JP6720031B2 - 宇宙機及びその着陸方法 - Google Patents

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Description

本発明は、宇宙機及びその着陸方法に関する。
宇宙へのアクセスに要するコストを低減するために、繰り返し使用可能な再使用型宇宙往還機の研究が盛んに進められている。以下に述べるように、様々な再使用型宇宙往還機が提案されている。
特許文献1(特許第5508017号)は、航空機エンジンとロケット推進ユニットと翼とを備えており、航空機エンジンを用いて大気中を飛行し、ロケット推進ユニットを用いて宇宙を飛行し、大気圏への再突入後、滑空又はエンジン飛行のいずれかを利用して地上に戻る宇宙飛行機を開示している。
特許文献2(特表2012−530020号公報)は、ブースター段を回収するように構成された宇宙打ち上げ機が開示されている。宇宙打ち上げ機が打ち上げられた後、ブースター段が上段から分離される。ブースター段は、船尾からの向きで地球の大気圏に再突入する。ブースター段は、予め位置決めされた海上航行プラットフォームのデッキ上への垂直動力式着陸を実施する。
しかしながら、これらの特許文献に開示された再使用型宇宙往還機には、その運用上の課題が存在する。例えば、特許文献1に開示された技術では、飛行機と同様の水平離着陸を行うため、離着陸のために空港に近い規模の大型の設備が必要である。また、特許文献2の技術では、海上でブースター段を回収するため、予めプラットフォームを海上に展開し、更に、回収の後は地上まで輸送する必要がある。
特許第5508017号 特表2012−530020号公報
システム制御情報学会「システム/制御/情報」,vol. 7,No. 13,pp. 1-6,1996 日本航空宇宙学会論文集 Vol. 61,No. 1,pp. 1-8,2013
したがって、本発明の目的の一つは、運用性に優れた宇宙機を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の開示から当業者には理解されるであろう。
以下に、「発明を実施するための形態」で使用される符号を参照しながら、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明を実施するための形態」との対応関係の一例を示すために付記されたものである。
本発明の一の観点では、ノーズエントリによって大気圏に突入した後、垂直着陸が行われる目標姿勢角になるように姿勢変更を行い、姿勢変更の後に着陸するように構成された宇宙機(10)が提供される。当該宇宙機(10)は、機体(1)と、機体(1)に取り付けられたロケットエンジン(2)と、機体(1)に取り付けられ、空気力が作用する空力要素(5)と、宇宙機(10)の少なくとも一の観測量を取得する観測量取得システム(7)と、ロケットエンジン(2)のジンバル舵角と空力要素(5)の空力特性の少なくとも一方を操作するための操作量を算出する制御装置(8)とを具備する。制御装置(8)は、姿勢変更において、安定多様体法を用いた非線形最適制御によって、当該宇宙機(10)の姿勢角が目標姿勢角になるように、該取得された観測量に応じて操作量を算出するように構成されている。
好適な一実施形態では、取得される観測量は、宇宙機(10)の迎角を含む。この場合、制御装置(8)は、姿勢変更において、迎角に応答して当該宇宙機(10)の姿勢角を制御することが好ましい。
制御装置(8)は、取得された観測量に基づいて宇宙機(10)の迎角を算出してもよい。この場合、制御装置(8)は、姿勢変更において、算出された迎角に応答して当該宇宙機(10)の姿勢角を制御することが好ましい。特に、取得される一の観測量が、当該宇宙機(10)の加速度を含む場合、制御装置(8)は、該加速度に基づいて宇宙機(10)の迎角を算出することが好ましい。
好適な一実施形態では、制御装置(8)は、当該宇宙機(10)を着陸させるべき着陸地点付近に予め設定した領域に当該宇宙機(10)が到達したときに姿勢変更を開始し、姿勢変更によって当該宇宙機(10)の姿勢角が目標姿勢角に制御された後、当該宇宙機(10)の水平面内の位置を調節しながら当該宇宙機(10)を降下させて当該宇宙機(10)を着陸地点に着陸させる。
本発明の他の観点では、宇宙機(10)が、機体(1)と、機体(1)に取り付けられたロケットエンジン(2)と、機体(1)に取り付けられ、空気力が作用する空力要素(5)と、当該宇宙機(10)の少なくとも一の観測量を取得する観測量取得システム(7)と、ロケットエンジン(2)のジンバル舵角と空力要素(5)の空力特性の少なくとも一方を操作するための操作量を算出する制御装置(8)とを具備する。取得される観測量は、宇宙機(10)の迎角を含む。制御装置(8)は、姿勢変更において、迎角に応じて、当該宇宙機(10)の姿勢角が目標姿勢角になるように操作量を算出するように構成されている。
本発明の更に他の観点では、機体(1)と、機体(1)に取り付けられたロケットエンジン(2)と、機体(1)に取り付けられ、空気力が作用する空力要素(5)とを備える宇宙機(10)の着陸方法が提供される。当該着陸方法は、(A)宇宙機(10)をノーズエントリによって大気圏に突入させるステップと、(B)(A)ステップの後、宇宙機(10)の姿勢角が垂直着陸が行われる目標姿勢角になるように宇宙機(10)の姿勢変更を行うステップと、(C)姿勢変更の後に宇宙機(10)の垂直着陸を行うステップとを具備する。(B)ステップは、宇宙機(10)の少なくとも一の観測量を取得するステップと、安定多様体法を用いた非線形最適制御によって、ロケットエンジン(2)のジンバル舵角と空力要素(5)の空力特性の少なくとも一方を操作するための操作量を、宇宙機(10)の姿勢角が目標姿勢角になるように観測量に応じて算出するステップとを備えている。
当該着陸方法は、更に、(D)宇宙機(10)を大気から揚力を得ながら飛行させ、宇宙機(10)を着陸させるべき着陸地点付近の予め設定した設定領域に到達させるステップを具備していてもよい。この場合、姿勢変更は、該設定領域に宇宙機(10)が到達した後で開始されることが好ましい。
本発明によれば、運用性に優れた宇宙機を提供することができる。
一実施形態の宇宙機の構成を概略的に示す正面図である。 宇宙機に搭載される制御システムの構成を概略的に示すブロック図である。 本実施形態における宇宙機の姿勢角及び迎角の定義を示す図である。 本実施形態における宇宙機の着陸動作を概念的に示す図である。 外乱に対するロバスト性及び姿勢角の収束性が不足した場合の、姿勢変更における宇宙機の挙動の例を概念的に示すグラフである。 姿勢変更における宇宙機の姿勢角の制御を図示する制御ブロック図である。 姿勢変更時に、安定多様体法を用いた非線形最適制御が行われる場合の宇宙機の挙動の例を概念的に示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の宇宙機10の構成を概略的に示す正面図である。本実施形態では、宇宙機10は、再使用型の宇宙往還機として構成されている。ただし、本発明は、垂直着陸を行う宇宙機一般に適用可能であることに留意されたい。宇宙機10は、機体1と、ロケットエンジン2と、フィン(翼)3とを備えている。ロケットエンジン2は、推進剤によって噴流を生成して推力を発生する。本実施形態では、宇宙機10に複数のロケットエンジン2が設けられている。ただし、ロケットエンジン2は、1基でもよい。
ロケットエンジン2のそれぞれは、機体1の下端部に、ジンバル機構4によって支持されている。ロケットエンジン2のジンバル舵角(即ち、ロケットエンジン2のノズルの向き)は、ジンバル機構4によって制御可能である。ジンバル舵角は、例えば、宇宙機10と共に運動するように定義された球座標において、ロケットエンジン2のノズルの中心軸の方向を規定する2つの偏角として定義され得る。
フィン3は、機体1の外面に取り付けられており、大気圏内の飛行において所望の空気力を宇宙機10に作用させる空力要素として用いられる。本実施形態では、フィン3のそれぞれに舵面5が設けられており、舵面5の舵角を制御することによって、フィン3の空力特性、即ち、フィン3に作用する空気力を制御可能である。
なお、フィン3の代わりに、又は、フィン3に加え、様々な空力要素が、所望の空気力を宇宙機10に作用させる目的で使用され得る。例えば、空力要素としては、フラップが設けられてもよいし、また、角度が調節可能なカナードが設けられてもよい。
図2は、宇宙機10に搭載される制御システム6の構成を概略的に示すブロック図である。制御システム6は、計測システム7と、制御装置8とを備えている。
計測システム7は、宇宙機10の様々な観測量を取得する。本実施形態では、計測システム7は、ジンバル舵角検出部11と、舵面舵角検出部12と、姿勢角検出部13と、姿勢角速度検出部14と、迎角検出部15と、加速度検出部16とを備えている。
ジンバル舵角検出部11は、ロケットエンジン2のジンバル舵角を検出し、検出したジンバル舵角を示すジンバル舵角データを生成する。
舵面舵角検出部12は、舵面5の舵角を検出し、検出した舵角を示す舵面舵角データを生成する。
姿勢角検出部13は、宇宙機10の姿勢角を検出し、検出した姿勢角を示す姿勢角データを生成する。本実施形態では、図3に図示されているように、姿勢角θが、水平面Hと宇宙機10に規定された基準軸10a(典型的には中心軸)との間の角度として定義される。
図2に戻り、姿勢角速度検出部14は、宇宙機10の姿勢角速度(単位時間の姿勢角の変化量)を検出し、検出した姿勢角速度を示す姿勢角速度データを生成する。
迎角検出部15は、宇宙機10の迎角を検出し、検出した迎角を示す迎角データを生成する。本実施形態では、図3に図示されているように、迎角αは、宇宙機10の基準軸10aと対気速度ベクトルU(即ち、空気に対する宇宙機10の速度ベクトル)との間の角度として定義される。
図2に戻り、加速度検出部16は、宇宙機10の加速度を検出し、検出した加速度を示す加速度データを生成する。
なお、計測システム7は、宇宙機10の制御に必要とされる観測量を取得するように構成されていればよい。計測システム7は、ジンバル舵角検出部11、舵面舵角検出部12、姿勢角検出部13、姿勢角速度検出部14、迎角検出部15及び加速度検出部16の全てを含んでいる必要は無い。
制御装置8は、計測システム7によって取得された観測量に基づいて、ロケットエンジン2のジンバル舵角を調節するジンバル機構アクチュエータ31及び宇宙機10に設けられた空力要素の空力特性を調節するアクチュエータ、本実施形態では、舵面5の舵角を調節する舵面アクチュエータ32を制御する。制御装置8は、ジンバル舵角データ取得部21と、舵面舵角データ取得部22と、姿勢角データ取得部23と、姿勢角速度データ取得部24と、迎角データ取得部25と、加速度データ取得部26と、演算装置27と、記憶装置28とを備えている。
ジンバル舵角データ取得部21は、ジンバル舵角検出部11からジンバル舵角データを取得する。舵面舵角データ取得部22は、舵面舵角検出部12から舵面舵角データを取得する。姿勢角データ取得部23は、姿勢角検出部13から姿勢角データを取得する。姿勢角速度データ取得部24は、姿勢角速度検出部14から姿勢角速度データを取得する。迎角データ取得部25は、迎角検出部15から迎角データを取得する。加速度データ取得部26は、加速度検出部16から加速度データを取得する。
演算装置27は、宇宙機10の制御のための様々な演算を行う。例えば、本実施形態では、演算装置27が、取得されたジンバル舵角データ、舵面舵角データ、姿勢角データ、姿勢角速度データ、迎角データ及び加速度データに基づいて、ジンバル機構アクチュエータ31の操作量を示すジンバル操作信号33と舵面アクチュエータ32の操作量を示す舵面操作信号34とを生成する。後述されるように、本実施形態では、安定多様体法を用いた非線形最適制御により、ジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32の操作量が算出される。
記憶装置28は、演算装置27による演算に用いられる様々なプログラム及びデータを記憶する。
続いて、本実施形態における宇宙機10の着陸動作について説明する。図4は、本実施形態における宇宙機10の着陸動作を概念的に示す図である。
宇宙に打ち上げられた宇宙機10は、ノーズエントリによって、即ち、機首(本実施形態では、機体1のロケットエンジン2が設けられている端と反対の端)から大気圏に突入する。
大気圏に突入した後、宇宙機10は、大気から揚力を得ながら飛行し、着陸地点の上空に到達する。揚力は、フィン3を用いて、又は、宇宙機10の機体そのものによって発生される。着陸地点の上空に到達した後(より厳密には、着陸地点付近に予め設定された所定の設定領域に到達した後)、宇宙機10は、垂直着陸時の目標姿勢角(最も典型的には90°)になるように姿勢変更を行う。その後、宇宙機10の水平面内の位置を調節しながら降下し、所望の着陸地点に垂直着陸する。
このような着陸動作は、宇宙機10の運用性の向上に好適である。より具体的には、本実施形態の着陸動作によれば、大気から揚力を得ながら飛行して目標の着陸地点付近に移動するので、着陸地点を自在に選ぶことができ、また、垂直着陸を行うので、着陸地点に設けるべき施設の規模を低減できる。加えて、着陸の直前に大きな姿勢変更(典型的には、90°を超える姿勢角の変更)を行うことで推力の向きが変更され、宇宙機10が減速されるので、減速のための燃料消費を小さくできるという利点もある。
上記の着陸動作において生じ得る困難性の一つは、大きな姿勢変更を実行する際の制御のロバスト性と収束性である。大きな姿勢変更が行われる場合、迎角が大きいことによって空力外乱は大きくなり、また、ロケットエンジン2の推進剤のスロッシングによる外乱も大きくなる。外乱が大きくなる一方で、ロケットエンジン2のジンバル舵角や舵面5の舵角を制御するアクチュエータ(本実施形態では、ジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32)の性能には制約がある。例えば、ロケットエンジン2のジンバル舵角や舵面5の舵角の変化速度には制約がある。このため、ロバスト性が不足することがあり、また、宇宙機10の姿勢角の収束性が悪くことが生じ得る。
図5は、外乱に対するロバスト性及び姿勢角の収束性が不足した場合の、姿勢変更における宇宙機10の挙動の例を概念的に示すグラフである。姿勢変更の開始時の姿勢角と垂直着陸時の目標姿勢角との差が大きいため、姿勢角が目標姿勢角を過ぎて逆方向に大きく振れてしまう事態が発生する。このため、姿勢角が発散する事態や、非常にゆっくりとしか収束しないような事態が生じ得る。
このような問題に対応するために、本実施形態では、安定多様体法を用いた非線形最適制御によってジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32の操作量が算出される。安定多様体法とは、非線形最適制御問題におけるハミルトン−ヤコビ(Hamilton-Jacobi)方程式の安定化解を算出する方法の一つであり、ハミルトン−ヤコビ方程式に対応するハミルトン系の安定多様体を求め、その安定多様体上において解を見つけるというものである。なお、安定多様体法を用いた非線形最適制御については、例えば、下記に開示されている。
システム制御情報学会「システム/制御/情報」,vol. 7,No. 13,pp. 1-6,1996
日本航空宇宙学会論文集 Vol. 61,No. 1,pp. 1-8,2013
計測システム7によって取得された観測量に基づいて、ジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32の操作量の最適値を算出するという問題は、ハミルトン−ヤコビ方程式として記述できる。安定多様体法によってジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32の操作量の最適値を算出することで、外乱に対してロバストであり、且つ、収束性の良い制御を実現することができる。安定多様体法の実装においては、計測システム7によって取得された観測量とジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32の操作量の関係が多項式で記述され、又はマッピングデータで記述され、この多項式を用いて、又は、該マッピングデータを用いたマッピングにより、取得された観測量からジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32の操作量が算出される。
姿勢角の制御の困難性を軽減するためには、姿勢変更と水平面内の位置の調節とを、別々のステップで行うという手法を採用してもよい。図4には、この手法を採用する場合の着陸動作が図示されている。詳細には、姿勢変更において、宇宙機10の姿勢角を垂直着陸時の目標姿勢角に制御し、姿勢角が目標姿勢角に制御された後、宇宙機10の水平面内の位置を調節しながら宇宙機10が降下される。姿勢変更においては、宇宙機10の水平面内の位置は制御されない。このような手法によれば、姿勢角の制御の困難性を軽減することができる。
図6は、姿勢変更における宇宙機10の姿勢角の制御を図示する制御ブロック図である。宇宙機10の機体運動が計測システム7によって観測され、観測量が取得される。本実施形態では、姿勢角、姿勢角速度、迎角、加速度、ジンバル舵角、舵面5の舵角が取得される。取得された姿勢角、姿勢角速度、迎角、加速度、ジンバル舵角、舵面5の舵角に基づいて、安定多様体法を用いた非線形最適制御が行われてジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32の操作量がそれぞれに算出され、算出された操作量を示すジンバル操作信号33及び舵面操作信号34が生成される。この安定多様体法を用いた非線形最適制御は、演算装置27によって行われる。ジンバル操作信号33及び舵面操作信号34は、それぞれ、ジンバル機構アクチュエータ31及び舵面アクチュエータ32に供給され、これにより、ロケットエンジン2のジンバル舵角と舵面5の舵角とが制御される。
計測システム7によって取得される観測量が宇宙機10の迎角を含んでいることは、宇宙機10の姿勢角の制御において有用である。本実施形態では、大きな姿勢変更が行われるので、宇宙機10に作用する空気力の影響が大きい。宇宙機10に作用する空気力は、迎角(即ち、空気の流れと宇宙機10の基準軸10aとの間の角度)に強く依存するので、迎角が計測システム7によって取得される観測量に含まれていることは、良好な姿勢角の制御を実現するために有効である。ここで、迎角は空気の流れの方向に影響を受けるので、迎角が姿勢角と完全に一対一に対応するパラメータではないことに留意されたい。
ただし、宇宙機10の実際の実装においては、迎角を検出する迎角検出部15を設けることが困難な場合もある。この場合、迎角は、他の観測量から算出してもよい。例えば、迎角は、宇宙機10の加速度に影響を及ぼすから、加速度検出部16によって検出された加速度に基づいて迎角を算出してもよい。
図7は、姿勢変更時に、安定多様体法を用いた非線形最適制御が行われる場合の宇宙機10の挙動の例を概念的に示すグラフである。上述のように、本実施形態の着陸動作では、姿勢変更の開始時の姿勢角と垂直着陸時の目標姿勢角との差が大きい。しかしながら、本実施形態では、安定多様体法を用いた非線形最適制御を用いることによって収束性が向上され、姿勢角が素早く目標姿勢角に収束する。加えて、安定多様体法を用いた非線形最適制御を用いることにより、ロバスト性を向上することもできる。
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。
1 :機体
2 :ロケットエンジン
3 :フィン
4 :ジンバル機構
5 :舵面
6 :制御システム
7 :計測システム
8 :制御装置
10 :宇宙機
10a :基準軸
11 :ジンバル舵角検出部
12 :舵面舵角検出部
13 :姿勢角検出部
14 :姿勢角速度検出部
15 :迎角検出部
16 :加速度検出部
21 :ジンバル舵角データ取得部
22 :舵面舵角データ取得部
23 :姿勢角データ取得部
24 :姿勢角速度データ取得部
25 :迎角データ取得部
26 :加速度データ取得部
27 :演算装置
28 :記憶装置
31 :ジンバル機構アクチュエータ
32 :舵面アクチュエータ
33 :ジンバル操作信号
34 :舵面操作信号

Claims (6)

  1. ノーズエントリによって大気圏に突入した後、垂直着陸が行われる目標姿勢角になるように姿勢変更を行い、前記姿勢変更の後に着陸するように構成された宇宙機であって、
    機体と、
    前記機体に取り付けられたロケットエンジンと、
    前記機体に取り付けられ、空気力が作用する空力要素と、
    当該宇宙機の少なくとも一の観測量を取得する観測量取得システムと、
    前記ロケットエンジンのジンバル舵角と前記空力要素の空力特性の少なくとも一方を操作するための操作量を算出する制御装置
    とを具備し、
    前記制御装置は、前記姿勢変更において、安定多様体法を用いた非線形最適制御によって、当該宇宙機の姿勢角が前記目標姿勢角になるように前記観測量に応じて前記操作量を算出するように構成され、
    前記少なくとも一の観測量は、当該宇宙機の迎角を含み、
    前記制御装置は、前記姿勢変更において、前記迎角に応答して当該宇宙機の前記姿勢角を制御する
    宇宙機。
  2. ノーズエントリによって大気圏に突入した後、垂直着陸が行われる目標姿勢角になるように姿勢変更を行い、前記姿勢変更の後に着陸するように構成された宇宙機であって、
    機体と、
    前記機体に取り付けられたロケットエンジンと、
    前記機体に取り付けられ、空気力が作用する空力要素と、
    当該宇宙機の少なくとも一の観測量を取得する観測量取得システムと、
    前記ロケットエンジンのジンバル舵角と前記空力要素の空力特性の少なくとも一方を操作するための操作量を算出する制御装置
    とを具備し、
    前記制御装置は、前記姿勢変更において、安定多様体法を用いた非線形最適制御によって、当該宇宙機の姿勢角が前記目標姿勢角になるように前記観測量に応じて前記操作量を算出するように構成され、
    前記制御装置は、前記少なくとも一の観測量に基づいて前記宇宙機の迎角を算出し、
    前記制御装置は、前記姿勢変更において、算出された前記迎角に応答して当該宇宙機の前記姿勢角を制御する
    宇宙機。
  3. 請求項に記載の宇宙機であって
    前記少なくとも一の観測量は、当該宇宙機の加速度を含み、
    前記制御装置は、前記加速度に基づいて前記宇宙機の前記迎角を算出する
    宇宙機。
  4. 請求項1又は2に記載の宇宙機であって、
    前記制御装置は、当該宇宙機を着陸させるべき着陸地点付近に予め設定された設定領域に当該宇宙機が到達した後で前記姿勢変更を開始し、前記姿勢変更によって当該宇宙機の前記姿勢角が前記目標姿勢角に制御された後、当該宇宙機の水平面内の位置を調節しながら当該宇宙機を降下させて当該宇宙機を前記着陸地点に着陸させる
    宇宙機。
  5. ノーズエントリによって大気圏に突入した後、垂直着陸が行われる目標姿勢角になるように姿勢変更を行い、前記姿勢変更の後に着陸するように構成された宇宙機であって、
    機体と、
    前記機体に取り付けられたロケットエンジンと、
    前記機体に取り付けられ、空気力が作用する空力要素と、
    当該宇宙機の少なくとも一の観測量を取得する観測量取得システムと、
    前記ロケットエンジンのジンバル舵角と前記空力要素の空力特性の少なくとも一方を操作するための操作量を算出する制御装置
    とを具備し、
    前記少なくとも一の観測量は、当該宇宙機の迎角を含み、
    前記制御装置は、前記姿勢変更において、前記迎角に応じて、当該宇宙機の姿勢角が前記目標姿勢角になるように前記操作量を算出するように構成された
    宇宙機。
  6. 機体と、前記機体に取り付けられたロケットエンジンと、前記機体に取り付けられ、空気力が作用する空力要素とを備える宇宙機の着陸方法であって、
    (A)前記宇宙機をノーズエントリによって大気圏に突入させるステップと、
    (B)前記宇宙機を大気から揚力を得ながら飛行させ、前記宇宙機を着陸させるべき着陸地点付近に予め設定された設定領域に到達させるステップと、
    前記設定領域に前記宇宙機が到達した後、前記宇宙機の姿勢角が垂直着陸が行われる目標姿勢角になるように前記宇宙機の姿勢変更を行うステップと、
    )前記姿勢変更の後に前記宇宙機の垂直着陸を行うステップを具備し、
    前記()ステップは、
    前記宇宙機の少なくとも一の観測量を取得するステップと、
    安定多様体法を用いた非線形最適制御によって、前記ロケットエンジンのジンバル舵角と前記空力要素の空力特性の少なくとも一方を操作するための操作量を、前記宇宙機の姿勢角が前記目標姿勢角になるように前記観測量に応じて算出するステップ
    とを備える
    宇宙機の着陸方法。

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