JP6284220B2 - 表面弾性波センサおよび表面弾性波センサ装置 - Google Patents

表面弾性波センサおよび表面弾性波センサ装置 Download PDF

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Description

本発明は、表面弾性波センサおよび表面弾性波センサ装置に関する。
生体分子間の相互作用を測定するために、表面弾性波素子が利用されている。例えば、特許文献1、2、非特許文献1では、弾性波素子として、波の進行方向に垂直で基板に平行な横波成分を有するSH波タイプの波を利用したラブ波デバイス、SH−SAWデバイス、STWデバイス等が提案されている。一方、表面弾性波素子の中でも、レイリー波デバイスは、深さ方向の変位をもつ横波のほかに波動伝播方向に変位をもつ縦波が励振され、表面を除いた基板内を等方的に広がりながら伝搬していく。図10に示すように、レイリー波デバイス10aでは、レイリー波3伝搬面上に液体7aが負荷された場合、レイリー波3は液体中に縦波3aを放射してしまう。このため、レイリー波デバイスは、液体センサーの測定系としては使用できないとされている。
上記のように、レイリー波は、伝搬面上に液体が負荷されると液体中に縦波を放射しながら伝搬する。放射しながら伝搬する表面波を一般的に漏洩表面弾性波と呼ぶ。伝搬面上に負荷された液体が少量の場合、漏洩表面弾性波により、その液体が流れたり、攪拌、飛翔したりする現象が報告されている。このような現象はSAWストリーミングと呼ばれている。
SAWストリーミング現象を利用したものとして特許文献3、4が挙げられる。特許文献3には、レイリー波を利用し、SAWストリーミング現象を発生させ液滴を励振させた後、レーザーによる液滴の自由振動の振動数と減衰率測定をおこなう測定方法が提案されている。また、特許文献4には、レイリー波を利用し、SAWストリーミング現象を発生させ溶液と被検出物を攪拌しながら、ラブ波又はSH波で被検出物の特性を測定する測定方法が提案されている。しかし、レイリー波自体で溶液の特性を測定した事例は報告されていない。
特開2006−3267号公報 特開2006−38584号公報 特開平11−153582号公報 特開2005−351799号公報
弾性波デバイス技術,株式会社オーム社,P405−407,平成16年8月20日 第1版第1刷発行,編者 日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会
特許文献3のレーザー用いて測定を行う装置では、半導体レーザーを用いた光学系の設計が必要となる。また、特許文献4で提案されているSH−SAWを測定系とした装置では、励起する発振器と電気特性を測定するネットワークアナライザーやインピーダンスアナライザー等の測定装置の2構成にしなければならず、装置が複雑で高価となる。
この発明は、従来の複雑な設計が必要だったSAWデバイス装置の測定系に表面弾性波を用いることで、液の特性を測定ができる装置を提供することを目的としている。
すなわち、本発明の表面弾性波センサのうち、第1の本発明は、圧電材と、前記圧電材に表面弾性波を励起させる励起部と、前記圧電材を伝搬する前記表面弾性波を受信する受信部と、被検出物溶液を収容する溝部が設けられた被検出物収容材とを有し、
前記被検出物収容材は、前記圧電材上であって励起部と受信部との間の伝搬面上で、前記溝部の開口が前記圧電材に向けて位置するように、前記圧電材に対し離接可能に配置されていることを特徴とする。
上記本発明によれば、前記溝部に被検出物溶液が収容されて測定がされるので、周囲の湿度や、風の影響等の外的影響を受けにくく、安定した測定を行うことができる。
第2の本発明の表面弾性波センサは、前記第1の本発明において、前記被検出物収容材は、溝部内面が親水性材料で構成され、前記溝部の開口側周囲の外面が疎水性材料で構成されていることを特徴とする。
上記本発明によれば、前記収容材の溝部に親水性材料が使用され、溝部の開口側周囲の外面が疎水性材料で構成されているので、被検出物溶液が収容される溝部が疎水性の部分で囲まれるので、被検出物溶液が溝部外部に漏れにくく、溝部内部で被検出物溶液が固定され、密度が安定し、伝搬面上における被検出物溶液の接触面積が安定するので、精度のよい測定を行うことができる。
なお、溝部内面を親水性材料とする場合、表面に親水性材料を被覆してもよく、また、溝部自体を親水性材料で構成してもよい。
さらに、溝部の開口側周囲の外面を疎水性材料とする場合、表面に疎水性材料を被覆してもよく、また、その内側を含めて疎水性材料で構成してもよい。
なお、親水性、疎水性は、相対的なものであり、これを満たせばよい。さらには、両者の関係が溝部から液漏れしない条件を満たすのが一層望ましい。
第3の本発明の表面弾性波センサは、前記第2の本発明において、前記圧電材は、少なくとも、前記被検出物収容材が配置される前記伝搬面が疎水性材料で構成されていることを特徴とする。
上記本発明によれば、前記第2の本発明における作用をより確実なものとすることができる。
被検出物収容材を圧電材に対し離接可能とすることで、被検出物溶液を溝部に収容する作業が容易になり、収容作業も確実に行うことができる。
の本発明の表面弾性波センサは、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、 前記溝部は、一定の深さと、前記伝搬面上における前記表面弾性波の伝搬方向で一定の幅を有していることを特徴とする。
上記本発明によれば、伝播経路に拘わらず、安定した測定結果が得られる。
の本発明の表面弾性波センサは、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記溝部は、前記伝搬面上における前記表面弾性波の伝搬方向で、0.2〜0.6mmの溝幅を有し、かつ溝深さが0.1〜0.3mmであることを特徴とする
上記本発明によれば、前記溝部における溝幅、溝深さを所定の値に設定することで、測定感度を向上し、測定ばらつきを低減することができる。溝深さ、溝幅は、適正な値にすることで溝に入る波の数を適当にして感度を上げることができ、この点で溝幅で0.2mm以上が望ましく、溝深さで0.1mm以上が望ましい。また、溝深さ、溝幅を大きくすると、感度は上がるものの、測定ばらつきが悪くなる。このため、溝幅で0.6mm以下、溝深さで0.3mm以下が望ましい。例えば、周波数157.6MHzを使用した場合、波長(λ)=弾性波速度3,158(v)÷周波数(f)の関係から、λは約20μmとなる。その場合、溝幅が0.2mmであると溝に入る波の数は約10本となり、溝幅が0.6mmであると波数は30本となる。
の本発明の表面弾性波センサは、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記溝部は、前記伝搬面を伝搬する表面弾性波によって前記溝部内に収容した前記被検出物のストリーミングを生じさせるものであることを特徴とする。
上記本発明によれば、表面弾性波を利用し、ストリーミング現象を発生させ溶液の攪拌等を行うので、極少量の検出物の正確な測定が可能となる。
の本発明の表面弾性波センサは、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記溝部は、長さ方向端部の一方または両方が前記被検出物収容材の側面に開口していることを特徴とする。
上記本発明によれば、溝部に被検出物溶液を収容する際に、長さ方向端部の開口を通して余分な被検出物溶液を排出するように溝部に被検出物溶液を供給することで溝部内に被検出物溶液を隙間なく安定し収納することができる。
の本発明の表面弾性波センサは、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記表面弾性波がレーリー波であることを特徴とする。
上記本発明によれば、レーリー波の性質を利用して測定データを得ることができる。
の本発明の表面弾性波センサ装置は、前記第1〜第のいずれかに記載の表面弾性波センサと、前記表面弾性波センサの受信部で受信した表面弾性波の測定データに基づいて、前記表面弾性波センサに収容された被検出物溶液の特性を示す判定部と、を備えることを特徴とする。
10の本発明の表面弾性波センサ装置は、前記第の本発明において、前記判定部は、基準溶液における測定データと被検出物溶液における測定データとの対比によって得られる測定データと被検出物量との相関関係を予め求めておき、前記被検出物溶液の測定データによって溶質質量を判定することを特徴とする。
上記本発明によれば、被検出物溶液の溶媒と同じ基準溶液の測定データを利用して被検出物溶液の溶質質量を判定することができる。被検出物溶液では、予め、基準溶液の測定データと溶質質量に応じた測定データを求めておき、その差分によって溶質質量を判定することができる。
以上のように、本発明によれば、表面弾性波を用いて溝部に収容された被検出物溶液の特性を正確に測定することが可能となり、シンプルなセンサ装置の設計が可能となる。
本発明の一実施形態の表面弾性波センサおよび表面弾性波センサ装置の構成図である。 同じく、表面弾性波センサにおける圧電材を示す図である。 同じく、表面弾性波センサにおける被検出物収容材の構成図及び溝部周辺の断面図である。 同じく、表面弾性波センサの測定原理図である。 同じく、周波数39.5MHzと157.6MHzで測定したナノ金分散液濃度による位相信号変化の測定結果を示す図である。 同じく、周波数157.6MHzとし、溝幅0.4mmで溝深さ0.1、0.2、0.3mmで測定したナノ金分散液濃度による位相信号変化の測定結果を示す図である。 同じく、周波数157.6MHzとし、溝深さ0.2mmで溝幅0.2、0.4、0.6mmで測定したナノ金分散液濃度による位相信号変化の測定結果を示す図である。 同じく、周波数157.6MHzとし、溝幅0.4mmで溝深さ0.1、0.2、0.3mmで測定したグリコーゲン溶液濃度による位相信号変化の測定結果を示す図である。 同じく、周波数157.6MHzとし、溝深さ0.2mmで溝幅0.2、0.4、0.6mmで測定したグリコーゲン溶液濃度による位相信号変化の測定結果を示す図である。 レイリー波伝搬面上に液体負荷した際の縦波の放射状態を示す図である。
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
表面弾性波センサ装置1は、表面弾性波センサ10と分析装置30を備えている。なお、この実施形態では、表面弾性波センサ10はレイリー波デバイスを用いるものとする。分析装置30には、ネットワークアナライザやインピーダンスアナライザなどを用いることができる。分析装置30では、測定データに基づいて特性評価として表示したり、印刷などしたりすることができる。すなわち、分析装置30は、本発明の判定部に相当する。また、分析装置30では、CPUなどを設けることで、測定データに基づいてさらに詳細な分析を行えるようにしてもよい。
表面弾性波センサ10は、板状とした圧電材13を有している。圧電材13は、圧電材の表面付近にエネルギーを集中させて伝搬する圧電材料として水晶、LiTaO、LiNbO等その他の圧電材料を用いることができる。ただし、本発明としては、圧電材に用いる材料は、表面弾性波を励起できるものであればよく、特定の材質に限定されるものではない。
圧電材13上には、レイリー波を励起する入力電極11と、圧電材13上を伝播したレイリー波を電気信号に変化する出力電極12を有している。入力電極11は本発明の励起部の一部を構成し、出力電極12は、本発明の受信部の一部を構成する。励起部は、図示しない電源に接続され、受信部は、図示しない受信素子などに接続される。
入力電極11及び出力電極12は、櫛形電極などによって構成される。櫛形電極は、Al蒸着後、フォトリソグラフィーによって不要な金属部分をウエットエッチング除去し形成することができるが、本発明としてはその構成や形成方法が特に限定されるものではない。
入力電極は、櫛型電極幅に影響する周波数、溝基板の溝幅、溝深さについて、測定したい溶液の濃度によって感度が変わることから最適な形状を決めることが必要である。
表面弾性波センサ10では、入力電極11の一端にケーブル31が接続され、ケーブル31の他端側は分析装置30の出力ポートに接続され、出力電極12の一端にケーブル32が接続され、ケーブル32の他端側は分析装置30の入力ポートに接続されている。
さらに、入力電極11の他端には配線15が接続されて接地され、出力電極12の他端には配線16が接続されて接地されている。
圧電材13上では、入力電極11と出力電極12との間の伝搬面上で被検出物収容材20が設置されている。被検出物収容材20は、圧電材13に対し離設可能にして測定時に圧電材13上に設置することができる。
なお、圧電材13は、図2に示すように少なくともレイリー波の伝搬面上で疎水性材料100を有している。疎水性材料100は、圧電材13の表面に疎水性材料を被覆することで形成することができ、また、圧電材13の材料自体が疎水性材料で構成されるものであってよい。要は、圧電材13の伝搬面が疎水性材料になっていればよい。
被検出物収容材20は、図1、3に示すように、圧電材13上に設置した状態で下面となる側に、直線方向に沿って溝部21が形成されている。溝部21は、一定の深さと一定の溝幅を有し、入力電極11と出力電極12との間で伝搬方向に対し、溝の長さ方向が直角に位置するように配置するのが望ましい。ただし、溝の長さ方向が伝搬方向に対し交差する角度で配置されるものであってもよい。
溝の深さと溝の幅は特定の範囲に限定されるものではないが、表面弾性波の伝搬方向で、0.2〜0.6mmの溝幅を有し、溝深さが0.1〜0.3mmの範囲内にあるのが望ましい。
被検出物収容材20は、ガラス、石英、水晶、シリコン、プラスチック等を用いることができる。溝部21はダイサー装置などの機械加工やドライエッチングなどにより形成することができるが、その形成方法が特に限定されるものではなく、溝部を有する形状で被検出物収容材20を作製するものであってもよい。
また、溝部21は、図3(b)に示すように内面が親水性材料210で構成されている。親水性材料210は、溝部21の内面に親水性材料を被覆することで形成することができ、また、溝部21の材料自体が親水性材料で構成されるものであってよい。要は、溝部内面21が親水性材料になっていればよい。
さらに、被検出物収容材20は、圧電材13上に設置した際に、少なくとも溝部21の開口側の周囲の外面が圧電材13に接触している。そして少なくとも開口側の周囲の外面は、疎水性材料220で構成されている。疎水性材料220は、上記外面に疎水性材料を被覆することで形成することができ、また、被検出物収容材20の材料自体が疎水性材料で構成されるものであってよい。要は、上記外面が疎水性材料になっていればよい。
上記親水性材料210、疎水性材料220、疎水性材料100は、相対的に親水性と疎水性の関係を有していればよく、また疎水性材料220と疎水性材料100とが同じ材料、異なる材料のいずれであってもよい。
上記材料を被覆により構成する場合、例えば親水性材料としてシリカ系、チタニア系親水化材などを用いることができ、疎水性材料としてシリカ系、フッ素系撥水材などを用いることができる。
比較により上記材料を構成する場合、不織布等に親水性材料や疎水性材料を染み込ませて塗布する方法や蒸着による方法等を用いることができる。
次に、表面弾性波センサ装置1の動作を図4に基づいて説明する。
被検出物収容材20の溝部21に被検出物溶液7を滴下し、前記溝部21に前記被検出物溶液7を収容する。被検出物としては、水に不溶性の金属ナノ粒子、水に可溶性のたんぱく質等を挙げることができるが、本発明としては被検出物の種別が特定のものに限定されるものではない。
なお、被検出物収容材20が圧電材13に対し離設可能な場合、溝部21を上にして被検出物溶液7を滴下することで溝部21内に被検出物溶液を確実に収納することができる。この際に十分な量を溝部21に供給しても余分な被検出物溶液7は長さ方向端部の開口や溝部21の溝の開口側から排出される。被検出物収容材20を圧電材13の適所に設置する場合、溝部21以外に付着した被検出物溶液7は、被検出物収容材20の親水性材料210と圧電材13の疎水性材料100とで挟まれることで、検出領域から速やかに外部に排出され、検出精度を低下させない。被検出物収容材20の設置後も溝部21から液漏れせずに常に同じ体積で測定することが可能になる。
次に、分析装置30からケーブル31を通して入力電極11に周波数信号を出力し、入力電極11によりレイリー波3を励起する。励起されたレイリー波3は、伝搬面上を伝搬する。伝搬面上を伝搬するレイリー波3の一部は、溝部21に収容された被検出物溶液7に伝搬し、被検出物溶液7に対し、SWストリーミングを生じさせる。溝部21では、圧電材13上にレイリー波縦振動を誘起させ、液界面に沈積していた反応生成物をより効率に分解し、液相中に拡散させる効果を促進させ、これによって、金属ナノ粒子など不溶性溶液や生体内に含まれるタンパク質など可溶性溶液を安定して測定することができる。
伝搬面上を伝搬するレイリー波3の一部は、伝搬面上に負荷された被検出物溶液7の影響を受けて伝搬面上を伝搬し、周波数信号に変換されて出力電極12に伝わる。出力電極12では、振幅と位相変化が受信される。出力電極12に伝搬したレイリー波3は、分析装置30に入力され、測定データが取得される。測定データによって被検出物溶液の特性の表示などがされる。
なお、測定に用いる周波数は、被検出物を含む溶液の濃度によって感度が異なるものの、溝幅と溝深さ形状に影響する測定ばらつきの理由で、30〜500MHzを用いることが望ましい。さらに、上記周波数は、同様の理由で下限を100MHz、上限を200MHzとするのが一層望ましい。好適な周波数にすることで、前記溝幅において良好な感度が得られ、また、ばらつきが小さくなる。
以下に、本発明の実施例を説明する。
この実施例では、表面弾性波センサ装置として実施形態で示した装置を用いた。
また、表面弾性波センサの圧電基板には厚み0.5mm、ST−カット水晶ウエハーを用いた。
被検出物収容材は、ガラス基板を用いており、該ガラス基板に疎水性材料をクリーンワイパーなどに染み込ませ全面に塗布し、その後、ダイサー装置によって、溝幅0.2、0.4、0.6mm、溝深さ0.1、0.2、0.3mmの各サイズの溝部を加工した。
圧電材の伝搬面上に、前記溝部が下向きになるようにして被検出物収容材を設置した。
液滴方法は、マイクロピペットで被検出物溶液を3μL採り、溝部に滴下した。溝部は親水性であり、溝部の周囲の外面が疎水性であるので、被検出物溶液を滴下すると自然に溝部に溶液が入った。また、レイリー波デバイスの伝搬面上も疎水性であるので、液漏れせずに常に同じ体積を維持し、溶液が収容された。
溝部は親水性であり、溝部の周囲の外面が疎水性であるので、毛細管現象により被検出物溶液を滴下すると自然に溝部に溶液が入った。
被検出物として、ナノ金分散液(ルネッサンス・エナジー・リサーチ製)とグリコーゲン溶液(和光純薬工業製)を用いて、各種条件で測定を行った。
まず、原液濃度10mMのナノ金分散液(ルネッサンス・エナジー・リサーチ製)を純水で希釈し、濃度0.2、0.4、0.6、0.8、1.0mg/ml溶液を作製した。
櫛形電極の幅は20μmと5μmを作製し、それぞれの電極の幅で励起される弾性波の周波数39.5MHzと157.6MHzとした。
溝幅は0.4mm、溝深さ0.2mmの溝部にナノ金分散液を滴下し、周波数39.5MHzと157.6MHzとして、測定は、液滴後、励起して10秒後のレイリー波電気信号を計測した。測定では各位相シフトを測定した。位相シフトは純水を溝部に滴下したときの位相データをゼロとし、それぞれのナノ金分散液濃度を溝部に滴下したときの位相データの差とした。
図5は、各周波数での上記ナノ金分散液濃度による位相シフトの変化を示したグラフである。上記測定結果から、不溶性のナノ金分散液濃度によって、位相シフト量が比例関係となっていることがわかった。よって、金属ナノ粒子等の不溶性溶液の質量をレイリー波で測定できることを確認した。また、周波数157.6MHzの方がナノ金分散液濃度に対する位相シフト量が大きいことがわかり、高周波がより位相シフト感度が高いことがわかった。
周波数157.6MHzを用い、溝幅0.4mmと固定し、溝深さを0.1、0.2、0.3mmと変えて前記と同様に評価を行った。図6は、各溝深さでの上記金ナノ粒子濃度による位相シフトの変化を示したグラフである。上記測定結果から、溝深さによって、位相シフト量に違いが見られることがわかった。また、溝深さが深いほど位相シフト感度が高いが、測定バラツキが大きい傾向にあることがわかった。
周波数157.6MHzを用い、溝深さ0.2mmとし、溝幅を0.2、0.4、0.6mmで変えて前記と同様に評価を行った。図7は、各溝幅での上記金ナノ粒子濃度による位相シフトの変化を示したグラフである。上記測定結果から、溝幅によって、位相シフト量に違いが見られた。
次に、原液濃度20mg/mlのグリコーゲン溶液(和光純薬工業製;イガイ由来)を純水で希釈し、2、4、6、8、10mg/ml溶液を作製した。
櫛型電極の幅は5μmとし、励起される弾性波の周波数157.6MHz、溝幅0.4mm、溝深さ0.1、0.2、0.3mmで比較した。位相シフトは純水を溝部に流したときの位相データをゼロとし、それぞれのグリコーゲン溶液を溝部に流したときの位相データの差とした。
図8は、各溝深さでの上記グリコーゲン溶液濃度による位相シフトの変化を示したグラフである。上記測定結果から、可溶性のグリコーゲン溶液濃度によって位相シフト量が比例関係となっており、レイリー波でタンパク質等の可溶性溶液の質量の測定ができることを確認した。また、溝深さによって、位相シフト量に違いが見られることがわかった。
ナノ金分散液同様、設定範囲内で溝深さが深いほど位相シフト感度が高いが、測定バラツキが大きい傾向にあることがわかった。
周波数157.6MHzを用い、溝深さ0.2mmとし、溝幅を0.2、0.4、0.6mmで変えて前記と同様に評価を行った。図9は、各溝幅での上記グリコーゲン溶液濃度による位相シフトの変化を示したグラフである。上記測定結果から、溝幅によって、位相シフト量に違いが見られた。設定範囲内で溝幅が広いほど位相シフト感度が高い傾向にあることがわかった。
本実施例では、溝深さ、溝幅を変えた評価結果から、レイリー波を使用して測定を行う場合、設定範囲内で溝深さが深いほど位相シフト感度が高いことがわかった。
また、上記のように図5〜図9に示すような相関関係を得ておくことで、未知量の溶質の質量を容易に測定データに基づいて容易に分析することができる。
以上、本発明について上記実施形態および上記実施例に基づいて説明したが、本発明は上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
1 表面弾性波センサ装置
3 レイリー波
3a 縦波
7 被検出物溶液
7a 溶液
10 表面弾性波センサ
11 入力電極
12 出力電極
13 圧電材
20 収容材
21 溝部
30 分析装置
100 疎水性材料
210 親水性材料
220 疎水性材料

Claims (10)

  1. 圧電材と、前記圧電材に表面弾性波を励起させる励起部と、前記圧電材を伝搬する前記表面弾性波を受信する受信部と、被検出物溶液を収容する溝部が設けられた被検出物収容材とを有し、
    前記被検出物収容材は、前記圧電材上であって励起部と受信部との間の伝搬面上で、前記溝部の開口が前記圧電材に向けて位置するように、前記圧電材に対し離接可能に配置されていることを特徴とする表面弾性波センサ。
  2. 前記被検出物収容材は、溝部内面が親水性材料で構成され、前記溝部の開口側周囲の外面が疎水性材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表面弾性波センサ。
  3. 前記圧電材は、少なくとも、前記被検出物収容材が配置される前記伝搬面が疎水性材料で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の表面弾性波センサ。
  4. 前記溝部は、一定の深さと、前記伝搬面上における前記表面弾性波の伝搬方向で一定の幅を有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表面弾性波センサ。
  5. 前記溝部は、前記伝搬面上における前記表面弾性波の伝搬方向で、0.2〜0.6mmの溝幅を有し、かつ溝深さが0.1〜0.3mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表面弾性波センサ。
  6. 前記溝部は、前記伝搬面を伝搬する表面弾性波によって前記溝部内に収容した前記被検出物のストリーミングを生じさせるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面弾性波センサ。
  7. 前記溝部は、長さ方向端部の一方または両方が前記被検出物収容材の側面に開口していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面弾性波センサ。
  8. 前記表面弾性波がレーリー波であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の表面弾性波センサ。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の表面弾性波センサと、前記表面弾性波センサの受信部で受信した表面弾性波の測定データに基づいて、前記表面弾性波センサに収容された被検出物溶液の特性を示す判定部と、を備えることを特徴とする表面弾性波センサ装置。
  10. 前記判定部は、基準溶液における測定データと被検出物溶液における測定データとの対比によって得られる測定データと被検出物量との相関関係を予め求めておき、前記被検出物溶液の測定データによって溶質質量を判定することを特徴とする請求項に記載の表面弾性波センサ装置。
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