JP2017179147A - ポリカルボン酸系共重合体及びその用途 - Google Patents
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Description
YO(R3O)nR4 (2)
(式中、Yは、炭素数2〜8のアルケニル基を表す。R3Oは、同一又は異なって、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜25の数である。R4は、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)で表されることが好ましい。
本明細書中、(ポリ)アルキレングリコール鎖の平均鎖長とは、単量体(b)1モル中において付加しているオキシアルキレン基のモル数の平均値、すなわちオキシアルキレン基の平均付加モル数を意味する。
本発明のポリカルボン酸系共重合体(単に「共重合体」とも称す)は、不飽和ジカルボン酸系単量体(a)に由来する構成単位(A)と、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(b)に由来する構成単位(B)とを含む。必要に応じて、更に他の単量体(c)に由来する構成単位(C)を含んでもよく、各構成単位は、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。
ここで、単量体に由来する構成単位とは、当該単量体が有する炭素炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)となった構造を意味する。
本明細書中、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、後述する実施例に記載の方法で求められる。
本明細書中、共重合体の中和率は、共重合体が有するカルボキシル基の総量100モル%に対して塩を形成しているカルボキシル基の割合(モル%)を意味する。
本明細書中、未反応単量体の含有割合は、後述する実施例に記載の方法で求められる。
−構成単位(A)−
構成単位(A)は、不飽和ジカルボン酸系単量体(a)(単量体(a)とも称す)に由来する構造である。単量体(a)は、1分子中に、重合性二重結合(C=C)を少なくとも1個有し、かつカルボキシル基又はその塩を2個含む化合物であれば特に限定されないが、中でも、上記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
なお、不飽和ジカルボン酸系単量体(a)のうち、塩である形態とは、2つのカルボキシル基のうち一方のみが中和され、他方のカルボキシル基が酸型である形態(一塩)と、両方のカルボキシル基が中和されている形態(二塩)とのいずれをも包含する。
構成単位(B)は、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(b)(単量体(b)とも称す)に由来する構造である。単量体(b)は、1分子中に、重合性二重結合(C=C)と、(ポリ)アルキレングリコール鎖と、エーテル結合とをそれぞれ少なくとも1個有する化合物である。
上記一般式(2)において、Yは、炭素数2〜8のアルケニル基を表すが、炭素数は3〜8であることが好ましく、より好ましくは3〜5、更に好ましくは4〜5である。Yとしては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、3−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基等が好適である。中でも、アリル基、メタリル基、3−メチル−3−ブテニル基が好ましく、より好ましくはメタリル基又は3−メチル−3−ブテニル基であり、更に好ましくは3−メチル−3−ブテニル基である。
なお、(R3O)nで表される(ポリ)アルキレングリコール鎖は、2種以上のオキシアルキレン基により形成されるものであってもよい。2種以上のオキシアルキレン基により形成される場合、これらはランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態で存在していてもよい。
なお、2種以上のオキシアルキレン基を有する場合の組み合わせとしては、(オキシエチレン基、オキシプロピレン基)、(オキシエチレン基、オキシブチレン基)、(オキシエチレン基、オキシスチレン基)が好適である。中でも、(オキシエチレン基、オキシプロピレン基)がより好ましい。
炭化水素基を表す場合、親水性を向上させて粒子分散性をより高める観点から、炭素数は1〜20であることが好ましい。より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜4である。炭化水素基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状)、フェニル基、アルキル置換フェニル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール等が好適である。中でも、アルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状)が好ましい。
R4として特に好ましくは、水素原子である。
上述したように、上記共重合体はまた、単量体(a)及び/又は(b)以外のその他の単量体(c)に由来する構成単位(C)を含んでもよい。単量体(c)は、単量体(a)及び/又は(b)と共重合可能な単量体であればよく、例えば、下記化合物等の1種又は2種以上を使用することができる。
次に、本発明のポリカルボン酸系共重合体を製造する方法について、説明する。
上記共重合体の製造方法としては、単量体(a)及び単量体(b)、並びに、必要に応じて単量体(c)を含む単量体成分を重合する重合工程を含む方法であればよいが、重合を容易にし、未反応単量体の残存量を低減する観点から、重合工程に使用される単量体(a)として部分中和物を用いることが好適である。
以下、この製造方法における各工程について更に説明する。
中和工程は、不飽和ジカルボン酸を部分的に中和する工程である。この際、中和率を30〜80モル%に設定することが好適である。この中和率を満たす不飽和ジカルボン酸の部分中和物を重合工程に供することで、重合反応がより容易になり、かつ得られる共重合体中の未反応単量体の残存量がより充分に低減される。上記中和率は、より好ましくは35モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、また、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。
なお、中和物質は、1種又は2種以上を使用することができる。
重合工程は、不飽和ジカルボン酸の部分中和物と、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体(b)と、必要に応じて他の単量体(c)とを含む単量体成分を重合する工程であることが好ましい。各単量体等はそれぞれ1種又は2種以上使用することができる。この重合工程では、共重合体を構成する各構成単位の含有割合が上述した範囲内となるように、各単量体の使用量を適宜設定することが好ましい。
重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化水素;過硫酸、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸(塩);ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;等が好適である。中でも、過硫酸(塩)、すなわち過硫酸及び/又は過硫酸塩を用いることがより好ましい。塩としては特に限定されず、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、n−ドデシルメルカプタン等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸(塩)(これらの水和物を含む);亜リン酸、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸(塩);亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸(塩);亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の重亜硫酸(塩);亜ジチオン酸ナトリウム等の亜ジチオン酸(塩);ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸(塩);等が挙げられる。中でも、次亜リン酸(塩)、すなわち次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩を用いることがより好ましい。塩としては特に限定されず、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;等が挙げられる。中でも、水を含むこと、すなわち、水、又は、水と有機溶剤との混合溶媒が好適である。より好ましくは、溶媒の総量100質量%に対して水を50質量%以上含むことであり、更に好ましくは80質量%以上含むこと、特に好ましくは90質量%以上含むことである。最も好ましい溶媒は水である。
なお、重合温度は、重合反応において常にほぼ一定に保持しなくてもよい。例えば、室温から重合を開始して適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温した後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。
本明細書中、重合時間とは、特に断らない限り、開始剤及び単量体成分を添加している時間を表す。
上記製造方法はまた、必要に応じてその他の工程等を1又は2以上含んでもよい。例えば、熟成工程、重合後の中和工程、重合開始剤や連鎖移動剤の失活工程、希釈工程、乾燥工程、濃縮工程、精製工程等が挙げられる。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上述したように耐ゲル性及びカルシウムイオン捕捉能に優れる他、カーボンブラック等の粒子に対しても経時的に安定した分散性能を発揮することができる。それゆえ、特に水処理剤や洗剤等の水系用途に用いることが好適である。このように上記ポリカルボン酸系共重合体を含む水処理剤又は洗剤組成物もまた、本発明に包含される。洗剤組成物中では、本発明の共重合体は、洗剤ビルダー分散剤等として好適に作用し得る。その他、例えば、有機粒子分散剤、印刷インク、繊維処理剤、凝固剤、凝集剤、接着剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー・ヘアースプレー・石鹸・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、乳化剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤、水処理剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤等として用いることもできる。
以下、水処理剤及び洗剤組成物について、更に説明する。
本発明の水処理剤は、上述した本発明のポリカルボン酸系共重合体を含む。更に必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤等を含んでもよく、また、性能や効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上使用することができる。このような本発明の水処理剤は、例えば、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール抑制に有用である。
本発明の洗剤組成物は、上述した本発明のポリカルボン酸系共重合体を含む。その含有量は特に限定されないが、優れたビルダー性能を発揮し得るという観点からは、上記共重合体の含有量を、洗剤組成物の総量100質量%に対して、0.1〜15質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.3〜10質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
装置:東ソー社製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=7/3(体積比)
流速:0.5mL/分
温度:40℃
検量線:ポリアクリル酸標準サンプル(創和科学株式会社製)を用いて作成
検出器:RI
各重合体組成物中の単量体(a)(マレイン酸)の残存量は、以下の測定装置及び条件にて測定した。
測定装置:Waters Corporation製 e−2695
検出器:UV検出器 (200nm)
カラム:昭和電工社製 SHODEX RSpak DE−413L
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min。
各重合体組成物中の単量体(b)(イソプレノールへのエチレンオキシド付加物)の残存量は、以下の測定装置及び条件にて測定した。
測定装置:東ソー社製 8020シリーズ
カラム:資生堂社製 CAPCELL PAK C1 UG120
温度:40.0℃
溶離液:10mmol/Lリン酸水素二ナトリウム・12水和物水溶液
(リン酸でpH7に調整)/アセトニトリル=45/55(体積比)
流速:1.0ml/min
検出器:RI
170℃に加熱したオーブンで中和度調製後の重合体(重合体組成物を48%NaOHで90%中和に調製したもの1.0gに水2.0gを加えたもの)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の質量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
各重合体の耐ゲル性は、以下の耐ゲル性試験により評価した。
(1)500mLのトールビーカーに、純水とほう酸−ほう酸ナトリウムpH緩衝液と共重合体水溶液と塩化カルシウム溶液とを順に加え、共重合体を固形分濃度で100mg/L含み、カルシウム濃度が1000mgCaCO3/L、pH8.5の試験液を各々調製する。
(2)(1)のトールビーカーをポリ塩化ビニリデンフィルムでシールして90℃の恒温槽に1時間静置する。
(3)沈殿の発生有無により耐ゲル性を評価する。沈殿が生じた場合、耐ゲル性は著しく低いといえる。
(4)沈殿が生じなかった場合については、撹拌してから、試験液を光路長5cmの石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所製 UV―1800)を用いて、UV波長380nmでの吸光度(a)を測定する。ブランクとして、上記の試験液から塩化カルシウム溶液を除いた試験液を用意し、同様の操作を行って吸光度(b)を測定し、下記の式よりゲル化度を求める。
ゲル化度=(a)−(b)
ゲル化度の数値が小さいほど耐ゲル性が高いこととなる。
各重合体のカルシウム捕捉能は、以下の方法により評価した。
(1)容量100ccのビーカーに、0.001mol/Lの塩化カルシウム水溶液50gを採取し、共重合体を固形分換算で10mg添加する。
(2)次に、(1)の水溶液のpHを希水酸化ナトリウムで9〜11に調整する。
(3)その後、(2)に撹拌下、カルシウムイオン電極安定剤として、4mol/Lの塩化カリウム水溶液1mlを添加する。
(4)イオンアナライザー(EA920型、オリオン社製)及びカルシウムイオン電極(93−20型、オリオン社製)を用いて、遊離のカルシウムイオンを測定し、共重合体1g当たり、炭酸カルシウム換算で何mgのカルシウムイオンがキレートされたか(キレート能の1種であるカルシウムイオン捕捉能)を計算で求める。なお、カルシウムイオン捕捉能の単位は「mgCaCO3/g」である。
各重合体のカーボンブラック分散性は、以下の方法により評価した。
グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、NaOH2.4gに純水を加えて600gにし、バッファー(1)を調整した。このバッファー(1)60gに塩化カルシウム二水和物0.163gを加え、更に純水を加えて1000gにし、バッファー(2)を調製した。
試験管(マルエム社製、リム付き試験管、目安入り30mL:直径18mm×高さ180mm)に、カーボンブラック0.03gを入れた後、バッファー(2)を27g、試験サンプル(重合体組成物)の0.1重量%水溶液(固形分換算)3gを加え、密封した。試験管を振り、クレーを均一に分散させた。その後、試験管を静置し、9時間及び126時間経過後の様子を、後ろに模様のある紙を置いて目視にて確認し、以下の基準でそれぞれ評価した。結果を図1(静置9時間経過後)及び図2(静置126時間経過後)に示す。
<評価基準>
◎:分散液の色が黒色であった。
○:分散液の色が濃いグレーであり、後ろの模様が透けて見えなかった。
△:分散液の色が薄いグレーであり、後ろの模様が透けて見えた。
×:分散液の色が透明であった。
なお、分散液の色が濃く、かつ後ろの模様が透けて見えないほど、カーボンブラック分散性に優れると判断することができる。
密栓のできる容量250mlのガラス瓶にpH8.5のホウ酸バッファーを含む脱塩水69gを入れ、塩化カルシウム2水塩0.3675%水溶液20g及び試験サンプル(重合体組成物)の0.01重量%水溶液(固形分換算)1g混合した。更に炭酸水素ナトリウム0.42%水溶液10gを加えて混合し、得られた炭酸カルシウム500ppmの過飽和水溶液のガラス瓶を密栓し、60℃で5時間加熱静置した。次いで冷却したのち沈殿物を0.1μmメンブランフィルターで濾過し、濾液をJIS K0101(1998年)
に従って分析し下式に従ってスケール抑制率を求めた。
抑制率(%)=100×(C−B)/(A−B)
A:加温処理前のCa濃度(=500ppm:炭酸カルシウム換算)
B:試験サンプルの代わりに水を使用した試験の濾液中のCa濃度
C:試験サンプル添加後の濾液中のCa濃度
各重合体組成物につき、最終中和前の50%中和物と、最終生成物である90%中和物とについて、外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:組成物(重合体溶液)が白濁せず、透明であった
×:組成物が白濁、分離又は析出していた
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水163.8部、イソプレノールにエチレンオキシドを平均10モル付加して得た化合物(以下「IPN−10」と称す)111.7部、無水マレイン酸83.2部を仕込み、撹拌しながら48%水酸化ナトリウム水溶液(以下「48%NaOH」と称す)70.7部で中和し、90℃に昇温した。反応容器を90℃に保った状態で30%過硫酸ナトリウム水溶液70.7部を200分かけて滴下した。滴下終了後、30分引き続いて90℃に温度を維持した後、重合反応を終了した(中和度:50%)。その後、重合温度以下にて48%NaOH 56.5部で中和して、重合体組成物(1)を得た(最終中和度:90%)。得られた重合体組成物(1)について、上述した評価・測定方法にて物性を評価した。結果を表2に示す。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水170.2部、IPN−10を82.8部、及び無水マレイン酸30.8部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で35%過酸化水素水溶液(以下「35%H2O2」と称す)2.0部を添加した。次いで、5%L−アスコルビン酸水溶液(以下「5%L-As」と称す)14.1部を反応容器内に60分かけて滴下した。滴下終了後、30分引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した(中和度:0%)。その後、重合温度以下にて48%NaOH 47.1部で中和して、比較重合体組成物(1)を得た(最終中和度:90%)。
得られた比較重合体組成物(1)について、上述した評価・測定方法にて物性を評価した。結果を表2に示す。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水184.4部、イソプレノールにエチレンオキシドを平均50モル付加して得た化合物(以下「IPN−50」と称す)を114.3部、及び無水マレイン酸19.6部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で35%H2O2を3.6部添加した。次いで、5%L-As 25部を反応容器内に60分かけて滴下した。滴下終了後、30分引き続いて65℃に温度を維持して重合反応を終了した(中和度:0%)。その後、重合温度以下にて48%NaOH 30.0部で中和して、比較重合体組成物(2)を得た(最終中和度:90%)。
得られた比較重合体組成物(2)について、上述した評価・測定方法にて物性を評価した。結果を表2に示す。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水575.1部、IPN−50を448.2部、及び無水マレイン酸39.6部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で35%H2O2を1.08部添加した。次いで、5%L-As 10.83部を反応容器内に1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分引き続いて65℃に温度を維持して重合反応を終了し(中和度:0%)、重合温度以下にて48%NaOH 62.1部で中和して、比較重合体組成物(3)を得た(最終中和度:90%)。
得られた比較重合体組成物(3)について、上述した評価・測定方法にて物性を評価した。結果を表2に示す。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、純水1112.0部と無水マレイン酸294.0部を仕込み、撹拌しながら48%NaOH 250.0部で中和し沸点まで昇温せしめた。その後、80%アクリル酸水溶液を630.0部、15%過硫酸ナトリウム水溶液を400.0部及びイオン交換水44部を別々の滴下ノズルより、80%アクリル酸ナトリウム水溶液は180分、その他は190分間に渡って滴下した。滴下終了後、20分引き続いて沸点還流状態に保持して重合反応を終了し(中和度:0%)、重合温度以下にて48%NaOH 725部で中和して比較重合体組成物(4)を得た(最終中和度:90%)
得られた比較重合体組成物(4)について、上述した評価・測定方法にて物性を評価した。結果を表2に示す。
なお、実施例1、比較例1〜3において重合反応終了後に行った中和工程を「後中和」と称す。従って、表1中の未反応単量体の残存量は、各重合反応終了直後の共重合体中の残存量である。
MA構成単位比率とは、各例で得た重合体が有する全構成単位100モル%に対する、マレイン酸に由来する構成単位の含有割合を意味する。
Claims (5)
- 不飽和ジカルボン酸系単量体(a)に由来する構成単位(A)と、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(b)に由来する構成単位(B)とを含むポリカルボン酸系共重合体であって、
該構成単位(A)は、全構成単位100モル%に対し75〜90モル%であり、
該単量体(b)は、(ポリ)アルキレングリコール鎖を含み、該鎖の平均鎖長は25モル以下であることを特徴とするポリカルボン酸系共重合体。 - 前記ポリカルボン酸系共重合体中の未反応単量体の含有割合は、前記共重合体の総量100質量%に対し5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカルボン酸系共重合体。
- 前記単量体(a)は、下記一般式(1);
- 前記単量体(b)は、下記一般式(2);
YO(R3O)nR4 (2)
(式中、Yは、炭素数2〜8のアルケニル基を表す。R3Oは、同一又は異なって、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜25の数である。R4は、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカルボン酸系共重合体。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカルボン酸系共重合体を含むことを特徴とする水処理剤又は洗浄用組成物。
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JPS60212411A (ja) * | 1984-04-06 | 1985-10-24 | Kao Corp | ポリマレイン酸及びその共重合体の製造方法 |
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JPS60212411A (ja) * | 1984-04-06 | 1985-10-24 | Kao Corp | ポリマレイン酸及びその共重合体の製造方法 |
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