JP6289617B2 - 有機半導体素子 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂基材上に形成された有機半導体素子、中でも有機薄膜トランジスタに関する。本願は、2014年5月9日に出願された日本国特許出願第2014−97826号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
有機薄膜トランジスタは、その製造に高温のプロセスを必要とせず、柔軟性のある樹脂基材への印刷、塗布による大面積集積回路の作成が可能であることから、フレキシブルディスプレイやRFIDタグ等への応用が期待される次世代のエレクトロニクス技術として注目されている。
しかし、樹脂基材上に、薄膜トランジスタ(TFT)素子の電極や、絶縁体層を形成した場合、ガラス基材に比べて接着性が劣る問題があった。特に、金属薄膜をパターニングして作製した電極を用いたTFT素子は、トランジスタとしての特性が低下し、その傾向は、有機TFTにおいて顕著であるという問題があった。これらの問題に対して、樹脂基材上に、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層を有し、該下引き層に接して電極を有し、さらにゲート絶縁体層を介して電極を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子が知られている。さらに、該下引き層として、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリマーを用いること、さらにポリマーからなる下引き層上にさらに無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物の層を設けることも知られている。(特許文献1)
特開2004−200365号公報
しかしながら、上記のような下引き層を設けたとしても、十分なキャリア移動度が得られないという問題があった。
本発明は、実用的な移動度を有する樹脂基材の有機薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の薄膜を形成した樹脂基材上に有機半導体層を設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)
下記(A)又は(B)の薄膜を形成した樹脂基材上に有機半導体層を設けた有機半導体素子、
(A)以下のa)及びb)を含有する有機無機複合薄膜
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていても良い。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上の縮合物;
b)熱硬化性化合物の硬化物及び/又は電磁線硬化性化合物の硬化物
(B)以下のd)、e)及びf)を含有する有機シラン薄膜
d)エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物;
e)ポリアミン類又はイミダゾール類;
f)f−1)n−ペンタノール、又は
f−2)25℃におけるpKaが2.0〜6.0の範囲の有機酸、又はパーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロアルキレン基を有する炭素数2〜5のアルコール類
(2)
式(I)で表される有機ケイ素化合物が、Fedorsの推算法により求められたRの溶解パラメータ(SP1)が、Fedorsの推算法により求められた熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物の溶解パラメータ(SP2)よりも1.6以上小さい有機ケイ素化合物である(1)に記載の有機半導体素子、
(3)
式(I)で表される有機ケイ素化合物の縮合物が、
下記数式(1)を満たす量の式(I−1)
SiX4−n・・・(I−1)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは互いに同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合する有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上と、
式(I−2)
SiX4−n・・・(I−2)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上との加水分解縮合物である、(1)に記載の有機半導体素子、
30モル%≦{〔式(I−1)の化合物〕}/{〔式(I−1)の化合物〕+〔式(I−2)の化合物〕}×100 <100モル%・・・(1)
(4)
式(I)で表される有機ケイ素化合物の縮合物が、
式(I−1)
SiX4−n・・・(I−1)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは互いに同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合する有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上と、
式(I−2)
SiX4−n・・・(I−2)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上との縮合物であって、かつ
数式(2)を満たす有機ケイ素化合物の縮合物である(1)に記載の有機半導体素子、
30モル%≦{〔縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕}/{〔縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕+〔縮合物中の式(I−2)の化合物由来の単位〕}×100 <100モル%・・・(2)
(5)
前記樹脂基材上にさらに有機単分子膜を設けた(1)〜(4)のいずれかに記載の有機半導体素子、及び
(6)
有機半導体素子が、有機薄膜トランジスタである(1)〜(5)のいずれかに記載の有機半導体素子に関する。
本発明の樹脂基材上に形成された有機半導体素子は、有機薄膜トランジスタ用途に利用可能なキャリア移動度を示す。
図1は、実施例1の有機薄膜トランジスタにおける伝達特性を示すグラフである。 図2は、実施例1の有機薄膜トランジスタにおける線形領域での電界効果移動度のゲート電圧依存性を示すグラフである。 図3は、実施例1の有機薄膜トランジスタにおける飽和領域の特性を表し、飽和領域であるVd=−100Vのソース・ドレイン電圧をかけたときのId−Vgのトランジスタ特性を表す。 図4は、実施例1の有機薄膜トランジスタにおける飽和領域での電界効果移動度のゲート電圧依存性を示すグラフである。 図5は、実施例1の有機薄膜トランジスタにおける出力特性を示すグラフである。 図6は、実施例2の有機薄膜トランジスタにおける伝達特性を示すグラフである。 図7は、実施例2の有機薄膜トランジスタにおける線形領域での電界効果移動度のゲート電圧依存性を示すグラフである。 図8は、実施例2の有機薄膜トランジスタにおける飽和領域の特性を表し、飽和領域であるVd=−100Vのソース・ドレイン電圧をかけたときのId−Vgのトランジスタ特性を表す。 図9は、実施例2の有機薄膜トランジスタにおける飽和領域での電界効果移動度のゲート電圧依存性を示すグラフである。 図10は、実施例2の有機薄膜トランジスタにおける出力特性を示すグラフである。
本発明の有機半導体素子は、樹脂基材上に有機半導体層を設けたものである。
本発明の有機半導体素子の例として、有機半導体トランジスタである有機電界効果トランジスタ(有機FET)が挙げられる。有機FETは、一般的に、ゲート電極、ゲート絶縁膜(絶縁体層)、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層及び樹脂基材を有する。本発明は、上記有機FET等における樹脂基材として、樹脂上に特定の薄膜を形成した樹脂基材を使用することを特徴とする。
以下、本発明に係る有機半導体素子について詳細に説明する。
[樹脂基材]
本発明の樹脂基材は、樹脂上に下記(A)又は(B)の薄膜を形成したものである。
(A)以下のa)及びb)を含有する有機無機複合薄膜
a)RSiX4−n
(式中、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていても良い。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上の縮合物;
b)熱硬化性化合物の硬化物及び/又は電磁線硬化性化合物の硬化物
(B)以下のd)、e)及びf)を含有する有機シラン薄膜
d)エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物;
e)ポリアミン類、又はイミダゾール類;
f)f−1)n−ペンタノール、又は
f−2)25℃におけるpKaが2.0〜6.0の範囲の有機酸又はパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキレン基を有する炭素数2〜5のアルコール類
(1)樹脂
本発明の樹脂は、本発明の薄膜を形成することができる限り、制限はないが、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等が挙げられる。特にポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)が好ましい。その形状は、フィルム状、シート状、板状等のいかなる形状であってもよいが、特にフィルム状の樹脂が好ましい。
フィルム状の樹脂は、未延伸フィルムからなるものであっても、延伸フィルムからなるものであってもよい。また、単層フィルムであっても、二層以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させた積層フィルムであってもよい。
フィルム状の樹脂の厚みは、特に制限はないが、通常1〜1000μm、好ましくは3〜500μmである。
(2)有機無機複合薄膜
本発明の有機無機複合薄膜は、有機ケイ素化合物の縮合物、及び熱硬化性化合物の硬化物及び/又は電磁線硬化性化合物の硬化物を含有する。
1)有機ケイ素化合物の縮合物
本発明の有機ケイ素化合物の縮合物は、以下の式(I)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上の縮合物である。
SiX4−n (I)
式中、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも相異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも相異なっていてもよい。
ここで、Rで表される「Siに炭素原子が直接結合する有機基」としては、置換されていてもよい炭化水素基、ポリマー部分を含む炭化水素基等を挙げることができる。
上記「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、通常、炭素数1〜30の炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基等が挙げられる。
また、上記「炭化水素基」は、酸素原子、窒素原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい。
アルキル基は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基等が挙げられ、さらに炭素数10を超える長鎖のアルキル基としては、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基は、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
アルケニル基は、炭素数2〜10の直鎖又は分岐したアルケニル基が好ましく、具体的には、ビニル基、1−プロペン−1−イル基、2−プロぺン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、1−ブテン−1−イル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、3−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、1−ペンテン−2−イル基、4−ペンテン−2−イル基、3−メチル−1−ブテン−1−イル基、1−ヘキセン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基、1−ヘプテン−1−イル基、6−ヘプテン−1−イル基、1−オクテン−1−イル基、7−オクテン−1−イル基等が挙げられる。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜8の環状のアルケニル基を意味し、炭素数3〜8のシクロアルケニル基が好ましく、具体的には、1−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロペンテン−1−イル基、1−シクロヘキセン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、3−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられる。
アルキニル基は、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、具体的には、エチニル基、1−プロピン−1−イル基、2−プロピン−1−イル基、1−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、1−ペンチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、1−ヘキシン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基、1−ヘプチン−1−イル基、1−オクチン−1−イル基、7−オクチン−1−イル基等が挙げられる。
シクロアルキルアルキル基としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基と炭素数1〜10のアルキル基の結合した基が挙げられる。
アリール基は、単環又は多環のアリール基を意味し、多環アリール基の場合は、完全不飽和環に加え、部分飽和環を有する基も包含する。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられ、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
アリールアルキル基としては、炭素数6〜10のアリール基と炭素数1〜10のアルキル基が結合した基が挙げられる。アリールアルケニル基としては、炭素数6〜10のアリール基と炭素数2〜10のアルケニル基が結合した基が挙げられる。
「酸素原子を有する炭化水素基」としては、アルコキシアルキル基;エポキシ基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基等のオキシラン環(エポキシ基)を有する基;アクリロキシメチル基、メタクリロキシメチル基等が挙げられる。
ここで、アルコキシアルキル基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基と炭素数1〜6のアルキル基が結合した基が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基としては、上述したアルキル基と同様のものを例示することができる。
エポキシアルキル基としては、炭素数3〜10の直鎖又は分岐鎖のエポキシアルキル基が好ましく、具体的には、グリシジル基、グリシジルメチル基、2−グリシジルエチル基、3−グリシジルプロピル基、4−グリシジルブチル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基等のエポキシ基を含む直鎖状のアルキル基;β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、2−グリシジルプロピル基、2−グリシジルブチル基、3−グリシジルブチル基、2−メチル−3−グリシジルプロピル基、3−メチル−2−グリシジルプロピル基、3−メチル−3,4−エポキシブチル基、3−エチル−3,4−エポキシブチル基、4−メチル−4,5−エポキシペンチル基、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル基等のエポキシ基を含む分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
グリシドキシアルキル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
「窒素原子を有する炭化水素基」としては、−NR’(式中、R’は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、各R’は互いに同一でも相異なっていてもよい。)を有する炭化水素基、又は−N=CR’’(式中、R’’は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、各R’’は互いに同一でも相異なっていてもよい。)を有する炭化水素基が挙げられる。
例えば、−NR’を有する基としては、具体的には、―CHNH基、−CH(CH)NH基、−CHNHCH基等が挙げられる。−N=CR’’を有する基としては、具体的には、−CHN=CHCH基、−CHN=C(CH基、−CHCHN=CHCH基、−CHN=CHPh基、−CHN=C(Ph)CH基等が挙げられる。
上記「置換されていてもよい」の置換基としては、ハロゲノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、メタクリロキシ基等を挙げることができる。アルキル基、アルケニル基、アリール基としては、Rにおけるものと同じ炭化水素基が挙げられる。
上記のうち、ビニル基、オキシラン環を有する基、−NR’を有する基、又は−N=CR’’を有する基は、有機無機複合薄膜の表面の無機化の観点からは、好ましい基である。
また、式(I)中、nは、1又は2を表し、nが1のものが特に好ましい。nが2のとき、各Rは同一でも相異なっていてもよい。
式(I)において、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。式(I)の(4−n)が2以上のとき、各Xは同一でも相異なっていてもよい。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃〜100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、アミノ基若しくは置換アミノ基等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシルオキシ基が好ましい。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数1〜6のアシルオキシ基(ただし、炭素数にはカルボニル基の炭素を含まない)としては、具体的には、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。ハロゲノ基としては、具体的には、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基等が挙げられる。
式(I)で表される有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリス[(メタ)アクリロキシ]シラン、メチルトリス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Rがポリマー部分を含む炭化水素基である有機ケイ素化合物とは、重合性官能基を有する有機ケイ素化合物を、必要に応じて他の重合性官能基を有する単量体と共重合させて得られるポリマーを表し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、又はメタクリル酸等と共重合して得られるポリマー等が挙げられる。
また、Rがポリマー部分を含む炭化水素基である有機ケイ素化合物の別な例としては、高分子反応で、有機ケイ素部分を導入して得られるポリマーを示し、ポリメタクリル酸に対して、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを反応させて、側鎖にアルコキシシラン部位を導入したポリマー、1,2−ポリブタジエン側鎖二重結合にトリメトキシヒドロシラン等によるヒドロシリル化によりシリル基を導入したポリマー等が挙げられる。
重合性官能基を有する有機ケイ素化合物と共重合可能な単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸および無水マレイン酸等の酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
また、高分子反応により、有機ケイ素部分を導入することが可能なポリマーとしては、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸、p−ヒドロキシスチレン、ポリブタジエン等が挙げられる。
なお、本発明の有機無機複合薄膜における主成分となる有機ケイ素化合物の縮合物は、これらの有機ケイ素化合物の縮合物及び/又は有機ケイ素化合物の縮合物のさらなる縮合物を意味する。
有機ケイ素化合物の縮合物の配合量は、有機無機複合薄膜全体の固形分(有機ケイ素化合物の縮合物、熱硬化性化合物の硬化物若しくは電磁線硬化性化合物の硬化物及び必要に応じて配合される他の成分の全質量)に対して2〜98質量%、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
本発明に用いる有機ケイ素化合物の縮合物の好ましい態様は、下記の数式(1)を満たす量の式(I−1)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上と、式(I−2)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上との縮合物である。
SiX4−n・・・(I−1)
SiX4−n・・・(I−2)
30モル%≦{〔式(I−1)の化合物〕}/{〔式(I−1)の化合物〕+〔式(I−2)の化合物〕}×100 <100モル%・・・(1)
式(I−1)中、nは1又は2を表し、nが2のときRは互いに同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合する有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。
式(I−2)中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。
上記の数式(1)は、有機ケイ素化合物の縮合物を調製する際の、式(I−1)で表される有機ケイ素化合物と、式(I−2)で表される有機ケイ素化合物の配合比を示す。
なお、式(I−1)及び式(I−2)で表される有機ケイ素化合物は、縮合物を包含してもよい。縮合物を含む場合、数式(1)における式(I−1)及び式(I−2)で表される有機ケイ素化合物は、それぞれ縮合物を含むものとして読み替える。
有機ケイ素化合物の縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位と、式(I−2)の化合物由来の単位の存在比は、上記数式(1)と同様に、下記数式(2)で示される。
30モル%≦{〔縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕}/{〔縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕+〔縮合物中の式(I−2)の化合物由来の単位〕}×100 <100モル%・・・(2)
有機ケイ素化合物の縮合物とは、有機ケイ素化合物同士が縮合又は加水分解縮合してシロキサン結合を形成した2量体等である。有機ケイ素化合物の縮合物は、式(I−1)又は式(I−2)の化合物のみが縮合した物であってもよく、式(I−1)の化合物と式(I−2)の化合物とが縮合した物であってもよく、それらの2種以上が混在していてもよい。
上記R及びR中のビニル基含有炭化水素基以外の有機基及び加水分解性基としては、式(I)におけるビニル基含有炭化水素基以外の有機基及び加水分解性基と同じ基が挙げられる。
上記R中のビニル基含有炭化水素基としては、炭素数2〜10の直鎖又は分岐したアルケニル基、炭素数3〜8の環状のアルケニル基等が挙げられる。
式(I−1)で表される化合物としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、2−シクロプロペニルトリメトキシシラン、2−シクロペンテニルトリメトキシシラン、2−シクロヘキセニルトリメトキシシラン、ジビニルジアミノシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジアセトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジ(3−ブテニル)ジメトキシシラン、アリルエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
式(I−2)で表される化合物としては、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)−n−プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン等が挙げられる。
有機ケイ素化合物を組み合わせて用いる場合、例えば、ビニルトリメトキシシランと3−メタクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシランの組み合わせ、ビニルトリメトキシシランと3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシランの組み合わせ等が好ましい。
2)熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物の硬化物
2−1)熱硬化性化合物の硬化物
(熱硬化性化合物)
本発明の熱硬化性化合物は、熱硬化させることが可能な官能基を有する化合物であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂でも熱硬化性低分子化合物でもよい。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン等のエポキシ基を有する化合物等が挙げられる。また、ユリア(尿素)樹脂;メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ビスマレイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ジアリルフタレート樹脂;シリコーン樹脂;ベンゾオキサジン環を有する樹脂;シアネートエステル樹脂;オレフィン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
また、熱硬化性低分子化合物としては、具体的には、(メタ)アクリレート系化合物が挙げられ、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能性の(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能性の(メタ)アクリレート化合物;等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
本発明においては、必要ならば、熱重合開始剤を添加することができる。熱重合開始剤は、加熱によりラジカルを発生する化合物のことを指し、有機過酸化物、アゾ化合物、レドックス開始剤等の公知の開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤の配合量は、熱硬化性化合物に対して、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。
熱硬化性化合物の配合量は、有機ケイ素化合物の縮合物と熱硬化性化合物の全固形分に対して、2〜98質量%、好ましくは50〜95質量%である。
2−2)電磁線硬化性化合物の硬化物
(電磁線硬化性化合物)
本発明の電磁線硬化性化合物は、必要に応じて添加される重合開始剤の存在下、電磁線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物又は樹脂である。
電磁線としては、紫外線、X線、放射線、イオン化放射線、電離性放射線(α線、β線、γ線、中性子線、電子線)を用いることができ、350nm以下の波長を含む光が好ましい。
電磁線の照射には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光源としては、150〜350nmの範囲のいずれかの波長の光を含む光源であることが好ましく、250〜310nmの範囲のいずれかの波長の光を含む光源であることがより好ましい。
また、有機無機複合薄膜形成用の組成物を十分に硬化させるために照射する光の照射光量は、0.1〜100J/cm程度であり、膜硬化効率(照射エネルギーと膜硬化程度の関係)を考慮すると、1〜10J/cm程度であることが好ましく、1〜5J/cm程度であることがより好ましい。
電磁線硬化性化合物としては、具体的には、(メタ)アクリレート系化合物を含むビニル化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。電磁線の照射により重合反応を起こす官能基の数は、1個以上であれば特に限定はない。
アクリレート系化合物としては、具体的には、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート 、エポキシ(メタ)アクリレート 、ポリアミド(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート 、ポリスチリル(メタ)アクリレート 、ポリカーボネートジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート 、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート 、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー等が挙げられるが、好ましくはポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ポリウレタン(メタ)アクリレートである。
エポキシ(メタ)アクリレートは、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。また、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物であり、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
また、アクリレート系化合物以外のビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレン、不飽和ポリエステル等が挙げられ、エポキシ樹脂としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が挙げられる。
化合物の分子量は、有機無機複合薄膜形成用の組成物中に溶解する限り限度はないが、通常は質量平均分子量として500〜50,000、好ましくは1,000〜10,000である。
本発明においては、必要ならば、重合開始剤を混合することができる。重合開始剤としては、(a)電磁線照射によりカチオン種を発生させる化合物及び(b)電磁線照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等の公知の重合開始剤を挙げることができる。
3)溶解パラメータに基づく組合せ
本発明に用いる有機ケイ素化合物は、Fedorsの推算法により求められた式(I)中のRの溶解パラメータ(SP1)が、Fedorsの推算法により求められた熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物の溶解パラメータ(SP2)よりも1.6以上小さい有機ケイ素化合物(Si1)であることが好ましい。SP1とSP2の差は、1.6〜8.5が好ましく、1.6〜7.2がより好ましい。
本発明において用いる有機ケイ素化合物は、更にSP1がSP2よりも1.6未満小さい有機ケイ素化合物、又はSP1がSP2よりも大きい有機ケイ素化合物(Si2)を含んでいても良く、Si1とSi2との比(Si1:Si2)は、5:5〜10:0であり、好ましくは、9:1〜10:0である。
有機ケイ素化合物は、熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物の種類に応じて異なる。有機ケイ素化合物及び熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物の溶解パラメータ(SP値)はFedorsの推算法に基づき計算することができるから、あらかじめ計算されたSP値を基に、有機ケイ素化合物と熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物の組み合わせを決定することができる。
例えば、熱硬化性化合物としてポリブタジエン(SP値8.5)を用いる場合には、ポリブタジエンのSP値より1.6以上小さい有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチルトリス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチルトリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ(n−ブトキシ)シラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン(これらはいずれもSP値が6.9以下である)が挙げられる。
また、SP値がポリブタジエンのSP値より1.6未満小さい有機ケイ素化合物、又はSP値がポリブタジエンのSP値より大きい有機ケイ素化合物としては、具体的には、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロ−n−ブチルエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)−n−プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−n−プロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−n−プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−n−プロピルトリエトキシシラン、3−アミノ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−アミノ−n−プロピルトリエトキシシラン、3−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)アミノ−n−プロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノ−n−プロピルトリメトキシシラン、ポリマー部分を含む炭化水素基を有する有機ケイ素化合物(これらはいずれもSP値が6.9より大きい)が挙げられる。
例えば、電磁線硬化性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(SP値:10.4)を用いる場合、SP値がジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのSP値より1.6以上小さい有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ(n−ブトキシ)シラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチルトリス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチルトリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン(これらはいずれもSP値が8.8以下である)が挙げられる。
この場合、有機ケイ素化合物は、式(I)中のnが1でありRが炭素数1〜3の有機基を有するものが好ましい。
また、SP値がジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのSP値より1.6未満小さい有機ケイ素化合物、又は、SP値がジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのSP値より大きい有機ケイ素化合物としては、具体的には、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロ−n−ブチルエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)−n−プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシ−n−プロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシ−n−プロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシ−n−プロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−n−プロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−n−プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−n−プロピルトリエトキシシラン、3−アミノ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−アミノ−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(N−1,3−ジメチル−ブチリデン)アミノ−n−プロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノ−n−プロピルトリメトキシシラン、ポリマー部分を含む炭化水素基を有する有機ケイ素化合物(これらはいずれもSP値が8.8より大きい)が挙げられる。
4)有機無機複合薄膜の形成方法
4−1)有機無機複合薄膜形成用の組成物の調製
本発明における有機無機複合薄膜形成用の組成物は、有機ケイ素化合物、熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物のほか、適宜、重合開始剤、シラノール縮合触媒、水及び/又は溶媒等を混合して調製できる。
シラノール縮合触媒としては、金属アルコキシド、金属キレート化合物、有機酸金属塩又はそれらの加水分解縮合物等の金属化合物が挙げられ、具体的には、テトライソプロポキシチタン、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトナート、又はその加水分解縮合物等が挙げられる。
シラノール縮合触媒としては、前記金属化合物のほか、酸、塩基等が挙げられる。
酸としては、有機酸、鉱酸が挙げられ、例えば、有機酸としては、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、フタル酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等;鉱酸としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等;が挙げられる。
ここで、酸としては、光照射によって酸を発生する光酸発生剤、具体的には、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等も包含される。
塩基としては、テトラメチルグアニジン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等の強塩基類;有機アミン類、有機アミンのカルボン酸中和塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
シラノール縮合触媒として金属化合物を用いる場合の調製方法は、特に制限はされないが、金属化合物を溶媒に混合し、所定量の水を加え、(部分)加水分解を行い、続いて、有機ケイ素化合物を添加して(部分)加水分解させ、一方、熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物を溶媒に溶解して、必要に応じて重合開始剤又は硬化剤を添加し、その後、両溶液を混合する等の調製方法が挙げられる。
これら4成分は、同時に混合することもでき、また、有機ケイ素化合物と金属化合物の混合方法については、有機ケイ素化合物と金属化合物を混合した後に、水を加えて(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び金属化合物を別々に(部分)加水分解したものを混合する方法を挙げることができる。水や溶媒を加える必要は必ずしもないが、水を加えて(部分)加水分解物としておくことが好ましい。所定量の水の量としては、金属化合物の種類にもよるが、金属化合物が2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の場合、金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いることがより好ましい。また、金属化合物が金属キレート化合物又は有機酸金属塩の場合、金属キレート化合物又は有機酸金属塩1モルに対して、5〜100モルの水を用いることが好ましく、5〜20モルの水を用いることがより好ましい。
本発明の有機ケイ素化合物の縮合物としては、有機ケイ素化合物を、公知のシラノール縮合触媒を用いて(部分)加水分解させたものを用いても良い。
縮合物の平均粒子径は2nm〜100nmが好ましく、5nm〜30nmであることがより好ましい。平均粒子径が100nmより大きいと組成物が白濁し、組成物が不安定となりゲル化し易くなる。平均粒子径が2nmより小さいと塗膜性に悪影響が出る場合がある。
本発明における有機無機複合薄膜形成用の組成物としては、上記の各成分に加え、水及び/又は有機溶媒を含有することが好ましい。
用いる有機溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における有機無機複合薄膜形成用の組成物中の固形分としては、1〜98質量%であり、10〜60質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましい。
4−2)有機無機複合薄膜の形成方法
本発明の有機無機複合薄膜は、(A)上述した有機無機複合薄膜形成用の組成物を樹脂基材上に塗布し、乾燥及び/又は加熱する工程、(B)プラズマ処理若しくはUVオゾン処理を施す工程を経ることにより形成することができる。
本発明の有機無機複合薄膜は、薄膜の表面部に「有機ケイ素化合物の縮合物が濃縮した層」を形成するため、表面部の無機成分の比率が高い硬化膜が得られる。その場合、相対的に有機成分の比率は低くなる。これは、X線光電子分光分析を用いることで、深さ方向の炭素原子の濃度を測定することで確認できる。ここで、「炭素原子の濃度」とは、(全金属原子+酸素原子+炭素原子)を100%としたときの炭素原子のモル濃度を意味する。他の酸素原子及び炭素原子の濃度も同様である。この有機成分の比率が低い層では、ケイ素原子の濃度が高くなることになる。
そして、本発明の有機無機複合薄膜は、表面から10nmの深さの炭素原子の濃度が、表面から100nmの深さの炭素原子の濃度より20%以上少ない膜であることが好ましい。なお、有機無機複合薄膜の膜厚は、X線光電子分光分析においてスパッタエッチングした時に算出される値で規定できる。
有機無機複合薄膜形成用の組成物の塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等が挙げられる。また、形成する膜厚としては、特に制限されるものではなく、例えば、0.1〜20μm程度である。
有機無機複合薄膜形成用の組成物を塗布して形成した膜の乾燥・加熱処理としては、例えば、40〜200℃で、0.5〜120分程度行うことが好ましく、60〜160℃で、1〜60分程度行うことがより好ましく、60〜120℃で1〜60分程度行うことが更に好ましい。
加熱後の薄膜を樹脂基材上に形成したときの、JIS K 5600−5−4鉛筆法に規定する鉛筆硬度は、1H〜4H程度であり、樹脂基材との密着性及び硬度の点から、2H〜4Hであることが好ましい。
(3)有機シラン薄膜
本発明の有機シラン薄膜は、以下のd)、e)及びf)を含有する有機シラン薄膜である。
d)エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物、
e)ポリアミン類、及び
f)f−1)n−ペンタノール、又は
f−2)25℃におけるpKaが2.0〜6.0の範囲の有機酸又はパーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロアルキレン基を有する炭素数2〜5のアルコール類
本発明の有機シラン薄膜は、上記のd)、e)及びf)を含有する組成物(有機シラン薄膜形成用の組成物)から形成することができる。
以下に、詳細に説明する。
1)エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物
上記のd)に示すエポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物は、エポキシ基含有トリアルコキシシランの縮合したポリマー又はオリゴマーである。
組成物中のエポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物等の固形分濃度は、特に制限されないが、1.0〜50質量%の範囲が好ましく、1.0〜10質量%、又は1.5〜3.0質量%の範囲がさらに好ましい。
固形分濃度は、最初から所定の固形分濃度に調整してもよく、濃い状態で組成物を調製した後、希釈して所定の固形分濃度に調整することもできる。
エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物の調製法は、特に制限はないが、例えば、以下の調製法1、2等の方法で調製することができる。
〔調製法1〕
エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物を、水、及びポリアミン類又はイミダゾール類と混合、撹拌する。
(原料としてのエポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物)
本発明に用いるエポキシ基含有トリアルコキシシランは、加水分解等により変換される官能基部分以外にエポキシ基が含まれているトリアルコキシシランであれば、その構造は特に制限されない。
一般式で表す場合、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
−Si(OR3 ・・・(II)
式中、Rは、エポキシ基又はグリシドキシ基を有する炭化水素基を表し、Rはアルキル基を表す。
中、エポキシ基、又はグリシドキシ基は、1個以上含まれていればよく、1〜3個有するのが好ましく、エポキシ基、グリシドキシ基両方を含んでいてもよい。
の「エポキシ基又はグリシドキシ基を有する炭化水素基」の「炭化水素基」としては、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基等が挙げられる。炭素数としては、1〜30個の範囲が好ましく、1〜10個の範囲がさらに好ましく、具体的には、式(I)のRで示した炭化水素基が挙げられる。
上述した「炭化水素基」には、エポキシ基及びグリシドキシ基以外の置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、ハロゲノ基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、(メタ)アクリロキシ基等が挙げられる。
ここで、ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基としては、上記Rにおけるアルキル基、アルケニル基と同じ炭化水素基が挙げられる。
の「アルキル基」としては、上記Rにおけるアルキル基と同じ炭化水素基が挙げられる。
上述した「アルキル基」は、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、ハロゲノ基、アルコキシ基、(メタ)アクリロキシ基等が挙げられる。
原料であるエポキシ基含有トリアルコキシシラン又はその加水分解縮合物としては、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、又はグリシドキシアルケニルアルコキシシランが好ましい。これらは、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
式(II)で表される化合物としては、具体的には、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ−n−プロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
(エポキシ基含有トリアルコキシシラン以外のアルコキシシラン類)
本発明においては、必要に応じて、前記のエポキシ基含有トリアルコキシシラン以外のアルコキシシラン類を添加して用いることができる。そのようなアルコキシシラン類として、テトラアルコキシシラン類、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類等が挙げられる。さらに、これらの部分加水分解縮合物も同様に用いることができる。
(水)
用いる水の量は、用いるエポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物がある程度加水分解縮合できるだけの量以上であれば、特に制限されず、用いるエポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物(但し、エポキシ基含有トリアルコキシシラン及びその加水分解縮合物を併用する場合にはその両者の合計を表し、また、エポキシ基含有トリアルコキシシラン以外のアルコキシシランを併用する場合にも、それら全体の合計を表す。)1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、1.0モル以上、2.0モル以上、5.0モル以上、又は10モル以上がさらに好ましい。
(ポリアミン類)
用いるポリアミン類は、1以上の水素原子が結合しているアミノ基又はイミノ基を1分子中に2以上有する化合物であれば、特に制限されず、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノプロピルアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−メチルアミノエチル)エーテル、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリ(フェニレンアルキレン)ポリアミン、及びシクロアルキレンアルキルポリアミンが好ましく、ポリアルキレンポリアミンが特に好ましい。具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。
用いるポリアミン類の量は、特に制限されないが、エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物中のエポキシ基1モルに対して1/(ポリアミン類1分子中の全窒素原子上の全水素原子数)モル以上用いるのが好ましく、1/(ポリアミン類1分子中の全窒素原子上の全水素原子数)の1.2倍〜10倍モルの範囲、1.5倍〜5倍モル、又は1.8倍〜2.5倍モルの範囲が好ましい。1/(ポリアミン類1分子中の全窒素原子上の全水素原子数)モルより少ない場合には、硬化が不十分で、高い硬度の膜が得られない場合があり、1/(ポリアミン類1分子中の全窒素原子上の全水素原子数)の10倍モルよりも大きい場合、ポリアミン類が残存して十分な硬度の薄膜を形成できない場合がある。
(イミダゾール類)
用いるイミダゾール類としては、具体的には、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
用いるイミダゾール類の量は、触媒量以上であれば特に制限されず、用いるトリアルコキシシランに含まれるエポキシ基1モルに対して、0.001〜1.0モルの範囲が好ましく、0.001〜0.5モル、又は0.01〜0.1モルの範囲がさらに好ましい。
(酸)
エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物を調製する際には、必要に応じて、さらに酸を共存させて行うことが好ましい。
用いる酸としては、有機酸、鉱酸等が挙げられ、例えば、有機酸としては、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、フタル酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等;鉱酸としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等;が挙げられる。なかでも20℃でのpKaが2.0〜6.0の範囲の有機酸を用いるのが好ましい。用いる酸の量は、特に制限されないが、用いるポリアミン類又はイミダゾール類1モルに対して、0.3〜1.2モルの範囲が好ましく、0.5〜1.0モル、又は0.6〜0.9モルの範囲がさらに好ましい。
0.3モルより少ない場合には、組成物の保存安定性が低下する場合があり、1.2モルよりも大きい場合には、十分な硬度の薄膜を形成できない場合がある。
(有機溶媒)
エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物を調製する際には、必要に応じて、有機溶媒を用いることができる。そのような溶媒として、溶液の均一性、安定性等をある程度保持できる溶媒であれば、特に限定されないが、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類等が挙げられ、炭素数1〜5のアルコールが好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。炭素数1〜5のアルコールは、適当な炭素上にハロゲノ基等の置換基を有していてもよく、そのようなアルコールとして、具体的には、パーフルオロエタノール、パーフルオロペンタノール等が挙げられる。
これらは1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。作業環境、及び薄膜への残留を少なくする等を考慮した場合、炭素数1〜3のアルコールが好ましく、イソプロパノール、n−プロパノール等を特に好ましい。加水分解縮合物の保存安定性を考慮した場合には、n−ペンタノールを用いるのが好ましい。
その他の溶媒として、水を用いるのが好ましく、その場合、用いる有機溶媒は、水に溶解する有機溶媒が好ましい。また、水と有機溶媒の比率は、おのおの必要な量を用いた上で、均一な溶液になる量比が好ましい。炭素数1〜3のアルコール等の水に比較的良く溶解する有機溶媒を用いた場合には、水と有機溶媒の質量比(水/有機溶媒)は、30/70〜95/5の範囲が好ましく、50/50〜90/10、60/40〜80/20、又は65/35〜75/25の範囲がさらに好ましい。
また、炭素数4以上のアルコール等の水に比較的溶解しにくい有機溶媒を用いた場合に、有機溶媒に対する水の溶解度が低いために、用いる水の量は、エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解に必要な量以上、溶液が均一になる範囲の量で用いることが好ましい。
用いる溶媒量は、特に制限されないが、本発明の調製法によって調製した加水分解縮合物を含む組成物を用いて形成した薄膜の外観、該組成物の塗工性、硬化性、該組成物を用いて形成した薄膜の性質、該組成物又は加水分解縮合物の保存安定性等を考慮して、反応液中の固形分濃度が1.0〜50質量%の範囲になる量を用いるのが好ましく、1.0〜10質量%、又は1.0〜3.0質量%の範囲がさらに好ましい。
(調製条件)
エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物は、エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物と、水、及びポリアミン類若しくはイミダゾール類、必要に応じて酸、有機溶媒を混合、撹拌して調製することができる。その混合順序、及び撹拌速度は特に限定されず、任意の順序、又は任意の速度を設定できる。混合時及び撹拌時の温度は、特に限定されず、室温から、用いる溶媒の沸点の範囲で行うのが好ましく、室温で行うのがさらに好ましい。室温とは、この場合、混合撹拌を行う場所での外気温度になるが、15〜35℃の範囲の温度が好ましい。
エポキシ基含有トリアルコキシシランと、水、及びポリアミン類若しくはイミダゾール類すべてが共存している状態で、室温で2時間から3時間撹拌するのが好ましい。加水分解後、必要ならば、有機溶媒や水で希釈する。
上記の調製法で得られた加水分解縮合物を含む組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、1.0〜50質量%の範囲で用いることが好ましく、1.0〜10質量%、又は1.0〜3.0質量%の範囲がさらに好ましい。
1.0質量%より小さい場合には、膜を均質に成膜するのが困難な場合があり、50質量%より大きい場合には、組成物の安定性、薄膜の透明性、外観、又は塗膜性等に問題が生じる場合がある。固形分濃度は、最初から所定の固形分濃度に調整してもよく、濃い状態で組成物を調製した後、希釈して所定の固形分濃度に調整することもできる。
〔調製法2〕
エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物に水、必要に応じてシラノール縮合触媒を添加し、5〜100℃、好ましくは20〜60℃において、1分〜10日、好ましくは30分〜24時間反応させる。
原料であるエポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物は、調製法1で示したものと同様のものを用いることができる。また、調製法1で記載したのと同様に、テトラアルコキシシラン類、エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物以外のトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、又はそれらの部分加水分解縮合物を共存させて調製することもできる。
用いる水の量は、用いるエポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物がある程度加水分解縮合できるだけの量以上であれば、特に制限されず、用いるエポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物(但し、エポキシ基含有トリアルコキシシラン及びその加水分解縮合物を併用する場合にはその両者の合計を表し、また、エポキシ基含有トリアルコキシシラン以外のアルコキシシランを併用する場合にも、それら全体の合計を表す。)1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、1.0モル以上、2.0モル以上、5.0モル以上、又は10モル以上がさらに好ましい。
シラノール縮合触媒は1種単独、又は2種以上の組合せで用いることができる。本発明の組成物においては、エポキシ基含有トリアルコキシシランの硬化剤又は硬化促進剤としてポリアミン類、又はイミダゾール類を用いることから、シラノール縮合触媒としても、ポリアミン類、イミダゾール類を用いることが好ましい。ポリアミン類、及びイミダゾール類の詳細については、本発明の調製法1にて前述した通りである。
用いるシラノール縮合触媒の量は、特に制限はされないが、原料であるエポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物中の全て未縮合として換算したトリアルコキシシリル基の量に対して、モル比(シラノール縮合触媒/当該シリル基)で、0.001〜1.0の範囲が好ましく、0.01〜1.0、又は0.1〜0.5の範囲がさらに好ましい。
本発明において用いるエポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物は、動的光散乱法で測定したz−平均粒子径が、5〜50nmの範囲が好ましく、5〜30nmがさらに好ましい。50nmより大きい場合には、可使時間が短く保存安定性に問題が生じる場合があり、さらに塗工後に塗り斑が生じる場合がある。また、5nmより小さい場合には、得られる薄膜の硬度が不十分となる場合がある。
2)ポリアミン類
上記のe)に示すポリアミン類としては、上記製法1において示したポリアミン類が挙げられる。用いるポリアミン類の量は、前記製法1において記載された通りである。
3)n−ペンタノール
有機溶媒としてn−ペンタノールを単独で、又は他の有機溶媒と共に使用することにより、加水分解縮合物の保存安定性を向上させることができる。使用量は、下記6)の有機シラン薄膜形成用の組成物の調製において記載した有機溶媒の量と同様である。
4)25℃におけるpKaが2.0〜6.0の範囲の有機酸
上記のf−2)に示す有機酸は、25℃におけるpKaが、2.0〜6.0の範囲、好ましくは、3.0〜5.0の範囲の有機酸であれば、特に制限されない。具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、イソカプロン酸、クロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、3−クロロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、4−フェニル酪酸、フェノキシ酢酸、シアノ酢酸、シュウ酸、マロン酸、2,2−ジメチルマロン酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸、フタル酸、グルタル酸、オキザロ酢酸、クエン酸、イソクエン酸、シクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸、酒石酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、安息香酸、o−クロロ安息香酸、m−フルオロ安息香酸、2,3−ジフルオロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イロフタル酸、trans−ケイ皮酸、2−フランカルボン酸、グリオキシル酸、グルコール酸、クロトン酸、乳酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、ピルビン酸、マンデル酸、リンゴ酸、レブリン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、ニコチン酸等が挙げられ、中でも、脂肪族モノカルボン酸、又は安息香酸若しくは置換安息香酸が好ましい。
用いる有機酸の量は、特に制限されないが、用いるポリアミン類1モルに対して、0.3〜1.2モルの範囲が好ましく、0.5〜1.0モル、又は0.6〜0.9モルの範囲がさらに好ましい。
0.3モルより少ない場合には、有機シラン薄膜形成用の組成物の保存安定性が低下する場合があり、1.2モルよりも大きい場合には、十分な硬度の薄膜を形成できない場合がある。
5)パーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロアルキレン基を有する炭素数2〜5のアルコール類
上記のf−2)に示すパーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロアルキレン基を有する炭素数2〜5のアルコール類(以下、「パーフルオロ化アルコール類」という)として、具体的には、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエタノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2−トリフルオロメチル−2−プロパノール、2−メチル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、ノナフルオロ−t−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール等が挙げられる。
用いるパーフルオロ化アルコール類の量は、特に制限されないが、有機シラン薄膜形成用の組成物全体の30質量%以上が好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。30質量%より小さい場合には、組成物の長期保存安定性が低下する場合がある。
6)有機シラン薄膜形成用の組成物の調製
有機シラン薄膜形成用の組成物は、以下の方法を用いて調製できる。
i)エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物、シラノール縮合触媒、水と必要に応じて有機溶媒を室温で混合、撹拌し、次いで、ポリアミン類、必要に応じて有機酸又はパーフルオロ化アルコール類を加え、有機溶媒と必要に応じて水で希釈する。
ii)エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物、水、有機溶媒、ポリアミン類を室温で混合、撹拌し、さらに必要に応じて有機酸又はパーフルオロ化アルコール類を添加し、さらに有機溶媒と必要に応じて水で希釈する。
iii)エポキシ基含有トリアルコキシシラン及び/又はその加水分解縮合物、水、溶媒としてのアルコール、ポリアミン類、必要に応じて有機酸又はパーフルオロ化アルコール類を室温で混合、撹拌し、さらに有機溶媒と必要に応じて水で希釈する。
iv)エポキシ基含有トリアルコキシシラン、水、溶媒としてのアルコール、ポリアミン類、必要に応じて有機酸又はパーフルオロ化アルコール類を室温で混合、撹拌する。
撹拌温度は、特に制限されないが、室温〜用いる溶媒の沸点温度の範囲が好ましく、室温で行うのが、さらに好ましい。この場合、室温とは、撹拌を行っている場所の外気温になるが、15〜35℃の範囲が好ましい。
(有機溶媒)
有機シラン薄膜形成用の組成物は、組成物中の固形分濃度を調整するために、有機溶媒を用いることができる。そのような溶媒として、溶液の均一性、安定性等を保持できる溶媒であれば、特に限定されないが、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類等が挙げられ、炭素数1〜5のアルコールが好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
その他の溶媒として、水を用いるのが好ましく、その場合、用いる有機溶媒は、水に溶解する有機溶媒が好ましい。また、水と有機溶媒の比率は、おのおの必要な量を用いた上で、均一な溶液になる量比が好ましい。炭素数1〜3のアルコール等の水に比較的良く溶解する有機溶媒を用いた場合には、水と有機溶媒の質量比(水/有機溶媒)は、30/70〜95/5の範囲が好ましく、50/50〜90/10、60/40〜80/20、又は65/35〜75/25の範囲がさらに好ましい。
また、炭素数4以上のアルコール等の水に比較的溶解しにくい有機溶媒を用いた場合に、有機溶媒に対する水の溶解度が低いために、用いる水の量は、トリアルコキシシランの加水分解に必要な量以上、組成物が均一になる範囲の量を用いることが好ましい。
(配合割合)
有機シラン薄膜形成用の組成物中の固形分濃度は、特に制限されないが、薄膜の外観、塗工性、硬化性、薄膜の性質、組成物の保存安定性等を考慮して、0.5〜50質量%の範囲になる量を用いるのが好ましく、1.0〜30質量%、1.0〜20質量%、1.0〜10質量%、1.5〜5.0質量%、又は1.8〜3質量%の範囲がさらに好ましい。
0.5質量%より小さい場合には、膜を均質に成膜するのが困難な場合があり、50質量%より大きい場合には、組成物の安定性、薄膜の透明性、外観、又は塗工性等に問題が生じる場合がある。
用いる有機溶媒及び水の量は、上記固形分濃度に調整できる範囲で併用するパーフルオロ化アルコール類の量も考慮して適宜定めることができる。
(その他の配合成分)
有機シラン薄膜形成用の組成物には、その用途に応じて、他の成分を添加することができ、コロイド状シリカやコロイド状アルミナ等の無機微粒子、各種界面活性剤、染料、顔料、分散剤、撥水剤、増粘剤、香料、抗菌性成分等が挙げられる。
6)有機シラン薄膜の形成方法
本発明の有機シラン薄膜は、基材の表面に刷毛、スプレー、ディッピング、スピンコート、バーコート、グラビア印刷等の公知のあらゆる塗装手段により、上記の有機シラン薄膜形成用の組成物を塗工することで、形成することができる。乾燥は、室温乾燥及び/又は加熱により行うことができる。具体的には20℃〜250℃、好ましくは20℃〜150℃で、10秒〜24時間、好ましくは30秒〜10時間程度行なう。
得られる薄膜の膜厚は、特に制限されないが、10nmを超え、5μm以下であることが好ましい。
[有機半導体層]
有機半導体素子を構成する有機半導体層の材料としては、π共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、アントラジチオフェン、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン等のポリジアセチレン類、ポリアズレン等のポリアズレン類、ポリピレン等のポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)等のポリカルバゾール類、ポリセレノフェン等のポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフラン等のポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)等のポリ(p−フェニレン)類、ポリインドール等のポリインドール類、ポリピリダジン等のポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセン等のポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、O等の原子、カルボニル基等の官能基に置換された誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノン等)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィド等のポリマーを用いることができる。
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有する例えばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体等のオリゴマーも好適に用いることができる。
さらに銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミド等のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等が挙げられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体又はこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数が4〜10であるオリゴマー若しくは該繰返し単位の数が20以上であるポリマー、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体の材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体等の有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーやヨウ化フェネチルアンモニウムスズ等の有機・無機混成材料も用いることができる。
本発明においては、有機半導体層に、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体等のように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えば、アミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基等の官能基を有する材料、フェニレンジアミン等の置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体等のように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)又は電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該有機半導体層に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された有機半導体層は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する有機半導体層である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
これら有機半導体層の作製法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、又はLB法等が挙げられ、材料に応じて用いることができる。ただし、この中で生産性の点から、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に有機半導体層が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、又はキャスト法等が好ましい。さらに、有機半導体層を構成する分子化合物の配向性を制御する上で、特殊なキャスト法であるギャップキャスト法、又はエッジキャスト法が好ましい。
これら有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られる有機半導体素子の特性が、有機半導体の活性層の膜厚に大きく左右される場合が多いため、その膜厚は、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
[電極]
本発明おいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等を用いることができる。
特には、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。また、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も用いることができる。中でも有機半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極を形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。さらに導電性ポリマーの溶液又は分散液、導電性微粒子の分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、導電性薄膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
このような導電性微粒子の調製方法としては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して導電性微粒子を生成する化学的生成法等を挙げることができる。これらの導電性微粒子の分散液を、下記に示す方法等により層を成形した後、溶媒を乾燥させ、さらに100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で熱処理することにより、導電性微粒子を熱融着させることで電極を形成する。
[絶縁体層]
本発明において、絶縁体層を形成する材料は、絶縁体であれば限定されず用いることができる。特には、比誘電率の高い無機酸化物が好ましい。無機酸化物としては、具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。これらのうちで、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンがより好ましい。また、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も用いることができる。
上記の絶縁体層の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて用いることができる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤、又は水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法を用いることができる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁層は、陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁体層とで構成することが好ましい。さらに、陽極酸化膜は封孔処理することが好ましい。ここで、陽極酸化膜は陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化処理することにより形成する。
陽極酸化処理が可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜を形成することができる。陽極酸化処理に用いることができる電解液としては、多孔質酸化被膜を形成することができるものならばいかなるものでもよく、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等若しくはこれらを2種類以上組み合わせた混酸、又はそれらの塩を用いることができる。陽極酸化処理の条件は用いる電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dmで20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また有機化合物被膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系の光硬化性樹脂、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることができる。
有機化合物被膜の形成方法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物被膜と有機酸化物被膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁体層の膜厚としては、一般に100nm〜1μmである。
また、ゲート絶縁層と有機半導体層の間、又は前記樹脂基材と前記有機半導体層の間に有機半導体層のキャリア移動度を高めるために、有機単分子膜を設けるのが好ましく、有機単分子膜を形成させるための成分としては、具体的には、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン(β−PTS)、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンホスホン酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸等が挙げられる。
有機単分子膜は、自己組織化単分子膜(SAM)であることが好ましい。
[有機半導体素子]
また、本発明の有機半導体素子は、例えば、フレキシブルな、シート状表示装置(例:電子ペーパー)、液晶表示素子及びエレクトロルミネッセンス(EL)表示素子等の表示素子、固有識別符号応答装置(RFID)、有機薄膜トランジスタである有機電界効果トランジスタ(有機FET)、整流素子、スイッチング動作を行うサイリスタ、トライアック及びダイアック等に利用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[調製例1](有機無機複合薄膜形成用の組成物の調製)
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達株式会社製、T−50、酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)30.3gをソルミックス(登録商標)AP−7(日本アルコール販売(株)社製)58.4gに溶解後、攪拌しながらイオン交換水11.3g(チタンに対して10倍モル)をゆっくり滴下し、加水分解させた。1日後に溶液を濾過し、黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−1]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−1003)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)を7/3(=ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)のモル比で混合した液[B−1]を用いた。
元素比(Ti/Si=1/9)になるように上記[A−1]と[B−1]を混合し、12時間攪拌した液[C−1]を作製した。[C−1]の固形分は29.2重量%であった。
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製、紫光UV1700B)を40重量%となるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(和光純薬工業株式会社製)をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4重量%となるように溶解させ、溶液[D−1]を作製した。
固形分の割合が10重量%/90重量%=[C−1]/[D−1]となるように、上記[C−1]液と[D−1]溶液を混合させ、有機無機複合薄膜形成用の組成物[E−1]を作製した。
[調製例2](有機シラン薄膜形成用の組成物の調製)
2.0gの3−グリシドキシ−n−プロピルトリメトキシシラン、0.5gのジエチレントリアミン、0.5gの安息香酸、70.0gの水および28.0gのイソプロパノールを混合した後、室温で2時間撹拌し、固形分の質量濃度換算で3%の有機シラン薄膜形成用の組成物[E−2]を調製した。
[実施例1]
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)社製、テオネックスQ51DW、厚さ100μm)上に、マイクログラビアコーター(速度4m/分)を用いて、調製例1で調製した組成物[E−1]を塗工、乾燥(温風乾燥、80℃、約1分間)、紫外線照射(集光型高圧水銀灯、160W/cm、ランプ高9.8cm、積算照射量約500mJ/cm)して膜厚5μmの薄膜を得た。次いで、薄膜形成済みのPENフィルムを2.5×2.5cmに切り出し、UVオゾン洗浄装置(セン特殊光源社製)を用いてUVオゾン洗浄を10分間行い、さらにβ−フェネチルトリクロロシラン(β−PTS)(信越化学製LP−1990)のトルエン希釈溶液(β−PTS/ヘキサン:10mM)に浸漬して基材表面に有機単分子膜を形成した。
次に、本発明者らが開発した塗布法(エッジキャスト:Appl. Phys. Exp. 2, 111501 (2009))に準拠し、有機半導体層を形成した。すなわち、前記のPENフィルム上に、溶液保持用のシリコンの欠片(以下「溶液保持構造」ともいう。)を置いた。基材を傾けながら、有機半導体溶液(パイクリスタル社製、C10−DNBDT)を、120℃で溶液保持構造のエッジに垂らした。溶媒の蒸発とともに結晶が成長しながら基材に貼り付き、数分で結晶成長が完了した。この状態で減圧下、室温で1時間、さらに、減圧下60℃で放置し、有機半導体層を完全に乾燥した(膜厚:10〜100nm)。
この有機半導体層上にソース・ドレイン電極を作製するため、チャンネル(L:1000μm,W:500μm)のシャドーマスクを用いて金を400Åの厚さで蒸着した。
CytopCLT−809M(旭硝子社製、CT−solv180、8倍希釈:フッ素系溶媒)を上記の電極を蒸着させたフィルム上に1mL展開し、4000rpmで20secの間スピンコートを行ってCytop絶縁体層を形成した。さらに、Cytop絶縁体層上にパリレン絶縁体(第三化成社製、diX−SR:パラキシレン系樹脂)を真空加熱(680℃)で気化重合を行なってパリレン絶縁体層を積層した。膜厚計(Alpha−Step500:Tencor社製)でこのパリレン絶縁体層の膜厚を測定した結果、5850Åであった。
この絶縁体層上を幅200μmのシャドーマスクで覆い、ウルバック社製真空蒸着機「EX−400」(真空度:1.3×10−4Pa)を用いて、アルミニウムを700Åの厚さに蒸着して、ゲート電極を形成し、トップゲート、トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。
作製した有機薄膜トランジスタについて、半導体パラメータアナライザー(型番「keithley 4200」、ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、キャリア移動度およびオン/オフ比の測定を行った。その結果を図1〜図5に示す。
この有機薄膜トランジスタを用いて移動度を2つのサンプルで測定した。
図3に飽和領域の移動度を測定した結果を示す。ドレイン電圧(V)は−100Vとし、ゲート電圧(VG)を100V〜−100Vに変化させて移動度を測定した。図4の点線で示すように飽和領域において約2.5cm/Vsの移動度を得ることができた。
また、図1に線形領域の移動度を測定した結果を示す。ドレイン電圧(V)は−5Vとし、ゲート電圧(VG)を40V〜−100Vに変化させて移動度を測定した。図2の点線で示すように線形領域では約0.9cm/Vsの移動度を得ることができた。
[実施例2]
ポリイミド(PI)フィルム(東レ・デュポン社製、カプトン、膜厚125μm)上に、組成物[E−2]を用いバーコーターNo4で塗工後、温風循環乾燥器にて、100℃で10分間加熱硬化させ、膜厚0.3μmの薄膜を得た。
実施例1と同様に行い、有機薄膜トランジスタを作製し、同様にその特性を測定した。その結果を図6〜図10に示す。
図8に飽和領域の移動度を測定した結果を示す。ドレイン電圧(VD)は−100Vとし、ゲート電圧(VG)を100V〜−100Vに変化させて移動度を測定した。この実施例においても、図9に点線で示すように、飽和領域において約2.5cm/Vsの移動度を得ることができた。

Claims (4)

  1. 下記(A)又は(B)の薄膜を形成した樹脂基材上に有機半導体層を設けた有機半導体素子。
    (A)以下のa)及びb)を含有する有機無機複合薄膜
    a) 式(I−1)
    SiX 4−n ・・・(I−1)
    (式中、nは1又は2を表し、nが2のときR は互いに同一であっても相異なってもよく、R は式中のSiに炭素原子が直接結合する有機基であって、R のうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上と、
    式(I−2)
    SiX 4−n ・・・(I−2)
    (式中、nは1又は2を表し、nが2のときR は同一であっても相異なってもよく、R は式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも1種以上との縮合物であって、かつ
    数式(2)を満たす有機ケイ素化合物の縮合物
    30モル%≦{〔縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕}/{〔縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕+〔縮合物中の式(I−2)の化合物由来の単位〕}×100 <100モル%・・・(2);
    b)熱硬化性化合物の硬化物及び/又は電磁線硬化性化合物の硬化物
    (B)以下のd)、e)及びf)を含有する有機シラン薄膜
    d)エポキシ基含有トリアルコキシシランの加水分解縮合物;
    e)ポリアミン類又はイミダゾール類;
    f)f−1)n−ペンタノール、又は
    f−2)25℃におけるpKaが2.0〜6.0の範囲の有機酸、又はパーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロアルキレン基を有する炭素数2〜5のアルコール類
  2. 式(I)で表される有機ケイ素化合物が、Fedorsの推算法により求められたRの溶解パラメータ(SP1)が、Fedorsの推算法により求められた熱硬化性化合物又は電磁線硬化性化合物の溶解パラメータ(SP2)よりも1.6以上小さい有機ケイ素化合物である請求項1に記載の有機半導体素子。
  3. 前記樹脂基材上にさらに有機単分子膜を設けた請求項1又は2に記載の有機半導体素子。
  4. 有機半導体素子が、有機薄膜トランジスタである請求項1〜のいずれかに記載の有機半導体素子。
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