JP2012126948A - 溶射方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被加工物の品質向上を図るべく、エアノズルの噴出し口近傍に付着する溶射粒子を低減しつつ、溶融直後の溶射粒子の熱による、被加工物の熱変形の発生を防止することができる溶射方法を提供することを課題とする。
【解決手段】溶射ガン2は、ワイヤー粗材50の先端部を中心として回転可能に構成されつつ、被加工物100の筒状部100A内を同軸上に往復移動可能に構成され、回転しつつ「溶射噴霧化用圧縮空気52」が噴出される状態の溶射ガン2がアーク放電を開始し、その後溶射ガン2が筒状部100A内を往復移動することで、筒状部100Aの内周面100aに溶射を行う被膜形成工程201と、被膜形成工程201の完了後、アーク放電を開始することなく、回転しつつ「溶射噴霧化用圧縮空気52」が噴出される状態の溶射ガン2が筒状部100A内を往復移動する冷却・清掃工程202と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばアーク溶射によって、被加工物の筒状部の内周面に溶射被膜を形成する溶射方法の技術に関する。
従来から、例えばエンジンのシリンダブロックに形成されるシリンダボアなどのような、複数の筒状部を有する被加工物においては、各筒状部の内周面に耐摩耗性をもたらすために、アーク溶射が行われている。
前記アーク溶射は、溶射材の溶融によって生成された溶射粒子を被加工物に吹き付けて、溶射被膜を形成する表面処理法の一種である。
即ち、アーク溶射は、例えば(a)溶射材である二本のワイヤー粗材に高電圧を印加しつつ、互いの先端部を近接させてアーク放電を発生させ、(b)アーク放電によるジュール熱によって、ワイヤー粗材の先端部を溶融して溶射粒子を生成し、(c)エアノズルの噴出し口から噴出される圧縮空気によって、溶射粒子を被加工物の内周面に霧状に噴出して(吹き付けて)溶射被膜を形成する、といった一連の作業によって実施される。
一方、このような複数の筒状部を有する被加工物に対して、各筒状部の内周面にそれぞれアーク溶射を施す際は、生産性の向上を目的として、これら複数の筒状部に対して連続的に実施される。その結果、被加工物には、以下に示す理由によって品質低下が生じるおそれがあった。
即ち、第一の理由として、アーク溶射が施される筒状部には、溶融直後の溶射粒子によって熱が加えられる。そして、前記熱は複数の筒状部に対するアーク溶射が進むに従って被加工物に蓄積されていき、最終的に被加工物が高温状態となる。その結果、被加工物に熱変形が発生し、該被加工物の品質低下が生じるのである。
また、第二の理由として、被加工物の各筒状部内において、圧縮空気によって霧状に噴出された溶射粒子の一部は、前記筒状部の内周面で跳ね返って、溶射被膜を形成することなくエアノズルの噴出し口近傍に不完全な状態で付着しながら堆積される。そして、複数の筒状部に対してアーク溶射を順に実施していく際に、堆積された溶射粒子は粗大となり、エアノズルの噴出し口近傍から剥がれ落ちて筒状部の内周面に吹き付けられる。その結果、全ての筒状部に対するアーク溶射の完了後に行われる仕上げ加工によって、前記粗大粒子は筒状部の内周面より脱落し、該筒状部の内周面に形成される溶射被膜中には陥没穴などの欠陥が生じて、前記被加工物の品質低下が生じるのである。
このような、被加工物の品質低下につながる要因を排除しつつ、該被加工物に対してアーク溶射を行う溶射方法として、「特許文献1」によって示される技術が開示されている。
特開平8−134619号公報
前記「特許文献1」に示される溶射方法を用いれば、溶射被膜の形成途中において該溶射被膜の形成に用いられなかった溶射粒子を、溶射ガンのエアノズルの噴出し口近傍より効果的に排除することができるばかりか、被加工物へのアーク溶射の完了後、溶射材(ワイヤー粗材)は急速に冷却されて、余分な溶射粒子が生成されるのを防止することができる。よって、エアノズルの噴出し口近傍において不完全な状態で付着しながら堆積される溶射粒子は効果的に低減されることとなり、被加工物の品質低下を防止できるとも思われる。
しかし、前記「特許文献1」に示される溶射方法を用いても、溶融直後の溶射粒子の熱による、被加工物の熱変形の発生についてまでは防止することができず、依然として被加工物の品質低下を生じるおそれがあった。
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、被加工物の筒状部の内周面に溶射被膜を形成する溶射方法であって、被加工物の品質向上を図るべく、エアノズルの噴出し口近傍に付着する溶射粒子を低減しつつ、溶融直後の溶射粒子の熱による、被加工物の熱変形の発生を防止することができる溶射方法を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、高電圧を印加した複数のワイヤー粗材の先端同士を近接させてアーク放電を発生させることにより、前記ワイヤー粗材を溶融させて溶射粒子を形成し、該溶射粒子に第一の圧縮空気を噴出することにより、被溶射体に該溶射粒子を溶射する溶射ガンを用いて、前記被溶射体となる被加工物の筒状部の内周面に溶射被膜を形成する溶射方法であって、前記溶射ガンは、前記ワイヤー粗材の先端部を中心として回転可能に構成されるとともに、前記筒状部内を該筒状部の軸心方向に沿って同軸上に往復移動可能に構成され、回転するとともに、前記第一の圧縮空気が噴出される状態の溶射ガンにおいてアーク放電を開始し、アーク放電開始後の溶射ガンを、前記被加工物の筒状部内において往復移動させることで、前記筒状部の内周面に溶射を行う被膜形成工程と、該被膜形成工程の完了後に実施され、アーク放電を開始することなく、回転するとともに、前記第一の圧縮空気が噴出される状態の溶射ガンを、前記被加工物の筒状部内において往復移動させる冷却・清掃工程と、を備えるものである。
請求項2においては、請求項1に記載の溶射方法であって、前記溶射ガンは、前記被膜形成工程において、前記第一の圧縮空気の近傍、且つ前記溶射被膜が形成される直前の前記筒状部の内周面に吹き付けられる第二の圧縮空気を噴出し、前記冷却・清掃工程では、前記第二の圧縮空気も噴出されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明における溶射方法によれば、エアノズルの噴出し口近傍に付着する溶射粒子を低減しつつ、溶融直後の溶射粒子の熱による、被加工物の熱変形の発生を防止することが可能となり、筒状部の内周面に溶射被膜が形成された被加工物の品質向上を図ることができる。
本発明に係る溶射方法を具現化する、溶射工程の流れを示した工程図。 本発明に係る溶射方法に用いられる溶射装置において、溶射ガンのエアノズル近傍を示した正面図。 同じく側面図。 溶射工程を実行する溶射装置の状態を経時的に示した図であって、(a)は予め定められた位置に被加工物をセットする際の状態を示した一部断面図、(b)は被加工物に溶射粒子を噴霧する際の状態を示した一部断面図。 同じく、(a)は溶射被膜の形成後、被加工物より溶射ガンを退避させた状態を示した一部断面図、(b)は被加工物に圧縮空気のみを吹き付ける際の状態を示した一部断面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
[概要]
先ず、本発明の溶射方法を具現化する溶射工程200の概要について、図1を用いて説明する。
本実施例における溶射工程200は、主に被膜形成工程201と冷却・清掃工程202とを有して構成される。
前記被膜形成工程201は、例えばエンジンのシリンダブロックに形成されるシリンダボアなどのような、被加工物の筒状部の内周面に対して、実際にアーク溶射を施す際の工程である。
即ち、後述するように、被膜形成工程201では、溶射装置1に備えられる溶射ガン2(図2を参照)において、ワイヤー粗材50から生成された溶射粒子が、圧縮空気により前記筒状部の内周面に向かって吹き付けられ、該内周面に溶射被膜が形成される。
一方、冷却・清掃工程202は、被膜形成工程201の完了後に実施される工程であって、被加工物を冷却しつつ、溶射ガン2(より具体的には、エアノズル23の噴出し口近傍)に付着した溶射粒子を除去するための工程である。
即ち、後述するように、冷却・清掃工程202では、溶射粒子の生成を停止しつつ、該溶射粒子を吹き付けるための圧縮空気のみが前記筒状面の内周面に向かって吹き付けられる。その結果、前記圧縮空気が生み出すスワールによって溶射ガン2に付着した溶射粒子は除去されるとともに、前記圧縮空気によって被加工物は効果的に冷却される。
このように、本実施例における溶射工程200においては、被膜形成工程201の完了後に冷却・清掃工程202を設けて、溶射粒子を吹き付けるための圧縮空気を活用することで、溶射ガン2のエアノズル23の噴出し口近傍に付着する溶射粒子を低減しつつ、溶融直後の溶射粒子の熱による、被加工物の熱変形の発生を防止することとしている。
よって、本実施例における溶射工程200によれば、筒状部の内周面に溶射被膜が形成された被加工物の品質向上を図ることができるのである。
[溶射装置1]
次に、本実施例における溶射工程200に用いられる溶射装置1の全体的な構成について、図2および図3を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図3における矢印Aの方向を前方と規定して説明する。また、図2および図3においては、図面上の上下方向を溶射装置1の上下方向と規定して説明する。
図2に示すように、溶射装置1は、主に溶射ガン2や、溶射装置1全体の運転を制御する制御装置3などを有して構成される。
前記溶射ガン2は被加工物100の筒状部100A(図3を参照)内に挿入され、該筒状部100Aの内周面100aに向かって、微細な溶射粒子51を霧状に噴出(噴霧)させる部位である。
即ち、溶射ガン2は、本体部21やコンタクトチップ22やエアノズル23などにより構成される。
前記本体部21は溶射ガン2の基部となる部位であり、略円柱状の部材から形成されるとともに、上下方向に延出して配設される。また、本体部21の上方には図示せぬ供給装置が配設され、該供給装置によって、溶射材としてのワイヤー粗材50がコンタクトチップ22に供給されるようになっている。
本体部21の内部には、前記供給装置によって上方より供給された二本のワイヤー粗材50・50を、下方に向かって案内する複数のガイドローラー21a・21a・・・が、回転可能に支持されている。また、本体部21の下面には、二本のコンタクトチップ22・22が、下方に向かって延出するようにして配設される。
そして、本体部21の内部において、前記供給装置より供給された二本のワイヤー粗材50・50の先端部は、ガイドローラー21a・21a・・・によって下方へと導かれ、コンタクトチップ22・22へと繰出されるのである。
コンタクトチップ22は、ワイヤー粗材50にアーク放電を発生させるための電力を供給する部位である。
コンタクトチップ22は中空部材にて形成され、その内径寸法は、ワイヤー粗材50の外径寸法と略同程度に形成されて、ワイヤー粗材50が挿通可能となっている。
そして、本体部21の下面中央部において、このような形状からなる二本のコンタクトチップ22・22は、上端部に形成される雄螺子部22a・22aにより本体部21に螺着され、且つ下方に向かって延出するようにして、側面視において互いに略平行に配設される。
また、正面視において、二本のコンタクトチップ22・22は、互いにその下端部が、本体部21の軸心Gに向かって近接するようにして、傾倒させて配設される。つまり、二本のコンタクトチップ22・22は、下方へ向かうにつれて互いに近接するように傾斜して配置されている。
そして、本体部21の内部から繰出された二本のワイヤー粗材50・50の先端部は、各々コンタクトチップ22・22の先端部から延出して、本体部21の軸心G近傍において、互いに近接するのである。
一方、これらコンタクトチップ22・22には電圧電源25が接続されており、該電圧電源25は、制御装置3と電気的に連結される。
そして、制御装置3より送信される出力信号に基づいて、電圧電源25はコンタクトチップ22・22にそれぞれ高電圧を印加する。すると、コンタクトチップ22・22を介して、ワイヤー粗材50・50にも高電圧が印加され、互いに近接するこれらワイヤー粗材50・50の先端部の間隙にアーク放電が発生する。
その結果、前記アーク放電によるジュール熱によって、ワイヤー粗材50・50の先端部が溶融され、溶射粒子51となって該ワイヤー粗材50・50より脱落するのである。
エアノズル23は、ワイヤー粗材50・50より生成された溶射粒子51を、圧縮空気によって筒状部100Aの内周面100aに向かって霧状に噴出(噴霧)させる部位である。
エアノズル23は箱形状の部材からなり、下方に向かって延出するようにして、本体部21の下面に吊設される。
即ち、図3に示すように、本体部21の下面において、エアノズル23は、コンタクトチップ22・22に対して水平方向に離間しつつ、該コンタクトチップ22・22側の側面が該コンタクトチップ22・22と対向するようにして配設される。
コンタクトチップ22・22は、本体部21の下面における略中央部に位置しており、エアノズル23は、コンタクトチップ22・22よりも外周側に離間して配置されている。
なお、エアノズル23の上面部は略全面を開口されており、該上面部を介して、エアノズル23の内部は本体部21の内部と連通される。
また、図2に示すように、エアノズル23において、コンタクトチップ22・22と対向する側面(以下、「対向面23a」と記載する)には、切欠部23bと複数の貫通孔23c・23c・・・とが形成される。
前記切欠部23bは、対向面23aの下部において、左右方向に延出するようにして形成される。また、複数の貫通孔23c・23c・・・は、対向面23aの上下方向中央部、即ち正面視にて、コンタクトチップ22・22によって導かれたワイヤー粗材50・50の先端部の位置と、切欠部23bとの間において、上下方向に二列に分かれて配設されるようにして形成される。
一方、本体部21には、図示せぬコンプレッサーが配管部材などを介して連結されており、該コンプレッサーによって、本体部21の内部に圧縮空気が供給される。
そして、図3に示すように、本体部21の内部に供給された圧縮空気は、エアノズル23の内部へと導かれ、その後、前述した切欠部23bおよび複数の貫通孔23c・23c・・・を介して、気流52(以下、「溶射噴霧化用圧縮空気52」と記載する)となって、前記エアノズル23の外部へと噴出される。
このように、コンタクトチップ22・22の下方において、「溶射噴霧化用圧縮空気52」が略水平方向に噴出されることで、前記「溶射噴霧化用圧縮空気52」によって、ワイヤー粗材50より生成された溶射粒子51が筒状部100Aの内周面100aに向かって霧状に噴出(噴霧)される。
つまり、これら切欠部23bと複数の貫通孔23c・23c・・・は、溶融した溶射粒子51を霧状に噴霧する際に用いられる「溶射噴霧化用圧縮空気52」の噴出し口61として、エアノズル23に形成されるのである。
なお、本実施例の溶射ガン2においては、本体部21の下部側面に、複数の貫通孔21b・21b・・・を設けることとしている。
より具体的には、これら複数の貫通孔21b・21b・・・は、本体部21の下部側面、且つ側面視にて軸心Gより略前側(図3における矢印Aの方向側)の範囲において、略水平上に同一間隔を有して配設される。また、各貫通孔21b・21b・・・は、当該貫通孔21b・21b・・・が形成される箇所における本体部21の半径方向に対して傾斜している。各貫通孔21b・21b・・・は、本体部21の回転方向とは反対側に傾斜しており、その傾斜方向及び傾斜角度は、それぞれ同じに構成されている。
そして、本体部21の内部に供給された圧縮空気は、前述した噴出し口61を通じて、エアノズル23より外部へと噴出されるとともに、これら複数の貫通孔21b・21b・・・を通じても、本体部21の外部へと噴出される。
こうして、これら貫通孔21b・21b・・・を通じて噴出された圧縮空気は、水平方向、且つ平面視にて本体部21の半径方向に対して傾倒した方向に流れる気流53(以下、「清掃用圧縮空気53」と記載する)となって、筒状部100Aの内周面100aに向かって噴出されることとなり、未だ溶射被膜101が形成されていない内周面100aを清掃するための圧縮空気として利用される。
つまり、これら貫通孔21b・21b・・・は、「清掃用圧縮空気53」の噴出し口62として、本体部21に形成されるのである。
なお、「清掃用圧縮空気53」を噴出する噴出し口62の有無については、本実施例に限定されるものではないが、例えば、内周面100aにおける溶射被膜101の形成途中においては、該溶射被膜101より発生する湯煙によって、未だ溶射被膜101が形成されていない内周面100aに異物が付着する可能性もあり、このような異物を確実に排除するために、前記噴出し口62を本体部21に形成することが望ましい。
以上のような構成からなる溶射ガン2には、該溶射ガン2を駆動回転させる第一駆動手段4や、該溶射ガン2を上下方向に移動させる昇降手段5などが備えられる。
即ち、図2に示すように、第一駆動手段4は制御装置3と電気的に連結され、該制御装置3より送信される出力信号に基づいて、溶射ガン2を、本体部21の軸心Gを中心にして回転駆動させる。また、昇降手段5は制御装置3と電気的に連結され、該制御装置3より送信される出力信号に基づいて、溶射ガン2を、全体的に上下方向に移動させる。
ここで、制御装置3は記憶部や演算部を備えた、溶射装置1全体の運転を制御するための装置であり、溶射ガン2のコンタクトチップ22・22に接続される電圧電源25や、溶射ガン2に備えられる第一駆動手段4および昇降手段5などの動作を制御することにより、溶射装置1全体の運転の制御を行うように構成されているのである。
[溶射方法]
次に、本発明に係る溶射方法を具現化する、溶射装置1を用いた溶射方法について、図2乃至図4および図5を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図4および図5における矢印Aの方向を前方と規定して説明する。また、図4および図5においては、図面上の上下方向を溶射装置1の上下方向と規定して説明する。
本実施例における溶射装置1を用いた溶射方法は、前述したとおり、被膜形成工程201(図1を参照)と、該被膜形成工程201の完了後に実施される冷却・清掃工程202とを有して構成される溶射工程200によって具現化される。
そして、前記溶射工程200が実施される際は、被加工物100を所定の位置に移動させて保持するセット工程210が予め行われる。
先ず、セット工程210の具体的内容について説明する。
図4(a)に示すように、溶射ガン2は、予め定められた被加工物100の上方の位置(以下、「上限位置」と記載する)において、回転駆動を停止しつつ、コンタクトチップ22・22に高電圧が印加されていない状態によって保持されている。
なお、この際、圧縮空気は本体部21内に未だ供給されておらず、また二本のワイヤー粗材50・50については、各先端部がコンタクトチップ22・22より所定の位置にまで到達していない。
一方、被加工物100は、溶射ガン2の下方において、筒状部100Aの軸心方向が上下方向(溶射ガン2の軸心方向)となるようにして、治具110によって支持されるとともに、該治具110を介して位置割り出しユニット111の上面に固定保持される。
ここで、位置割り出しユニット111は、前後方向(図4(a)の矢印Bの方向)に往復移動可能に設けられた搬送機構であって、予め定められた複数の停止位置に正確に停止するようになっている。
また、本実施例における被加工物100は、例えばエンジンのシリンダブロックなどのような、複数の筒状部100A・100A・・・を有するものであって、これら筒状部100A・100A・・・が、位置割り出しユニット111の移動方向に沿って各々平行に配設されるようにして、該位置割り出しユニット111に固定保持されている。
そして、位置割り出しユニット111の上面に、被加工物100が固定保持されると、該位置割り出しユニット111は、第一の停止位置(図4(a)によって示されるように、最前方側の筒状部100Aと溶射ガン2とが同軸上となる位置)まで移動して停止し、セット工程210が完了する。
セット工程210が完了すると、溶射工程200(図1を参照)が開始される。
前記溶射工程200においては、先ず被膜形成工程201が実施される。
具体的には、位置割り出しユニット111が第一の停止位置に停止すると、該位置割り出しユニット111は、停止信号を制御装置3(図2を参照のこと)に送信する。
図2に示すように、該停止信号を受信した制御装置3は、第一駆動手段4に出力信号を送信する。そして、前記出力信号を受信した第一駆動手段4は、溶射ガン2の回転駆動を開始する。
一方、前記停止信号によって、本体部21の内部には圧縮空気が供給され、エアノズル23や本体部21に設けられる各々の噴出し口61・62を介して、該圧縮空気(より具体的には、「溶射噴霧化用圧縮空気52」および「清掃用圧縮空気53」。)が噴出される。
溶射ガン2の回転駆動が開始すると、制御装置3は、電圧電源25に出力信号を送信し、該出力信号を受信した電圧電源25は、二本のコンタクトチップ22・22に高電圧を印加する。
その後、制御装置3は、図示せぬ供給装置に出力信号を送信し、該出力信号を受信した前記供給装置は、溶射ガン2に向かって二本のワイヤー粗材50・50の繰出しを開始する。
ワイヤー粗材50・50の先端部の位置が所定の位置に到達すると、アーク放電が発生する。その結果、図3に示すように、ワイヤー粗材50・50の先端部は溶融され、溶射粒子51となって該ワイヤー粗材50・50より脱落するため、該先端部の位置は徐々に上方に移動する。
すると、再び制御装置3は、前記供給装置に出力信号を送信し、該出力信号を受信した前記供給装置は、ワイヤー粗材50・50の先端部の位置が所定の位置となるように、該ワイヤー粗材50・50を繰出す。
こうして、ワイヤー粗材50・50の先端部の位置は、遂次所定の位置に到達し、アーク放電が継続される。
その結果、ワイヤー粗材50・50が連続的に溶融されるとともに、溶融したワイヤー粗材50・50(より具体的には、溶射粒子51)がエアノズル23の噴出し口61より噴出される「溶射噴霧化用圧縮空気52」によって噴霧化されつつ、順次水平方向に吹き付けられる。
また、これと同時に、本体部21の噴出し口62より噴出される「清掃用圧縮空気53」も、水平方向、且つ前記「溶射噴霧化用圧縮空気52」の上方位置に吹き付けられる。
このように、溶射ガン2は、「上限位置」に保持された状態おいて、回転駆動と、これら「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」の噴出と、アーク放電とを開始する。
そして、アーク放電の開始から所定の時間が経過すると、再び制御装置3は昇降手段5に出力信号を送信し、該出力信号を受信した昇降手段5は、溶射ガン2の下降(下方への移動。以下同じ。)を開始する。
なお、溶射ガン2の下降の開始を、所定時間の経過後とするのは、アーク放電における電圧値が安定するのを待つためである。
下降を開始した溶射ガン2は、筒状部100A内に挿入される。
その際、下降に関する速度は、後述する上昇に関する速度に比べて速い速度(高速)に設定されているため、溶射ガン2より吹き付けられる溶射粒子51によって、筒状部100Aの内周面100aに溶射被膜101が形成されることはほとんどない。
その後、溶射ガン2が、予め定められた下方の位置(以下、「下限位置」と記載する)に到達すると、制御装置3は、昇降手段5(図2を参照)に出力信号を送信する。
すると、前記出力信号を受信した昇降手段5は、前記出力信号に基づいて溶射ガン2の下降を停止した後、該溶射ガン2の上昇(上方への移動。以下同じ。)を開始する。
なお、前記「下限位置」は、正面視において、アーク放電発生時における二本のワイヤー粗材50・50の先端部が、筒状部100Aの下端部と略同位置となり、溶射ガン2により吹き付けられる溶射粒子51が、該筒状部100Aの下端部にまで、十分に到達するような位置に設定される。
上昇を開始した溶射ガン2は、前述のとおり、下降する速度に比べて遅い速度(低速)で、筒状部100A内を上昇する。
この際、溶射ガン2は、依然として「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」を噴出しつつ回転駆動を継続しており、また、電圧電源25への高電圧の印加も継続されている。
よって、図4(b)に示すように、溶射ガン2は、筒状部100A内を回転駆動しつつ徐々に上昇しながら、エアノズル23の噴出し口61(図2を参照)より噴出する「溶射噴霧化用圧縮空気52」を用いて、前記筒状部100Aの内周面100aに、溶射粒子51を吹き付けていく。
その結果、筒状部100Aの内周面100aには、溶射被膜101が、下端部から上方に向かって徐々に形成されるのである。
なお、筒状部100Aの内周面100aにおいて、溶射ガン2の上昇の際には、本体部21の噴出し口62より噴出される「清掃用圧縮空気53」が、前記内周面100aにおける溶射被膜101が形成された部分の上方に、常に吹き付けられるようになっている。
つまり、溶射ガン2は、「清掃用圧縮空気53」を用いて、事前に筒状部100Aの内周面100a上に付着する異物を効果的に除去しながら、「溶射噴霧化用圧縮空気52」を用いて、溶射粒子を噴霧化し、溶射被膜101を形成していくのである。
筒状部100Aの内周面100aの全面にわたって溶射被膜101が形成され、溶射ガン2が再び「上限位置」に到達すると、制御装置3(図2を参照)は昇降手段5に出力信号を送信する。
すると、前記出力信号を受信した昇降手段5は、前記出力信号に基づいて溶射ガン2の上昇を停止する。
溶射ガン2の上昇が停止すると、制御装置3は、電圧電源25や図示せぬ供給装置に出力信号を送信する。
すると、前記出力信号を受信した電圧電源25は、前記出力信号に基づいて、二本のコンタクトチップ22・22への高電圧の印加を停止するとともに、前記出力信号を受信した供給装置は、前記出力信号に基づいて、溶射ガン2へのワイヤー粗材50の繰出しを停止する。
このように、電圧電源25によるコンタクトチップ22への高電圧の印加と、供給装置による溶射ガン2へのワイヤー粗材50の繰出しとの停止により、前記ワイヤー粗材50の先端部におけるアーク放電が停止され、溶射粒子51の生成が停止する。
また、溶射ガン2の上昇が停止すると、制御装置3は、第一駆動手段4に出力信号を送信する。そして、前記出力信号を受信した第一駆動手段4は、溶射ガン2の回転駆動を停止する。
一方、前記停止信号によって、本体部21の内部への圧縮空気の供給が停止され、エアノズル23や本体部21に設けられる各々の噴出し口61・62を介して噴出される、「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」が停止する。
こうして、図5(a)に示すように、溶射ガン2は、再び「上限位置」に到達した後、回転駆動と、これら「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」の噴出と、アーク放電とを停止することとなり、被膜形成工程201が完了する。
なお、被膜形成工程201の完了直後の状態において、被加工物100の筒状部100Aの内周面100a近傍は、溶射被膜101を形成する溶射粒子51(図3を参照)の熱によって高温状態となっており、また、溶射ガン2のエアノズル23の噴出し口61近傍(より具体的には、エアノズル23の側面部や、本体部21の外周面の下端部)には、例えば「溶射噴霧化用圧縮空気52」によって霧状に噴出した溶射粒子51の一部(以下、「溶射堆積物55」と記載する)が、剥離しやすい不完全な状態で付着されている。
被膜形成工程201が完了すると、冷却・清掃工程202が開始される。
具体的には、被膜形成工程201の完了後、制御装置3(図2を参照)は第一駆動手段4に出力信号を送信し、該出力信号を受信した第一駆動手段4は、再び溶射ガン2の回転駆動を開始する。
また一方では、本体部21の内部に再び圧縮空気が供給され、エアノズル23や本体部21に設けられる各々の噴出し口61・62を介して、「溶射噴霧化用圧縮空気52」と「清掃用圧縮空気53」が噴出される。
このように、溶射ガン2は、「上限位置」に保持された状態おいて、アーク放電を行うことなく、回転駆動と、「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」の噴出とのみを開始する。
その後、制御装置3は昇降手段5に出力信号を送信し、該出力信号を受信した昇降手段5は、溶射ガン2の下降を開始する。
下降を開始した溶射ガン2は、筒状部100A内に挿入される。
即ち、図5(b)に示すように、溶射ガン2は、「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」を略水平方向に向かって噴出しつつ、回転駆動しながら、筒状部100A内を下降していく。
溶射ガン2の下降の開始後、該溶射ガン2が「下限位置」に到達すると、制御装置3(図2を参照)は、昇降手段5に出力信号を送信する。
すると、前記出力信号を受信した昇降手段5は、前記出力信号に基づいて溶射ガン2の下降を一旦停止した後、直ちに溶射ガン2の上昇を開始する。
つまり、溶射ガン2は、回転駆動と、「溶射噴霧化用圧縮空気52」と「清掃用圧縮空気53」との噴出を継続しつつ、直ちに上昇を開始する。
その後、溶射ガン2は、再び「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」を略水平方向に向かって噴出しつつ、回転駆動しながら、筒状部100A内を上昇する。
そして、溶射ガン2が再び「上限位置」に到達すると、制御装置3は、昇降手段5に出力信号を送信し、該出力信号を受信した昇降手段5は、該出力信号に基づいて溶射ガン2の上昇を停止した後、直ちに溶射ガン2の下降を開始する。
こうして、筒状部100A内において、溶射ガン2は、予め定められた設定回数に基づき、上昇・下降による往復移動を継続することとなり、これによって、筒状部100Aの内周面100a近傍は効果的に冷却されるとともに、溶射ガン2に付着した「溶射堆積物55」は確実に除去される。
即ち、溶射ガン2の上昇・下降による往復移動によって、筒状部100Aの内周面100aには、これら「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」が、該内周面100aの上端部から下端部に渡って徐々に移動しながら吹き付けられることとなり、前記「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」によって、筒状部100Aの内周面100a近傍は冷却されることとなる。
また、筒状部100A内の狭い空間内において、溶射ガン2は回転駆動しながら、これら「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」を噴出するため、前記筒状部100A内では、前記「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」によってスワールが発生し、該スワールによって溶射ガン2に付着した「溶射堆積物55」(図5(a)を参照)は徐々に除去されていくのである。
なお、前述したように、「清掃用圧縮空気53」を噴出する噴出し口62(図3を参照)の有無については、本実施例に限定されるものではなく、「溶射噴霧化用圧縮空気52」のみによっても、溶射ガン2に付着した「溶射堆積物55」を十分に除去し得るスワールを発生させることが可能であるが、筒状部100A内の狭い空間内において、「溶射噴霧化用圧縮空気52」だけでなく、「清掃用圧縮空気53」も合せて噴出することで、より流れの激しいスワールを発生させることが可能となり、該スワールによって溶射ガン2に付着した「溶射堆積物55」を確実に除去することができるのである。
溶射ガン2の上昇・下降による往復移動が完了し、溶射ガン2が、再び「上限位置」に到達すると、制御装置3は昇降手段5に出力信号を送信する。
すると、前記出力信号を受信した昇降手段5は、前記出力信号に基づいて溶射ガン2の上昇を停止する。
溶射ガン2の上昇が停止すると、制御装置3は第一駆動手段4に出力信号を送信し、該出力信号を受信した第一駆動手段4は、溶射ガン2の回転駆動を停止する。
また一方では、本体部21の内部への圧縮空気の供給が停止され、エアノズル23や本体部21に設けられる各々の噴出し口61・62を通じて噴出される、「溶射噴霧化用圧縮空気52」や「清掃用圧縮空気53」が停止し、冷却・清掃工程202が完了するのである。
こうして、溶射工程200(図1を参照)は、セット工程210の完了後、被膜形成工程201、冷却・清掃工程202と順に実施することで完了する。
そして、被加工物100に対して、別途、アーク溶射を施す対象となる筒状部100A(例えば、図4(a)において、最前方側の筒状部100Aを除いた、他の複数の筒状部100A・100A・・・)が存在する場合には、再び、セット工程210を開始して、前記筒状部100Aを所定の位置まで移動して停止し、その後、被膜形成工程201、冷却・清掃工程202と順に実施することで、前記筒状部100Aの内周面100aへのアーク溶射が繰り返されるのである。
以上のように、本発明における溶射方法は、高電圧を印加した複数のワイヤー粗材50・50の先端同士を近接させてアーク放電を発生させることにより、前記ワイヤー粗材50・50を溶融させて溶射粒子51を形成し、該溶射粒子51に「溶射噴霧化用圧縮空気(第一の圧縮空気)52」を噴出することにより、被溶射体に該溶射粒子51を溶射する溶射ガン2を用いて、前記被溶射体となる被加工物100の筒状部100Aの内周面100aに溶射被膜101を形成する溶射方法であって、前記溶射ガン2は、前記ワイヤー粗材50・50の先端部を中心として回転可能に構成されるとともに、前記筒状部100A内を該筒状部100Aの軸心方向に沿って同軸上に往復移動可能に構成され、回転するとともに、前記「溶射噴霧化用圧縮空気(第一の圧縮空気)52」が噴出される状態の溶射ガン2においてアーク放電を開始し、アーク放電開始後の溶射ガン2を、前記被加工物100の筒状部100A内において往復移動させることで、前記筒状部100Aの内周面100aに溶射を行う被膜形成工程201と、該被膜形成工程201の完了後に実施され、アーク放電を開始することなく、回転するとともに、前記「溶射噴霧化用圧縮空気(第一の圧縮空気)52」が噴出される状態の溶射ガン2を、前記被加工物100の筒状部100A内において往復移動させる冷却・清掃工程202と、を備える溶射工程200によって具現化されることとしている。
このような構成を有する溶射工程200によれば、溶射ガン2のエアノズル23の噴出し口61近傍に付着する溶射粒子51(より具体的には、図5(a)における溶射堆積物55)を低減しつつ、溶融直後の溶射粒子51の熱による、被加工物100の熱変形の発生を防止することが可能となり、筒状部100Aの内周面100aに溶射被膜101が形成された被加工物100の品質向上を図ることができる。
即ち、被膜形成工程201の完了後に実施される冷却・清掃工程202において、溶射ガン2は、アーク放電を開始することなく、「溶射噴霧化用圧縮空気52」を略水平方向に向かって噴出しつつ回転駆動しながら、筒状部100A内を上下方向に往復移動することとなる。
その結果、筒状部100Aの内周面100a全面にわたり、「溶射噴霧化用圧縮空気52」が吹き付けられることとなり、「溶射噴霧化用圧縮空気52」によって、筒状部100Aの内周面100a近傍は冷却されることとなる。
従って、溶融直後の溶射粒子51の熱による、被加工物100の熱変形が発生することもなく、該被加工物100の品質向上を図ることができるのである。
より具体的には、例えば被加工物100が、複数のシリンダボア(筒状部100A)を有するエンジンのシリンダブロックであって、これら複数のシリンダボア(筒状部100A)の内周面100aに対して、連続的にアーク溶射を行う場合、溶射粒子51を介して各シリンダボア(筒状部100A)に加えられた熱が蓄積されて、被加工物100が特に高温状態に陥りやすく、熱変形が発生しやすい。
このような場合においても、本発明の溶射方法を具現化する溶射工程200によれば、アーク溶射の完了ごとに、各シリンダボア(筒状部100A)を確実に冷却することが可能となり、被加工物100の熱変形が発生することもなく、該被加工物100の品質向上を図ることができるのである。
また、筒状部100A内の狭い空間内において、溶射ガン2は回転駆動しながら、「溶射噴霧化用圧縮空気52」を噴出するため、前記筒状部100A内では、前記「溶射噴霧化用圧縮空気52」によってスワールが発生し、該スワールによって溶射ガン2に付着した「溶射堆積物55」は除去される。
従って、「溶射堆積物55」がある瞬間に粗大粒子となって筒状部100Aの内周面100aに吹き付けられ、溶射被膜101中に陥没穴などの欠陥が生じたりすることもなく、被加工物100の品質向上を図ることができるのである。
また、本発明における溶射方法において、前記溶射ガン2は、前記被膜形成工程201において、前記「溶射噴霧化用圧縮空気(第一の圧縮空気)52」の近傍、且つ前記溶射被膜101が形成される直前の、前記筒状部100Aの内周面100aに吹き付けられる「清掃用圧縮空気(第二の圧縮空気)53」を噴出し、前記冷却・清掃工程202では、前記「清掃用圧縮空気(第二の圧縮空気)53」も噴出されることとしている。
このように、筒状部100A内の狭い空間内において、「溶射噴霧化用圧縮空気52」だけでなく、「清掃用圧縮空気53」も合せて噴出することで、より流れの激しいスワールを発生させることが可能となり、該スワールによって溶射ガン2に付着した「溶射堆積物55」を確実に除去することができる。
従って、粗大粒子となった「溶射堆積物55」が筒状部100Aの内周面100aに吹き付けられ、溶射被膜101中に陥没穴などの欠陥が生じたりすることもなく、被加工物100の品質向上を図ることができるのである。
2 溶射ガン
50 ワイヤー粗材
51 溶射粒子
52 「溶射噴霧化用圧縮空気(第一の圧縮空気)」
53 「清掃用圧縮空気(第二の圧縮空気)」
100 被加工物
100A 筒状部
100a 内周面
101 溶射被膜
201 被膜形成工程
202 冷却・清掃工程

Claims (2)

  1. 高電圧を印加した複数のワイヤー粗材の先端同士を近接させてアーク放電を発生させることにより、前記ワイヤー粗材を溶融させて溶射粒子を形成し、該溶射粒子に第一の圧縮空気を噴出することにより、被溶射体に該溶射粒子を溶射する溶射ガンを用いて、前記被溶射体となる被加工物の筒状部の内周面に溶射被膜を形成する溶射方法であって、
    前記溶射ガンは、前記ワイヤー粗材の先端部を中心として回転可能に構成されるとともに、前記筒状部内を該筒状部の軸心方向に沿って同軸上に往復移動可能に構成され、
    回転するとともに、前記第一の圧縮空気が噴出される状態の溶射ガンにおいてアーク放電を開始し、アーク放電開始後の溶射ガンを、前記被加工物の筒状部内において往復移動させることで、前記筒状部の内周面に溶射を行う被膜形成工程と、
    該被膜形成工程の完了後に実施され、アーク放電を開始することなく、回転するとともに、前記第一の圧縮空気が噴出される状態の溶射ガンを、前記被加工物の筒状部内において往復移動させる冷却・清掃工程と、
    を備える、
    ことを特徴とする溶射方法。
  2. 前記溶射ガンは、
    前記被膜形成工程において、
    前記第一の圧縮空気の近傍、且つ前記溶射被膜が形成される直前の前記筒状部の内周面に吹き付けられる第二の圧縮空気を噴出し、
    前記冷却・清掃工程では、前記第二の圧縮空気も噴出される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の溶射方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111715489A (zh) * 2020-07-01 2020-09-29 矿冶科技集团有限公司 大尺寸筒形件可磨耗涂层喷涂方法

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