhuMA79bv28 LC V205C−MC−val−cit−PAB−PBDから選択される。チオhuMA79bv28 HC A118Cの重鎖および軽鎖配列は、それぞれ、配列番号40および41に示される。チオhuMA79bv28 HC S400Cの重鎖および軽鎖配列は、それぞれ、配列番号43および41に示される。チオhuMA79bv28 LC V205Cの重鎖および軽鎖配列は、それぞれ、配列番号42および44に示される。具体的な抗体配列は別として、抗CD79b免疫複合体の構造は、本明細書および米国第2008/0050310号に記載される抗CD22免疫複合体の構造に類似する。
いくつかの実施形態において、抗CD22免疫複合体は、抗CD20抗体(裸の抗体またはADCのいずれか)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、抗CD20抗体は、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))または2H7(Genentech,Inc.,South San Francisco,CA)である。いくつかの実施形態において、抗CD22免疫複合体は、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ(bevicizumab)、商標名Avastin(登録商標))と組み合わせて投与される。
限定なしに、放射線療法、ならびに/または骨髄および末梢血移植、および/または細胞傷害性薬剤を含む、他の治療レジメンが、抗CD22免疫複合体の投与と組み合わされてもよい。いくつかの実施形態において、細胞傷害性薬剤は、例えば、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、アドリアマイシン、ドキソルビンシン(doxorubincin)、ビンクリスチン(Oncovin(商標))、プレドニゾロン、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの組み合わせ)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの組み合わせ)、または抗CD20(例えば、リツキシマブ、商標名Rituxan(登録商標))等の免疫療法薬、抗VEGF(例えば、ベビシズマブ(bevicizumab)、商標名Avastin(登録商標))、タキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル等)、およびアントラサイクリン抗生物質等の、薬剤または薬剤の組み合わせである。
上述のかかる併用療法は、組み合わせた投与(2つ以上の治療剤が同じまたは別個の製剤中に含まれる)、および別個の投与を包含し、別個の投与の場合、本発明の抗体または免疫複合体の投与は、追加の治療剤および/またはアジュバントの投与の前、それと同時、および/またはその後に生じ得る。本発明の抗体または免疫複合体はまた、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
本発明の抗体または免疫複合体(および任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、および鼻腔内、ならびに局所両方のために所望される場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。投薬は、任意の好適な経路による、例えば、投与が短時間であるか慢性的であるかに部分的に応じて、静脈内または皮下注射等の、注射によるものであり得る。単回または種々の時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含むが、これらに限定されない、種々の投薬スケジュールが本明細書で企図される。
本発明の抗体または免疫複合体は、良好な医療行為と一致した様式で、製剤化され、投薬され、投与されるであろう。この文脈における考慮の要因には、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床的病態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジュール管理、および医療従事者に既知の他の要因が含まれる。抗体または免疫複合体は、必要ではないが、任意に、問題の障害を予防または治療するために現在使用される1つ以上の薬剤と共に製剤化される。かかる他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体または免疫複合体の量、障害または治療の種類、および上に考察された他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載されるのと同じ投薬量で、本明細書に記載される投与経路により、または本明細書に記載される投薬量の約1〜99%、または適切であると経験的/臨床的に決定される任意の投薬量で、任意の経路によって、使用される。
疾患の予防または治療のために、本発明の抗体または免疫複合体の適切な投薬量(単独でまたは1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用されるとき)は、治療対象の疾患の種類、抗体または免疫複合体の種類、疾患の重症度および経過、抗体または免疫複合体が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の治療法、患者の病歴および抗体または免疫複合体への反応、ならびに主治医の裁量に依存するであろう。抗体または免疫複合体は、患者に、1回で、または一連の治療にわたって、好適に投与される。疾患の種類および重症度に応じて、例えば、1回以上の別個の投与によってであれ、連続注入によってであれ、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体または免疫複合体が、患者への投与のための初回の候補投薬量であり得る。1つの典型的な1日投薬量は、上述の要因に応じて、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲であり得る。病態に応じて数日間またはより長い日数にわたる反復投与について、治療は、一般に、疾患症状の所望の抑制が生じるまで持続されるであろう。抗体または免疫複合体の1つの例となる投薬量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲内であろう。故に、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(またはそれらの任意の組み合わせ)の1回以上の用量が患者に投与されてもよい。かかる用量は、断続的に、例えば、毎週または3週間毎に(例えば、患者が抗体の約2〜約20回、または例えば、約6回用量を受容するように)投与されてもよい。初回よりも高い負荷用量、続いて1回以上のより低い用量が投与されてもよい。しかしながら、他の投薬レジメンが有用な場合がある。この治療法の進行は、従来の技術およびアッセイによって容易に監視される。
いくつかの実施形態において、PNU−159682等のネモルビシン誘導体を含む10F4v3 ADCのより低い用量を使用して、MMAE部分を含む10F4v3 ADCのより高い用量と同じ有効性を達成してもよい。
上の製剤または治療方法のうちのいずれも、本発明の免疫複合体および抗CD22抗体の両方を使用して行われ得ることが理解される。
H. 製品
本発明の別の態様において、上述の障害の治療、予防、および/または診断に有用な物質を含有する製品が提供される。製品は、容器、および容器上のまたは容器と関連したラベルまたは添付文書を含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が含まれる。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が含まれる。容器は、組成物を、それ自体で、または障害を治療する、予防する、および/もしくは診断するのに有効な別の組成物と組み合わせて保有し、また滅菌アクセスポートを有し得る(例えば容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性な薬剤は、本発明の抗体または免疫複合体である。ラベルまたは添付文書は、組成物が選定した病態を治療するために使用されることを表示する。さらに、製品は、(a)組成物がその中に含有された第1の容器(この組成物は本発明の抗体または免疫複合体を含む)、および(b)組成物がその中に含有された第2の容器(この組成物はさらなる細胞傷害性薬剤または治療剤を含む)を含んでもよい。本発明のこの実施形態の製品は、組成物が特定の病態を治療するために使用され得ることを表示する、添付文書をさらに含んでもよい。代替的に、または追加的に、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液またはデキストロース溶液等の、薬学的に許容される緩衝液を含む、第2の(または第3の)容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業的およびユーザの立場から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
III. [実施例]
以下は、本発明の方法および組成物の実施例である。上に提供される一般的説明を考慮すると、種々の他の実施形態が実施され得ることが理解される。
A. 抗CD22抗体薬物複合体の産生
抗CD22抗体10F4、ならびにヒト化変異形hu10F4v1およびhu10F4v3を含む、ある特定の変異形は、例えば、米国第2008/0050310号に記載される。抗体10F4、hu10F4v1、およびhu10F4v3は、配列番号9、10、および11の重鎖HVR(それぞれ、HVR H1、HVR H2、およびHVR H3)を含む。抗体10F4およびhu10F4v1は、配列番号12、13、および14の軽鎖HVR(それぞれ、HVR L1、HVF L2、およびHVR L3)を含む。Hu10F4v3は、配列番号15、13、および14の軽鎖HVR(それぞれ、HVR L1、HVF L2、およびHVR L3)を含み、hu10F4v3のHVR L1は、10F4および10F4v1のHVR L1と比べて、単一アミノ酸の変化(N28V)を含む。ヒトCD22に対する3つの抗体の結合親和性が類似している(1.4nM〜2.3nMの範囲)ことが分かった。ある特定のさらなるアミノ酸置換をhu10F4v1のHVR L1に作製し、配列番号16〜22で示す。これらのHVR L1配列のそれぞれを含む抗体は、hu10F4v1の結合親和性の2倍未満であるヒトCD22に対する結合親和性を有した。例えば、米国第2008/0050310号を参照されたい。
より大規模な抗体産生のために、抗体をCHO細胞内で産生した。VLおよびVHをコードするベクターを、CHO細胞中にトランスフェクトし、IgGを、プロテインAプロテインA親和性クロマトグラフィーによって細胞培養培地から精製した。
抗CD22抗体−薬物複合体(ADC)を、チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C抗体をある特定の薬物部分に複合することによって産生した。チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118Cは、複合体形成可能なチオール基を付加するA118C突然変異を有する、ヒト化抗CD22 10F4v3抗体である。例えば、米国第2008/0050310号を参照されたい。チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118Cの重鎖のアミノ酸配列は、配列番号26(図3を参照されたい)に示され、チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118Cの軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号23(図2を参照されたい)に示される。免疫複合体を次のように調製した。
チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C−MC−アセタール−PNU−159682(「10F4v3−PNU−2」)
複合前に、抗体をジチオスレイトール(DTT)により還元して、ブロッキング基(例えば、システイン)を、チオ−抗体の操作されたシステインから除去した。このプロセスはまた、抗体の鎖間ジスルフィド結合を還元する。還元された抗体を精製して、放出されたブロッキング基を除去し、鎖間ジスルフィドを、デヒドロアスコルビン酸(dhAA)を使用して再酸化させた。次いで、インタクトな抗体を薬物−リンカー部分MC−アセタール−PNU−159682と組み合わせて、操作された抗体のシステイン残基への薬物−リンカー部分の複合を可能にした。複合反応を、いずれの遊離リンカー−薬物部分とも反応する過剰のN−アセチル−システインを添加することによって反応停止処理し、ADCを精製した。ADCについての薬物負荷(1抗体当たりの薬物部分の平均数)は、下の実施例に示されるように、約1.8である。10F4v3−PNU−2は、図4Aに示される構造を有する(p=薬物負荷)。
チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C−MC−val−cit−PAB−PNU−159682(「10F4v3−PNU−1」)
複合前に、抗体をジチオスレイトール(DTT)により還元して、ブロッキング基(例えば、システイン)を、チオ−抗体の操作されたシステインから除去した。このプロセスはまた、抗体の鎖間ジスルフィド結合を還元する。還元された抗体を精製して、放出されたブロッキング基を除去し、鎖間ジスルフィドを、デヒドロアスコルビン酸(dhAA)を使用して再酸化させた。インタクトな抗体を次いで、薬物−リンカー部分MC−val−cit−PAB−PNU−159682(「val−cit」はまた、本明細書で「vc」と称され得る)と組み合わせて、抗体の操作されたシステイン残基への薬物−リンカー部分の複合を可能にした。複合反応を、いずれの遊離リンカー−薬物部分とも反応する過剰のN−アセチル−システインを添加することによって反応停止処理し、ADCを精製した。ADCについての薬物負荷(1抗体当たりの薬物部分の平均数)は、下の実施例に示されるように、約1.8〜1.9の範囲内であった。10F4v3−PNU−1は、図4Bに示される構造を有する(p=薬物負荷)。
チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C−MC−val−cit−PAB−MMAE(「10F4v3−MMAE」)
複合前に、抗体をジチオスレイトール(DTT)により還元して、ブロッキング基(例えば、システイン)を、チオ−抗体の操作されたシステインから除去した。このプロセスはまた、抗体の鎖間ジスルフィド結合を還元する。還元された抗体を精製して、放出されたブロッキング基を除去し、鎖間ジスルフィドを、デヒドロアスコルビン酸(dhAA)を使用して再酸化させた。インタクトな抗体を次いで、薬物−リンカー部分MC−val−cit−PAB−MMAE(「val−cit」はまた、本明細書で「vc」と称され得る)と組み合わせて、抗体の操作されたシステイン残基への薬物−リンカー部分の複合を可能にした。複合反応を、いずれの遊離リンカー−薬物部分とも反応する過剰のN−アセチル−システインを添加することによって反応停止処理し、ADCを精製した。ADCについての薬物負荷(1抗体当たりの薬物部分の平均数)は、下の実施例に示されるように、約2であることが決定された。チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C−MC−val−cit−PAB−MMAEは、例えば、米国第2008/0050310号に記載されている。
B. WSU−DLCL2異種移植片モデルにおけるヒト化抗CD22抗体薬物複合体の体内抗腫瘍活性
PNU−159682とのチオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C複合体(「10F4v3−PNU−1」および「10F4v3−PNU−2」)の有効性を試験するために、WSU−DLCL2腫瘍(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞株)のマウス異種移植片モデルにおいて複合された抗体の効果を検査した。
メスのCB17 ICR SCIDマウス(Charles Rivers Laboratoriesからの12〜13週齢;Hollister、CA)に各々、2×107WSU−DLCL2細胞(DSMZ、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Braunschweig,Germany)を脇腹から皮下接種した。異種移植片腫瘍が150〜300mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)、第1回かつ唯一の治療用量を投与した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて算出し、式:V=0.5a×b2に従ってmm3単位で表し、式中aおよびbは、それぞれ、腫瘍の短径および長径である。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro J,et al.nlme:linear and nonlinear mixed effects models.2009、Rパッケージ、第3.1−96版を参照されたい)。このアプローチは、反復測定、および研究終了前の動物の処置無関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。これらの非線形プロファイルを次いで、混合モデル内で用量に関連付けた。
9匹のマウスの群を、2もしくは8mg ADC/kgのチオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C免疫複合体または対照抗体−薬物複合体(対照ADC)の単回静脈内(i.v.)投薬で処置した。対照ADCは、WSU−DLCL2細胞の表面上で発現されないタンパク質に結合する。マウスの腫瘍および体重を、実験全体にわたって週1〜2回測定した。腫瘍体積が3000mm3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを安楽死させた。すべての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
その実験の結果が、表2および図5に示される。表2は、各処置群、研究の終了時に観察可能な腫瘍(「TI」)を有するマウスの数、部分応答(「PR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0日目に測定された腫瘍体積の50%未満に減少した場合)を示すマウスの数、完全応答(「CR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0mm
3に減少した場合)を示すマウスの数、各郡に対する薬物用量、各郡に対する抗体用量、および投与された各ADCに対する薬物負荷を示す。
[表2] WSU−DLCL2異種移植片を有するマウスへの抗CD22 ADC投与
表2に示される薬物複合体および用量を用いた35日間の時間経過において、プロテアーゼ切断可能リンカーを通じてPNU−159682と複合された10F4v3 ADC(「10F4v3−PNU−1」)は、ビヒクルおよび対照ADC(「対照−PNU−1」)と比較して、WSU−DLCL2腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の阻害を示した。図5を参照されたい。酸不安定性のリンカーを通じてPNU−159682と複合されたチオHu抗CD22(「10F4v3−PNU−2」)もまた、ビヒクルおよび対照ADC(「対照−PNU−2」)と比較して、WSU−DLCL2腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の阻害を示した。
この研究において、体重変化パーセントを各投薬群において決定した。結果は、10F4v3 ADCの投与が本研究中に体重の有意な減少を引き起こさなかったことを示した。
C. Granta−519異種移植片モデルにおけるヒト化抗CD22抗体薬物複合体の体内抗腫瘍活性
PNU−159682とのチオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C複合体(「10F4v3−PNU−1」および「10F4v3−PNU−2」)の有効性を試験するために、Granta−519腫瘍(ヒトマントル細胞リンパ腫細胞株)のマウス異種移植片モデルにおいて複合された抗体の効果を検査した。
メスのCB17 ICR SCIDマウス(Charles Rivers Laboratoriesからの10〜11週齢;Hollister、CA)に各々、2×107Granta−519細胞(DSMZ、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Braunschweig,Germany)を脇腹から皮下接種した。異種移植片腫瘍が150〜300mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)、第1回かつ唯一の治療用量を投与した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて算出し、式:V=0.5a×b2に従ってmm3単位で表し、式中aおよびbは、それぞれ、腫瘍の短径および長径である。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro et al.2009を参照されたい)。このアプローチは、反復測定、および研究終了前の動物の処置無関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。これらの非線形プロファイルを次いで、混合モデル内で用量に関連付けた。
9匹のマウスの群を、1mg ADC/kgの10F4v3免疫複合体または対照抗体−薬物複合体(対照ADC)の単回静脈内(i.v.)投薬で処置した。対照ADCは、Grant−519細胞の表面上で発現されないタンパク質に結合する。マウスの腫瘍および体重を、実験全体にわたって週1〜2回測定した。腫瘍体積が3000mm3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを安楽死させた。すべての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
その実験の結果が、表3および図6に示される。表3は、各処置群、研究の終了時に観察可能な腫瘍(「TI」)を有するマウスの数、部分応答(「PR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0日目に測定された腫瘍体積の50%未満に減少した場合)を示すマウスの数、完全応答(「CR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0mm
3に減少した場合)を示すマウスの数、各郡に対する薬物用量、各郡に対する抗体用量、および投与された各ADCに対する薬物負荷を示す。
[表3] Grant−519異種移植片を有するマウスへの抗CD22 ADC投与
表3に示される1mg ADC/kg用量の薬物複合体を用いた29日間の時間経過において、プロテアーゼ切断可能リンカーを通じてPNU−159682と複合されたチオHu抗CD22 ADC(「10F4v3−PNU−1」)は、ビヒクルおよび対照ADC(「対照−PNU−1」)と比較して、Granta−519腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の阻害を示した。図6を参照されたい。酸不安定性のリンカーを通じてPNU−159682と複合されたチオHu抗CD22(「10F4v3−PNU−2」)もまた、ビヒクルおよび対照ADC(「対照−PNU−2」)と比較して、Granta−519腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の阻害を示した。最後に、1mg/kgで投与されたとき、10F4v3−PNU−1は、オーリスタチン(auristatin)薬物MMAEと複合されたヒト化抗CD22チオmab(「10F4v3−MMAE」)より優れて腫瘍成長を阻害した。
10F4v3−PNU−1を受けたマウスはすべて腫瘍退縮を示したが、10F4v3−MMAEで処置されたマウスのほとんどは示さなかった。10F4v3−PNU−1の単回投薬は、2つの部分応答および7つの完全応答をもたらした。
この研究において、体重変化パーセントを各投薬群において決定した。結果は、10F4v3 ADCの投与が本研究中に体重の有意な減少を引き起こさなかったことを示した。
D. SuDHL4−luc異種移植片モデルにおけるヒト化抗CD22抗体薬物複合体の体内抗腫瘍活性
PNU−159682とのチオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C複合体(「10F4v3−PNU−1」および「10F4v3−PNU−2」)の有効性を試験するために、SuDHL4−luc腫瘍(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞株)のマウス異種移植片モデルにおいて複合された抗体の効果を検査した。
メスのCB17 ICR SCIDマウス(Charles Rivers Laboratoriesからの11〜12週齢;Hollister、CA)に各々、2×107SuDHL4−luc細胞(DSMZ、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Braunschweig,Germanyから得、Genentechにて、ルシフェラーゼ遺伝子を安定に発現するように操作された)を脇腹から皮下接種した。異種移植片腫瘍が150〜300mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)、第1回かつ唯一の治療用量を投与した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて算出し、式:V=0.5a×b2に従ってmm3単位で表し、式中aおよびbは、それぞれ、腫瘍の短径および長径である。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro et al.2008を参照されたい)。このアプローチは、反復測定、および研究終了前の動物の処置無関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。これらの非線形プロファイルを次いで、混合モデル内で用量に関連付けた。
8匹のマウスの群を、2もしくは8mg ADC/kgの10F4v3免疫複合体または対照抗体−薬物複合体(対照ADC)の単回静脈内(i.v.)投薬で処置した。対照ADCは、SuDHL4−luc細胞の表面上で発現されないタンパク質に結合する。マウスの腫瘍および体重を、実験全体にわたって週1〜2回測定した。腫瘍体積が3000mm3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを安楽死させた。すべての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
その実験の結果が、表4および図7に示される。表4は、各処置群、研究の終了時に観察可能な腫瘍(「TI」)を有するマウスの数、部分応答(「PR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0日目に測定された腫瘍体積の50%未満に減少した場合)を示すマウスの数、完全応答(「CR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0mm
3に減少した場合)を示すマウスの数、各郡に対する薬物用量、各郡に対する抗体用量、および投与された各ADCに対する薬物負荷を示す。
[表4] SuDHL4−luc異種移植片を有するマウスへの抗CD22 ADC投与
表4に示される薬物複合体および用量を用いた35日間の時間経過において、プロテアーゼ切断可能リンカーを通じてPNU−159682と複合されたチオHu抗CD22 ADC(「10F4v3−PNU−1」)は、ビヒクルおよび対照ADC(「対照−PNU−1」)と比較して、SuDHL4−luc腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の阻害を示した。図7を参照されたい。酸不安定性のリンカーを通じてPNU−159682と複合されたチオHu抗CD22(「10F4v3−PNU−2」)もまた、ビヒクルおよび対照ADC(「対照−PNU−2」)と比較して、SuDHL4−luc腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の阻害を示した。
この研究において、体重変化パーセントを各投薬群において決定した。結果は、10F4v3 ADCの投与が本研究中に体重の有意な減少を引き起こさなかったことを示した。
E. SuDHL4−luc異種移植片モデルにおける10F4v3−PNU−1の用量漸増研究
SuDHL4−luc腫瘍(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞株)のマウス異種移植片モデルにおける種々の用量レベルでの10F4v3−PNU−1の有効性を検査した。
メスのCB17 ICR SCIDマウス(Charles Rivers Laboratoriesからの10〜11週齢;Hollister、CA)に各々、2×107SuDHL4−luc細胞(DSMZ、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Braunschweig,Germanyから得、Genentechにて、ルシフェラーゼ遺伝子を安定に発現するように操作された)を脇腹から皮下接種した。異種移植片腫瘍が150〜300mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)、第1回かつ唯一の治療用量を投与した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて算出し、式:V=0.5a×b2に従ってmm3単位で表し、式中aおよびbは、それぞれ、腫瘍の短径および長径である。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro et al.2008を参照されたい)。このアプローチは、反復測定、および研究終了前の動物の処置無関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。これらの非線形プロファイルを次いで、混合モデル内で用量に関連付けた。
7匹のマウスの群を、0.2、0.5、1、もしくは2mg ADC/kgの10F4v3−PNU−1、またはSuDHL4−luc細胞の表面上で発現されないタンパク質に結合する対照−PNU−1の単回静脈内(i.v.)投薬で処置した。マウスの腫瘍および体重を、実験全体にわたって週1〜2回測定した。腫瘍体積が3000mm3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを安楽死させた。すべての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
その実験の結果が、表5および図8に示される。表5は、各処置群、研究の終了時に観察可能な腫瘍(「TI」)を有するマウスの数、部分応答(「PR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0日目に測定された腫瘍体積の50%未満に減少した場合)を示すマウスの数、完全応答(「CR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0mm
3に減少した場合)を示すマウスの数、各郡に対する薬物用量、各郡に対する抗体用量、および投与された各ADCに対する薬物負荷を示す。
[表5] SuDHL4−luc異種移植片を有するマウスへの抗CD22 ADC投与
表5に示される薬物複合体および用量を用いた49日間の時間経過において、10F4v3−PNU−1は、SuDHL4−luc腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の用量依存性阻害を示した。0.5mg/kgまたはより高い用量で投与されたとき、10F4v3−PNU−1は、ビヒクルまたは対照ADCと比較して、明白な阻害活性を示した。図8を参照されたい。
この研究において、体重変化パーセントを各投薬群において決定した。結果は、10F4v3−PNU−1の投与が本研究中に体重の有意な減少を引き起こさなかったことを示した。
F. Bjab−luc異種移植片モデルにおける10F4v3−PNU−1の用量漸増研究
Bjab−luc腫瘍(バーキットリンパ腫細胞株)のマウス異種移植片モデルにおける種々の用量レベルでの10F4v3−PNU−1の有効性を検査した。
メスのCB17 ICR SCIDマウス(Charles Rivers Laboratoriesからの12〜13週齢;Hollister、CA)に各々、2×107Bjab−luc細胞(例えば、Lonza、Basel,Switzerlandから入手可能であり、Genentechにて、ルシフェラーゼ遺伝子を安定に発現するように操作された)を脇腹から皮下接種した。異種移植片腫瘍が150〜300mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)、第1回および唯一の治療用量を投与した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて算出し、式:V=0.5a×b2に従ってmm3単位で表し、式中aおよびbは、それぞれ、腫瘍の長径および短径である。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro et al.2008を参照されたい)。このアプローチは、反復測定、および研究終了前の動物の無処置関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。これらの非線形プロファイルを次いで、混合モデル内で用量に関連付けた。
8匹のマウスの群を、0.2、0.5、1、もしくは2mg ADC/kgの10F4v3−PNU−1、またはBjab−luc細胞の表面上で発現されないタンパク質に結合する対照−PNU−1の単回静脈内(i.v.)投薬で処置した。マウスの腫瘍および体重を、実験全体にわたって週1〜2回測定した。腫瘍体積が3000mm3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを安楽死させた。すべての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
その実験の結果が、表6および図9に示される。表7は、各処置群、研究の終了時に観察可能な腫瘍(「TI」)を有するマウスの数、部分応答(「PR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0日目に測定された腫瘍体積の50%未満に減少した場合)を示すマウスの数、完全応答(「CR」、投与後の任意の時点の腫瘍体積が0mm
3に減少した場合)を示すマウスの数、各郡に対する薬物用量、各郡に対する抗体用量、および投与された各ADCに対する薬物負荷を示す。
[表6] Bjab−luc異種移植片を有するマウスへの抗CD22 ADC投与
表6に示される薬物複合体および用量を用いた41日間の時間経過において、10F4v3−PNU−1は、Bjab−luc腫瘍を有するSCIDマウスにおいて腫瘍成長の用量依存性阻害を示した。0.1mg/kgまたはより高い用量で投与されたとき、10F4v3−PNU−1は、ビヒクルまたは対照ADCと比較して、明白な阻害活性を示した。図9を参照されたい。加えて、2mg/kgの10F4v3−PNU−1の単回投薬は、すべての処置動物において完全な腫瘍寛解をもたらした。
この研究において、体重変化パーセントを各投薬群において決定した。結果は、10F4v3−PNU−1の投与が本研究中に体重の有意な減少を引き起こさなかったことを示した。
G. 抗CD22−vc−MMAEに対して耐性のBjab−luc細胞における、ネモルビシン誘導体を含む抗CD22免疫複合体の有効性
抗CD22−vc−MMAEに対して耐性が発達した非ホジキンリンパ腫におけるネモルビシン誘導体を含む抗CD22免疫複合体の有効性を決定するために、抗CD22−vc−MMAEに対して耐性であるBjab−luc細胞を体内で発達させた。
CB17 SCIDマウス(Charles River Laboratories,Hollister,CA)に、HBSS中、20万個のBjab−luc細胞を背側右脇腹から皮下接種した。Bjab−luc細胞を接種した20匹のマウスに、1.5mg/kgのhu抗CD22 10F4v3−MC−vc−PAB−MMAEを、0日目に静脈内投薬した。マウスにいつ再投薬するか、およびどの用量で投薬するかを決定するために、次の事項を考慮した:腫瘍が最初の処置後に再成長(すなわち、成長して0日目の最初の腫瘍体積まで戻った腫瘍)するか否か、および再成長の速度。投与された用量の頻度は、経時的に様々であったが、2回用量/週を超えることはなかった。静脈内投薬は、300μLを超えることはなかった。投与された用量の範囲は、1.5、2、3、4、5、6、8、15、および20mg/kgであった。腫瘍が、一連の漸増用量に対してもはや反応しなくなる(すなわち、それが耐性を示す)と、投薬を中止した。
BJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1およびBJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1と称される2つの耐性系列が生成された。CD22が耐性細胞の表面上に発現され、抗CD22抗体は耐性細胞によって取り入れられた。hu抗CD22 10F4v3−MC−vc−PAB−MMAEに対する体内での耐性が、BJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1異種移植片モデルにおいて確認された。
耐性細胞および親のBjab−luc細胞におけるP−糖タンパク質(多剤耐性タンパク質1またはMDR1とも称されるP−gp)の発現をRT−PCR、FACS、および表面プラスモン共鳴によって決定した。3つすべての方法は、P−gpが親のBjab−luc細胞と比較して、BJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1およびBJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1細胞において上方制御されたことを示した。図10は、FACSによって決定された耐性細胞におけるP−gpの発現を示す。
P−gpが、BJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1およびBJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1細胞において観察される10F4v3−MMAE耐性に少なくとも部分的に関与するという仮説を支持するため、P−gpを安定して発現するBjab−luc細胞を発達させた。図10は、2つの安定して発現するBjab−luc細胞株(高発現細胞株および低発現細胞株)におけるP−gpの発現を示す。Bjab−luc_P−gp高および低細胞はまた、10F4v3−MMAEに対して耐性であることが分かった。
ネモルビシン誘導体を含む抗CD22免疫複合体が耐性細胞に対して有効であり得るかどうかを決定するために、PNU−159682の有効性をP−gp発現Bjab−luc細胞株において試験した。図11に示されるように、PNU−159682はアントラサイクリン類似体であるが、P−gpの基質であるようには見られなかった。P−gp高発現Bjab−luc細胞およびP−gp低発現Bjab−luc細胞は共に、PNU−159682に対して感受性であった。
チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C−MC−val−cit−PAB−PNU−159682(「10F4v3−PNU−1」)の有効性をBJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1異種移植片モデルにおいて決定した。メスのCB17 ICR SCIDマウス(Charles Rivers Laboratoriesからの10週齢;Hollister、CA)に各々、2x107BJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1細胞を脇腹から皮下接種した。異種移植片腫瘍が100〜200mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)、第1回および唯一の治療用量を投与した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて算出し、式:V=0.5a×b2に従ってmm3単位で表し、式中aおよびbは、それぞれ、腫瘍の長径および短径である。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro et al.2008を参照されたい)。このアプローチは、反復測定、および研究終了前の動物の無処置関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。これらの非線形プロファイルを次いで、混合モデル内で用量に関連付けた。
8匹のマウスの群を、1mg ADC/kgの10F4v3−PNU−1または8mg ADC/kgの10F4v3−MMAEの単回静脈内(i.v.)投薬で処置した。マウスの腫瘍および体重を、実験全体にわたって週1〜2回測定した。腫瘍体積が3000mm3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを安楽死させた。すべての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
その実験の結果が、図12に示される。図中の未標識の線は、ビヒクルのみを投与されたマウスの腫瘍成長を示す。BJAB.Luc_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1細胞は、体内で10F4v3−MMAEに対して耐性であったが、10F4v3−PNU−1に対して感受性であった。
H. 抗CD22−vc−MMAEに対して耐性のWSU−DLCL2細胞における、ネモルビシン誘導体を含む抗CD22免疫複合体の有効性
抗CD22−vc−MMAEに対して耐性が発達した非ホジキンリンパ腫におけるネモルビシン誘導体を含む抗CD22免疫複合体の有効性を決定するために、抗CD22−vc−MMAEに対して耐性であるWSU−DLCL2細胞を体内で発達させた。
CB17 SCIDマウス(Charles River Laboratories,Hollister,CA)に、HBSS中、20万個のWSU−DLCL2細胞を背側右脇腹から皮下接種した。WSU−DLCL2細胞を接種した20匹のマウスに、12mg/kgのhu抗CD22 10F4v3−MC−vc−PAB−MMAEを、0日目に静脈内投薬した。マウスにいつ再投薬するか、およびどの用量で投薬するかを決定するために、次の事項を考慮した:腫瘍が最初の処置後に再成長(すなわち、成長して0日目の最初の腫瘍体積まで戻った腫瘍)するか否か、および再成長の速度。投与された用量の頻度は、経時的に様々であったが、2回用量/週を超えることはなかった。静脈内投薬は、300μLを超えることはなかった。投与された用量の範囲は、12、15、18、20、25、および30mg/kgであった。腫瘍が、一連の漸増用量に対してもはや反応しなくなる(すなわち、それが耐性を示す)と、投薬を中止した。
WSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1およびWSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1と称される2つの耐性系列が生成された。CD22が耐性細胞の表面上に発現され、抗CD22抗体は耐性細胞によって取り入れられた。hu抗CD22 10F4v3−MC−vc−PAB−MMAEに対する体内での耐性が、WSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1異種移植片モデルにおいて確認された。
耐性細胞および親のWSU−DLCL2細胞におけるP−糖タンパク質(多剤耐性タンパク質1またはMDR1とも称されるP−gp)の発現をRT−PCR、FACS、および表面プラスモン共鳴によって決定した。3つすべての方法は、P−gpが親のWSU−DLCL2細胞と比較して、WSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1およびWSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.2X1細胞、において上方制御されたことを示した。図13は、FACSによって決定された耐性細胞におけるP−gpの発現を示す。
チオHu抗CD22 10F4v3 HC A118C−MC−val−cit−PAB−PNU−159682(「10F4v3−PNU−1」)の有効性をWSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1異種移植片モデルにおいて決定した。メスのCB17 ICR SCIDマウス(Charles Rivers Laboratoriesからの11週齢;Hollister、CA)に各々、2x107WSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1細胞を脇腹から皮下接種した。異種移植片腫瘍が100〜250mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)、第1回かつ唯一の治療用量を投与した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて算出し、式:V=0.5a×b2に従ってmm3単位で表し、式中aおよびbは、それぞれ、腫瘍の長径および短径である。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro et al.2008を参照されたい)。このアプローチは、反復測定、および研究終了前の動物の無処置関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。これらの非線形プロファイルを次いで、混合モデル内で用量に関連付けた。
8匹のマウスの群を、2mg ADC/kgの10F4v3−PNU−1または12mg ADC/kgの10F4v3−MMAEの単回静脈内(i.v.)投薬で処置した。マウスの腫瘍および体重を、実験全体にわたって週1〜2回測定した。腫瘍体積が3000mm3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを安楽死させた。すべての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
その実験の結果が、図14に示される。図中の未標識の線は、ビヒクルのみを投与されたマウスの腫瘍成長である。WSU−DLCL2_10F4v3−vcE(CD22)_T1.1X1細胞は、体内で10F4v3−MMAEに対して耐性であったが、10F4v3−PNU−1に対して感受性であった。
上述の発明は、明確な理解のための例示説明および例としてある程度詳細に記載されたが、これらの説明および例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書で引用されるすべての特許および科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。