JP6294210B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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さらに、これらのタイヤでは、タイヤ周方向に対して斜めに、かつ層間で互いに交差する向きに延びるコードをゴム被覆してなる交錯ベルト層を設け、これらの交錯ベルト層を広幅化することにより、面内せん断剛性を高め、耐摩耗性能を向上させている。
すなわち、本発明の目的は、耐偏摩耗性能および耐摩耗性能を向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
(1)1対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカスと、このカーカスの径方向外側に、タイヤ周方向に対して斜めに延びるコードをゴム被覆してなる傾斜ベルト層と、タイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなる周方向ベルト層と、タイヤ周方向に対して斜めに、かつ層間で互いに交差する向きに延びるコードをゴム被覆してなる交錯ベルト層と、をこの順に配置してなるベルトおよびトレッドを具え、
前記周方向ベルト層は、タイヤの断面幅の70%以上の幅を有し、且つセンター部における層数が、ショルダー部における層数より少なく、
前記傾斜ベルト層は、センター部の少なくとも一部に配置され、且つタイヤ赤道面を中心として、前記周方向ベルト層の幅の30%以上60%以下の幅を有すること、を特徴とする空気入りタイヤ。
前記交錯ベルト層のうち少なくとも1層の幅は、タイヤの断面幅の80%以上である、ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
図1は、本発明の空気入りタイヤの幅方向の部分断面図である。本発明の空気入りタイヤは、1対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカス2と、このカーカス2の径方向外側に、タイヤ周方向に対して斜めに延びるコードをゴム被覆してなる傾斜ベルト層3と、タイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなる周方向ベルト層4a、4b、4cと、タイヤ周方向に対して斜めに、かつ層間で互いに交差する向きに延びるコードをゴム被覆してなる交錯ベルト層5a、5bと、をこの順に配置してなるベルトおよびトレッド6を具えている。
これにより、センター部CNTには1層の周方向ベルト層4bが配置され、ショルダー部SHOには2層の周方向ベルト層4a、4bまたは2層の周方向ベルト層4b、4cが配置されているので、周方向ベルト層は、センター部CNTにおける層数が、ショルダー部SHOにおける層数より少ない。
なお、本明細書中でセンター部CNTとは、タイヤ赤道面CLを中心として周方向ベルト層4bの幅W4bの70%±10%未満の領域をいい、ショルダー部SHOとは、センター部CNTの両側の、タイヤ赤道面CLを中心として周方向ベルト層4bの幅W4bの70%±10%以上100%±10%以下の領域をいう。
なお、本明細書中でタイヤの断面幅とは、タイヤを適用リムに装着し、規定の空気圧としたときの幅である。
また、傾斜ベルト層3は、周方向ベルト層4bのタイヤ径方向内側、かつ、周方向ベルト層4bのセンター部CNTの少なくとも一部に配置されている。
上述したとおり、従来は、周方向ベルト層および交差ベルト層のベルト幅を広げることにより、ショルダー領域での偏摩耗を抑制していた。これは、周方向ベルト層のベルト張力によるタガ効果をショルダー領域に発揮させることにより、ショルダー領域での接地圧を増大させているためである。
ところが、周方向ベルト層および交差ベルト層のベルト幅を一様に広げると、トレッドのショルダー領域の剛性が高まる一方で、同センター領域の剛性も依然として高く維持されることになるため、両領域間における接地圧の高低差を克服できず、トレッドの耐摩耗性能に改善の余地があった。
そこで、本発明では、周方向ベルト層の幅を、タイヤの断面幅の70%以上とした上で、周方向ベルト層のセンター部CNTにおける層数を、ショルダー部SHOにおける層数より少なくすることにより、センター領域の接地圧を低下させて、すなわち、両領域間における接地圧の高低差を低減して、耐摩耗性能を向上させている。
(傾斜ベルト層)
傾斜ベルト層3のコードは、タイヤ周方向に対して40°以上90°以下で傾斜していることが好ましい。傾斜ベルト層3のコードが、タイヤ周方向に対して40°未満で傾斜していると、周方向張力を増加させ、センター領域の耐摩耗性能を悪化させるおそれがあるためである。
また、傾斜ベルト層3の幅W3は、タイヤ赤道面CLを中心として、周方向ベルト層4bの幅W4bの30%以上60%以下である。傾斜ベルト層3が周方向ベルト層4bの幅W4bの30%未満の領域にのみ配置されていると、突起乗り越し時のベルト破断を防止する効果が十分に発揮されないおそれがある。また、周方向ベルト層4bの幅W4bの70%以上の領域(すなわち、ショルダー部SHO)には、周方向ベルト層4b、4cが配置されているので、傾斜ベルト層3は周方向ベルト層4bの幅W4bの60%以下の領域に配置すれば、突起乗り越し時のベルト破断を防止する効果を十分に発揮することができる。
交錯ベルト層5a、5bのコードは、タイヤ周方向に対して40°以上90°以下で傾斜していることが好ましい。
また、交錯ベルト層5a、5bの幅W5a、W5bは、タイヤの断面幅の50%以上であり、交錯ベルト層5a、5bのうち幅広の交錯ベルト層5aの幅W5aは、タイヤの断面幅の80%以上であることが好ましい。
交錯ベルト層5a、5bのコード角度および幅を上述のように規定することにより、幅方向剛性を十分増加させ、偏摩耗性能を維持することができる。
周方向ベルト層4bの幅W4bは、タイヤの断面幅の75%以上であることが好ましい。周方向ベルト層4bの幅W4bがタイヤの断面幅の75%以上の場合、ショルダー部SHOの周方向剛性を十分高めることができ、ショルダー部SHOの偏摩耗を十分に抑制することができるためである。
また、周方向ベルト層4a、4b、4cを形成するコードは、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる他、波型、ジグザグ型等の形態で延びるものとすることができる。また、コード伸長率が2%前後に到るまでは、小さな引張力で大きく伸長する一方、その伸長率を越えた後は、大きな引張力によっても伸長率が少なくなる、いわゆる初期伸びの大きい、例えばスチール製の撚りコードとすることができる。
なお、周方向ベルト層4a、4b、4cのコードを、波型等の迂曲形態としてコードの初期伸びを確保するときは、リムに組み付けたタイヤに、JATMA等の規格で規定される最高空気圧を充填した状態で、迂曲形態が消失するものとすることが、空気入りタイヤの使用状態での径成長抑制機能を十分発揮させることができるので好ましい。
また、図2に示すように、周方向ベルト層4bのタイヤ径方向外側、かつ、周方向ベルト層4bのショルダー部SHOに、周方向ベルト層4a、4bを配置してもよいし、図示を省略するが、周方向ベルト層4bのタイヤ径方向内側、かつ、周方向ベルト層4bのショルダー部SHOに、周方向ベルト層4a、4bを配置してもよい。
発明例タイヤ、比較例タイヤおよび従来例タイヤを表1に示す仕様のもと試作し、耐偏摩耗性能、耐摩耗性能および突起入力性能を評価した。
発明例タイヤ1〜13(タイヤサイズ:435/45R22.5、タイヤ幅:430mm)は、図1に示すベルト構造を有する。
従来例タイヤは、図3に示すベルト構造を有し、傾斜ベルト層3を有さず、周方向ベルト層4aが周方向ベルト層4bと同一の幅を有する点以外、発明例タイヤと同様である。
比較例タイヤ1〜5は、図4に示すベルト構造を有し、傾斜ベルト層3を有さない点以外、発明例タイヤと同様である。
比較例タイヤ6は、図1に示すベルト構造を有し、周方向ベルト層4bのベルト幅W4bがタイヤの断面幅の70%未満である点以外、発明例タイヤと同様である。
各供試タイヤをリム(14.00×22.5)に組み付け、内圧(900kPa)を付与した後、車両(普通乗用車の4輪)に装着し、荷重(5000kgf)を与え、平均速度60km/hで10000km走行させた。その後、タイヤ赤道面CLにおけるトレッドゴムの摩耗量と、トレッド端TEにおけるトレッドゴムの摩耗量を測定した。
耐偏摩耗性能は、タイヤ赤道面CLにおけるトレッドゴムの摩耗量とトレッド端TEにおけるトレッドゴムの摩耗量との割合で示し、従来例タイヤの割合を100として指数化した。なお、指数が大きいほど、性能に優れていることを示す。
耐摩耗性能は、タイヤ赤道面CLにおけるトレッドゴムも摩耗量の逆数で示し、従来例タイヤの逆数を100として指数化した。なお、指数が大きいほど、性能に優れていることを示す。
各供試タイヤをリム(14.00×22.5)に組み付け、内圧(900kPa)を付与した後、突起高さ水準を変化させバースト発生の有無を測定した。
3 傾斜ベルト層
4a 周方向ベルト層
4b 周方向ベルト層
4c 周方向ベルト層
5a 交錯ベルト層
5b 交錯ベルト層
6 トレッド
CNT センター部
SHO ショルダー
Claims (4)
- 1対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカス、このカーカスの径方向外側に、タイヤ周方向に対して斜めに延びるコードをゴム被覆してなる傾斜ベルト層と、該傾斜ベルト層のタイヤ径方向外側に配置され、且つ、タイヤ周方向に沿って延びるコードをゴム被覆してなる周方向ベルト層と、該周方向ベルト層のタイヤ径方向外側に配置され、且つ、タイヤ周方向に対して斜めに、かつ層間で互いに交差する向きに延びるコードをゴム被覆してなる交錯ベルト層と、をこの順に配置してなるベルトおよびトレッドを具え、
前記周方向ベルト層は、タイヤの断面幅の70%以上の幅を有し、且つセンター部における層数が、ショルダー部における層数より少なく、且つ、タイヤ赤道面をまたいで延在する前記センター部の一方側のショルダー部は、前記センター部のタイヤ径方向外側に折り返されて延び、前記センター部の他方側のショルダー部は、前記センター部のタイヤ径方向内側に折り返されて延び、
前記傾斜ベルト層は、センター部の少なくとも一部に配置され、且つタイヤ赤道面を中心として、前記周方向ベルト層の幅の30%以上60%以下の幅を有すること、を特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記傾斜ベルト層のコードは、タイヤ周方向に対して40°以上90°以下で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記交錯ベルト層のコードは、タイヤ周方向に対して40°以上90°以下で傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記交錯ベルト層の幅は、タイヤの断面幅の50%以上であり、
前記交錯ベルト層のうち少なくとも1層の幅は、タイヤの断面幅の80%以上である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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