JP6286222B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は,燃料電池スタックに関する。
電解質に固体酸化物を用いた固体酸化物形燃料電池(以下,「SOFC」又は単に「燃料電池」とも記す場合がある)が知られている。SOFCは,例えば,板状の固体電解質層の各面に燃料極と空気極とを備えた燃料電池セル(単セル)を有する。正負の電極(燃料極および空気極)それぞれに,反応ガス(燃料ガス(例えば,水素)および酸化剤ガス(例えば,空気中の酸素))を供給し,固体電解質層を介して化学反応させることで,電力を発生させる。
単セルを複数個積層し、隣接する単セル間にインターコネクタを配置することで、固体酸化物形燃料電池スタック(以下、燃料電池スタックと呼ぶ)が構成される(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2009−99267号公報 特開2010−165629号公報
ここで、SOFC内部は、数百度の高温であり、また温度分布があるため、インターコネクタに熱応力が印加され易い。例えば、導電性セラミックを用いたインターコネクタの場合、熱応力によってインターコネクタが割れる畏れがある。金属を用いたインターコネクタの場合、クロム蒸気によって単セルを被毒しないよう導電性セラミックをコーティングしたものを通常用いるが、熱応力によってコーティングが破損し、クロム蒸気抑制効果が損失する畏れがある。また、ガス流路を遮断するための金属製のセパレータが単セルに接合されるが、このセパレータは熱変形を起こし、インターコネクタと接触して短絡(ショート)する畏れがある。
本発明は,熱応力の影響を緩和した燃料電池スタックを提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様に係る燃料電池スタックは、
第1貫通孔を有し、可撓性を有する金属板からなる第1セパレータと、
前記第1セパレータと接合され、前記第1貫通孔から一部が露出するインターコネクタ本体と、
第2貫通孔を有し、可撓性を有する金属板からなる第2セパレータと、
燃料極と、空気極と、固体電解質と、を含み、前記第2セパレータに接合部を介し接合され、前記第2貫通孔から一部が露出する単セルと、
を順に複数組積層した燃料電池スタックであって、
前記インターコネクタ本体の第1主面と前記単セルの空気極とを電気的に接続する第1接点部と、
前記第1主面と反対側の第2主面と前記単セルの燃料極とを電気的に接続する第2接点部と、を具備し、
前記燃料電池スタックを積層方向から見た場合に、前記インターコネクタ本体の外周は、前記接合部の外周により囲まれた領域の内側に存在していることを特徴とする。
インターコネクタ本体と第1セパレータとを接合して、インターコネクタが構成される。第1セパレータが可撓性を有することで、インターコネクタ本体に印加される応力が緩和され、その割れや変形を防止できる。
また、前記燃料電池スタックの積層方向から見た場合に、インターコネクタ本体の外周は、単セルと第2セパレータの接合部の外周に囲まれた領域の内側に存在していることで、次に示すように、熱変形に起因する第1セパレータと第2セパレータとの間及びインターコネクタ本体と第2セパレータとの間の電気的接続(ショート)が防止される。
第1セパレータと第2セパレータとの間及びインターコネクタ本体と第2セパレータとの間を絶縁状態とするには、インターコネクタ本体と第2セパレータの接触を防止する必要がある。ここで、単セルと第2セパレータの接合部の外周に囲まれた領域の内側では、単セルと第2セパレータとを接合する接合部が存在することによって接合部の外周に囲まれた領域の内側では第2セパレータの変形が抑制される。即ち、燃料電池スタックの積層方向から見た場合に、インターコネクタ本体が、単セルと第2セパレータとの接合部の外周に囲まれた領域の内側に存在するように配置することで、熱応力によりインターコネクタ本体、第1セパレータ又は第2セパレータが変形した場合においても、インターコネクタ本体と第2セパレータが接触することを防止できる。
(2)前記第1セパレータは前記インターコネクタ本体と電気的に接続され、
前記第2セパレータは前記単セルの空気極又は燃料極の何れかの電極と電気的に接続されており、
前記第2セパレータと電気的に接続された側の前記単セルの電極と、第1接点部又は第2接点部の何れかの接点部を介して電気的に接続された前記インターコネクタ本体は、
前記第1セパレータが電気的に接続された側の第2セパレータと対向する面と反対側の面に接合されていることが好ましい。
燃料電池において、アノードとカソードの電位は異なっており、この異なる電位を有する電極同士が電気的に接続されると短絡してしまい発電が出来なくなってしまう。
単セルと接合部を介して接合されている第2セパレータは、カソード又はアノードの電位と同じ電位を有している。この第2セパレータと異なる電極と電気的に接続するインターコネクタ本体又は第1セパレータは、第2セパレータと絶縁されている。
インターコネクタ本体が、前記第1セパレータと電気的に接続された側の第2セパレータと対向する面と反対側の面に接合されていることで、インターコネクタ本体が、前記第1セパレータと電気的に接続された側の第2セパレータと対向する面に接合されている場合と比べて、第1セパレータと第2セパレータとの間の距離が確保される。このため、第1セパレータと第2セパレータ間の絶縁状態の確保が容易となる。
(3)前記第1セパレータは電気的に接続された側の前記第2セパレータ側に突出する第1屈曲部を有し、前記2セパレータは電気的に接続された側の前記第1セパレータ側に突出する第2屈曲部を有しても良い。
第1屈曲部と第2屈曲部が互いに電気的に接続されている方向に突出していることから、熱応力により第1セパレータ又は第2セパレータが変形した場合であっても、屈曲部が突出方向にセパレータの変形を促すので、第1セパレータと第2セパレータ間での接触が防止される。
(4)前記第1セパレータは、前記インターコネクタ本体よりも薄く、且つ0.05mm以上の厚さを有することが好ましい。
前記第1セパレータを前記インターコネクタ本体よりも薄くすることで、インターコネクタ本体に印加される応力を逃がし、緩和することができる。また、前記第1セパレータが、0.05mm以上の厚さを有することで、その耐久性を確保できる。
(5)前記第1セパレータが、1質量%以上10質量%以下のアルミニウムを含むことが好ましい。
第1セパレータが、アルミニウムを含むことで、その表面に耐酸化性の高いアルミナの被膜を形成できる。アルミニウムの含有量が1質量%に満たないと、アルミナの被膜形成が不十分になるため、長期に渡って耐久性が得られない。また、アルミニウムの含有量が10重量%を超えると、常温で第1セパレータが硬くなり過ぎ、応力緩和に支障を来す可能性がある。
本発明によれば,熱応力の影響を緩和した燃料電池スタックを提供できる。
固体酸化物形燃料電池スタック10を表す斜視図である。 固体酸化物形燃料電池スタック10の模式断面図である。 燃料電池セル40の分解断面図である。 燃料電池セル40の一部拡大断面図である。 燃料電池セル40の上面図である。 変形例1に係る燃料電池セル40aの一部拡大断面図である。 変形例2に係る燃料電池セル40bの一部拡大断面図である。 変形例2に係る燃料電池セル40bの上面図である。
以下,本発明に係る固体酸化物形燃料電池について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は,本発明の第1実施形態に係る固体酸化物形燃料電池スタック10を表す斜視図である。固体酸化物形燃料電池スタック10は,反応ガス(燃料ガス(例えば,水素)と酸化剤ガス(例えば,空気(詳しくは空気中の酸素)))の供給を受けて発電する。
固体酸化物形燃料電池スタック10は,エンドプレート11,12,燃料電池セル40(1)〜40(4)が積層され,ボルト21,22(22a,22b),23(23a,23b)およびナット35で固定される。
図2は,固体酸化物形燃料電池スタック10の模式断面図である。
固体酸化物形燃料電池スタック10は,燃料電池セル40(1)〜40(4)を積層して構成される燃料電池スタックである。ここでは,判り易さのために,4つの燃料電池セル40(1)〜40(4)を積層しているが,一般には,20〜60個程度の燃料電池セル40を積層することが多い。
エンドプレート11,12,燃料電池セル40(1)〜40(4)は,ボルト21,22(22a,22b),23(23a,23b)に対応する貫通孔31,32(32a,32b),33(33a,33b)を有する。
エンドプレート11,12は,積層される燃料電池セル40(1)〜40(4)を押圧,保持する保持板であり,かつ燃料電池セル40(1)〜40(4)からの電流の出力端子でもある。
図3は,2枚分の燃料電池セル40の分解断面図である。図4は,燃料電池セル40の一部拡大断面図である。図5は,燃料電池セル40の上面図である。
なお、図3において、図中Z方向を上側とし、Z方向に位置する面を上面とする。
図3に示すように,燃料電池セル40の一枚分(燃料電池セル40(2))は,金属製セパレータ53(本実施形態における「第2セパレータ」に対応する)と単セル44を有し,インターコネクタ61,62,集電部42(本実施形態における「第1接点部」に対応する),49(本実施形態における「第2接点部」に対応する),枠部43を備える。
単セル(狭義の燃料電池セル)44は,固体電解質層442を空気極(カソード,空気極層ともいう)443,および,燃料極(アノード,燃料極層ともいう)441で挟んで構成される。固体電解質層442は,2つの主面を有する。これらの主面は,酸化剤ガス流路47側,燃料ガス流路48側それぞれに面し,空気極443,燃料極441が配置される。
空気極443としては,ペロブスカイト系酸化物(例えば,LSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物),LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物))等が使用できる。
固体電解質層442としては,YSZ(イットリア安定化ジルコニア),ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア),SDC(サマリウムドープセリア),GDC(ガドリニウムドープセリア),ペロブスカイト系酸化物等の材料が使用できる。
燃料極441としては,金属が好ましく,Ni及びNiとセラミックとのサーメットやNi基合金が使用できる。
インターコネクタ61,62は,複数の単セル44間の導通を確保し,かつこれらの間での燃料ガスと酸化剤ガスの混合を防止し得る,導電性を有する略板状の部材である。なお、この詳細は後述する。
単セル44間には,1個のインターコネクタのみが配置される(直列に接続される二つの単セル44の間に一つのインターコネクタを共有しているため)。また,最上層および最下層の単セル44それぞれでは,インターコネクタ61、62,63に替えて,導電性を有するエンドプレート11,12が配置される。
集電部42は,酸化剤ガス流路47の内部に配置され,単セル44の空気極443とインターコネクタ61との間の導通を確保するためのものであり,例えば,インターコネクタ61に形成された凸部である。
集電部49は,燃料ガス流路48の内部に配置され,単セル44の燃料極441とインターコネクタ62(インターコネクタ本体621)との間の導通を確保するためのものであり,導電性部材491,スペーサ492を有する。
導電性部材491は、U字形状をなし、インターコネクタ62(インターコネクタ本体621)および単セル44の燃料極441に当接する。
スペーサ492は,導電性部材491の間に配置される。スペーサ492の材料として,マイカ,アルミナ,バーミキュライト,カーボン繊維,炭化珪素繊維,シリカの何れか自体,或は少なくとも何れか1種を主成分とするものを利用できる。
なお,集電部49は,導電性部材491,スペーサ492に替えて,例えばNi製の多孔質金属又は金網又はワイヤーで形成するようにしてもよい。また,集電部49は,Niの他,Ni合金やステンレス鋼など酸化に強い金属で形成してもよい。
枠部43は,酸化剤ガス,燃料ガスが流れる開口46を有する。この開口46は,気密に保持され,かつ酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路47,燃料ガスが流れる燃料ガス流路48に区分される。また,本実施形態の枠部43は,空気極フレーム51,絶縁フレーム52,金属製セパレータ53,燃料極フレーム54で構成される。
空気極フレーム51は,空気極443側に配置される金属製の枠体で,中央部には開口46を有する。該開口46によって,酸化剤ガス流路47が区画される。
絶縁フレーム52は,インターコネクタ61,62の間と、インターコネクタ61と金属製セパレータ53との間を電気的に絶縁する枠体で,例えば,Alなどのセラミックスやマイカ,バーミキュライトなどが使用でき,中央部には開口46を有する。該開口46によって,酸化剤ガス流路47が区画される。具体的には,絶縁フレーム52は,インターコネクタ61,62の間において,一方の面が空気極フレーム51に,他方の面が金属製セパレータ53に接触して配置されている。この結果,絶縁フレーム52により,インターコネクタ61,62の間と、インターコネクタ61と金属製セパレータ53との間が電気的に絶縁されている。
金属製セパレータ53は,開口部58(本実施の形態における「第2貫通孔」に対応する)を有する枠状の金属製の薄板(例えば,厚さ:0.1mm)であり,単セル44の固体電解質層442と接合部71を介して接合され,かつ酸化剤ガスと燃料ガスとの混合を防止する金属製の枠体である。金属製セパレータ53によって,枠部43の開口46内の空間が,酸化剤ガス流路47と燃料ガス流路48に区切られ,酸化剤ガスと燃料ガスとの混合が防止される。
金属製セパレータ53には,金属製セパレータ53の上面と下面の間を貫通する貫通孔によって開口部58が形成され,この開口部58内に,単セル44の空気極443が配置される。
燃料極フレーム54は,燃料極441側に配置されるフレームであり,例えば,Alなどのセラミックスやマイカ,バーミキュライトなどの絶縁材料や金属板などが使用でき,中央部には開口46を有する。該開口46によって,燃料ガス流路48を区画する。
空気極フレーム51,絶縁フレーム52,金属製セパレータ53,燃料極フレーム54は,ボルト21,22(22a,22b),23(23a,23b)が挿入されるか,もしくは酸化剤ガスか燃料ガスが流通する貫通孔31,32(32a,32b),33(33a,33b)をそれぞれの周辺部に有する。
単セル44と金属製セパレータ53の間に接合部71が配置され,燃料電池セル40を構成する。開口部58に沿って,金属製セパレータ53の下面と固体電解質層442の上面が接合部71で接合される。
接合部71は,Agを含むロウ材から構成され,開口部58に沿って,全周にわたって配置され,単セル44と金属製セパレータ53とを接合する。
本実施形態では,図3に示すように、インターコネクタは、インターコネクタ本体611、インターコネクタ用セパレータ612、接合部614を有する。
インターコネクタ本体611は、上面(本実施の形態における「第2主面」に対応する)、下面(本実施の形態における「第1主面」に対応する)を有する略板状の導電性部材である。インターコネクタ本体611は、インターコネクタ用セパレータ612の下面に接合され、インターコネクタ用セパレータ612(本実施の形態における「第1セパレータ」に対応する)の貫通孔613(本実施の形態における「第1貫通孔」に対応する)から上面の一部が露出する。
インターコネクタ本体611は、SOFC使用温度領域において高い導電性と酸化剤ガス雰囲気及び燃料ガス雰囲気において化学的安定性とを備えた材料であればよい。例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)系のセラミック材料を主成分とする材料や第1主面にMnCoスピネル酸化物のような導電性セラミックをコートしたフェライト系ステンレスの金属材料等を用いることができる。
LaCrO(ランタンクロマイト)系のセラミック材料を主成分とする材料を用いる場合、特に高温の領域(例えば、700〜1000℃)で使用する場合に高い導電性を確保することができる。その結果、インターコネクタ本体611の電気抵抗による損失を低減し、燃料電池スタック10の発電性能の向上に寄与する。
インターコネクタ用セパレータ612は、上面、下面と、これらの間を貫通する貫通孔613(第1貫通孔)を有し、可撓性を有する金属板から構成される。貫通孔613は、インターコネクタ用セパレータ612の中央に配置される。
インターコネクタ用セパレータ612は、可撓性を有する金属製の薄板であるため、積層方向や面方向の応力を逃がす程度の厚さに形成する必要がある。具体的には、インターコネクタ用セパレータ612を0.05mm以上でインターコネクト本体611よりも薄い範囲内の厚さ(例えば、0.1mmの厚さ)に形成することが望ましい。インターコネクタ用セパレータ612の厚さがインターコネクト本体611の厚さを越えると、複数の単セル44を積層した状態で各々のインターコネクタ本体611に印加される応力を逃がすことが困難になる結果、応力に起因する割れ等の不具合を招く恐れがある。インターコネクタ用セパレータ612の厚さが0.05mmに満たないと、耐酸化性や耐食性が劣化して十分な耐久性を確保できなくなる。
なお、図3に示すように、インターコネクタ用セパレータ612には、ボルト21,22(22a,22b),23(23a,23b)に対応して、貫通孔が形成されている。
インターコネクタ用セパレータ612は、例えば、主成分が鉄(Fe)であり、かつ1〜10重量%程度のアルミニウムを含有する金属材料を用いて形成することが望ましい。すなわち、インターコネクタ用セパレータ612の表面にアルミナの被膜を形成することにより、耐酸化耐久性を向上させることができる。ただし、アルミニウムの含有量が1重量%に満たない程度の金属材料を用いる場合は、被膜形成が不十分となって上述の効果が弱くなる。一方、アルミニウムの含有量が10重量%を超える程度の金属材料を用いる場合は、インターコネクタ用セパレータ612が常温で硬くなり過ぎ、応力の緩和が困難になる。
接合部614は、インターコネクタ本体611の上面とインターコネクタ用セパレータ612の下面を接合する。接合部614は、インターコネクタ用セパレータ612の貫通孔613を取り囲んで全周に配置されている。よって、接合部614によりインターコネクタ本体611とインターコネクタ用セパレータ612との間を気密に封止できる。
接合部614を形成する材料の例としては、ロウ材を採用することができる。具体的には、接合部614を形成するロウ材として、Agと酸化物の混合体を用いることができる。Agと混合される酸化物としては、例えば、Al(アルミナ)、CuO、TiO、Cr、SiOを挙げることができる。また,接合部614を形成するロウ材として、Agと他の金属との合金(例えば、Ag−Ge−Cr、Ag−Ti、Ag−Al)を用いてもよい。
また、接合部614を形成する材料の他の例としては、ガラスを採用することができる。ガラスを用いて接合部614を形成する場合は、熱膨張率の差による応力印加時の割れを防止するため、インターコネクタ本体611及びインターコネクタ用セパレータ612と比較的近い熱膨張率を有するガラスを採用することが望ましい。
接合部614は、材料の選択によっても異なるが、例えば、20〜100μm程度の厚さと、2〜6mm程度の横幅で形成される。
このように、インターコネクタ本体611と、可撓性を有する金属板からなるインターコネクタ用セパレータ612を接合して、インターコネクタ61が構成される。インターコネクタ用セパレータ612が可撓性を有することで、インターコネクタ本体611に印加される応力が緩和され、その割れや変形を防止できる。
インターコネクタ62,63は、インターコネクタ本体621,631、インターコネクタ用セパレータ622,632、接合部624,634を有する。これらはそれぞれ、インターコネクタ本体611、インターコネクタ用セパレータ612、接合部614と対応する形状、材質であるので、詳細な説明を省略する。
本実施形態において、金属製セパレータ53と、この金属製セパレータ53が接合部71を介して接合している単セル44の燃料極441と電気的に接続しているインターコネクタ用セパレータ622の間は、電気的に接続されている(つまりはセパレータ同士が接触してもショートしない)。
上述した様に、金属製セパレータ53と単セル44とをAgを含むロウ材からなる接合部71により接合している。本実施形態では、単セル44は燃料極支持形の単セル44であり、固体電解質層442は厚みが薄い。この場合、接合部71により、金属セパレータ53と燃料極441が電気的に接続しやすく、金属製セパレータ53と燃料極441とが同じ電位を有することとなる。即ち、インターコネクタ用セパレータ622は集電部49を介して燃料極441と電気的に接続しているため、金属製セパレータ53とインターコネクタ用セパレータ622とは燃料極441と同じ電位を有することとなる。
なお、接合部71による電気的接続を上述したが、この他にも、金属製セパレータ53とインターコネクタ用セパレータ622が電気的に接続し、同じ電位を持つ場合としては、燃料極フレーム54が金属等の導電性材料である等が考えられる。
このため、本実施形態では金属製セパレータ53と、この金属製セパレータ53が接合部71を介して接合している単セル44の燃料極441と電気的に接続しているインターコネクタ用セパレータ622の間の電気的接続は問題とはならない。
ここで、燃料電池スタックの積層方向から見た場合において、インターコネクタ本体611の外周は、単セル44と金属製セパレータ53との接合部71の外周により囲まれた領域の内側に配置されていることで、次に示すように、熱変形に起因するインターコネクタ用セパレータ612と金属製セパレータ53との間又は金属製セパレータ53とインターコネクタ本体611との間の電気的接続(ショート)が防止される。図4、図5を用いて、これを説明する。
図4に示すように、インターコネクタ用セパレータ612と金属製セパレータ53との間にインターコネクタ本体611が配置される。このため、インターコネクタ用セパレータ612と金属製セパレータ53間を絶縁状態とするには、インターコネクタ本体611と金属製セパレータ53の接触を防止する必要がある。ここで、単セル44と金属製セパレータ53の接合部71の外周に囲まれる領域の内側では、単セル44と金属製セパレータとの接合部71によって金属製セパレータ53の変形が抑制される。即ち、金属製セパレータ53で変形し易い箇所は、単セル44と金属製セパレータ53の接合部71の外周により囲まれる領域の外側である。このため、接合部71の外周に囲まれる領域の内側にインターコネクタ本体611を配置することで、インターコネクタ本体611と金属製セパレータ53が接触することを防止できる。
インターコネクタ本体611の外周が、単セル44と金属製セパレータ53との接合部71の外周に囲まれた領域の外側に存在していると、インターコネクタ本体611単セル44と金属製セパレータ53の間隔t2(例えば、0.2mm以上、1.0mm以下)がインターコネクタ用セパレータ612と金属製セパレータ53の間隔t0(例えば、0.6mm以上、2.0mm以下)より小さいことから、インターコネクタ本体611と金属製セパレータ53が接触する可能性が大きくなる。インターコネクタ本体611の厚さ(0.4mm以上1.0mm以下(例えば、0.8mm))の分、間隔t2と間隔t0は異なる。
このため、図4,図5に示すように、燃料電池スタックの積層方向から見た場合において、単セル44と金属製セパレータ53の接合部71の外周と、インターコネクタ本体611の外周との間に間隔Dがおかれている。この間隔Dは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。この間隔Dは、より好ましくは、0.5mm以上3mm以下である。この間隔Dは,発電面積(つまり集電部42,49)を広くするためになるべく狭いほうが好ましい。
本実施形態では、単セル44が、金属製セパレータ53の下面に接合されている。また、インターコネクタ本体611がインターコネクタ用セパレータ612の下面に接合されている。この結果、インターコネクタ本体611がインターコネクタ用セパレータ612の上面に接合されている場合と比べて、インターコネクタ用セパレータ612と金属製セパレータ53との間の距離が確保される。このため、インターコネクタ用セパレータ612と金属製セパレータ53との間の絶縁状態の確保が容易である。
(変形例1)
図6は、変形例1に係る燃料電池セル40aの一部拡大断面図である。
図6に示したように、変形例1では、インターコネクタ本体611をインターコネクタ用セパレータ612の上面に接合している。この場合でも、燃料電池スタックの積層方向から見た場合に、インターコネクタ本体611の外周が、単セル44と金属製セパレータ53との接合部71の外周により囲まれる領域の内側に存在するように配置されることで、インターコネクタ用セパレータ612を変形させてインターコネクタ本体611と接合することが可能となる。
したがって、接合部71の外周より外側の金属製セパレータ53と、インターコネクタ用セパレータ612との間の距離が十分に確保できる。
(変形例2)
図7、図8はそれぞれ、変形例2に係る燃料電池セル40b(2)の一部拡大断面図および上面図である。
ここで、燃料電池セル40b(2)は、インターコネクタ用セパレータ612、金属製セパレータ53、インターコネクタ用セパレータ622がそれぞれ、屈曲部415,531,455を有する。
屈曲部415,531,455はそれぞれ、板状のインターコネクタ用セパレータ612、金属製セパレータ53、インターコネクタ用セパレータ622の一部を屈曲させた部位である。インターコネクタ本体611又は単セル44に応力が印加された場合に、屈曲部415,531,455のそれぞれが突出方向に、インターコネクタ用セパレータ612又は金属性セパレータ53、若しくはその両方の変形を促す。
屈曲部415,531,455はいずれも、燃料ガス流路48側に突出し、酸化剤ガス流路47側では引っ込んでいる(凹んでいる)。インターコネクタ用セパレータ612と金属製セパレータ53が互いに逆方向に突出していることから、これら間(酸化剤ガス流路47内)での接触が防止される。
本実施形態において、これら屈曲部415,531,455は、単セル44の外周を囲むように周回している。但し、屈曲部415,531,455が不連続、例えば、ドット状でも良く、単セル44の外周を一周しなくとも良い。例えば、単セル44の対向する2辺に沿って、屈曲部415,531,455が配置されても良い。
なお、前述のように、金属製セパレータ53とインターコネクタ用セパレータ622間は、元来、電気的に接続されているので、屈曲部415,531,455が、燃料ガス流路48側に突出し、場合により接触したとしても問題とはならない。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
10 固体酸化物形燃料電池スタック
11,12 エンドプレート
21,22 ボルト
31,32 貫通孔
35 ナット
40 燃料電池セル
42,422,423 集電部(第1接点部)
49,492 集電部(第2接点部)
43 枠部
44,45 単セル
46,462 開口
47,472 酸化剤ガス流路
48,482 燃料ガス流路
51,512 空気極フレーム
52,522 絶縁フレーム
53,532 金属製セパレータ
54,542 燃料極フレーム
443,453 空気極
442,452 固体電解質層
441,451 燃料極
58,582 開口部(第2貫通部)
61,62,63 インターコネクタ
71,712 接合部
415,531,455 屈曲部
491 導電性部材
492 スペーサ
611,621,631 インターコネクタ本体
612,622,632 インターコネクタ用セパレータ
613,623,633 貫通孔(第1貫通孔)
614,624,634 接合部

Claims (4)

  1. 第1貫通孔を有し、可撓性を有する金属板からなる第1セパレータと、
    前記第1セパレータと接合され、前記第1貫通孔から一部が露出するインターコネクタ本体と、
    第2貫通孔を有し、可撓性を有する金属板からなる第2セパレータと、
    燃料極と、空気極と、固体電解質と、を含み、前記第2セパレータに接合部を介し接合され、前記第2貫通孔から一部が露出する単セルと、
    を順に複数組積層した燃料電池スタックであって、
    前記インターコネクタ本体の第1主面と前記単セルの空気極とを電気的に接続する第1接点部と、
    前記第1主面と反対側の第2主面と前記単セルの燃料極とを電気的に接続する第2接点部と、を具備し、
    前記燃料電池スタックを積層方向から見た場合に、前記インターコネクタ本体の外周は、前記接合部の外周により囲まれた領域の内側に存在しており、
    前記第1セパレータは前記インターコネクタ本体と電気的に接続され、
    前記第2セパレータは前記単セルの空気極又は燃料極の何れかの電極と電気的に接続されており、
    前記第2セパレータと電気的に接続された側の前記単セルの電極と、第1接点部又は第2接点部の何れかの接点部を介して電気的に接続された前記インターコネクタ本体は、
    前記第1セパレータのうち、前記第1セパレータと電気的に接続された前記第2セパレータと対向する面と反対側の面に接合されている
    ことを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 前記第1セパレータは電気的に接続された側の前記第2セパレータ側に突出する第1屈曲部を有し、前記2セパレータは電気的に接続された側の前記第1セパレータ側に突出する第2屈曲部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
  3. 前記第1セパレータは、前記インターコネクタ本体よりも薄く、且つ0.05mm以上の厚さを有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池スタック。
  4. 前記第1セパレータが、1質量%以上10質量%以下のアルミニウムを含む
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
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