JP6294570B2 - 非水電解質二次電池負極用スラリー組成物及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池負極用スラリー組成物、該負極用スラリー組成物を集電体に塗布して得られる非水電解質二次電池負極、該負極を備える非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池負極用スラリー組成物に用いられる有機中空粒子に関する。
従来、携帯電話、ノートパソコン、PDAなどの電子デバイスに二次電池が広く使用されている。二次電池は、繰り返し利用される。このため、二次電池には、高いサイクル特性を有することが求められる。
例えば、特許文献1には、非水電解質二次電池で負極に中空状あるいは多孔質上の無機粒子を含む負極活物質層を有することによってサイクル特性が向上することが提案されている。
また、特許文献2には、二次電池において、電極活物質と架橋ポリマー粒子を含有する電池電極を用いることでサイクル特性が向上することが提案されている。
国際公開第2013/047016号 日本特開平8−250124号公報
近年、さらに改善されたサイクル特性を有する非水電解質二次電池が求められている。
本発明の目的は、改善されたサイクル特性を有する非水電解質二次電池負極に用いられるスラリー組成物、該スラリー組成物を集電体に塗布して得られる非水電解質二次電池負極、該負極を備える非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池負極用スラリー組成物に用いられる有機中空粒子を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者は種々検討した結果、特定の有機中空粒子を含む非水電解質二次電池負極用スラリー組成物を用いて得られる負極を非水電解質二次電池に使用することで、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の非水電解質二次電池負極用スラリー組成物は、外殻が熱可塑性樹脂からなる有機中空粒子と、負極用バインダーと、負極活物質とを含み、前記有機中空粒子の内孔径(d1)と外孔径(d2)の比(d1/d2)が、0.7超0.999以下である。
本発明の非水電解質二次電池負極用スラリー組成物は、次の(1)〜(5)のうちの少なくとも1つの構成要件をさらに満足すると好ましい。
(1)前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含有する重合性成分の重合体である。
(2)前記有機中空粒子が、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球の膨張体である。
(3)前記有機中空粒子の真比重が0.01〜0.5である。
(4)前記有機中空粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜50μmである。
(5)負極用スラリー組成物中の前記有機中空粒子の含有量が、前記負極活物質100重量部に対して0.001〜10重量部である。
本発明の非水電解質二次電池負極は、上記の負極用スラリー組成物を集電体に塗布してなるものである。
本発明の非水電解質二次電池は、上記の負極と、正極と、非水電解質と、セパレータとを備えるものである。
本発明の非水電解質二次電池負極用スラリー組成物に用いられる有機中空粒子は、外殻が熱可塑性樹脂からなり、前記有機中空粒子の内孔径(d1)と外孔径(d2)の比(d1/d2)が、0.7超0.999以下である。
本発明の有機中空粒子は、上記の(1)〜(4)のうちの少なくとも1つの構成要件をさらに満足すると好ましい。
本発明の非水電解質二次電池負極用スラリー組成物によれば、優れたサイクル特性を有する非水電解質二次電池負極及び非水電解質二次電池を得ることができる。
本発明の非水電解質二次電池負極及び非水電解質二次電池は、サイクル特性に優れる。
本発明の非水電解質二次電池負極用スラリー組成物に用いられる有機中空粒子によれば、優れたサイクル特性を有する非水電解質二次電池負極及び非水電解質二次電池を得ることができる。
有機中空粒子の一例を示す概略図である。 有機中空粒子Aの一例を示す概略図である。 非水電解質二次電池の一例を示す概略図である。
本発明の非水電解質二次電池1は、図3に示すように、電池容器6を備えている。本実施形態では、電池容器6は、円筒形である。但し、本発明において、電池容器の形状は、円筒形に限定されない。出日容器の形状は、例えば扁平形状であってもよい。
電池容器6内には、非水電解質を含浸した電極体2が収納されている。
電極体2は、負極3と、正極4と、負極3及び正極4の間に配置されているセパレータ5とが巻回されてなる。
[非水電解質二次電池負極]
負極は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の表面の上に配された負極活物質層とを有する。
本発明の負極活物質層は、有機中空粒子により導入された空隙を有する。
例えば、後で詳しく述べる非水電解質二次電池負極用スラリー組成物(以下、「負極用スラリー組成物」ということがある。)を、負極集電体上に塗布し、乾燥する工程を含む製造方法により製造することができる。
具体的には、負極用スラリー組成物を調製後、この負極用スラリー組成物を負極集電体上に塗布する。負極用スラリー組成物は、負極集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。負極用スラリー組成物は分散性に優れるので、均一な塗布が容易である。また、塗工前に負極用スラリー組成物をろ過することで、更に均一な負極活物質層を作製できる。負極集電体上への負極用スラリー組成物の塗布量は、好ましくは10〜20mg/cm、である。
負極集電体は、たとえば、金属、炭素、導電性高分子などを用いることができ、好適には金属が用いられる。金属としては、通常、銅、アルミニウム、白金、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼、その他の合金等が使用される。これらの中で導電性、耐電圧性の面から、銅、アルミニウム又はアルミニウム合金を使用するのが好ましい。また、高い耐電圧性が要求される場合には特開2001−176757号公報等で開示される高純度のアルミニウムを好適に用いることができる。集電体は、フィルム又はシート状であり、その厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
塗布方法に制限は無く、例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。負極用スラリー組成物を塗布することにより、集電体の表面に、負極用スラリー組成物の膜が形成される。この際、負極用スラリー組成物の膜の厚みは、目的とする負極活物質層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
その後、乾燥により、負極用スラリー組成物の膜から水等の溶媒を除去する。これにより、負極用バインダー、負極活物質及び有機中空粒子を含み、必要に応じて用いられる水溶性高分子及び/又は導電助剤を含む負極活物質層が集電体の表面に形成され、非水電解質二次電池負極が得られる。
乾燥温度及び乾燥時間は、特に制限されない。例えば、120℃以上で1時間以上加熱処理してもよい。乾燥方法としては、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。
集電体の表面に負極活物質層を形成した後で、金型プレス又はロールプレスなどを用い、負極活物質層に加圧処理を施すことが好ましい。加圧処理により、負極の空隙率を低くすることができる。
さらに、負極活物質層が硬化性の重合体を含む場合は、負極活物質層の形成後にこの重合体を硬化させてもよい。
(非水電解質二次電池負極用スラリー組成物)
本発明の負極用スラリー組成物は、負極用バインダー、負極活物質及び有機中空粒子を含むものである。必要に応じて、水溶性高分子や導電助剤を含んでもよい。
負極用スラリー組成物中の有機中空粒子の含有量は、負極活物質100重量部に対して好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜3.5重量部である。負極用スラリー組成物中の有機中空粒子の含有量が多すぎると、得られる非水電解質二次電池の出力特性が低下することがある。また、負極用スラリー組成物中の有機中空粒子の含有量が前記範囲外であると、非水電解質二次電池の寿命特性が低下することがある。
本発明の負極用スラリー組成物は、無機材料からなる中空粒子及び多孔質粒子を含有していてもよい。無機材料からなる中空粒子及び多孔質粒子としては、例えば、シリカ、チタニアなどの無機中空体;多孔質酸化アルミナなどの無機多孔質粒子等が挙げられる。
負極用バインダー、負極活物質、有機中空粒子および必要に応じて添加される水溶性高分子及び/又は導電助剤を溶媒に分散又は溶解する方法又は順番は、特に限定されない。例えば、溶媒に負極用バインダー、負極活物質、水溶性高分子、有機中空粒子および導電助剤を添加し混合する方法、溶媒に水溶性高分子を溶解した後、負極活物質及び導電助剤を添加して混合し、最後に溶媒に分散させた負極用バインダー(例えば、ラテックス)を添加して混合する方法、溶媒に分散させた負極用バインダーに負極活物質および導電助剤を添加して混合し、この混合物に溶媒に溶解させた水溶性高分子を添加して混合して、最後に有機中空粒子を添加混合する方法等が挙げられる。
負極用バインダーは、水系バインダーが好ましく、SBRバインダー、ポリアクリレートバインダー等を用いることができる。
負極活物質は、非水電解質二次電池の負極において通常、リチウムを吸蔵及び放出できる物質を用いることができる。
負極活物質としては、例えば、炭素材料、リチウムと合金化する材料、酸化スズなどの金属酸化物などが挙げられる。リチウムと合金化する材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、スズ及びアルミニウムからなる群から選ばれた1種以上の金属、またはシリコン、ゲルマニウム、スズ及びアルミニウムからなる群から選ばれた1種以上の金属を含む合金からなるものが挙げられる。炭素材料の具体例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス、ハードカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。非水電解質二次電池の高容量化と寿命特性とのバランスを図ることができる観点から、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛が好ましい。
また、非水電解質二次電池に好ましく用いられる負極活物質の別の例としては、金属を含む負極活物質が挙げられる。特に、スズ、ケイ素、ゲルマニウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む負極活物質が好ましい。これらの元素を含む負極活物質は、不可逆容量を小さくできる。
水溶性高分子は、特に限定はないが、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸エステル、ならびにアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ポリアクリル酸、およびポリアクリル酸(またはメタクリル酸)ナトリウムなどのポリアクリル酸(またはメタクリル酸)塩、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体、キサンタンガム、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリオキシアルキレン系界面活性剤などが挙げられる。なお、本発明において、「(変性)ポリ」は「未変性ポリ」又は「変性ポリ」を意味する。
これらの水溶性高分子は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。
導電助剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されないが、導電性を有する粒子状の材料が好ましく、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等の導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相法炭素繊維等の炭素繊維;が挙げられる。導電助剤が粒子状の材料である場合の平均粒子径は、特に限定されないが、負極活物質の平均粒子径よりも小さいものが好ましく、より少ない使用量で十分な導電性を発現させる観点から、好ましくは0.001〜10μm、より好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.03〜1μmである。
(有機中空粒子)
非水電解質二次電池負極用スラリー組成物に用いられる有機中空粒子は、その外殻が熱可塑性樹脂から構成される。有機中空粒子は、外殻およびそれに囲まれた中空部から構成されると好ましい。有機中空粒子は、(ほぼ)球状で、内部に大きな空洞に相当する中空部を有している。有機中空粒子の形状を身近な物品で例示するならば、軟式テニスボールを挙げることができる。
中空部は、(ほぼ)球状であり、外殻の内表面と接している。中空部は、基本的には気体で満たされており、液化した状態であってもよい。中空部は、通常は、大きな中空部1つであることが好ましいが、有機中空粒子中に複数あってもよい。
有機中空粒子の内孔と外孔の比は、内孔径(d1)と外孔径(d2)との比(d1/d2)で算出される。比(d1/d2)は、0.7超0.999以下であり、好ましくは0.75〜0.995、より好ましくは0.78〜0.990、さらに好ましくは0.80〜0.985、特に好ましくは0.85〜0.980である。当該比(d1/d2)が0.7以下であると、非水電解質二次電池のサイクル特性の向上効果が低くなる。また、当該比(d1/d2)が0.999超である場合、有機中空粒子が非水電解質二次電池負極用スラリー組成物調整時に破壊され、非水電解質二次電池のサイクル特性の向上効果が低下することがある。
有機中空粒子の真比重については、特に限定はないが、好ましくは0.01〜0.5、さらに好ましくは0.012〜0.49、特に好ましくは0.04〜0.48、最も好ましくは0.31〜0.47である。有機中空粒子の真比重が0.01未満であると、有機中空粒子の外殻の厚みが薄いことにより強度低下し、有機中空粒子が非水電解質二次電池負極用スラリー組成物調整時に破壊され、非水電解質二次電池のサイクル特性の向上効果が低下することがある。一方、有機中空粒子の真比重が0.5を超えると、有機中空粒子の体積に占める外殻の体積の割合が多くなり、非水電解質二次電池のサイクル特性が低下することがある。
有機中空粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)については、特に限定はないが、好ましくは0.1〜50μmであり、より好ましくは1.0〜35μm、さらに好ましくは2.0〜20μm、特に好ましくは2.5〜15μm、最も好ましくは3.0〜10である。D50が0.1μm未満であると、均一分散が難しくなることがある。一方、D50が50μmを超えると、非水電解質二次電池のサイクル特性が低下することがある。なお、本発明で体積基準の累積粒子径は、体積基準でレーザー回折散乱式粒度分布測定により得られた累積粒子径であり、以下の実施例で測定方法を詳しく説明する。
有機中空粒子は、図2に示すように、その外殻の外表面に付着した微粒子充填剤からさらに構成されていてもよい。以下では、微粒子充填剤が付着した有機中空粒子を簡単のために、「有機中空粒子A」ということがある。ここでいう付着とは、単に有機中空粒子A(10)の外殻(8)の外表面に微粒子充填剤(11および12)が、吸着された状態(11)であってもよく、外表面近傍の外殻を構成する熱可塑性樹脂が加熱によって軟化や融解し、有機中空粒子Aの外殻の外表面に微粒子充填剤がめり込み、固定された状態(12)であってもよいという意味である。微粒子充填剤の粒子形状は不定形であっても球状であってもよい。
有機中空粒子Aの真比重については、特に限定はないが、好ましくは0.01〜0.7であり、さらに好ましくは0.03〜0.6、特に好ましくは0.05〜0.5、最も好ましくは0.07〜0.30である。有機中空粒子Aの真比重が0.01より小さい場合は、有機中空粒子Aが非水電解質二次電池負極用スラリー組成物調整時に破壊され、それを用いた非水電解質二次電池のサイクル特性が低下することがある。一方、有機中空粒子Aの真比重が0.7より大きい場合は、非水電解質二次電池のサイクル特性の向上効果が低くなるため、有機中空粒子Aを用いて組成物を調製する際、その添加量が大きくなり、非経済的であることがある。
微粒子充填剤の平均粒子径と有機中空粒子Aの平均粒子径との比率(微粒子充填剤の平均粒子径/有機中空粒子Aの平均粒子径)は、微粒子充填剤の付着性の観点から好ましくは1以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.6以下である。
微粒子充填剤としては、種々のものを使用することができ、無機物、有機物のいずれの素材であってもよい。微粒子本体の形状としては、球状、針状や板状等が挙げられる。
微粒子充填剤を構成する無機物としては、たとえば、石灰石(重質炭酸カルシウム)、石英、珪石(シリカ)、ウオラスナイト、石膏、アパタイト、マグネタイト、ゼオライト、クレイ(モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、タルク、雲母、マイカ等)等の鉱物;元素の周期率表において、1族〜16族の金属酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化鉄(磁性酸化鉄を含む)、酸化インジウム等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化金、水酸化マグネシウム等)、炭酸金属塩(炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸鉄等)、硫酸金属塩(硫酸アルミニウム、硫酸コバルト、硫酸水素ナトリウム、硫酸銅、硫酸ニッケル、硫酸バリウム等)、その他の金属塩(チタン酸塩(チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カリウム等)、ホウ酸塩(ホウ酸アルミニウム、ホウ酸亜鉛等)、燐酸塩(リン酸カルシウム、燐酸ナトリウム、燐酸マグネシウム等)、硝酸塩(硝酸ナトリウム、硝酸鉄、硝酸鉛等))等の金属化合物等が挙げられる。
微粒子充填剤を構成する無機物は、また、合成炭酸カルシウム、フェライト、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、ジルコニア、ミョウバン、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミナ繊維、セメント、ゾノトライト、酸化珪素(シリカ、シリケート、ガラス、ガラス繊維を含む)、窒化珪素、炭化珪素、硫化珪素;ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等の導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相法炭素繊維等の炭素繊維;カーボンナノチューブ、グラファイト、ケッチェンブラック、活性炭、竹炭、木炭、フラーレン等であってもよい。
上記のうち、微粒子充填剤を構成する無機物としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等の導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相法炭素繊維等の炭素繊維;等の導電性を有する粒子状の材料が非水電解質二次電池性能の向上の観点から好ましい。
微粒子充填剤を構成する有機物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、(メタ)アクリル樹脂、ナイロン樹脂等のポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
微粒子充填剤を構成する無機物や有機物は、シランカップリング剤、パラフィンワックス、脂肪酸、樹脂酸、ウレタン化合物、脂肪酸エステル等の表面処理剤で処理されていてもよく、未処理のものでもよい。
有機中空粒子は、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球の膨張体であり、当該熱膨張性微小球を加熱膨張させて得られる。熱可塑性樹脂は、後述する重合性成分の重合体である。
有機中空粒子の原料となる熱膨張性微小球の最大膨張温度は、好ましくは70〜250℃、さらに好ましくは80〜200℃、特に好ましくは90〜150℃である。最大膨張温度が、70〜250℃の範囲外にあると電極からの活物質の剥がれが発生し電池寿命が短くなることがある。
有機中空粒子の灰分は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは9.5重量%以下、さらに好ましくは9.0重量%以下、よりさらに好ましくは8.5重量%以下、特に好ましくは8.0重量%以下、最も好ましくは7.5重量%以下である。灰分が10重量%を超えると、有機中空粒子を配合した非水電解質二次電池において、電池寿命を低下させることがある。有機中空粒子の灰分は、金属化合物等に由来すると考えられる。また、有機中空粒子の灰分の好ましい下限は、0重量%である。
有機中空粒子のケイ素含有量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4.5重量%以下、さらに好ましくは4重量%以下、よりさらに好ましくは3.5重量%以下、特に好ましくは3.0重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以下である。ケイ素含有量が5重量%を超えると、有機中空粒子を配合した非水電解質二次電池負極が電解液によって膨潤し、活物質のはがれが発生する場合がある。また、有機中空粒子のケイ素含有量の好ましい下限は、0重量%である。
(有機中空粒子の製造方法)
有機中空粒子の製造方法としては、たとえば、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球を加熱膨張させる工程(膨張工程)を含む製造方法を挙げることができる。また、膨張工程に先立って、熱膨張性微小球を製造しておく必要があり、この熱膨張性微小球の製造方法としては、たとえば、重合性成分および発泡剤を含有する油性混合物を分散させた水性分散媒中で、重合開始剤を用いて重合性成分を重合させる工程(重合工程)を含む製造方法を挙げることができる。したがって、有機中空粒子は、順に、重合工程、膨張工程を経て製造することができる。
発泡剤は、加熱することによって気化する物質であれば特に限定はないが、たとえば、プロパン、(イソ)ブタン、(イソ)ペンタン、(イソ)ヘキサン、(イソ)ヘプタン、(イソ)オクタン、(イソ)ノナン、(イソ)デカン、(イソ)ウンデカン、(イソ)ドデカン、(イソ)トリデカン等の炭素数3〜13の炭化水素;(イソ)ヘキサデカン、(イソ)エイコサン等の炭素数13超で20以下の炭化水素等を挙げることができる。これらの発泡剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
上記発泡剤は、沸点が60℃未満の炭化水素であることが好ましい。沸点が60℃を超える炭化水素を用いると、電極からの活物質の剥がれが発生し電池寿命が短くなることがある。
重合性成分は、重合することによって熱膨張性微小球の外殻を形成する熱可塑性樹脂となる成分である。重合性成分は、単量体成分を必須とし架橋剤を含むことがある成分である。
単量体成分は、一般には、重合性二重結合を1個有する(ラジカル)重合性単量体と呼ばれている成分を含む。
単量体成分がニトリル系単量体であり、重合性成分がニトリル系単量体を含有し、有機中空粒子がニトリル系単量体を含有する重合性成分を重合して得られる熱可塑性樹脂から構成されると、有機中空粒子に内包されている発泡剤の保持性に優れていることから好ましい。
ニトリル系単量体としては、たとえば、アクリロニトリル(AN)、メタクリロニトリル(MAN)、フマロニトリル等を挙げることができる。
重合性成分に占めるニトリル系単量体の重量割合については、特に限定はないが、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは93重量%以上、特に好ましくは98重量%以上である。ニトリル系単量体の重量割合の上限は、好ましくは100重量%である。ニトリル系単量体の重量割合が80重量%未満であると、有機中空粒子に内包されている発泡剤の保持性が悪く、発泡剤が徐放することがある。
ニトリル系単量体がアクリロニトリル(AN)および/またはメタクリロニトリル(MAN)を必須とすると、有機中空粒子の原料である熱膨張マイクロカプセルや有機中空粒子に内包する発泡剤の保持性に優れているために好ましい。
重合性成分は、単量体成分として、ニトリル系単量体以外の単量体を含有していてもよい。
ニトリル系単量体以外の単量体としては、特に限定はないが、たとえば、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基含有単量体;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の無水カルボン酸系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフイン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン等のビニルケトン系単量体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル系単量体;ビニルナフタリン塩等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
重合性成分は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、カルボキシル基含有単量体、スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体および塩化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種をさらに含むと好ましい。
重合性成分がニトリル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含むと、熱膨張性微小球内の発泡剤の保持性、耐熱性の観点から好ましい。
重合性成分は、上記単量体成分以外に、重合性二重結合を2個以上有する重合性単量体(架橋剤)を含んでいてもよい。架橋剤を用いて重合させることにより、熱膨張時の内包された発泡剤の保持率の経時的な低下が抑制され、効果的に熱膨張させることができる。なお、重合性二重結合を3個以上有する重合性単量体は、熱膨張性微小球の外殻の架橋が強くなりすぎることで脆くなり、熱膨張して得られる有機中空粒子の弾性が損なわれることがある。
架橋剤としては、特に限定はないが、たとえば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物や、メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。これらの架橋剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
架橋剤の量については、特に限定はないが、単量体成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部、特に好ましくは0.3〜0.9重量部である。
重合性成分の重合は、重合開始剤を用いて行うとよく、油溶性の重合開始剤が好ましい。
重合工程では、油性混合物は連鎖移動剤等をさらに含有していてもよい。
水性分散媒は、分散安定剤等をさらに含有していてもよい。
分散安定剤としては、特に限定はないが、たとえば、第三リン酸カルシウム、複分解生成法により得られるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウムや、コロイダルシリカ、アルミナゾルや、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができる。これらの分散安定剤は、1種または2種以上を併用してもよい。分散安定剤の配合量は、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
これらの中でも、コロイダルシリカが好ましく、小粒径の熱膨張性微小球を安定に得ることができる。コロイダルシリカについては、コロイダルシリカを含む分散液、すなわちコロイダルシリカ分散液の形態で広く市販されており、扶桑化学工業株式会社製「クウォートロン」、株式会社ADEKA製「アデライト」、日本化学工業株式会社製「シリカドール」、日産化学工業株式会社製「スノーテックス」、Dupont社製「Ludox」等の市販品の中から、コロイダルシリカの平均粒子径や比表面積等の物性について各種グレードのものを容易に入手することができる。
コロイダルシリカ分散液に含まれるコロイダルシリカの有効濃度については、特に限定はないが、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは13〜30重量%、さらに好ましくは14〜25重量%、よりさらに好ましくは15重量%超で23重量%未満、特に好ましくは16〜22重量%、最も好ましくは17〜21重量%である。コロイダルシリカの有効濃度が10〜40重量%の範囲外である場合は、熱膨張性微小球を効率的に得ることができないことがある。
コロイダルシリカの平均粒子径については、通常1.0〜20nmであるが、好ましくは2.0〜15nmであり、より好ましくは3.0〜13nmであり、さらに好ましくは3.4〜10nmであり、よりさらに好ましくは3.6〜6.0nm、特に好ましくは3.8〜5.5nm、最も好ましくは4.0〜5.0nmである。コロイダルシリカの平均粒子径が1.0nm未満である場合は、重合工程において水性分散媒に分散させた油性混合物の油滴が不安定になり、凝集物が発生することがある。一方、コロイダルシリカの平均粒子径が20nm超である場合は、重合工程において水性分散媒に分散させた油性混合物の油滴を安定化させるために、多量に添加する必要があり、その結果、得られた熱膨張性微小球の灰分が大きく塗料用途等に使用する場合に分散不良が発生することがある。
コロイダルシリカの平均粒子径については、透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の500個のコロイダルシリカ粒子について、その投影面積円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、たとえば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤等を挙げることができる。これらの分散安定補助剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
前記分散安定補助剤として、たとえば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、水溶性窒素含有化合物、ポリエチレンオキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
水溶性窒素含有化合物としては、たとえば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルピロリドンが好ましい。
重合工程で用いる分散安定補助剤の配合量は、重合性成分および発泡剤の合計100重量部に対して、好ましくは0.10〜5重量部、より好ましくは0.15〜4重量部であり、さらに好ましくは0.20〜3重量部である。分散安定補助剤の配合量が重合性成分および発泡剤の合計100重量部に対して0.10〜5重量部の範囲外の場合は、重合工程において水性分散媒に分散させた油性混合物の油滴が不安定になり、凝集物が発生することがある。
重合工程では、所定粒子径の球状油滴が調製されるように油性混合物を水性分散媒中に乳化分散させる。
油性混合物を乳化分散させる方法としては、たとえば、ホモミキサー(たとえば、特殊機化工業株式会社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(たとえば、株式会社ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
次いで、油性混合物が球状油滴として水性分散媒に分散された分散液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、たとえば、単量体の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは30〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、0.1〜20時間程度が好ましい。重合初期圧力については特に限定はないが、ゲージ圧で0〜5.0MPa、さらに好ましくは0.1〜3.0MPaの範囲である。
膨張工程は、熱膨張性微小球を加熱膨張させる工程であれば、特に限定はないが、乾式加熱膨張法、湿式加熱膨張法のいずれでもよい。
乾式加熱膨張法としては、特開2006−213930号公報に記載されている方法、特に内部噴射方法を挙げることができる。また、別の乾式加熱膨張法としては、特開2006−96963号公報に記載の方法等がある。湿式加熱膨張法としては、特開昭62−201231号公報に記載の方法等がある。
有機中空粒子Aの製造方法としては、たとえば、熱膨張性微小球と微粒子充填剤とを混合する工程(混合工程)と、前記混合工程で得られた混合物を前記熱可塑性樹脂の軟化点超の温度に加熱して、前記熱膨張性微小球を膨張させるとともに、前記微粒子充填剤を前記外殻の外表面に付着させる工程(付着工程)とを含む製造方法を挙げることができる。
混合工程は、熱膨張性微小球と微粒子充填剤とを混合する工程である。
混合工程における微粒子充填剤と熱膨張性微小球との重量比率(微粒子充填剤/熱膨張性微小球)については、特に限定はないが、好ましくは90/10〜60/40、さらに好ましくは85/15〜65/35、特に好ましくは80/20〜70/30である。微粒子充填剤/熱膨張性微小球(重量比率)が90/10より大きい場合は、有機中空粒子Aの真比重が大きくなり、低比重化効果が小さくなることがある。一方、微粒子充填剤/熱膨張性微小球(重量比率)が60/40より小さい場合は、有機中空粒子Aの真比重が低くなり、粉立ち等のハンドリングが悪化することがある。
混合工程に用いられる装置としては、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。
付着工程は、前記混合工程で得られた、熱膨張性微小球と微粒子充填剤とを含む混合物を、熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂の軟化点超の温度に加熱する工程である。付着工程では、熱膨張性微小球を膨張させるとともに、外殻の外表面に微粒子充填剤を付着させる。
加熱は、一般的な接触伝熱型または直接加熱型の混合式乾燥装置を用いて行えばよい。混合式乾燥装置の機能については、特に限定はないが、温度調節可能で原料を分散混合する能力や、場合により乾燥を早めるための減圧装置や冷却装置を備えたものが好ましい。加熱に使用する装置としては、特に限定はないが、たとえば、レーディゲミキサー(株式会社マツボー製)、ソリッドエアー(株式会社ホソカワミクロン)等を挙げることができる。
加熱の温度条件については、熱膨張性微小球の種類にもよるが最適膨張温度とするのが良く、好ましくは60〜250℃、より好ましくは70〜230℃、さらに好ましくは80〜220℃である。
[正極]
電気化学素子の正極は、正極活物質層を集電体上に積層してなる。電気化学素子の正極は、正極活物質、正極用バインダー、正極の作製に用いる溶媒、必要に応じて用いられる水溶性高分子、導電助剤等のその他の成分を含む正極用スラリー組成物を集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより得ることができる。即ち、正極用スラリー組成物を集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより集電体に正極活物質層が形成される。
非水電解質二次電池の正極活物質としては、リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な活物質が用いられ、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。
無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウムと遷移金属とのリチウム含有複合金属酸化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo等が使用される。
遷移金属酸化物としては、MnO、MnO、V、V13、TiO、Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13等が挙げられ、中でもサイクル安定性と容量からMnO、V、V13、TiOが好ましい。遷移金属硫化物としては、TiS、TiS、非晶質MoS、FeS等が挙げられる。リチウム含有複合金属酸化物としては、層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、スピネル構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物などが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子を用いることもできる。電気伝導性に乏しい、鉄系酸化物は、還元焼成時に炭素源物質を存在させることで、炭素材料で覆われた正極活物質として用いてもよい。また、これら化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。
正極用バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体などの樹脂;アクリル系軟質重合体、ジエン系軟質重合体、オレフィン系軟質重合体、ビニル系軟質重合体等の軟質重合体等が挙げられる。なお、正極用バインダーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
正極用スラリー組成物に必要に応じて用いられる水溶性高分子、導電助剤としては、上述の負極用スラリー組成物に用いることができる水溶性高分子および導電助剤をそれぞれ使用することができる。
正極の作製に用いる溶媒としては、水及び有機溶媒のいずれを使用してもよい。有機溶媒としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類:メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;などが挙げられるが、中でもN−メチルピロリドン(NMP)が好ましい。なお、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒としては水を用いることが好ましい。
溶媒の量は、正極用スラリー組成物の粘度が塗布に好適な粘度になるように調整すればよい。具体的には、正極用スラリーの固形分濃度が、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%となるように調整して用いられる。
正極に用いる集電体は、上述の非水電解質二次電池負極に用いる集電体と同様の集電体を用いることができる。
正極用スラリー組成物を集電体の表面に塗布する方法は特に限定されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、およびハケ塗り法などの方法が挙げられる。
乾燥方法としては、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法などが挙げられる。乾燥時間は好ましくは5分〜30分であり、乾燥温度は好ましくは40〜180℃である。
また、集電体の表面に正極用スラリー組成物を塗布及び乾燥した後で、必要に応じて、例えば金型プレス又はロールプレスなどを用い、正極活物質層に加圧処理を施すことが好ましい。加圧処理により、正極活物質層の空隙率を低くすることができる。空隙率は、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上であり、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。空隙率が小さすぎると、高い体積容量が得難く、正極活物質層が集電体から剥がれ易くなる。また、空隙率が大きすぎると、充電効率及び放電効率が低下する。
さらに、正極活物質層が硬化性の重合体を含む場合は、正極活物質層の形成後に重合体を硬化させることが好ましい。
正極活物質層とセパレータとの間には、無機粒子層が配されていてもよい。無機粒子層は、正極活物質層の表面の上に配されていることが好ましい。ここで、無機粒子層とは、無機粒子、バインダー、分散剤などにより構成される層をいう。
無機粒子を構成する材料としては、例えば、ルチル型酸化チタン(ルチル型チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)などが挙げられる。非水電解質二次電池内における無機粒子層の安定性の観点からは、無機粒子としては、酸化アルミニウム、ルチル型酸化チタンなどが好ましい。
無機粒子層中の無機粒子の含有量は、好ましくは70〜99.9重量%、さらに好ましくは90〜99重量%、より好ましくは95〜99重量%である。
無機粒子の平均一次粒子径は、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。平均一次粒子径の好ましい下限は0.1μmである。
無機粒子層に含まれるバインダーの種類は、特に限定されない。無機粒子層に含まれるバインダーは、以下の(1)〜(4)の特性のうち、少なくとも1つの特性を満足するバインダーであることが好ましい。
(1)無機粒子層中における無機粒子の分散性を確保(再凝集防止)できる。(2)非水電解質二次電池の製造工程において、正極活物質層と無機粒子層との密着性を確保できる。(3)無機粒子層が非水電解質を吸収した際の膨潤による無機粒子間の隙間を充填できる。(4)無機粒子層からの非水電解質の溶出を抑制する。
バインダーとしては、水系のバインダーが好ましい。バインダーを構成する材料の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、これらの変性体及び誘導体、アクリロニトリル単位を含む共重合体、ポリアクリル酸誘導体等が挙げられる。バインダーは、1種類のみから構成されていてもよいし、2種類以上により構成されていてもよい。
例えば、無機粒子層中にバインダーを少量添加することによって、上記(1)及び(3)の特性を発揮させたい場合などには、バインダーは、アクリロニトリル単位を含む共重合体であることが好ましい。
無機粒子層中に含まれるバインダーの量は、無機粒子100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。無機粒子層中に含まれるバインダーの量の好ましい下限は、無機粒子100重量部に対して、0.1重量部である。
無機粒子層の厚みは、特に限定はないが、好ましくは4μm以下、より好ましくは0.5〜4μm、さらに好ましくは0.5〜2μmである。無機粒子層の厚みが4μm超であると、非水電解質二次電池の負荷特性の低下、エネルギー密度の低下を引き起こすことがある。無機粒子層の厚みが0.5μm未満の場合には無機粒子層によって得られる効果が不十分になることがある。
正極活物質層の表面の上に無機粒子層を配する方法としては、無機粒子、バインダー、溶媒などからなるスラリーを正極活物質の表面の上に塗布し、乾燥させる方法等が挙げられる。スラリーの塗布方法の具体例としては、ダイコート法、グラビアコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スプレーコート法などの塗工方法が挙げられる。これらの中でも、グラビアコート法、ダイコート法などが好ましい。
スプレーコート法、ディップコート法、カーテンコート法などを採用する場合、スラリー中の固形分濃度は、3〜30重量%の範囲であることが好ましい。また、ダイコート法、グラビアコート法などを採用する場合、スラリー中の固形分濃度は、5〜70重量%の範囲であることが好ましい。
スラリー中に含まれる溶媒としては、水が好ましい。スラリー中の溶媒が水である場合、塗工工程において、スラリー中のバインダーが正極活物質層中に移動しにくい。よって、バインダーによって正極活物質層が膨張することを抑制することができる。それにより、非水電解質二次電池のエネルギー密度の低下を抑制することができる。また、水は、環境負荷が引くい点でも好ましい。
[セパレータ]
セパレータは、負極と正極との接触による短絡を抑制でき、かつ非水電解質を含浸して、リチウムイオン伝導性が得られるものであれば特に限定されない。セパレータは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂や、芳香族ポリアミド樹脂を含んでなる微孔膜または不織布;無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート;などを用いることができる。具体例を挙げると、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)、及びこれらの混合物あるいは共重合体等の樹脂からなる微多孔膜;ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂からなる微多孔膜;ポリオレフィン系の繊維を織ったもの又はその不織布;絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、非水電解質二次電池内の活物質比率を上げて体積あたりの容量を上げることができるため、ポリオレフィン系の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
[非水電解質]
非水電解質としては、例えば、公知の非水電解質を用いることができる。非水電解質は、溶質、非水系溶媒などを含む。
非水電解質の溶質としては、例えば、LiXF(式中Xは、P、As、Sb、B、Bi、Al、GaまたはInであり、XがP、AsまたはSbのときyは6であり、XがB、Bi、Al、Ga、またはInのときはyは4である)、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(C2m+1SO)(CnF2n+1SO2)(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である)、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiC(CF2q+1SO)(C2r+1SO)(式中、p、q及びrはそれぞれ独立して1〜4の整数である)、LiCFSO、LiClO、Li10Cl10、及びLi12Cl12などが挙げられる。溶質としては、これらの中でも、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO,LiC(CSOなどが非水系溶媒に溶けやすく高い解離度を示すため好ましい。
非水電解質は、1種類の溶質を含んでいてもよいし、複数種類の溶質を含んでいてもよい。解離度の高い支持電解質を用いるほど、リチウムイオン伝導度が高くなるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液における支持電解質の濃度は、支持電解質の種類に応じて、0.5〜2.5Mの濃度で用いることが好ましい。支持電解質の濃度が低すぎても高すぎても、イオン導電度が低下する可能性がある。
非水電解質の非水系溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されない。非水系溶媒の例を挙げると、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などの鎖状カーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類などが挙げられる。これらの中でも、低粘度かつ低融点でリチウムイオン伝導度の高い非水系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒が好ましく用いられる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒においては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)は、体積比で、1:9〜5:5の範囲にあることが好ましい。
非水系溶媒は、環状カーボネートと、1,2−ジメタキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル類との混合溶媒であってもよい。
また、非水電解質の非水系溶媒としてイオン性液体を用いることもできる。イオン性液体のカチオン種、アニオン種は、特に限定されない。低粘度、電気化学的安定性、疎水性の観点から、カチオンとしては、例えばピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンが好ましく用いられる。アニオンとしては、例えばフッ素含有イミド系アニオンを含むイオン性液体が好ましく用いられる。
また、非水電解質は、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質、LiI、LiNなどの無機固体電解質などであってもよい。一般に、非水系溶媒の粘度が低いほどリチウムイオン伝導度が高くなり、誘電率が高いほど支持電解質の溶解度が上がるが、両者はトレードオフの関係にあるので、溶媒の種類や混合比によりリチウムイオン伝導度を調節して使用するのがよい。また、非水系溶媒は全部あるいは一部の水素をフッ素に置き換えたものを併用あるいは全量用いてもよい。
また、電解液には添加剤を含有させてもより。添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート系;エチレンサルファイト(ES)などの含硫黄化合物;フルオロエチレンカーボネート(FEC)などのフッ素含有化合物が挙げられる。添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
非水電解質二次電池における非水電解質の量は、設計容量に対して、1.0g/Ah以上、3.0g/Ah以下であることが好ましい。非水電解質二次電池の設計容量に対する非水電解質の量がこの範囲にある場合、高い充放電サイクル特性が得られる。非水電解質二次電池の設計容量に対する非水電解質の量が少なすぎる場合には、負極及び正極内に十分に非水電解質を供給することが難しく、充放電サイクル特性が低下する場合がある。また、非水電解質二次電池1の設計容量に対する非水電解質の量が多すぎる場合には、負極及び正極に非水電解質が過剰に保持され、負極及び正極における非水電解質の割合を制御することが難しくなる場合がある。さらに、非水電解質二次電池1の設計容量に対する非水電解質の量が多すぎる場合には、非水電解質の分解によるガス発生量が多くなり、非水電解質二次電池1の保存特性、高温サイクル特性などが低下する場合がある。
[非水電解質二次電池の製造方法]
非水電解質二次電池の具体的な製造方法としては、例えば、正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。さらに、必要に応じてエキスパンドメタル;ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子;リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電を防止してもよい。非水電解質二次電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。電池容器の材質は、電池内部への水分の侵入を阻害するものであればよく、金属製、アルミニウムなどのラミネート製など特に限定されない。
本実施の形態に係る非水電解質二次電池はサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
以下の実施例および比較例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「重量部」を意味する。
以下の実施例および比較例では、次に示す要領で物性を測定した。
〔熱膨張性微小球及び有機中空粒子の粒子径と粒度分布の測定〕
レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製 HEROS & RODOS)を使用した。乾式分散ユニットの分散圧は5.0bar、真空度は5.0mbarで乾式測定法により測定した。
体積基準の累積粒子径とは、全粒子を体積順に小さい側から積算して累積した分布の所定の比率に対する粒子の直径を意味する。
レーザー回折式粒度分布測定装置は、原理上、体積基準の累積粒子径の分布を測定しており、測定装置のソフトウェアで体積基準の累積50%粒子径(D50)の測定値を確認できる。本特許では、体積基準の累積50%粒子径(D50)を平均粒子径とする。
個数基準の累積粒子径とは、全粒子を粒子順に並べ、小さい側から積算して累積した分布の所定の個数比率の粒子の直径を意味する。個数基準の累積粒子径は、測定装置のソフトウェアで、体積基準の累積粒子径から換算することができる。
有機中空粒子Aの場合は、吸着されて有機中空粒子に固定化されていない微粒子充填剤が存在すると、体積基準の累積粒子径の値が小さくなり、実際の有機中空粒子の値と大きく異なってしまう。そのため、有機中空粒子Aの粒子径の測定では、吸着された状態の微粒子充填剤を除去する前処理を行った後に粒子径を測定することにした。なお、前処理は、有機中空粒子Aの1重量部をイソプロパノール100重量部に分散させて2時間静置し、浮上した粒子を回収し、乾燥するものである。
〔発泡剤の内包率〕
まず、乾燥後の熱膨張性微小球又は有機中空粒子の含水率C(%)を、カールフィッシャー水分計(MKA−510N型、京都電子工業株式会社製)を測定装置として用いて測定をする。ついで、乾燥後の熱膨張性微小球又は有機中空粒子1.0(g)を直径80mm、深さ15mmのステンレス製蒸発皿に入れ、その重量W(g)を測定する。アセトニトリルを30ml加え均一に分散させ、2時間室温で放置した後、110℃で2時間乾燥後の重量W(g)を測定した。発泡剤の内包率CR(重量%)は下記の計算式(C)で算出される。
CR=((W−W)/1.0)×100−C (C)
〔熱膨張性微小球及び有機中空粒子の灰分〕
乾燥した熱膨張性微小球又は有機中空粒子W(g)をるつぼに入れ、電熱器にて加熱を行い、700℃で30分間強熱して灰化させ、得られた灰化物W(g)を重量測定する。熱膨張性微小球又は有機中空粒子の灰分C(重量%)は、W(g)およびW(g)から下記の計算式(D)で算出される。
=(W/W)×100 (D)
〔熱膨張性微小球中又は有機中空粒子中のケイ素含有量〕
エタノールおよび水を95:5の割合で均一溶液を調製し水酸化カリウムを溶解させアルカリ分解液を調製する。熱膨張性微小球又は有機中空粒子1.0gにアルカリ分解液10mLを加え、電気ヒーターにより380℃で30分間以上加熱後、着火し炭化、電気炉にて灰化させる。その後、灰化させた試料に炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムを等量で混合した試薬0.5gを添加し溶融、冷却後、超純水により50mlにメスアップして試料を調製する。得られた試料中のケイ素含有量をICP発光分析装置(島津製作所社製、ICP−8100)により測定し、その測定結果から、熱膨張性微小球又は有機中空粒子に含まれるケイ素の含有量(重量%)を算出する。
〔熱膨張性微小球の膨張開始温度(T)および最大膨張温度(Tmax)の測定〕
測定装置としてDMA(DMA Q800型、TA instruments社製)を使用した。熱膨張性微小球0.5mgを直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに入れ、熱膨張性微小球層の上部にアルミ蓋(5.6mm、厚み0.1mm)をのせて試料を準備する。その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定する。加圧0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定する。正方向への変位開始温度を膨張開始温度(T)とし最大変位量を示した時の温度を最大膨張温度(Tmax)とする。
〔有機中空粒子の真比重〕
有機中空粒子(有機中空粒子Aを含む)の真比重は、以下の測定方法で測定する。まず、真比重は環境温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下においてイソプロピルアルコールを用いた液浸法(アルキメデス法)により測定する。
具体的には、容量100ccのメスフラスコを空にし、乾燥後、メスフラスコ重量(WB)を秤量した。秤量したメスフラスコにイソプロピルアルコールをメニスカスまで正確に満たした後、イソプロピルアルコール100ccの充満されたメスフラスコの重量(WB)を秤量する。また、容量100ccのメスフラスコを空にし、乾燥後、メスフラスコ重量(WS)を秤量した。秤量したメスフラスコに約50ccの粒子を充填し、有機中空粒子の充填されたメスフラスコの重量(WS)を秤量する。そして、粒子の充填されたメスフラスコに、イソプロピルアルコールを気泡が入らないようにメニスカスまで正確に満たした後の重量(WS)を秤量する。そして、得られたWB、WB、WS、WSおよびWSを下式に導入して、有機中空粒子の真比重(d)を計算する。
={(WS−WS)×(WB−WB)/100}/{(WB−WB)−(WS−WS)}
〔最大膨張時真比重の測定〕
アルミ箔で縦12cm、横13cm、高さ9cmの底面の平らな箱を作製し、その中に熱膨張性微小球1.0gを均一になるように入れ、上記膨張開始温度の測定により得られた膨張開始温度から5℃ずつ温度を上昇させ、各温度で1分間加熱した後、膨張した熱膨張性微小球(中空微粒子)の真比重を上記測定方法にしたがって測定する。それらの中で最低真比重を示したものを最大膨張時の真比重とする。
〔有機中空粒子の外殻樹脂の真比重測定〕
外殻樹脂(外殻を構成する熱可塑性樹脂)の真比重dの測定は、熱膨張性微小球10gをN,N−ジメチルホルムアミド200mlに分散させた後に超音波分散機30分間で処理し、室温で24時間浸漬した後、120℃で5時間真空加熱乾燥し、外殻樹脂を単離した。得られた外殻樹脂を上記真比重の測定方法と同様にして外殻樹脂の真比重を測定した。
〔有機中空粒子の膜厚の計算〕
有機中空粒子の理論平均膜厚<t>を下式にしたがって算出した。
<t>=<x>/2〔1−{1−d(1−G/100)/d}1/3
<x>:有機中空粒子の平均粒子径(μm)
:有機中空粒子の平均真比重(g/cc)
:外殻を構成する熱可塑性樹脂の平均真比重(g/cc)
G:発泡剤の内包率(重量%)
〔内孔径(d1)と外孔径(d2)との比(d1/d2)の計算〕
内孔径(d1)と外孔径(d2)との比(d1/d2)を下式にしたがって算出した。
d1=<x>−2<t>
d2=<x>
d1/d2=(<x>−2<t>)/<x>=1−2<t>/<x>
〔製造例1〕
イオン交換水600gに、コロイダルシリカ分散液A(平均粒子径5nm、比表面積550m/g、コロイダルシリカ有効濃度20重量%)200gおよびアジピン酸−ジエタノールアミンの縮合物(有効濃度50重量%)3.0gを加えた後、得られた混合物のpHを3.0に調整し、水性分散媒を調製した。このとき20℃における水性分散媒の粘度は4.4mPa・sであった。
これとは別に、単量体成分(アクリロニトリル180g、メタクリロニトリル105g、メタクリル酸メチル15g)、架橋剤A(トリメチロールプロパントリメタクリレート1.5g)、発泡剤(イソブタン30g、イソペンタン30g)、および、重合開始剤A(2,2’−アゾビス(2.4−ジメチルバレロニトリル)2.0g)を混合して油性混合物を調製した。
水性分散媒および油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサーにより12000rpmで5分間分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.2MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で15時間重合した。得られた重合生成物を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球を得た。得られた熱膨張性微小球の物性を表1に示す。
〔製造例2〜4〕
製造例2〜4では、製造例1でそれぞれの配合を表1に示す割合に変更した以外は、製造例1と同様にして熱膨張性微小球を得た。それぞれの製造例に示す配合で得られた熱膨張性微小球の物性を評価して表1に示した。
表1においては、表2に示す略号が使用されている。
Figure 0006294570
Figure 0006294570
次に、熱膨張性微小球は、特開昭62−201231号公報記載の湿式加熱膨張法によって、以下のように有機中空粒子を製造できる。
〔実施例A1〕
(湿式加熱膨張法による有機中空粒子の製造)
製造例1で得られた熱膨張性微小球を5重量%含有する水分散液(スラリー)を調製した。特開昭62−201231号公報記載の湿式加熱膨張法に従い、このスラリーをスラリー導入管から発泡管(直径16mm、容積120ml、SUS304TP製)に5L/minの流量を示すように送り込み、さらに水蒸気(温度:147℃、圧力:0.3MPa)を蒸気導入管より供給し、スラリーと混合して、湿式加熱膨張した。なお、混合後のスラリー温度(発泡温度)を115℃に調節した。
得られた有機中空粒子を含むスラリーを発泡管突出部から流出させ、冷却水(水温15℃)と混合して、50〜60℃に冷却した。冷却したスラリー液を遠心脱水機で脱水して、湿化した有機中空粒子1を10重量%含有する有機中空粒子組成物1(水は90重量%含有)を得た。
得られた有機中空粒子を単離し、物性を評価した結果を表3に示した。
〔実施例A2〕
実施例A1記載の湿式加熱膨張法において製造例1で得られた熱膨張性微小球を製造例2で得られた熱膨張性微小球に変更する以外は同様にして、湿化した有機中空粒子2を10重量%含有する有機中空粒子組成物2(水は90重量%含有)を得た。
得られた有機中空粒子を単離し、物性を評価した結果を表3に示した。
〔実施例A3〕
製造例3で得られた熱膨張性微小球20重量部と、ケッチェンブラック(ライオン株式会社製、カーボンECP600JD:一次粒子径34nm)80重量部とをセパラブルフラスコに添加混合した。次いで、攪拌しながら5分間かけて加熱温度140℃まで昇温して、微粒子付着有機中空粒子3を得た。
得られた有機中空粒子を単離し、物性を評価した結果を表3に示した。
〔実施例A4〕
実施例A1記載の湿式加熱膨張法において製造例1で得られた熱膨張性微小球を製造例4で得られた熱膨張性微小球に変更する以外は同様にして、湿化した有機中空粒子4を10重量%含有する有機中空粒子組成物4(水は90重量%含有)を得た。
得られた有機中空粒子を単離し、物性を評価した結果を表3に示した。
〔比較例A5〕
特開平8−250124の実施例6に記載の方法で、有機中空粒子5を作成した。得られた有機中空粒子を単離し、物性を評価した結果を表3に示した。
Figure 0006294570
次に、上記で得られた有機中空粒子を用いて、リチウム二次電池負極用スラリー組成物を調製し、非水電解質二次電池の寿命特性を評価する。
〔比較例1〕
負極活物質としてグラファイト(大阪ガス製 MCMB2528)100重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬製、セロゲン7A)1.0重量部、SBRバインダー(日本ゼオン製、BM−400B 有効濃度40重量%)15重量部、イオン交換水50重量部からなる負極用スラリー組成物を作成した。その後厚み20μmの銅箔上にコンマコーターを用いて150μmの厚みで塗布する。これを120℃で1時間真空乾燥し、圧力約1×10〜3×10N/mm2となるようにプレスした後に、真空乾燥機で、120℃で12時間乾燥して、厚み80μmの負極シートを作成した。
次に、正極活物質として体積平均粒子径12μmのLiCoO100重量部、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業製、HS−100)2重量部、ポリフッ化ビニリデンバインダー(クレハ製、#7208、有効濃度8重量%のN−メチルピロリドン溶液)25重量部と、N−メチルピロリドンとを混合し全固形分濃度が70重量%である正極用スラリー組成物を得た。この正極用スラリー組成物を厚み20μmのアルミ箔の上に乾燥後膜厚が150μmになるように塗布し、60℃で2分間乾燥をさせた後、120℃にて2分間加熱処理して正極シートを作成した。
次に電池の外装として、アルミ包材外装を用意した。上記で得られた正極を4cm×4cmの正方形に切り出し、スラリー未塗布側がアルミ包材外装に接するように配置した。
セパレータ(セルガード製、セルガード2500)を5cm×5cmの正方形に切り出し、正極の正極活物質層の面上に配置した。さらに、上記で得られた負極シートを4.2cm×4.2cmの正方形に切り出し、セパレータの上に、負極活物質側がセパレータに接するように配置した。電解液(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ビニレンカーボネート=体積比68.5/30/1.5の混合溶媒に電解質1MのLiPFを含有)を空気が残らないようにアルミ包材外装中に注入し、さらに、アルミ包材の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミ包材外装を閉口し、ラミネート型の非水電解質二次電池(ラミネート型セル)を製造した。
<電池サイクル特性の評価>
ラミネート型セルの非水電解質二次電池を25℃環境下で24時間精置した後に、25℃の環境下で、4.2V、1Cの充電、3.0V、1Cの放電にて充放電の操作を行い、初期容量Cを測定した。さらに60℃環境下で、4.2V、1Cの充電、3.0V、1Cの放電にて充放電を繰り返し、所定回数充放電を繰り返した後の容量Cを測定した。サイクル特性ΔCを下式より算出した。
ΔC(%)=C/C×100
〔実施例1〕
続いて、上記で得られた有機中空粒子1を6重量部、比較例1に記載の負極用スラリー組成物に添加し均一混合し、有機中空粒子含有負極用スラリー組成物を作成した。
比較例1において負極用スラリー組成物の代わりに、上記で作成した有機中空粒子含有負極用スラリー組成物を用いる以外は、同様にして非水電解質二次電池を作成した。
得られた非水電解質二次電池のサイクル特性を評価した結果、有機中空粒子を添加していない比較例1で得られた非水電解質二次電池のサイクル特性と比較して繰り返し充放電後の容量維持率(%)の低下が抑制されておりサイクル特性の向上が確認された。
〔実施例2〜4、比較例2〕
実施例1において、有機中空粒子1の代わりに、表4に示す有機中空粒子及び添加量に変更した以外は、同様にして有機中空粒子含有負極用スラリー組成物及び非水電解質二次電池を作成した。得られた非水電解質二次電池のサイクル特性を評価した結果を表4に示した。
〔比較例3〕
実施例1において、有機中空粒子1の代わりに、中空シリカ(日鉄鉱業株式会社製、シリナックス(登録商標)、一次粒子径80〜130nm)を0.5重量部使用する以外は、同様にして中空粒子含有負極用スラリー及び非水電解質二次電池を作成した。得られた非水電解質二次電池のサイクル特性を評価した結果を表4に示した。
Figure 0006294570
表4からわかるように、本発明の有機中空粒子及び負極用スラリー組成物を用いた実施例1〜4の非水電解質二次電池は、本発明の有機中空粒子を含まない比較例1〜3のものと比べ、優れたサイクル特性を有している。
本発明の非水電解質二次電池負極用スラリー組成物は、非水電解質二次電池負極に用いることができる。
1 非水電解質二次電池
2 電極体
3 負極
4 正極
5 セパレータ
6 電池容器
7 有機中空粒子
8 熱可塑性樹脂からなる外殻
9 中空部
10 微粒子付着有機中空粒子
11 微粒子(吸着された状態)
12 微粒子(めり込み、固定化された状態)

Claims (9)

  1. 外殻が熱可塑性樹脂からなる有機中空粒子と、負極用バインダーと、負極活物質とを含み、
    前記有機中空粒子の内孔径(d1)と外孔径(d2)の比(d1/d2)が、0.7超0.999以下であ
    前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含有する重合性成分を重合して得られる樹脂である、
    非水電解質二次電池負極用スラリー組成物。
  2. 前記有機中空粒子が、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包される且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球を加熱膨張させて得られる中空粒子である、請求項1記載の負極用スラリー組成物。
  3. 前記有機中空粒子の真比重が0.01〜0.5である、請求項1又は2に記載の負極用スラリー組成物。
  4. 前記有機中空粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜50μmである、請求項1〜のいずれかに記載の負極用スラリー組成物。
  5. 負極用スラリー組成物中の前記有機中空粒子の含有量が、前記負極活物質100重量部に対して0.001〜10重量部である、請求項1〜のいずれかに記載の負極用スラリー組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極用スラリー組成物を集電体に塗布して得られる、非水電解質二次電池負極。
  7. 請求項に記載の負極と、正極と、非水電解質と、セパレータとを備える、非水電解質二次電池。
  8. 非水電解質二次電池負極用スラリー組成物に用いられる有機中空粒子であって、
    外殻が熱可塑性樹脂からなり、
    前記有機中空粒子の内孔径(d1)と外孔径(d2)の比(d1/d2)が、0.7超0.999以下であ
    前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含有する重合性成分を重合して得られる樹脂である、
    有機中空粒子。
  9. 前記有機中空粒子が、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球を加熱膨張させて得られる中空粒子である、請求項に記載の有機中空粒子。
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