JP6287273B2 - 静電荷像現像用トナー用樹脂組成物の製造方法及び静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー用樹脂組成物の製造方法及び静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式の複写機及び画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナー用樹脂組成物及び静電荷現像用トナーに関する。
近年における複写機やプリンター等の普及に伴いオフィス環境における人体への影響に対して、欧州を中心とした環境規格(ブルーエンジェル規格など)が制定される様になってきた。これらの動きに伴い、静電荷像現像用トナーに含まれるVOC(有機性揮発性成分)を削減される事が強く望まれている。
一方、複写機やプリンターの低エネルギー化の推進も環境負荷軽減の一環として盛んに行われており、複写機やプリンターに使用するエネルギーの実に7割程度が定着プロセス時に与える熱エネルギーを付与する為に消費されているのが実情である。この定着プロセス時に与える熱エネルギーを軽減させる為、装置面からは定着機の機構や部材を改善する試みがなされており、静電荷像現像用トナーとしては低温で定着する性能を有する事が望まれている。静電荷像現像用トナーを低温定着化する為には、その主体構成物質である結着樹脂を低温で低粘度化させる事が必須であり、その手段の一つとして結着樹脂の分子量を数万の分子量領域まで超低分子量化する様な検討がなされている。静電荷像現像用トナーの結着樹脂としては、主にポリエステル系樹脂に代表される縮合重合系のポリマー、スチレン/アクリル系に代表される不飽和二重結合を有するモノマーをラジカル重合させる事によって得られるポリマーが使用される。
後者にあたるスチレン/アクリル系に代表される不飽和二重結合を有するモノマーをラジカル重合させる事によって得られるポリマーを超低分子量化させるには、そのモノマーに対する連鎖移動定数の大きな連鎖移動剤を用いなければならず、スチレンに対してはn−ブチルメルカプタン(例えば非特許文献1)や、オクチルチオール(例えば特許文献1)、ドデカンチオール(例えば特許文献2)等のチオール系化合物が用いられる。
しかし、これらのチオール系化合物は、製造時やトナーの定着時に人が不快と感じる臭気閾値の低いメルカプタン臭を発生させるという問題点があり、更には硫黄原子を含む腐食性ガスにより金属類を腐食させる問題があった。
これらの問題に対し、縮合多環芳香族骨格を有する物質を連鎖移動剤として使用し、臭気と金属腐食性を改善させる方法が提案されており(例えば特許文献3)、更には縮合多環芳香族骨格を有する物質を連鎖移動剤由来の自己架橋生成よる分子量の増加を抑制させる目的で、脂肪族アルコール・ケトン化合物・エステル化合物・脂肪族炭化水素化合物・芳香族炭化水素化合物、脂肪族エーテル化合物・テルペノイド系化合物・スチレンオリゴマー系化合物・不飽和炭化水素化合物・チオール化合物・脂肪族アミン・芳香族アミンから選ばれる物質を併用するという方法も提案されている(特許文献4)。
特開平6−329947 特開平7−146583 特開2013−144786 特開2013−245344
「改定高分子合成の化学」大津隆行著(化学同人、1987 第2版)98頁 表13
しかし、これら縮合多環芳香族骨格を有する物質を連鎖移動剤に用いると著しく重合反応速度を低下させ、十分に重合転化率が上がらないという問題点が依存として残されていた。例えば、特許文献3の表3にある様に同一重合時間に対し、溶液重合系では比較例10と実施例24の比較から、スチレンに対し1,4−ナフトキノンを0.5部添加すると転化率は19.9%から2.3%に低下し、更に乳化重合系でも特許文献3の表3にある様に比較例7と実施例21との比較によりスチレン−アクリル酸nーブチルに対し1,4−ナフトキノンを0.8部添加することにより転化率が70.3%から8.5%にまで低下していることが解る。
更には、縮合多環芳香族骨格を有する物質に自己架橋生成よる分子量の増加を抑制させる目的で種々の助剤を添加した特許文献4についても、比較例7と比較例8及び実施例11との比較により、スチレン−アクリル酸ブチルに対し、1,4−ナフトキノンを500ppm添加すると、その転化率は73.4%から33.4%に低下し、更にα−ナフトキノンを500ppm併用することにより、その転化率は6.8%にまで低下する為、モノマーが未反応のまま残ることとなり効率よく重合体を得る事ができない上、低添加率では低い分子量を保てるものの転化率が上がるにつれ分子量が増加してしまうという問題もあり、更には、モノマーが多く残存することにより静電荷像現像用トナーに含まれるVOC(有機性揮発性成分)を著しく増加させてしまうこともあいまって、産業上実使用に耐え得る状況ではなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その課題は、縮合多環芳香族骨格を有する物質を連鎖移動剤に用いる重合反応により、低分子量の、具体的には、重量平均分子量90,000以下の樹脂組成物を製造する場合であっても、スチレン等の不飽和二重結合を有するモノマーの転化率を99.6%以上とし、トナーとする際の低温定着性の制御性を維持しつつ、残留モノマーを低減させることにより、トナーとした際にトナー中に含まれるVOC(有機性揮発性成分)を大きく低減することを可能とすることにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のキノン類化合物を使用する重合反応に開始剤として特定の化合物を用いることで上記課題が解決できることを見出し、また、特定のキノン類化合物とα−メチルスチレンダイマーを特定の比率で該重合反応に用いることで上記課題がより効果的に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下[1]乃至[8]に存する。
[1] 構造式(1)で表される化合物及びレドックス系開始剤存在下で、不飽和二重結合を含むモノマーを重合して得られることを特徴とする静電荷現像用トナー用樹脂組成物。
Figure 0006287273
(構造式(1)中、nは1から4の整数を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を表し、nが2以上の整数の場合、Rはそれぞれ独立して前記置換基を表す。X及びYはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はハロゲン原子を表し、X及びYは、前記置換基に代えて、互いに結合して飽和又は不飽和の環状構造を形成してもよい。このXとYによって形成される環状構造はさらに置換基を有していてもよく、該環状構造が有していてもよい置換基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子である。)
[2] 不飽和二重結合を含むモノマーを含む原料として重合反応により得られるトナー用樹脂組成物であって、該重合反応は、構造式(1)で表される化合物、α−メチルスチレンダイマー及びレドックス系開始剤の存在下で行われ、且つ構造式(1)で表される化合物とα−メチルスチレンダイマーとの合計量が、該不飽和二重結合を含むモノマー100質量部に対して、0.1質量部以上1.2質量部以下であり、構造式(1)とα−メチルスチレンダイマーとのモル比が30:70〜70:30であることを特徴とする静電荷現像用トナー用樹脂組成物。
Figure 0006287273
(構造式(1)中、nは1から4の整数を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を表し、nが2以上の整数の場合、Rはそれぞれ独立して前記置換基を表す。X及びYはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はハロゲン原子を表し、X及びYは、前記置換基に代えて、互いに結合して飽和又は不飽和の環状構造を形成してもよい。このXとYによって形成される環状構造はさらに置換基を有していてもよく、該環状構造が有していてもよい置換基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子である。)
[3] レドックス系開始剤の酸化剤として過酸化水素を含み、還元剤としてL−アスコルビン酸または鉄塩を含むことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の静電荷現像用トナー用樹脂組成物。
[4] ワックス存在下で不飽和二重結合を含むモノマーを重合して得られたことを特徴とする前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の静電荷現像用トナー用樹脂組成物。
[5] 前記不飽和二重結合を含むモノマーは複数のモノマーからなり、当該複数のモノマー中、最も多く含まれるモノマーの転化率が、99.6質量%以上であり、重量平均分子量が90,000以下であり且つ150℃における貯蔵弾性率が800Pa・s以下で
あることを特徴とする前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の静電荷現像用トナー用樹脂組成物。
[6] 前記[1]乃至[5]のいずれかに記載された静電荷像現像用トナー樹脂組成物を含むことを特徴とする静電荷現像用トナー。
[7] 前記[1]乃至[5]のいずれかに記載された静電荷像現像用トナー樹脂組成物と顔料とを水中で凝集させることにより得られたことを特徴とする静電荷現像用トナー。[8] 平均円形度が0.970以上であることを特徴とする前記[6]又は[7]に記載の静電荷現像用トナー。
本発明によれば、縮合多環芳香族骨格を有する物質を連鎖移動剤に用いる重合反応により、重量平均分子量90,000以下の樹脂組成物を製造する場合であっても、スチレン等の不飽和二重結合を有するモノマーの転化率を99.6%以上とすることが可能となる。これにより、高転化率を実現した結果、樹脂組成物中の残留モノマーを低減させたことにより、トナーとした際にトナー中に含まれるVOC(有機性揮発性成分)を大きく低減することができ、一方で、トナーとする際の低温定着性の制御性を維持することができるトナー用樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明のトナー用樹脂組成物を含有するトナーとすることで、低温定着性と環境特性に優れたトナーを提供することができ、且つ本発明のトナーによれば、トナー製造時及び定着時の臭気や製造時の腐食性の問題も解決できるとの効果を奏する。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
以下、「静電荷像現像用トナー用樹脂組成物」を単に「樹脂組成物」と、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」と、略記する場合がある。
<1.静電荷像現像用トナー用樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、以下に詳述する構造式(1)で表される化合物及びレドックス系開始剤存在下で、不飽和二重結合を含むモノマーを重合して得られることを特徴とする。
[1−1.構造式(1)で表される化合物]
本発明の樹脂組成物は、連鎖移動剤として、下記構造式(1)で表される化合物の存在下で重合することにより得られる。
Figure 0006287273
構造式(1)中、nは1から4の整数を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を表し、nが2以上の整数の場合、Rはそれぞれ独立して前記置換基を表す。
構造式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−
ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、p-トリル基、o-トリル基、ナフチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリロキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、よう素が挙げられる。
構造式(1)中、X及びYはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はハロゲン原子を表し、X及びYは、前記置換基に代えて、互いに結合して飽和又は不飽和の環状構造を形成してもよい。このXとYによって形成される環状構造はさらに置換基を有していてもよく、該環状構造が有していてもよい置換基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子である。
一般式(1)における、X及びYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、2−エチルヘキシル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−3−ペンテニル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、よう素が挙げられる。
一般式(1)において、XとYが互いに結合している環状構造の例としては、X及びYがCHCH基であり、X及びYが一重結合で結合しているもの(この化合物は、一般式(3)で表される。)、X及びYがCHCH基であり、X及びYが二重結合で結合しているもの(この化合物は、一般式(2)で表される。)、X及びYがCH=CH基であり、X及びYが一重結合で結合しており芳香環を形成しているものなど6員環構造が挙げられる。XとYによって形成される環状構造は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子が置換していてもよい。さらに置換されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、p-トリル基、
o-トリル基、ナフチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチ
ル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリロキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、よう素が挙げられる。
次に、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げる。まず、一般式(1)において、X及びYが水素原子である化合物としては、次の化合物が挙げられる。例えば、1,4−ナフトキノン、5−メチル−1,4−ナフトキノン、6−メチル−1,4−ナフトキノン、6,7−ジメチル−1,4−ナフトキノン、5−ブチル−1,4−ナフトキノン、6−ブチル−1,4−ナフトキノン、6,7−ジブチル−1,4−ナフトキノン、5−ペンチル−1,4−ナフトキノン、6−ペンチル−1,4−ナフトキノン、5−クロロ−1,4−ナフトキノン、6−クロロ−1,4−ナフトキノン、6,7−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、6−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、5,8−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、5,6,8−トリヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、5−メトキシ−1,4−ナフトキノン、6−メトキシ−1,4−ナフトキノン、5,8−ジメトキシ−1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
これらの化合物の中で、1,4−ナフトキノンは、試薬として容易に入手可能である。
また、5位乃至8位に置換基を有する化合物は、第5版実験化学講座15有機化合物の合成IIIアルデヒド・ケトン・キノン(日本化学会編)379頁に記載されているように対
応するナフタレン化合物を酸化処理したり、同じく第5版実験化学講座15有機化合物の合成IIIアルデヒド・ケトン・キノン(日本化学会編)393頁に記載されているように
ベンゾキノンと、対応するブタジエン化合物のディールス・アルダー反応により環状付加体を合成し、その後異性化し、そして酸化処理することにより合成可能である。
これらの化合物の中で、1,4−ナフトキノンが、製造が容易でかつ高活性であるので、特に好ましい。
本発明の樹脂組成物を得る重合反応において、構造式(1)で表される化合物の添加量は、不飽和二重結合を有するモノマー原料100質量部に対して、下限は、通常0.01質量部以上であり、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上であり、レドックス系開始剤との併用による樹脂組成物の重量平均分子量及び150℃における貯蔵弾性率の制御の観点から、更に好ましくは0.3質量部以上であり、一方、上限は、通常5質量部以下であり、好ましくは3質量部以下であり、より好ましくは1質量部以下であり、レドックス系開始剤との併用による樹脂組成物の重量平均分子量及び150℃における貯蔵弾性率の制御の観点から、更に好ましくは0.8質量部以下であり、樹脂組成物中の不飽和二重結合を有するモノマーの残留量を低減する観点から、特に好ましくは0.5質量部以下である。
[1−2.レドックス系開始剤]
本発明の樹脂組成物を得る重合反応では、酸化剤系開始剤に対して還元剤を組み合わせるいわゆるレドックス系開始剤を用いることを必須とする。レドックス系開始剤と前述した構造式(1)で表される化合物との併存下で重合反応を行うことにより、樹脂組成物の重量平均分子量を90,000以下とする重合反応の場合であっても、不飽和二重結合を有するモノマー原料中の主成分たるモノマーの転化率を非常に高くすることができる。
本発明で用いられる酸化剤系開始剤としては、特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物類;2、2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素、2、2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸二水和物、2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩化水素、2、2−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2、2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩化水素、2、2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2、2−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩化水素、2、2−アゾビス{2−メチル−N−[1、1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2、2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2、2−アゾビス(N−ヒド
ロキシエチルイソブチルアミド)、4、4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2、4ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物類が挙げられる。
また、組み合わされる還元剤としては、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、過酸化水素、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸及びその塩、第一銅塩等の銅塩、第一鉄塩等の鉄塩等が挙げられる。
レドックス系開始剤を使用した重合反応には水系と非水系における反応があり、例えば「改定高分子合成の化学」大津隆行著(化学同人、1987 第2版)66頁に記載にあ
るように、水溶性レドックス系の酸化剤には上述の過硫酸塩、過酸化水素、ヒドロペルオキシド等の過酸化物があり、水溶性の有機還元剤(L−アスコルビン酸、アルコール、ポリアミン)や無機還元剤(Fe2+塩やNaHSOなど)と組み合わせて用いられる。非水系レドックス系では、酸化剤としてヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル等と伴に還元剤として第三アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン、有機金属化合物「Al(C、B(C、Zn(Cなど」が使用される。また、酸素、酸化性金属塩「セリウム(IV)塩など」、ハロゲン分子(Cl、Brなど)、有機ハロゲン化合物などを酸化剤として、還元剤と組み合わせてレドックス的に反応させ、ラジカル重合の二次開始剤として用いられる。
本発明においては、酸化剤系開始剤として過酸化水素を含み、還元剤としてL−アスコルビン酸又は鉄塩を含むレドックス系開始剤が好ましい。
酸化剤系開始剤の添加量は、不飽和二重結合を有するモノマー原料100質量部に対して、下限は、通常0.5質量部以上であり、好ましくは1.0質量部以上であり、一方、上限は、通常3.0質量部以下であり、好ましくは2.0質量部以下である。酸化剤系開始剤の添加量が少なすぎると、不飽和二重結合を有するモノマーの残留量の低減効果及び転化率向上効果が損なわれるおそれがあり、一方で、多すぎると、酸価系開始剤が反応系中に残ってしまい、後に解重合の原因となるおそれがある。
還元剤の添加量は、不飽和二重結合を有するモノマー原料100質量部に対して、下限は、通常1.0質量部以上であり、好ましくは2.0質量部以上であり、一方、上限は、通常5.8質量部以下であり、好ましくは4.0質量部以下である。還元剤の添加量が少なすぎると、不飽和二重結合を有するモノマーの残留量の低減効果及び転化率向上効果が損なわれるおそれがあり、一方で、多すぎると、還元剤が反応系中に残ってしまい、後に解重合の原因となるおそれがある。
還元剤として鉄塩を使用する場合には、その添加量は特に限定されないが、不飽和二重結合を有するモノマー原料100質量部に対して、鉄塩の添加量は、鉄原子量を基準として、下限は、通常20ppb以上であり、好ましくは70ppb以上であり、一方、上限は、通常1000ppb以下であり、好ましくは400ppb以下である。鉄塩の添加量が多すぎると、乳化重合法による場合には鉄イオンが電解質として作用し、得られた樹脂組成物の乳化物(以下、ラテックスと称することがある)の安定性を損ない、ゲル化等の原因となるおそれがあり、一方で、添加量が少なすぎると、不飽和二重結合を有するモノマーの残留量の低減効果及び転化率向上効果が損なわれるおそれがある。
[1−3.その他の連鎖移動剤]
本発明の樹脂組成物を得る重合反応は、連鎖移動剤として、上記構造式(1)で表される化合物に加えて、スチレンオリゴマー系化合物の併存下で行うことができる。スチレンオリゴマー系化合物としては、α−メチルスチレンダイマーが好ましい。
本発明の樹脂組成物を得る重合反応において、構造式(1)で表される化合物と併用されるスチレンオリゴマー系化合物の添加量は、構造式(1)で表される化合物と併用されるスチレンオリゴマー系化合物とのモル比率(構造式(1)で表される化合物:スチレンオリゴマー系化合物)が、通常10:90〜90:10の関係を満たせばよく、好ましくは20:80〜80:20であり、レドックス系開始剤との併用による樹脂組成物の重量平均分子量及び150℃における貯蔵弾性率の制御の観点から、更に好ましくは30:70〜70:30である。
本発明の樹脂組成物を得る重合反応において、構造式(1)で表される化合物とスチレンオリゴマー系化合物を併用する場合、構造式(1)で表される化合物とスチレンオリゴマー系化合物との添加量の合計は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、
不飽和二重結合を有するモノマー原料100質量部に対して、下限は、通常0.05質量部以上であり、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.3質量部以上であり、更に好ましくは0.5質量部以上であり、レドックス系開始剤との併用による樹脂組成物の重量平均分子量及び150℃における貯蔵弾性率の制御の観点から、特に好ましくは0.7質量部以上であり、一方、上限は、通常5質量部以下であり、好ましくは2質量部以下であり、樹脂組成物中の不飽和二重結合を有するモノマーの残留量を低減する観点から、特に好ましくは1.2質量部以下であり、最も好ましくは1.0質量部以下である。
[1−4.不飽和二重結合を含むモノマー(重合性モノマー)]
本発明の樹脂組成物は、不飽和二重結合を有するモノマーを原料とする。
不飽和二重結合を有するモノマー(以下、重合性モノマーと称することがある。)としては、ブレンステッド酸性基を有する重合性モノマー(以下、単に「酸性モノマー」と称すことがある。)又はブレンステッド塩基性基を有する重合性モノマー(以下、単に「塩基性モノマー」と称することがある。)と、ブレンステッド酸性基及びブレンステッド塩基性基の何れをも有さない重合性モノマー(以下、「その他のモノマー」と称することがある。)とを原料重合性モノマーとして使用することが好ましい。この際、各重合性モノマーは別々に加えても、予め複数の重合性モノマーを混合しておいて同時に添加しても良い。更に、重合性モノマーの添加途中で重合性モノマー組成を変化させることも可能である。また、重合性モノマーはそのまま添加しても良いし、予め水や乳化剤等と混合、調製した乳化液として添加することもできる。
「酸性モノマー」としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等が挙げられる。
「塩基性モノマー」としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これら酸性モノマー及び塩基性モノマーは、単独で用いても複数を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。中でも、酸性モノマーを用いるのが好ましく、より好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸であるのがよい。重合体一次粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める酸性モノマー及び塩基性モノマーの合計量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
「その他のモノマー」としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等が挙げられる。「その他のモノマー」は、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上述した不飽和二重結合を有するモノマー等を組み合わせて用いる中でも、好ましい実施態様として酸性モノマーとその他のモノマーを組み合わせて用いるのがよい。より好適には、酸性モノマーとしてアクリル酸及び/又はメタクリル酸を、その他のモノマーとしてスチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類の中から選択される重合性モノマーを用いるのがよく、より好ましくは酸性モノマーとしてアクリル酸及び/又はメタクリル酸を、その他のモノマーとしてスチレンとアクリル酸エステル類及び/又はメタクリル酸エステル類との組み合わせであるのがよく、特に好適には酸性モノマーとしてアクリル酸及び/又はメタクリル酸を、その他のモノマーとしてスチレンとアクリル酸n−ブチルとの組み合わせであるのが好適である。
更に、本発明の樹脂組成物を架橋樹脂組成物する場合、上述の不飽和二重結合を有するモノマーと共用される架橋剤としてはラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性モノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。
これら多官能性モノマーは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂として架橋樹脂を用いる場合は、樹脂を構成する全重合性モノマー中に占める多官能性モノマーの配合率は、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上で、更に好ましくは0.3質量%以上であり、上限は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
[1−5.樹脂組成物の物性等]
本発明の樹脂組成物は静電荷像現像用トナーの製造に用いられる。樹脂組成物の貯蔵弾性率は特に限定されないが、トナーとした際の低温定着性を実現しプリント物の光沢度(グロス)を向上させるために、樹脂組成物の150℃における貯蔵弾性率が800Pa・s以下であることが好ましく、600Pa・s以下であることがより好ましく、300Pa・s以下であることが更に好ましい。
さらに樹脂組成物の重量平均分子量は、特に限定されないが、樹脂組成物の貯蔵弾性率を上述の範囲に収めるために、90,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましい。
また、樹脂組成物を用いてトナーとした際に、トナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるために、下記[1−6.樹脂組成物の製造方法]にて詳述する方法にて樹脂組成物中にワックスを含有あるいは包含させることができる。
[1−6.樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物を得る製造方法は、前述の構造式(1)で表される化合物及びレドックス系開始剤の存在下で行える重合反応による製造方法であれば特に限定されないが、溶液重合法や乳化重合法等により行うことが好ましい。
本発明の樹脂組成物を製造する方法の中で、特に好ましい製造方法の一例である水系媒体中で不飽和二重結合を有するモノマーをラジカル重合による乳化重合法により製造される樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物を製造する減量して使用する不飽和二重結合を有するモノマーは、[1−4.不飽和二重結合を含むモノマー(重合性モノマー)]にて詳述したとおりである。不飽和二重結合を含むモノマーが原料中に複数存在する場合、最も多く含まれるモノマーは、スチレン、アクリル酸n−ブチル等の「その他のモノマー」である。
乳化重合に用いる乳化剤としては公知のものが使用できるが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上の乳化剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、通常、重合性単量体100質量部に対して1〜10質量部とされ、また、これらの乳化剤に、例えば、部分または完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の1種もしくは2種以上を保護コロイドとして併用することができる。
本発明では、重合開始剤としては、[1−2.レドックス系開始剤]にて詳述したレドックス系開始剤を使用することを必須とする。添加量等については、[1−3.レドックス系開始剤]にて詳述したとおりである。
また、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の1種または2種以上の懸濁安定剤を、重合性単量体100質量部に対して通常1〜10質量部の範囲で用いてもよい。
前記重合開始剤及び懸濁安定剤は、何れも、重合性モノマー添加前、添加と同時、添加後の何れの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
本発明においては、乳化重合に際して、連鎖移動剤として、[1−1.構造式(1)で表される化合物]にて詳述した化合物を使用することを必須とし、必要に応じて、[1−3.その他の連鎖移動剤]に詳述した連鎖移動剤をしてもよい。連鎖移動剤の添加量等については、[1−1.構造式(1)で表される化合物]及び[1−3.その他の連鎖移動剤]に詳述したとおりである。
乳化重合は、前記の重合性モノマー類を前記重合開始剤の存在下で重合するが、重合温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃、更に好ましくは70〜90℃である。
乳化重合により得られた樹脂組成物は重合体一次粒子として得られ、該重合体一次粒子の体積平均径(Mv)は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であることが望ましい。重合体一次粒子の体積平均径(Mv)が前記範囲内であると、後述する静電荷像現像用トナーの製造において、比較的容易に凝集速度を制御
することができ、目的とする粒径のトナーを得ることができる。
本発明の樹脂組成物は必要に応じてワックスを含有させてもよい。乳化重合法におけるワックスの配合方法としては、予め水中に体積平均径(Mv)0.01〜2.0μm、より好ましくは0.01〜1.0μm、さらに好ましくは0.01〜0.5μmに乳化分散したワックス分散液を乳化重合時に添加することが好ましい。
後述するトナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるためには、乳化重合時にワックスをシードとして添加することが好ましい。シードとして添加することにより、ワックスが内包された樹脂組成物である重合体一次粒子が得られるので、トナーとした際に、ワックスがトナー表面に多量に存在することがなく、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。樹脂組成物中のワックスの存在量は、好ましくは4〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは7〜15質量%となるように計算して用いられる。
<2.静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「現像用トナー」又は「トナー」と略記する場合がある。)は、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーであり、本発明のトナーを製造する方法は特に限定されるものではなく、湿式法トナーや粉砕法トナーの製造方法において、以下に説明する構成を採用すればよい。
[2−1.トナーの構成]
本発明のトナーを構成する結着樹脂としては、前記<1.静電荷像現像用トナー用樹脂組成物>にて詳述した樹脂組成物を含有すればよい。必要に応じて、結着樹脂としてその他の樹脂を含有してもよい。
本発明のトナーを構成する着色剤としては、トナーに用い得ることが知られているものの中から適宜選択して用いればよい。例えば、以下に示すイエロー顔料、マゼンタ顔料及びシアン顔料が挙げられ、黒色顔料としてはカーボンブラック又は以下に示すイエロー顔料/マゼンタ顔料/シアン顔料を混合して黒色に調色されたものが利用される。
このうち、黒色顔料としてカーボンブラックは、非常に微細な一次粒子の凝集体として存在し、顔料分散体として分散させたときに、再凝集による粒子の粗大化が発生しやすい。カーボンブラック粒子の再凝集の程度は、カーボンブラック中に含まれる不純物量(未分解有機物量の残留程度)の大小と相関が見られ、不純物が多いと分散後の再凝集による粗大化が激しい傾向を示す。
不純物量の定量的な評価として、以下の方法で測定されるカーボンブラックのトルエン抽出物の紫外線吸光度が0.05以下であることが好ましく、0.03以下であることが一層好ましい。一般に、チャンネル法のカーボンブラックは不純物が多い傾向を示すので、本発明におけるカーボンブラックとしては、ファーネス法で製造されたものが好ましい。
カーボンブラックの紫外線吸光度(λc)は、次の方法で求める。
まずカーボンブラック3gをトルエン30mlに充分に分散、混合させ、続いてこの混合液をNo.5C濾紙を使用して濾過する。その後、濾液を吸光部が1cm角の石英セルに入れて市販の紫外線分光光度計により、波長336nmの吸光度(λs)を測定する。そして同じ方法でリファレンスとしてトルエンのみの吸光度(λo)を測定し、紫外線吸光度λc=λs−λoにより求めることができる。市販の分光光度計としては、例えば島津製作所製紫外可視分光光度計(UV−3100PC)等を用いることができる。
イエロー顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物等に代表される化合
物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、150、155、168、180、194等が好適に用いられる。
マゼンタ顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキウ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、173、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、C.I.ピグメントバイオレット19等が好適に用いられる。中でもC.I.ピグメントレッド122、202、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19で示されるキナクリドン系顔料が特に好ましい。キナクリドン系顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド122で示される化合物が、特に好ましい。
シアン顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等及び、C.I.ピグメントグリーン7、36等が特に好適に利用できる。
本発明のトナーを構成するワックスとしては、上述の融点以外は特に限定されるものではないが、具体的にはオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、又は部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。
中でも好ましくは炭化水素系(フィッシャートロフィッシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)ワックスやエステル系(長鎖脂肪酸と長鎖アルコールのエステル化物や長鎖脂肪酸と多価アルコールのエステル化物)ワックスが好適に用いられる。
[2−2.粉砕法トナー]
本発明のトナーは、粉砕法トナーとする場合、[2−1.トナーの構成]で詳述した原料と必要に応じて帯電制御剤等を含有し、外添剤としてチタン酸金属化合物を有し、溶融混練粉砕法で得られる。溶融混練粉砕法とは、[2−1.トナーの構成]で詳述した結着樹脂、着色剤、ワックスと必要に応じて帯電制御剤、磁性体等を乾式混合した後、押出機等で溶融混練し、次いで粉砕、分級しトナー母体を得る方法である。トナー母体表面に外添剤を付着または固着させることにより粉砕法トナーを得ることができる。
[2−3.湿式法トナー]
湿式法トナーについて説明する。
水系媒体中でトナーを得る湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法等の水系媒体中で不飽和二重結合を有するモノマーをラジカル重合または水系媒体中でポリエステル樹脂の様に縮合重合を行う方法や、乳化凝集法(ポリエステル樹脂等を高圧条件及びまたは溶剤存在下で水中に微粒子化しトナーサイズ以下であるサブミクロンサイズの大きさとし、その後その微粒子をトナーサイズであるミクロンサイズまで凝集させる方法)、化学粉砕法が好適に利用されている。以下、「重合法」と略記し、得られたトナーを「重合法ト
ナー」と略記する。)例えば、従来の重合法トナーの製造工程において、懸濁重合法の場合は、重合性モノマー滴を生成する工程で高いせん断力を与えたり、分散安定剤等を増量させたりする方法等が挙げられる。
特定範囲の粒径を有するトナーを得る方法としては、前記した懸濁重合法、乳化重合凝集法、乳化凝集法、化学粉砕法等の重合法何れの製造方法をも使用することができるが、懸濁重合法、化学粉砕法においては、何れもトナー母粒子径より大きなサイズから小さなサイズへ調製する。そのため、平均粒子径を小さくしようとすると小粒子側の粒子径割合が増加する傾向にあり、分級工程等の過度の負担が強いられる。
これに対して、乳化重合凝集法や乳化凝集法に代表される水中でのビルドアップ法は、トナー母粒子径より小さなサイズから、大きな粒子へ調製するため、比較的粒子径分布がシャープで、分級工程等の工程を介さずに、整った粒子径分布をもつトナーが得られる。以上の理由により、乳化重合凝集法または乳化凝集法により本発明のトナーを製造することが特に好ましい。
なお、上述した粉砕法トナーでは通常分級工程が必須であるが、湿式法トナーでは、特に乳化重合凝集法によれば、分級しなくても所望の粒径分布を得ることができるため好ましい。
以下、重合トナーの製造方法の中でも、本発明において特に好ましい製法の一例である水系媒体中で不飽和二重結合を有するモノマーをラジカル重合を行う乳化重合凝集法により製造されるトナーについて更に詳細に説明する。
乳化重合凝集法によりトナーを製造する場合、通常、重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。すなわち、一般的には乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、帯電制御剤、ワックス等の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて粒子凝集体とし、微粒子等を付着した後に融着させて得られた粒子を必要に応じて洗浄、乾燥することによりトナー母粒子が得られる。トナーがシェルコア構造を形成したものである場合には、重合、混合、凝集によりコア材凝集工程を経て形成したコアに、シェル材となる重合体一次粒子分散液を添加、保持したのち、円形化工程、洗浄乾燥工程によって、シェルコア構造を形成することができる。
乳化重合凝集法に用いられる重合体一次粒子は、本発明の樹脂組成物を用いればよく、前記[1−6.樹脂組成物の製造方法]に詳述した製造方法によりラテックス(乳化物)として得られる。
着色剤としては、[2−1.トナーの構成]に例示した通常用いられる着色剤であればよく、特に限定はされない。前記着色剤の含有割合は、得られるトナーが現像により可視像を形成するのに十分な量であればよく、例えば、トナー中に1〜25質量部の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜15質量部、特に好ましくは3〜12質量部である。
着色剤は磁性を有していてもよく、磁性着色剤としては、プリンター、複写機等の使用環境温度である0〜60℃付近においてフェリ磁性或いはフェロ磁性を示す強磁性物質、具体的には、例えば、マグネタイト(Fe)、マグヘマタイト(γ−Fe)、マグネタイトとマグヘマタイトの中間物や混合物、MxFe−xO(Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd等)で表されるスピネルフェライト、BaO・6Fe、SrO・6Fe等の6方晶フェライト、YFe12、SmFe12等のガーネット型酸化物、CrO等のルチル型酸化物、及び、Cr、Mn、Fe、Co、Ni等の金属或いはそれらの強磁性合金等のうち0〜60℃付近において磁性を示すものが挙げられる。中でも、マグネタイト、マグヘマタイト、又はマグネタイトとマグヘマタイトの中間体が好ましい。
非磁性トナーとしての特性を持たせつつ、飛散防止や帯電制御等の観点で含有する場合は、トナー中の前記磁性粉の含有量は、0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%である。また、磁性トナーとして使用する場合は、トナー中の前記磁性粉の含有量は、通常15質量%以上、好ましくは20質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下であることが望ましい。磁性粉の含有量が前記範囲未満であると、磁性トナーとして必要な磁力が得られない場合があり、前記範囲を超過すると、定着性不良の原因となる場合がある。
乳化重合凝集法における着色剤の配合方法としては、通常、重合体一次粒子分散液と着色剤分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。着色剤は、乳化剤の存在下で水中にサンドミル、ビーズミル等の機械的手段により乳化させた状態で用いるのが好ましい。この際、着色剤分散液は、水100質量部に対して、着色剤を10〜30質量部、乳化剤を1〜15質量部加えるのがよい。なお、分散液中の着色剤の粒径を分散途中でモニターしながら行い、最終的にその体積平均径(Mv)を0.01〜3μmとするのがよく、より好適には0.05〜0.5μmの範囲に制御するのがよい。また、個数平均径(Mn)は0.01〜3μmとするのがよく、より好適には0.05〜0.5μmとするのがよい。乳化凝集時における着色剤分散液の配合は、凝集後のでき上がりのトナー母粒子中に2〜10質量%となるように計算して用いられる。
本発明に係るトナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤を配合しても良い。帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用される。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。帯電制御剤の配合量は樹脂100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲が好ましい。
乳化重合凝集法においてトナー中に帯電制御剤を含有させる場合は、乳化重合時に不飽和二重結合を有するモノマー(重合性モノマー)等とともに帯電制御剤を配合する、重合体一次粒子(本発明に係る樹脂組成物)及び着色剤等とともに凝集工程で配合する、または重合体一次粒子及び着色剤等を凝集させてほぼトナーとして適当な粒径となった後に配合する等の方法によって配合することができる。これらのうち、帯電制御剤を、乳化剤を用いて水中で乳化分散させ、体積平均径(Mv)0.01μm〜3μmの乳液として使用することが好ましい。乳化凝集時における帯電制御剤分散液の配合は、凝集後のでき上がりのトナー母粒子中に0.1〜5質量%となるように計算して用いられる。
前記の分散液中の重合体一次粒子(本発明に係る樹脂組成物)、着色剤分散粒子、ワックス分散粒子、帯電制御剤分散粒子等の体積平均径(Mv)は、実施例に記載の方法でナノトラックを用いて測定し、その測定値として定義される。
乳化重合凝集法における凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子(本発明に係る樹脂組成物)、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、ワックス等の配合成分は、同時にあるいは逐次に混合するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが、組成の均一性及び粒径の均一性の観点から好ましい。
前記の凝集処理は通常、攪拌槽内で、加熱する方法、電解質を加える方法、これらを組み合わせる方法等がある。一次粒子を攪拌下に凝集してほぼトナーの大きさに近い粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか又は電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。
電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩の何れでも良いが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、NaSO、KSO、LiSO、MgCl、CaCl、MgSO、CaSO、ZnSO、Al(SO、Fe(SO、CHCOONa、CSONa等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
前記電解質の配合量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、通常0.05〜25質量部、好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部である。配合量が前記範囲未満の場合は、凝集反応の進行が遅くなり、凝集反応後も1μm以下の微粉が残る場合や、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しない等の場合がある。また、前記範囲の上限を超えた場合は、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれる等の問題を生じる場合がある。
ここで、本発明の特定範囲の粒径に制御する方法として、電解質の配合量を抑える方法を採用してもよい。一般に、電解質の配合量を抑えると粒子の成長速度が遅くなり、生産効率の点で工業的に好ましくない。しかしながら、工業的見地に反して、敢えて電解質の配合量を抑えることによっても本発明の特定範囲の粒径に制御できる。
また、電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、20〜70℃が好ましく、30〜60℃が更に好ましい。ここで、凝集工程前の温度を制御することも特定範囲の粒径に制御する方法の一つである。凝集工程に加える着色剤の中には、前記電解質の性質も有するものがあり、電解質を加えずとも凝集することがある。そこで、着色剤分散液の混合時に予め、重合体1次粒子分散液の温度を冷やしておくことで、前記凝集を防ぐことができる。この凝集が微粉を発生させ易く、かつ、粒度分布にムラを生じさせる原因となる。本発明では、重合体1次粒子を予め、好ましくは0〜15℃、より好ましくは0〜12℃、より更に好ましくは2〜10℃の範囲に冷やしておくのがよい。
電解質を用いずに加熱のみによって凝集を行う場合の凝集温度は、通常、重合体一次粒子のガラス転移温度Tgに対して(Tg−20℃)〜Tgの温度範囲であり、(Tg−10℃)〜(Tg−5℃)の範囲であることが好ましい。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナー母粒子の粒径を目的とする粒径に到達するためには、前記範囲内の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体に、必要に応じて重合体一次粒子分散液を添加(付着又は固着)してシェルコア構造のトナー母粒子を形成することができる。
シェル材は、ワックスを含有または内包した重合体一次粒子の体積平均径(Mv)が好ましくは50nm以上500nm以下、より好ましくは80nm以上450nm以下、さらに好ましくは100nm以上400nm以下、特に好ましくは150nm以上350nm以下のものを含むことが好ましい。
シェル材であるワックスを内包した重合体一次粒子の体積平均径(Mv)が、前記範囲内であると、効率よくシェル剤をコア剤に付着させることができ、より高い耐ホットオフセット性を獲得することができる。
本発明においては、<1.静電荷像現像用トナー用樹脂組成物>にて詳述したワックスを含有あるいは包含する樹脂組成物である重合体一次粒子をシェル材として用いることができる。
前記シェル材は、通常、乳化剤により水又は水を主体とする液中に分散した分散液として用いるが、前記の帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後にシェル材となる重合体一次粒子を加えることが好ましい。
乳化重合凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、分散安定剤として乳化剤やpH調整剤を添加して粒子同士の凝集力を低下させ、トナー母粒子の成長を止めた後に、凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えることが好ましい。
ここで、本発明のトナーは、粒度分布がシャープであることが好ましく、特定範囲の粒径に制御する方法として、乳化剤やpH調整剤を添加する工程の前に攪拌回転数を低下させる、即ち、攪拌によるせん断力を下げる方法が挙げられる。
熟成工程では、加熱により結着樹脂の粘度を下げ円形化させるが、そのまま加熱するとトナー母粒子径の成長が停止しないため、加熱による粒子径の成長を停止させる目的で、通常、分散安定剤として、乳化剤やpH調整剤を添加したり、攪拌回転数を上げたりしてせん断力をかける事ができる。
また、分散安定剤を添加する工程の前でなくとも、攪拌回転数を下げて凝集粒子へのせん断力を低減させても特定の粒度分布のトナーを得ることができる。ただし、分散安定剤の配合量を調整できる点を考慮すると、分散安定剤を添加する工程の前に行うことの方が好ましい。
熟成工程の温度は、好ましくは一次粒子を構成するバインダー樹脂のTg以上、より好ましくは前記Tgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくは前記Tgより80℃高い温度以下、より好ましくは前記Tgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、一次粒子を構成する重合体のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが望ましい。
なお、乳化重合凝集法においては、前記凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、乳化剤を添加するか、凝集液のpH値を上げることが好ましい。ここで用いられる乳化剤としては、前記の重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化剤から1種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。
乳化剤を配合する場合の配合量は限定されないが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に乳化剤を添加するか、凝集液のpH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後のトナー中に粗大粒子が生じることを抑制できる。
このような加熱処理により、凝集体における重合体一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー母粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、重合体一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー母粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、重合体一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
前記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固/液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー母粒子を得ることができる。
また、前記の乳化重合凝集法により得られた粒子の表面に、例えば、スプレードライ法、in−situ法、或いは液中粒子被覆法等の方法によって、更に、重合体を主成分とする外層を、好ましくは0.01〜0.5μmの厚みで形成させることによって、カプセル化されたトナー母粒子とすることもできる。
また、本発明において上記工程を経て得られたトナーは、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(マルバーン社製)を用いて測定した平均円形度が、転写性向上の観点から、好ましくは0.900以上、より好ましくは0.920以上、更に好ましくは0.950以上であり、特に好ましくは0.960以上である。一方で、感光体上のクリーニング性の観点から平均円形度は、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.990以下である。
また、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す場合がある。)におけるピーク分子量のうち少なくとも1つが、好ましくは1万以上、より好ましくは1.5万以上、更に好ましくは2万以上であり、好ましくは10万以下、より好ましくは8万以下、更に好ましくは5万以下であることが望ましい。ピーク分子量が何れも前記範囲より低い場合は、非磁性一成分現像方式における機械的耐久性が悪化する場合があり、ピーク分子量が何れも前記範囲より高い場合は、低温定着性や定着強度が悪化する場合がある。
トナーのTHF不溶分は、セライト濾過による質量法で測定した場合、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であるのがよい。前記範囲にない場合は、機械的耐久性と低温定着性の両立が困難となる場合がある。
乳化重合凝集法トナーの帯電性は、正帯電であっても負帯電であってもよく、トナーの帯電性の制御は、帯電制御剤の選択及び含有量、外添剤の選択及び配合量等によって調整することができる。
静電荷像現像用トナーの体積中位径(以下単に、「Dv50」と略記する場合がある)は、ベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定する。測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)と定義する。また、個数基準での統計値をもとに算出したものを個数中位径(Dn50)と定義する。
本発明のトナーを湿式法にて製造する場合、「トナー」は上記工程経て得られた「トナー母粒子」に、後述する外添剤等を配合させて得られるものである。前記のDv50は「トナー」のDv50であるから、当然「トナー」を測定試料として前記方法に従い測定する。ただし、外添前のトナー母粒子を測定しても実質的にトナーと同じDv50を与えるので、トナーのみならずトナー母粒子の体積中位径(Dv50)も前記方法により測定する。更に、乳化重合凝集法等の湿式法トナーを、濾過・乾燥前の分散液の状態のものを、実質的に、分散媒アイソトンIIに、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定しても、実質的にトナーと同じDv50を与えるので、濾過・乾燥前の分散液の状態のトナー母粒子である場合も前記方法により測定する。
こうして得られたトナー母粒子には、流動性や現像性を制御する為に、トナー母粒子表
面に公知の外添剤が配合されてトナーとなっていても良い。外添剤としては、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等の炭化物、アクリル系樹脂やメラミン樹脂等の有機粒子等が挙げられ、複数組み合わせることが可能である。中でも、シリカ、チタニア、アルミナが好ましく、また、例えばシランカップリング剤やシリコーンオイル等で表面処理されたものがより好ましい。
その平均一次粒子径は1〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜100nmの範囲がよい。また、前記粒径範囲において小粒径のものと大粒径のものとを併用することも好ましい。外添剤の配合量の総量は、トナー母粒子100質量部に対して0.05〜10質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
更に、DvをDnで除した値(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.25、より好ましくは1.0〜1.20、更に好ましくは1.0〜1.15であり、1.0に近い方が望ましい。静電荷像現像用トナーの粒度分布がシャープなものの方が粒子固体間の帯電性が均一になる傾向にあるので、高画質及び高速化を達成するための静電荷像現像用トナーのDv/Dnは前記範囲であるのが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナーを磁力により静電潜像部に搬送するためのキャリアを共存させた磁性二成分現像剤用、又は、磁性粉をトナー中に含有させた磁性一成分現像剤用、或いは、現像剤に磁性粉を用いない非磁性一成分現像剤用の何れに用いてもよい。本発明の効果を顕著に発現するためには、特に非磁性一成分現像方式用の現像剤として用いるのが好ましい。
前記磁性二成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質又は、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いることができる。キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1質量部に対して5〜100質量部使用することが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「質量部」を意味する。
[測定方法と定義]
<ワックス分散液と重合体一次粒子分散液の体積平均径(Mv)の測定方法と定義>
ワックス分散液と重合体一次粒子分散液の体積平均径(Mv)は、日機装社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.−019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を分散媒として、それぞれ、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
この様にして測定したワックス分散液の体積平均径(Mv)は実施例本文中に、重合体一次粒子分散液の体積平均径(Mv)は表−1に記載した。
<ワックス分散液と重合体一次粒子分散液の固形分濃度(%S)の測定方法>
ワックス分散液または重合体1次粒子分散液10gを凍結乾燥機にて20Paの圧力下で12時間乾燥し、パウダー状の物質を取得しその重量測定を行った。このパウダー状の物質の重量を10gで除し、100を乗ずる事によりパーセント表記としワックス分散液または重合体1次粒子分散液の固形分濃度(%S)とし、表−1に測定結果を記載した。単位はwt%。
<静電荷現像用トナー用樹脂組成物の150℃における貯蔵弾性率(G‘@150℃)の測定方法と定義と判定>
重合体1次粒子分散液10gを凍結乾燥機にて20Paの圧力下で12時間乾燥し、パウダー状の静電荷現像用トナー用樹脂組成物を得た。この粉末を動的粘弾性測定装置にて温度掃引測定し以下の方法で測定し、静電荷現像用トナー用樹脂組成物の貯蔵弾性率(G‘@150℃)とした。
装置:ThermoSCIENTIFIC社製 HAAKE MARS
解析ソフト:ThermoSCIENTIFIC社製 HAAKE RheoWIN
測定条件:
プレートは直径20mmのパラレルプレートを使用した。事前のサンプル調整として、パウダー状の静電荷現像用トナー用樹脂組成物0.5gを試料台に乗せ、130℃まで一度昇温し軟化させた。その後、プレートを下げクリアランスが0.8mmになるまで資料を押し潰しプレートと試料台との間に試料を密着させた。その後、法線方向の応力を固定し70℃まで冷却し、測定を開始した。
70〜200℃までの間を0.0619℃/秒の速度で昇温し、2100秒間測定した。この130℃の間で時間が等間隔になる様に140点の貯蔵弾性率データを取得した。
測定周波数は1Hz、角速度(ω)6.28rad/sec、オートテンションはG*1.0×10とした。
この様にして測定した結果から、150℃における貯蔵弾性率(G‘)を読み取った。単位Paで表した。
この様にして測定された後述する実施例・比較例試料の静電荷現像用トナー用樹脂組成物の150℃における貯蔵弾性率(G‘@150℃)測定結果を表−1に示す。
静電荷像現像用トナーを低温定着化する為には、その主体構成物質である結着樹脂を低温で低粘度化させる事が必須である為、G‘@150℃が400Pa以下のものを◎、401Pa以上800Pa未満のものを○、800Paを超えるものを×、本条件では測定できないものは××と判定し、その判定結果を表−1に示す。
<静電荷現像用トナー用樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)の測定方法と定義>
重合体1次粒子分散液10gを凍結乾燥機にて20Paの圧力下で12時間乾燥し、パウダー状の静電荷現像用トナー用樹脂組成物を得た。この粉末をゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により以下の方法で測定し、静電荷現像用トナー用樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)とした。
装置:東ソー(株)社製 GPC装置 HLC−8320GPC
カラム:TOSOH TSKgel SuperHM−H(2本)
リファレンスカラム:TOSOH TSKgel SuperH−RC
検出器:屈折(RI)検出器
検量線:Varian社製の10種類の標準ポリスチレンを用いて作成。
(Mw 6.15×10〜3.80×10
測定サンプル調合:
凍結乾燥したトナー用樹脂組成物2mgを容積3.5mlのガラスバイアルに秤量し、THF2mlを添加した後、ロッキングミキサー上にバイアルを寝かせ、20往復/分の穏
やかな搖動を4時間加えて溶解した。溶液を12時間静置してから、Whatman社製シリンジフィルターGD/X(フィルター径:25mm、テフロン(登録商標)メンブラン 0.2μm孔、グラスファイバープレフィルター付き)でろ過し、ろ液を分析試料とした。
測定:温度40℃において、THFを0.5ml/分で流し、これに試料(濃度0.1重量%)を20μl注入した。
この様にして測定された後述する実施例・比較例試料の測定結果を静電荷現像用トナー用樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)表−1に示す。
静電荷像現像用トナーを低温定着化する為には、前述の様にその主体構成物質である結着樹脂を低温で低粘度化させる事が必須であるが、高分子を低粘度化させる為には分子量を低下させ絡み合いを抑制する事が肝要である。よって、重量平均分子量が70,000以下のものを◎、70,001以上90,000以下のものを○、90,001を超えるものを×と判定し、その判定結果を表−1に示す。
<重合体1次粒子分散液中の残留モノマー(RM)の定義と測定方法>
重合体1次粒子分散液中が複数の不飽和二重結合を含むモノマーから成る場合、当該複数の不飽和二重結合を含むモノマー中、最も多く含まれるモノマーを重合体1次粒子分散液中の残留モノマーと定義する。
今回の実施例では当該複数の不飽和二重結合を含むモノマー中、最も多く含まれるモノマーがスチレンである為、スチレンの重合体1次粒子分散液中の濃度を重合体1次粒子分散液中の残留モノマーとした。重合体1次粒子分散液中の残留モノマーは以下の方法によりガスクロマトグラフにて測定した。
装置:(株)島津製作所社製 GC−2010
カラム:Phenomenex社製 ZB1−HT
(長さ×内径×コーティング厚さ=30m×0.25mm×0.25μm)
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
検量線:標準溶液1として、スチレン20ppm、ノルマルブチルアクリレート2ppm、デカン200ppmを加えたTHF溶液、標準溶液2として、スチレン40ppm、ノル
マルブチルアクリレート4ppm、デカン200ppmを加えたTHF溶液を予め測定し、
スチレンについては、0 (THFのみ),20,40ppmの3点を用いた検量線を作成
した。
測定サンプル調合:
重合体1次粒子分散液2mlにTHF(テトラハイドロフラン)を加えて10mlとした。なお、内部標準として200ppmのデカンを添加した。本混合液を手振りで往復30回(ストローク20cm、30回/10秒程度の速度)振り混ぜた後、Whatman社製シリンジフィルターGD/X(フィルター径:25mm、テフロン(登録商標)メンブラン 0.2μm孔、グラスファイバープレフィルター付き)でろ過し、ろ液を分析試料とした。
測定方法:
サンプル注入量1μl、注入口温度150℃、スプリット比20、オーブン条件として
、40℃で10分保持した後、5℃/分の速度で60℃まで昇温し、その後30℃/分の速度で320℃まで昇温し、5分保持した。検出器の温度は340℃とした。
この様にして重合体1次粒子分散液中の残留モノマー(RM)<単位:ppm>を測定した。
この様にして測定された後述する実施例・比較例試料の重合体1次粒子分散液中の残留モノマー(RM)測定結果を表−1に示す。
重合体1次粒子分散液中の残留モノマー(RM)が多すぎると、結果的に静電荷現像用トナー中に含まれる残留モノマーも多くなり、欧州を中心とした環境規格(ブルーエンジェル規格など)の規制を受けるVOC(有機性揮発性成分)を削減する事が著しく困難となる為、好ましくない。よって、重合体1次粒子分散液中の残留モノマー(RM)が200ppm以下のものを◎、201ppm以上600ppm以下のものを○、601ppm以上1000ppm以下のものを×、1000ppmを超えるものを××と判定し、その判定結果を表−1に示す。
<静電荷現像用トナー用樹脂組成物の転化率(Conv)の定義と測定方法と判定>
静電荷現像用トナー用樹脂組成物の転化率(Conv)は、不飽和二重結合を含むモノマー中、最も多く含まれるモノマー(今回の実施例/比較例においてはスチレン)の転化率を持って代表値とした。具体的には、重合体1次粒子分散液中の残留モノマー(RM)の測定結果から以下の様に算出した。
全重合原料組成中に占めるスチレンモノマーの値(PM)を分母としppm単位で表し、以下の計算式に基づき、静電荷現像用トナー用樹脂組成物の転化率(Conv)を算出した。
Conv = (1−RM/PM )×100 (単位%)
例えば、実施例1の場合PM=146,577ppm、RM=186ppmである為、
Conv = (1−186/146,577)×100 = 99.9%の転化率とな
る。
この様にして計算した測定された後述する実施例・比較例試料の全重合原料組成中に占めるスチレンモノマーの値(PM)と静電荷現像用トナー用樹脂組成物の転化率(Conv)の算出結果を表−1に示す。
また、転化率が高い方が残留モノマー抑制の観点からも、産業上の生産効率的にも好ましいことから、99.9%以上のものを◎、99.6%以上99.9%未満のものを○、99.3%以上99.6%未満のものを×、99.3%未満のものを×と判定し、その判定結果を表−1に示す。
<静電荷現像用トナーの体積中位径(Dv50)、個数中位径(Dn50)、粒子径分布(Dv50/Dn50)の測定方法と定義>
外添工程を経て、最終的に得られたトナーの測定前処理として次の様にした。
内径47mm、高さ51mmの円筒形のポリエチレン(PE)製ビーカーに、スパチュラーを用いてトナーを0.100g、スポイトを用いて20質量%DBS水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20D)を0.15g添加した。この際、ビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にビーカーの底部にのみトナー及び20%DBS水溶液を入れた。次に、スパチュラーを用いてトナーと20%DBS水溶液がペースト状になるまで3分間攪拌した。この際もビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にした。
続いて、分散媒アイソトンIIを30g添加し、スパチュラーを用いて2分間攪拌し全体を目視で均一な溶液とした。次に、長さ31mm、直径6mmのフッ素樹脂コート回転子をビーカーの中に入れて、スターラーを用いて400rpmで20分間分散させた。こ
の際、3分間に1回の割合でスパチュラーを用いて気液界面とビーカーの縁に目視で観察される巨視的な粒をビーカー内部に落とし込み均一な分散液となるようにした。続いて、これを目開き63μmのメッシュで濾過し、得られたろ液を「トナー分散液」とした。
なお、トナー母粒子の製造工程中の粒径の測定については、凝集中のスラリーを63μmのメッシュで濾過したろ液を「スラリー液」とした。
粒子の中位径(Dv50とDn50)はベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する。)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、上述の「トナー分散液」又は「スラリー液」を、分散質濃度0.03質量%になるように希釈して、マルチサイザーIII解析ソフトで、KD値は118.5として測定した。測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)、個数基準での統計値をもとに算出したものを個数中位径(Dn50)とした。Dv50をDn50で除す事により、粒子径分布(Dv50/Dn50)を得た。
<平均円形度の測定方法と定義>
本発明における「平均円形度」は、以下のように測定し、以下のように定義する。すなわち、静電荷現像用トナーまたは円形化工程で得られるトナー母粒子を含むスラリー液を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA3000)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:8,000〜10,000個
以下は、前記装置で測定され、前記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]そして、HPF検出個数である8,000〜10,000個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
この様に測定した円形化工程で得られたスラリー中に分散するトナー母粒子の平均円形度を表−1に記載した。
<トナー化性能の判定方法と定義>
・トナー化性能A
後述する実施例・比較例の凝集工程の組成割合で、攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積3リットル、内径120mm、高さ270mm)に重合体一次粒子分散液と20%DBS水溶液を仕込み、内温10℃で5分間均一に混合し、続いて脱イオン水を添加し、内温10℃、362rpmで攪拌を続けながら第一硫酸鉄(FeSO4・7H2O)の5%水溶液を5分かけて添加してから着色剤微粒子分散液を5分かけて添加し、内温10℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液を添加し、続いて脱塩水を添加し、その後コア凝集工程の温度として54℃まで昇温した際に、液状を保っているものは製造可能と判断し、54℃に昇降した際に全体がゲル状(攪拌装置内で撹拌を停止させた際、ホイップ状になっていて、反応液自体に空間が空いている事が目視で確認できる状態)になってものは、製造不可能と判断した。
・トナー化性能B
後述する実施例・比較例の円形化工程の熟成時間(90℃に到達してから所定の円形度に到達するまでの時間)において、200分以内に平均円形度が0.970に到達したものを◎、240分以内で0.970に到達したものを○、210分と240分の平均円形度が同じ(円形化が停止している)で240分でも平均円形度が0.970に到達していないものを×とした。また、トナー化性能Aで製造不可能と判定され円形化工程にいきつかなかったものは、××と判定した。
この様にして判定された後述する実施例・比較例試料の静電荷現像用トナー用樹脂組成物の熟成時間、到達平均円形度、トナー化性能A判定結果,トナー化性能B判定結果を表−1に示す。
<外添剤のBET比表面積の測定方法と定義>
BET比表面積はマウンテック社製Macsorb model−1201を使用し、液体窒素を用いる1点法によって測定した。具体的には以下の通りである。
まずガラス製の専用セルに測定サンプルを1.0g程度充填した(以下、サンプル充填量をA(g)とする)。次いで、セルを測定器本体にセットし、窒素雰囲気下で200℃、20分の乾燥脱気を行った後、セルを室温まで冷却した。その後、セルを液体窒素で冷却しつつ、セル内に測定ガス(第一級の窒素30%・ヘリウム70%混合ガス)を流量25mL/minで流し、測定ガスのサンプルへの吸着量V(cm3)を測定した。サンプルの総表面積をS(m2)とすると、求めるBET比表面積(m2/g)は以下の計算式によって算出できる。
(BET比表面積)=S/A={K×(1−P/P0)×V}/A
K:ガス定数(本測定においては、4.29)
P/P0:吸着ガスの相対圧力であり、混合比の97%(本測定においては、0.29)である。
[実施例1]
<ワックス分散液WEの調製>
加圧循環ライン付きのホモジナイザー(ゴーリン社製、LAB60−10TBS型)のジャケット付きポットにHiMic−1090(日本精蝋社製:融点82℃(カタログ値は89℃))29.70部(1188g)、デカグリセリンデカベヘネート(水酸基価27、融点70℃)0.30部を添加し、95℃で30分間攪拌しながら加熱した。その後、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20D、以下20%DBS水溶液と略す)2.75部、脱塩水67.25部を予め95℃に加熱した混合物を加えて100℃に加熱し、10MPaの加圧条件で1次循環乳化を行った。
体積中位径を10分おきに測定し、メジアン径が500nm前後まで下がったら更に圧力条件を25MPaに上げて引き続き2次循環乳化を行った。体積中位径(Mv)が230nmになるまで分散した後、速やかに冷却しワックス分散液WEを作製した。得られたワックス分散液の固形分濃度は30.4%であった。
<重合体一次粒子分散液PL1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、下記の反応槽事前仕込み液を仕込み、103rpmで攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。その後、前記反応槽事前仕込み液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後に、内温を99.5℃に昇温す
ると同時に下記の「追加開始剤水溶液」に記載の0.5%FeSO4・7H2O水溶液を一括添加し、更に下記の「追加開始剤水溶液」に記載の8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加した。その後、更に攪拌を続けたまま内温99.5℃のまま1時間保持した。
質量部とは、不飽和二重結合を含むモノマー(本実施例では、スチレン・アクリル酸ブチル、アクリル酸の合計質量)を100質量部とした際のその他助剤の添加部数を示す。[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 328.99g
脱塩水 2019.08g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 3.21g(0.396部)
α−メチルスチレンダイマー 4.79g(0.592部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7H2O水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 148.99g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 136.42g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
重合反応終了後冷却し重合体一次粒子分散液PL1を得た。
<トナー母粒子RT1の調製>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程、円形化工程を実施することによりトナー母粒子RT1を製造した
(凝集工程)
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器((容積3リットル、内径120mm、高さ270mm)に重合体一次粒子分散液PL1(1270.45g)と20%DBS水溶液(1.43g)を仕込み、内温10℃で100rpmで撹拌しながら5分間均一に混合した。続いて脱塩水(158.81g)を添加し、内温10℃のまま、362rpmに回転数を上げて第一硫酸鉄(FeSO4・7H2O)の5%水溶液(31.83g)を5分かけて添加してからシアン着色剤微粒子分散液(51.65g)を5分かけて添加し、内温10℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液(114.34g)を添加した。その後、54℃まで50分かけて昇温し、回転数362rpmのまま内温を54℃から段階的に56℃まで昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.7μmまで成長させた。尚、上記シアン着色剤微粒子には大日精化工業(株)社製 EP−700(銅フタロシアニン系顔料ピグメントブルー15:3分散液 固形分34.3%)を用いた。
(円形化工程)
続いて回転数を217rpmに落としてから20%DBS水溶液(85.76g)を8分かけて添加し、更に脱塩水(64.98g)を添加した。その後円形化工程の温度とし
て92℃に昇温して平均円形度が0.970になるまで加熱及び攪拌を続けた。この工程で15分毎に円形度を測定し、内温が90℃になってから平均円形度が0.970になるまでの時間を熟成時間とした。平均円形度が0.970に到達後、20分かけて30℃まで冷却し、スラリー液を得た。
(洗浄乾燥工程)
得られたスラリー液を抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を
用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積10Lのステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgを加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を攪拌機(プロペラ翼)を備え、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgの入った内容積10Lのステンレス容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、30分間攪拌したままとした。この工程を5回繰り返し、ろ液の電気伝導度を2μS/cm以下とした。
ここで得られたケーキをステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子RT1を得た。

得られたトナー母粒子を用いて、以下の外添工程を実施することにより現像用トナーを製造した。
<静電荷現像用トナーT1の調製>
(外添工程)
得られたトナー母粒子RT1(100部:250g)を、外添機(協立理工株式会社サンプルミルKR−3内)に投入し、ついで外添剤としてシリコーンオイルで疎水化処理された体積平均一次粒径8nm、BET比表面積の150m/gのシリカ微粒子0.5部とシリコーンオイルで疎水化処理された体積平均一次粒径40nm、BET比表面積の42m/gのシリカ微粒子0.3部、さらにヘキサメチレンジシラザンで疎水化処理された体積平均一次粒径110nm、BET比表面積の26m/gのシリカ微粒子1.5部を添加し、6000rpmで1分間混合する操作を5回繰り返した後、150メッシュで篩別して静電荷現像用トナーT1を得た。得られた静電荷現像用トナーT1の体積中位径(Dv50)は6.6μm、粒子径分布(Dv50/Dn50)は1.109、平均円形度は0.970であった。
[実施例2]
以下に示す変更点以外は、静電荷現像用トナーT1と同様調整により、静電荷現像用トナーT2を得た。
<重合体一次粒子分散液PL2の調製>
以下の様に原料組成を変更したこと以外は、重合体一次粒子分散液PL1の調整方法と同様の調整により重合体一次粒子分散液PL2を得た。
[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 328.99g
脱塩水 2019.08g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 5.82g(0.719部)
α−メチルスチレンダイマー 2.18g(0.269部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 148.99g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 136.42g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
<トナー母粒子RT2の調製>
重合体一次粒子分散液PL1の代わりに重合体一次粒子分散液PL2を用い、トナー母粒子RT2を得た。
<静電荷現像用トナーT2の調製>
トナー母粒子RT1の代わりに、トナー母粒子RT2を用い、静電荷現像用トナーT2を得た。得られた静電荷現像用トナーT2の体積中位径(Dv50)は6.7μm、粒子径分布(Dv50/Dn50)は1.105、平均円形度は0.970であった。
[実施例3]
以下に示す変更点以外は、静電荷現像用トナーT1と同様調整により、静電荷現像用トナーT3を得た。
<重合体一次粒子分散液PL3の調製>
以下の点を変更したこと以外は、重合体一次粒子分散液PL1の調整方法と同様の調整により重合体一次粒子分散液PL3を得た。
[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 328.99g
脱塩水 2019.08g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 1.14g(0.141部)
α−メチルスチレンダイマー 6.86g(0.847部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 148.99g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 136.42g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
<トナー母粒子RT3の調製>
重合体一次粒子分散液PL1の代わりに重合体一次粒子分散液PL3を用い、トナー母
粒子RT3を得た。
<静電荷現像用トナーT3の調製>
トナー母粒子RT1の代わりに、トナー母粒子RT3を用い、静電荷現像用トナーT3を得た。得られた静電荷現像用トナーT3の体積中位径(Dv50)は6.7μm、粒子径分布(Dv50/Dn50)は1.108、平均円形度は0.970であった。
[実施例4]
以下に示す変更点以外は、静電荷現像用トナーT1と同様調整により、静電荷現像用トナーT4を得た。
<重合体一次粒子分散液PL4の調製>
以下の点を変更したこと以外は、重合体一次粒子分散液PL1の調整方法と同様の調整により重合体一次粒子分散液PL4を得た。
[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 328.99g
脱塩水 2019.08g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 8.00g(0.988部)
α−メチルスチレンダイマー 0.00g(0.000部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 148.99g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 136.42g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
<トナー母粒子RT4の調製>
重合体一次粒子分散液PL1の代わりに重合体一次粒子分散液PL4を用い、トナー母粒子RT4を得た。
<静電荷現像用トナーT4の調製>
トナー母粒子RT1の代わりに、トナー母粒子RT4を用い、静電荷現像用トナーT4を得た。得られた静電荷現像用トナーT4の体積中位径(Dv50)は6.4μm、粒子径分布(Dv50/Dn50)は1.107、平均円形度は0.972であった。
[実施例5]
以下に示す変更点以外は、静電荷現像用トナーT1と同様調整により、静電荷現像用トナーT5を得た。
<重合体一次粒子分散液PL5の調製>
以下の点を変更したこと以外は、重合体一次粒子分散液PL1の調整方法と同様の調整により重合体一次粒子分散液PL5を得た。
[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 332.08g
脱塩水 2046.78g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 6.42g(0.792部)
α−メチルスチレンダイマー 9.58g(1.184部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 148.99g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 136.42g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
<トナー母粒子RT5の調製>
重合体一次粒子分散液PL1の代わりに重合体一次粒子分散液PL5を用い、トナー母粒子RT5を得た。
<静電荷現像用トナーT5の調製>
トナー母粒子RT1の代わりに、トナー母粒子RT5を用い、静電荷現像用トナーT5を得た。得られた静電荷現像用トナーT5の体積中位径(Dv50)は6.5μm、粒子径分布(Dv50/Dn50)は1.112、平均円形度は0.970であった。
[比較例1]
以下に示す変更点以外は、静電荷現像用トナーT1と同様調整により、静電荷現像用トナーT6を得た。
<重合体一次粒子分散液PL6の調製>
以下の点を変更したこと以外は、重合体一次粒子分散液PL1の調整方法と同様の調整により重合体一次粒子分散液PL6を得た。
[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 325.91g
脱塩水 1991.38g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 0.00g(0.000部)
α−メチルスチレンダイマー 0.00g(0.000部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 148.99g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 136.42g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
<トナー母粒子RT6の調製>
重合体一次粒子分散液PL1の代わりに重合体一次粒子分散液PL6を用い、トナー母粒子RT6を得た。
<静電荷現像用トナーT6の調製>
トナー母粒子RT1の代わりに、トナー母粒子RT6を用い、静電荷現像用トナーT6を得た。得られた静電荷現像用トナーT6の体積中位径(Dv50)は6.8μm、粒子径分布(Dv50/Dn50)は1.103、平均円形度は0.921であった。
[比較例2]
以下に示す変更点以外は、静電荷現像用トナーT1と同様調整により、静電荷現像用トナーT7を得た。
<重合体一次粒子分散液PL7の調製>
以下の点を変更したこと以外は、重合体一次粒子分散液PL1の調整方法と同様の調整により重合体一次粒子分散液PL7を得た。
[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 328.99g
脱塩水 2019.08g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 0.00g(0.000部)
α−メチルスチレンダイマー 8.00g(0.988部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 148.99g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 136.42g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
<トナー母粒子RT7の調製>
重合体一次粒子分散液PL1の代わりに重合体一次粒子分散液PL7を用い、トナー母粒子RT7を得た。
<静電荷現像用トナーT7の調製>
トナー母粒子RT1の代わりに、トナー母粒子RT7を用い、静電荷現像用トナーT7を得た。得られた静電荷現像用トナーT7の体積中位径(Dv50)は6.7μm、粒子径分布(Dv50/Dn50)は1.104、平均円形度は0.934であった。
[比較例3]
以下に示す変更点以外は、静電荷現像用トナーT1と同様調整に実施したが、静電荷現像用トナーを得る事ができなかった。
<重合体一次粒子分散液PL8の調製>
以下の点を変更したこと以外は、重合体一次粒子分散液PL1の調整方法と同様の調整により重合体一次粒子分散液PL8を得た。
[反応槽事前仕込み液]
ワックス分散液WE 320.20g
脱塩水 2020.60g
[重合性モノマー類等]
スチレン 606.80g
アクリル酸ブチル 193.20g
アクリル酸 9.60g
1,4−ナフトキノン 3.21g(0.396部)
α−メチルスチレンダイマー 4.79g(0.592部)
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 8.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.17g
脱塩水 531.73g
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 0.00g
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 0.00g
8質量%過硫酸ナトリウム(APS)水溶液 148.99g
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 0.00g
0.5%FeSO・7HO水溶液 0.34g
<トナー母粒子RT8の調製>
重合体一次粒子分散液PL1の代わりに重合体一次粒子分散液PL8を用い、実施例1記載の方法でトナー母粒子RT8の調整を試みたが、凝集工程で54℃に昇降した際に全体がゲル状となり、攪拌装置内で撹拌を停止させた際、ホイップ状になっていて、反応液自体に空間が空いている事が目視で確認できる状態であった為、重合体一次粒子分散液PL8は製造不可能と判断した。
Figure 0006287273

Claims (8)

  1. 構造式(1)で表される化合物及びレドックス系開始剤存在下で、不飽和二重結合を含
    むモノマーを重合して得られることを特徴とする静電荷現像用トナー用樹脂組成物の製
    造方法
    Figure 0006287273
    (構造式(1)中、nは1から4の整数を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アリール
    基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を
    表し、nが2以上の整数の場合、Rはそれぞれ独立して前記置換基を表す。X及びYはそ
    れぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はハ
    ロゲン原子を表し、X及びYは、前記置換基に代えて、互いに結合して飽和又は不飽和の
    環状構造を形成してもよい。このXとYによって形成される環状構造はさらに置換基を有
    していてもよく、該環状構造が有していてもよい置換基は、アルキル基、アリール基、ア
    ラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子である。
  2. 不飽和二重結合を含むモノマーを原料として重合反応により得られるトナー用樹脂組成
    物の製造方法であって、該重合反応は、構造式(1)で表される化合物、α−メチルスチ
    レンダイマー及びレドックス系開始剤の存在下で行われ、且つ構造式(1)で表される化
    合物とα−メチルスチレンダイマーとの合計量が、該不飽和二重結合を含むモノマー10
    0質量部に対して、0.1質量部以上1.2質量部以下であり、構造式(1)とα−メチ
    ルスチレンダイマーとのモル比が30:70〜70:30であることを特徴とする静電荷
    現像用トナー用樹脂組成物の製造方法
    Figure 0006287273
    (構造式(1)中、nは1から4の整数を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アリール
    基、アラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を
    表し、nが2以上の整数の場合、Rはそれぞれ独立して前記置換基を表す。X及びYはそ
    れぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はハ
    ロゲン原子を表し、X及びYは、前記置換基に代えて、互いに結合して飽和又は不飽和の
    環状構造を形成してもよい。このXとYによって形成される環状構造はさらに置換基を有
    していてもよく、該環状構造が有していてもよい置換基は、アルキル基、アリール基、ア
    ラルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子である。
  3. レドックス系開始剤の酸化剤として過酸化水素を含み、還元剤としてL−アスコルビン
    酸または鉄塩を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷現像用トナー用樹
    脂組成物の製造方法
  4. ワックス存在下で不飽和二重結合を含むモノマーを重合して得られたことを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー用樹脂組成物の製造方法
  5. 前記不飽和二重結合を含むモノマーは複数のモノマーからなり、当該複数のモノマー中
    、最も多く含まれるモノマーの転化率が、99.6質量%以上であり、重量平均分子量が
    90,000以下であり且つ150℃における貯蔵弾性率が800Pa・s以下であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー用樹脂組成
    の製造方法
  6. 前記請求項1乃至5のいずれか1項に記載された方法で製造された静電荷像現像用トナ
    ー樹脂組成物を含むことを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法
  7. 前記請求項1乃至5のいずれか1項に記載された方法で製造された静電荷像現像用トナ
    ー樹脂組成物と顔料とを水中で凝集させることにより得られたことを特徴とする静電荷
    現像用トナーの製造方法
  8. 平均円形度が0.970以上であることを特徴とする請求項6又は7に記載の静電荷
    現像用トナーの製造方法
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