JP2017217589A - 溶射ガン、および、これを備えた溶射装置 - Google Patents

溶射ガン、および、これを備えた溶射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内側の円筒部材と外側の円筒部材との間の隙間に溶射ヒューム等が入り込むことを抑制できる溶射ガンを提供すること。
【解決手段】本発明の溶射ガン200は、筒状の外側本体212と、外側本体212の内側で、外側本体212との間に隙間を空けて配置されている内側本体211と、内側本体211に内挿されており、溶射ワイヤWを通すための一対のワイヤ導管220と、内側本体211の先端側に設けられ、溶射ワイヤWに電力を供給する一対の給電チップ230と、外側本体212と内側本体211との間の隙間により構成される第3ガス流路253と、隙間の先端側であり、第3ガス流路253を流れるガスを外部に噴出させる噴出口253aとを備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、被溶射物に溶射被膜を形成する溶射ガン、および、これを備えた溶射装置に関する。
溶射装置を用いて行うアーク溶射においては、溶射ワイヤを溶射ガンに送給させつつアーク放電によって溶射ワイヤを溶融させる。溶融した溶射ワイヤはノズルから噴出されるガス流によって被溶射物へ噴き付けられ、当該被溶射物の表面に溶射被膜が形成される(たとえば、特許文献1を参照)。
特許文献1には、シリンダブロックのボア面(円筒内面)にアーク溶射処理を行うための溶射装置が記載されている。同文献に記載された溶射装置は、比較的に長尺な溶射ガンを備えている。溶射ガンは、ワイヤ導管およびガス流路が円筒部材の内部に設けられた構成である。当該溶射ガンをシリンダボア内に挿入した状態にてノズルからガス流を噴出し、ボア面に溶射被膜を形成する。ボア面への溶射被膜の形成は、溶射ガンおよびシリンダブロック(ボア面)を相対移動させながら行う。また、絶縁性を高めるために、円筒部材を内側の円筒部材と外側の円筒部材との二重構造にして、空気層を設けたものが開発されている。
ボア内に溶射ガンを挿入して行う溶射処理においては、ボア面(被溶射物)と溶射ガンとは比較的に近接している。このため、ボア面にて跳ね返った反射粒子や微細粒子の酸化物(溶射ヒューム)等が溶射ガンに付着しやすい。円筒部材を二重構造にした場合、内側の円筒部材と外側の円筒部材との間の隙間に、溶射ヒューム等が入り込んで、付着しやすい。そして、溶射ヒューム等の付着物が剥がれて落下し、ノズルからのガス流によって被溶射物の表面に噴き付けられるおそれがある。このような事態を招くと、溶射被膜の品質低下を招いてしまう。また、溶射ヒューム等が堆積して、絶縁破壊を引き起こす可能性もある。これらのことを回避するためには、定期的に清掃を行う必要があるので、溶射装置の稼働時間が低下してしまう。
特許第4496783号公報
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、内側の円筒部材と外側の円筒部材との間の隙間に溶射ヒューム等が入り込むことを抑制できる溶射ガンおよび溶射装置を提供することをその課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
本発明の第1の側面よって提供される溶射ガンは、筒状の外側本体と、上記外側本体の内側で、上記外側本体との間に隙間を空けて配置されている内側本体と、上記内側本体に内挿されており、溶射ワイヤを通すための一対のワイヤ導管と、上記内側本体の先端側に設けられ、上記溶射ワイヤに電力を供給する一対の給電チップと、上記外側本体と上記内側本体との間の隙間により構成されるガス流路と、上記隙間の先端側であり、上記ガス流路を流れるガスを外部に噴出させる噴出口とを備えていることを特徴とする。この構成によると、外側本体と内側本体との間の隙間を通ったガスが噴出口から外部に噴出する。したがって、外側本体と内側本体との間の隙間に、溶射ヒューム等が入り込むことを抑制できる。
好ましい実施の形態においては、上記溶射ガンは、上記外側本体と上記内側本体との間の隙間の一部を狭くする突出部をさらに備えている。この構成によると、外側本体と内側本体との間の隙間からなるガスの流路が、突出部の位置で狭くなる。したがって、ガスの流速を速めることができる。
好ましい実施の形態においては、上記突出部は、上記内側本体の外周面に、上記内側本体が延びる方向である軸方向に略直交する方向に突出し、周方向に延びるように形成されている。この構成によると、内側本体の外周面に形成された突出部によって、ガスの流速を速めることができる。
好ましい実施の形態においては、上記突出部は、上記外側本体の内周面に、上記外側本体が延びる方向である軸方向に略直交する方向に突出し、周方向に延びるように形成されている。この構成によると、外側本体の内周面に形成された突出部によって、ガスの流速を速めることができる。
好ましい実施の形態においては、上記突出部は、上記外側本体と上記内側本体との間の隙間の先端付近に形成されている。この構成によると、ガスの流速を速めたままの状態で、噴出することができる。
好ましい実施の形態においては、上記外側本体の内周面および上記内側本体の外周面の、上記外側本体および上記内側本体が延びる方向である軸方向に直交する断面は、円形状である。この構成によると、外側本体と内側本体との間の隙間を、全周にわたって均一な幅とすることができる。
好ましい実施の形態においては、上記外側本体と上記内側本体とは、中心軸を実質的に一致させている。この構成によると、外側本体と内側本体との間の隙間の偏りを抑制することができる。
好ましい実施の形態においては、上記内側本体は、当該内側本体の先端部分に設けられ、上記内側本体が延びる方向である軸方向の先端側である第1方向に向けてガスを噴出する第1のノズルと、前記第1のノズルに供給するためのガスを流す第1ガス流路とを備えており、上記外側本体は、当該外側本体の先端部分に設けられ、上記第1方向に略直交する第2方向に向けてガスを噴出する第2のノズルと、前記第2のノズルに供給するためのガスを流す第2ガス流路とを備えている。この構成によると、第1方向に向けてガスを噴出しつつ、第2方向に向けてもガスを噴出することができる。
好ましい実施の形態においては、上記ガス流路に供給されるガスは、上記第2ガス流路に供給されるガスに比べて、小さい流量に制御される。この構成によると、外側本体と内側本体との間の隙間を通って噴出するガスが、第2のノズルより噴出されたガスの妨げにならないようにできる。
本発明の第2の側面よって提供される溶射装置は、本発明の第1の側面よって提供される溶射ガンと、上記溶射ガンに溶射ワイヤを送り込むワイヤ送給手段と、上記溶射ガンにガスを送り込むガス供給手段と、上記溶射ガンに電力を供給する電力供給手段とを備えることを特徴とする。
本発明によると、外側本体と内側本体との間の隙間を通ったガスが噴出口から外部に噴出する。したがって、外側本体と内側本体との間の隙間に、溶射ヒューム等が入り込むことを抑制できる。これにより、溶射ヒューム等が付着して堆積することを抑制できるので、付着物が剥がれて被溶射物の表面に噴き付けられて溶射被膜の品質低下を招くことや、絶縁破壊を引き起こすことを抑制できる。また、清掃の回数を減らすことができるので、溶射装置の稼働時間を増加させることができる。さらに、外側本体と内側本体との間の隙間を通るガスによって、外側本体および内側本体を冷却することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明に係る溶射ガンを備えた溶射装置の一例を示す全体概略図である。 本発明に係る溶射ガンの一例を示す正面図である。 図2のIII−IIIに沿う断面の部分拡大図である。 図3のIV−IVに沿う断面の部分拡大図である。 図3のV−Vに沿う断面図である。 本発明に係る溶射ガンの他の実施例を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る溶射ガンの他の実施例を示す断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、本発明に係る溶射ガンを備えた溶射装置の一例を示す全体概略図である。溶射装置100は、基台110と、この基台110上に起立する支持板120と、支持板120に設けられた一対のワイヤ送給機構130と、溶射ガン200と、電源部300と、ガス供給手段400と、を備えている。
基台110には、載置テーブル111が設けられ、この載置テーブル111上にワーク500(被溶射物)が置かれている。載置テーブル111は、ワーク移動機構112に支持されている。詳細な図示説明は省略するが、ワーク移動機構112は、水平面内でのスライド移動、昇降および回転の各動作を行うことが可能であり、ワーク移動機構112の動作によってワーク500に所望の動きを与えることができる。
本実施形態において、ワイヤ送給機構130は、ワイヤリール131、ガイドローラ132、送給ローラ133、およびモータ134を備えており、ワイヤリール131に巻き取られた溶射ワイヤWを溶射ガン200に向けて送り出すものである。
ワイヤリール131は、たとえば水平方向に延びる軸心回りに回転可能なリールに溶射ワイヤWが巻き取られた形態を有しており、回転しながら溶射ワイヤWを繰り出すことができる。ワイヤリール131から繰り出される溶射ワイヤWは、ガイドローラ132を経て下向きに方向を変え、溶射ガン200に至っている。なお、本実施形態においては、ワイヤ供給源としてワイヤリール131を用いる場合を示しているが、これに限られず、パックワイヤを用いるようにしてもよい。
送給ローラ133は、対をなすローラの少なくとも一方がモータ134によって駆動される。送給ローラ133は、ワイヤリール131に近接する位置と溶射ガン200に近接する位置との2箇所に設けられている。本実施形態においては、一対のワイヤ送給機構130の駆動により、溶射ワイヤWが対をなして溶射ガン200に供給される。
電源部300は、溶射ガン200に電力を供給するものである。電源部300からの電力は、定電圧制御されて給電ケーブル310を介して溶射ガン200に供給され、後述の給電部材215を介して給電チップ230に供給される。
ガス供給手段400は、溶射ガン200にガスを送り込むものであり、たとえばコンプレッサにより噴出された圧縮空気を、流量および圧力が制御された状態で溶射ガン200に送り込む。本実施形態においては、ガスは、3つの系統に分割されて、それぞれ、流量および圧力が制御された状態で供給される。なお、ガス供給手段400が供給するガスは、空気以外の気体であってもよい。また、供給先によって異なる気体を供給するようにしてもよい。
溶射ガン200は、被溶射物にアーク溶射を行うものであり、適所に設けられたブラケット140を介して支持板120に支持されている。図2〜4に示すように、溶射ガン200は、本体210と、一対のワイヤ導管220と、一対の給電チップ230と、一対のガイドライナ240と、3つのガス流路250とを備えている。
本体210は、内側本体211、外側本体212、および上部カバー213を含んで構成される。内側本体211および外側本体212は、所定の軸方向に長状に延びる円筒形状とされている。
外側本体212は、真鍮などの金属製であり、上端(基端)および下端(先端)が開口している。下端の開口は、下端側に行くほど段階的に小さくなるように形成されている。なお、下端の開口は、下端側に行くほど小さくなるテーパ状としてもよい。なお、外側本体212の材質は限定されない。
内側本体211は、下端側(先端側)の先端部211aが絶縁材料で形成され、その他は真鍮などの金属で形成されている。先端部211aを絶縁材料としているのは、内側本体211の先端に配置される給電チップ230や給電部材215を絶縁するためである。したがって、これらを絶縁状態で内側本体211の先端に配置するための絶縁部材を別途設けて内側本体211内部の先端側に配置するのであれば、内側本体211全体を金属製としてもよい。また、内側本体211全体を絶縁材料で形成するようにしてもよい。内側本体211の上端(基端)は開口しており、下端は先端部211aによって塞がれている。先端部211aには、給電チップ230を挿入するための2つの開口が設けられており、また、後述する第1ガス流路251を通ったガスを通過させるための2つの開口も設けられている。ガスを通過させるための開口が、後述するノズル216(第1吐出口216a)になる。
内側本体211は、外側本体212の内側に、両者の中心軸を実質的に一致させて、外側本体212との間に隙間を空けるようにして配置されている。これにより、内側本体211の外周面と外側本体212の内周面との間に空気の層が設けられている。なお、両者の中心軸は設計上一致させていればよく、組み立て時の誤差による微細なズレがあっても構わない。
内側本体211の外周面の下端側には、全周にわたってフランジ状に突出した突出部211bが形成されている。突出部211bの位置での内側本体211の外径は、外側本体212の内径より小さい。したがって、内側本体211を外側本体212の内側に配置した状態でも、突出部211bは外側本体212の内周面に接さず、外側本体212の内周面との間に隙間が設けられるようになっている。本実施形態においては、突出部211bは、先端部211aの外周面に形成されている。なお、突出部211bが形成される位置は、先端部211aに限定されず、内側本体211の外周面であればよい。ただし、より下端側に形成されるのが望ましい。
上部カバー213は内側本体211および外側本体212の上端(基端)を塞いでいる。
ワイヤ導管220は、溶射ワイヤWを通すものであり、たとえば銅管などの金属製パイプによって構成される。ワイヤ導管220は内側本体211に内挿されており、ワイヤ導管220の下部は、内側本体211の下端寄りに設けられた絶縁部材214を介して当該内側本体211に支持されている。ワイヤ導管220の上部は、上部カバー213を貫通して本体210の上端側(基端側)から外部に延びている。ワイヤ導管220は、内側本体211の軸方向と略平行に延びている。各ワイヤ導管220の下端は、金属製の給電部材215に接続されている。
給電チップ230は、給電部材215に取り付けられている。給電部材215は、ワイヤ導管220と給電チップ230との間に位置しており、一対の給電チップ230に対応するように対をなして設けられている。より詳細には、給電部材215の下端(先端)部には雌ねじが形成され、また、給電チップ230の上端(基端)部には雄ねじが形成されており、雌ねじに雄ねじを螺合することによって給電チップ230が給電部材215に取り付けられる。このようにして、給電チップ230は内側本体211の下端側(先端側)に着脱可能に設けられている。
一対の給電部材215に形成された一対の雌ねじは、内側本体211の軸方向に対して傾斜して延びる。そして、図4によく表れているように、一対の給電部材215に取り付けられた一対の給電チップ230については、互いの中心軸線O1が本体210の先端に向かうほど近接している。これら中心軸線O1は、本体210の先端側外方において交わっており、当該交点がアーク点Oxとして設定される。
一対のガイドライナ240は、それぞれ一対のワイヤ導管220に内挿されている。ガイドライナ240は、可撓性を有する筒状とされており、溶射ワイヤWを挿通させることによってこの溶射ワイヤWを案内する機能を果たす。ガイドライナ240を構成する材料としては、溶射ワイヤWの摺動抵抗の小さいものが好ましい。そのような材料としては、たとえばテフロン(登録商標)樹脂などの合成樹脂を挙げることができる。
各ガイドライナ240は、ワイヤ導管220の全長にわたって内挿される。図4によく表れているように、ガイドライナ240の下端部(先端部)は、給電チップ230の基端部に内挿されており、給電チップ230の中心軸線O1に沿って延びている。図2に表れているように、ガイドライナ240の上端部(基端部)は、ワイヤ導管220の上端(基端)から突出して外部に延びている。
図3、図4に示すように、本体210の先端部には、溶射ガスを外部に噴出するためのノズル216が設けられている。本実施形態において、ノズル216は、第1吐出口216aおよび第2吐出口216bを含んで構成される。これら第1吐出口216aおよび第2吐出口216bは、互いに異なる方向を向いている。
第1吐出口216aは、内側本体211の先端部211aに形成されており、本体210の軸方向であって当該本体210の先端側である方向x(第1方向)を向いている。第2吐出口216bは、外側本体212の下垂部分の先端に形成されている。第2吐出口216bは、方向xと略直交する方向y(第2方向)を向いている。図4に表れているように、第2吐出口216bは、複数の長孔を含む。なお、ノズル216の数、配置場所、吐出方向は、上述したものに限定されない。
ガス流路250は、本体210の内部に設けられており、ガスを流すための流路である。本実施形態においては、ガス流路250として、第1吐出口216aまでガスを流す第1ガス流路251、第2吐出口216bまでガスを流す第2ガス流路252、および、第3ガス流路253を備えている。
第1ガス流路251は、内側本体211の内側空間によって構成されており、内側空間の大部分を占めているので、比較的に大きな容積である。また、内側本体211の外径寸法に対して第1ガス流路251の占有する断面積は比較的大きい。ワイヤ導管220は、第1ガス流路251において露出しており、このようにして、ワイヤ導管220は、第1ガス流路251内に配置されている。第1ガス流路251を流れるガスは、第1吐出口216aから噴出する。
第2ガス流路252は、外側本体212の側壁内部に、軸方向に延びるように形成され、外側本体212の下垂部分の先端まで延びている。第2ガス流路252を流れるガスは、第2吐出口216bから噴出する。なお、外側本体212を2重構造とし、内側の側壁と外側の側壁との間に、第2ガス流路252としてのホースを配置するようにしてもよい。
第3ガス流路253は、内側本体211と外側本体212との間に設けられた隙間である。当該第3ガス流路が、本発明の「ガス流路」に相当する。第3ガス流路253を流れるガスは、内側本体211と外側本体212との隙間の下端(先端)側である噴出口253aから噴出する。噴出口253aは、給電チップ230を取り囲むような、ドーナツ型になる。第3ガス流路253は、突出部211bの位置で流路が狭くなっている。したがって、第3ガス流路253を流れるガスは、流量が小さくても、流速が早められる。
第1ガス流路251、第2ガス流路252および第3ガス流路253には、それぞれ個別に流量および圧力が制御されたガスが、ガス供給手段400より供給される。第3ガス流路253に供給されるガスは、第2吐出口216bより噴出される溶射ガスの妨げにならないように、流量を比較的小さくするように制御されている。第3ガス流路253を通過するガスは、突出部211bの位置を通過する際に流速が早められて、所定の流速(例えば40[m/s])以上になる。
次に、上記した溶射ガン200および溶射装置100を用いてワーク500に溶射処理を行う手順について説明する。
図1に示すように、ワーク500としてはシリンダブロックが用いられ、このシリンダブロック(ワーク500)のボア面S(円筒内面)に対して溶射処理を行う。ボア面Sに対する溶射処理は、溶射ガン200(本体210)をボア面Sの内側に挿入した状態で行う。
溶射装置100を用いて行う溶射作業時には、ワイヤ送給機構130によって溶射ガン200に溶射ワイヤWが送給される。送給された溶射ワイヤWは、ガイドライナ240内を挿通し、このガイドライナ240によってガイドされながらワイヤ導管220内を進む。そして、溶射ワイヤWは、ガイドライナ240の下端部を経て給電チップ230へ送られ、給電チップ230に接触しながら中心軸線O1に沿ってアーク点Oxに向かう。
溶射ガン200には電源部300によって電力が供給される。溶射ワイヤWが給電チップ230に接触することにより、給電部材215から給電チップ230を介して溶射ワイヤWに電力供給される。そして、一対の給電チップ230から送り出された一対の溶射ワイヤWがアーク点Oxで短絡することによって、一対の溶射ワイヤWの先端間にアークが発生する。
溶射ガン200にはまた、ガス供給手段400からの圧縮ガスが送り込まれる。当該ガスは、第1ガス流路251および第2ガス流路252を通過し、ノズル216(第1吐出口216aおよび第2吐出口216b)から噴出される。当該噴出された溶射ガスは、溶射ワイヤWの先端のアークに吹き付けられ、溶融金属が液滴や微粒子状となってボア面S(被溶射物の表面)に溶射被膜が形成される。溶射処理に際し、ボア面Sは、ワーク移動機構112(図1参照)によって中心軸周りに回転させられる。
本実施形態では、溶射処理中に、ガス供給手段400からの圧縮ガスが、第3ガス流路253に供給され、内側本体211と外側本体212との隙間の下端側(先端側)から噴出する。また、溶射処理中以外でも、図示しない操作部の操作(例えば操作ボタンの押圧)によって、第3ガス流路253に圧縮ガスを供給して、噴出させることもできる。
次に、上記した実施形態に係る溶射ガン200および溶射装置100の作用について説明する。
本実施形態の溶射ガン200においては、図3に示したように、ガス供給手段400からの圧縮ガスが、第3ガス流路253を通過し、内側本体211と外側本体212との隙間の下端側(先端側)から噴出する。したがって、内側本体211と外側本体212との間の隙間に、溶射ヒューム等が入り込むことを抑制できる。これにより、溶射ヒューム等が当該隙間に付着して堆積することを抑制できる。したがって、付着物が剥がれて被溶射物の表面に噴き付けられて、溶射被膜の品質低下を招くことを抑制できる。また、付着物によって絶縁破壊を引き起こすことも抑制できる。また、これらの予防のために付着物を除去する清掃作業の回数を削減することができるので、溶射装置100の稼働時間を増加させることができる。さらに、第3ガス流路253を通るガスによって、内側本体211および外側本体212を冷却することができる。
また、本実施形態の溶射ガン200においては、内側本体211の外周面の下端側には突出部211bが形成されている。したがって、第3ガス流路253は、突出部211bの位置で流路が狭くなっている。よって、第3ガス流路253を流れるガスの流速は、突出部211bの位置を通過する際に所定の流速以上に早められる。これにより、第3ガス流路253に供給されるガスの流量を、第2吐出口216bより噴出される溶射ガスの妨げにならない程度に抑制することができる。
また、溶射処理中以外でも、操作部の操作によって、第3ガス流路253にガスを供給して噴出させることができるので、溶射処理の前後に、内側本体211と外側本体212との隙間をガスによって清掃することができる。
また、本実施形態の溶射ガン200においては、第3ガス流路253を通過した圧縮ガスが、内側本体211と外側本体212との隙間の下端側(先端側)から下端方向に噴出する。したがって、第2吐出口216bの周辺に溶射ヒューム等が付着することを抑制することができる。これにより、溶射ヒューム等の付着により第2吐出口216bが塞がったり、第2吐出口216bからの溶射ガスの噴出方向が変化してしまうことを抑制することができる。
図6および図7は、溶射ガンの変形例を示している。以下の説明では、上記の溶射ガン200と同一または類似の要素については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図6(a)に示した溶射ガン201においては、内側本体211に突出部211bが設けられておらず、代わりに、外側本体212に突出部212aが形成されている点で、上記の溶射ガン200と異なっている。突出部212aは、外側本体212の内周面の下端側に、全周にわたって内側に突出するように形成されている。突出部212aの位置での外側本体212の内径は、内側本体211の外径より大きい。したがって、内側本体211を外側本体212の内側に配置した状態でも、突出部212aは内側本体211の外周面に接さず、内側本体211の外周面との間に隙間が設けられるようになっている。溶射ガン201においても、第3ガス流路253は、突出部212aの位置で流路が狭くなっている。したがって、第3ガス流路253を流れるガスは、流量が小さくても、流速が早められる。したがって、溶射ガン201においても、上記の溶射ガン200と同様の作用効果を奏する。
図6(b)に示した溶射ガン202においては、内側本体211の突出部211bに加えて、外側本体212にも突出部212aが形成されている点で、上記の溶射ガン200と異なっている。突出部212aは、外側本体212の内周面の下端側に、全周にわたって内側に突出するように形成されている。また、突出部212aは、突出部211bに対向するように形成されている。突出部212aの位置での外側本体212の内径は、突出部211bの位置での内側本体211の外径より大きい。したがって、内側本体211を外側本体212の内側に配置して、突出部212aと突出部211bとが対向する位置にあっても、突出部212aと突出部211bとは接触せず、突出部212aと突出部211bとの間に隙間が設けられるようになっている。溶射ガン202においても、第3ガス流路253は、突出部212aおよび突出部211bの位置で流路が狭くなっている。したがって、第3ガス流路253を流れるガスは、流量が小さくても、流速が早められる。したがって、溶射ガン202においても、上記の溶射ガン200と同様の作用効果を奏する。
なお、突出部211bおよび突出部212aの形状は限定されない。また、突出部211bおよび突出部212aは、必ずしも必要ではない。内側本体211と外側本体212との隙間をより狭くすれば、第3ガス流路253を流れるガスを、小さい流量でも所定の流速で噴出することができるので、突出部211bおよび突出部212aを設ける必要はない。また、ガスを所定の流速で噴出できるのであれば、突出部211bまたは突出部212aを設けて、さらに流速を大きくする必要はない。
図7(a)に示した溶射ガン203においては、内側本体211および外側本体212の軸に直交する断面が、内周面および外周面とも矩形状である点で、上記の溶射ガン200と異なっている。また、図7(b)に示した溶射ガン204においては、外側本体212の外周面の軸に直交する断面が矩形状である点で、上記の溶射ガン200と異なっている。溶射ガン203および溶射ガン204においても、上記の溶射ガン200および溶射装置100と同様の作用効果を奏する。つまり、内側本体211および外側本体212の形状は円筒形状に限定されない。
上記実施形態では、溶射ガン200を固定し、シリンダブロック(ワーク500)を回転させることで、ボア面S(円筒内面)に対して溶射処理を行う場合について説明したが、これに限られない。溶射ガン200を中心軸周りに回転させる回転機構を溶射装置100に設けて、シリンダブロック(ワーク500)を固定して、溶射ガン200を回転させるようにしてもよい。また、溶射ガン200のうち、内側本体211は固定して、外側本体212だけを中心軸周りに回転させるようにしてもよい。この場合でも、外側本体212の下垂部分の先端に形成されている第2吐出口216bが、外側本体212の回転に合わせて、ガスの吐出方向を変化させるので、ボア面Sの全周にわたって、溶射を行うことができる。
上記実施形態では、内側本体211が円筒形状で、内側空間を第1ガス流路251とした場合について説明したが、これに限られない。例えば、内側本体211を、ワイヤ導管220を内挿するための孔および第1ガス流路251が形成された、内部の詰まった円柱形状としてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
100 溶射装置
110 基台
111 載置テーブル
112 ワーク移動機構
120 支持板
130 ワイヤ送給機構
131 ワイヤリール
132 ガイドローラ
133 送給ローラ
134 モータ
140 ブラケット
200,201,202,203,204 溶射ガン
210 本体
211 内側本体
211a 絶縁部
211b 突出部
212 外側本体
212b 突出部
213 上部カバー
214 絶縁部材
215 給電部材
216 ノズル
216a 第1吐出口
216b 第2吐出口
220 ワイヤ導管
230 給電チップ
240 ガイドライナ
250 ガス流路
251 第1ガス流路
252 第2ガス流路
253 第3ガス流路(ガス流路)
253a 噴出口
300 電源部
310 給電ケーブル
400 ガス供給手段
500 ワーク(被溶射物)
O1 中心軸線
Ox アーク点
S ボア面(円筒内面)
W 溶射ワイヤ
x 方向(第1方向)
y 方向(第2方向)

Claims (10)

  1. 筒状の外側本体と、
    上記外側本体の内側で、上記外側本体との間に隙間を空けて配置されている内側本体と、
    上記内側本体に内挿されており、溶射ワイヤを通すための一対のワイヤ導管と、
    上記内側本体の先端側に設けられ、上記溶射ワイヤに電力を供給する一対の給電チップと、
    上記外側本体と上記内側本体との間の隙間により構成されるガス流路と、
    上記隙間の先端側であり、上記ガス流路を流れるガスを外部に噴出させる噴出口と、
    を備えていることを特徴とする溶射ガン。
  2. 上記外側本体と上記内側本体との間の隙間の一部を狭くする突出部をさらに備えている、請求項1に記載の溶射ガン。
  3. 上記突出部は、上記内側本体の外周面に、上記内側本体が延びる方向である軸方向に略直交する方向に突出し、周方向に延びるように形成されている、請求項2に記載の溶射ガン。
  4. 上記突出部は、上記外側本体の内周面に、上記外側本体が延びる方向である軸方向に略直交する方向に突出し、周方向に延びるように形成されている、請求項2に記載の溶射ガン。
  5. 上記突出部は、上記外側本体と上記内側本体との間の隙間の先端付近に形成されている、請求項2ないし4のいずれかに記載の溶射ガン。
  6. 上記外側本体の内周面および上記内側本体の外周面の、上記外側本体および上記内側本体が延びる方向である軸方向に直交する断面は、円形状である、請求項1ないし5のいずれかに記載の溶射ガン。
  7. 上記外側本体と上記内側本体とは、中心軸を実質的に一致させている、請求項6に記載の溶射ガン。
  8. 上記内側本体は、
    当該内側本体の先端部分に設けられ、上記内側本体が延びる方向である軸方向の先端側である第1方向に向けてガスを噴出する第1のノズルと、
    前記第1のノズルに供給するためのガスを流す第1ガス流路と、
    を備えており、
    上記外側本体は、
    当該外側本体の先端部分に設けられ、上記第1方向に略直交する第2方向に向けてガスを噴出する第2のノズルと、
    前記第2のノズルに供給するためのガスを流す第2ガス流路と、
    を備えている、
    請求項1ないし7のいずれかに記載の溶射ガン。
  9. 上記ガス流路に供給されるガスは、上記第2ガス流路に供給されるガスに比べて、小さい流量に制御される、請求項8に記載の溶射ガン。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の溶射ガンと、上記溶射ガンに溶射ワイヤを送り込むワイヤ送給手段と、上記溶射ガンにガスを送り込むガス供給手段と、上記溶射ガンに電力を供給する電力供給手段とを備えることを特徴とする溶射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111334741A (zh) * 2020-03-19 2020-06-26 深圳市佳士机器人科技有限公司 平面产品热喷涂设备

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