JP6294124B2 - 共重合体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、共重合体およびその製造方法に関する。
従来、水処理剤等に用い得る共重合体として、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)由来の構造単位(A)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)由来の構造単位(B)と、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)由来の構造単位(C)とを有する共重合体が報告されている(例えば、特許文献1〜4)。
シリカスケール防止剤などの水処理剤には、タルク分散能、カーボンブラック分散能、カルシウムイオン捕捉能の全てにおいて優れていることが求められる。タルク分散能やカーボンブラック分散能が劣っていると、例えば、シリカスケールの分散性能が低くなり、結果として、良好なシリカスケール防止能が得られないおそれがある。カルシウムイオン捕捉能が劣っていると、カルシウムイオンやマグネシウムイオンとの親和性が弱くなり、結果として、良好なシリカスケール防止能が得られないおそれがある。
しかし、従来の上記のような構造単位を有する共重合体は、いずれも、タルク分散能、カーボンブラック分散能、カルシウムイオン捕捉能の全てにおいて優れたものではない。
特開2012−224680号公報 特表2011−521012号公報 特表2011−503246号公報 特開2000−355615号公報
本発明の課題は、上記現状に鑑みてなされたものであり、タルク分散能、カーボンブラック分散能、カルシウムイオン捕捉能の全てにおいて優れた共重合体を提供することにある。また、そのような共重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明の共重合体は、
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)由来の構造単位(A)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)由来の構造単位(B)と、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)由来の構造単位(C)とを有する共重合体であって、
該共重合体中の該構造単位(A)の含有割合が45モル%〜90モル%であり、
該共重合体中の該構造単位(B)の含有割合が5モル%〜25モル%であり、
該共重合体中の該構造単位(C)の含有割合が5モル%〜30モル%であり、
該共重合体中の全単量体由来の構造単位に対する、該構造単位(A)と該構造単位(B)と該構造単位(C)の合計の含有割合が、90モル%〜100モル%であり、
重量平均分子量Mwが40000〜1000000である。
好ましい実施形態においては、上記モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)が、炭素数3〜8個のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体である。
好ましい実施形態においては、上記モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)が、炭素数4〜6個のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である。
好ましい実施形態においては、上記スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)が、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)である。
本発明の共重合体の製造方法は、
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)と、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)とを含む単量体成分を重合して共重合体を製造する方法であって、
該単量体成分中の該モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)の含有割合が45モル%〜90モル%であり、
該単量体成分中の該モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)の含有割合が5モル%〜25モル%であり、
該単量体成分中の該スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の含有割合が5モル%〜30モル%であり、
該単量体成分中の、該モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)と該モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)と該スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の合計の含有割合が、90モル%〜100モル%である。
好ましい実施形態においては、上記モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)が、炭素数3〜8個のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体である。
好ましい実施形態においては、上記モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)が、炭素数4〜6個のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である。
好ましい実施形態においては、上記スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)が、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)である。
本発明によれば、タルク分散能、カーボンブラック分散能、カルシウムイオン捕捉能の全てにおいて優れた共重合体を提供することができる。また、そのような共重合体を製造する方法を提供することができる。
本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、酸および/または酸塩を意味する。「塩」としては、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩;などが挙げられる。「塩」は、1種のみであっても良いし、2種以上の混合物であっても良い。「塩」としては、より好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であり、さらに好ましくは、ナトリウム塩である。
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。
≪A.共重合体≫
本発明の共重合体は、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)由来の構造単位(A)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)由来の構造単位(B)と、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)由来の構造単位(C)とを有する。
「単量体由来の構造単位」とは、単量体中の重合反応に関与する不飽和二重結合が重合反応によって単結合となった構造単位を意味し、具体的には、単量体を「RC=CR」で表した場合、共重合体中の「−RC−CR−」で表される構造単位を意味する。例えば、アクリル酸由来の構造単位は、「−CH−CH(COOH)−」で表され、マレイン酸由来の構造単位は、「−CH(COOH)−CH(COOH)−」で表される。
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)としては、好ましくは、炭素数3〜8個のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体である。このようなモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)としては、例えば、アクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)、クロトン酸(塩)、イソクロトン酸(塩)、α−ヒドロキシアクリル酸(塩)などが挙げられる。モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)は、1種のみであっても良いし、2種以上の混合物であっても良い。モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)としては、より好ましくは、アクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)であり、さらに好ましくはアクリル酸(塩)である。
モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)としては、好ましくは、炭素数4〜6個のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である。このようなモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)としては、例えば、マレイン酸(塩)、イタコン酸(塩)、メサコン酸(塩)、フマル酸(塩)、シトラコン酸(塩)、これらの中で無水物の形を有し得るものはその無水物などが挙げられる。モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)は、1種のみであっても良いし、2種以上の混合物であっても良い。モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)としては、より好ましくは、マレイン酸(塩)、無水マレイン酸(塩)である。
スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)としては、例えば、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)、3−メタリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)、ビニルスルホン酸(塩)、アリルスルホン酸(塩)、メタリルスルホン酸(塩)、スチレンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スルホエチルアクリレートまたはその塩、スルホエチルメタクリレートまたはその塩、スルホプロピルアクリレートまたはその塩、スルホプロピルメタクリレートまたはその塩、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)などが挙げられる。スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)は、1種のみであっても良いし、2種以上の混合物であっても良い。
スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)としては、本発明の効果がより発現され得る点、および、得られる共重合体の経時安定性が高い点で、好ましくは、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)、3−メタリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スルホエチルアクリレートまたはその塩、スルホエチルメタクリレートまたはその塩、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)であり、より好ましくは、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)、3−メタリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)であり、さらに好ましくは、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)である。
本発明の共重合体は、構造単位(A)、構造単位(B)、構造単位(C)以外に、その他の単量体(d)由来の構造単位(D)を有していても良い。
その他の単量体(d)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル基のエステルであるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物等のアミノ基含有アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;イソプレンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体類およびこれらの塩類;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸等のホスホン酸基を有する単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、モノアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドが1モル〜300モル付加した構造を有する単量体であるポリアルキレングリコール鎖含有単量体類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他の官能基を有する単量体類;などが挙げられる。これらのその他のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明の共重合体中の構造単位(A)の含有割合は45モル%〜90モル%であり、好ましくは50モル%〜80モル%であり、より好ましくは55モル%〜75モル%であり、さらに好ましくは60モル%〜75モル%であり、特に好ましくは65モル%〜70モル%である。本発明の共重合体中の構造単位(A)の含有割合が30モル%未満の場合、タルク分散能やカーボンブラック分散能が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。本発明の共重合体中の構造単位(A)の含有割合が90モル%を超えると、キレート能(カルシウムイオン捕捉能)が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。
本発明の共重合体中の構造単位(B)の含有割合は5モル%〜25モル%であり、好ましくは7モル%〜25モル%であり、より好ましくは8モル%〜23モル%であり、さらに好ましくは9モル%〜21モル%であり、特に好ましくは10モル%〜20モル%である。本発明の共重合体中の構造単位(B)の含有割合が5モル%未満の場合、キレート能(カルシウムイオン捕捉能)が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。本発明の共重合体中の構造単位(B)の含有割合が25モル%を超えると、タルク分散能やカーボンブラック分散能が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。
本発明の共重合体中の構造単位(C)の含有割合は5モル%〜30モル%であり、好ましくは7モル%〜28モル%であり、より好ましくは10モル%〜27モル%であり、さらに好ましくは12モル%〜26モル%であり、特に好ましくは15モル%〜25モル%である。本発明の共重合体中の構造単位(C)の含有割合が5モル%未満の場合、共重合体中のカルボン酸がカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどを捕捉した際に、共重合体の一部が析出してタルク分散能やカーボンブラック分散能が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。本発明の共重合体中の構造単位(C)の含有割合が30モル%を超えると、キレート能(カルシウムイオン捕捉能)が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。
本発明の共重合体中の全単量体由来の構造単位に対する、構造単位(A)と構造単位(B)と構造単位(C)の合計の含有割合は、90モル%〜100モル%であり、好ましくは95モル%〜100モル%であり、より好ましくは98モル%〜100モル%であり、さらに好ましくは99モル%〜100モル%であり、特に好ましくは100モル%である。本発明の共重合体中の全単量体由来の構造単位に対する、構造単位(A)と構造単位(B)と構造単位(C)の合計の含有割合が、90モル%未満の場合、タルク分散能やカーボンブラック分散能やキレート能(カルシウムイオン捕捉能)が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。
本発明の共重合体の重量平均分子量Mwは40000〜1000000であり、好ましくは45000〜500000であり、より好ましくは50000〜200000であり、さらに好ましくは55000〜100000であり、特に好ましくは60000〜90000である。本発明の共重合体の重量平均分子量Mwが40000未満の場合、タルク分散能やカーボンブラック分散能が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。本発明の共重合体の重量平均分子量Mwが1000000を超えると、タルク分散能やカーボンブラック分散能が所望の性能に到達しないという問題が生じるおそれがある。
本発明の共重合体は、(i)該共重合体中の構造単位(A)の含有割合が45モル%〜90モル%であり、(ii)該共重合体中の構造単位(B)の含有割合が5モル%〜25モル%であり、(iii)該共重合体中の構造単位(C)の含有割合が5モル%〜30モル%であり、(iv)該共重合体中の、構造単位(A)と構造単位(B)と構造単位(C)の合計の含有割合が、90モル%〜100モル%であり、(v)重量平均分子量Mwが40000〜1000000であることにより、タルク分散能、カーボンブラック分散能、カルシウムイオン捕捉能の全てにおいて優れた共重合体となり得る。
本発明の共重合体は、タルク分散能が、好ましくは0.40以上であり、より好ましくは0.45以上であり、さらに好ましくは0.50以上である。本発明の共重合体のタルク分散能が上記範囲内に収まることにより、本発明の共重合体を水処理剤等の添加剤として好ましく使用することができる。タルク分散能の測定方法については後述する。
本発明の共重合体は、カーボンブラック分散能が、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、さらに好ましくは4以上である。本発明の共重合体のカーボンブラック分散能が上記範囲内に収まることにより、本発明の共重合体を水処理剤等の添加剤として好ましく使用することができる。カーボンブラック分散能の測定方法については後述する。
本発明の共重合体は、キレート能(カルシウムイオン捕捉能)が、好ましくは200以上であり、より好ましくは220以上であり、さらに好ましくは240以上である。本発明の共重合体のキレート能(カルシウムイオン捕捉能)が上記範囲内に収まることにより、本発明の共重合体を水処理剤等の添加剤として好ましく使用することができる。キレート能(カルシウムイオン捕捉能)の測定方法については後述する。
本発明の共重合体は、任意の適切な方法によって製造し得る。本発明の共重合体は、好ましくは、以下に説明する本発明の製造方法によって製造し得る。
≪B.共重合体の製造方法≫
本発明の共重合体の製造方法は、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)と、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)とを含む単量体成分を重合して共重合体を製造する方法である。
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)のそれぞれについての説明は、≪A.共重合体≫の項における説明が援用される。
単量体成分は、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)以外に、その他の単量体(d)を有していても良い。
その他の単量体(d)についての説明は、≪A.共重合体≫の項における説明が援用される。
単量体成分中のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)の含有割合は45モル%〜90モル%であり、好ましくは50モル%〜80モル%であり、より好ましくは55モル%〜75モル%であり、さらに好ましくは60モル%〜75モル%であり、特に好ましくは65モル%〜70モル%である。単量体成分中のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)の含有割合が30モル%未満の場合、所望の分子量の共重合体を得ることが困難になるという問題が生じるおそれがある。単量体成分中のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)の含有割合が90モル%を超えると、単量体(b)や単量体(c)を各々の共重合体に均等に導入することが困難になるという問題が生じるおそれがある。
単量体成分中のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)の含有割合は5モル%〜25モル%であり、好ましくは7モル%〜25モル%であり、より好ましくは8モル%〜23モル%であり、さらに好ましくは9モル%〜21モル%であり、特に好ましくは10モル%〜20モル%である。単量体成分中のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)の含有割合が5モル%未満の場合、単量体(b)を各々の共重合体に均等に導入することが困難になるという問題が生じるおそれがある。単量体成分中のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)の含有割合が25モル%を超えると、所望の分子量の共重合体を得ることが困難になるという問題が生じるおそれがある。
単量体成分中のスルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の含有割合は5モル%〜30モル%であり、好ましくは7モル%〜28モル%であり、より好ましくは10モル%〜27モル%であり、さらに好ましくは12モル%〜26モル%であり、特に好ましくは15モル%〜25モル%である。単量体成分中のスルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の含有割合が5モル%未満の場合、単量体(c)を各々の共重合体に均等に導入することが困難になるという問題が生じるおそれがある。単量体成分中のスルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の含有割合が30モル%を超えると、所望の分子量の共重合体を得ることが困難になるという問題が生じるおそれがある。
単量体成分中の、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)とモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)とスルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の合計の含有割合は、90モル%〜100モル%であり、好ましくは95モル%〜100モル%であり、より好ましくは98モル%〜100モル%であり、さらに好ましくは99モル%〜100モル%であり、特に好ましくは100モル%である。単量体成分中の、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)とモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)とスルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の合計の含有割合が、90モル%未満の場合、単量体(b)や単量体(c)を各々の共重合体に均等に導入することや所望の分子量の共重合体を得ることが困難になるという問題が生じるおそれがある。
本発明の共重合体の製造方法における重合方法については、任意の適切な重合方法を採用し得る。このような重合方法としては、例えば、水性溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下、場合により連鎖移動剤を用いて、重合を行う方法が挙げられる。
本発明の共重合体の製造方法において用い得る溶媒としては、好ましくは水性溶媒である。水性溶媒としては、例えば、水、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、好ましくは水である。なお、単量体の溶媒への溶解性向上のため、必要に応じて、重合に悪影響を及ぼさない範囲で、任意の適切な有機溶媒を適宜加えても良い。このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;などが挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。
本発明の共重合体の製造方法において用い得る溶媒の使用量は、単量体成分の全量に対して、好ましくは80質量%〜400質量%であり、より好ましくは150質量%〜300質量%であり、さらに好ましくは200質量%〜250質量%である。溶媒の使用量が単量体成分の全量に対して80質量%未満の場合、重合中に粘度が上昇して混合が不十分となってゲルが生成するという問題が生じるおそれがある。溶媒の使用量が単量体成分の全量に対して400質量%を超えると、所望の分子量の共重合体を得ることが困難になるという問題が生じるおそれがある。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素;などが挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、好ましくは、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;である。ラジカル重合開始剤としては、さらに好ましくは、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩である。ラジカル重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量としては、単量体成分1モルあたり、好ましくは1g〜10gであり、より好ましくは2g〜5gである。ラジカル重合開始剤の使用量が単量体成分1モルあたり1g未満の場合、単量体成分の残存量が大幅に増大するおそれがある。ラジカル重合開始剤の使用量が単量体成分1モルあたり10gを超えると、もはやラジカル重合開始剤を増やした効果が現れず、経済的にも不利であり、またラジカル重合開始剤の使用量が多い分、得られる共重合体の純分量が低下し、カルシウムイオン捕捉能等の物性の低下を招くおそれがある。
ラジカル重合開始剤の添加方法、添加時間としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加方法、添加時間を採用し得る。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸等のリン酸系連鎖移動剤;亜リン酸塩(亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム等)、次亜リン酸塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)等のリン酸塩系連鎖移動剤;亜硫酸(塩);重亜硫酸(塩);亜二チオン酸(塩);メタ重亜硫酸(塩);ピロ亜硫酸(塩);などが挙げられる。ここで、上記にいう「塩」としては、金属塩(ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、鉄塩などの遷移金属塩)、アンモニウム塩、有機アミン塩(メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの1級〜4級のアミン塩)などが挙げられる。連鎖移動剤は、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。
本発明の共重合体の製造方法においては、連鎖移動剤として、好ましくは、重亜硫酸塩を用いる。重亜硫酸塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。
本発明の共重合体の製造方法においては、重合反応器内に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を添加しても良い。このようなその他の成分としては、例えば、pH調整剤、緩衝剤、溶剤などが挙げられる。
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)は、その全使用量に対し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは全量を、実質的に連続的に滴下することにより、重合反応器内に添加する。
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)は、重合反応器内に予め初期仕込みしておかないことが好ましい。
モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)は、その全使用量に対し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは全量を、実質的に連続的に滴下することにより、重合反応器内に添加する。
モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)は、重合反応器内に予め初期仕込みしておかないことが好ましい。
スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)は、その全使用量に対し、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは全量を、重合反応器内に予め初期仕込みしておくことが好ましい。
その他の単量体(d)の添加方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加方法を採用し得る。
重合反応時における温度は、単量体成分やラジカル重合開始剤の滴下開始による重合開始時から重合終了時(あるいは、重合終了後に、得られた共重合体の熟成時間をさらに設定する時は、その終了時)までは、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上である。
重合反応時の温度を80℃未満とすると、ラジカル重合開始剤の分解効率が悪くなり、得られる共重合体における単量体の残存量が極めて多くなり好ましくない。また、沸点で重合を行うことは、温度制御が非常に容易となり、そのため重合の再現性が良く、得られる共重合体においても品質的に非常に安定したものとなり、非常に好ましいものである。
初期仕込み時の単量体成分の濃度は、好ましくは35質量%〜75質量%であり、より好ましくは40質量%〜70質量%であり、さらに好ましくは45質量%〜60質量%である。初期仕込み時の単量体成分の濃度が35質量%未満では、単量体成分の反応性が悪くなるおそれがあり、また、生産性に劣るおそれがある。初期仕込み時の単量体成分の濃度が75質量%を超えると、単量体成分の水溶性がもはやなくなってしまい、重合反応液がスラリー状あるいは沈殿物が生じる状態となり、均一重合とならないおそれがある。
重合終了時の共重合体の固形分濃度は、好ましくは10質量%〜70質量%であり、より好ましくは15質量%〜60質量%であり、さらに好ましくは20質量%〜50質量%である。本発明の共重合体の製造方法においては、重合終了時の共重合体の固形分濃度がこのような範囲になるように、単量体成分やラジカル重合開始剤などの添加物の濃度調整を行う。重合終了時の共重合体の固形分濃度が10質量%未満であると、結果的に、重合中の共重合体の固形分濃度が非常に低くなり、且つ、単量体成分の重合性が非常に悪くなるので、得られる共重合体中における単量体成分の残存量が非常に多くなるおそれがあり、また、生産性も低くなって経済的な面で劣るおそれがある。重合終了時の共重合体の固形分濃度が70質量%を超えると、結果的に、重合中の共重合体の固形分濃度が非常に高くなり、重合反応液が非常に高粘度になり、均一重合とならず、ハンドリング面に劣るおそれがあるとともに、得られる共重合体が非常に高分子量化するおそれがある。
重合時における圧力は、加圧、常圧(大気圧)、減圧のいずれでも良く、適宜設定すれば良い。
本発明の共重合体の製造方法においては、重合設備、特に、重合反応器は、金属イオンが溶け出さない加工を施したものが好ましい。具体的には、材質として、SUS316、グラスライニング処理を施した金属、例えばグラスライニング処理を施したステンレス等が挙げられる。
本発明の共重合体の製造方法においては、重合終了時に、所望に応じて熟成工程があっても構わない。熟成工程により、単量体成分の残存量を低減し得ることから、熟成工程を設けることが好ましい。熟成工程における熟成時間は、任意の適切な時間を設定し得る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
<単量体等の定量方法>
単量体等の定量は、特に言及した場合を除き、下記条件にて液体クロマトグラフィーを用いて行った。
測定装置:Waters Corporation製 e−2695
検出器:UV検出器(200nm)
カラム:昭和電工株式会社製 Shodex RSpak DE−413L、DE−G
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min
<重量平均分子量の測定方法>
共重合体の重量平均分子量の測定は、特に言及した場合を除き、下記条件にてゲルパーミエーションクラマトグラフィーを用いて行った。
装置:東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製 Shodex Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム水溶液
<固形分の測定方法>
120℃に加熱したオーブンで共重合体(共重合体1.0gに水1.0gを加えたもの)を2時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
<タルク分散能の測定方法>
試験管(AGCテクノグラス株式会社製、直径18mm、高さ180mm)にタルク(和光純薬工業株式会社製、和光1級、平均粒径7μm〜12μm)0.3gを入れた後、タルクを含めて合計30.3gとなるように、ほう酸−ほう酸ナトリウムpH緩衝液と塩化カルシウム水溶液と純水と共重合体水溶液を加えて、共重合体を固形分濃度で50mg/L含む、カルシウム硬度200mgCaCO/L、pH8.5の分散能試験液を調製した。
蓋をして密封した後、試験管を振ってタルクを均一に分散させた。
試験管を室温(約20℃)で1時間静置した後、試験液の上澄みをホールピペットで5mL採取した。採取した液を、UV分光光度計(島津製作所製、UV―1800)を用いて、波長380nmの条件で1cmセル吸光値(ABS)を測定し、この値をタルク分散能とした。
タルク分散能の値が大きいほど分散能が高いこととなる。
<カーボンブラック分散能の測定方法>
試験管(AGCテクノグラス株式会社製、直径18mm、高さ180mm)にカーボンブラック(財団法人洗濯科学協会製)0.03gを入れた後、カーボンブラックを含めて合計30.03gとなるように、ほう酸−ほう酸ナトリウムpH緩衝液と塩化カルシウム水溶液と純水と共重合体水溶液を加えて、共重合体を固形分濃度で50mg/L含む、カルシウム硬度200mgCaCO/L、pH8.5の分散能試験液を調製した。
蓋をして密封した後、試験管を振ってカーボンブラックを均一に分散させた。
試験管を室温(約20℃)で3時間静置した後、試験液中のカーボンブラックの分散度合いを目視で観察した。カーボンブラックが最も分散しているものを5、全く分散していないものを0として、6段階で分散能を判定した。
カーボンブラック分散能の値が大きいほど分散能が高いこととなる。
<キレート能(カルシウムイオン捕捉能)の測定方法>
容量100ccのビーカーに、0.001mol/Lの塩化カルシウム水溶液50gを採取し、共重合体を固形分換算で10mg添加した。次に、この水溶液のpHを希水酸化ナトリウムで9〜11に調整した。その後、撹拌下、カルシウムイオン電極安定剤として、4mol/Lの塩化カリウム水溶液1mlを添加した。
イオンアナライザー(EA920型、オリオン社製)およびカルシウムイオン電極(93−20型、オリオン社製)を用いて、遊離のカルシウムイオンを測定し、共重合体1g当たり、炭酸カルシウム換算で何mgのカルシウムイオンがキレートされたか(キレート能の1種であるカルシウムイオン捕捉能)を計算で求めた。カルシウムイオン捕捉能の単位は「mgCaCO/g」である。
キレート能(カルシウムイオン捕捉能)の値が大きいほどキレート能(カルシウムイオン捕捉能)が高いこととなる。
<実施例1>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS316製のセパラブルフラスコに、40質量%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、40%HAPSと称す)654.0gを仕込み、攪拌下、沸点還流状態になるまで昇温した(初期仕込み)。
次いで、攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと称す)280.8g、無水マレイン酸(以下、無水MAと称す)47.1g、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと称す)128.0g、純水909.2gを、それぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを90分間、無水MAを30分間、15%NaPSを110分間、純水を40分間とした。また、滴下開始時間に関しては、純水以外の各滴下液はすべて同時に滴下を開始し、純水のみ他の滴下液の滴下開始50分後に滴下を開始した。15%NaPSは32.0gを0−55分に一定の滴下速度で連続的に滴下し、残り96.0gを55−110分に一定の滴下速度で連続的に滴下した。80%AAと無水MAと純水はそれぞれの滴下時間の間、滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持して熟成し、重合を完結せしめた。
このようにして、固形分濃度が30.0質量%、重量平均分子量が87000の共重合体(1)を得た。また、残存アクリル酸は160ppm、残存マレイン酸は0ppm、残存HAPSは1700ppmであった。
結果を表1に示した。
<実施例2>
実施例1において、40%HAPSを518.3g、80%AAを222.5g、無水MAを37.3g、15%NaPSを101.5g、純水を720.5g、無水MAの滴下時間を60分間に、15%NaPSの0−55分および55−110分に滴下する量をそれぞれ25.4gおよび76.1gに変更した以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度が30.1質量%、重量平均分子量が66000の共重合体(2)を得た。また、残存アクリル酸は10ppm、残存マレイン酸は0ppm、残存HAPSは410ppmであった。
結果を表1に示した。
<実施例3>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS316製のセパラブルフラスコに、40%HAPS217.6gを仕込み、攪拌下、沸点還流状態になるまで昇温した(初期仕込み)。
次いで、攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に、80%AA233.5g、40%HAPS217.6g、無水MA58.7g、15%NaPS106.4g、純水766.2gを、それぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを90分間、40%HAPSと無水MAを60分間、15%NaPSを110分間、純水を40分間とした。また、滴下開始時間に関しては、純水以外の各滴下液はすべて同時に滴下を開始し、純水のみ他の滴下液の滴下開始50分後に滴下を開始した。15%NaPSは26.6gを0−55分に一定の滴下速度で連続的に滴下し、残り79.8gを55−110分に一定の滴下速度で連続的に滴下した。80%AAと40%HAPSと無水MAと純水はそれぞれの滴下時間の間、滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持して熟成し、重合を完結せしめた。
このようにして、固形分濃度が29.9質量%、重量平均分子量が60000の共重合体(3)を得た。また、残存アクリル酸は10ppm、残存マレイン酸は30ppm、残存HAPSは200ppmであった。
結果を表1に示した。
<実施例4>
実施例3において、初期仕込みの40%HAPSを172.9g、80%AAを247.5g、滴下の40%HAPSを172.9g、無水MAを83.0g、15%NaPSを90.3g、純水を833.3g、15%NaPSの0−55分および55−110分に滴下する量をそれぞれ22.6gおよび67.7gに変更した以外は、実施例3と同様にして、固形分濃度が29.7質量%、重量平均分子量が77000の共重合体(4)を得た。また、残存アクリル酸は30ppm、残存マレイン酸は3700ppm、残存HAPSは290ppmであった。
結果を表1に示した。
<比較例1>
比較重合体(1)として、構造単位(A):構造単位(B):構造単位(C)が70:20:10(モル%)、重量平均分子量が9700の重合体を使用した。
結果を表1に示した。
<比較例2>
比較重合体(2)として、構造単位(A):構造単位(B):構造単位(C)が45:45:10(モル%)、重量平均分子量が8300の重合体を使用した。
結果を表1に示した。
<比較例3>
比較重合体(3)として、構造単位(A):構造単位(B):構造単位(C)が45:45:10(モル%)、重量平均分子量が13000の重合体を使用した。
結果を表1に示した。
<比較例4>
比較重合体(4)として、構造単位(A):構造単位(B):構造単位(C)が75:0:25(モル%)、重量平均分子量が100000の重合体を使用した。
結果を表1に示した。
<比較例5>
重合体未添加で、各種測定を行った。
結果を表1に示した。
Figure 0006294124
表1より、本発明の共重合体および本発明の製造方法で得られる共重合体は、タルク分散能、カーボンブラック分散能、カルシウムイオン捕捉能の全てにおいて優れていることが判る。
本発明の共重合体、および、本発明の製造方法により製造される共重合体は、例えば、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を配合した組成物として、水処理剤として用い得る。このような水処理剤は、例えば、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。

Claims (2)

  1. モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)由来の構造単位(A)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)由来の構造単位(B)と、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)由来の構造単位(C)とを有する共重合体であって、
    該スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)が、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)であり、
    該共重合体中の該構造単位(A)の含有割合が45モル%〜90モル%であり、
    該共重合体中の該構造単位(B)の含有割合が5モル%〜25モル%であり、
    該共重合体中の該構造単位(C)の含有割合が5モル%〜30モル%であり、
    該共重合体中の全単量体由来の構造単位に対する、該構造単位(A)と該構造単位(B)と該構造単位(C)の合計の含有割合が、90モル%〜100モル%であり、
    重量平均分子量Mwが40000〜1000000である、
    共重合体。
  2. モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)と、スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)とを含む単量体成分を重合して共重合体を製造する方法であって、
    該スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)が、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(塩)であり、
    該単量体成分中の該モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)の含有割合が45モル%〜90モル%であり、
    該単量体成分中の該モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)の含有割合が5モル%〜25モル%であり、
    該単量体成分中の該スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の含有割合が5モル%〜30モル%であり、
    該単量体成分中の、該モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)と該モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)と該スルホン酸(塩)基を有するモノエチレン性不飽和単量体(c)の合計の含有割合が、90モル%〜100モル%である、
    共重合体の製造方法。
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