JP6292021B2 - マトリックスコンバータ - Google Patents

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本発明は、マトリックスコンバータに関する。
交流電力を直流電力に変換せず直接に交流電力に変換する電力変換器は、一般的に、マトリックスコンバータとして知られている。マトリックスコンバータは、電力変換が1段で行われる。これにより、コンバータ及びインバータを組み合わせた電力変換器に比べて、変換効率を高くすることができ、直流中間回路が無いことから、平滑用のコンデンサも不要で装置寿命を長くでき、信頼性を高くすることができる。
特許文献1には、マトリックスコンバータ内に仮想整流器と仮想インバータとを想定し、仮想整流器に対するPWMパルスと、仮想インバータに対するPWMパルスとを合成してマトリックスコンバータの各スイッチング素子に与えるパルスを生成することが記載されている。ここで、仮想インバータ制御にベクトル制御を適用している。これにより、特許文献1によれば、仮想AC/DC/AC方式の交流交流直接変換器を用いて電動機のベクトル制御を実現することができるとされている。
特開2006−141175号公報
特許文献1に記載の制御手法では、仮想整流器のPWMパルスを生成する際に電圧ベクトルを電流ベクトルにマトリックスで変換する処理等が必要であるため、演算量が多く複雑な処理が必要である。すなわち、特許文献1に記載の制御手法では、マトリックス演算のような複雑な演算が必須になる。
また、特許文献1に記載の制御手法では、仮想インバータのPWMパルスを生成する際に、仮想インバータの還流モードを仮想整流器に均等に分配するために、三角波キャリアを変調したり、直流のリップルを考慮してインバータの制御信号に補正をかける処理等が必要であるため、やはり演算量が多く複雑な処理が必要である。
また、特許文献1に記載のベクトル制御は、位置検出器及び速度検出器を用いた構成であり、位置検出器や速度検出器のようなセンサを用いないセンサレス構成におけるマトリックスコンバータによる電動機のベクトル制御については記載されていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な処理でセンサレスベクトル制御が可能なマトリックスコンバータを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の側面にかかるマトリックスコンバータは、入力された3相交流電力を3相交流電力に直接変換して電動機を駆動するマトリックスコンバータであって、前記入力された3相交流電力の前記電動機への供給をON/OFFする双方向スイッチ回路と、出力側の相に対応した電圧指令に基づき前記双方向スイッチ回路をスイッチング制御するスイッチング制御部と、前記電動機に流れる電流及び前記入力された3相交流電力における各相の電圧に基づき前記電圧指令を生成する際に、前記電動機に流れる電流をq軸電流とd軸電流とに分解して前記電動機のセンサレスベクトル制御を行うセンサレスベクトル制御部と、を備え、前記センサレスベクトル制御部は、前記入力された3相交流電力における線間電圧から直流相当電圧を算出する直流相当電圧算出部を備え、前記直流相当電圧により規格化された前記電圧指令を生成し、前記直流相当電圧算出部は、前記線間電圧の実効値に対し、前記3相交流電力における交流電圧を全波整流したときの直流電圧リップルを低減するための係数を乗じた値を用いて、前記直流相当電圧を算出することを特徴とする。
また、本発明の第2の側面にかかるマトリックスコンバータは、本発明の第1の側面にかかるマトリックスコンバータにおいて、前記直流相当電圧算出部は、前記入力された3相交流電力における各相間に挿入された前記双方向スイッチ回路を構成するスイッチング素子のオン電圧分を、前記線間電圧の実効値から差し引いた値を用いて、前記直流相当電圧を算出することを特徴とする。
また、本発明の第の側面にかかるマトリックスコンバータは、本発明の第1から第のいずれかの側面にかかるマトリックスコンバータにおいて、前記スイッチング制御部は、前記入力された3相交流電力に対して、前記入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモードに応じて異なる仮想AC/DC変換処理を行い、前記入力された3相交流電力のうち2相を選択し、選択された2相の線間電圧に対し、前記複数のモードに応じて異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、前記双方向スイッチ回路のスイッチングパターンを生成することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な処理でセンサレスベクトル制御が可能なマトリックスコンバータを得ることができる。
図1は、実施の形態にかかるマトリックスコンバータの一構成例を示す図である。 図2は、実施の形態における双方向スイッチの構成を示す図である。 図3は、実施の形態における複数のモードを示す図である。 図4は、実施の形態における仮想AC/DC変換処理を示す図である。 図5は、実施の形態にかかる仮想DC/AC変換処理における電圧相の選択の考え方を示す図である。 図6は、実施の形態における仮想DC/AC変換処理を示す図である。 図7は、実施の形態におけるマトリックスコンバータの動作を示す波形図である。 図8は、実施の形態におけるセンサレスベクトル制御部の内部構成例を示す図である。 図9は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第1の内部構成例を示す図である。 図10は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第1から第3の内部構成例における共通部分を示す図である。 図11は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第2の内部構成例を示す図である。 図12は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第3の内部構成例を示す図である。
以下に、本発明にかかるマトリックスコンバータの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
実施の形態にかかるマトリックスコンバータ1について図1,2を用いて説明する。図1は、実施の形態にかかるマトリックスコンバータの一構成例を示す図である。図2は、実施の形態における双方向スイッチの構成を示す図である。
マトリックスコンバータ1は、3相交流電源PSから3相の電力線Lr,Ls,Ltを介して3相交流電力が入力され、入力された3相交流電力を、一旦直流電力に変換することなく、3相交流電力に直接変換して3相の電力線Lu,Lv,Lw経由で電動機である負荷LDに出力する。入力される3相交流電力と出力される3相交流電力とは、電圧及び周波数が互いに異なる。入力された3相交流電力は、例えば、R相の交流電力、S相の交流電力、T相の交流電力を含む。3相交流電力は、例えば、U相の交流電力、V相の交流電力、W相の交流電力を含む。
具体的には、マトリックスコンバータ1は、3相リアクトル40、入力コンデンサ50、電流検出部60、双方向スイッチ回路10、スイッチング制御部20、及びセンサレスベクトル制御部30を備える。
3相リアクトル40は、例えば、複数のリアクトル41〜43を有する。リアクトル41は、例えば、R相の電力線Lrに直列に挿入されている。リアクトル42は、例えば、S相の電力線Lsに直列に挿入されている。リアクトル43は、例えば、T相の電力線Ltに直列に挿入されている。3相リアクトル40は、例えば、3相の電流・電圧のリップルを低減する。
入力コンデンサ50は、例えば、複数のコンデンサ51〜53を有する。コンデンサ51は、例えば、一端がR相の電力線Lrに接続され、他端がコンデンサ52,53に接続されている。コンデンサ52は、例えば、一端がS相の電力線Lsに接続され、他端がコンデンサ51,53に接続されている。コンデンサ53は、例えば、一端がT相の電力線Ltに接続され、他端がコンデンサ51,52に接続されている。入力コンデンサ50は、例えば、3相の電流・電圧のリップルを低減する。
電流検出部60は、U相、V相、W相の電流を検出する。具体的には、電流検出部60は、電流センサ61、電流センサ62、及び電流センサ63を含む。電流センサ61は、U相の電流iuを検出しセンサレスベクトル制御部30へ供給する。電流センサ62は、V相の電流ivを検出しセンサレスベクトル制御部30へ供給する。電流センサ63は、W相の電流iwを検出しセンサレスベクトル制御部30へ供給する。電流センサ61、電流センサ62、及び電流センサ63は、それぞれ、電流値をAD変換してデジタルコンピュータで制御可能な信号としてセンサレスベクトル制御部30へ供給しても良い。なお、電流検出部60は、例えば、カレントトランスであってもよいし、シャント抵抗を用いる等、他の電流検出手段であってもよい。また、図1に示す例では、各相電流iu,iv,iwを検出する例を示したが、3相のうち何れか2相の電流(例えば、iu,iw)を検出し、後段のセンサレスベクトル制御部30において残る1相(例えば、iv)を算出するようにしてもよい。
スイッチング制御部20は、出力側の各相(U相、V相、W相)に対応した電圧指令CSu,CSv,CSwに基づき双方向スイッチ回路10をスイッチング制御する。また、センサレスベクトル制御部30は、負荷LDに流れる各相電流iu,iv,iw及び3相交流電源PSの各相電圧Vr,Vs,Vtに基づき電圧指令CSu,CSv,CSwを生成して負荷LDのベクトル制御を行う。これらスイッチング制御部20及びセンサレスベクトル制御部30の内部構成及び動作については後述する。
双方向スイッチ回路10は、入力された3相交流電力を3相交流電力へ変換するように、入力された3相交流電力の負荷への供給をON/OFFする。例えば、双方向スイッチ回路10は、9つの双方向スイッチSRU,SSU,STU,SRV,SSV,STV,SRW,SSW,STWを有する。双方向スイッチ回路10は、スイッチング制御部20による制御のもと、9つの双方向スイッチSRU〜STWがそれぞれ所定のタイミングでON/OFFすることで、入力された3相交流電力を出力する3相交流電力へ変換する。
双方向スイッチSRUは、例えば、R相の交流電力からU相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSRUは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSRUを受けて、スイッチング信号φSRUに応じて、R相の電力線LrとU相の電力線Luとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSSUは、例えば、S相の交流電力からU相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSSUは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSSUを受けて、スイッチング信号φSSUに応じて、S相の電力線LsとU相の電力線Luとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSTUは、例えば、T相の交流電力からU相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSTUは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSTUを受けて、スイッチング信号φSTUに応じて、T相の電力線LtとU相の電力線Luとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSRU,SSU,STUは、U相の電力線Luに共通に接続されており、双方向スイッチSRU,SSU,STUから供給されたU相の交流電力の成分は、U相の電力線Lu上で合成されU相の交流電力として負荷LDへ供給される。
双方向スイッチSRVは、例えば、R相の交流電力からV相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSRVは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSRVを受けて、スイッチング信号φSRVに応じて、R相の電力線LrとV相の電力線Lvとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSSVは、例えば、S相の交流電力からV相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSSVは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSSVを受けて、スイッチング信号φSSVに応じて、S相の電力線LsとV相の電力線Lvとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSTVは、例えば、T相の交流電力からV相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSTVは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSTVを受けて、スイッチング信号φSTVに応じて、T相の電力線LtとV相の電力線Lvとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSRV,SSV,STVは、V相の電力線Lvに共通に接続されており、双方向スイッチSRV,SSV,STVから供給されたV相の交流電力の成分は、V相の電力線Lv上で合成されV相の交流電力として負荷LDへ供給される。
双方向スイッチSRWは、例えば、R相の交流電力からW相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSRWは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSRWを受けて、スイッチング信号φSRWに応じて、R相の電力線LrとW相の電力線Lwとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSSWは、例えば、S相の交流電力からW相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSSWは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSSWを受けて、スイッチング信号φSSWに応じて、S相の電力線LsとW相の電力線Lwとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSTWは、例えば、T相の交流電力からW相の交流電力の成分を生成する。双方向スイッチSTWは、例えば、スイッチング制御部20からスイッチング信号φSTWを受けて、スイッチング信号φSTWに応じて、T相の電力線LtとW相の電力線Lwとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSRW,SSW,STWは、W相の電力線Lwに共通に接続されており、双方向スイッチSRW,SSW,STWから供給されたW相の交流電力の成分は、W相の電力線Lw上で合成されW相の交流電力として負荷LDへ供給される。
各双方向スイッチSRU〜STWは、例えば、図2(a)に示すスイッチSと等価である。図2(a)に示すスイッチSは、スイッチング制御部20から制御端子CT経由でスイッチング信号を受け、ONして端子T1と端子T2とを接続したり、OFFして端子T1と端子T2とを開放したりする。スイッチSは、端子T1と端子T2との間で双方向に電流が流れ得る。
図2(a)に示すスイッチSは、理想的なスイッチである。実際にスイッチを構成する素子は、スイッチング時間が存在するため、転流する時の開放モード、短絡モードを考慮して、例えば、図2(b)、又は図2(c)に示すように接続されて構成されていてもよい。図2(b)に示す構成は、例えば、逆阻止機能を有する素子EL1,EL2を並列接続して実現された構成である。逆阻止機能を有する素子EL1,EL2は、例えば、逆阻止絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(逆阻止IGBT)でもよい。端子T1’,T2’は、それぞれ、図2(a)に示す端子T1,T2に対応しており、制御端子CT1’,CT2’は、図2(a)に示す制御端子CTに対応している。
あるいは、図2(c)に示す構成は、例えば、逆阻止機能が無い素子EL11,EL12を直列接続して実現された構成である。逆阻止機能が無い素子EL11,EL12は、例えば、還流ダイオードが両端に接続された絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)でもよいし、又は、電界効果トランジスタ(FET)でもよい。端子T1”は、図2(a)に示す端子T1に対応している。端子T2”は、図2(a)に示す端子T2に対応している。制御端子CT1”,CT2”は、図2(a)に示す制御端子CTに対応している。
つぎに、実施の形態における仮想AC/DC変換処理について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、実施の形態における複数のモードを示す図である。また、図4は、実施の形態における仮想AC/DC変換処理を示す図である。
センサレスベクトル制御部30は、出力側の各相(U相、V相、W相)に対応した電圧指令(第2の制御信号)CSu,CSv,CSwを発生させてスイッチング制御部20へ供給する。電圧指令CSu,CSv,CSwは、本実施の形態では、正弦波である。電圧指令CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)である。電圧指令CSvは、負荷LDに供給すべきV相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)である。例えば、電圧指令CSwは、負荷LDに供給すべきW相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)である。
スイッチング制御部20は、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチングパターンを生成する。例えば、スイッチング制御部20は、双方向スイッチ回路10が入力された3相交流電力に対して仮想AC/DC変換処理を行い、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターン(すなわち、スイッチング信号のパターン)を生成する。以下において、「仮想AC/DC変換処理を行う」とは、仮想AC/DC変換処理を仮想的に行うことを意味し、「仮想DC/AC変換処理を行う」とは、仮想DC/AC変換処理を仮想的に行うことを意味しているものとする。
このとき、スイッチング制御部20は、入力された3相交流電力に対して、入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモード(例えば、図3に示すモードI〜VI)について互いに異なる仮想AC/DC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成する。
具体的には、スイッチング制御部20は、入力交流電圧(例えば、R相の交流電圧)を検出し、検出された入力交流電圧から、入力交流電圧のゼロクロス点を検出する。スイッチング制御部20は、検出されたゼロクロス点に基づいて(例えば、検出されたゼロクロス点を基準として入力側の各相の位相を推定することにより)、入力側の各相(R相、S相、T相)の交流電圧を第1の制御信号として推定するとともに、推定された各相の交流電圧の大小関係に応じてそのときのモードが複数のモードにおけるどのモードであるかを認識する。
このとき、スイッチング制御部20は、入力された3相交流電力に対して、複数のモードに対し異なる第1のキャリア波形パターン(例えば、図4に示す鋸歯状波1,2)を用いて仮想AC/DC変換処理を行うようなスイッチング信号を仮想的に発生する。すなわち、スイッチング制御部20は、認識されたモードに応じて、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンを決定し、決定された第1のキャリア波形パターンと入力側の相に対応した第1の制御信号(例えば、変調波形1,2a,2b,3)とを比較して、比較結果に応じて仮想的に各双方向スイッチSRU〜STWが直流電力を発生させるような仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)を発生させる。それとともに、スイッチング制御部20は、仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)のレベル(High、Low)の組み合わせに応じた複数の線間電圧発生区間(例えば、図4(a)に示す区間TS11,TS12,TS13)を求める。言い換えると、スイッチング制御部20は、直流電力を発生させるような仮想的なスイッチング動作を各双方向スイッチSRU〜STWが行うように制御し、各双方向スイッチSRU〜STWに仮想的にAC/DC変換処理(仮想AC/DC変換処理)を行わせる。
なお、仮想的なスイッチング動作とは、実際に各双方向スイッチSRU〜STWが行うものとは異なるスイッチング動作であるが、仮想AC/DC変換→仮想DC/AC変換の途中段階における仮想的な直流電力を発生させることを考えるために各双方向スイッチSRU〜STWが仮想的に行っているものとみなすスイッチング動作である。途中段階における仮想的な直流電力を発生させる処理は、あくまで仮想的なものであって、実際にその処理自体が行われるわけではない。
また、スイッチング制御部20は、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して、複数のモード(例えば、図3に示すモードI〜VI)について互いに異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターン(すなわち、スイッチング信号のパターン)を制御する。
具体的には、スイッチング制御部20は、複数のモードに応じて異なる第2のキャリア波形パターン(例えば、図6に示す第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26)を用いて仮想DC/AC変換処理を行うように双方向スイッチ回路10を制御する。すなわち、スイッチング制御部20は、認識されたモードに応じて、仮想DC/AC変換処理に用いる複数の線間電圧発生区間に対応した第2のキャリア波形パターンを生成する。このとき、複数の線間電圧発生区間は、仮想的な複数のスイッチング信号のレベルの組み合わせに応じたものとなっている。つまり、スイッチング制御部20は、認識されたモードと、仮想的に各双方向スイッチSRU〜STWが直流電力を発生させるような複数のスイッチング信号のレベルの組み合わせとに応じて、第2のキャリア波形パターンを生成する。
また、スイッチング制御部20は、電圧指令CSu,CSv,CSwを出力側の相に対応した(例えば、U相、V相、W相の電圧波形に応じた正弦波の振幅に対応して大きさが変化する)第2の制御信号としてセンサレスベクトル制御部30から受ける。スイッチング制御部20は、生成された第2のキャリア波形パターンと出力側の相に対応した第2の制御信号CSu,CSv,CSwとを比較して、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング信号φSRU〜φSTWを生成する。このとき、各第2の制御信号CSu,CSv,CSwは、負荷LDに供給すべき交流電力に応じた3相交流波形である。これにより、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、各第2の制御信号CSu,CSv,CSwに応じた3相交流の交流電力が出力されるように制御できる。言い換えると、スイッチング制御部20は、各双方向スイッチSRU〜STWに仮想的にDC/AC変換処理(仮想DC/AC変換処理)を行わせる。
つぎに、スイッチング制御部20により認識される複数のモードについて図3を用いて説明する。図3は、複数のモードI〜VIを示す図である。
スイッチング制御部20は、推定された各相(R相、S相、T相)の交流電圧の大小関係に応じて、例えば図3に示すような6つのモードI〜VIを認識する。
モードIでは、R相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相である。例えば、スイッチング制御部20は、R相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIであると認識する。
モードIIでは、S相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相である。例えば、スイッチング制御部20は、S相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIIであると認識する。
モードIIIでは、S相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相である。例えば、スイッチング制御部20は、S相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIIIであると認識する。
モードIVでは、T相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相である。例えば、スイッチング制御部20は、T相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIVであると認識する。
モードVでは、T相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相である。例えば、スイッチング制御部20は、T相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードVであると認識する。
モードVIでは、R相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相である。例えば、スイッチング制御部20は、R相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードVIであると認識する。
つぎに、複数のモードI〜VIのそれぞれにおける仮想的なAC/DC変換処理(仮想AC/DC変換処理)について、図4を用いて説明する。図4(a)〜(f)は、それぞれ、複数のモードI〜VIにおける仮想AC/DC変換処理を示す。以下では、説明の簡略化のため、直流電圧設定値(変換目標となる仮想的な直流電圧)に応じて決定した直流電圧設定ゲインが1である場合について例示的に説明する。
モードIでは、スイッチング制御部20が、図4(a)に示すように、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンとして、立ち下がりの鋸歯状波1と立ち上がりの鋸歯状波2とを有する第1のキャリア波形パターンCW11を決定する。以下では、「立ち下がりの鋸歯状波」とは、時間の経過に応じて振幅が直線的に減少していく負の傾きを持った鋸歯状波を指し、「立ち上がりの鋸歯状波」とは、時間の経過に応じて振幅が直線的に増加していく正の傾きを持った鋸歯状波を指すものとする。
そして、スイッチング制御部20は、例えば、上記のように検出されたゼロクロス点に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。例えば、スイッチング制御部20は、検出されたゼロクロス点を基準として、あるタイミングでのR相、S相、T相の位相を推定し、推定されたR相、S相、T相の位相に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、それぞれ、相電圧を「−1」と「1」の間に規格化したものである。このとき、図4(a)に示す区間(線間電圧発生区間)TS11,TS12,TS13の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b−c、RT間電圧=a−c、RS間電圧=a−bとなる。
モードIにおける各相のパルスについて説明する。モードIでは、R相が最大電圧相、T相が最小電圧相、S相が中間電圧相となる。最大電圧相と最小電圧相では、パルスはそれぞれの電位に比例する時間ONとなる。したがって、R相のパルス幅x=T|a|、T相のパルス幅z=T|c|となる。ここで、R相パルスがONとなるタイミング(区間TS11が終わるタイミング)は、R相電圧|a|と鋸歯状波1との交点から求められる。これにより、R相パルスが得られる。T相パルスがOFFとなるタイミング(区間TS11+区間TS12が終わるタイミング)は、T相電圧|c|と鋸歯状波2との交点から求められる。これにより、T相パルスが得られる。中間相パルスは、最大電圧相又は最小電圧相のパルスのどちらかがOFFのときにONする。したがって、S相パルスは、R相電圧|a|と鋸歯状波1との交点、およびT相電圧|c|と鋸歯状波2との交点から求められる。
また、区間TS11、TS12、TS13の幅は、それぞれ、T×(1−|a|)、T×(|a|+|c|−1)、T×(1−|c|)となる。すなわち、仮想AC/DC変換処理により、仮想的な直流電圧を生成するための、区間TS11、TS12、TS13に対応した幅をそれぞれ有する仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)が生成される。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの区間ごとに直流電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均={(b−c)×T×(1−a)+(a−c)×T×(a−c−1)+(a−b)×T×(1+c)}/T
=a+c−b(a+c)・・・数式1
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、数式1は下記の数式2に変形できる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=a+b+c・・・数式2
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式2は下記の数式3に変形できる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=3/2・・・数式3
数式3に示されるように、スイッチング周期Tの仮想的な直流電圧の平均を、一定電圧とすることができる。
モードIにおける入力電流について説明する。R相の入力電流は、R相電圧aの時間に比例する正の電流が流れる。T相の入力電流は、T相の電圧の大きさ|c|に比例する負の電流が流れる。S相の入力電流は、区間TS11で正の電流が流れ、区間TS13で負の電流が流れる。したがって、流れる電流は、T×(1−a)−T×(1+c)−T(−a−c)=Tbとなり、スイッチング周期Tで除すると、S相電圧bとなる。したがって、R相、S相、T相には、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cに比例する電流が流れることになり、入力交流電流の各相を正弦波とすることができる。
モードIIでは、スイッチング制御部20が、図4(b)に示すように、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンとして、立ち上がりの鋸歯状波2を有する第1のキャリア波形パターンCW12を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、上記のように検出されたゼロクロス点に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、それぞれ、相電圧を「−1」と「1」の間に規格化したものである。このとき、図4(b)に示す区間(線間電圧発生区間)TS21、TS22、TS23の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b−c、RT間電圧=a−c、RS間電圧=b−aとなる。
モードIIにおける各相のパルスについて説明する。モードIIでは、S相が最大電圧相、T相が最小電圧相、R相が中間電圧相となる。R,S,T相のパルスのON,OFF順序を変えずに、最大電圧相と最小電圧相でそれぞれの電位に比例する時間をONとするため、モードIIでは、変調波形3、2Bと鋸歯状波2を用いて、図4(b)に示す各相パルスのON,OFFタイミングを得る。
また、区間TS21、TS22、TS23の幅は、それぞれ、T×(|b|+|c|−1)、T×(1−|b|)、T×(1−|c|)となる。すなわち、仮想AC/DC変換処理により、仮想的な直流電圧を生成するための、区間TS21、TS22、TS23に対応した幅をそれぞれ有する仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)が生成される。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均={(b−c)×T×(−c+b−1)+(a−c)×T×(−b+1)+(b−a)×T×(1+c)}/T
=b+c−a(b+c)・・・数式4
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、数式4は下記の数式5に変形できる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=a+b+c・・・数式5
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式5は下記の数式6に変形できる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=3/2・・・数式6
数式6に示されるように、スイッチング周期Tの仮想的な直流電圧の平均を、一定電圧とすることができる。
モードIIにおける入力電流について説明する。モードIIでは、S相が最大電圧相で、T相が最小電圧相なので、S相はS相電圧bの時間に比例する正の電流が流れ、T相は、T相電圧cの時間に比例する負の電流が流れる。R相は区間TS22で負の電流が流れ、区間TS23で正の電流が流れる。このため、流れる電流は、T×(1−b)−T×(1+c)=Taとなり、スイッチング周期Tで除するとR相電圧aとなる。従って、電圧に比例する電流が各相に流れ、入力交流電流の各相を正弦波とすることができる。
モードIIIでは、スイッチング制御部20が、図4(c)に示すように、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンとして、立ち下がりの鋸歯状波1を有する第1のキャリア波形パターンCW13を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、上記のように検出されたゼロクロス点に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、それぞれ、相電圧を「−1」と「1」の間に規格化したものである。このとき、図4(c)に示す区間(線間電圧発生区間)TS31、TS32、TS33の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=c−b、RT間電圧=a−c、RS間電圧=a−bとなる。
モードIIIにおける各相のパルスについて説明する。モードIIIでは、S相が最大電圧相、R相が最小電圧相、T相が中間電圧相となる。R,S,T相のパルスのON、OFF順序を変えずに、最大電圧相と最小電圧相でそれぞれの電位に比例する時間ONとするため、モードIIIでは、変調波形1,2Aと鋸歯状波1を用いて、図4(c)に示す各パルスのON,OFFタイミングを得る。
また、区間TS31、TS32、TS33の幅は、それぞれ、T×(1−|a|)、T(1−|b|)、T×(|a|−|b|−1)となる。すなわち、仮想AC/DC変換処理により、仮想的な直流電圧を生成するための、区間TS31、TS32、TS33に対応した幅をそれぞれ有する仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)が生成される。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均={(c−b)×T×(1−a)+(a−c)×T×(b+1)+(a−b)×T×(a−b−1)}/T
=a+b−c(a+b)・・・数式7
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、数式7は下記の数式8に変形できる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=a+b+c・・・数式8
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式8は下記の数式9に変形できる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=3/2・・・数式9
数式9に示されるように、スイッチング周期Tの仮想的な直流電圧の平均を、一定電圧とすることができる。
モードIIIにおける入力電流について説明する。最大電圧相のS相には、S相電圧bの時間に比例する正の電流が流れる。最小電圧相のR相には、R相電圧aの時間に比例する負の電流が流れる。T相は、区間TS31で負の電流が流れ、区間TS32で正の電流が流れる。このため、流れる電流は、T×(1−a)−T×(1+b)=Tcとなり、スイッチング周期Tで除するとT相電圧cとなる。従って、電圧に比例する電流が各相に流れ、入力交流電流の各相を正弦波とすることができる。
モードIVにおける仮想AC/DC変換処理は、図4(d)に示すように、モードIにおける仮想AC/DC変換処理(図4(a)参照)と同様である。区間(線間電圧発生区間)TS41、TS42、TS43も、モードIと同様にして求められる。
モードVにおける仮想AC/DC変換処理は、図4(e)に示すように、モードIIにおける仮想AC/DC変換処理(図4(b)参照)と同様である。区間(線間電圧発生区間)TS51、TS52、TS53も、モードIIと同様にして求められる。
モードVIにおける仮想AC/DC変換処理は、図4(f)に示すように、モードIIIにおける仮想AC/DC変換処理(図4(c)参照)と同様である。区間(線間電圧発生区間)TS61、TS62、TS63も、モードIIIと同様にして求められる。
つぎに、複数のモードI〜VIのそれぞれにおける仮想DC/AC変換処理について、図1、図5、及び図6を用いて説明する。図5は、実施の形態にかかる仮想DC/AC変換処理における電圧相の選択の考え方を示す図である。また、図6は、実施の形態における仮想DC/AC変換処理を示す図である。図6(a)〜(f)は、それぞれ、複数のモードI〜VIにおける仮想DC/AC変換処理を示す。なお、図6における各区間TS11〜TS63は、図4における各区間TS11〜TS63に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4から変えてある。以下では、第2の制御信号がU相の電圧指令CSuである場合について例示的に説明するが、第2の制御信号がV相の電圧指令CSv又はW相の電圧指令CSwである場合についても同様である。
まず、電圧相の選択の考え方を説明する。仮に、図5(a)〜(c)に示すように、「スイッチング周期Tの直流電圧=P相電圧−N相電圧」である場合を考える。このとき、線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とすると、P相が+側相であり、N相が−側相である。
例えば、図5(a)に示すように、スイッチング周期Tにおけるキャリア波形パターンが下山形のキャリア波形パターンCW1であるとき、スイッチング制御部20は、キャリア波形パターンCW1とU相の電圧指令CSuとを比較する。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuがキャリア波形パターンCW1より上側にある場合(例えば、図5(a)に示す区間TS2の場合)、+側相すなわちP相を選択し、P相選択信号をONレベルにするとともにN相選択信号をOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuがキャリア波形パターンCW1より下側にある場合(例えば、図5(a)に示す区間TS1,TS3の場合)、−側相すなわちN相を選択し、N相選択信号をONレベルにするとともにP相選択信号をOFFレベルにする。
あるいは、例えば、図5(b)に示すように、スイッチング周期Tにおけるキャリア波形パターンが立ち下がりの鋸歯状のキャリア波形パターンCW2であるとき、スイッチング制御部20は、キャリア波形パターンCW2とU相の電圧指令CSuとを比較する。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuがキャリア波形パターンCW2より上側にある場合(例えば、図5(b)に示す区間TS5の場合)、+側相すなわちP相を選択し、P相選択信号をONレベルにするとともにN相選択信号をOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuがキャリア波形パターンCW2より下側にある場合(例えば、図5(b)に示す区間TS4の場合)、−側相すなわちN相を選択し、N相選択信号をONレベルにするとともにP相選択信号をOFFレベルにする。
あるいは、例えば、図5(c)に示すように、スイッチング周期Tにおけるキャリア波形パターンが立ち上がりの鋸歯状のキャリア波形パターンCW3であるとき、スイッチング制御部20は、キャリア波形パターンCW3とU相の電圧指令CSuとを比較する。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuがキャリア波形パターンCW3より上側にある場合(例えば、図5(c)に示す区間TS6の場合)、+側相すなわちP相を選択し、P相選択信号をONレベルにするとともにN相選択信号をOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuがキャリア波形パターンCW3より下側にある場合(例えば、図5(c)に示す区間TS7の場合)、−側相すなわちN相を選択し、N相選択信号をONレベルにするとともにP相選択信号をOFFレベルにする。
つぎに、各モードI〜VIについて説明する。後述するように、第2のキャリア波形パターンは、複数の線間電圧発生区間のうち連続する2つの区間に跨って山型にレベルが変化するパターンを有するように決定される。また、第2のキャリア波形パターンは、複数の線間電圧発生区間のそれぞれにおける2つの電圧相のうち電圧値の大きい電圧相を+側相とし電圧値の小さい電圧相を−側相とするとき、モードが切り換わる際に+側相及び−側相に共通する相がある場合、切り換わる2つのモードに跨って山型にレベルが連続するパターンを有し、モードが切り換わる際に+側相及び−側相で反転する相がある場合、切り換わる2つのモードの境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有するように決定される。
図6(a)に示すように、モードIでは、スイッチング制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS11,TS12,TS13に順に立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW21を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、U相の電圧指令CSuをセンサレスベクトル制御部30から受ける。なお、図6(a)に示す区間TS11,TS12,TS13は、図4(a)に示す区間TS11,TS12,TS13に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(a)から変えてある。
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS11,TS12,TS13の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b−c、RT間電圧=a−c、RS間電圧=a−bとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS11,TS12,TS13において、それぞれ、S相,R相,R相が+側相であり、T相,T相,S相が−側相である。
スイッチング制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW21とU相の電圧指令CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS11において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より上側にある場合(例えば、区間TS11の前半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より下側にある場合(例えば、区間TS11の後半の場合)、−側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS12において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より下側にある場合(例えば、区間TS12の前半の場合)、−側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より上側にある場合(例えば、区間TS12の後半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS13において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より上側にある場合(例えば、区間TS13の前半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より下側にある場合(例えば、区間TS13の後半の場合)、−側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
モードIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(a)参照)を、U相の電圧指令(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)CSuの信号レベルhに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(a)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(a)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式10
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式10は数式11に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式11
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式11は下記の数式12に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式12
数式12に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の電圧指令CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の電圧指令CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
図6(b)に示すように、モードIIでは、スイッチング制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS21,TS22,TS23に順に立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW22を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、U相の電圧指令CSuをセンサレスベクトル制御部30から受ける。なお、図6(b)に示す区間TS21,TS22,TS23は、図4(b)に示す区間TS21,TS22,TS23に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(b)から変えてある。
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS21,TS22,TS23の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b−c、RT間電圧=a−c、SR間電圧=b−aとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS21,TS22,TS23において、それぞれ、S相,R相,S相が+側相であり、T相,T相,R相が−側相である。
スイッチング制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW22とU相の電圧指令CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS21において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より上側にある場合(例えば、区間TS21の前半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より下側にある場合(例えば、区間TS21の後半の場合)、−側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS22において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より下側にある場合(例えば、区間TS22の前半の場合)、−側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より上側にある場合(例えば、区間TS22の後半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS23において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より下側にある場合(例えば、区間TS23の前半の場合)、−側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より上側にある場合(例えば、区間TS23の後半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
モードIIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(b)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(b)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(b)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式13
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式13は数式14に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式14
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式14は下記の数式15に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式15
数式15に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の電圧指令CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の電圧指令CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
図6(c)に示すように、モードIIIでは、スイッチング制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS31,TS32,TS33に順に立ち上がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW23を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、U相の電圧指令CSuをセンサレスベクトル制御部30から受ける。なお、図6(c)における各区間TS31,TS32,TS33は、図4(c)における各区間TS31,TS32,TS33に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(c)から変えてある。
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS31,TS32,TS33の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b−c、TR間電圧=c−a、SR間電圧=b−aとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS31,TS32,TS33において、それぞれ、S相,T相,S相が+側相であり、T相,R相,R相が−側相である。
スイッチング制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW23とU相の電圧指令CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS31において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より上側にある場合(例えば、区間TS31の前半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より下側にある場合(例えば、区間TS31の後半の場合)、−側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS32において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より上側にある場合(例えば、区間TS32の前半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より下側にある場合(例えば、区間TS32の後半の場合)、−側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS33において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より下側にある場合(例えば、区間TS33の前半の場合)、−側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より上側にある場合(例えば、区間TS33の後半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
モードIIIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(c)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(c)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(c)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式16
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式16は数式17に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式17
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式17は下記の数式18に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式18
数式18に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の電圧指令CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の電圧指令CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
図6(d)に示すように、モードIVでは、スイッチング制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS41,TS42,TS43に順に立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW24を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、U相の電圧指令CSuをセンサレスベクトル制御部30から受ける。なお、図6(d)における各区間TS41,TS42,TS43は、図4(d)における各区間TS41,TS42,TS43に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(d)から変えてある。
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS41,TS42,TS43の直流電圧は、それぞれ、TS間電圧=c−b、TR間電圧=c−a、SR間電圧=b−aとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS41,TS42,TS43において、それぞれ、T相,T相,S相が+側相であり、S相,R相,R相が−側相である。
スイッチング制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW24とU相の電圧指令CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS41において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より下側にある場合(例えば、区間TS41の前半の場合)、−側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より上側にある場合(例えば、区間TS41の後半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS42において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より上側にある場合(例えば、区間TS42の前半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より下側にある場合(例えば、区間TS42の後半の場合)、−側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS43において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より下側にある場合(例えば、区間TS43の前半の場合)、−側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より上側にある場合(例えば、区間TS43の後半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
モードIVにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(d)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(d)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(d)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式19
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式19は数式20に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式20
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式20は下記の数式21に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式21
数式21に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の電圧指令CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の電圧指令CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
図6(e)に示すように、モードVでは、スイッチング制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS51,TS52,TS53に順に立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW25を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、U相の電圧指令CSuをセンサレスベクトル制御部30から受ける。なお、図6(e)における各区間TS51,TS52,TS53は、図4(e)における各区間TS51,TS52,TS53に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(e)から変えてある。
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS51,TS52,TS53の直流電圧は、それぞれ、TS間電圧=c−b、TR間電圧=c−a、RS間電圧=a−bとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS51,TS52,TS53において、それぞれ、T相,T相,R相が+側相であり、S相,R相,S相が−側相である。
スイッチング制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW25とU相の電圧指令CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS51において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より下側にある場合(例えば、区間TS51の前半の場合)、−側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より上側にある場合(例えば、区間TS51の後半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS52において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より上側にある場合(例えば、区間TS52の前半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より下側にある場合(例えば、区間TS52の後半の場合)、−側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS53において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より上側にある場合(例えば、区間TS53の前半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より下側にある場合(例えば、区間TS53の後半の場合)、−側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
モードVにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(e)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(e)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(e)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式22
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式22は数式23に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式23
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式23はつぎの数式24に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式24
数式24に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の電圧指令CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の電圧指令CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
図6(f)に示すように、モードVIでは、スイッチング制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS61,TS62,TS63に順に立ち下がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW26を決定する。そして、スイッチング制御部20は、例えば、U相の電圧指令CSuをセンサレスベクトル制御部30から受ける。なお、図6(f)における各区間TS61,TS62,TS63は、図4(f)における各区間TS61,TS62,TS63に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(f)から変えてある。
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS61,TS62,TS63の直流電圧は、それぞれ、TS間電圧=c−b、RT間電圧=a−c、RS間電圧=a−bとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS61,TS62,TS63において、それぞれ、T相,R相,R相が+側相であり、S相,T相,S相が−側相である。
スイッチング制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW26とU相の電圧指令CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS61において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より下側にある場合(例えば、区間TS61の前半の場合)、−側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より上側にある場合(例えば、区間TS61の後半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS62において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より下側にある場合(例えば、区間TS62の前半の場合)、−側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より上側にある場合(例えば、区間TS62の後半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
区間(線間電圧発生区間)TS63において、スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より上側にある場合(例えば、区間TS63の前半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。スイッチング制御部20は、U相の電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より下側にある場合(例えば、区間TS63の後半の場合)、−側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
モードVIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(f)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(f)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(f)参照)を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式25
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式25は数式26に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式26
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式26は下記の数式27に変形できる。
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式27
数式27に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の電圧指令CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の電圧指令CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の電圧指令CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
このようにして、図6に示すように、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU〜STUのスイッチング信号φSRU〜φSTUが生成される。図6に示されるように、各スイッチング信号φSRU〜φSTUが整然とつながるようにU相の電圧指令CSuが所定のキャリア波形パターンで変調されるとともに、パルス幅がスイッチング素子のスイッチング時間より長く確保されているため、転流の失敗を抑制できる。なお、図6では、スイッチング信号φSRU〜φSTUについて説明しているが、他の双方向スイッチSRV〜STV,SRW〜STWの各スイッチング信号φSRV〜φSTV,φSRW〜φSTWについても同様である。
例えば、スイッチング素子(例えば、図2(b),(c)に示す素子EL1,EL2,EL11,EL12)のスイッチング時間に比べて十分大きなパルス幅のスイッチングパターンを有するスイッチング信号φSRU〜φSTWでスイッチングされる。
つぎに、入力電流及び出力電圧をそれぞれ3相交流波形(例えば、正弦波)にできる原理について、図3、図4、図6、及び図7を参照して説明する。図7は、実施の形態におけるマトリックスコンバータの動作を示す波形図である。
入力された交流電力に対して、図3に示す6個のモードI〜VIのそれぞれについて図4(a)〜(f)に示す仮想AC/DC変換処理を行う。図4(a)〜(f)に示す仮想AC/DC変換処理では、下記の1),2)が成り立つ。
1)各スイッチング周期の出力電圧の平均は常に一定である。
2)直流電流は、入力電圧の比で入力電流に分配される。また、出力電力が一定の時、この入力電流は、3相交流波形(例えば、正弦波)となる。
そして、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して、図3に示す6個のモードI〜VIのそれぞれについて図6(a)〜(f)に示す仮想DC/AC変換処理を行う。図4の異なる3種のパルス(R相パルス、S相パルス、T相パルス)のそれぞれを出力電圧の変調信号(U相の電圧指令、V相の電圧指令、W相の電圧指令)で変調することを考える。例えば、U相の電圧指令の信号レベルをh(0〜1)とすると3種類の区間の選択幅は、それぞれhx、hy、hzとなるので、キャリア区間の平均電圧は、a(hx)+b(hy)+c(hz)=h(ax+by+cz)となり、上記で1)よりx=T|a|、y=T|b|、z=T|c|であり、ax+by+czは、一定であるので、hに比例した電圧となる。U相の電圧指令の信号レベルhは、3相交流波形(例えば、正弦波)で変化するので、出力は、電圧指令と同様な3相交流波形(例えば、正弦波)で出力できることになる。直流電流の分配について考える。x、y、zのパルス幅の時、直流電流は、入力電圧の比で入力電流に分配される事から、同じように、パルス幅は、hx、hy、hzの場合、直流電流は、入力電圧の比で入力電流に分配される。仮想DC/AC変換処理による交流電圧が一定の場合(例えば、正弦波電圧出力で負荷が線形負荷の時等)、3相交流波形(例えば、正弦波)となる。
まとめると、下記の(1),(2)が得られる。
(1)仮想AC/DC変換処理における入力電流は、仮想DC/AC変換処理による出力電圧が一定である時、3相交流波形(例えば、正弦波)とすることができる。通常、短時間(1秒程度)では、電力は一定である。
(2)仮想DC/AC変換処理による出力電圧は、変調信号(第2の制御信号)と同様な信号で得ることができる。
上記の(1),(2)は、例えば、図7(a)〜(d)に示すように高負荷の場合に成り立つだけでなく、図7(e)〜(h)に示すように低負荷の場合にも成り立つ。図7(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、高負荷時における双方向スイッチ回路10の入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流の波形を示す。例えば、図7(b)と図7(f)とを比較することで、高負荷時及び低負荷時のいずれにおいても、入力電流を正弦波にできることが分かる。また、例えば、図7(c)と図7(g)とを比較することで、高負荷時及び低負荷時のいずれにおいても、出力電圧を正弦波にできることが分かる。
つぎに、スイッチング回数を抑制できる原理について説明する。
上記のように、仮想DC/AC変換処理では、1つのキャリア波形パターンの間(スイッチング周期T)に入力側の3種類のパルス(R相パルス、S相パルス、T相パルス)を3種類の区間ごとに出力側の各相(U相、V相、W相)に変調することになる。
仮に、1つのキャリア波形パターンを3種類の区間ごとに同様の三角波で構成する場合、各双方向スイッチSRU〜STWについてスイッチング周期Tごとに3回のスイッチング回数が必要となる。
それに対して、本実施の形態では、図6に示すように、それぞれの入力電圧相の選択をみるとR、S、T相が、1つのキャリア波形パターンについて重なりを持ちながら現れる。すなわち、図6(a)〜(f)に示す複数の第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26のそれぞれは、複数の線間電圧発生区間のうち連続する2つの区間に跨って山型にレベルが変化するパターンを有する。なお、各モードI〜VIは、複数のスイッチング周期Tを含む。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW21は、区間TS11及び区間TS12に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有し、区間TS12及び区間TS13に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW22は、区間TS21及び区間TS22に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有し、区間TS23及び区間TS21に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW23は、区間TS32及び区間TS33に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有し、区間TS33及び区間TS31に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW24は、区間TS42及び区間TS43に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有し、区間TS41及び区間TS42に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW25は、区間TS53及び区間TS51に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有し、区間TS51及び区間TS52に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW26は、区間TS63及び区間TS61に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有し、区間TS62及び区間TS63に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
より具体的には、各第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26は、複数の線間電圧発生区間のそれぞれにおける2つの電圧相のうち電圧値の大きい電圧相を+側相とし電圧値の小さい電圧相を−側相とするとき、区間が切り換わる際に+側相及び−側相に共通する相がある場合、切り換わる2つの区間に跨って山型にレベルが連続するパターンを有し、区間が切り換わる際に+側相及び−側相で反転する相がある場合、切り換わる2つの区間の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW21は、区間TS11及び区間TS12について−側相に共通するT相があるので、区間TS11及び区間TS12に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW21は、区間TS12及び区間TS13について+側相に共通するR相があるので、区間TS12及び区間TS13に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW21は、区間TS13及び区間TS11について+側相及び−側相で反転するS相があるので、区間TS13及び区間TS11の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW22は、区間TS21及び区間TS22について−側相に共通するT相があるので、区間TS21及び区間TS22に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW22は、区間TS22及び区間TS23について+側相及び−側相で反転するR相があるので、区間TS22及び区間TS23の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW22は、区間TS23及び区間TS21について+側相に共通するS相があるので、区間TS23及び区間TS21に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW23は、区間TS31及び区間TS32について+側相及び−側相で反転するT相があるので、区間TS31及び区間TS32の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW23は、区間TS32及び区間TS33について−側相に共通するR相があるので、区間TS32及び区間TS33に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW23は、区間TS33及び区間TS31について+側相に共通するS相があるので、区間TS33及び区間TS31に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW24は、区間TS41及び区間TS42について+側相に共通するT相があるので、区間TS41及び区間TS42に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW24は、区間TS42及び区間TS43について−側相に共通するR相があるので、区間TS42及び区間TS43に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW24は、区間TS43及び区間TS41について+側相及び−側相で反転するS相があるので、区間TS43及び区間TS41の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW25は、区間TS51及び区間TS52について+側相に共通するT相があるので、区間TS51及び区間TS52に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW25は、区間TS52及び区間TS53について+側相及び−側相で反転するR相があるので、区間TS52及び区間TS53の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW25は、区間TS53及び区間TS51について−側相に共通するS相があるので、区間TS53及び区間TS51に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、第2のキャリア波形パターンCW26は、区間TS61及び区間TS62について+側相及び−側相で反転するT相があるので、区間TS61及び区間TS62の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW26は、区間TS62及び区間TS63について+側相に共通するR相があるので、区間TS62及び区間TS63に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。第2のキャリア波形パターンCW26は、区間TS63及び区間TS61について−側相に共通するS相があるので、区間TS63及び区間TS61に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
また、各第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26は、複数の線間電圧発生区間のそれぞれにおける2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とするとき、モードが切り換わる際に+側相及び−側相に共通する相がある場合、切り換わる2つのモードに跨って山型にレベルが連続するパターンを有し、モードが切り換わる際に+側相及び−側相で反転する相がある場合、切り換わる2つのモードの境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、モードIからモードIIに切り換わる際に、区間TS13及び区間TS21について+側相及び−側相で反転するS相があるので、区間TS13及び区間TS21の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、モードIIからモードIIIに切り換わる際に、区間TS23及び区間TS31について+側相に共通するS相があるので、区間TS23及び区間TS31に跨って下側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、モードIIIからモードIVに切り換わる際に、区間TS33及び区間TS41について+側相及び−側相で反転するS相があるので、区間TS33及び区間TS41の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、モードIVからモードVに切り換わる際に、区間TS43及び区間TS51について+側相及び−側相で反転するS相があるので、区間TS43及び区間TS51の境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。
例えば、モードVからモードVIに切り換わる際に、区間TS53及び区間TS61について−側相に共通するS相があるので、区間TS53及び区間TS61に跨って上側に山型にレベルが変化するパターンを有する。
このように、立ち上がりと立ち下がりの鋸歯状波を組み合わせて1つのキャリア波形パターン(第2のキャリア波形パターン)を構成することで、各スイッチング周期Tにおける各相の選択が1回になるようにすることができる。すなわち、最大電圧相は、必ず+側相であり、最小電圧相は、必ず−側相である。中間電圧相は、最大電圧相に対しては、−側相となり、最小電圧相に対しては、+側相になる。+側相は、第2の制御信号(例えば、U相の電圧指令)が第2のキャリア波形パターンより上側になる期間を選択し、−側相は、第2の制御信号(例えば、U相の電圧指令)が第2のキャリア波形パターンより下側になる期間を選択するようにする。この場合、下側に山型になるように立ち下がりの鋸歯状波と立ち上がりの鋸歯状波とを連続させると最大電圧相の選択は1回で済む。また、上側に山型になるように立ち上がりの鋸歯状波と立ち下がりの鋸歯状波とを連続させると最小電圧相の選択は1回で済む。これにより、各モード内において、各双方向スイッチSRU〜STWについてスイッチング周期Tごとに1回のスイッチング回数を実現できる。また、モードが切り換わる際においても、実質的に、各双方向スイッチSRU〜STWについてスイッチング周期Tごとに1回のスイッチング回数を実現できる。言い換えると、各モード内とモード間の切り換わりとで、同様の制御を実現できるので、切り替わりに伴う断続により発生する出力電圧の揺らぎ(デッドタイム等による揺らぎ)を低減でき、切り替わり目のショックも低減できる。
また、複数の線間電圧発生区間に跨って各双方向スイッチSRU〜STUのスイッチング信号φSRU〜φSTUをONレベルに維持できるので、図6に示すように、双方向スイッチSRU〜STUのスイッチング信号φSRU〜φSTUのパルス幅を広く確保できる(双方向スイッチSRV〜STV,SRW〜STWのスイッチング信号φSRV〜φSTV,φSRW〜φSTWについても同様)。すなわち、パルス幅を低負荷時でもデッドタイムに比べて大きく確保できるので、低負荷時における波形の歪率を高負荷時と同等程度に抑制できる。例えば、図7(c)、(d)(高負荷時)と図7(g)、(h)(低負荷時)とを比較することで、低負荷時における波形の歪率を高負荷時と同等程度に抑制できることが分かる。
つぎに、スイッチング制御部20及びセンサレスベクトル制御部30の内部構成例、すなわち仮想AC/DC変換処理及び仮想DC/AC変換処理を行うための内部構成例について説明する。以下では、センサレスベクトル制御部30の内部構成例、及び、スイッチング制御部20の第1の内部構成例〜第3の内部構成例について例示的に説明する。なお、仮想的な直流電圧を生成する処理はあくまで仮想的な処理であって実際にその処理自体が行われるわけではない。
まず、実施の形態におけるセンサレスベクトル制御部30の内部構成例について、図8を参照して説明する。図8は、実施の形態におけるセンサレスベクトル制御部の内部構成例を示す図である。
電動機である負荷LDが例えばPMSM(永久磁石同期電動機)である場合、ロータの回転とステータコイルが発生する回転磁界を同期させる必要があるため、ロータの位置(回転位置)に同期して駆動制御を行う必要があるが、電動機が位置検出用のセンサを持たないセンサレス同期モータの場合は、ロータの位置(回転位置)を推定し、その推定したロータ位置に同期して駆動制御を行う。
例えば、永久磁石同期電動機をベクトル制御により駆動制御する場合、所謂位置センサレスベクトル制御を行う。この位置センサレスベクトル制御を用いて、正弦波駆動により永久磁石同期電動機を駆動する場合は、ステータ巻線の各相に流れる相電流を検出することによって、ロータの位置を推定してロータの回転を制御する。
また、マトッリクスコンバータにおいては、入力された交流電力を出力する交流電力に直接変換する構成であるため、構造上、直流中間回路が存在しない。このため、マトリックスコンバータにおいて位置センサレスベクトル制御を適用する場合、位置センサレスベクトル制御において必要となる直流電圧に相当する直流相当電圧を求める必要がある。
従って、本実施の形態では、センサレスベクトル制御部30は、3相交流電源PSの各相(R相、S相、T相)の電圧を検出し、各線間電圧から直流相当電圧Vdcを算出する直流相当電圧算出部70を有している。なお、図8に示す例では、各相電圧Vr,Vs,Vtを検出する例を示したが、3相のうち何れか2相の電圧(例えば、Vr,Vt)を検出して線間電圧を得る構成としてもよい。
センサレスベクトル制御部30は、負荷LDである電動機の速度指令ωm*を外部(例えば、上位のコントローラ)から受け、3相の電流iu,iv,iwを電流検出部60(図1参照)から受ける。センサレスベクトル制御部30は、速度指令ωm*、3相の電流iu,iv,iw、及び直流相当電圧算出部70により算出される直流相当電圧Vdcに基づいて、3相の電圧指令CSu,CSv,CSwを生成する。例えば、センサレスベクトル制御部30は、電動機におけるロータが速度指令ωm*に従って回転するように、3相の電圧指令CSu,CSv,CSwを生成する。
このとき、センサレスベクトル制御部30は、相電流を永久磁石トルクに比例する「トルク電流成分」(q軸成分)、及び、磁束の大きさを変える「励磁電流成分」(d軸成分)に分離して扱うことで、制御性の向上(高効率、高速応答など)を実現可能にする。
交流の場合、3相固定座標系で取り扱うと各相の電圧や電流は定常状態であっても常に変化するので、制御器によって対象物を指令値に追従させるのは難しい。例えば、一般的に電流制御器はPI(比例積分)制御器が用いられるが、比例制御ゲインを大きくして追従を良くさせようとすると制御が不安定になったりしてしまう。
このような場合に広く用いられている座標系として、dq座標系がある。これは、ロータの磁石方向を基準としており、ロータの回転に合わせて座標軸も回転する回転座標系である。固定座標系で交流量である電圧、電流は、この回転座標系では直流量として扱うことができ、定常状態では一定値となる。また、PI制御器を用いたとしても、定常偏差のない電流制御が実現できる。例えば、磁石のS→N極方向へd軸、d軸から回転方向へ電気角90[deg]ずらしてq軸を取ったものを用いる。
具体的には、センサレスベクトル制御部30は、上述した直流相当電圧算出部70に加え、uvw/dq座標変換器31、位置・速度推定器32、1/Pn変換器33、減算器34、減算器35、速度制御器36、減算器37、d軸q軸電圧設定器38、及びdq/uvw座標変換器39を有する。
uvw/dq座標変換器31は、3相の電流iu,iv,iwを電流検出部60(図1参照)から受け、固定座標系(UVW座標系)に対する回転座標系(dq座標系)の位相角θdqを位置・速度推定器32から受ける。uvw/dq座標変換器31は、位相角θdqを用いて、固定座標系の電流ベクトル(iu,iv,iw)を回転座標系の電流ベクトル(id,iq)へ座標変換する。uvw/dq座標変換器31は、変換されたd軸電流idを位置・速度推定器32、及び減算器35へ出力し、変換されたq軸電流iqを位置・速度推定器32、及び減算器37へ出力する。
位置・速度推定器32は、d軸電流id、q軸電流iqをuvw/dq座標変換器31から受け、d軸電圧指令Vd*、q軸電圧指令Vq*をd軸q軸電圧設定器38から受ける。位置・速度推定器32は、d軸電流id、q軸電流iq、d軸電圧指令Vd*、q軸電圧指令Vq*に基づいて、電圧ベクトルの電気角で表される推定角速度ωe及び回転座標系の位相角θdqをそれぞれ推定する。位置・速度推定器32は、推定角速度ωeを1/Pn変換器33へ出力し、位相角θdqをuvw/dq座標変換器31及びdq/uvw座標変換器39へ出力する。
1/Pn変換器33は、推定角速度ωeを位置・速度推定器32から受ける。1/Pn変換器33は、例えば推定角速度ωeに1/Pn(Pnは極対数)を乗算することにより、推定角速度ωeをモータMにおけるロータの機械角で表される推定角速度ωmに変換する。1/Pn変換器33は、推定角速度ωmを減算器34へ出力する。
減算器34は、推定角速度ωmを1/Pn変換器33から受け、速度指令ωm*を外部(例えば、上位のコントローラ)から受ける。減算器34は、速度指令ωm*から推定角速度ωmを減算して速度偏差Δωを求め、求められた速度偏差Δωを速度制御器36へ出力する。
減算器35は、d軸電流指令id*を外部(例えば、上位のコントローラ)から受け、d軸電流idをuvw/dq座標変換器31から受ける。減算器35は、d軸電流指令id*からd軸電流idを減算してd軸電流偏差Δidを求め、求められたd軸電流偏差Δidをd軸q軸電圧設定器38へ出力する。
速度制御器36は、速度偏差Δωを減算器34から受ける。速度制御器36は、速度偏差Δωがゼロに近づくようなq軸電流指令iq*を求める。速度制御器36は、求められたq軸電流指令iq*を減算器37へ出力する。
減算器37は、q軸電流指令iq*を速度制御器36から受け、q軸電流iqをuvw/dq座標変換器31から受ける。減算器37は、q軸電流指令iq*からq軸電流iqを減算してq軸電流偏差Δiqを求め、求められたq軸電流偏差Δiqをd軸q軸電圧設定器38へ出力する。
d軸q軸電圧設定器38は、d軸電流偏差Δidを減算器35から受け、q軸電流偏差Δiqを減算器37から受ける。d軸q軸電圧設定器38は、d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqに応じて(例えば、d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqがそれぞれゼロに近づくように)、d軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*をそれぞれ求める。d軸q軸電圧設定器38は、求められたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を位置・速度推定器32及びdq/uvw座標変換器39へ出力する。
dq/uvw座標変換器39は、d軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*をd軸q軸電圧設定器38から受け、直流相当電圧Vdcを直流相当電圧算出部70から受け、固定座標系(UVW座標系)に対する回転座標系(dq座標系)の位相角θdqを位置・速度推定器32から受ける。dq/uvw座標変換器39は、位相角θdqを用いて、回転座標系の電圧ベクトル(Vd*,Vq*)を固定座標系の電圧ベクトル(Vu*,Vv*,Vw*)へ座標変換する。
また、dq/uvw座標変換器39は、規格化器39aを有する。規格化器39aは、直流相当電圧Vdcを用いてVu*,Vv*,Vw*の振幅の絶対値を規格化して、規格化された3相の電圧指令CSu,CSv,CSwとしてそれぞれスイッチング制御部20に出力する。
ここで、直流相当電圧算出部70により算出される直流相当電圧Vdcについて説明する。
直流相当電圧算出部70は、上述したように、3相交流電源PSの各線間の電圧から直流相当電圧Vdcを算出する。
直流相当電圧Vdcは、下記の数式28で算出することができる。
Vdc=(線間電圧実効値)×(√2×(√3/2))
=(線間電圧波高値)×(√3/2)・・・数式28
図1に示す構成において、例えば、各双方向スイッチSRU〜STWを図2(c)に示す構成として、2つのIGBTあるいはFETのオン電圧による電圧低下分を考慮すると、1つのIGBTあるいはFETのオン電圧をXとしたとき、数式28は数式29に変形できる。
Vdc=(線間電圧実効値−2X)×(√2×(√3/2))
・・・数式29
さらに、3相交流電源PSの全波整流のリップルを考慮し、直流電圧リップルを低減するための係数をY(規格化制御電圧、つまり、電圧指令CSu,CSv,CSwの最大値、例えば0.98)としたとき、数式29は下記の数式30に変形できる。
Vdc=(線間電圧実効値−2X)×Y×(√2×(√3/2))
・・・数式30
なお、3相交流電源PSの電圧が安定している場合には、線間電圧実効値として3相交流電源PSの公称電圧値を用いてもよいし、あるいは、直流相当電圧Vdcを固定値としてもよい。
つぎに、実施の形態におけるスイッチング制御部の第1の内部構成例について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第1の内部構成例を示す図である。また、図10は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第1から第3の内部構成例における共通部分を示す図である。なお、後述する図11において、実施の形態におけるスイッチング制御部の第2の内部構成例を示し、同様に、後述する図12において、実施の形態におけるスイッチング制御部の第3の内部構成例を示している。
図9のスイッチング制御部20において、図6に示す第2のキャリア波形パターン(CW21〜CW26)を予め生成し、これら第2のキャリア波形パターンと第2の制御信号(U相電圧指令CSu、V相電圧指令CSv、W相電圧指令CSw)とをコンパレートし、コンパレート結果φUH〜φWL及び現在どの区間であるかを示すデータφP1〜φP18を図10に示す回路29へ出力し、この図10に示す回路29で各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング信号φSRU〜φSTWを生成する。
具体的には、スイッチング制御部20において、入力電圧をゼロクロス検出器21により検出し、カウンタ23を初期化してカウンタ23をスタートする。カウンタ23は、キャリア用クロック発生器22で発生されたキャリアクロックに同期して、ゼロクロス点をカウントする。ROM24は、入力電圧の1スイッチング周期Tの第2のキャリア波形パターンごとのデータを格納している。コンパレータ25〜27及び位相データ発生器28は、カウンタ23のデータ(第1のキャリア波形パターン)に応じて、キャリアクロック単位のROM24からキャリアデータを読み出すことによって図6(a)〜(f)の1スイッチング周期Tごとのキャリアデータ(第2のキャリア波形パターン)がコンパレータ25〜27及び位相データ発生器28へ出力される。
スイッチング制御部20において、コンパレータ25〜27は、それぞれ、センサレスベクトル制御部30から入力されたU相、V相、W相の電圧指令(第2の制御信号)CSu,CSv,CSwと第2のキャリア波形パターンとをコンパレートし、コンパレート結果φUH,φVH,φWHを図10に示す回路29へ出力する。コンパレート結果φUHは、例えば、U相電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンより上側にあれば、アクティブレベル(例えば、「1」)であり、U相電圧指令CSuが第2のキャリア波形パターンより下側にあれば、ノンアクティブレベル(例えば、「0」)である。コンパレート結果φVHは、例えば、V相電圧指令CSvが第2のキャリア波形パターンより上側にあれば、アクティブレベル(例えば、「1」)であり、V相電圧指令CSvが第2のキャリア波形パターンより下側にあれば、ノンアクティブレベル(例えば、「0」)である。コンパレート結果φWHは、例えば、W相電圧指令CSwが第2のキャリア波形パターンより上側にあれば、アクティブレベル(例えば、「1」)であり、W相電圧指令CSwが第2のキャリア波形パターンより下側にあれば、ノンアクティブレベル(例えば、「0」)である。
また、インバータINV1〜INV3は、それぞれ、コンパレート結果φUH,φVH,φWHを論理反転させたコンパレート結果φUL,φVL,φWLを生成し図10に示す回路へ出力する。
位相データ発生器28は、第2のキャリア波形パターンを受けて、第2のキャリア波形パターンに応じて現在の区間がどの区間であるのかを示すデータφP1〜φP18を発生させて図10に示す回路29へ出力する。例えば、位相データ発生器28は、現在の区間が区間TS11であると認識した場合、区間TS11用データφP1をアクティブレベル(例えば、「1」)にし、他のデータφP2〜φP18をノンアクティブレベル(例えば、「0」)にして、図10に示す回路29へ出力する。
図10に示す回路29は、例えば、コンパレート結果φUH〜φWLと、現在どの区間であるかを示すデータφP1〜φP18とを用いて論理演算を行い、各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング信号φSRU〜φSTWを生成する。
例えば、双方向スイッチURPは、R相とU相との間に接続された双方向スイッチである。図6(a)〜(f)の中で、R相を正側として選択するのは、区間TS12,TS13,TS22,TS53,TS62,TS63である。図10に示す回路では、この区間TS12,TS13,TS22,TS62,TS53,TS63用のデータφP2,φP3,φP5,φP15,φP17,φP18をORゲートOR1〜OR3でOR演算し、そのOR演算の結果とコンパレート結果φUHとをANDゲートAND1でAND演算する。
また、図6(a)〜(f)の中で、R相を負側として選択するのは、区間TS23,TS32,TS33,TS42,TS43,TS52である。図10に示す回路では、この区間TS23,TS32,TS33,TS42,TS43,TS52用のデータφP6,φP8,φP9,φP11,φP12,φP14をORゲートOR4〜OR6でOR演算し、そのOR演算の結果とコンパレート結果φULとをANDゲートAND2でAND演算する。
そして、ANDゲートAND1の出力とANDゲートAND2の出力とをORゲートOR7でOR演算してその演算結果がスイッチング信号φURPとして双方向スイッチURPへ出力される。
このような演算について、OR演算を+で表し、AND演算を*で表すと、スイッチング信号φURPは、下記の数式31で表される。
φURP=φUH*(φP2+φP3+φP5+φP15+φP17+φP18)+φUL*(φP6+φP8+φP9+φP11+φP12+φP14)・・・数式31
同様にして、下記の数式32〜数式39が得られる。
φVRP=φVH*(φP2+φP3+φP5+φP15+φP17+φP18)+φVL*(φP6+φP8+φP9+φP11+φP12+φP14)・・・数式32
φWRP=φWH*(φP2+φP3+φP5+φP15+φP17+φP18)+φWL*(φP6+φP8+φP9+φP11+φP12+φP14)・・・数式33
φUSP=φUH*(φP1+φP4+φP6+φP7+φP9+φP12)+φUL*(φP3+φP10+φP13+φP15+φP16+φP18)・・・数式34
φVSP=φVH*(φP1+φP4+φP6+φP7+φP9+φP12)+φVL*(φP3+φP10+φP13+φP15+φP16+φP18)・・・数式35
φWSP=φWH*(φP1+φP4+φP6+φP7+φP9+φP12)+φWL*(φP3+φP10+φP13+φP15+φP16+φP18)・・・数式36
φUTP=φUH*(φP8+φP10+φP11+φP13+φP14+φP16)+φUL*(φP1+φP2+φP4+φP5+φP7+φP17)・・・数式37
φVTP=φVH*(φP8+φP10+φP11+φP13+φP14+φP16)+φVL*(φP1+φP2+φP4+φP5+φP7+φP17)・・・数式38
φWTP=φWH*(φP8+φP10+φP11+φP13+φP14+φP16)+φWL*(φP1+φP2+φP4+φP5+φP7+φP17)・・・数式39
数式31〜数式39は、図10に示す回路の構成を示す式であるとみなすこともできる。
第1の内部構成例では、図9によって、ゼロクロスを起点として1スイッチング周期の第2のキャリア波形パターンがROMから読み出され、コンパレータ25〜27により第2の制御信号と第2のキャリア波形パターンとがコンパレートされてそのコンパレート結果φUH〜φWLが出力され、位相データ発生器28から18個の区間信号(φP1〜φP18)が出力される。そして、図10に示す回路29において、上述した論理演算を行い、各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング信号φSRU〜φSTWを生成し、図1の双方向スイッチをON・OFFさせる。これにより、入力電流が正弦波となり、出力電圧が正弦波となる。
つぎに、実施の形態にかかるスイッチング制御部の第2の内部構成例について、図11を参照して説明する。図11は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第2の内部構成例を示す図である。
第1の内部構成例では、第2の制御信号CSu,CSv,CSwとコンパレートすべき第2のキャリア波形パターンをROMデータとして予め用意しているが、ROMデータは、キャリアクロック毎のデータとなる為、ROM容量は大きくなる。
そこで、図11に示す第2の内部構成例では、第2の制御信号CSu,CSv,CSwとコンパレートすべき第2のキャリア波形パターンのデータを回路で生成することで、ROM容量を低減する。
具体的には、図11に示す正弦波用ROM121は、正弦波のデータを格納している。コンパレータ122は、カウンタ23のデータ(第1のキャリア波形パターン)と正弦波用ROM121から読み出した正弦波のデータとをコンパレートすることで時間を計測する。キャリア波形生成器123は、コンパレータ122で計測された測定値より傾きを演算し、第2の制御信号CSu,CSv,CSwとコンパレートすべきキャリア波形(第2のキャリア波形パターン)を生成する。
第2の内部構成例では、コンパレータ122により区間の切換り目の時間計測を行い、第2のキャリア波形パターンが生成され、コンパレータ25〜27により第2の制御信号と第2のキャリア波形パターンとがコンパレートされてそのコンパレート結果φUH〜φWLが出力され、位相データ発生器28から18個の区間信号(φP1〜φP18)が出力される。そして、図10に示す回路29において、図9に示す第1の内部構成例と同様の論理演算を行い、各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング信号φSRU〜φSTWを生成し、図1の双方向スイッチをON・OFFさせる。これにより、入力電流が正弦波となり、出力電圧が正弦波となる。
つぎに、実施の形態にかかるスイッチング制御部の第3の内部構成例について、図12を参照して説明する。図12は、実施の形態におけるスイッチング制御部の第3の内部構成例を示す図である。
図12に示す第3の内部構成例では、スイッチング制御部20において、コンパレータ122は、カウンタ23のデータ(第1のキャリア波形パターン)と正弦波用ROM121から読み出した正弦波のデータとをコンパレートすることで、スイッチング周期Tにおける3区間(例えば、図6(a)に示すモードIにおけるTS11,TS12,TS13)を演算で求めて乗算器221−1〜221−9へ出力する。
乗算器221−1〜221−3は、それぞれ、スイッチング周期Tにおける3区間のうち対応する区間のデータと、U相電圧指令CSuとを乗算する。乗算器221−1〜221−3は、それぞれ、乗算結果をコンパレータ223−1〜223−3へ出力する。
乗算器221−4〜221−6は、それぞれ、スイッチング周期Tにおける3区間のうち対応する区間のデータと、V相電圧指令CSvとを乗算する。乗算器221−4〜221−6は、それぞれ、乗算結果をコンパレータ223−4〜223−6へ出力する。
乗算器221−7〜221−9は、それぞれ、スイッチング周期Tにおける3区間のうち対応する区間のデータと、W相電圧指令CSwとを乗算する。乗算器221−7〜221−9は、それぞれ、乗算結果をコンパレータ223−7〜223−9へ出力する。
カウンタ222は、スイッチング周期Tにおける3区間のデータに応じて、キャリア用クロック発生器22で発生されたキャリアクロックを積算し、キャリアクロックの積算値をコンパレータ223−1〜223−9へ出力する。
コンパレータ223−1〜223−3は、乗算器221−1〜221−3の乗算結果とキャリアクロックの積算値とをコンパレートし、コンパレート結果を合成器224−1へ出力する。合成器224−1は、コンパレート結果と位相データ発生器28から出力される18個の区間信号(φP1〜φP18)とを合成して、合成されたコンパレート結果φUHを図10に示す回路へ出力する。
コンパレータ223−4〜223−6は、乗算器221−4〜221−6の乗算結果とキャリアクロックの積算値とをコンパレートし、コンパレート結果を合成器224−2へ出力する。合成器224−2は、コンパレート結果と位相データ発生器28から出力される18個の区間信号(φP1〜φP18)とを合成して、合成されたコンパレート結果φVHを図10に示す回路へ出力する。
コンパレータ223−7〜223−9は、乗算器221−7〜221−9の乗算結果とキャリアクロックの積算値とをコンパレートし、コンパレート結果を合成器224−3へ出力する。合成器224−3は、コンパレート結果と位相データ発生器28から出力される18個の区間信号(φP1〜φP18)とを合成して、合成されたコンパレート結果φWHを図10に示す回路へ出力する。
第3の内部構成例では、コンパレータ122により区間の切換り目の時間計測を行い、第2の制御信号と時間計測した数値とを乗算し、時間を加味した第2の制御信号とキャリアクロックの積算時間とをコンパレートして、コンパレート結果を出力している。
すなわち、第2の内部構成例が第2の制御信号のレベルでコンパレートしたのに対して、第3の内部構成例では、第2の制御信号を時間領域の値に換算して、時間領域でコンパレートしている。第2の内部構成例及び第3の内部構成例は、コンパレートの方法が異なるが、得られるコンパレート結果としては同等のものになる。そして、コンパレート結果、及び、18個の区間信号(φP1〜φP18)が出力される。そして、図10に示す回路29において、図9に示す第1の内部構成例及び図11に示す第2の内部構成例と同様の論理演算を行い、各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング信号φSRU〜φSTWを生成し、図1の双方向スイッチをON・OFFさせる。これにより、入力電流が正弦波となり、出力電圧が正弦波となる。
以上のように、実施の形態では、出力側の相に対応した電圧指令に基づき双方向スイッチ回路10をスイッチング制御するスイッチング制御部20と、電動機(負荷LD)に流れる電流iu,iv,iw及び入力された3相交流電力における各相(R相、S相、T相)の電圧Vr,Vs,Vtに基づき電圧指令CSu,CSv,CSwを生成する際に、電動機に流れる電流をq軸電流とd軸電流とに分解して電動機のセンサレスベクトル制御を行うセンサレスベクトル制御部30とを備え、スイッチング制御部20は、入力された3相交流電力に対して、入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモードI〜VIに応じて異なる仮想AC/DC変換処理を行い、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して、複数のモードI〜VIに応じて異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成する。具体的には、センサレスベクトル制御部30は、3相交流電源PSの各相の電圧Vr,Vs,Vtを検出し、各相間の電圧から直流相当電圧Vdcを算出する直流相当電圧算出部70(図8参照)を有し、直流相当電圧Vdcにより規格化された電圧指令CSu,CSv,CSwを生成する。また、スイッチング制御部20は、入力された3相交流電力に対して、複数のモードI〜VIに応じて異なる第1のキャリア波形パターンCW11〜CW13(図4参照)を用いて仮想AC/DC変換処理を行い、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して、複数のモードI〜VIに応じて異なる第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26(図6参照)を用いて仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成する。これにより、位置検出器や速度検出器のようなセンサを用いないセンサレス構成で交流電力を交流電力に直接変換できるマトリックスコンバータを得ることができ、また、マトリックス演算のような複雑な演算を行うことなく、簡易な処理でセンサレスベクトル制御が可能となる。
また、実施の形態では、スイッチング制御部20は、複数のモードI〜VIのそれぞれにおいて、第1のキャリア波形パターンCW11〜CW13と入力側の相(R相、S相、T相)に対応した第1の制御信号(例えば、図4に示す変調波形1,2A,2B,3)とを比較して、複数の線間電圧発生区間TS11〜TS63を求める。そして、スイッチング制御部20は、複数の線間電圧発生区間TS11〜TS63に対応した第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26を生成し、生成された第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26と出力側の相(U相、V相、W相)に対応した第2の制御信号(電圧指令)CSu,CSv,CSwとを比較して、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成する。これにより、複雑なマトリックス演算を行うことなく、仮想AC/DC変換処理及び仮想DC/AC変換処理を簡易に行うことができる。
また、実施の形態では、スイッチング制御部20は、入力された3相交流電力における最大電圧相、最小電圧相、及び中間電圧相を認識する。そして、スイッチング制御部20は、1スイッチング周期T中の複数の線間電圧発生区間を、中間電圧相及び最小電圧相に対応した第1の区間と、最大電圧相及び最小電圧相に対応した第2の区間と、最大電圧相及び中間電圧相に対応した第3の区間とに分けて求める。第1の区間は、例えば、図6に示す区間TS11,TS22,TS32,TS43,TS53,TS61を含む。第2の区間は、例えば、図6に示す区間TS12,TS21,TS33,TS42,TS51,TS63を含む。第3の区間は、例えば、図6に示す区間TS13,TS23,TS31,TS41,TS52,TS62を含む。従って、1スイッチング周期T中に最大−最小、最大−中間、中間−最小の3種類の線間電圧を仮想的に発生でき、電流の引き算等の物理現象を利用してその仮想的な線間電圧により仮想的な直流電圧を略一定にすることができ、略一定の仮想的な直流電圧から、各々の電圧区間で作成する第2のキャリア波形パターンと第2の制御信号とをコンパレートしてスイッチング信号を生成できる。これにより、第1の制御信号及び第2の制御信号をそれぞれ正弦波とすることで、マトリックスコンバータ1の入力電流及び出力電圧をそれぞれ容易に正弦波とすることができる。
また、実施の形態では、第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26(図6参照)は、複数の線間電圧発生区間のうち連続する2つの区間に跨って山型にレベルが変化するパターンを有する。これにより、各スイッチング周期Tにおけるスイッチング回数を低減できるので、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング損失を低減できる。
また、実施の形態では、第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26(図6参照)が複数の線間電圧発生区間のうち連続する2つの区間に跨って山型にレベルが変化するパターンを有するので、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU〜STWのスイッチング信号φSRU〜φSTWのパルス幅を容易に広く確保できるので、例えば低負荷時における電流・電圧の波形の歪率を高負荷時と同等程度に抑制できる。これにより、転流の失敗を低減できるので、負荷LD(例えば、モータ、アクチュエータ等)の故障を抑制できる。また、電力の変換効率を向上できる。
また、実施の形態では、スイッチング制御部20は、入力された3相交流電力における最大電圧相、最小電圧相、及び中間電圧相を認識する。スイッチング制御部20により生成される第2のキャリア波形パターンCW21〜CW26は、複数の線間電圧発生区間のそれぞれにおける2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を−側相とするとき、モードが切り換わる際に+側相及び−側相に共通する相がある場合、切り換わる2つのモードに跨って山型にレベルが連続するパターンを有し、モードが切り換わる際に+側相及び−側相で反転する相がある場合、切り換わる2つのモードの境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有する。これにより、モードが切り換わる際においても、実質的に、各双方向スイッチSRU〜STWについてスイッチング周期Tごとに1回のスイッチング回数を実現できる。言い換えると、各モード内とモード間の切り換わりとで、同様の制御を実現できるので、切り替わり目のショックも低減できる。
また、実施の形態では、入力交流電圧のゼロクロス点を演算し、ゼロクロス点を同期信号として各相の入力交流電圧を推定するので、各相の入力交流電圧を検出する場合に比べて、簡易にマトリックスコンバータを構成できる。
また、実施の形態では、第2の制御信号は、他の物理量と演算することなく入力できる。これにより、第2の制御信号を、負荷に供給すべき交流電力と同様のものとすることができ、出力電圧を正弦波とすることが容易である。
なお、上記の実施の形態では、入力された3相交流電力のうち1つの相の交流電力を検出し、検出された交流電力のゼロクロス点を演算し、そのゼロクロス点を起点として入力側の各相の交流電圧を推定しているが、入力された3相交流電力をそれぞれ検出することで認識してもよい。
以上のように、本発明にかかるマトリックスコンバータは、3相交流電力の3相交流電力への直接変換に有用である。
1 マトリックスコンバータ
10 双方向スイッチ回路
20 スイッチング制御部
30 センサレスベクトル制御部
40 3相リアクトル
50 入力コンデンサ
60 電流検出部
70 直流相当電圧算出部
LD 負荷
PS 3相交流電源

Claims (3)

  1. 入力された3相交流電力を3相交流電力に直接変換して電動機を駆動するマトリックスコンバータであって、
    前記入力された3相交流電力の前記電動機への供給をON/OFFする双方向スイッチ回路と、
    出力側の相に対応した電圧指令に基づき前記双方向スイッチ回路をスイッチング制御するスイッチング制御部と、
    前記電動機に流れる電流及び前記入力された3相交流電力における各相の電圧に基づき前記電圧指令を生成する際に、前記電動機に流れる電流をq軸電流とd軸電流とに分解して前記電動機のセンサレスベクトル制御を行うセンサレスベクトル制御部と、
    を備え、
    前記センサレスベクトル制御部は、前記入力された3相交流電力における線間電圧から直流相当電圧を算出する直流相当電圧算出部を備え、前記直流相当電圧により規格化された前記電圧指令を生成し、
    前記直流相当電圧算出部は、前記線間電圧の実効値に対し、前記3相交流電力における交流電圧を全波整流したときの直流電圧リップルを低減するための係数を乗じた値を用いて、前記直流相当電圧を算出することを特徴とするマトリックスコンバータ。
  2. 前記直流相当電圧算出部は、前記入力された3相交流電力における各相間に挿入された前記双方向スイッチ回路を構成するスイッチング素子のオン電圧分を、前記線間電圧の実効値から差し引いた値を用いて、前記直流相当電圧を算出することを特徴とする請求項1に記載のマトリックスコンバータ。
  3. 前記スイッチング制御部は、前記入力された3相交流電力に対して、前記入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモードに応じて異なる仮想AC/DC変換処理を行い、前記入力された3相交流電力のうち2相を選択し、選択された2相の線間電圧に対し、前記複数のモードに応じて異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、前記双方向スイッチ回路のスイッチングパターンを生成することを特徴とする請求項1または2に記載のマトリックスコンバータ。
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