JP6287418B2 - 溶射方法及び溶射装置 - Google Patents

溶射方法及び溶射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6287418B2
JP6287418B2 JP2014059477A JP2014059477A JP6287418B2 JP 6287418 B2 JP6287418 B2 JP 6287418B2 JP 2014059477 A JP2014059477 A JP 2014059477A JP 2014059477 A JP2014059477 A JP 2014059477A JP 6287418 B2 JP6287418 B2 JP 6287418B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spray gun
secondary gas
gas flow
thermal
thermal spraying
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014059477A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015183215A (ja
Inventor
良次 熨斗
良次 熨斗
貴人 内海
貴人 内海
清水 明
明 清水
大輔 寺田
大輔 寺田
博久 柴山
博久 柴山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2014059477A priority Critical patent/JP6287418B2/ja
Publication of JP2015183215A publication Critical patent/JP2015183215A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6287418B2 publication Critical patent/JP6287418B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Nozzles (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Description

本発明は、アークによって溶融させた溶射用材料の溶滴を、溶射ガン内を流れるガスにより外部に放出してワークの被溶射面に付着させる溶射方法及び溶射装置に関する。
自動車等に搭載される内燃機関のシリンダボア内面に、鉄系材料を溶射して皮膜を形成し、その後ホーニング加工により平滑な摺動面を形成する溶射技術が知られている。溶射方法としては、下記特許文献1に開示されているようなワイヤ状の溶射用材料を用いたアーク溶射が主流となっている。
特許第4496783号公報
ところで、溶射により形成したシリンダボアに求められる溶射皮膜の品質特性としては、被溶射面との密着性が重要である。
そこで、本発明は、溶射皮膜の被溶射面への密着性を高めることを目的としている。
本発明は、溶射ガン内を流れる二次ガスを、溶滴及び一次ガスの外側に流れるように放出口から放出し、この放出される二次ガスの量を、溶射ガンの移動方向前方側の領域で他の領域より多くすることを特徴とする。
本発明によれば、溶滴及び一次ガスの外側に流れる二次ガスの量を、溶射ガンの移動方向前方側の領域で他の領域より多くしている。ここで、一次ガスにより押し出されるようにして放出される溶滴の束は、中心部が高温で外側は低温となる。その際、溶射ガンの移動方向前方側の領域を流れる多量の二次ガスによって、この領域に存在する低温の溶滴を吹き飛ばす。この状態で溶射ガンを移動させながら溶射を行うと、溶滴の束としては、溶射ガンの移動方向前方側の領域に主として高温の溶滴が存在することになり、この高温の溶滴がワークの被溶射面に付着する。さらに、付着した高温の溶滴による皮膜の上に、溶射ガンの移動方向後方側の領域に存在する低温の溶滴が付着する。この場合、高温の溶滴が被溶射面に直接付着するので、低温の溶滴が被溶射面に直接付着する場合に比較して溶射被膜の被溶射面への密着性が高まる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる溶射ガンの正面図である。 図2は、図1の溶射ガンの断面図である。 図3は、図1、図2の溶射ガンに使用する二次ガス制御部品の斜視図である。 図4は、図1、図2の溶射ガンによりワークの被溶射面に溶射皮膜を形成する際の動作説明図である。 図5は、溶滴の束を示す図4のA矢視図である。 図6は、本発明の第2の実施形態に係わる溶射ガンの正面図である。 図7は、図6の溶射ガンの断面図である。 図8は、図6、図7の溶射ガンに使用する二次ガス制御部品の斜視図である。 図9は、図6、図7の溶射ガンによりワークの被溶射面に溶射皮膜を形成する際の動作説明図である。 図10は、溶滴の束を示す図9のB矢視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1、図2に示す本発明の第1の実施形態に係わる溶射ガン1は、溶射用材料である2本の溶射ワイヤ3をアークによって溶融させ、溶融させた溶滴Mを、図4に示すワークWの被溶射面Wsに付着させるアーク溶射装置に含まれる。溶射ガン1は、その溶射ガン本体10が、図2に示すように先端(図中で下端)側面に、溶滴Mを放出する放出口5を備えている。また、2本の溶射ワイヤ3は、溶射ガン本体10内に形成された2つのワイヤガイド孔7に個別に挿入され、図示しないワイヤ送給機構によってワイヤガイド孔7内を順次図中で下方に送られる。
ワイヤガイド孔7は、溶射ガン本体10の長手方向(図1、図2中で上下方向)に沿って延びる直線部7aと、直線部7aの下部に連続する湾曲部7bとを備え、湾曲部7bの下端の開口部7cが放出口5側に開口している。ワイヤガイド孔7が湾曲部7bを有することで、溶射ワイヤ3は、開口部7cから繰り出される際に湾曲部7bの湾曲形状がほぼ保持されたまま放出口5側に送り出される。
2つのワイヤガイド孔7の各湾曲部7bは、図1に示すように下部側が互いに接近するようにして放出口5の中心に向けて屈曲し、各開口部7cからそれぞれ繰り出される2本の溶射ワイヤ3の延長線が互いに交差するように設定されている。このため、各開口部7cから放出口5側に送り出される2本の溶射ワイヤ3は互いに接近する方向に移動する。
ここで、一方の溶射ワイヤ3をプラス(+)電極とし、他方の溶射ワイヤ3をマイナス(−)電極として、各溶射ワイヤ3の電極間に電圧を印加する。すると、上記した2本の溶射ワイヤ3の繰り出し方向の延長線上の交差部付近において、電極間に放電アークが発生し、放電アークの熱エネルギにより2本の溶射ワイヤ3が溶融する。なお、図1、図2中でP部が、放電アークが発生する溶融点となる。
溶射ガン本体10は、図2に示すように、ワイヤガイド孔7に対して放出口5と反対側に、1つの一次ガス流路9を設けている。図1では図示していない一次ガス流路9は、図1中で左右方向中心位置にあり、一次ガス流路9には、図示しない一次ガス供給機構によって一次ガスG1が供給される。一次ガス流路9は、ワイヤガイド孔7の直線部7aと平行に延びる上流側部分9aと、上流側部分9aに対してほぼ直角に屈曲して放出口5に連通する下流側部分9bとを備える。
また、溶射ガン本体10は、図2に示すように、ワイヤガイド孔7に対して放出口5側に、ワイヤガイド孔7の直線部7aと平行に延びる二次ガス流路11を設けている。二次ガス流路11には、図示しない二次ガス供給機構によって二次ガスG2が供給される。図1では図示していない二次ガス流路11は、図1における放出口5側から見て、左右のワイヤガイド孔7の左右両側に一対設けている。
二次ガス流路11は、図2に示すように、その下端が一次ガス流路9の下流側部分9bの下流端に指向している。そして、溶射ガン本体10における下流側部分9bの下流端には、図3に示す、二次ガスG2の流量を制御するガス流量制御部材としての二次ガス制御部品13を取り付けている。二次ガス制御部品13は、一次ガスG1が環状の内部を通過する環状部材で構成している。
二次ガス制御部品13を取り付ける部分の溶射ガン本体10には、円形の内面15及び、放出口5と反対側に位置する図2中で左側の側面17が形成されている。内面15の図2中で左右方向の幅は、二次ガス制御部品13の溶射ガン本体10への組付状態での左右方向の幅とほぼ同等である。また、円形の内面15の直径(内径)は、二次ガス制御部品13の直径(外径)よりも大きい。このため、環状部材で構成される二次ガス制御部品13の中心と、内面15によって形成される円の中心とを一致させた状態で、二次ガス制御部品13を溶射ガン本体10に組み付けた状態では、二次ガス制御部品13の外周面と内面15との間に環状の隙間が環状流路19として形成される。
図3に示す二次ガス制御部品13は、円形の二つの少量二次ガス流通孔13aと、少量二次ガス流通孔13aよりも開口面積の大きい長孔形状の二つの多量二次ガス流通孔13b,13cとを備えている。これら二次ガス流通孔13a,13b,13cは貫通孔を構成している。すなわち、二次ガス制御部品13は、その環状の内部と環状流路19とを連通する貫通孔が複数設けられている。また、二つの少量二次ガス流通孔13a相互間の側面には、二次ガス制御部品13の溶射ガン本体10に対する位置決め用の切欠部13dを設けている。なお、図1では少量二次ガス流通孔13aを省略している。
ここで、二次ガス制御部品13を溶射ガン本体10に組み付けた状態では、少量二次ガス流通孔13aが図2中で上部側に位置し、多量二次ガス流通孔13b,13cが図2中で下部側の溶射ガン本体10の先端側に位置する。多量二次ガス流通孔13bは、多量二次ガス流通孔13cよりも円周方向に沿って長く形成されて開口面積が大きく、上部の2つの少量二次ガス流通孔13aに対し、上下方向(図2中)で互いに対向する位置を少なくとも含んでいる。
二次ガス制御部品13は、上記したように少量二次ガス流通孔13aが図2中で上部側に位置する状態で、切欠部13dを備える側面を溶射ガン本体10の側面17に突き当てる。側面17の上部には、切欠部13dに対応する位置決め用の突起21が形成されており、切欠部13dと突起21とが互いに係合することで、二次ガス制御部品13の溶射ガン本体10の内面15に対する円周方向の位置決めがなされる。このとき、環状部材で構成される二次ガス制御部品13の中心と、溶射ガン本体10の内面15によって形成される円の中心とが一致するように位置決めされる。この各中心の位置決めは、例えば溶射ガン本体10の側面17に段差を設け、この段差に二次ガス制御部品13を嵌め込めばよい。
二次ガス制御部品13の溶射ガン本体10の側面17と反対側には、ほぼ円筒形状の口金部品23を配置している。口金部品23は、溶射ガン本体10に設けた凹部25に圧入などによって固定し、圧入方向前方側の端面23aを二次ガス制御部品13の側面に押し当てて、二次ガス制御部品13を溶射ガン本体10の側面17との間で挟持固定する。
上記のようにして溶射ガン本体10に組み付けられた二次ガス制御部品13に対し、2つの二次ガス流路11は、貫通孔(二次ガス流通孔13a,13b,13c)が形成されていない2箇所の壁部13eに流路開口部11aが位置して開口している。一方の壁部13eは、一方の少量二次ガス流通孔13aと多量二次ガス流通孔13bとの間に位置し、他方の壁部13eは、他方の少量二次ガス流通孔13aと多量二次ガス流通孔13cとの間に位置する。2つの壁部13eの円周方向の長さはほぼ同等である。
次に作用を説明する。溶射ガン1は、図4に簡略化して示すように、ワークWの被溶射面Wsに沿って矢印Fで示す下方に向けて移動しながら溶射を行う。この場合溶射ガン1は、ワークWの被溶射面Wsに対し、溶射ガン1の先端側と基端側とを結ぶ軸線方向に移動することになる。このような溶射ガン1の移動は、図2、図4において、溶射ガン1の下部の先端側が移動方向前方となる。
溶射ガン1は、上記したような移動を行いながら、2本の溶射ワイヤ3が順次送出されるとともに、一次ガスG1及び二次ガスG2がそれぞれ流される。その際、放出口5内での2本の溶射ワイヤ3の端部相互間で発生するアークによって、2本の溶射ワイヤ3が溶融し、その溶滴Mを一次ガスG1が前方に押し出すようにして放出させる。このとき、一次ガスG1は、一次ガス流路9の下流側部分9bから二次ガス制御部品13の内側を経て放出口5に至り、溶融点Pで溶融する溶滴Mを放出口5から前方に放出させる。
このようにして放出される溶滴Mによる噴霧の束は、二次ガスG2が流れない場合には、中心部分の溶滴Maが高温かつ高速であり、溶滴Maの周囲の外側部分の溶滴Mbが溶滴Maに対して低温かつ低速となる。本実施形態で流す二次ガスG2は、二次ガス流路11の流路開口部11aから二次ガス制御部品13の外側の環状流路19に流出し、流出する際には、二次ガス制御部品13の壁部13eに向かうことになる。
2つの二次ガス流路11から2箇所の壁部13eに向けてそれぞれ流出する二次ガスG2は、いずれも壁部13eに衝突してから環状流路19を円周方向両側に向けて流れる。このうち上方に向けて流れる二次ガスG2は少量二次ガス流通孔13aに達し、少量二次ガス流通孔13aを通って二次ガス制御部品13の環状の内部に流れ込む。同様にして下方に向けて流れる二次ガスG2は多量二次ガス流通孔13b,13cにそれぞれ達し、多量二次ガス流通孔13b,13cをそれぞれ通って二次ガス制御部品13の環状の内部に流れ込む。なお、少量二次ガス流通孔13aから多量二次ガス流通孔13cに向けて流れる二次ガスG2は、その一部が多量二次ガス流通孔13cを超えて多量二次ガス流通孔13bに達する。
少量二次ガス流通孔13aを通って二次ガス制御部品13の環状の内部に流れ込んだ二次ガスG2は、図2における溶射ワイヤ3及び一次ガスG1の上部の領域に達する。一方、多量二次ガス流通孔13b,13cを通って二次ガス制御部品13の内部に流れ込んだ二次ガスG2は、図2における溶射ワイヤ3及び一次ガスG1の下部や側部(図2中の紙面表裏両側)の領域に達する。
多量二次ガス流通孔13b,13cを通って二次ガス制御部品13の内部に流れ混む二次ガスG2は、少量二次ガス流通孔13aを通って二次ガス制御部品13の内部に流れ混む二次ガスG2に対し、ガス流通孔(貫通孔)の開口面積が大きい分多量となる。特に、多量二次ガス流通孔13bが位置する下部側では、流れの下流側でもあることから二次ガスG2は多量となる。すわわち、本実施形態では、溶射ガン本体10内を通して送られる二次ガスG2を、溶滴M及び一次ガスG1の外側に流れるように放出口5から放出し、その際二次ガスG2の量を、溶射ガン1の移動方向前方側の領域で他の領域より多くしている。
このため、溶射ガン1の移動方向前方側の領域においては、多量の二次ガスG2によって、一次ガスG1により放出される溶滴Mの外側部分の低温の溶滴Mbが吹き飛ばされる。図2、図4は、高温の溶滴Maの周囲を囲むように放出される低温の溶滴Mbのうち下部側の溶滴Mbが、吹き飛ばされることによって、上部の低温の溶滴Mbに比較して極めて少量となっているか、もしくは、ほとんど存在しない状態を示す。
高温の溶滴Maと低温の溶滴Mbの放出口5側から見た分布は、図4のA矢視図である図5に示すようになる。図5では、高温の溶滴Maが存在する領域を示す小さい円と、その外側で低温の溶滴Mbが存在する領域を示す大きい円とが、溶射ガン1の移動方向前方に対応する図5中の下部にて互いにほぼ接触している。この場合、溶射ガン1の移動方向前方側に対応する図5中の下部側の領域では、高温の溶滴Maが支配的であって低温の溶滴Mbがほとんど存在せず、上部から下部に向けて低温の溶滴Mbの量が徐々に減少している。
この状態で、図4のように溶射ガン1を下方に向けて移動させつつ溶射を行うと、溶射ガン1の移動方向前方に高温の溶滴Maが主として存在するので、母材であるワークWの被溶射面Wsには、高温の溶滴Maが付着して高温被膜層Naが形成される。高温被膜層Naの上には、溶射ガン1の移動方向後方に主として存在する低温の溶滴Mbが付着して低温被膜層Nbが形成される。なお、被溶射面Wsは、溶射皮膜の密着力をより高めるために、凹凸形状部としている。凹凸形状部は、例えばねじ切り加工によって形成する。低温の溶滴Mbによる低温被膜層Nbは、溶射後の後加工としてホーニング加工を行う際に除去する。
この場合、高温の溶滴Maが被溶射面Wsに直接付着して溶射皮膜を形成するので、低温の溶滴Mbが被溶射面Wsに直接付着する場合に比較して溶滴Maがより密着しやすくなり、溶射皮膜の被溶射面Wsへの密着性を高めることができる。
また、本実施形態では、溶射ガン1は、ワークWの被溶射面Wsに対し、溶射ガン1の先端側と基端側とを結ぶ軸線方向に移動し、この移動向前方側の領域で他の領域より二次ガスG2の量を多くしている。この多量の二次ガスG2によって、溶射ガン1の移動方向前方側の領域に存在する低温の溶滴Mbを吹き飛ばし、高温の溶滴Maを被溶射面Wsに直接付着させることができる。
なお、図3に示す二次ガス制御部品13の多量二次ガス流通孔13b,13cは、リブ13fによって隔てられて互いに個別の貫通孔としているが、強度的に支障がなければ円周方向に連続した1つの貫通孔としてもよい。
本発明の第2の実施形態に係わる図6、図7に示す溶射ガン1Aは、第1の実施形態で使用した図3の二次ガス制御部品13に代えて、図8に示す二次ガス制御部品13Aを使用する。その他、溶射ガン1Aの溶射ガン本体10などの構成は第1の実施形態と同様である。
図8に示す二次ガス制御部品13Aは、図3の二次ガス制御部品13と同様に、溶射ガン本体10への組み付け時にて上部に位置する円形の二つの少量二次ガス流通孔13Aaを備えている。また、2つの少量二次ガス流通孔13Aa相互間の側面に、溶射ガン本体10に対する位置決め用の切欠部13Adを備えている。
また、二次ガス制御部品13Aは、2つの少量二次ガス流通孔13Aaを上部側として、溶射ガン本体10に組み付けた状態で、図6中で左右両側に位置し、少量二次ガス流通孔13aよりも開口面積の大きい長孔形状の2つの多量二次ガス流通孔13Ab,13Acを備えている。二次ガス制御部品13Aの溶射ガン本体10への組み付け構造自体は、第1の実施形態による二次ガス制御部品13と同様である。
ここで、長孔形状の2つの多量二次ガス流通孔13Ab,13Acは、円周方向の長さがほぼ同じであり、2つの少量二次ガス流通孔13Aaとの間に、壁部13Aeが形成される。しかし、2つの多量二次ガス流通孔13Ab,13Acのうち図6中で左側に位置する多量二次ガス流通孔13Abは、上記の円周方向の長さに直交する幅寸法(図6中で紙面に直交する方向の幅寸法)が、図6中で右側に位置する多量二次ガス流通孔13Acの同幅寸法よりも大きい。
つまり、多量二次ガス流通孔13Abの開口面積が、多量二次ガス流通孔13Acの開口面積よりも大きい。このため、二次ガスG2は、二次ガス制御部品13Aの外側の環状流路19を経て貫通孔から二次ガス制御部品13Aの環状の内側に流れ込む際に、開口面積の大きい多量二次ガス流通孔13Abを通して流れ込む量が最も多くなる。
第2の実施形態では、溶射ガン1Aを、図9に示す例えば内燃機関のシリンダボア内面のような、被溶射面Wsが円形の内面に対し、矢印X方向に回転させながら溶射を行う。その際、溶射ガン1Aは、回転移動方向前方側に、より多くの二次ガスG2を放出する多量二次ガス流通孔13Abが位置するように設定する。すなわち、本実施形態では、溶射ガン1Aは、円形の内面で構成される被溶射面Wsに沿って回転移動しながら溶射を行い、溶射ガン1Aの回転移動方向前方側の領域で他の領域よりも二次ガスG2の量を多くする。なお、図9において、溶射ガン1Aはその軸心Yが円形の内面の中心と一致しており、軸心Yを中心として回転する。
これにより、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に、溶射ガン1Aの移動方向前方側に相当する回転移動方向前方側の領域において、中央の高温の溶滴Maの外側に放出される低温の溶滴Mbが多量の二次ガスG2によって吹き飛ばされる。その結果、図9の平面図で示すように、溶射ガン1Aの回転方向前方側(図9中で左側)の領域に高温の溶滴Maが主として存在し、回転方向後方側(図9中で右側)の領域に低温の溶滴Mbが存在することになる。
高温の溶滴Maと低温の溶滴Mbの放出口5側から見た分布は、図9のB矢視図である図10に示すようになる。図10では、高温の溶滴Maが存在する領域を示す小さい円と、その外側で低温の溶滴Mbが存在する領域を示す大きい円とが、溶射ガン1Aの回転移動方向前方に対応する図10中の左側の領域にて互いにほぼ接触している。この場合、溶射ガン1の回転移動方向前方側に対応する図10中の左側の領域では、高温の溶滴Maが支配的であって低温の溶滴Mbがほとんど存在せず、右側から左側に向けて低温の溶滴Mbの量が徐々に減少している。
この状態で、図9のように溶射ガン1Aを矢印X方向に向けて回転移動させつつ溶射を行うと、溶射ガン1Aの回転移動方向前方に高温の溶滴Maが主として存在する。このため、母材であるワークWの被溶射面Wsには、第1の実施形態による図4に示したように高温の溶滴Maが付着して高温被膜層Naが形成され、高温被膜層Naの上には、溶射ガン1Aの回転移動方向後方に主として存在する低温の溶滴Mbが付着して低温被膜層Nbが形成される。
第2の実施形態においても、高温の溶滴Maが被溶射面Wsに直接付着して溶射皮膜を形成するので、低温の溶滴Mbが被溶射面Wsに直接付着する場合に比較して溶滴Maがより密着しやすくなり、溶射皮膜の被溶射面Wsへの密着性を高めることができる。
また、本実施形態では、溶射ガン1Aは、ワークWの円形の被溶射面Wsに沿って回転移動しながら溶射し、この回転移動向前方側の領域で他の領域より二次ガスG2の量を多くしている。この多量の二次ガスG2によって、溶射ガン1Aの回転移動方向前方側の領域に放出される低温の溶滴Mbを吹き飛ばし、高温の溶滴Maを被溶射面Wsに直接付着させることができる。
また、前記した各実施形態では、環状部材で構成した二次ガス制御部品13,13Aは、溶射ガン1,1Aの移動(回転)方向前方側に位置する貫通孔が他の位置にある貫通孔よりも大きくなっている。このため、大きい貫通孔を備える溶射ガン1,1Aの移動(回転)方向前方側の領域に多量の二次ガスG2を流すことができ、多量の二次ガスG2により溶射ガン1,1Aの移動(回転)方向前方側の領域の低温の溶滴Mbを容易に吹き飛ばすことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
例えば、第2の実施形態において、溶射ガン1Aをシリンダボアのような円形の内面に対して回転させながら溶射を行う際に、溶射ガン1Aを円形の内面の軸方向に沿って移動させてもよい。この場合には、溶射ガン1Aは円形の内面に対して螺旋形状を描くように回転しながら軸方向に移動することになる。このため、図8に示した二次ガス制御部品13Aの開口面積が大きい多量二次ガス流通孔13Abは、螺旋形状の回転方向前方に位置するようにする。
これにより、溶射ガン1Aの螺旋形状の回転方向前方側の領域において、低温の溶滴Mbを多量二次ガス流通孔13Abからの多量の二次ガスG2により吹き飛ばして高温の溶滴Maを存在させることができ、高温の溶滴Maを円形の内面に付着させることができる。
1,1A 溶射ガン
3 溶射ワイヤ(溶射用材料)
5 放出口
9 一次ガス流路
11 二次ガス流路
13,13A 二次ガス制御部品(ガス流量制御部材)
13a,13Aa 少量二次ガス流通孔(貫通孔)
13b,13c,13Ab,13Ac 多量二次ガス流通孔(貫通孔)
19 環状流路
W ワーク
Ws ワークの被溶射面(円形の内面)
G1 一次ガス
G2 二次ガス
M 溶滴
Ma 高温の溶滴
Mb 低温の溶滴

Claims (5)

  1. 溶射ガン内を順次送られる溶射用材料をアークによって溶融させ、この溶融させた溶滴を、前記溶射ガン内を通して送られる一次ガスによって放出口から放出してワークの被溶射面に付着させる溶射方法であって、
    前記溶射ガン内を通して送られる二次ガスを前記溶滴及び一次ガスの外側に流れるように前記放出口から放出し、
    前記放出口から放出される二次ガスの量を、前記溶射ガンの移動方向前方側の領域で他の領域より多くすることを特徴とする溶射方法。
  2. 前記溶射ガンは、前記ワークの被溶射面に対し、溶射ガンの先端側と基端側とを結ぶ軸線方向に移動し、この移動向前方側の領域で他の領域より前記二次ガスの量を多くすることを特徴とする請求項1に記載の溶射方法。
  3. 前記ワークの被溶射面は円形の内面であり、前記溶射ガンは、前記円形の内面に沿って回転移動しながら溶射を行い、前記溶射ガンの前記回転移動方向前方側の領域で他の領域より前記二次ガスの量を多くすることを特徴とする請求項1に記載の溶射方法。
  4. 溶射ガン内を順次送られる溶射用材料をアークによって溶融させ、この溶融させた溶滴をガスによって放出してワークの被溶射面に付着させる溶射装置であって、
    前記溶射ガンは、
    前記溶融させた溶滴を放出口から外部に放出させる一次ガスが流れる一次ガス流路と、
    前記放出口から放出される溶滴及び一次ガスの外側に流れるように前記放出口から放出される二次ガスが流れる二次ガス流路と、
    前記二次ガス流路の下流側に設けられ、前記二次ガスの量を前記溶射ガンの移動方向前方側の領域で他の領域より多くするガス流量制御部材と、
    を備えていることを特徴とする溶射装置。
  5. 前記ガス流量制御部材は、前記一次ガスが環状の内部を通過する環状部材で構成され、
    前記ガス流量制御部材が収容される溶射ガン本体とガス流量制御部材の外周面との間に、前記二次ガス流路に連通する環状流路が設けられ、
    前記ガス流量制御部材は、前記環状流路とガス流量制御部材の環状の内側とを連通する貫通孔が複数設けられ、
    前記貫通孔は、前記溶射ガンの移動方向前方側に位置するものが他の位置にあるものよりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の溶射装置。
JP2014059477A 2014-03-24 2014-03-24 溶射方法及び溶射装置 Active JP6287418B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014059477A JP6287418B2 (ja) 2014-03-24 2014-03-24 溶射方法及び溶射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014059477A JP6287418B2 (ja) 2014-03-24 2014-03-24 溶射方法及び溶射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015183215A JP2015183215A (ja) 2015-10-22
JP6287418B2 true JP6287418B2 (ja) 2018-03-07

Family

ID=54350115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014059477A Active JP6287418B2 (ja) 2014-03-24 2014-03-24 溶射方法及び溶射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6287418B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MX369198B (es) * 2016-03-23 2019-10-31 Nissan Motor Antorcha de pulverización térmica.

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4492337A (en) * 1983-02-28 1985-01-08 Tafa Incorporated Metal spray
JPS62107865A (ja) * 1985-11-06 1987-05-19 Nippon Steel Corp 加工プラズマの点孤方法
JP2000351090A (ja) * 1999-06-10 2000-12-19 Ehime Prefecture レーザ溶射用ノズル
US7045172B2 (en) * 2003-07-31 2006-05-16 Praxair S.T. Technology, Inc. Method of shielding effluents in spray devices
JP4496783B2 (ja) * 2004-01-16 2010-07-07 トヨタ自動車株式会社 溶射装置と溶射方法
US20060024440A1 (en) * 2004-07-27 2006-02-02 Applied Materials, Inc. Reduced oxygen arc spray
JP4566823B2 (ja) * 2005-05-25 2010-10-20 三菱重工食品包装機械株式会社 飲料容器の殺菌ノズル、飲料容器の殺菌方法、及び飲料容器の殺菌装置
JP4725543B2 (ja) * 2007-03-26 2011-07-13 トヨタ自動車株式会社 溶射装置
JP2012126948A (ja) * 2010-12-14 2012-07-05 Toyota Motor Corp 溶射方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015183215A (ja) 2015-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2133199C (en) Welding assembly for feeding powdered filler material into a torch
US9295999B2 (en) Rotary atomizing painting device
JPS61181560A (ja) アーク溶射システム
JP2010510055A (ja) 噴霧器用の操業方法および対応する塗装器具
KR20180030392A (ko) 스프레이 노즐 내부의 유체를 회전시키는 장치, 그 장치를 포함하는 조립체, 및 코팅 장치
JP6473629B2 (ja) 静電噴霧装置
JP2009072703A (ja) 塗装装置
CA2556013C (en) Radius edge bell cup and method for shaping an atomized spray pattern
JP6287418B2 (ja) 溶射方法及び溶射装置
JP2015157244A (ja) スプレーガン
JP6434320B2 (ja) 溶射ガンおよびこれを備えた溶射装置
JP4111072B2 (ja) 円筒内面の溶射方法および溶射装置
US20180021875A1 (en) Apparatus for feeding welding wire and process gas to a welding device
JP4064712B2 (ja) アーク溶射トーチ用ヘッド
JP2002322552A (ja) インナー・トーチ
JP5523928B2 (ja) アーク溶射装置
JP6449030B2 (ja) 溶射ガンおよびこれを備えた溶射装置
JP6449031B2 (ja) 溶射ガンおよびこれを備えた溶射装置
JP4033000B2 (ja) 溶射ガン装置
JP4596642B2 (ja) アーク溶射方法及び装置
CN219026259U (zh) 一种新型导电嘴座
WO2024161810A1 (ja) 静電霧化塗装機用ノズルヘッド
WO2015174384A1 (ja) 散水ノズル
JP2017217589A (ja) 溶射ガン、および、これを備えた溶射装置
JPH02170964A (ja) アーク溶射方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180122

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6287418

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151