JP6285459B2 - 目的組み換えタンパク質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ペスチウイルステクノロジーのオートプロテアーゼNproを使用することによる、所望の重要な異種ポリペプチドの組み換え製造方法に関する。
大腸菌は、大量に治療用タンパク質を発現させるために、広く使用されている。医学的利用のためには、均一N末端が重要であるが、メチオニンアミノペプチダーゼによるN−ホルミルメチオニンの不完全脱離は、望ましくない微小不均一性をもたらし得る。さらに、遺伝子融合テクノロジーが、しばしば組み換えタンパク質の発現のために使用される。ある種の一般的に使用される融合タグ、例えばグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)またはチオレドキシンは溶解性に影響するが、他のタグ、例えばポリHis、FLAG、strep IIまたはカルモジュリン結合ペプチド(CBP)は、精製を容易にするための親和性タグとして役立つ。遺伝子融合テクノロジーは、最終タンパク質産物からタグを除去することを必要とするが、酵素的または化学的開裂は個々に開裂の効率および特異性が異なる。自己開裂型タグ、例えばインテイン、ソルターゼA(SrtA)、FrpCタンパク質またはシステインプロテアーゼドメイン(CPD)あるいはNproオートプロテアーゼは、薬学関係のタンパク質発現に有用な別法を提供する。組み換えタンパク質製造のための自己開裂型融合タグはLi, Biotech. Let. 33 (2011): 869-881に記載されており、開裂可能な自己集積型タグを使用する連続化したタンパク質発現および精製法はXing et al.によって Microb. Cell Fact. 10 (2011): 42に報告されている。
大腸菌における異種タンパク質過発現は、しばしば、封入体としても知られる密集した不溶性粒子中の凝集および堆積をもたらす。封入体中の発現の利点は、目的物の高い純度および細胞破壊後の遠心分離による容易な精製である。しかしながら、重要な工程は、タンパク質の自然構造の溶解および再折りたたみである。通常、可溶化は、高濃度のカオトロピック剤、例えば尿素またはグアニジニウム塩酸塩溶液中で完全展開に達するまで実施する。還元剤、例えば2−メルカプトエタノール(β−ME)、ジチオトレイトール(DTT)または1−モノチオグリセロール(MTG)を加えて、分子間および分子内の非天然性ジスルフィド結合を還元し、システインを還元状態に維持する。自己タンパク分解による開裂および融合パートナーの遊離は、反応速度はカオトロープの濃度にのみ依存する単分子反応による再折りたたみにより開始される (Ueberbacher et al., Process Biochem. 44 (2009), 1217-1224)。
隘路となる工程は、タンパク質の再生である。再折りたたみの第一工程中における疎水性の分子間相互作用の排除が、高タンパク質濃度での良好な再生と凝集の阻止に重要である(Vallejo et al., Microb. Cell Fact. 3 (2004), 11)。いくつかの再生手法が知られる。特に製造規模においては、加圧処理またはクロマトグラフ技術よりも、希釈による再折りたたみが、その単純さのために好ましい。タンパク質濃度ならびにカオトロープ濃度をひとつの工程内で低下させ、分子間相互作用による凝集を阻止する。しかしながら、大容積と低タンパク質濃度は、下流での加工工程での負担となる(Jungbauer et al., J. Biotech. 128 (2007), 587-596)。
従って、本発明の目的は、特に自己タンパク分解性開裂および下流プロセスのでの組み換えタンパク質の製造のために、再生されなければならない封入体の再生工程を改善することである。好ましくは、本発明は、目的タンパク質を得るために低容積および高タンパク質濃度を可能にし、特に医療で使用されるタンパク質に関して、商業生産規模で確立するのに適する方法を提供する。さらに、オートプロテアーゼの再生工程と目的タンパク質の再生工程を分けることも有益であり、高度に特異的な再生条件を可能にする。
従って、本発明は、目的組み換えタンパク質の製造方法であって、次の工程:
(a) 封入体中にNproオートプロテアーゼ部分および目的タンパク質部分を含む融合タンパク質を提供し、
(b) 封入体を可溶化させ、
(c) 融合タンパク質をカオトロピック条件下にNproオートプロテアーゼ部分により開裂させ、ここで、目的組み換えタンパク質は融合タンパク質から開裂され、そして該目的組み換えタンパク質はまだ再生されていないかまたは同時に再生されており、そして
(d) 必要であれば目的タンパク質の再生工程を実施し、目的タンパク質を取得する工程
により特徴付けられる方法を提供する。
本発明は、ペスチウイルステクノロジーのオートプロテアーゼNproを使用することにより、目的とする組み換え異種ポリペプチドの製造を改善するものである。このテクノロジーは、通常、宿主細胞、しばしば、大腸菌のような原核宿主細胞中の、ペスチウイルスのオートプロテアーゼNproに直接的または間接的に由来するオートプロテオリティック部分および目的異種ポリペプチドを含む融合ポリペプチドの組み換え発現を提供する。目的異種ポリペプチドまたはタンパク質は、Npro分子にペプチド結合により共有結合する。目的タンパク質は、NproのC末端168位Cysと、本発明により製造すべき目的タンパク質の真正なN末端アミノ酸を表す融合ポリペプチドの169位の間のペプチド結合の加水分解により融合タンパク質から遊離される。目的異種ポリペプチドは、細胞質封入体(IB)の形態で宿主細胞中で産生され、次いでこれを単離し、所望の異種ポリペプチドがNproオートプロテオリティック活性により融合ポリペプチドから開裂されるような方法で処理する。
従って、ペスチウイルスのオートプロテアーゼNproを含む融合ポリペプチドは、特に異種組み換えポリペプチドの製造に有用である。Nproは、インビボで168アミノ酸長および見かけのM約20kDを有するオートプロテアーゼである。これはペスチウイルスのポリタンパク質における第一タンパク質であり、それに続くヌクレオカプシドタンパク質Cからオートプロテオリティックな開裂を受ける。この開裂はNproの配列の最後尾のアミノ酸である168位Cysの後で起こる。ペスチウイルスのオートプロテアーゼNpro活性は、常にこの明確に特定された位置で融合パートナーを開裂し、均一なN末端を有する目的ポリペプチドを遊離する。さらに、Nproのオートプロテオリティック活性は、IB中で発現された融合ポリペプチドの開裂により目的ポリペプチドが得られるような、特殊な緩衝液の適用により、インビトロで誘導できる。
このテクノロジーにおいて使用するブタコレラウイルス(CSFV)由来のN末端オートプロテアーゼNproは、特に大腸菌において大量に治療用タンパク質を発現するための魅力的なツールとして有用である。医学的利用は組み換えタンパク質の真正なN末端を必要とし、これはN末端に融合したNproオートプロテアーゼの自己開裂により達成できる。さらに、Npro融合テクノロジーはまた小さいまたは毒性ペプチドの発現も可能にし、これは、宿主細胞プロテアーゼによる合成の後に直ちに分解される(Achmueller et al., Nat. Methods 4 (2007), 1037-1043)。大腸菌におけるNpro融合タンパク質の発現により封入体として知られる不溶性凝集塊が形成されるため、適切な可溶化および再生のプロトコルが生物活性タンパク質を得るために必要である。
既に述べたように、誤って形成されるジスルフィド結合を阻止するために、ほとんどの場合、可溶化を高濃度のカオトロピック剤、例えば尿素または塩化グアニジウムと還元剤の組み合わせて行う。簡単であるため、希釈による再折りたたみが再生を開始させるために広く使用されている。それゆえに、大量の緩衝液が、正しい生物活性構造の形成を可能にする条件を提供するために添加される。従って、本発明においては、高尿素濃度で開裂活性を示すオートプロテアーゼを使用する。これにより、可溶化工程後に必要となる緩衝液の量を顕著に減らし、それゆえに、コストの削減が可能となる。さらに、標的タンパク質とオートプロテアーゼが異なる再生条件を必要とするならば、この2工程を分離でき、これはこのような好ましい態様にさらなる利点を追加する。高カオトロピック条件で活性なオートプロテアーゼは、オートプロテアーゼの再生工程を標的タンパク質の再生工程と分離し、それにより高度に特異的な再生条件が可能となる。事実、目的タンパク質の再生を、オートプロテアーゼによる開裂工程から分離でき、これは、目的タンパク質の取得の良好な管理を可能とする。この場合、目的タンパク質を、その後の任意の段階で、そして異なる場所で完全に活性化できる。先行技術においては、オートプロテアーゼ部分の活性の回復(これは融合タンパク質を開裂させた)は、目的タンパク質部分を含む融合タンパク質全体の再生と常に直接結びついていた。この好ましい本発明の態様は、オートプロテアーゼおよび標的タンパク質の別々の再折りたたみを可能にする。
従って、好ましい方法において、封入体を、組み換え製造系、好ましくは原核宿主細胞、特に大腸菌宿主細胞で産生した。
工程(b)における好ましい条件は、5Mを超える、好ましくは6Mを超える、特に7.5Mを超える尿素濃度に対応する。“対応する”は、尿素がここに記載した量で存在するか、他のカオトロピック物質(例えばブタノール、エタノール、塩化グアニジウム、過塩素酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、プロパノール、ドデシル硫酸ナトリウム、チオ尿素などまたは異なるカオトロープの組み合わせ、例えば尿素とグアニジニウム塩酸塩の混合物)が、同等のカオトロピック効果を生じる濃度で存在することを意味する(系のエントロピーの上昇で測定して)。例えば、好ましいグアニジニウム塩酸塩濃度は2.5Mを超える、好ましくは3Mを超える、特に3.75Mを超えるまたは4Mすら超える。好ましくは、工程(b)において、封入体の可溶化は、封入体を変性条件に付すことにより実施する。
工程(c)における好ましいカオトロピック条件は、1.4〜5M、好ましくは2〜5M、特に2〜4Mの尿素濃度に対応する。工程(c)における好ましいグアニジニウム塩酸塩濃度は、0.7〜2.5M、好ましくは1〜2.5M、特に1〜2Mである。さらにまた異なるカオトロープの組み合わせ、例えば尿素とグアニジニウム塩酸塩の混合物を適用できる。
用語“コスモトロープ”(秩序マーカー)および“カオトロープ”(無秩序マーカー)は、元々、タンパク質および膜をそれぞれ安定化または不安定化する溶質を意味した。その後、これらは、水の構造化の見かけ上相関する特性のそれぞれ増加または減少と見なされた。このような特性は環境、決定方法または調査する溶媒和殻により変化し得る。コスモトロープの代わりに使用される用語は、浸透圧ストレスを受けた細胞における高塩含量(これは、水の天然水素結合ネットワークを破壊する)の有害作用を代償することが判明しているため、“代償性溶質”である。水素結合の範囲および強度は溶質と無関係に変わり得るが、これらのいずれかを、秩序形成の指標として使用でき、そして使用されている。いずれにしても、これは、最優先の重要度である良質の水素結合の範囲に対する効果である。コスモトロープの秩序化効果は、あまり水和されていないカオトロープよりも周囲のバルク水と、大きな無秩序性のさらに広い無秩序な結合帯を創成する、その拡散回転と混同され得る。ほとんどのコスモトロープは、水における大規模ネット構造化をもたらさない。
イオン性コスモトロープ(または非イオン性コスモトロープと区別するために“抗カオトロープ”)は、主に周囲の水分子の定方向および分極配置のために、非イオン性コスモトロープと異なって処理しなければならない。一般に、イオン動態はホーフマイスター系列と平行する。低電荷密度を有する大きな一価のイオン(例えばSCN、HPO 、HSO 、HCO 、I、Cl、NO 、NH 、Cs、K、(NH)(グアニジウム)および(CH)(テトラメチルアンモニウム)イオン;水自体よりも、水との相互作用が弱く、それゆえに、周囲の水の水素結合をほとんど干渉しない)はカオトロープであり、高電荷密度を有する小さいまたは多価のイオン(例えばSO 2−、HPO 2−、Mg2+、Ca2+、Li、Na、H、OHおよびHPO 2−、水自体よりも、水分子と強い相互作用を示し、従って水−水水素結合を破壊できる)はコスモトロープである。一価のカオトロピックイオンの半径はカチオンでは1.06Åより大きく、アニオンでは1.78Åより大きい。それゆえに、水分子間の水素結合は、イオン性カオトロープよりもイオン性コスモトロープのごく近傍で、破壊される。この結論を補強するものとして、ハライドイオンF、Cl、BrおよびI周囲の水の水素結合構造のラマンスペクトル研究は、水性水素結合の全範囲がイオンサイズの増加とともに増加することを示し、HDO:DOにおけるIR研究は、これらのハライドイオン周囲の遅い水素結合再配向が、サイズの増加と共に遅くなることを示す。溶質がその周囲の水素結合を一部強化し(構造形成;例えばコスモトロピックカチオンは、内殻水分子により供与される水素結合を強化する)、一方同時に他のいくつかの水素結合を破壊する(構造破壊剤;例えばコスモトロピックカチオンは、内殻水分子により受け入れられる水素結合を弱化する)。他の因子が同じであれば、水分子は、双性イオン性アミノ酸とカチオン性アミノ酸の差異により示されるような、正味荷電を有しない分子よりも正味荷電を有する分子により、より強く維持される。
弱く水和するイオン(カオトロープ、K、Rb、Cs、Br、I、グアニジウム)は、バルク溶液中のイオン−水水和の強度が水−水相互作用の強度とほぼ同じ場所で起こる、強イオン性水和から弱イオン性水和への移行を伴う強水−水相互作用により、弱く水和する表面に“押され”得る(Naが強い側の境界であり、Clが弱い側の境界である)。2個の重要なカオトロープ(グアニジウムおよびチオシアネートイオン)の中性子回折試験は、これらの極めて弱い水和を示し、これらが水よりもタンパク質と優先的に相互作用するとの示唆を支持する。コスモトロープと対照的に、イオン性カオトロープと非イオン性カオトロープの特性の間にほとんど顕著な差はなく、これは、前者が低電荷密度であることによる。
塩による生物高分子の最適安定化は、コスモトロピックアニオンとカオトロピックカチオンの混合物を必要とする。
カオトロープは水の水素結合ネットワークを破壊し、それにより高分子の構造をより自由にし、タンパク質伸張および変性を促進する。コスモトロープは、水の秩序を高める安定化溶質(例えば多価アルコール、トレハロース、トリメチルアミンN−オキシド、グリシンベタイン、エクトイン、プロリンおよび種々の他の双性イオン)であり、一方カオトロープは弱い水素結合を形成し、水の秩序を添加させ、その表面張力を増加させ、高分子構造を脱安定化する(例えば高濃度の塩化グアニジウムおよび尿素)。最近の研究で、尿素が水素結合および疎水性相互作用の両者を弱化するが、グルコースはコスモトロープとして作用し、これらの特性を増強することが示されている。それゆえに、尿素分子が至適水和(尿素1モルあたり約6〜8モルの水)より低いとき、尿素水素は、十分な水の非存在下ではそれ自体およびタンパク質(ペプチド結合に顕著に関与する)と結合し、それゆえにより疎水性となり、タンパク質のさらなる部位との相互作用が可能となり、局所的脱水和主導変性に至る。グアニジウムは、その縁の周囲に弱水素結合を形成し得る平面イオンであるが、一般に見られる四級構造アルギニン−カルボキシレート“塩”結合に類似する、強く保持される水素結合イオン対をタンパク質カルボキシレートと確立し得る。また、グアニジウムは、タンパク質変性を可能とするために、類似タンパク質表面と相互作用し得るむしろ疎水性表面を有する。両変性剤は、疎水性部位の間を滑動し、結果的に水素結合水に引き込まれることによりタンパク質膨張および非構造化を起こし、変性を完了させ得る。
一般に溶質のコスモトロピック/カオトロピック性質は、しばしば、必然的に高濃度で、水の物理的バルク特性から決定される。構造化の程度の変化は、例えば、NMRまたは振動性スペクトロスコピーの使用により見ることができる。タンパク質安定化溶質(コスモトロープ)は、水素結合の範囲を増加させ(プロトンおよび17Oスピン格子緩和時間減少)、NMR化学シフトは増加(弱い結合を示す、例えば双性イオンコスモトロープ、トリメチルアミンN−オキシド)または減少(強い結合を示す、例えばポリヒドロキシコスモトロープ、トレハロース)し得る。トレハロースは、タンパク質安定剤(NH)SOよりも少ない程度で化学シフトおよび緩和時間の両方の減少を示し、NaClは化学シフトの減少のみを示し、タンパク質不安定化剤KSCNは緩和時間の増加と化学シフトの減少を示す。振動性スペクトロスコピーは、5200cm−1(v+v組み合わせ)近辺の近IR波長を利用でき、これは、水素結合が強いとき長波長側(波数の小さい側)にシフトする。
最も重要なコスモトロープの一つは、非還元糖α,α−トレハロースである。トレハロースが、変旋光を欠くことにより還元糖より、またはフラン環を欠くことにより他の一般的非還元二糖であるスクロースより、はるかに静的構造を有することは留意されるすべきである。
従って、用語“カオトロピック条件”は、特に − 1相を超える相を含む調製物において − 製剤の水相について、製造を始める液体(これは例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、二相または三相液体系などであり得る)の性質を個々に考慮すべきである。本発明の方法の工程(c)の好ましいカオトロピック条件は、1.4〜5Mの尿素濃度に対応する(特に緩衝化塩溶液、例えば8.0g NaCl、0.2g KCl、1.44g NaHPO、0.24g KHPO、A. dest.で1000ml、HClでpH7.4において)。カオトロピック条件(ならびにカオトロピック性の減少(“低い”または“少ない”カオトロピック条件”))の対応は、上記方法によりならびにホーフマイスター系列の教示の適用により容易に決定し得る。出発液体への種々の物質の添加は、結合について最適結合/非凝集条件を提供するために個々の事例で検査しなければならない。例えば、還元剤の使用は0.05〜50mM ジチオトレイトール(DTT)、特に0.1〜10mM DTTの両に対応するために最適化すべきである。さらに、界面活性剤の使用も、上記のとおり、出発調製物のカオトロピック性に影響する。
本発明の意味における用語“変性形態”(または“非再折りたたみ形態”)は、組み換え製造過程産物として得られる、通常封入体を可溶化させた後に得られる(融合タンパク質の天然三次元構造が破壊される条件下)、発現された融合タンパク質の生物不活性形態を意味する。
用語“再折りたたみ”(または“再生”)は、可溶化されたタンパク質またはタンパク質の一部(該一部は、再生したならば、特異的活性と関係する)がその天然配置および生物活性(またはそれぞれ該一部の生物活性)を回復する、すなわちタンパク質を変性した、不活性状態からその活性形態に再構築する間の機構をいう(Kaar et al., Biotech. Bioeng. 104 (2009), 774-784も参照)。
用語“自己タンパク分解性機能”、“自己タンパク質分解活性”または“自己タンパク分解性”は、融合タンパク質の成分の一つの自己タンパク質分解活性をいい、これは融合タンパク質がその変性した状態にあるときは抑制され、融合タンパク質の部分的(すなわちオートプロテアーゼ部分)または完全再折りたたみにより活性化する。ここで使用する用語“オートプロテアーゼ”は、自己タンパク質分解活性を有し、ポリペプチド部分からそれ自体開裂できるポリペプチドをいい、すなわちNproオートプロテアーゼは、本発明の融合タンパク質の目的タンパク質部分からそれ自体を開裂する。
ここで使用する用語“取得”は、精製された形態で、すなわち目的タンパク質を、発現/プロセシング系に存在する他のタンパク質、特にオートプロテアーゼだけでなく、中間体または最終産物に存在すべきでない全ての他のタンパク質または他の構成要素から本質的に分離することにより、目的タンパク質を得ることをいう。本発明の方法により取得された目的タンパク質は、本発明の開裂工程から直接得られたまたはさらに精製したバルク形態でおよび/または特定の製剤、例えば医薬製剤に製剤して商業化し得る。
ここで使用する用語“封入体”は、形質転換宿主細胞の細胞質に存在する異種ポリペプチド(本発明の融合タンパク質)を含む不溶性凝集塊である。これらは、顕微鏡下では明るい点状に見え、細胞質の分離により取得できる。封入体は、通常カオトロピック剤を使用して可溶化する。可溶化により封入体は溶解し、分子内および分子間相互作用が実質的に減少した単分子懸濁液が目標とされる。好ましい溶媒は尿素、塩酸グアニジンおよびN−ラウロイルザルコシンのような強イオン性界面活性剤である。他の本発明の態様において、封入体はまたアルカリpHのアルコール水溶液または単にアルカリpHの水溶液を使用しても可溶化される。
ここで使用する用語“可溶化”は、封入体の溶解に必要なプロセスをいう。可溶化は、分子内および分子間相互作用が最小であるポリペプチドの単分子分散を得ることを目的とする。本発明の範囲内で封入体の好ましい可溶化方法は、50mM Tris/HCl、8M尿素、pH7.3の懸濁液中行い、酸化システイン残基が存在する場合、還元剤、例えば50mM DTTを添加する。必要に応じて、不溶性の可能性のある物質を、例えば遠心分離により除去することが可能である。不活性融合タンパク質が細胞内で可溶性で製造されるとき、浄化した細胞ホモジネートを封入体可溶化について下に記載するさらなる後処理に付す。
本発明について、工程(c)におけるオートプロテオリティック活性の再折りたたみ(再生)はカオトロピック条件下、すなわち、目的タンパク質部分が好ましくはなお非再折りたたみ形態で存在する条件下で行う。目的タンパク質の再折りたたみは、(開裂後)条件を、例えば希釈、コスモトロピック物質の添加またはカオトロピック物質除去により、低カオトロピックにすることにより達成できる。他方で、目的タンパク質もまた工程(c)において、すなわちカオトロピック条件下で、オートプロテアーゼ部分と同時に再生してよい。
工程(c)を、特に大規模設定において、該過程を適当な反応時間で実施できるように、かなりの開裂率がなお可能であるカオトロピック条件下で実施するのも好ましい。オートプロテオリティック開裂率は、例えば、最初に単離/精製封入体を7M 塩酸グアニジン溶液で可溶化し、次いて反応溶液で1:100に希釈することにより、決定できる。約24時間のインキュベーション後、反応溶液を、開裂の程度についてSDS−PAGEで試験する。ウェスタンブロットを、処理および非処理比率を同定するために行う。開裂物質の比率を、クーマシー染色SDS−PAGEゲルの濃度測定分析により決定できる。カオトロピック条件が高い程可溶化が支持されるが、しかしながら、通常オートプロテアーゼの開裂率が低下する。低すぎる開裂率は、少なくとも大規模設定での、本方法の適切な商業的利用を可能としない。Nproオートプロテアーゼ部分は、従って2.5M尿素で、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、特に少なくとも40%の好ましい開裂率を有する。例えば、特定の融合タンパク質のNproオートプロテアーゼ部分を、24時間、2.5Mでインキュベートすると、本物質の50%の量が開裂されるならば(クーマシー染色SDS−PAGEゲルの濃度測定分析で測定して)、Nproオートプロテアーゼ部分は、2.5M尿素で50%の開裂率を有すると定義される。
本方法において適用すべき好ましいNproオートプロテアーゼ部分は、配列番号1または2(Δ21Npro(HoBi)またはNpro(HoBi)(UniProt Database accession no. Q5L4B1))からなる群から選択される配列を有する。
好ましい本発明の態様において、Nproオートプロテアーゼ部分は、インターフェロン制御因子3結合部位が欠失した配列を有する。この欠失により、最終産物はヒトのインターフェロン製造を妨害するかもしれない不純物を本質的に含まなくなる。
本方法は、原則としてあらゆる目的タンパク質、特にNproオートプロテアーゼ手法により製造可能であることが知られる全てのタンパク質の製造に適用可能である。本発明の方法が大規模製造および医薬品製造管理および品質管理に関する基準に適するため、本方法によりヒトにおける治療用のタンパク質、好ましくは、ヒト組み換えタンパク質またはワクチン抗原の製造に好ましい。好ましい目的タンパク質は、従って、Ferrer-Miralles et al.(Microbial Cell Factories 8 (2009), 17 doi:10.1186/1475-2859-8-17)の総説において2009年にFDAまたはEMEAにおいてまでに人での使用が承認されている151種の組み換え医薬品として参照されたタンパク質を含み、特に大腸菌宿主細胞において既に産生されているタンパク質に基づく産物を含む:Dukoral(経口コレラワクチン)、ペガシス(ペグインターフェロンアルファ−2a)、ペグイントロン(ペグインターフェロンアルファ−2b)、Infergen(インターフェロンアルファコン−1)、レベトロン(インターフェロンアルファ−2b)、Roferon A(インターフェロンアルファ−2)、Viraferon(インターフェロンアルファ−2b)、ViraferonPeg(ペグインターフェロンアルファ−2b)、イントロンA(インターフェロンアルファ−2b)、Beromun(タソネルミン)、アクティミューン(インターフェロンガンマ−1b)、IPLEX(メカセルミンリンファベート組み換え)、ケピバンス(パリフェルミン)、Neulasta(ペグフィルグラスチム)、Neumega(オプレルベキン)、ニューポジェン(フィルグラスチム)、ヒューマログ(インスリンリスプロ)、ヒューマトロープ(成長ホルモン)、ヒューマリン(ヒトインスリン)、Insuman(ヒトインスリン)、ランタス(インスリングラルギン)、Fortical(サケカルシトニン)、アピドラ(インスリングルリジン)、エクスベラ(ヒトインスリン)、Forcaltonin(サケカルシトニン)、Forsteo(テリパラチド)、Forsteo/Forteo(テリパラチド)、ジェノトロピン(成長ホルモン)、グルカゴン、Increlex(メカセルミン)、インスリンヒトWinthrop(インスリンヒト)、ノルディトロピン(ソマトロピン)、ニュートロピン(ソマトロピン)、ニュートロピンAQ(ソマトロピン)、Optisulin(インスリングラルギン)、Preotact(ヒト副甲状腺ホルモン)、Protropin(ソマトレム)、ソマバート(ペグビソマント)、ベタフェロン/ベタセロン(インターフェロンベータ−1b)、ルセンティス(ラニビズマブ)、Natrecor(ネシリチド)、Rapilysin/Retavase(レテプラーゼ)、Ontak(デニロイキンジフチトクス)、Kineret(アナキンラ)、およびOmnitrope(ソマトロピン)。
プロセスパラメータは、各設定について、好ましくは使用するNproオートプロテアーゼおよび製造する目的タンパク質によって最適化できる。例えば、工程(b)および/または工程(c)を5〜11のpH、好ましくは6〜9.5のpH、特に6.5〜8.5のpHで実施できる。好ましい態様において、特に工程(b)において、例えば5mMを超えるNaOHまたはKOH、好ましくは25mMを超えるNaOHまたはKOH、より好ましくは50mMを超えるNaOHまたはKOH、特に100mMを超えるNaOHまたはKOH(またはKOHとNaOHの混合物)または10を超えるpH、特に11〜14のpHを生じる他の塩基性構成要素(またはそれらの混合物)の存在により、塩基性条件を適用する。特に工程(b)の好ましい態様は、好ましくは尿素、グアニジニウム塩酸塩およびNaOHの混合物により、融合タンパク質の変性条件を提供する。
好ましくは、工程(b)および/または(c)を緩衝液、特にリン酸、リン酸水素またはTris/HCl緩衝液中で行う。緩衝液は、NaClのような塩、グリセロールもしくは炭水化物のようなポリオールまたは界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、非界面活性剤型スルホベタイン、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム(LDS)またはN−ラウロイルザルコシンも含んでよい。
NaCl、好ましくは50〜1000mMのNaCl、特に100〜500mMのNaCl;リン酸イオンおよび/またはリン酸水素イオン、好ましくは5〜500mMのリン酸および/またはリン酸水素、特に10〜200mMのリン酸および/またはリン酸水素;グリセロール、好ましくは1〜10%グリセロール、特に2〜8%グリセロール;Tris/HCl、好ましくは1mM〜5MのTris/HCl、特に5mM〜2MのTris/HClを含む緩衝液の存在下で工程(c)を実施するのも好ましい。工程(c)で使用する緩衝液は、さらに、次の成分L−アルギニン、低濃度の変性剤、界面活性剤、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、スルホベタイン、置換ピリジンおよびピロールのような低分子量非界面活性剤型双性イオン剤ならびに酸置換アミノシクロヘキサンの1種以上を含んでよい。
好ましい態様によると、目的タンパク質の再生工程を、目的タンパク質の取得後に行う。例えば、目的タンパク質の再生工程を、目的タンパク質の十分な精製後に行う。この態様は、目的タンパク質がこのタンパク質の十分に再生された(“活性”)形態よりも、非再生形態でより安定である場合、非常に有利である。従って、目的タンパク質を、患者への投与直前に再構成し得る医薬組成物(例えば乾燥(凍結乾燥)組成物)にさえ製剤できる。このような場合、目的タンパク質の再生を、投与直前のこのような再構成により行う。目的タンパク質の活性が、先に(例えば開裂後の精製中、医薬製品への製剤中またはこのようなタンパク質/医薬製剤の保存中)喪失するリスクを克服する。
開裂工程(c)を溶液中で実施できる。しかしながら、好ましい態様によると、このような開裂(すなわち自己タンパク質分解活性を獲得するためのオートプロテアーゼ部分の再折りたたみ)を、固体支持体上に固定化した融合タンパク質を用いて実施できる。オートプロテアーゼの再折りたたみ(およびタンパク質分解活性の付与)を、続いて、本発明のカオトロピック条件下に実施し、その後タンパク質分解活性を固体支持体上で活性化できる。続いて開裂された部分(C末端オートプロテアーゼ(目的タンパク質が固体支持体に結合しているならば)または目的タンパク質(オートプロテアーゼ部分が固体支持体に結合しているならば))を、固体支持体から遊離し、容易に取得できる。従って、本方法の好ましい態様によって、融合タンパク質を固体支持体上に固定化し、工程(c)をNproオートプロテアーゼの自己タンパク質分解活性が固体支持体上で形成されるように行う。
固相物質として、当分野で既に適用されている全ての物質が適当である。好ましくは、固相をクロマトグラフィー物質、特にセルロース、アガロース、アクリルアミド、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)またはエチレングリコール−メタクリレートコポリマーに基づく支持体、マイクロタイタープレート、ニトロセルロース膜、マイクロチップ、ガラス板または金属被覆支持体からなる群から選択される。
本発明によって、セルロース、アガロース(SepharoseゲルまたはMacro-Prepゲル)、デキストラン(Sephadexゲル)、アクリルアミド(Sephacryl、Trisacrylゲル)、シリカ(TSKゲル、SWゲル)、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)(SourceゲルまたはPorosゲル)、エチレングリコール−メタクリレートコポリマー(Toyopearl HWゲル、TSKゲル、PWゲル、fractogel EMDゲル)または混合物、特にアガロースおよびデキストランの混合物(Superdexゲル)に基づく支持体のような、多種の固相支持体を使用し得る。米国所轄官庁(FDA;食品医薬品局)または欧州連合機関によりヒトまたは動物への使用が承認された支持体をより具体的に選択する。さらに、選択した支持体を、親和性リガンド、好ましくは共有結合により、結合できる(支持体は官能化されたという)。固相マトリクスは、マトリクス骨格として、タンパク質および他の生体分子の固相分離に適用可能であることが知られているあらゆる天然または合成の、有機または無機物質、例えば天然または合成多糖、例えば寒天およびアガロース;セルロース、セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース;デンプン;ガム、例えばグアーガム、およびアラビアゴム、ガティガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム;ペクチン;ムチン;デキストラン;キチン;キトサン;アルギン酸;カラゲナン;ヘパリン;ゼラチン;合成ポリマー、例えばポリアミド、例えばポリアクリルアミドおよびポリメタクリルアミド;ポリイミド;ポリエステル;ポリエーテル;重合体ビニル化合物、例えばポリビニルアルコールおよびポリスチレン;ポリアルケン;無機物質、例えば含シリカ物質、例えば非晶質シリカおよび石英を含む二酸化ケイ素;シリカ;ケイ酸金属塩、多孔性ガラスおよび陶磁器;金属酸化物および硫化物またはこれらの天然または合成の、有機または無機物質の組み合わせを含み得る。
マトリクス骨格は、好ましくは寒天、アガロース、セルロース、セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアミド、例えばポリ(メタ)アクリル−アミド、ポリビニルアルコール、シリカ、および多孔性ガラスから選択される。
マトリクス骨格として特に興味深い固相物質は、例えば寒天またはアガロースビーズ、例えばPharmacia Biotech, SwedenのセファロースおよびスーパーロースビーズおよびBiorad, USAのBiogel A;デキストランベースのビーズ、例えばSephadex、Pharmacia Biotech;セルロースベースのビーズおよび膜、例えばSecheza, CzechoslovakiaのPerlozaセルロース;複合ビーズ、例えばSephacrylおよびSuperdex、Pharmacia Biotech;合成有機ポリマーのビーズ、例えばToso-Haas, USAのFractoge;Perceptive Biosystems, USAのPOROS媒体、Biorad, HEMAのBio-Rex、Bio-Gel PおよびMacro PrepおよびTESSEKのSeparonおよびBioSepra, USAのHyper DおよびTrisacryl媒体、EnzacrylおよびAzlactone、3M, USA;含シリカ物質のビーズ、例えば多孔性ガラス、Bioprocesing, EnglandのPROSEPおよびSpherocil、BioSepra;およびビーズまたは膜の形態の被覆シリカ複合材料、例えばArbor Technologies, USAのACTI-DISK、ACTI-MODおよびCycloSepである。
典型的に、固相マトリクス骨格、ならびに得られた官能化固相マトリクスは、例えば、不規則粒子または球状ビーズ、膜またはシート、成形表面またはスティックの形態であり得る。固相物質は、さらに、タンパク質が完全にまたは一部透過性であっても、完全に不透過性であってもよい。特に興味深い本発明の態様において、マトリクスは不規則または球状ビーズの形態であり、1〜10000μm、好ましくは10〜1000μmの範囲のサイズであり、例えば、高性能用途のためには10〜60μmおよび例えば調製目的で50〜500μm、好ましくは50〜300μmである。本発明において使用するための好ましい物質(ポリメタクリレートモノリス)がJunbauer et al.(J. Chromatogr. 1184 (2008), 62-79)に開示されている。
マトリクスの特に興味深い形態は、密度制御粒子を含む集合体の形態の密度制御マトリクスである。これらの集合体は、流動床または膨張床クロマトグラフィーのための大規模操作にならびに非充填カラムにおける種々のバッチ式クロマトグラフィー手法に、例えば撹拌しているタンク中の単純なバッチ吸着に特に適用可能である。
本発明の融合タンパク質のための親和性リガンドは、親和性リガンと固相物質の直接化学反応により、またはマトリクス骨格とリガンドへの結合を可能とすることが知られる適切な反応材で固相物質またはリガンドを前もって活性化することにより、この目的に適用可能であることが知られるあらゆるタイプの共有結合により固相物質に結合できる。このような適切な活性化剤の例は、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、アリル−グリシジルエーテル;ビス−エポキシド、例えばブタンジオールジグリシジルエーテル、ハロゲン置換脂肪族化合物、例えばジ−クロロ−プロパノール、ジビニルスルホン、カルボニルジイミダゾール、アルデヒド、例えばグルタル酸ジアルデヒド、キノン、臭化シアン、過ヨウ素酸、例えばメタ過ヨウ素酸ナトリウム、カルボジイミド、クロロ−トリアジン、例えば塩化シアヌル、塩化スルホニル、例えば塩化トシルおよび塩化トレシル、N−ヒドロキシスクシンイミド、2−フルオロ−1−メチルピリジニウムトルエン−4−スルホネート、オキサゾロン、マレイミド、ピリジルジスルフィドおよびヒドラジドである。これらの中で、単結合と異なるスペーサー基SP1を残す活性化剤、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、アリル−グリシジルエーテル、ビス−エポキシド、ハロゲン置換脂肪族化合物、ジビニルスルホン、アルデヒド、キノン、臭化シアン、クロロ−トリアジン、オキサゾロン、マレイミド、ピリジルジスルフィドおよびヒドラジドが好ましい。
特に興味深い活性化剤は、エポキシ化合物、例えばエピクロロヒドリン、アリル−グリシジルエーテルおよびブタンジオールジグリシジルエーテルと考えられる。
本発明の範囲内のペプチド親和性クロマトグラフィーのために、ペプチドリガンドの固定化に有用なあらゆるマトリクスを使用できる。好ましくはFractogel epoxy(M)(Merck, Darmstadt, Germany)または等しく好ましい“モノリスクロマトグラフィー媒体”CIM−エポキシを使用する。リガンドを、クロマトグラフィーマトリクスの化学的に活性化された骨格に直接結合しても、スペーサーまたはリンカーを経て結合してもよい。後者の場合、スペーサーをクロマトグラフィーマトリクスに結合させ、該スペーサーを、リガンドの結合を可能にするために化学的に活性化する。好ましくはFractogel epoxyマトリクスをスペーサーと組み合わせて使用する。
特に好ましい本発明の態様において、スペーサーをクロマトグラフィーマトリクスとジアミノジプロピルアミン(DADPA)の反応、続くコハク無水物(SA)との反応により製造する。スペーサー上の得られた末端カルボキシを化学的に活性化し、好ましくは末端アミノ基に結合させる。リガンドをマトリクス上にまたはスペーサー上にそれに含まれる反応性基を介して結合させる。ペプチドリガンドの場合、このような反応性基はアミノ基、カルボキシ基またはスルフヒドリル基のいずれかである。本発明の範囲内で、アミノ結合を経るペプチドのマトリクスまたはスペーサーへの係留が特に好ましい。
好ましくは、本発明で使用する固相は親和性クロマトグラフィー物質として提供され、WO2006/113958A2に開示されるようにオリゴペプチドリガンドを示す。
好ましくは、固体支持体はクロマトグラフィーカラムである。原則として、融合ポリペプチド(Nproおよび目的タンパク質を含む)を選択的に結合できるあらゆるクロマトグラフィー物質を、本発明の枠組みの中で使用できる。クロマトグラフィーのマトリクスは、好ましい態様において、カラムの形態であるが、しかしながら、ビーズのような他の形態または親和性ペプチドで修飾されたポリエチレングリコールのような有機物質であってよい。
本発明内で使用するのに適するクロマトグラフィー物質は、セルロース結合ドメインに基づくものであってよく、それらは例えばポリアルギニンまたはポリリシンのようなポリカチオン性タグを使用するカチオン交換クロマトグラフィー物質ならびに例えばポリアスパラギンのようなポリアニオン性タグを有するアニオン交換クロマトグラフィーであってよい。従って、本発明の範囲内で固体支持体として使用する親和性クロマトグラフィー物質は、好ましくは固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)、カチオン交換クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、セルロース結合ドメインクロマトグラフィーおよびペプチド親和性クロマトグラフィーからなる群から選択される。
より好ましくは、使用する親和性クロマトグラフィーは、融合ポリペプチドがポリカチオン性タグを含む、カチオン交換クロマトグラフィーである。さらに好ましいのは、ポリアルギニンまたはポリリシン親和性タグの使用である。
カチオン交換クロマトグラフィーのために、発現されたポリペプチド好ましくはN末端ポリカチオン性タグ、例えばポリアルギニンまたはポリリシンタグを含む。宿主細胞から抽出された発現されたポリペプチドを含む溶液は、(濾過)および例えばSP Sepharose FF、CM Sepharose FF、Fractogel EMD SO3-のようなカチオン交換クロマトグラフィーに適する任意を媒体を詰めたカラムに載せる。好ましくは低伝導率の緩衝液を適用する。充填後、未結合物質を洗い流し、再折りたたみを開始できる。
他の好ましい本発明の態様は、固体支持体が親和性クロマトグラフィーまたはアニオン交換クロマトグラフィーであるもの、およびカラムに結合させるポリペプチドがポリアニオン性タグを含むものである。より好ましくは、ポリアスパラギンを親和性タグとして使用する。
所望の結合特性を達成するためのさらに好ましい態様は、固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー(IMAC)である。従って、好ましい本発明の態様において、固体支持体は固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー(IMAC)物質であり、結合させるポリペプチド(特にNproの第二の部分および目的タンパク質を含む融合タンパク質)は金属キレート親和性タグを含む。この場合、ポリペプチドを、それに含まれる金属キレート親和性タグの手段により検出し、結合させる。より好ましい本発明の態様において、金属キレート親和性タグはポリヒスチジン親和性タグである。IMACは、ヒスチジンまたは他の適切な独特のアミノ酸(タンパク質表面に天然に存在するかまたは組み換えDNA手法によりグラフトしたいずれか)と銅、ニッケル、亜鉛または鉄のような種々の固定化金属イオンの間の特異的配位共有結合に基づく。IMACにおける使用が当分野で知られるクロマトグラフィー物質も本発明内で有用である。好ましい本発明の態様において、Ni2+-Chelating Sepharose Fast flow(GE Healthcare, Uppsala, SE)をマトリクスとして使用する。
あるいは、固体支持体は、上記のエピトープタグを用いる免疫親和性クロマトグラフィー物質であり、これはポリペプチドのN末端に存在し、該タグにより認識される抗体によりクロマトグラフィーマトリクスに結合する。他の好ましい親和性クロマトグラフィー物質は、WO2006/113958Aに記載されるようなオリゴペプチドリガンドを使用する親和性クロマトグラフィーである。
好ましい本発明の態様は、融合タンパク質が付加的成分、好ましくは親和性タグまたは再折りたたみ補助成分、特にHisタグ、SlyD(またはSlyDの一部)、正架電または負架電成分からなるオリゴアミノ酸ストレッチ、Strepタグおよび/またはFLAGタグを含むことを特徴とする。
好ましい態様によると、融合タンパク質を、特に工程(b)と工程(c)の間で、精製するかまたは部分的に精製する。好ましくは、融合タンパク質を、親和性精製、好ましくは親和性クロマトグラフィーまたは親和性沈殿により精製または部分的に精製する(特に工程(b)と工程(c)の間)。
本発明をNproテクノロジーを用いて行う。このテクノロジーは、例えばWO01/11057A、WO01/11056A、WO2006/113957A、WO2006/113958A、WO2006/113959A、Cheng et al., Amino Acids 39 (5) (2010): 1545-1552; Duerauer et al., Sep. Sci. Technol. 45 (2010): 2194-2209; Schmoeger et al., J. Chromatog. 1217 (2010): 5950-5956; Hahn et al., J. Chromatog. 1217 (2010): 6203-6213; およびAchmueller et al., Nat. Meth. 4 (2007), 1037-1043に開示されている。一般論として、Nproテクノロジーは、(i)融合タンパク質をコードする核酸分子を含む発現ベクターで形質転換された細菌宿主細胞を培養し、該融合タンパク質はペスチウイルスのオートプロテアーゼNproの自己タンパク分解性機能を示す第一ポリペプチド、および第一ポリペプチドのオートプロテオリティック活性により融合タンパク質から開裂できるように第一ポリペプチドのC末端で第一ポリペプチドと結合した第二ポリペプチドを含み、該第二ポリペプチドは目的異種タンパク質であり、ここで、培養を、融合タンパク質の発現と対応する細胞質封入体の形成をもたらす条件下で行い、(ii)宿主細胞から封入体を単離し、(iii)単離した封入体を可溶化し、(iv)ソルビリゼートを希釈して反応溶液を得て、その中で目的異種タンパク質の融合タンパク質からのオートプロテオリティック開裂を実施し、そして(v)開裂した目的異種タンパク質を単離する(“取得”)ことを含む、目的異種タンパク質の組み換え製造方法に関する。
このテクノロジーは、広汎な目的タンパク質に適する。本発明の目的で、用語“異種タンパク質”、“標的タンパク質”、“目的ポリペプチド”または“目的タンパク質”(など)は、天然に存在する融合タンパク質またはポリタンパク質からペスチウイルスのオートプロテアーゼNproにより天然には開裂されない、ポリペプチドを意味する(すなわち、構造タンパク質Cおよび後続のウイルスタンパク質をコードするペスチウイルスポリタンパク質のアミノ酸169以降に本来従う以外のポリペプチド)。このような目的異種タンパク質の例は、産業的酵素(加工用酵素)または医薬、特にヒト医薬活性を有するポリペプチドである。
その自己触媒的開裂により、医薬的利用のために特に重要である、真正なN末端を有するタンパク質の合成が可能となる。さらに、大きなタンパク質(“目的タンパク質”)のみならず、小さなペプチドも、NproへのC末端結合により安定に発現できる。高発現率により、融合タンパク質が封入体となる。精製後、Nproは再折りたたみされ、それ自体開裂される。
本発明により製造する目的タンパク質は、Nproオートプロテアーゼの168位のCys後のC末端側に結合することが必須であり、これは、当該位置が本発明によって工程(c)で開裂されるNpro部分のC末端(Cys168位)と目的タンパク質の間のペプチド結合である開裂部位であるためである。
ヒト医薬活性を有する好ましい目的タンパク質の例は、サイトカイン、例えばインターロイキン、例えばIL−6、インターフェロン、例えば白血球インターフェロン、例えばインターフェロンa2B、増殖因子、特に造血性または創傷治癒増殖因子、例えばG−CSF、エリスロポエチンまたはIGF、ホルモン、例えばヒト成長ホルモン(hGH)、抗体またはワクチンである。また、5〜30個のアミノ酸残基しか含まない極めて短いポリペプチドを、本テクノロジーにより目的タンパク質として製造できる。Nproテクノロジーは、縮合したオートプロテアーゼの強凝集傾向が、融合パートナーとほぼ無関係に不活性封入体の形成を促進するために、発現系における封入体の利用という特別な利点を有する。従って、ほぼ全ての目的タンパク質を、本系を用いて、大量に、かつ高収率で製造可能である。合成インターフェロン−a1;毒性ジャイレース阻害因子CcdB、pep6Hisと呼ばれる短16残基モデルペプチド(SVDKLAAALEHHHHHH(配列番号3))、ヒトプロインスリン、ブドウ球菌プロテインAの合成二重ドメインD(sSpA-D2)、ケラチン関連タンパク質10−4(KRTAP10−4)、合成緑色蛍光タンパク質バリアント(sGFPmut3.1)、N末端システインを有する老化回避因子の合成阻害性ペプチド(C-sSNEVi)、C末端システインを有する無作為アミノ酸配列を有する老化回避因子の合成阻害性ペプチド(sSNEVscr-C);組み換えヒト単球化学誘引物質タンパク質1(rhMCP-1)の発現に関する報告が、例えば入手可能である。今日まで、高収率が唯一制限されるのは、タンパク質折りたたみの支持について同等な特性を有するシャペロンとタンパク質であることが疑われている。融合パートナーとしてのこのようなタンパク質はNpro分子の凝集傾向を抑制し、少ない凝集のために低収率となる。それにも係わらず、本テクノロジーは、凝集を中和するこのようなタンパク質の発現にさえ適用できる。
本発明の融合タンパク質は、さらに補助的配列、例えば親和性タグまたは再折りたたみ補助成分を含むことができ、また1個を超える目的タンパク質を含んでもよい(例えば2個または3個または5個またはそれ以上の目的タンパク質を含んでよく、これらは、Nproオートプロテアーゼによる開裂として、後の工程でまたは同時さえ、互いに分離され得る)。
他の面によって、本発明はまた、野生型Nproまたは他の既知Nproバリアント、例えばWO2006/113957Aに記載のEDDIEバリアントと比較して改善されたカオトロピック特性を有する、Nproオートプロテアーゼ部分(単離された形態または目的タンパク質と併存する融合ポリペプチドの形態)にも関する。本発明で提供するNpro部分は、ベータ凝集の傾向が異常に高い。これは、(UniProt Database accession no. Q5L4B1)の“HoBi”で判明している。ベータ凝集のこの高い傾向は、これらのオートプロテアーゼの特異的特性、すなわち高カオトロピック条件での高生産性および再生と相関する。本発明を用いて、酵素活性と両立する天然に存在するNproバリアントにおける疎水性パッチが提供される。元のHoBiスキャフォールドにこのような疎水性パッチを組み合わせることにより、発現、封入体形成および再生中のベータ凝集に関する特性が改善された新規活性Nproバリアントが提供される。これらのNproバリアントは、従って組み換え発現に特に適する。HoBiタンパク質配列(配列番号2)における次のアミノ酸の単独または組み合わせでの交換により、本発明の新規分子が提供される。
N28をV、LまたはIで;A30をTで;T39をVまたはIで;L81をVで、F82をYで、V83をIで、K84をEで、P85をLで、P87をAで、V88をIで、Q91をKで;S94をI、LまたはVで;Q105をLで;P110をVで;N127をKで、M131をIで、T135をVで、V141をLで交換。本発明のNproバリアントの好ましい態様では、少なくとも2個のこのような交換が存在し、より好ましい、少なくとも3個の交換、特に少なくとも4個の交換が存在する。
これらのアミノ酸交換は、最適化HoBi−Nproのベータ凝集傾向に顕著に影響し、全てのこれらの交換は、当該交換が酵素活性のNproバリアントに見出されていたため、ペスチウイルス種の進化の間耐性であった。
従って、本発明は、配列番号2と比較して少なくとも1個のアミノ酸交換を含む配列を有するNproオートプロテアーゼ部分を提供し、ここで、該アミノ酸交換は、N28をV、LまたはIで、A30をTで、T39をVまたはIで、L81をVで、F82をYで、V83をIで、K84をEで、P85をLで、P87をAで、V88をIで、Q91をKで、S94をI、LまたはVで、Q105をLで、P110をVで、N127をKで、M131をIで、T135をVで、およびV141をLでそれぞれ交換する群から選択される。
本発明のNproオートプロテアーゼ部分は、N28をV、LまたはIで、A30をTで、T39をVまたはIで、L81をVで、F82をYで、V83をIで、K84をEで、P85をLで、P87をAで、V88をIで、Q91をKで、S94をI、LまたはVで、Q105をLで、P110をVで,N127をKで、M131をIで、T135をVで、V141をLでそれぞれ交換する群から選択される少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、特に少なくとも4個のアミノ酸交換を含み得る。
好ましくは、配列番号2のアミノ酸2〜21を欠失させる。これは、タンパク質発現系のさらなる改善を可能にする。
本発明のNproオートプロテアーゼ部分における他の好ましい交換は、配列番号2のA166のTへの交換である。
本Nproオートプロテアーゼ部分(配列番号2に従うNproオートプロテアーゼ部分を含む)は、タンパク質の組み換え発現のために特に有用である。
本発明はまた、目的組み換えタンパク質および本発明のNproオートプロテアーゼ部分(配列番号2に従うNproオートプロテアーゼ部分を含む)を含む融合タンパク質にも関する。本発明はまた、このようなNproオートプロテアーゼ部分または融合タンパク質をコードする配列を含む核酸分子、特に組み換え発現のための発現ベクター(例えば適切なプロモータ、マーカー遺伝子(耐性マーカーなど)などを伴う)に関する。
上記教示に一致して、本発明は、特に配列番号1または2からなる群から選択される配列を有するNproオートプロテアーゼ部分(Δ21Npro(HoBi)またはNpro(HoBi))を提供する。他方で、また既知Nproオートプロテアーゼ配列、例えばペスチウイルス株D32/00_HoBiのN末端プロテアーゼ(GenBank Accession No. AAS68353.1)を提供できる。
好ましい態様によると、本発明は、高カオトロピック条件でオートプロテオリティック活性を示し、オートプロテアーゼと標的タンパク質の特に効率的な個々の再折りたたみを可能にする、C末端に天然に存在する“ASC”モチーフ(配列番号2;“Npro(HoBi)”とも呼ぶ)の代わりに、とりわけ“TSC”モチーフを有する、ペスチウイルスNproオートプロテアーゼのバリアントD32/00_“HoBi”(配列番号1)を使用する、厳密に定義されたN末端を有する組み換えタンパク質の製造に関する(全分子が同一N末端を有するタンパク質生産物を意味する;大腸菌における標準的タンパク質製造は、一部N末端にN−ホルミル基を有するタンパク質ならびにN末端メチオニンを欠くタンパク質をもたらす)。
本発明はまた、配列番号1および2によるNproオートプロテアーゼを含む融合タンパク質をコードする、発現ベクターにも関する。本発明の方法において用いる発現ベクターにおいて、融合ポリペプチドは、少なくとも1個の発現制御配列と操作可能に結合している。発現制御配列は、特に、プロモータ(例えばlac、tac、T3、T7、trp、gac、vhb、ラムダpLまたはphoAプロモータ)、リボソーム結合部位(例えば上記プロモータに属する天然リボソーム結合部位、croまたは合成リボソーム結合部位)または転写ターミネータ(例えばrrnB T1T2またはbla)である。
ベクターはまた、融合ポリペプチドのN末端側末端に存在し、親和性クロマトグラフィー系での結合に必要な、例えばポリリシンのようなポリアミノ酸または免疫親和性クロマトグラフィーでの結合に必要な、いわゆる“エピトープタグ”であり、通常特定の抗体が利用可能な短ペプチド配列である、下記融合ドメインをコードする配列も含み得る。特異的モノクローナル抗体がすぐに利用できる周知のエピトープタグは、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)およびc−mycタグを含む。
好ましい本発明の態様において、発現ベクターはプラスミドである。
本発明の他の面は、本発明の発現ベクターを含む宿主細胞、好ましくは原核宿主細胞、特に大腸菌宿主細胞に関する。形質転換細菌宿主細胞、すなわち発現株を、それ自体既知の微生物取扱技術により培養する。宿主株は、一般に栄養培地で単コロニーから出発して増殖させるが、凍結保存細胞懸濁液(細胞バンク)を用いることも可能である。株を、一般に、さらなる使用に十分なバイオマスを得るために多段階法で培養する。
小規模では、これを振盪フラスコで実施でき、ほとんどの場合複合培地(例えばLBブロス)を用いることが可能である。しかしながら、限定培地(例えばクエン酸培地)の使用も可能である。好ましい本発明の態様において、発現された融合ポリペプチドが不溶性封入体の形態であることが意図されるため、これらの場合の培養は比較的高い温度(例えば30℃または37℃)で行う。誘導系(inducible systems)は、封入体の製造に特に適する(例えばtrp、lac、tacまたはphoAプロモータを用いる)。
大規模では、多段階系は複数のバイオリアクタ(発酵槽)からなり、限定栄養培地を用いることが好ましい。さらに、特別な栄養素を計量添加することにより(フェッドバッチ)、バイオマスおよび生産物形成を向上させる可能性が大きい。その他の面で、本方法は振盪フラスコ法に準ずる。本発明の方法において、封入体を、それ自体既知の方法で宿主細胞から単離する。例えば、発酵が終了した後に、宿主細胞を遠心分離、マイクロ濾過法、凝結またはこれらの組み合わせ、好ましくは遠心分離により取得する。湿細胞塊を機械的、化学的または物理的手段、例えば高圧ホモジナイザー、ビーズミル、フレンチプレス、ヒューズプレス(Hughes press)、浸透圧性ショック、界面活性剤、酵素溶解またはこれらの組み合わせにより破砕する。好ましくは、細胞の破砕を高圧均質化により行う。組み換え融合ポリペプチドが封入体として堆積する好ましい態様において、封入体を、例えば高圧分散または好ましくは、低速回転での単純な遠心分離の手段により得ることができる。封入体を、遠心分離またはマイクロ濾過法またはこれらの組み合わせにより分離する。次いで、所望の目的ポリペプチドについての純度を、種々の緩衝液、例えばNaCl(例えば0.5〜1.0M)および/または界面活性剤(例えばTriton X 100)の存在下、封入体の複数再懸濁により向上できる。好ましくは、封入体製品の純度を、種々の緩衝液での数回の洗浄工程(例えば0.5%デオキシコール酸、続いて1M NaCl溶液で2回、最後に蒸留水)により向上させる。これにより、通常封入体から不純物ポリペプチドが大部分除去される。
本発明を、次の実施例および図面によりさらに説明するが、これらに限定されるものではない。
2.5M尿素を含む5種の異なる再折りたたみ緩衝液におけるΔ21Npro(HoBi)−pep6Hisの再折りたたみのSDS−PAGE。100μl再折りたたみバッチ(c=200μg/ml)を20,000×gで遠心分離した。上清をTCAにより沈殿させた。ペレットおよび上清を10μl 1×Magic Mixサンプル緩衝液に再懸濁し、NuPAGE(登録商標)Bis-Tris4〜12%ゲルに載せた。対照として、同量の封入体を沈殿させ、分析した。M=PageRulerTM Prestained Protein Ladder、P=ペレット、S=上清、co=対照、b=緩衝液。PAGEサンプルにおけるタンパク質量:PおよびS合わせて20μg。
2.5M尿素の存在下の5種の異なる緩衝液中のD21Npro(HoBi)−pep6Hisの再折りたたみ効率。ゲルをAlphaDigiDoc 1200装置を使用して走査し、バンド強度を光学密度測定により決定した。
尿素濃度の4.5Mまでの増加を伴う、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロールを中のΔ21Npro(HoBi)−pep6Hisの再折りたたみ。100μl再折りたたみバッチ(c=200μg/ml)を20,000×gで遠心分離した。上清をTCAにより沈殿させた。ペレットおよび上清を10μl 1×Magic Mixサンプル緩衝液に再懸濁し、NuPAGE(登録商標)Bis-Tris4〜12%ゲルに載せた。対照として、同量の封入体を沈殿させ、分析した。M=PageRulerTM Prestained Protein Ladder、P=ペレット、S=上清、co=対照。PAGEサンプルにおけるタンパク質量:PおよびS合わせて20μg。
尿素濃度の4.5Mまでの増加を伴う、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロールにおけるΔ21Npro(HoBi)−pep6Hisの再折りたたみ効率。ゲルをAlphaDigiDoc 1200装置を使用して写真を撮り、バンド強度を光学密度測定により決定した。
3M(A)、3.5M(B)および4M(C)尿素を含む500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中のΔ21Npro(HoBi)−pep6Hisの再折りたたみ。各時点で100μlサンプルを再折りたたみバッチ(c=200μg/ml)から抽出し、TCAにより沈殿させた。10μl 1×Magic Mixサンプル緩衝液に再懸濁後、サンプルをNuPAGE(登録商標)Bis-Tris4〜12%ゲルに載せた。M=PageRulerTM Prestained Protein Ladder、P=ペレット、S=上清、co=対照、b=緩衝液。各PAGEサンプルにおけるタンパク質量:10μg(AおよびC)および5μg(B)。
3M、3.5Mおよび4M尿素存在下の、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロールにおけるΔ21Npro(HoBi)−pep6Hisの再折りたたみ動態の決定。ゲルをAlphaDigiDoc 1200装置を使用して写真を撮り、バンド強度を光学密度測定により決定した。
2.5M尿素を含む5種の異なる再折りたたみ緩衝液におけるΔ21Npro(HoBi)−SDD−diUbi−pep6Hisの再折りたたみのSDS−PAGE。100μl再折りたたみバッチ(c=200μg/ml)を20,000×gで遠心分離した。上清をTCAにより沈殿させた。ペレットおよび上清を10μl 1×Magic Mixサンプル緩衝液に再懸濁し、NuPAGE(登録商標)Bis-Tris4〜12%ゲルに載せた。対照として、同量の封入体を沈殿させ、分析した。M=PageRulerTM Prestained Protein Ladder、P=ペレット、S=上清、co=対照、b=緩衝液。PAGEサンプルにおけるタンパク質量:PおよびS合わせて20μg。
尿素濃度の4.5Mまでの増加を伴う、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中のΔ21Npro(HoBi)−SDD−diUbi−pep6Hisの再折りたたみ。100μl再折りたたみバッチ(c=200μg/ml)を20,000×gで遠心分離した。上清をTCAにより沈殿させた。ペレットおよび上清を10μl 1×Magic Mixサンプル緩衝液に再懸濁し、NuPAGE(登録商標)Bis-Tris4〜12%ゲルに載せた。対照として、同量の封入体を沈殿させ、分析した。M=ageRulerTM Prestained Protein Ladder、P=ペレット、S=上清、co=対照。PAGEサンプルにおけるタンパク質量:PおよびS合わせて20μg。
D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)およびD21EDDIE−MCP−1(配列番号5)の発酵:バイオマス(DCW)の形成過程、融合タンパク質の力価および融合タンパク質におけるMCP−1(配列番号10)の力価。x軸は供給時間([時間])を表す;左y軸は力価([g/L])を表す;右y軸はDCW(乾燥細胞重量)([g/L])を表す;A:D21EDDIE−MCP−1(配列番号5)を産生する細胞のDCW;B:D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)を産生する細胞のDCW;C:D21EDDIE−MCP−1(配列番号5)の力価;D:D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)の力価;E:D21EDDIE−MCP−1(配列番号5)内のMCP−1の力価;F:D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)内のMCP−1の力価。
D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)およびD21EDDIE−MCP−1(配列番号5)の発酵:融合タンパク質の力価、融合タンパク内のMCP−1の力価質および特異的MCP−1の力価の比較;左y軸は力価([g/L])を表す;右y軸は特異的力価([mg/g DCW])を表す;EDDIEはD21EDDIE−MCP−1(配列番号5)を表す;HoBiはD21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)を表す;a:融合タンパク質の力価;b:融合タンパク質内のMCP−1の力価;c:特異的MCP−1の力価。
pro−融合タンパク質D21Npro(HoBi)−pep6His(配列番号6)、D21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)、D21EDDIE−pep6His(配列番号7)およびD21EDDIE−SOD−FLS(配列番号9)の発現:誘導3時間後の可溶性(S)および不溶性(IB)フラクションのSDS−PAGE(20μmol IPTG/g CDM)。レーン1:分子量マーカー;レーン2:D21Npro(HoBi)−pep6His(配列番号6)、S;レーン3:D21Npro(HoBi)−pep6His(配列番号6)、IB;レーン4:D21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)、S;レーン5:D21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)、IB;レーン6:D21EDDIE−SOD−FLS(配列番号9)、S;レーン7:D21EDDIE−SOD−FLS(配列番号9)、IB。
8M尿素で可溶化および残留尿素の濃度を増加させながらタンパク質濃度c=0.1mg/LでTris緩衝液中再折りたたみ後の、D21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)(A)およびD21EDDIE−SOD−FLS(配列番号9)(B)の再折りたたみおよび開裂動態。x軸は時間([分])を表す;y軸は開裂収率([%])を表す;A:0.4M尿素での開裂収率([%]);B:1M尿素での開裂収率([%]);C:2M尿素での開裂収率([%]);D:3M尿素での開裂収率([%])。
物質および方法
タンパク質発現
Δ21Npro(HoBi(配列番号1);(配列番号2)のアミノ酸2〜21の欠失)を、NdeIおよびSpeIを使用して標的タンパク質としてpep6HisならびにSDD−diUbi−pep6Hisを含むpET30aベクターnいクローン化した。ベクターをエレクトロポレーションすることにより大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、細胞を一夜、37℃で増殖させた。細胞を1:100に希釈し、OD600が0.5に達するまで37℃でインキュベートした。タンパク質発現を、1M IPTG(イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド)を最終濃度1mM IPTGまで添加することにより誘導し、4時間、37℃でインキュベートした。細胞を遠心分離により取得した。フレンチプレスを使用して溶解させた。封入体を、さらなる遠心分離操作により取得した。
Δ21 NPro(HoBi)オートプロテアーゼ部分(配列番号1)
MEPLYDKNGA VLFGEPSDTH PQSTLKLPHP RGEKEVIVGI RDLPRKGDCR TGNRLGPVSG LFVKPGPVFY QDYSGPVYHR APLEQFKQAP MCEVTKRIGR VTGSDGNLYH MYVCTDGCIL VKTAKREGQD VLKWVYNVLD SPIWVTSC
SVDKLAAALEHHHHHHモチーフ(配列番号3)はオートプロテアーゼ部分に結合させたモデルペプチドである。
Pro(HoBi)オートプロテアーゼ部分(配列番号2)
MELLNFELLY KTYKQKPAGV QEPLYDKNGA VLFGEPSDTH PQSTLKLPHP RGEKEVIVGI RDLPRKGDCR TGNRLGPVSG LFVKPGPVFY QDYSGPVYHR APLEQFKQAP MCEVTKRIGR VTGSDGNLYH MYVCTDGCIL VKTAKREGQD VLKWVYNVLD SPIWVASC
2.5M尿素存在下での種々の緩衝液中の再折りたたみ
封入体を8M尿素/50mM (NH)HPO pH7.5/10mM MTGに可溶化し、
a)緩衝液1:500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール
b)緩衝液2:1M Tris/HCl pH7.5、5%グリセロール
c)緩衝液13:300mM Arg/HCl、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH9.0、5%グリセロール
d)緩衝液17:100mM NaCl、100mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール
e)緩衝液19:150mM NaCl、50mM リン酸Na pH7.5、5%グリセロール
d)緩衝液23:150mM NaCl、20mM Tris/HCl pH7.5、5%グリセロール
中で再折りたたみした。
8M尿素/50mM (NH)HPO pH7.5を最終濃度2.5Mまで添加した。再折りたたみを、68時間、20℃の後、20,000×gでの遠心分離により停止させた。上清をTCAにより沈殿させた。ペレットおよび上清を、サンプル緩衝液中のさらなる再折りたたみを阻止するために8M尿素を含むゲル充填緩衝液に再懸濁し、Bis-Trisゲルを使用するゲル電気泳動により分析した。染色および脱染後、ゲルをAlphaDigiDoc 1200装置を使用して写真を撮り、バンド強度を光学密度測定により決定した。
種々の尿素濃度下の、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中の再折りたたみ
封入体を8M尿素/50mM (NH)HPO pH7.5/10mM MTG(メチルチオグリセロール)で可溶化し、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中で再折りたたみした。8M尿素/500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロールを、最終濃度2.5M、3M、3.5M、4Mおよび4.5M尿素まで再折りたたみバッチに添加した。44時間、20℃の後、再折りたたみを20,000×g、15分、室温の遠心分離により停止させ、サンプル緩衝液中のさらなる再折りたたみを阻止するために8M尿素を含むゲル充填緩衝液に再懸濁し、Bis-Trisゲルを使用するゲル電気泳動により分析した。染色および脱染後、ゲルをAlphaDigiDoc 1200装置を使用して写真を撮り、バンド強度を光学密度測定により決定した。
3つの異なる尿素濃度下の500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中の再折りたたみ動態の決定
封入体を8M尿素/500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール/10mM MTGに可溶化し、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中、20℃で再折りたたみした。8M尿素/500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロールを、最終濃度3M、3.5Mおよび4M尿素まで再折りたたみバッチに添加した。一定時間後(0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間および30時間)、サンプルを抽出し、TCA(トリクロロ酢酸)で沈殿させ、サンプル緩衝液中のさらなる再折りたたみを阻止するために8M尿素を含むゲル充填緩衝液に再懸濁した。サンプルをBis-Trisゲルに載せた。染色および脱染後、ゲルをAlphaDigiDoc 1200装置を使用して写真を撮り、バンド強度を光学密度測定により決定した。
実施例1:Δ21Npro(HoBi)−pep6His
2.5M尿素存在下の種々の緩衝液中の再折りたたみ
再折りたたみ試験により、Δ21Npro(HoBi)は2.5M尿素の存在下、全緩衝液中、種々の効率でpep6Hisを開裂できることが確認された(図1および図2)。
種々の尿素濃度下の500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中の再折りたたみ
SDS−PAGEは、Δ21Npro(HoBi)が4.5M尿素でpep6Hisを開裂できることを示した(図3)。図4のグラフは、種々の尿素濃度下のΔ21Npro(HoBi)−pep6Hisの溶解度および再折りたたみ効率を示す。尿素濃度が高いほど、再折りたたみ効率が低いと推測できる。
3つの異なる尿素濃度下の500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中の再折りたたみ動態の決定
図5は、3M、3.5Mおよび4M尿素での500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中のΔ21Npro(HoBi)−pep6Hisの再折りたたみ動態を示す。尿素濃度が高いほど、開裂反応が起こるのが遅い(図6)。
実施例2:Δ21Npro(HoBi)−SDD−diUbi−pep6His
2.5M尿素存在下の種々の緩衝液中の再折りたたみ
SDS−PAGEによるΔ21Npro(HoBi)−SDD−diUbi−pep6Hisの再折りたたみ行動の分析は、Δ21Npro(HoBi)が、2.5M尿素存在下、大部分の緩衝液(緩衝液2および緩衝液13以外)中、種々の効率で、SDD−diUbi−pep6Hisを開裂できることを示した(図7)。N末端配列決定は、約18kDの分子量でΔ21Npro(HoBi)−SDD−diUbi−pep6Hisの対照レーン中既に可視化されているバンドは、インビボ開裂Δ21Npro(HoBi)由来であることを決定した。再折りたたみ効率の決定は、SDD−diUbi−pep6Hisのかなりブロードなバンドのために、考慮しなかった。
種々の尿素濃度下の、500mM NaCl、20mM (NH)HPO pH7.5、5%グリセロール中の再折りたたみ
図8におけるSDS−PAGEは、Δ21Npro(HoBi)−SDD−diUbi−pep6Hisが4.5M尿素でなお開裂活性を示したことを示す。Δ21Npro(HoBi)−SDD−diUbi−pep6Hisの再折りたたみ効率は、標的タンパク質SDD−diUbi−pep6Hisのかなりブロードなバンドのために計算しなかったが、尿素濃度を上げると再折りたたみ効率が減少することを見ることができる。
実施例3:大腸菌を用いるフェッドバッチモードでのD21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)およびD21EDDIE−MCP−1(配列番号5)の発現
細菌株の産生および組み換えタンパク質の説明
分子量
MCP−1(配列番号10):8.7kD
D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4):25.2kD
D21EDDIE−MCP−1(配列番号5):25.3kD
配列
D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4):
MEPLYDKNGAVLFGEPSDTHPQSTLKLPHPRGEDEVEVGIRDLPRKGDCRTGNRLGPVSGLFVKPGPVFYQDYSGPVYHRAPLEQFKQTPMEETTKRIGRVTGSDGNLYHMYVETDGEILVKQAKREGQDVLKWTYNTLDSPIWVTSCQPDAINAPVTCCYNFTNRKISVQRLASYRRITSSKCPKEAVIFKTIVAKEICADPKQKWVQDSMDHLDKQTQTPKT
D21EDDIE−MCP−1(配列番号5):
MEPVYDTAGRPLFGNPSEVHPQSTLKLPHDRGEDDIETTLRDLPRKGDCRSGNHLGPVSGIYIKPGPVYYQDYTGPVYHRAPLEFFDETQFEETTKRIGRVTGSDGKLYHIYVEVDGEILLKQAKRGTPRTLKWTRNTTNCPLWVTSCQPDAINAPVTCCYNFTNRKISVQRLASYRRITSSKCPKEAVIFKTIVAKEICADPKQKWVQDSMDHLDKQTQTPKT
MCP−1(配列番号10):
QPDAINAPVTCCYNFTNRKISVQRLASYRRITSSKCPKEAVIFKTIVAKEICADPKQKWVQDSMDHLDKQTQTPKT
コドン最適化した目的遺伝子(GOI)を合成し(Geneart AG, Germany)、NdeI制限部位およびEcoRI制限部位ならびに2個のTAA停止コドンと共にGeneartプラスミドに入れた。得られたGOI DNAをNdeIおよびEcoRIで消化し、同じ酵素で制限されたpET30aベクター(Novagen, Merck Millipore)にライゲートした。
proフラグメントの発現のために大腸菌株BL21(DE3)を使用した。大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、一夜、37℃で増殖させた。
3個のクローンを選択し、ルリア・ベルターニ(LB)培地(Bertani, et al. 1951)に再懸濁し、光学密度(OD550nm)が0.2〜0.5になるまで37℃で増殖させ、全て別々にグリセロール・ストックとして凍結した。
発現評価のために、クローンスクリーニングを行った:LB培地にグリセロール・ストックを接種し、一夜、37℃で増殖させた。クローンスクリーニングのために、製造培養LB培地に種培養物をOD0.2で接種し、OD1まで増殖させた。続いて、1mM IPTG(イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド)を懸濁液に添加することによりタンパク質発現を誘発した。4時間、37℃でインキュベーション後、細胞ペレットを遠心分離により取得 し、−20℃で保存し、次のとおりSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)Page(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)により生産性を分析した。
− サンプル調製:BugBuster Extraction Reagent(Novagen-Merck)とLysonase Bioprocessing Reagent mix(Novagen-Merck)
− ゲル:NuPage 12%Bis-Tris、1.0mm(Invitrogen)
− サンプル緩衝液:NuPAGE LDS Sample Buffer(Invitrogen)
− 還元剤:2−メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich)
− ランニング緩衝液:NuPAGE MES SDS Running Buffer(Invitrogen)
− 検出:SimplyBlue SafeStain(Invitrogen)
培養モードおよびプロセス分析
前培養
ガラス振盪フラスコ中の300mL 前培養培地(培地組成は実施例4に記載のとおり)にグリセロール・ストックを接種し、光学密度(OD550nm)が1.25〜2.75に達するまで増殖させる。
主培養
細胞を標準的コントロールユニットを備えた7L(5L正味体積、3Lバッチ体積)コンピュータ制御バイオリアクタ(Sartorius Stedim Biotech AG, Germany)で増殖させた。バッチ媒体は、実施例4の“培地組成”に記載するとおりである。25%アンモニア溶液(Merck)の添加によりpHを6.8±0.2の設定値に維持し、温度を37℃±0.5℃に設定し、通気速度を5L/分に固定した。酸素制限を避けるために、溶存酸素レベルを攪拌速度および純粋酸素での富化により、飽和の20%上に維持した。排出空気中のOおよびCO含量を、光アコースティック・マルチガス分析計(Innova)により測定した。消泡剤懸濁液(PPG 2000, Dow)添加により、泡立ちを抑制した。接種のために30ml 前培養物を無菌的にバイオリアクタに移した。培養が定常期に入ったとき基質供給を開始した。指数関数的基質供給を用いるフェッドバッチレジメを使用して、8.5時間まで0.25h−1の一定増殖速度を維持し、その後供給を、実際の供給速度で定常モードに変えた。供給培地は実施例4の“培地組成”に記載する。
誘導
バイオリアクタへの直接の単一パルスにより、誘導を慣用のモードで行った。イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)の追加量を、完全誘導の系を得るために、プロセスの最終階で1mM IPTG濃度となるように計算した。
オフライン分析
光学密度(OD)を、550nmで、Spectronic Instruments, USAのGenesis 10 分光光度計により測定した。OD550nmは0.2〜0.6の範囲で測定した。0.6を超える吸光度で、サンプルをOD−緩衝液(20.7g/L NaHPO・12HO、5.7g/L KHPOおよび11.6g/L NaCl)で適宜希釈した。測定したOD−サンプルと同等な培養ブロス希釈液を濾過し(孔径0.2μm)、ブランク値を得た。
細菌乾燥体(乾燥細胞重量、DCW)を、細胞懸濁液10mlを遠心分離し、蒸留水で再懸濁液し、遠心分離し、再び再懸濁することにより決定した。次いで細胞乾燥重量を湿度分析計(Sartorius Stedim Biotech AG, Germany)を使用して決定した。
35g培養ブロスのサンプルを遠心分離した。上清を廃棄し、残留液体を除去し、バイオマスペレットの重量を決定した。
培養上清中のグルコースを、Glucose Analyzer YSI 2700 Select(Yellow Springs)で測定した。
組み換えタンパク質の含量を、次のとおり還元SDS Pageで決定する。
− サンプル調製:BugBuster Extraction Reagent(Novagen-Merck)とLysonase Bioprocessing Reagent mix(Novagen-Merck)
− ゲル:NuPage 12%Bis-Tris、1.0mm(Invitrogen)
− サンプル緩衝液:NuPAGE LDS Sample Buffer(Invitrogen)
− 還元剤:2−メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich)
− ランニング緩衝液:NuPAGE MES SDS Running Buffer(Invitrogen)
− 検出:SimplyBlue SafeStain(Invitrogen)
結果
D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)およびD21EDDIE−MCP−1(配列番号5)の両者の融合タンパク質は不溶性封入体(IB)として発現された(図9および10)
概要:
図9および10は、MCP−1(配列番号10)単独の力価が、D21EDDIE−MCP−1(配列番号5)と比較して、D21Npro(HoBi)−MCP−1(配列番号4)の発現により有意に増加することを明瞭に示す。体積(培養ブロス1リットルあたりのMCP−1のg)力価ならびに特異的(細胞乾燥重量、DCW1gあたりのMCP−1のmg)力価はそれぞれ1.5倍および1.4倍増加した。
実施例4:融合パートナーとしてpep6His(配列番号11)およびSOD−FLS(配列番号12)を用いる、EDDIE融合タンパク質と比較したNpro(HoBi)融合タンパク質の再折りたたみおよび開裂
細菌株産生および組み換えタンパク質の説明
実験を、Novagenから提供されたB−株BL21(DE3)を用いて行った。略称(DE3)は、宿主が、T7またはT7 lacプロモータを使用するタンパク質発現に適するように、lacUV5プロモータの制御下にT7 RNAポリメラーゼ遺伝子の染色体のコピーを担持するλDE3プロファージの溶原菌であることを示す(Studier and Moffat, 1986; Studier et al., 1990)。標的タンパク質発現を、NovagenのpET30aプラスミドで行った(pET System manual, 11th edition)。
D21Npro(HoBi)−pep6His(配列番号6)
MEPLYDKNGA VLFGEPSDTH PQSTLKLPHP RGEKEVIVGI RDLPRKGDCR TGNRLGPVSG LFVKPGPVFY QDYSGPVYHR APLEQFKQAP MCEVTKRIGR VTGSDGNLYH MYVCTDGCIL VKTAKREGQD VLKWVYNVLD SPIWVASCSV DKLAAALEHH HHHH
D21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)
MEPLYDKNGA VLFGEPSDTH PQSTLKLPHP RGEDEVEVGI RDLPRKGDCR TGNRLGPVSG LFVKPGPVFY QDYSGPVYHR APLEQFKQTP MEETTKRIGR VTGSDGNLYH MYVETDGEIL VKQAKREGQD VLKWTYNTLD SPIWVTSCSV MATKAVCVLK GDGPVQGIIN FEQKESNGPV KVWGSIKGLT EGLHGFHVHE FGDNTAGCTS AGPHFNPLSR KHGGPKDEER HVGDLGNVTA DKDGVADVSI EDSVISLSGD HCIIGRTLVV HEKADDLGKG GNEESTKTGN AGSRLACGVI GTAQVDDYKD DDDKGGGGSG GGGSWSHPQF EK
D21EDDIE−SOD−FLS(配列番号9)
MEPVYDTAGR PLFGNPSEVH PQSTLKLPHD RGEDDIETTL RDLPRKGDCR SGNHLGPVSG IYIKPGPVYY QDYTGPVYHR APLEFFDETQ FEETTKRIGR VTGSDGKLYH IYVEVDGEIL LKQAKRGTPR TLKWTRNTTN CPLWVTSCDT MATKAVCVLK GDGPVQGIIN FEQKESNGPV KVWGSIKGLT EGLHGFHVHE FGDNTAGCTS AGPHFNPLSR KHGGPKDEER HVGDLGNVTA DKDGVADVSI EDSVISLSGD HCIIGRTLVV HEKADDLGKG GNEESTKTGN AGSRLACGVI GTAQVDDYKD DDDKGGGGSG GGGSWSHPQF EK
D21EDDIE−pep6His(配列番号7)
MEPVYDTAGR PLFGNPSEVH PQSTLKLPHD RGEDDIETTL RDLPRKGDCR IYIKPGPVYY QDYTGPVYHR APLEFFDETQ FEETTKRIGR VTGSDGKLYH IYVEVDGEIL LKQAKRGTPR TLKWTRNTTN CPLWVTSCDT SVDKLAAALE HHHHHH
Pep6His(配列番号11)
SV DKLAAALEHH HHHH
SOD−FLS(配列番号12)
SV MATKAVCVLK GDGPVQGIIN FEQKESNGPV KVWGSIKGLT EGLHGFHVHE FGDNTAGCTS AGPHFNPLSR KHGGPKDEER HVGDLGNVTA DKDGVADVSI EDSVISLSGD HCIIGRTLVV HEKADDLGKG GNEESTKTGN AGSRLACGVI GTAQVDDYKD DDDKGGGGSG GGGSWSHPQF EK
培養モードおよびプロセス分析
細胞を、標準的コントロールユニットを備えた10L(5L作業体積)コンピュータ制御バイオリアクタ(MBR;Wetzikon, CH)で増殖させた。25%アンモニア溶液(ACROS Organics)の添加によりpHを7.0±0.05の設定値に維持し、温度を37℃±0.5℃に設定した。酸素制限を避けるために、溶存酸素レベルを攪拌速度および通気速度制御により、飽和の30%上に固定した。排出空気中のOおよびCO含量を、Hartmann and Braun Advanced Optimaガス分析器で測定した。誘電能および伝導率を、バイオマスモニタ、モデル214M(Aber Instruments, Aberystwyth, UK)セットで測定した。消泡剤懸濁液(PPG2000, Bussetti, Vienna)を0.5ml/l供給媒体の濃度で添加することにより、泡立ちを抑制した。接種のために、極低温で凍結させた(−80℃)作業細胞バンクバイアルを解凍し、1ml(光学密度OD600=1)をバイオリアクタに無菌的に移した。4.0Lバッチ媒体中7.5gの細菌乾燥物質間で増殖させた培養が定常期に入ったとき、基質供給を開始する。指数関数的基質供給を用いるフェッドバッチレジメを使用して、2回の倍加時間の間0.2h−1の一定増殖速度を維持した。指数関数的増殖アルゴリズム、x=x.eμtに従い、基質タンクの重量減少のフィードバックコントロールを重ねて、基質供給をポンプの速度調節により制御した(Cserjan-Puschmann et al., 1999)。供給培地は、129gの細菌乾燥物質を得るのに十分な成分を提供した。
誘導
バイオリアクタへの直接の単一パルスにより、誘導を慣用のモードで行った。IPTGの追加量を、完全に誘導された系を得るために、プロセスの最終段階で20μmol IPTG/g CDMの濃度となるように計算した。
培地組成
本実験で使用した最少培地は、1リットルあたり3g KHPOおよび6g KHPO・3HOを含んだ。これらの濃度は必要な緩衝能を与え、同時にPおよびK源として働く。グラム細菌乾燥物質の製造に関して、他の成分を添加した:クエン酸ナトリウム(三ナトリウム塩・2HO;ACROS Organics) 0.25g、MgSO・7HO 0.10g、CaCl・2HO 0.02g、微量元素溶液50μlおよびグルコース・HO 3g。生物の初期増殖を加速するために、複合成分酵母抽出物0.15gを最少培地に添加して、バッチ媒体を得た。供給相について、1Lの最少培地を、供給相において製造すべき生物学的乾燥物質129gの量に従い調製し、それによってP−塩を1リットルあたり再び添加した。微量元素溶液:5N HCl(g/L)中の調製:FeSO・7HO 40.0、MnSO・HO 10.0、AlCl・6HO 10.0、CoCl(Fluka) 4.0、ZnSO・7HO 2.0、NaMoO・2HO 2.0、CuCl・2HO 1.0、HBO 0.50。
オフライン分析
600nmで光学密度(OD)を測定した。細菌乾燥物質を、細胞懸濁液10mlを遠心分離し、蒸留水で再懸濁液し、遠心分離し、予め秤量したビーカーに移すために再懸濁し、次いでこれを105℃で24時間乾燥し、再秤量した。
細菌増殖の進行をバイオマスの総量から算定した(総細菌乾燥物質BDM;細胞乾燥重量CDWともいう)。
図11に示す発現された融合タンパク質の定量を、参照の線形回帰曲線の手段により、SDS−PAGEで実施した。従って、可溶化IBのサンプルを、較正範囲内に希釈し、バンドのタンパク質含量を光学密度測定によりImageQuantTL Softwareで決定した。
表2に記載した発現系を使用して、融合パートナーとしてpep6His(配列番号11)およびSOD−FLS(配列番号12)を含むD21Npro(Hobi)およびD21EDDIEの融合タンパク質を産生し、種々の再折りたたみ条件下での2種のオートプロテアーゼバリアントの開裂特性を比較した。誘導を、完全に誘導された系を得るために、供給開始以降1回倍増させて、単一パルスとして行う。
Cserjan-Puschmann, M.; Kramer, W.; Duerrschmid, E.; Striedner, G.; Bayer, K. Metabolic approaches for the optimisation of recombinant fermentation processes. Appl. Microbiol. Biotechnol, 1999, 53, 43-50.
Studier, F.W., and Moffatt, B.A. Use of the bacteriophage T7 RNA polymerase to direct selective high-level expression of cloned genes. J. Mol. Biol., 1986, 189, 113-130.
Studier, F.W.; Rosenberg, A.L.; Dunn, J.J.; Dubendorff, J.W. Use of T7 RNA polymerase to direct expression of cloned genes. Meth. Enzym., 1990, 185, 60-89.
封入体(IB)の製造
上記タンパク質のIBを、先行文献に従って取得した(Walter et al., 2013)。湿細胞ペーストを分離板型遠心沈降機(Pathfinder PSC 1-06-177; GEA GEA Westfalia Separator Group, Oelde, Germany)を使用して取得し、ultra turrax(IKA, Staufen, Germany)を使用してpH8.0の50mM Tris、50mM NaCl、および0.02%Tweenに再懸濁して、30g/Lの乾燥物質濃度を得た。スラリーをPanda 2Kホモジナイザー(GEA Niro Soavi S.p.A., Italy)を1000バール圧で2回通した。IBを分離板型遠心沈降機を使用して分離し、得られたペレットをpH8.0の20mM Tris、0.5M NaCl、および0.02%Tweenで2回洗浄した。遠心分離後、ペレットをultra turraxを使用して再懸濁し、0.5M NaClで1回洗浄した。各洗浄工程後、IBを分離板型遠心沈降機を使用して分離した。最終ペレットを水に再懸濁して40%IB懸濁液を得て、−20℃で保存した。実験前、IBを凍結乾燥し、4℃で保存した。
C. Walther, S. Mayer, A. Trefilov, G. Sekot, R. Hahn, A. Jungbauer, A. Duerauer, (2013): Prediciton of Inclusion Body Solubilzation From Shaken to Stirred Reactors, Biotechnology & Bioengineering, 111: 84-94
封入体(IB)の可溶化
IBの可溶化を、先行文献に従って実施した(Walther et al., 2013)。IBタンパク質の可溶化のために、凍結乾燥したIBを水に1時間再懸濁した。IB懸濁液を、対応する可溶化緩衝液中1:10比で溶解した。緩衝液成分の濃度を、8Mまたは4Mの尿素濃度および5M GuHClがそれぞれ得られるように、IB懸濁液の希釈倍数を考慮して調節した。さらに、可溶化緩衝液は、最終濃度50mM Trisおよび100mM MTGをpH7.3で含んだ。2時間後、反応器中の可溶化を、13,200rpmで21℃で5分(Centrifuge 5415R, Eppendorf, Germany)、続く0.22μmフィルタ(Millipore, Billerica, MA, USA)での濾過により停止させた。
C. Walther, S. Mayer, A. Trefilov, G. Sekot, R. Hahn, A. Jungbauer, A. Duerauer, (2013): Prediciton of Inclusion Body Solubilization From Shaken to Stirred Reactors, Biotechnology & Bioengineering, 111: 84-94
再折りたたみおよび開裂
再折りたたみを、可溶化IBを、全ての実験についてカオトロープの残留濃度を一定に保ち、タンパク質濃度を変えながら、またはその反対も行いながら、再折りたたみ緩衝液に急速に、1:20比に希釈することにより実施した。再折りたたみ緩衝液として、表4に挙げる2組成物を使用した。
開裂収率[%]の決定
開裂収率の分析を、先行文献に従って実施した(Walther et al., 2013)。開裂収率を、再折りたたみサンプルの一定量を、RP−HPLCにより経時的に再生プロセスの間分析することにより決定した。融合タンパク質の開裂標的およびオートプロテアーゼからの分離により、初期の全体的融合タンパク質と比較した開裂標的/オートプロテアーゼの増加による開裂収率の計算が可能となった。
RP−HPLCをTSKgel Super-Octylカラム(4.6×50/100mm、2μm、110Å)(Tosoh Bioscience, Germany)を使用して行った。緩衝液系は、緩衝液Aとして0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)の水溶液および緩衝液Bとして0.1%(v/v)TFAのアセトニトリル溶液からなった。可溶化および再折りたたみサンプルを直接注入した。分析する各融合タンパク質について最適化した種々の勾配を使用して、溶出を行った。検出を214nmおよび280nmの2波長で行い、タンパク質と緩衝液構成要素を区別した。全融合タンパク質について検量線を確立して、溶液中のタンパク質を定量した。
C. Walther, S. Mayer, A. Trefilov, G. Sekot, R. Hahn, A. Jungbauer, A. Duerauer, (2013): Prediciton of Inclusion Body Solubilzation From Shaken to Stirred Reactors, Biotechnology & Bioengineering, 111: 84-94
結果
種々の尿素濃度での、D21EDDIE−SOD−FLS(配列番号9)と比較したD21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)の開裂動態:
IBを8M尿素に可溶化し、存在する尿素の濃度を増加させながら、TrisおよびAmPhの2種の異なる再折りたたみ緩衝液中で再折りたたみした。タンパク質濃度は全実験で同一であり、すなわちc=0.1mg/mLであった。
図12は、Tris緩衝液中で再折りたたみしたとき、開裂動態および収率がD21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)が優れていることを示す。Am−Ph中で再折りたたみしたとき、24時間後の開裂収率は、D21Npro(HoBi)−SOD−FLS(配列番号8)が優れていた(表5)。
種々の尿素濃度でのD21EDDIE−pep6His(配列番号7)と比較したD21Npro(HoBi)−pep6His(配列番号6)の開裂収率:
IBを8M尿素または5M GuHClに可溶化し、存在する尿素またはGuHClの濃度を増加させながら、TrisおよびAmPhの2種の異なる再折りたたみ緩衝液中で再折りたたみした。タンパク質濃度は全実験で同一であり、すなわちc=0.1mg/mLであった。
n.d.=未検
概要:
増加させた濃度のカオトロープ中のD21Npro(HoBi)オートプロテアーゼ活性は、両方の目的タンパク質(pep6His、配列番号11およびSOD−FLS、配列番号12)で、そして、種々の再折りたたみ緩衝液(図12、表5および表6)中で、D21EDDIEオートプロテアーゼと比較して優れていた。

Claims (36)

  1. 次の工程
    (a) 封入体中にNproオートプロテアーゼ部分および目的タンパク質部分を含む融合タンパク質を提供し、
    (b) 封入体を可溶化させ、
    (c) 融合タンパク質をカオトロピック条件下にNproオートプロテアーゼ部分により開裂させ、ここで、該カオトロピック条件は2〜5Mの尿素濃度に対応し、目的組み換えタンパク質は融合タンパク質から開裂され、そして該目的組み換えタンパク質はまだ再生されていないか同時に再生されており、そして
    (d) 目的タンパク質を取得する
    により特徴付けられる、目的組み換えタンパク質の製造方法であって、
    該Nproオートプロテアーゼ部分が配列番号1の配列を有する、方法。
  2. 工程(d)が目的タンパク質の再生工程を含む、請求項記載の方法。
  3. 封入体を組み換え製造系で製造することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 封入体を原核宿主細胞において製造することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. 封入体を大腸菌宿主細胞において製造することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  6. 工程(b)における条件が5Mを超える尿素濃度に対応することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  7. 工程(b)における条件が6Mを超える尿素濃度に対応することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  8. 工程(b)における条件が7.5Mを超える尿素濃度に対応することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  9. 工程(c)におけるカオトロピック条件が2〜4Mの尿素濃度に対応することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  10. proオートプロテアーゼ部分が2.5M尿素で少なくとも20%の開裂率を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  11. proオートプロテアーゼ部分が2.5M尿素で少なくとも30%の開裂率を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. proオートプロテアーゼ部分が2.5M尿素で少なくとも40%の開裂率を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 目的タンパク質がヒトにおける治療用のタンパク質であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 目的タンパク質がヒト組み換えタンパク質またはワクチン抗原であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 工程(b)および/または工程(c)を5〜11のpHで実施することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 工程(b)および/または工程(c)を6〜9.5のpHで実施することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 工程(b)および/または工程(c)を6.5〜8.5のpHで実施することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 工程(b)を塩基性条件下に実施することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 工程(b)をNaOHまたはKOHの存在下に実施することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 工程(b)を5mMを超えるNaOHまたはKOHの存在下に実施することを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 工程(b)を25mMを超えるNaOHまたはKOHの存在下に実施することを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
  22. 工程(b)を50mMを超えるNaOHまたはKOHの存在下に実施することを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. 工程(b)を100mMを超えるNaOHまたはKOHの存在下に実施することを特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 目的タンパク質の再生工程を目的タンパク質の取得後に行うことを特徴とする、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  25. 融合タンパク質がさらなる部分を含むことを特徴とする、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 融合タンパク質が親和性タグまたは再折りたたみ補助部分を含むことを特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 融合タンパク質がHisタグ、SlyD、正架電または負架電部分からなるオリゴアミノ酸ストレッチ、Strepタグおよび/または、FLAGタグを含むことを特徴とする、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
  28. 融合タンパク質を工程(b)と工程(c)の間に精製するまたは部分的に精製することを特徴とする、請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 融合タンパク質を工程(b)と工程(c)の間に親和性精製により精製するまたは部分的に精製することを特徴とする、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. 融合タンパク質を工程(b)と工程(c)の間に親和性クロマトグラフィーまたは親和性沈澱により精製するまたは部分的に精製することを特徴とする、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 工程(b)においてグアニジニウム塩酸塩濃度が2.5Mを超えることを特徴とする、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 工程(b)においてグアニジニウム塩酸塩濃度が3Mを超えることを特徴とする、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
  33. 工程(b)においてグアニジニウム塩酸塩濃度が3.75Mを超えることを特徴とする、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
  34. 工程(c)においてグアニジニウム塩酸塩濃度が0.7〜2.5Mであることを特徴とする、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
  35. 工程(c)においてグアニジニウム塩酸塩濃度が1〜2.5Mであることを特徴とする、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
  36. 工程(c)においてグアニジニウム塩酸塩濃度が1〜2Mであることを特徴とする、請求項1〜35のいずれかに記載の方法。
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