JP6289977B2 - 飛しょう体、及び、飛しょう体の動作方法 - Google Patents
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Description
本実施の形態において、「制御パラメータ」は、入力データに基づいて制御指令値を算出する際に用いられる入力データ以外の要素を意味する。制御パラメータには、例えば、ゲイン、ラプラス演算子等の演算子が含まれる。また、入力データに基づいて制御指令値を算出する算出方式(アナログ回路、デジタル回路、プログラム等)が複数存在し、そのうちの1つの算出方式を選択して使用するような場合には、算出方式自体が、制御パラメータに該当する。
図3Aは、本実施の形態に係る飛しょう体10を模式的に示す側面図である。図3Bは、図3AのA−A断面図である。まず、座標系の定義を行う。X方向(X座標)は、飛しょう体10の長手方向であり、+X方向は、飛しょう体10の後方方向を意味する。一方、−X方向は、前方方向を意味する。φ方向(φ座標)は、飛しょう体10の機軸Sまわりの回転方向であり、+φ方向は、+X方向にみて時計回り方向を意味する。Y1方向(Y1座標)は、X方向に垂直な方向で、かつ、操舵翼60−1に沿う方向である。また、+Y1方向は、機軸Sから離れる方向を意味する。同様に、Y2、Y3、Y4方向(Y2、Y3、Y4座標)は、X方向に垂直な方向で、かつ、操舵翼60−2、60−3、60−4に沿う方向である。また、+Y2、+Y3、+Y4方向は、機軸Sから離れる方向を意味する。ここで、Y1、Y2、Y3、Y4のうちの任意の1つを指すときには、「Y」と表記し、操舵翼60−1、60−2、60−3、60−4のうちの任意の1つを指すときには、「60」と表記する。
本実施の形態に係る飛しょう体10は、操舵翼、推進装置等を制御するための制御システム200を搭載している。図4は、その制御システム200の機能構成を示す機能ブロック図である。
機体形状計測装置100は、温度センサ、超音波センサ等のセンサ101、102からの信号に基づいて、飛しょう体10の外表面の形状変化量Δdを計測又は算出する。そして、計測又は算出された形状変化量Δdは、演算装置81のゲイン補償算出部(制御パラメータ変更部)82に送られる。
慣性装置70は、センサ(GPS、高度センサ、速度センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等)からの信号に基づいて、飛行諸元を算出する。飛行諸元には、例えば、飛しょう体の位置、高度H(t)、マッハ数M(t)、迎角A(t)、ロール角B(t)、加速度、角速度等が含まれる。飛行諸元は、時間tの経過に伴い変化する。高度H(t)、マッハ数M(t)、迎角A(t)、ロール角B(t)等のデータは、慣性装置70から機体形状推定器85に送られる。また、加速度、角速度等のデータは、演算装置81の指令値算出部83に伝達される。
オートパイロット装置80は、飛しょう体10を自動操縦するための装置である。オートパイロット装置80は、目標位置等の入力データ、慣性装置70からの入力データに基づいて、後述の制御装置90に送信する制御指令値(推力指令値Rt、舵角指令値Rα、偏向角指令値Rβ等)を算出する機能を備える。前記機能を実現するために、オートパイロット装置80は、指令装置84と、演算装置81と、機体形状推定器85とを備える。なお、オートパイロット装置80を、手動操縦装置で代替してもよい。この場合、目標位置の入力に代えて、或いは、目標位置の入力に加えて、パイロットによる操舵量又は遠隔操作装置からの指令値が入力される。
指令装置84は、目標位置等の入力データ、及び、慣性装置70からの入力データ(飛しょう体10の位置、高度、マッハ数、迎角、ロール角、加速度、角速度等)に基づいて、目標諸元を算出する。目標諸元は、例えば、目標加速度、目標角速度である。前記目標加速度、目標角速度に対応する加速度指令値、角速度指令値は、演算装置81の指令値算出部83に伝達される。
機体形状推定器85は、後に図8A、図9Aを参照して説明されるように、慣性装置70から伝達されるデータに基づいて、形状変化量Δdを算出する。そして、算出された形状変化量Δdは、演算装置81のゲイン補償算出部(制御パラメータ変更部)82に伝達される。
演算装置81は、ゲイン補償算出部(制御パラメータ変更部)82と指令値算出部83とを備える。ゲイン補償算出部(制御パラメータ変更部)82は、機体形状計測装置100及び/又は機体形状推定器85から伝達される形状変化量Δdに基づいて、ゲイン補償量(制御パラメータ変更指令値)を算出する。ゲイン補償量の算出については、後に図8B、図9Bを参照して説明される。算出されたゲイン補償量(制御パラメータ変更指令値)は、指令値算出部83に伝達される。
指令値算出部83は、指令装置84から伝達される指令値(加速度指令値、角速度指令値等)、慣性装置70から送信されるデータ(加速度データ、角速度データ等)に基づいて、後述の制御装置90に伝達する制御指令値(推力指令値Rt、舵角指令値Rα、偏向角指令値Rβ等)を算出する。前記算出は、制御ゲイン等の制御パラメータを用いて行われる。また、前記制御ゲイン(制御パラメータ)は、ゲイン補償算出部82から伝達されるゲイン補償量(制御パラメータ変更指令値)に基づいて、変更される。
制御装置90は、推進装置91、操舵装置92、推力偏向装置93を用いて、飛しょう体10の姿勢及び推力を制御する。推進装置91は、例えば、ロケットモータであり、飛しょう体10に推力Tを付与する。操舵装置92は、操舵翼60の舵角αを変更する。推力偏向装置93は、推進装置91による燃焼ガスの噴射の方向、すなわち、偏向角βを変更する。制御装置90は、指令値算出部83から伝達される指令値(推力指令値Rt、舵角指令値Rα、偏向角指令値Rβ等)に基づいて、前記推力T、舵角α、偏向角β等を決定する。
まず、機体形状推定器85による形状予測に基づいて、ゲイン補償を行う場合について説明する。図6Aは、入熱量算出のステップを模式的に示す図である。図6Bは、形状予測(形状変化量の算出)のステップを模式的に示す図である。図6Cは、ゲイン補償量の算出及びゲイン補償量の適用のステップを模式的に示す図である。
次に、機体形状計測装置100による形状計測に基づいて、ゲイン補償を行う場合について説明する。図7は、ゲイン補償フローを模式的に示す図である。
図8Aは、形状変化量の算出の概要を示す概念図であって、ノーズ部の形状変化量を算出する場合の概念図である。ノーズ部20の各部位における入熱量h(t,x,φ)は、下記(式1)に示すように、高度H(t)、迎角A(t)、ロール角B(t)、マッハ数M(t)、形状データS(t,x,φ)の関数である。
図8Bは、ゲイン補償量の算出の概要を示す概念図であって、ノーズ部の形状変化量に基づいてゲイン補償量を算出する場合の概念図である。図8Bの上部のグラフに示されるように、空力係数変化量ΔCzは、各部位における形状変化量Δd(x,φ)の関数である。よって、各部位における形状変化量Δd(x,φ)と、空力係数変化量ΔCzとの関係は、下記(式3)によって表現できる。ここで、T2_noseは、関数又はデータテーブルである。
図9Aは、形状変化量の算出の概要を示す概念図であって、操舵翼の形状変化量を算出する場合の概念図である。操舵翼60の各部位における入熱量h(t,x,y)は、下記(式5)に示すように、高度H(t)、迎角A(t)、ロール角B(t)、マッハ数M(t)、舵角δ(t)、形状データS(t,x,φ)の関数である。
図9Bは、ゲイン補償量の算出の概要を示す概念図であって、操舵翼の形状変化量に基づいてゲイン補償量を算出する場合の概念図である。図9Bの上部のグラフに示されるように、k番目の操舵翼60−kの空力係数変化量ΔCzkは、操舵翼60−kの各部位における形状変化量Δdk(x,y)の関数である。よって、各部位における形状変化量Δdk(x,y)と、空力係数変化量ΔCzkとの関係は、下記(式7)によって表現できる。ここで、T2_wingkは、関数又はデータテーブルである。
上述のfnose、T1_nose、fwing、T1_wingは、形状変化量Δdを求めるための関数又はデータテーブルであるので、形状変化量算出関数又は形状変化量算出テーブルであるということができる。
上記の例では、形状変化量Δd(x,φ)又はΔd(x,y)を算出するために、高度H(t)、迎角A(t)、ロール角B(t)、マッハ数M(t)、舵角δ(t)、形状データS(t,x,φ)を用いている。
上記代替例1では、形状変化量算出関数又は形状変化量算出テーブルは、時間と形状変化量Δdとを対応づける関数又はデータテーブルである。この場合、各時間における形状変化量Δdを、形状変化量算出関数又は形状変化量算出テーブルを用いて、予め求めておくことが可能である。さらに、各時間におけるゲイン補償量ΔGについても、関数又はデータテーブル(T2_nose、T3_nose、T2_wingk、T3_wing)を用いて予め求めておくことが可能である。
代替的に、各部位における形状変化量Δdを近似的に算出するために、時間及び高度を用いてもよい。例えば、飛しょう体10の運用方針又は特性から、飛行マッハ数、飛行姿勢が概ね予測できるような場合を想定する。この場合、各部位における形状変化量Δdは、近似的に、時間及び高度の関数であるということができる。よって、この場合には、時間及び高度を入力データとし、形状変化量Δdを出力データとする形状変化量算出関数又は形状変化量算出テーブルを用いることができる。
代替的に、各部位における形状変化量Δdを近似的に算出するために、時間及びマッハ数を用いてもよい。例えば、飛しょう体10の運用方針又は特性から、飛行高度、飛行姿勢が概ね予測できるような場合を想定する。この場合、各部位における形状変化量Δdは、近似的に、時間及びマッハ数の関数であるということができる。よって、この場合には、時間及びマッハ数を入力データとし、形状変化量Δdを出力データとする形状変化量算出関数又は形状変化量算出テーブルを用いることができる。
代替的に、各部位における形状変化量Δdを近似的に算出するために、時間及び姿勢角(迎角及び/又はロール角)を用いてもよい。例えば、飛しょう体10の運用方針又は特性から、飛行マッハ数、飛行高度が概ね予測できるような場合を想定する。この場合、各部位における形状変化量Δdは、近似的に、時間及び姿勢角の関数であるということができる。よって、この場合には、時間及び姿勢角を入力データとし、形状変化量Δdを出力データとする形状変化量算出関数又は形状変化量算出テーブルを用いることができる。
上記代替例1乃至4は、任意に組み合わせることが可能である。例えば、各部位における形状変化量Δdを近似的に算出するために、時間、高度及びマッハ数を用いてもよい。
上記の例では、入熱量(h(t,x,φ)又はh(t,x,y))を数値計算により算出している。しかし、当該例に限定されない。例えば、上述の温度センサ101からのデータを用いて、各部位における入熱量を推定することも可能である。
上記の例では、基準となる制御ゲインGに対して、加減算(G+ΔG)をして、ゲイン補償を行っている。しかし、当該例に限定されない。例えば、基準となる制御ゲインGに対して乗除算を行ってもよい。乗除算の一例として、基準となる制御ゲインGに対して、係数Kを乗じることも可能である。
図10は、本発明の実施の形態における飛しょう体10の動作方法の概要を説明するフロー図である。
(姿勢制御機構の代替例1)
本実施の形態では、姿勢制御機構として、操舵翼60及び/又は推力偏向装置を用いている。しかし、この形態に限定されない。例えば、機軸Sの方向と異なる方向に、ガスを噴射する補助ノズルを用いて姿勢の制御を行ってもよい。
また、本実施の形態では、姿勢制御機構としての操舵翼60−1、60−2、60−3、60−4が設けられている。しかし、この形態に限定されない。操舵翼60は、何枚であってもよい。さらに、第11図に示されるように、操舵翼60、60’は、機軸Sの方向に沿って、複数設けられていてもよい。さらに、操舵翼60、及び、操舵翼60’のうちの一方を、ガスを噴射する補助ノズルで代替してもよい。
本実施の形態において、飛しょう体の種類は任意である。例えば、目標物に向かって飛行し、目標物を破壊する飛しょう体であってもよい。また、飛しょう体は、無人で飛行する飛しょう体であってもよいし、有人で飛行する飛しょう体であってもよい。また、飛しょう体は、大気圏内を飛行する飛しょう体であってもよいし、大気圏外から大気圏内に突入する飛しょう体であってもよい。
10 :飛しょう体
20 :ノーズ部
21 :ノーズ部外表面
30 :胴体
31 :胴体外表面
40 :誘導制御部
50 :ロケットモータ部
60 :操舵翼
60’ :操舵翼
60−1 :操舵翼
60−2 :操舵翼
60−3 :操舵翼
60−4 :操舵翼
61 :操舵翼外表面
70 :慣性装置
80 :オートパイロット装置
81 :演算装置
82 :ゲイン補償算出部
83 :指令値算出部
84 :指令装置
85 :機体形状推定器
90 :制御装置
91 :推進装置
92 :操舵装置
93 :推力偏向装置
100 :機体形状計測装置
101 :センサ
101A :温度センサ
101B :温度センサ
101C :温度センサ
102A :厚さ検出センサ
102B :厚さ検出センサ
102C :厚さ検出センサ
200 :制御システム
S :機軸
形状変化量 :Δd
制御ゲイン :G
ゲイン補償量:ΔG
迎角 :A(t)
ロール角 :B(t)
高度 :H(t)
マッハ数 :M(t)
推力指令値 :Rt
舵角指令値 :Rα
偏向角指令値:Rβ
推力 :T
舵角 :α
偏向角 :β
Claims (16)
- 飛しょう体であって、
制御パラメータを用いて、制御指令値を算出する演算装置と、
前記制御指令値に基づいて、前記飛しょう体の姿勢又は推力を制御する制御装置と
を備え、
前記飛しょう体の外表面の少なくとも一部は、消失することで前記飛しょう体の空力特性が変化するアブレーション材料で構成され、
前記演算装置は、前記アブレーション材料の消失に伴う前記飛しょう体の形状変化量に応じて、前記飛しょう体の空力特性の変化に伴う制御特性の低下を抑制するように前記制御パラメータを変更する
飛しょう体。 - 請求項1に記載の飛しょう体において、
前記制御パラメータは、制御ゲインである
飛しょう体。 - 請求項1又は2に記載の飛しょう体において、
前記飛しょう体の飛行諸元を取得する慣性装置を、更に備え、
前記演算装置は、前記飛行諸元と、前記制御パラメータとに基づいて、前記制御指令値を算出する
飛しょう体。 - 請求項3に記載の飛しょう体において、
前記飛しょう体の目標諸元を指示する指令装置を、更に備え、
前記演算装置は、前記目標諸元と、前記飛行諸元と、前記制御パラメータとに基づいて、前記制御指令値を算出する
飛しょう体。 - 請求項4に記載の飛しょう体において、
前記制御パラメータは、前記目標諸元と前記飛行諸元の差分に適用する制御ゲインである
飛しょう体。 - 請求項4又は5に記載の飛しょう体において、
前記演算装置は、オートパイロット装置に設けられた演算装置であり、
前記目標諸元は、オートパイロット装置の指令装置が指示する目標諸元である
飛しょう体。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の飛しょう体において、
前記演算装置は、形状変化量算出関数又は形状変化量算出テーブルに基づいて、前記形状変化量を算出する
飛しょう体。 - 請求項7に記載の飛しょう体において、
前記形状変化量算出関数又は前記形状変化量算出テーブルは、少なくとも時間と、形状変化量とを対応づける関数又はデータテーブルである
飛しょう体。 - 請求項7に記載の飛しょう体において、
前記形状変化量算出関数又は前記形状変化量算出テーブルは、少なくとも時間及び高度と、形状変化量とを対応づける関数又はデータテーブルである
飛しょう体。 - 請求項7に記載の飛しょう体において、
前記形状変化量算出関数又は前記形状変化量算出テーブルは、少なくとも時間及びマッハ数と、形状変化量とを対応づける関数又はデータテーブルである
飛しょう体。 - 請求項7に記載の飛しょう体において、
前記形状変化量算出関数又は前記形状変化量算出テーブルは、少なくとも時間及び姿勢角と、形状変化量とを対応づける関数又はデータテーブルである
飛しょう体。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の飛しょう体において、
機体形状計測装置を、更に備え、
前記形状変化量は、前記機体形状計測装置が計測によって求める形状変化量である
飛しょう体。 - 請求項12に記載の飛しょう体において、
前記機体形状計測装置は、前記飛しょう体のノーズ部の形状又は操舵翼の形状を計測する
飛しょう体。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の飛しょう体において、
前記演算装置は、プリプログラムに基づいて、制御パラメータを変更する
飛しょう体。 - 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の飛しょう体において、
機軸方向に沿って、姿勢制御機構を複数備える
飛しょう体。 - 飛しょう体の動作方法であって、
前記飛しょう体は、
制御パラメータを用いて、制御指令値を算出する演算装置と、
前記制御指令値に基づいて、前記飛しょう体の姿勢又は推力を制御する制御装置と
を備え、
前記飛しょう体の外表面の少なくとも一部は、消失することで前記飛しょう体の空力特性が変化するアブレーション材料で構成されており、
前記飛しょう体の動作方法は、
前記アブレーション材料の消失に伴う前記飛しょう体の形状変化量に応じて、前記飛しょう体の空力特性の変化に伴う制御特性の低下を抑制するように前記制御パラメータを変更する
飛しょう体の動作方法。
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