JP4496783B2 - 溶射装置と溶射方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶射被膜を形成する装置と方法に関するものである。
例えばアルミ製のシリンダーブロックのボア内周面には、鉄等の金属を溶射して内面を補強する手法が採用されることがあり、溶射技術が盛んに研究されている。
運転コストが高価なプラズマ溶射技術に代えて、安価に運転できるアーク溶射技術の研究が活発化している。アーク溶射技術では、電位差を与えた2本のワイヤー状の溶射材を先端同士が近接する位置に送出す。すると先端近傍でアークが発生し、溶射材の溶滴が形成される。この溶滴に向けて溶射面に向かう溶射気流を噴射する。溶滴は溶射気流によって飛散されて溶射面に吹き付けられる。消耗していくワイヤー状の溶射材の先端同士が近接する位置関係を維持できるように、ワイヤー状の溶射材を送出して補給する。特許文献1には、2本の溶射材の近接位置に形成される溶滴に向かって溶射気流を噴射し、溶滴を飛散させて溶射する技術が記載されている。
ボア内周面等に溶射する場合には、溶射範囲がボア内周面を一巡するように溶射しなければならない。溶射装置は、ワイヤー状の溶射材の送出し機構と通電機構と溶射気流噴射機構を必要とするのでシリンダーブロック等に比して大型であり、また外部から空気や電力を供給するケーブル類を接続しなければならないことから、溶射装置を固定しておいてその回りをボア内周面が一巡するようにシリンダーブロックを回転させる。
シリンダーブロックを回転させる方式では、1気筒づつ溶射しなければならず、溶射処理に時間を要するという問題が存在する。
この問題に対処するために、特許文献2の技術が開発されている。この技術では、ワイヤー状の溶射材の先端近傍位置位置を中心として、複数の溶射気流噴射ノズルを放射状に配置する。各溶射気流噴射ノズルは内側に向けて溶射気流を噴射する。放射状に配置された複数の溶射気流噴射ノズル群を利用し、溶射気流を噴射するノズルを例えば時計方向に一巡するように切換えていけば、溶射方向を時計方向に一回転させることができる。この技術によれば、シリンダーブロック等を回転させる必要がない。また、大型でケーブル類が接続されている溶射装置を回転させる必要もない。
米国特許第6091042号公報 米国特許第5714205号公報
上述したように、特許文献1の技術は、2本の溶射材の近接位置に形成される溶滴に向かって溶射気流を噴射し、溶滴を飛散させて溶射する。溶滴を飛散させるためには、溶射気流を強く噴射する必要がある。しかしながら、溶射気流を強く噴射すると、溶射材の先端同士の短絡が維持されにくくなり、アークの発生が不安定になる。このため、溶滴が飛散された溶射粒子が均質でなくなり、良質な溶射被膜が形成されない。
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、溶滴に溶射気流を噴射して良好に溶射できる技術を提供するものである。
本発明の溶射装置は、複数本のワイヤー状の溶射材を先端同士が近接する位置に送出す送出機構と、複数本のワイヤー状の溶射材間に電位差を与える通電機構と、溶射材の先端近傍に発生する溶滴を引き伸ばす気流を吹出す溶滴延長気流吹出機構と、溶滴延長気流吹出機構が吹出す気流で引き伸ばされた溶滴の先端近傍の溶滴を溶射面に向けて飛散させる溶射気流を噴射する溶射気流噴射機構と、溶射気流によって溶射粒子が溶射される溶射範囲を移動させる移動機構を備えている。溶射気流噴射機構は、低速溶射気流を噴射して大きな溶射粒子を溶射面に溶射する低速溶射気流噴射機構と、高速溶射気流を噴射して小さな溶射粒子を溶射面に溶射する高速溶射気流噴射機構を備えている。移動機構は、低速溶射気流によって大きな溶射粒子が溶射された範囲が、その後に高速溶射気流によって小さな溶射粒子が溶射される範囲へと変化するように、溶射範囲を移動させる。
溶射気流噴射機構は、溶滴を溶射粒子化するために強く噴射する。強く噴射された気流が溶射材の近接位置に当たると、アークが安定して発生せず、良好に溶射できない。
溶滴延長気流吹出機構が溶滴を引き伸ばし、その引き伸ばされた溶滴の先端近傍を溶射気流が飛散させると、溶射材の近接位置に溶射気流が直接当たらないので、アークが安定して発生する。よって、良好に溶射することができる。
低速溶射気流噴射機構が噴射した低速溶射気流によって溶射される溶射粒子は、高速溶射気流噴射機構が噴射した高速溶射気流によって溶射される溶射粒子よりも大きい。従って、この溶射装置では、大きな溶射粒子が溶射されて形成された溶射被膜の上に、小さな溶射粒子による溶射被膜がさらに形成される。大きな溶射粒子によって形成された溶射被膜は、母材に強く密着する。小さな溶射粒子によって形成された溶射被膜は、大きな溶射粒子によって形成された溶射被膜に強く密着する。小さな溶射粒子は、組織が緻密な溶射被膜を形成する。よって密着強度が強くて剥がれにくく、表面組織が緻密で良質な溶射被膜を形成することができる。
なお、ここで「近接」とは、溶射材の先端同士が非接触の状態で近接している状態のみならず、接触している状態も意味している。
上記の溶射装置において、2本のワイヤー状の溶射材の左右対称面に沿って溶射気流噴射機構が配置されていることが好ましい。
このように構成されていると、2本の溶射材の対称面内に配置された溶射気流噴射機構から気流を噴射することができる。通常はV字状に配置されている2本の溶射材を正面から見た状態で溶射気流を噴射することができる。この関係で溶射すると、溶滴の微粒化が促進され、緻密な溶射面を形成することができる。
特許文献2の技術によれば、溶射気流を噴射するノズルを時計方向に一巡するように切換えていけばよく、大型の溶射装置自体を回転させる必要はない。
しかしながら、複数の溶射気流噴射ノズルを放射状に配置しておき、噴射するノズルを切換えることによって溶射方向を一巡させる方式を検証してみると、良質な溶射被膜が形成されず、溶射被膜が剥がれやすいことが判明した。その理由は、溶射気流噴射ノズルの切換え時に溶射方向が急変するためであると推測される。
そこで本発明者らは、一本の溶射気流噴射ノズルを連続的に移動させて一巡する改良を試みた。しかしながら、後記する参考例の項で詳述するように、大きな改善は得られなかった。噴射方向を連続的に一巡させる方式でもうまくいかなければ、シリンダーブロックを回転させて1気筒づつ溶射するという効率の悪い方式を採用せざるを得ない。
本発明者らは、噴射方向を連続的に一巡させても良好に溶射できない理由を種々研究した。その結果、複数のワイヤー状の溶射材の位置と溶射方向の関係が重要であることを見出した。
例えば2本のワイヤー状溶射材を利用する場合、ワイヤー状の溶射材の先端同士を近接させるために、2本のワイヤー状溶射材がV字を形成するように配置する。このとき、V字を正面から見て溶射気流を噴射する場合と、V字を側面から見て溶射気流を噴射する場合とでは、溶射被膜の性状が大きく相違してくることを見出した。そのことが、噴射方向を連続的に一巡させても良好に溶射できない理由であることが判明した。
上述した請求項に係る溶射装置において、送出機構と通電機構と溶滴延長気流吹出機構と溶射気流噴射機構の全体を回転させる回転機構を備えていることが好ましい。
この溶射装置の回転機構は、送出機構と通電機構と溶滴延長気流吹出機構と溶射気流噴射機構の全体を回転させる。よって、溶射材と溶射方向の位置関係が変化しない状態で溶射し続けることができ、良質な溶射被膜を均質に形成することができる。
上述した溶射気流噴射機構は、低速溶射気流噴射機構が溶射材に近い側に配置されているととともに、高速溶射気流噴射機構が溶射材から遠い側に配置されており、移動機構は、送出機構と通電機構と溶滴延長気流吹出機構と溶射気流噴射機構の全体を、高速溶射気流噴射機構側から低速溶射気流噴射機構側に向かう方向に沿って移動させることが好ましい。
の溶射装置のように、送出し機構と通電機構と溶滴延長気流吹出機構と溶射気流噴射機構の全体を、高速溶射気流噴射機構側から低速溶射気流噴射機構側に向かう方向に沿って移動させると、大きな溶射粒子が溶射されて形成された溶射被膜の上に、小さな溶射粒子によって形成された溶射被膜が形成される
上述した請求項に係る溶射装置において、溶射材の先端位置から溶射面までの距離が最適化されるように、溶射材の先端位置が回転中心からオフセットされていることが好ましい。
この装置によると、溶射材の先端位置から溶射面までの距離が最適化された状態で溶射作業を継続することができる。
本発明の溶射方法は、複数本のワイヤー状の溶射材間に電位差を与えた状態で複数本のワイヤー状の溶射材を先端同士が近接する位置に送出す工程と、溶射材の先端近傍に発生する溶滴を引き伸ばす溶滴延長気流を吹出す工程と、溶滴延長気流で引き伸ばされた溶滴の先端近傍の溶滴を溶射面に向けて飛散させる溶射気流を噴射する工程とを備えている。溶射気流を噴射する工程では、低速溶射気流を噴射して大きな溶射粒子を溶射面に溶射するとともに高速溶射気流を噴射して小さな溶射粒子を溶射面に溶射しながら、低速溶射気流によって大きな溶射粒子が溶射された範囲が、その後に高速溶射気流によって小さな溶射粒子が溶射される範囲へと変化するように、溶射範囲を移動させることを特徴とする。
このように溶射すると、溶射材の近接位置に溶射気流が直接当たらないので、アークが安定して発生する。よって、良好に溶射することができる。また、大きな溶射粒子による溶射被膜の上に、小さな溶射粒子による溶射被膜がさらに形成されることから、密着強度が強く、かつ表面組織が緻密で良質な溶射被膜を形成することができる。
上記の溶射方法の溶射気流噴射する工程では、溶射材に近い側に低速溶射気流を噴射するとともに溶射材から遠い側に高速溶射気流を噴射することが好ましい
本発明の好適な実施形態を例示する。
(形態1)
溶滴延長気流吹出機構は、2本のワイヤー状の溶射材の左右対称面内でワイヤー状の溶射材の送出し方向に向かって空気を吹き出す。
このように構成されていると、溶射材の送出し方向に向かって溶滴を引き伸ばすことができる。なお、ここで「溶射材の送出し方向」とは、2本の溶射材の平均的な送出し方向を意味する。
(形態2)
延長気流吹出機構は、各溶射材に沿って空気を吹き出す。
(形態3)
延長気流吹出機構は、下流側で合流する2以上の空気流を吹き出し、それら空気流が作り出す負圧が溶滴を引き伸ばす。
(参考例)
発明者は、本願発明を完成させる過程で種々の形態の溶射装置を用いて試験を繰り返した。以下、それらの試験結果について説明する。
図14、図15は、既に説明した米国特許第5714205号公報に相当する溶射装置を用いて形成した溶射被膜132と母材133(シリンダーブロック)の切断面写真を示している。図14に示す溶射被膜132は、ワイヤー材32が形成するV字に直交する方向(以下、「V字直交方向」と言う)に向けて噴射するアトマイズ空気に正対するボア内面に形成された溶射被膜132を示している。図15に示す溶射被膜132は、ワイヤー材32が形成するV字の側方方向(以下、「V字平行方向」と言う)に向けて噴射するアトマイズ空気に正対したボア内面に形成された溶射被膜132を示している。図14、図15から明らかなように、溶射被膜132の表面には大きな凹凸が認められ、好ましくない。このような大きな凹凸が生じているのは、溶射ノズルが1つずつ空気を噴射するので溶射方向が急変すること、および溶射ノズルが斜め下方に向けて空気を噴射するので、溶射粒子が母材に対して直角に溶射されないためと考えられる。母材に対して直角に溶射が行われないと、溶射されて形成された溶射被膜の表面の凹凸に、その後に溶射された溶射粒子が引っかかりやすくなり(遮蔽効果)、凹凸が大きくなるからである。
また、米国特許第5714205号に記載の溶射装置では、溶射ノズル群が放射状に配置され、かつ溶射ノズルが斜め下方に空気を噴射するという構成上、ワイヤー材と溶射ノズルの距離を大きく設定せざるを得ない。ワイヤー材と溶射ノズルの距離を小さくすると、アトマイズされた溶射粒子が溶射されるスペースを確保できないからである。ワイヤー材と溶射ノズルの距離を大きく設定すると、溶滴を十分にアトマイズするために、アトマイズ空気を強く噴射しなければならない。アトマイズ空気を強く噴射すると、溶滴が冷えすぎてしまい、良質な溶射被膜を形成することができない。このため、米国特許第5714205号には、アトマイズ空気を暖めることが記載されている。詳しくは後述するが、本発明に係る溶射装置では、アトマイズ空気を暖めることなく、良質な溶射被膜を形成することができる。
図16は、発明者が試作した溶射装置のツール本体の先端部120を模式的に図示している。先端部120は、固定部122と、固定部122の廻りを回転する回転部123を備えている。固定部122は、2本のワイヤー材32を先端が接触した状態に支持している。固定部122には、ワイヤー材32の先端接触部に向けて補助空気127を吹き付ける補助ノズル128が設けられている。回転部123は、回転部本体125と、回転部本体125の外周部から下方に向かって突出したノズル部126を有している。ノズル部126の先端部には、アトマイズノズル114が開口している。アトマイズノズル114は、アトマイズ空気113を噴射する。
この溶射装置を用いて、ワイヤー材32に通電した状態で補助ノズル128から空気を吹き出すとともに、回転部123を回転させながらアトマイズノズル114からアトマイズ空気113を噴射する。アトマイズ空気113は、補助空気127によって下方側に引き伸ばされた溶滴88に吹き付けられる。アトマイズ空気113が吹き付けられ溶滴は、アトマイズされて溶射粒子になる。溶射粒子は、ボア内面に溶射される。
図17は、図18に示すように、溶滴88にV字直交方向からアトマイズ空気113を噴射する位置にアトマイズノズル114が位置したときに、その溶滴88がアトマイズされた溶射粒子131によってボア内面に形成された溶射被膜132を示している。図17から明らかなように、溶射粒子の大きさが均一な、良質な溶射被膜が形成されている。
図19は、図20に示すように、溶滴88にV字平行方向からアトマイズ空気113を噴射する位置にアトマイズノズル114が位置したときに、その溶滴88がアトマイズされた溶射粒子131によって形成された溶射被膜132を示している。この場合には、溶射被膜132に十分にアトマイズされなかった大きな溶射粒子134が多く含まれている。すなわち、ボア内面に部分的に良質な溶射被膜を形成することはできたものの、ボア内面の全周に亘って良質な溶射被膜を形成することができなかった。
ボア内面の全周に良質な溶射被膜を形成することができなかった理由は、以下のように推測される。
図18に示すように、V字平行方向から見た溶滴88の幅aは小さい。図20に示すように、V字直交方向から見た溶滴88の幅aは大きい。溶滴88の幅aは、ワイヤー材32の先端部の幅に依存するからである。すなわち、ワイヤー材32のV字直交方向の先端部幅は小さいので、溶滴88のV字直交方向の幅aも小さくなる。ワイヤー材32のV字平行方向の先端部幅は大きいので、溶滴88のV字平行方向の幅aは大きくなる。図18の状態では、幅aが小さい(薄い)溶滴88にアトマイズ空気113が噴射されるので、溶滴88は細かくアトマイズされて大きさが均一な溶射粒子131になる。図20の状態では、幅aが大きい(厚い)溶滴88にアトマイズ空気113が噴射されるので、溶滴88が十分にアトマイズされない。従って、大きな溶射粒子131が溶射されてしまう。このように、ワイヤー材32に対してアトマイズ空気が噴射する方向が変化すると、ボア内面の全周に亘って良質な溶射被膜132を形成することができない。溶射被膜132に含まれている大きな溶射粒子134は、ボア内面にホーニング加工を施すときに脱落し、溶射被膜132の表面に大きな凹み欠陥を生じさせる。
以上の経緯を経て、本発明の実施例が完成した。
(第1実施例)
本発明の第1実施例に係る溶射装置10について、図面を参照しながら説明する。
図1は、溶射装置10を模式的に示している。溶射装置10は、基台11と、支持部12と、溶射ツール部14と、コントローラ15と、パレット16を備えている。支持部12は、基台11上に設置されているとともに、溶射ツール14部に設けられているスライダー19を上下方向にスライド可能に支持している。コントローラ15は、支持部12の上部に装着された昇降用モータ20や回転用モータ24(後述する)等に接続されている。昇降用モータ20の回転軸には、螺旋が形成されているスクリュウ22が取付けられている。スクリュウ22には、スライダー19に固定されたサポート21が螺合している。コントローラ15は、昇降用モータ20の回転方向や回転速度を制御する。このように構成されているので、昇降用モータ20が回転すると、溶射ツール部14は昇降する。
溶射ツール部14のツール本体25は、回転用モータ24に駆動されて軸廻りに回転する(ツール本体25を回転させる構成については、後述にて詳細に説明する)。パレット16は、基台11上に装着されており、シリンダーブロック26を載置する。ツール本体25は、シリンダーブロック26のボア29内を昇降しながら回転し、ボア29内面に溶射粒子を溶射する。
溶射ツール部14について詳細に説明する。図2に示すように、溶射ツール部14のツール本体25の上部には、リール支持部材33が設けられている。リール支持部材33は、第1リール30と第2リール31を支持している。リール30、31には、捲回した状態のワイヤー材32が収容されている。リール支持部材33には、2つの偏向ローラ34が装着されている。それぞれの偏向ローラ34の下には、矯正器35が設けられている。矯正器35は、2つの第1矯正ローラ36と、第1矯正ローラ36よりも小さい第2矯正ローラ39を備えている。それぞれの矯正器35の下方には、上部パイプ41が設けられている。ワイヤー材32は、送給ローラ40(後述する)が回転すると、リール30、31から引き出される。引き出されたワイヤー材32は、偏向ローラ34によって直下方に偏向される。直下方に偏向されたワイヤー材32は、矯正器35の第1矯正ローラ36と第2矯正ローラ39に挟まれた状態でそれらの間を通過する。リール30、31に捲回されていたワイヤー材32には、曲がり癖が付いている。矯正器35の第1矯正ローラ39と第2矯正ローラ39の間を挟まれながら通過したワイヤー材32は、曲がり癖が矯正されて真っ直ぐになる。矯正器35を出たワイヤー材32は、上部パイプ41を通過する。
リール支持部材33の下端は、断面が略コの字状のブラケット42に固定されている。ブラケット42内には、送給モータ44が装着されている。送給モータ44の回転速度は、コントローラ15によって制御される。送給モータ44の回転軸には、第1プーリ45が固定されている。送給モータ44の上方には、ブラケット42に回転可能に装着されたシャフト46が配置されている。シャフト46の一端には、第2プーリ47が固定されている。第1プーリ45と第2プーリ47には、ベルト48が巻き付けられている。シャフト46の他端側には、送給ローラ40が2つ固定されている。送給ローラ40の外周部には、軸方向に延びるとともに周方向に繰り返す複数の溝が形成されている。上部パイプ41を出たワイヤー材32は、送給ローラ40の外周部に接触する。送給モータ44が駆動されると、第1プーリ45が回転する。第1プーリ45が回転すると、ベルト48を介して第2プーリ47が回転する。第2プーリ47の回転にともなって、シャフト46が回転する。シャフト46とともに送給ローラ40が回転すると、送給ローラ40に接触しているワイヤー材32が下方に送られる。送給ローラ40の外周部に複数の溝が形成されているので、送給ローラ40とワイヤー材32との間で滑りが生じてしまうのが防止されている。
ブラケット42の下部には、略円筒状の第1円筒部材49が装着されている。第1円筒部材49は、絶縁材料から形成されている。第1円筒部材49の外周部には、上部通電体50と下部通電体38が取付けられている。上部通電体50は、鍔状に膨出したスリップリング50aを有している。下部通電体38も、鍔状に膨出したスリップリング38aを有している。上部通電体50と下部通電体38の間には、リング状の絶縁体27が介装されている。第1円筒部材49の上端内部には、電気的な絶縁体である上部絶縁体51が取付けられている。上部絶縁体51には、2本の中間パイプ52が挿着されている。ワイヤー材32は、中間パイプ52内を通過している。また、第1円筒部材49の下端内部には、中間絶縁体53が取付けられている。中間絶縁体53には、第1下部パイプ54と、第2下部パイプ57が挿着されている。そして、一方の中間パイプ52の下端と第1下部パイプ54の上端は、第1円筒部材49の内部で結合されている。他方の中間パイプ52の下端と第2下部パイプ57の上端も、第1円筒部材49の内部で結合されている。一方のワイヤー材32は、第1下部パイプ54を通過している。他方のワイヤー材32は、第2下部パイプ57を通過している。上部通電体50のスリップリング50aと第1下部パイプ54は、第1通電部材55を介して電気的に接続されている。なお、下部通電体38のスリップリング38aと第1通電部材55は、それらの間に介装されている絶縁体23によって絶縁されている。下部通電体38のスリップリング38aと第2下部パイプ57は、第2通電部材56を介して電気的に接続されている。
第1円筒部材49の下端には、略円筒状の第2円筒部材59が取付けられている。第2円筒部材59は、空気供給部材60に挿通されている。空気供給部材60は、サポート61を介して基台11に固定されている。空気供給部材60には、カップリング62によって第1ホース64が接続されている。第1ホース64は、空気供給部材60に形成された水平方向に延びる第1水平流路60aと連通している。第1水平流路60aは、第2円筒部材59に形成された垂直方向に延びるアトマイズ空気用流路68と連通している。第1水平流路60aの下流端には、リング状の弾性体であるシール58が装着されている。シール58は、第2円筒部材59の外周面と圧接している。このため、第1ホース64から供給された空気が外部に漏れるのが防止されている。さらに空気供給部材60には、カップリング63によって第2ホース65が接続されている。第2ホース65は、空気供給部材60に形成された水平方向に延びる第2水平流路60bと連通している。第2水平流路60bは、第2円筒部材59に形成された垂直方向に延びる第1補助空気流路66と連通している。第2水平流路60bの下流端には、シール28が装着されている。シール28は、第2円筒部材59の外周面と圧接している。このため、第2ホース65から供給された空気が外部に漏れるのが防止されている。第2円筒部材59の下部外周には、ケース部材67が装着されている。
図3〜図5は、ツール本体25の先端部を図示している。なお、図5では、通電チップ72、73(後述する)と、ワイヤー材32の図示を省略している。第2円筒部材59の下部には、下部絶縁体69が装着されている。下部絶縁体69には、第1下部パイプ54と第2下部パイプ57の下端が挿着されている。また、下部絶縁体69には、上下方向に延びる貫通孔が形成された第1接続部材70と第2接続部材71が挿着されている。第1接続部材70の上端は、第1下部パイプ54と接続されている。第2接続部材71の上端は、第2下部パイプ57と接続されている。第1接続部材70と第2接続部材71は、下部が互いに接近する方向に折れ曲がっている。第1接続部材70下端には、第1通電チップ72が取付けられている。第2接続部材71の下端には、第2通電チップ73が取付けられている。第1通電チップ72と第2通電チップ73には、軸方向に延びる貫通孔が形成されている。
第2円筒部材59とケース部材67の下端には、先端部材74が装着されている。先端部材74には、円板状のキャップ部74aと、キャップ部74aから下方に突出したノズル部74bが形成されている。第1通電チップ72と第2通電チップ73は、先端部材74のキャップ部74aに形成された2つの貫通孔74cに、それぞれ差し込まれている。図3に示すように、第1接続部材70と第1通電チップ72の貫通孔、および第2接続部材71と第2通電チップ73の貫通孔には、それぞれワイヤー材32が通されている。ワイヤー材32は、その先端同士が第1通電チップ72と第2通電チップ73に導かれて接触することにより、短絡されている。図4に良く示されているように、ワイヤー材32の先端部分は、ツール本体25の回転軸75に対して、ノズル部74b寄りに配置される。
図3に示すように、先端部材74のノズル部74bには、U字状のアトマイズノズル76が開口している。第2円筒部材59のアトマイズ空気用流路68とアトマイズノズル76は、図示しない流路によって連通されている。従って、第1ホース64に外部から供給された空気は、アトマイズノズル76から水平方向に噴射される。
図5に示すように、先端部材74のキャップ部74aには、補助ノズル77が開口している。補助ノズル77は、ワイヤー材32の先端接触部の真上に開口している。
図3に示すように、補助ノズル77は、第2補助空気流路79によって第2円筒部材59の第1補助空気流路66と連通している。従って、第2ホース65に外部から空気が供給されると、その空気は、補助ノズル77から下方に向けて吹き出す。補助ノズル77から吹き出した空気は、ワイヤー材32の先端接触部に吹き付けられる。
以上、ツール本体25の構成について説明した。続いて、ツール本体25を支持する構成について説明する。
図2に示すように、スライダー19には、断面が略コの字状のサポート80が取付けられている。サポート80には、その上部で水平方向に延びる上水平部80aと、下部で水平方向に延びる下水平部80bが形成されている。上水平部80aとツール本体25のリール支持部材33の間には、ベアリング81が介装されている。下水平部80bには、略円板状の上部カバー82が取付けられている。上部カバー82とツール部25の第1円筒部材49の上端部との間には、ベアリング83が2つ介装されている。第1円筒部材49の下端部には、ベアリング86を介して略円板状の下部カバー85が装着されている。上部カバー82と下部カバー85は、円筒状の中間カバー84を介して結合されている。このように構成されているので、ツール本体25は、サポー80に支持された状態で軸廻りに回転することができる。
下部カバー85の外周部には、上方に向かって延びる柱状のホルダー87が2つ固定されている。ホルダー87は、電気的な絶縁材料で形成されている。それぞれのホルダー87には、上部電力体90と下部電力体92が取付けられている。上部電力体90には、電力線93が接続されている。下部電力体92には、電力線91が接続されている。電力線91、93には、直流電力が通電される。中間カバー84には、電力体90、92を通す貫通孔が設けられている。上部電力体90は、通電ブラシ(図示省略)を介して上部通電体50のスリップリング50aと接触している。下部電力体92も、通電ブラシを介して下部通電体38のスリップリング38aと接触している。このように構成されているので、電力線93から、上部電力体90、スリップリング50a、第1通電部材55、第1下部パイプ54、第1接続部材70、第1通電チップ72を経て、一方のワイヤー材32に到る電気流路が形成される。さらには、一方のワイヤー材32と先端で接触している他方のワイヤー材32から、第2通電チップ73、第2接続部材71、第2下部パイプ57、第2通電部材56、スリップリング38a、下部電力体92を経て、電力線91に到る電気流路が形成される。
図3に示すように、サポート80の上水平部80aの上面には、回転用モータ24が装着されている。回転用モータ24の回転軸には、第3プーリ101が取付けられている。ツール本体25のリール支持部材33には、第4プーリ102が取付けられている。第3プーリ101と第4プーリ102には、ベルト103が巻き付けられている。従って、回転用モータ24が駆動されると、その駆動力が第3プーリ101、ベルト103を介して第4プーリ102に伝わり、ツール本体25が回転する。
既に説明したように、ツール本体25の第2円筒部材59が挿通されている空気供給部材60は、サポート61を介して基台11に固定されている。このため、ツール本体25が回転すると、第2円筒部材59は、その外周面で空気供給部材60と摺動しながら回転する。このときには、空気供給部材60のシール28、58も第2円筒部材59と摺動する。また、ツール本体25が回転すると、上部通電体50のスリップリング50aは、上部電力体90と摺動しながら回転する。下部通電体38のスリップリング38aも、下部電力体92と摺動しながら回転する。
溶射装置10が溶射を行う際には、電力線91、93に直流電力を通電する。通電されると、ワイヤー材32の先端接触部でアークが発生し、その熱によってワイヤー材32の先端が溶融する。溶融して消耗した分のワイヤー材32は、送給ローラ40が回転することによってリール30、31から引き出され、補充される。第1ホース64と第2ホース65には、空気が供給される。空気が供給されると、補助ノズル77から補助空気が吹き出すとともに、アトマイズノズル76からアトマイズ空気が噴射する。
図6は、ワイヤー材32の先端が溶融し、補助ノズル77から補助空気43が吹き出した状態を模式的に図示している。この状態では、ワイヤー材32が溶融した溶滴88に補助空気43が吹き付けられることによって、溶滴88は下方に向けて引き伸ばされるように変形する。そして、図7に示すように、アトマイズノズル76から噴射するアトマイズ空気37が溶滴88に吹き付けられることによって、溶滴88は細かな溶射粒子89に分散される(アトマイズされる)。この状態でツール本体25を回転させながら溶射ツール部14がシリンダーブロック26のボア29内を僅かずつ上昇、あるいは降下すると、ボア29内面に溶射粒子89が溶射される。溶射された溶射粒子89は、ボア29内面に付着して溶射被膜を形成する。なお、溶滴をアトマイズするのは空気に限られない。空気以外の気体で溶滴をアトマイズすることもできる。
シリンダーブロックのボアに溶射を行う場合、ツール本体が固定されていると、シリンダーブロック自体を高速で回転させなければならない。しかしながら、シリンダーブロックは重量が大きいので、それ自体を高速回転させるのは、回転させる装置が大規模なものになってしまい、現実的でない。また、シリンダーブロックを回転させると、1度に1つのボアにしか溶射できない。本実施例の溶射装置10は、ツール本体25が回転するので装置の規模も大きくならない。また、溶射装置10を複数用意することにより、多気筒のシリンダーブロックのボアに、同時に溶射を行うことができる。
本溶射装置10は、平面溶射を行うこともできる。
図8に示されているように、補助ノズル77とノズル部74bの前面74dとの間のキャップ部74aにノズル78を設け、下方に空気を噴射してもよい。ノズル78が空気を噴射すると、補助ノズル77から吹き出した補助空気43がノズル部74b側に偏向するのが防止され、補助空気43を確実にワイヤー材32の先端接触部に吹き付けることができる。ノズル78を設けて空気を噴射しないと補助空気43がノズル部74b側に偏向するのは、壁面(ノズル部74bの前面74d)に沿って流体(補助空気43)を噴射すると、噴射した流体が壁面側に引付けられるという流体力学的効果が存在するからである。
(第2実施例)
本発明の第2実施例に係る溶射装置について説明する。なお、本第2実施例として特徴的な部分のみを説明し、第1実施例と重複する説明は省略する。
図9に示すように、第1補助空気流路66は、第3補助空気流路119によって第2通電チップ73の貫通孔と連通している。さらに第1補助空気流路66は、図示しない流路によって第4補助空気流路104と連通している。第4補助空気流路104は、第1通電チップ72の貫通孔と連通している。従って、第2ホース65に空気が供給されると、第1通電チップ72と第2通電チップ73の先端から補助空気が吹き出す。
図10は、ワイヤー材32の先端が溶融し、第1通電チップ72と第2通電チップ73の先端から補助空気43が吹き出した状態を模式的に図示している。ワイヤー材32が溶融した溶滴88は、補助空気43が吹き付けられることによって、下方に向けて引き伸ばされる。アトマイズノズル76からアトマイズ空気が噴射すると、溶滴88は細かな溶射粒子にアトマイズされる。
(第3実施例)
本第3実施例として特徴的な部分のみを説明する。
図11は、本実施例のツール本体の先端部分を模式的に図示している。本実施例では、第1補助空気パイプ106と、第2補助空気パイプ107が設けられている。第1補助空気パイプ106と第2補助空気パイプ107は内方に向かって屈曲しており、ワイヤー材32の先端接触部の下方に向けて補助空気43を吹き出す。吹き出した補助空気43は、ワイヤー材32の先端接触部の下方位置に負圧を作り出す。負圧が作り出されると、ワイヤー材32が溶融した溶滴88は、下方に向けて引き伸ばされる。アトマイズノズル76からアトマイズ空気37が噴射すると、溶滴88は細かな溶射粒子にアトマイズされる。
本実施例によれば、溶滴88に補助空気43が直接吹き付けられないので、液滴88の形状がより安定する。従って、アトマイズ空気37によって分散された溶射粒子の形状がより均一になる。
(第4実施例)
本第4実施例として特徴的な部分のみを説明する。
図12は、ツール本体の先端部分を図示している。ノズル部74bには、2つの上部ノズル109と、V字状の下部ノズル110が開口している。上部ノズル109と下部ノズル110からは、第1ホース64に供給されたアトマイズ空気が噴射する。上部ノズル109の上流側の流路には、リストリクタ(絞り)が設けられている。このため、上部ノズル109から噴射するアトマイズ空気の勢いは、下部ノズル110から噴射するアトマイズ空気よりも弱い(流速が遅い)。
図13に示すように、ワイヤー材32の先端接触部が溶融した溶滴88には、上部ノズル109と下部ノズル110からアトマイズ空気112が噴射される。この場合、上部ノズル109からのアトマイズ空気112が噴射された溶滴88は、アトマイズ空気112の勢いが弱いので大きな溶射粒子89にアトマイズされる。下部ノズル110からのアトマイズ空気112が噴射された溶滴88は、アトマイズ空気112の勢いが強いので小さな溶射粒子89にアトマイズされる。このため、ツール本体25を回転させつつ溶射ツール14を上昇させると、ボア29内面には、まず上部ノズル109から噴射したアトマイズ空気112がアトマイズした大きな溶射粒子89が溶射される。溶射ツール14が上昇しているので、大きな溶射粒子89が形成した溶射被膜の上に、下部ノズル110から噴射したアトマイズ空気112がアトマイズした小さな溶射粒子89が溶射される。
大きな溶射粒子89は、質量が大きいので運動エネルギーと熱エネルギーが大きい。運動エネルギーが大きい溶射粒子89は、ボア29内面に強く衝突する。熱エネルギーが大きい溶射粒子89は、より溶融した状態でボア29内面に衝突する。このため、大きな溶射粒子89は、ボア29内面に強く密着する。大きな溶射粒子89が形成した溶射被膜は、表面の凹凸が大きいので、その上に溶射された小さな溶射粒子89と強く密着する。小さな溶射粒子89は、組織が密な溶射被膜を形成する。組織が密な溶射被膜にホーニング加工を施すと、適度な凹凸を有するオイルピットが形成される。本実施例の溶射装置によれば、ツール本体を1パス上昇させるだけで、密着強度が強く、かつ組織が密な溶射被膜を形成することができる。
上部ノズル109から勢いが強いアトマイズ空気112を噴射し、下部ノズル110から勢いが弱いアトマイズ空気112を噴射するように構成することもできる。この場合には、ツール本体を下降させながら溶射する。このようにしても、大きな溶射粒子89が形成した溶射被膜の上に、小さな溶射粒子89が形成した溶射被膜を設けることができる。
横方向に並んで、弱いアトマイズ空気を噴射するノズルと、強いアトマイズ空気を噴射するノズルを設けてもよい。この場合には、弱いアトマイズ空気を噴射するノズル側にツール本体を回転させる。すると、大きな溶射粒子が形成した溶射被膜の上に、小さな溶射粒子による溶射被膜が形成される。
上述したアトマイズ空気112に加えて、第1実施例〜第3実施例に記載されているような補助空気43を吹き出すこともできる。補助空気43を吹き出すと、液滴88が下方に引き伸ばされ、アトマイズ空気112によるアトマイズが効果的に行われる。
第1実施例、第2実施例、第3実施例の溶射装置は、ワイヤー材とアトマイズ空気の吹き付け方向の位置関係が固定されており、溶滴に対して常にV字直交方向からアトマイズ空気が噴射される。上述したように、溶滴にV字直交方向からアトマイズ空気を噴射すると、溶滴は大きさが均一な溶射粒子になる。そして、ツール本体25が回転して溶射することにより、ボア内面の全周に溶射被膜が形成される。従って、良質な溶射被膜を形成することができる。
図21は、第1実施例、第2実施例、第3実施例の溶射装置を用いて、アトマイズ空気と補助空気の流量を変えながら試験した結果をまとめたものである(以下においては、第1実施例の溶射装置を「タイプ1」、第2実施例の溶射装置を「タイプ2」、第3実施例の溶射装置を「タイプ3」と言う)。図24の最上段の「W」は、アトマイズ空気と補助空気の総流量(リットル/分)を示している。その下段のRatioは、総流量Wに対する補助空気の割合(%)を示している。「○、△、×」は、タイプ1、タイプ2、タイプ3のそれぞれについて、ワイヤー材32の先端部分の短絡状況を示している。具体的には、「○」は、正常な短絡が行われたことを意味している。「△」は、短絡が停止しないが、時々バチバチと音がしたことを意味している。「×」は、短絡が行われず、溶射に不適当な状態であったことを意味している。図21から明らかなように、補助空気の割合が大きくなると、短絡が生じにくくなる。補助空気の割合が大きくなると、補助空気が勢いよくワイヤー材32の先端部に吹き付けられ、ワイヤー材32の先端同士が離れてしまうからである。補助空気の割合が5〜20(%)の場合には、タイプ1、タイプ2、タイプ3のいずれでも、正常な短絡が行われた。
タイプ1で「○」が記載されている場合の溶射被膜は、ほぼ良質に形成されていたが、時折大きな溶射粒子が混じることがあった。タイプ2とタイプ3で「○」と記載されている場合の溶射被膜は、良質に形成されていた。
図22は、タイプ1の溶射装置を用いて形成した溶射被膜132を示している。図22から明らかように、溶射粒子の大きさが均一な、良質な溶射被膜132が形成されている。図23は、図22の溶射被膜132の位置からボアの軸廻りに90度移動した位置の溶射被膜132を示している。この溶射被膜132も良質に形成されている。図22、図23の溶射被膜の密着強度を剪断法で試験した結果は100(MPa)であり、十分な密着強度を有していた。なお、図22、図23の溶射被膜を形成したときの溶射条件は、溶射材料(ワイヤー材)が「Fe−0.8%C」であり、ワイヤー材の経が1.6(mm)であり、ワイヤー材の送給速度が80(mm/sec)であり、電流が210(A)であり、供給空気圧力は6.0(Kg/cm)、供給空気温度は常温であった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第1実施例に係る溶射装置の模式図。 第1実施例に係る溶射ツール部の縦断面図。 第1実施例に係るツール本体先端部の詳細図。 図3のIV−IV線矢視図。 図4のV−V線矢視図。 第1実施例に係るツール本体先端部で溶射が行われている状態の模式図。 図6のVII−VII線矢視図。 第1実施例のキャップ部にノズルを追加した形態の説明図。 第2実施例に係るツール本体先端部の詳細図。 第2実施例に係るツール本体先端部で溶射が行われている状態の模式図。 第3実施例に係るツール本体先端部で溶射が行われている状態の模式図。 第4実施例に係るツール本体先端部を示す図。 第4実施例に係るツール本体先端部で溶射が行われている状態の模式図。 参考例に係る溶射被膜の切断面写真。 参考例に係る溶射被膜の切断面写真。 参考例に係る溶射装置の模式図。 参考例に係る溶射被膜の切断面写真。 参考例に係る溶射装置で溶射している状態の模式図。 参考例に係る溶射被膜の切断面写真。 参考例に係る溶射装置で溶射している状態の模式図。 第1実施例、第2実施例、第3実施例の溶射装置で溶射したときの、ワイヤー材の先端同士の短絡状況をまとめた表。 実施例の溶射装置で溶射した溶射被膜の切断面写真。 同上。
符号の説明
10:溶射装置
11:基台
12:支持部
14:溶射ツール部
15:コントローラ
16:パレット
19:スライダー
20:昇降用モータ
21:サポート
22:スクリュウ
23:絶縁体
24:回転用モータ
25:ツール本体
26:シリンダーブロック
27:絶縁体
28:シール
29:ボア
30:第1リール
31:第2リール
32:ワイヤー材
33:リール支持部材
34:偏向ローラ
35:矯正器
36:第1矯正ローラ
37:アトマイズ空気
38:下部通電体、38a:スリップリング
39:第2矯正ローラ
40:送給ローラ
41:上部パイプ
42:ブラケット
43:補助空気
44:送給モータ
45:第1プーリ
46:シャフト
47:第2プーリ
48:ベルト
49:第1円筒部材
50:上部通電体、50a:スリップリング
51:上部絶縁体
52:中間パイプ
53:中間絶縁体
54:第1下部パイプ
55:第1通電部材
56:第2通電部材
57:第2下部パイプ
58:シール
59:第2円筒部材
60:空気供給部材、60a:第1水平流路、60b:第2水平流路
61:サポート
62、63:カップリング
64:第1ホース
65:第2ホース
66:第1補助空気流路
67:ケース部材
68:アトマイズ空気用流路
69:下部絶縁体
70:第1接続部材
71:第2接続部材
72:第1通電チップ
73:第2通電チップ
74:先端部材、74a:キャップ部、74b:ノズル部、74c:貫通孔
75:回転軸
76:アトマイズノズル
77:補助ノズル
78:ノズル
79:第2補助空気流路
80:サポート、80a:上水平部、80b:下水平部
81:ベアリング
82:上部カバー
83:ベアリング
84:中間カバー
85:下部カバー
86:ベアリング
87:ホルダー
88:溶滴
89:溶射粒子
90:上部電力体
91:電力線
92:下部電力体
93:電力線
101:第3プーリ
102:第4プーリ
103:ベルト
104:第4補助空気流路
106:第1補助空気パイプ
107:第2補助空気パイプ
109:上部ノズル
110:下部ノズル
112、113:アトマイズ空気
114:アトマイズノズル
119:第3補助空気流路
120:先端部
122:固定部
123:回転部
125:回転部本体
126:ノズル部
127:補助空気
128:補助ノズル
131:溶射粒子
132:溶射被膜
133:母材

Claims (7)

  1. 複数本のワイヤー状の溶射材を先端同士が近接する位置に送出す送出機構と、
    複数本のワイヤー状の溶射材間に電位差を与える通電機構と、
    溶射材の先端近傍に発生する溶滴を引き伸ばす気流を吹出す溶滴延長気流吹出機構と、
    溶滴延長気流吹出機構が吹出す気流で引き伸ばされた溶滴の先端近傍の溶滴を溶射面に向けて飛散させる溶射気流を噴射する溶射気流噴射機構と
    溶射気流によって溶射粒子が溶射される溶射範囲を移動させる移動機構を備え、
    溶射気流噴射機構は、低速溶射気流を噴射して大きな溶射粒子を溶射面に溶射する低速溶射気流噴射機構と、高速溶射気流を噴射して小さな溶射粒子を溶射面に溶射する高速溶射気流噴射機構を備えており、
    移動機構は、低速溶射気流によって大きな溶射粒子が溶射された範囲が、その後に高速溶射気流によって小さな溶射粒子が溶射される範囲へと変化するように、溶射範囲を移動させることを特徴とする溶射装置。
  2. 2本のワイヤー状の溶射材の左右対称面に沿って溶射気流噴射機構が配置されていることを特徴とする請求項1の溶射装置。
  3. 送出機構と通電機構と溶滴延長気流吹出機構と溶射気流噴射機構の全体を回転させる回転機構を備えていることを特徴とする請求項1または2の溶射装置。
  4. 溶射気流噴射機構は、低速溶射気流噴射機構が溶射材に近い側に配置されているととともに、高速溶射気流噴射機構が溶射材から遠い側に配置されており、
    移動機構は、送出機構と通電機構と溶滴延長気流吹出機構と溶射気流噴射機構の全体を、高速溶射気流噴射機構側から低速溶射気流噴射機構側に向かう方向に沿って移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの溶射装置。
  5. 溶射材の先端位置から溶射面までの距離が最適化されるように、溶射材の先端位置が回転中心からオフセットされていることを特徴とする請求項3の溶射装置。
  6. 複数本のワイヤー状の溶射材間に電位差を与えた状態で複数本のワイヤー状の溶射材を先端同士が近接する位置に送出す工程と、
    溶射材の先端近傍に発生する溶滴を引き伸ばす溶滴延長気流を吹出す工程と、
    溶滴延長気流で引き伸ばされた溶滴の先端近傍の溶滴を溶射面に向けて飛散させる溶射気流を噴射する工程とを備え
    溶射気流を噴射する工程では、低速溶射気流を噴射して大きな溶射粒子を溶射面に溶射するとともに高速溶射気流を噴射して小さな溶射粒子を溶射面に溶射しながら、低速溶射気流によって大きな溶射粒子が溶射された範囲が、その後に高速溶射気流によって小さな溶射粒子が溶射される範囲へと変化するように、溶射範囲を移動させることを特徴とする溶射方法。
  7. 前記の溶射気流噴射する工程では、溶射材に近い側に低速溶射気流を噴射するとともに溶射材から遠い側に高速溶射気流を噴射することを特徴とする請求項6の溶射方法。
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