JP6290633B2 - リチウムイオン電池廃棄物の処理方法及び、それを用いる金属回収方法 - Google Patents

リチウムイオン電池廃棄物の処理方法及び、それを用いる金属回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池廃棄物から有価物であるニッケルとコバルトを効率よく分離回収するに際し、リチウムイオン電池廃棄物を処理する方法及び、それを用いる金属回収方法に関するものである。さらに詳細を述べると、廃リチウムイオン電池に含まれる不純物のうち、それに含まれる量の多いアルミニウムを、ニッケルとコバルトから効果的に分離・除去するための方法に関するものである。
近年、電子デバイス等をはじめ各産業分野で使用されている二次電池は、その使用量が飛躍的に上昇しており、電池の製品寿命に達して廃棄される量や製造過程で不良品として廃棄される量も増加している。
二次電池にも各種あるものの、その容量、並びに起電力の大きさから現在主流になっているのは、マンガン、コバルト及びニッケルを含有するリチウム金属塩を正極材に用いたものである。リチウム、マンガン、コバルト、ニッケルは比較的高価な元素であり、これらを廃棄された電池から回収して再利用することが望ましい。
二次電池から有価金属を回収する技術として、例えば特許文献1には、酸で各種元素を二次電池廃棄物から溶解した後に、マンガン、コバルト及びニッケルをそれぞれ溶媒抽出により順次に分離回収して水相にLiを残すことで各有価金属を回収する技術が開示されている。
また、特許文献2には、二次電池廃棄物を焙焼、破砕、篩別した後に酸で浸出して、不純物であるカドミウム、鉄、亜鉛を溶媒抽出して取り除き、コバルトをさらに別途溶媒抽出で分離濃縮して電解採取し、浸出液に残留したニッケルは直接電解採取してこれを回収する技術が開示されている。
特開2009−193778号公報 特開2005−149889号公報
現在、廃リチウムイオン電池正極材の中で最も難処理性の不純物はアルミニウムである。リチウムイオン電池の正極材はアルミニウム箔上に塗付されているので、リチウムイオン二次電池には大量にアルミニウムが使用されている。廃正極材を焙焼して破砕し、篩別すればいくらかはアルミニウムを分離・除去できるものの、それでもなお無視できない量が混入する。
アルミニウムは両性元素であるためpH調整による沈殿分離は条件が限定される。しかもアルミニウムはゲル状の水酸化物を形成するため、沈殿時に有価物であるニッケルやコバルトと共沈してしまう。共沈したニッケルとコバルトは有価物回収率の低下につながる。
アルミニウムはその形態が水酸化物や酸化物となると商業的価値は大きく下がるので、この形態でアルミニウムを分離する場合は低コストであることが必要である。しかも同時に有価物のニッケルやコバルトの逸損を極力抑えなければならない。
本発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、リチウムイオン電池廃棄物を処理するに当り、該廃棄物の破砕物を酸浸出して得た浸出液で、アルミニウムとニッケルやコバルトとの共沈を抑えて、アルミニウム単独での沈殿を促進させることにより、ニッケルやコバルトの回収率向上を実現することのできるリチウムイオン電池廃棄物の処理方法及び、それを用いる金属回収方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、リチウムイオン電池廃棄物を破砕して得られる破砕物を酸処理して、アルミニウム、ニッケル、コバルトを溶解させ、それらが溶解した浸出液のリチウムイオン濃度がある程度高い状態で、該浸出液を中和することにより、アルミニウムとニッケルやコバルトとの共沈を抑えてアルミニウムを選択的に沈殿分離できることを見出した。
このような知見に基き、本発明のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、少なくとも、アルミニウム、ニッケル及びコバルトを含有するリチウムイオン電池廃棄物を処理する方法であって、前記リチウムイオン電池廃棄物を破砕して得た破砕物を酸浸出する浸出工程と、前記浸出工程で得られた浸出液を、リチウム濃度が2g/L以上にあるリチウムイオンの存在下で中和することにより、アルミニウムを選択的に沈殿除去して、ニッケル及びコバルト含有液を得るアルミニウム沈殿工程を含み、前記浸出工程に先立ち、前記リチウムイオン電池廃棄物を破砕して得た破砕物を水洗する水洗工程をさらに含み、前記水洗工程での破砕物の水洗における洗液を、前記アルミニウム沈殿工程で、前記リチウムイオンの供給のための、前記浸出液への添加液として用いることを特徴とするものである。
この処理方法では、前記アルミニウム沈殿工程で、前記浸出液に含まれる中和前のリチウム濃度を2g/L〜25g/Lとすることが好ましい。
またこの方法では、前記浸出工程に先立って、前記リチウムイオン電池廃棄物を破砕して得た破砕物を篩別する篩別工程をさらに含むことが好ましい。なお、篩別工程及び水洗工程の両工程を含む場合は、篩別工程を経た後に、水洗工程を行うことができる。
この篩別工程では、前記破砕物の篩別により、該破砕物のアルミニウム含有率を7wt%以下に調整することが好ましい。
そしてまた、前記アルミニウム沈殿工程での中和は、アルカリによりpHが3.5〜5.0となるように調整することにより行うことが好ましい。
なお好ましくは、前記リチウムイオン電池廃棄物が、リチウムイオン電池正極材廃棄物、リチウムイオン電池を焼却処理したもの、又は、アルミニウム箔つき正極材を分離破砕したものである。
また、この発明の金属回収方法は、上記いずれかの処理方法により、アルミニウム沈殿工程で得られたニッケル及びコバルト含有液から、ニッケル及びコバルトのそれぞれを分離回収することを特徴とするものである。
本発明は以下の効果を有する。
リチウムイオン電池廃棄物から、有価物であるニッケルとコバルトの逸損を抑えて効率的に不純物のアルミニウムを分離除去することが出来る。その結果として、リチウムイオン電池廃棄物からのニッケルやコバルトの回収率の向上を実現することができる。
本発明の一の実施形態を概略的に示す工程図である。 実施例のAl沈殿工程におけるリチウム濃度とコバルト共沈ロス率との関係を示すグラフである。 実施例のAl沈殿工程におけるリチウム濃度とニッケル共沈ロス率との関係を示すグラフである。
本発明の好適な実施形態では、リチウムイオン電池としてのリチウムイオン二次電池の正極材廃棄物を破砕して篩別によりアルミニウムを除き、水洗した後に硫酸で浸出してアルミニウム、ニッケル、コバルトを溶液中に溶解させ、溶解後リチウムイオンを、たとえば2〜25g/Lに調整した後に、pHを、たとえば3.5〜5.0に調整する。それにより、ニッケルないしコバルトとの共沈を抑えてアルミニウムを選択的に沈殿分離することができる。図1に工程図を示す。
本発明の方法では、たとえば、電池の製品寿命、製造不良又はその他の理由によって廃棄されたリチウムイオン電池廃棄物、たとえば、リチウムイオン電池正極材廃棄物、リチウムイオン電池を焼却処理したもの、又は、アルミニウム箔つき正極材を分離破砕したもの等を対象とすることができる。このようなリチウムイオン電池廃棄物に対しては、所要に応じて、熱処理や化学処理を施し、有価物を多く含む正極材をアルミニウム箔から剥離可能な状態とし、そして破砕することによりアルミニウム箔を適当な大きさに調整し、破砕物を得ることができる。ここでの熱処理ないし化学処理や破砕は、一般に知られる焼却や破砕機等により行うことができる。
リチウムイオン電池廃棄物は、少なくとも、アルミニウム、ニッケル及びコバルトを含有するものであり、これらに加えて、たとえば、リチウム、マンガン、鉄、リン酸、ナトリウム等をさらに含むことがある。かかるリチウムイオン電池廃棄物に対して、以下の各工程を含む本発明の実施形態の方法を用いることで、有価成分であるニッケルとコバルトからアルミニウムを効果的に分離することが可能である。
(篩別工程)
まず本方法の実施形態では、上記の破砕物を篩別し、それによりアルミニウムの一部を取り除いて、その含有量を、たとえば7wt%以下にすることが好ましい。効果的に篩別するには、事前にリチウムイオン電池廃棄物に対して上述した熱処理や化学処理を施しておくことが望ましい。
篩の目の大きさは特に制限はないが破砕の状況に応じて選択される。目が大きすぎるとアルミニウムと正極材の分離が不完全になり、小さすぎると正極材の回収量の低下や所要時間の長期化が起こる。篩の目の大きさは、たとえば、0.1mm〜10mm、さらに好ましくは0.5mm〜2mmとすることができる。
本工程ではアルミニウムは金属アルミニウムとして篩上に回収される。金属アルミニウムは有価物であり、なるべく本工程でアルミニウムを多く分離回収することが好ましい。
篩別を行わない場合でも本発明は適用できるが、後述するアルミニウム沈殿工程における酸浸出や中和での試薬の使用量が増加する。同様にアルミの分離が不十分な場合もコストの上昇をもたらす。そのため篩別後の正極材のアルミニウムの含有量は7wt%以下とすることが好適であり、より好ましくは1wt%以下である。
(水洗工程)
篩下を水洗する。リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウムは、焙焼により可溶な化合物(酸化リチウム、炭酸リチウム等)に変化しているところ、水洗することで、この可溶性のリチウム化合物を除き、次工程の酸消費量を抑えることができる。特にリチウムやナトリウムといったアルカリ金属酸化物を本工程で除いておけば、この水洗による洗液(水洗液)はアルカリ性となる。そのため後工程であるアルミニウム沈殿工程にこの洗液(水洗後液)を使用することができる。
水洗は特に条件を設けないが炭酸リチウムの溶解度の観点から30℃以下で実施することが好ましく、室温で実施するのがよい。使用する水も特に制限はない。なお、この水洗工程を省略することも可能である。
(浸出工程)
水洗工程を経た後は、破砕物を硫酸等の酸により溶解して浸出液を得る。この溶解に使用する酸濃度は0.1〜2.0mol/L、反応温度は40〜90℃が好ましい。酸の添加量は、水洗残渣としての前記破砕物に含まれる溶出可能な金属成分(アルミニウム、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄等)全量に対して1当量〜1.2当量とすることが好ましく、酸の添加量が過剰な場合は、この工程の後のアルミニウム沈殿工程における中和で使用するアルカリ量が増加し、低すぎると溶解率が低下する。また加熱しない場合は反応温度が低すぎると溶解速度が低下する。高すぎるとエネルギーコストが上昇する。
この浸出工程で用いることのできる酸としては、たとえば、硫酸、塩酸、過酸化水素等を挙げることができる。
(アルミニウム沈殿工程)
上記の浸出工程で破砕物を酸浸出して得られた浸出液は、主にアルミニウム、ニッケル、コバルト、リチウム等を含む。このアルミニウム沈殿工程では、所要に応じて、浸出液中のリチウム濃度を2g/L以上、好ましくは2〜25g/Lに調整する。リチウム濃度が低すぎる場合は、たとえば、水酸化リチウム、炭酸リチウムその他のリチウム塩等からなる試薬を添加する。一方、浸出工程で得られた浸出液のリチウム濃度が2g/L以上である場合は、試薬の添加・調整を要しない。またこの工程では、リチウム濃度が2g/L以上にある状態で、アルカリによりpHを3.5〜5.0に調整することによって中和して、アルミニウム成分を沈殿させる。
このアルカリによるpHの調整では、上述したリチウム塩や、一般的なアンモニアや苛性ソーダ等の試薬を別途準備して、これを使用することもできるが、前記水洗工程で使用した洗液のアルカリ濃度とリチウム濃度を調整すれば、該洗液はアルカリ性でしかもリチウムイオンを含有するので、この洗液を本アルミニウム沈殿工程のpH調整試薬として用いることができて、リチウム濃度及びpH調整のための試薬の使用量の削減が可能である。その結果として、コストの削減に寄与することができるので、ここでは水洗工程の洗液を利用することが好適である。
上述したようなリチウム濃度の調整及び、その後のpHの調整により、アルミニウムはAl(OH)3、LiAlO2、LiAl2(OH)7・2H2O等の混合物沈殿を形成する。Al(OH)3はゲル状の沈殿のためニッケルやコバルトを共沈するが、本条件のようにリチウムが共存する条件でpHを調整して沈殿を生じさせた場合は、沈殿の形態がゲルではなく粉末に近いものになるので、共沈する他金属成分の量が大きく低下する。
このようなアルミニウムの沈殿は、リチウム濃度及びpHの調整により、表面活性で他金属を吸着する水酸化アルミではなく、アルミン酸リチウム塩として沈殿することによるものと考えられる。
ここで、上記の中和の際にリチウム濃度が低すぎる場合は、共沈により逸損するニッケルとコバルトが大きくなることが懸念される。リチウム濃度は高すぎて問題になることはないが、液中には炭酸イオンが存在しており、高すぎるとリチウム塩の析出が起こるので過量の添加はあまり意味をなさない。このような観点から、リチウム濃度は、2g/L〜25g/Lとすることがより好ましく、なかでも、6g/L〜10g/Lとすることが特に好適である。
また、pHが低すぎる場合は、沈殿が生じずアルミが分離できない可能性がある。この一方で、pHが高すぎる場合は、有価金属が水酸化物沈殿を形成する可能性がある。それ故にpHは、より好ましくは4.0〜5.0として調整する。
アルミニウムを沈殿させた後、固液分離して、アルミニウムがほぼ除去されたニッケル及びコバルト含有液を得る。このニッケル及びコバルト含有液は、アルミニウム沈殿工程の後に、溶媒抽出等の一般的なニッケルとコバルト分離工程に供されてそれぞれ分離回収されるとともに金属に製錬される。
なおここで、リチウムが固液分離後のニッケル及びコバルト含有液に残るが、前記のニッケルとコバルトとの分離工程において、リチウムは悪影響を及ぼさないことが知られている。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
原料として廃リチウムイオン二次電池を焼却処理し、一軸破砕機で破砕後、<0.5mmで篩分けした廃リチウムイオン二次電池の焼却滓を用いた。成分を表1に示す。主にコバルトが含まれており回収対象となる。この原料を200g量り取り2000mlのビーカーに移した。純水を1000ml添加して、室温(25℃)で6時間撹拌した後、0.1μmフィルターで残渣を分離した。ろ液(洗液)は分離別途保存した。
ろ液を一部分取し希塩酸で適当に希釈してICP発光分光法により各種元素濃度を定量したところ表2の濃度であった。
Figure 0006290633
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分離した残渣を105℃で乾燥後、100g量り取り2000mlのビーカーに移した。純水を1000ml添加して、pH2.0に濃硫酸で調整し60℃で6時間撹拌浸出した。使用した硫酸は107gであった。0.1μmフィルターで残渣を分離した。得られた浸出液1の分析を上記洗液の分析と同様に行った。浸出液1の組成を表3に示す。
Figure 0006290633
アルミニウム沈殿工程として浸出液1に表2の組成の洗液を添加した。300mlの浸出液1にpH5.0に達するまで洗液を加えた。その結果、浸出液のアルミニウム成分が沈殿し、固液分離してアルミニウム成分を除いた。
(実施例2)
浸出原料は、アルミニウム付き正極材を一軸破砕機で切断して、さらに目の大きさ0.5mmの篩を備えた振動篩によりアルミニウム箔を除いたものを使用した。組成を表4に示す。この原料を400g量り取り5000mLのビーカーに移した。純水を2000ml、硫酸を340g添加して80℃に加熱した。24時間撹拌した後、0.1μmフィルターで残渣を分離した。得られた浸出液2を分離別途保存した。
実施例1と同様に浸出液2をICP発光分光法で定量した。結果を表5に示す。
Figure 0006290633
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表5に示すように浸出液2のリチウム濃度は高いため特にリチウム塩を添加しなかった。300mLの浸出液2に苛性ソーダ7.5gを加えpHを5.0に調整して、浸出液中のアルミニウム成分を沈殿させて、ニッケル及びコバルト含有液を得た。
(実施例3)
実施例2と同じ浸出液2を使用し、アルミニウム沈殿工程において、水酸化リチウム一水和物を8.8g添加してpHを5.0に調整し、アルミニウムを沈殿させた。
(実施例4)
実施例2と同じ浸出液2を使用し、アルミニウム沈殿工程において、炭酸リチウムを6.8g添加してpHを5.0に調整し、アルミニウムを沈殿させ、ニッケル及びコバルト含有液を得た。
(実施例5)
原料として廃リチウムイオン二次電池の焼却滓を用いた。成分を表6に示す。この原料を50g量り取り1000mlのビーカーに移した。純水500mlと硫酸53gを添加して、60℃で8時間撹拌した後、0.1μmフィルターで残渣を分離した。さらにリチウム濃度を上げるため、(株)高南無機製の硫酸リチウム一水和物を17.5g添加して、表7に示す浸出液3を作製した。浸出液3を300ml取り、500mlビーカーに移し、水酸化リチウムを1.2g添加してpHを5.0に調整してアルミニウムを分離した。
Figure 0006290633
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(比較例)
実施例5と同様の原料を50g量り取り1000mlのビーカーに移した。純水500mlと硫酸53gを添加して、60℃で8時間撹拌した後、0.1μmフィルターで残渣を分離し、表8に示す浸出液4を得た。500mlビーカーに浸出液4を300ml移し、苛性ソーダを3.6g添加してpH4.9に調整してアルミニウムを分離した。
Figure 0006290633
以上に述べた実施例1〜5及び比較例のそれぞれにつき、アルミニウム沈殿工程で、アルミニウムを沈殿させ、固液分離してアルミニウム成分を除いた後、ろ液を一部分取し希塩酸で適当に希釈してICP発光分光法により各種元素濃度を定量した。実施例1〜5及び比較例のそれぞれでの、アルミニウム濃度と沈殿工程を経た後の液成分の定量結果を、表9に纏めて示す。また原料濃度を基に換算したニッケルとコバルトの回収率を表10に示す。
Figure 0006290633
Figure 0006290633
表9及び10に示す結果から、実施例1では、アルミニウムとニッケル、コバルトが分離され、その回収率も高いことが解かる。
実施例2及び3の結果から、原料をアルミニウム付正極材にしても廃リチウムイオン二次電池の焼却滓と同様にアルミニウムとニッケル、コバルトが分離され、その回収率も高いことが解かる。またアルミニウムを沈殿させる工程においては苛性ソーダでも水酸化リチウムでもニッケルやコバルトの回収率に大きな差異はない。
実施例4では、アルカリとしてリチウムの炭酸塩を添加したが、その場合もアルミニウムとニッケル、コバルトが分離され、その回収率も高いことが解かる。
実施例5では、浸出液3に試薬を添加してリチウム濃度を高めたことにより、アルミニウムとニッケル、コバルトが分離され、その回収率も高かった。
一方、比較例のようにアルミニウム沈殿分離時のリチウム濃度が2g/L未満では、廃正極材からのコバルト、ニッケル回収率は低値にとどまり、ナトリウムではその代替効果が期待できないことが解かる。
実際の浸出液を用いてアルミニウム沈殿分離時のリチウム濃度が、共沈によるニッケルとコバルトの逸損に与える影響について纏めた。それぞれの結果を図2と図3のグラフに示す。ここでグラフ中の「エンドLi濃度」とは、アルミニウム沈殿工程での中和時(洗液その他の液を添加してリチウム濃度を調整した場合はその調整後)のリチウム濃度を意味する。
図2及び3に示すところから、アルミニウム沈殿工程で中和時にリチウムイオン濃度が、1g/L程度である場合は、コバルト及びニッケルの共沈する割合が極めて多くなり、それらの回収率が低下することが明らかである。一方、上記リチウム濃度が2g/Lであれば、コバルト及びニッケルの共沈の割合が25%程度となる。それにより、リチウム濃度が2g/L以上とすれば、コバルト及びニッケルの回収率を向上できることが解った。

Claims (7)

  1. 少なくとも、アルミニウム、ニッケル及びコバルトを含有するリチウムイオン電池廃棄物を処理する方法であって、前記リチウムイオン電池廃棄物を破砕して得た破砕物を酸浸出する浸出工程と、前記浸出工程で得られた浸出液を、リチウム濃度が2g/L以上にあるリチウムイオンの存在下で中和することにより、アルミニウムを選択的に沈殿除去して、ニッケル及びコバルト含有液を得るアルミニウム沈殿工程を含み、
    前記浸出工程に先立ち、前記リチウムイオン電池廃棄物を破砕して得た破砕物を水洗する水洗工程をさらに含み、前記水洗工程での破砕物の水洗における洗液を、前記アルミニウム沈殿工程で、前記リチウムイオンの供給のための、前記浸出液への添加液として用いることを特徴とする、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  2. 前記アルミニウム沈殿工程で、前記浸出液に含まれる中和前のリチウム濃度を2g/L〜25g/Lとすることを特徴とする、請求項1に記載の、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  3. 前記浸出工程に先立ち、前記リチウムイオン電池廃棄物を破砕して得た破砕物を篩別する篩別工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  4. 前記篩別工程で、前記破砕物の篩別により、該破砕物のアルミニウム含有率を7wt%以下に調整することを特徴とする、請求項に記載の、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  5. 前記アルミニウム沈殿工程での中和を、アルカリによりpHが3.5〜5.0となるべく調整することにより行うことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  6. 前記リチウムイオン電池廃棄物が、リチウムイオン電池正極材廃棄物、リチウムイオン電池を焼却処理したもの、又は、アルミニウム箔つき正極材を分離破砕したものであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の処理方法により、前記アルミニウム沈殿工程で得られたニッケル及びコバルト含有液から、ニッケル及びコバルトのそれぞれを分離回収することを特徴とする金属回収方法。
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