JP6532057B2 - 検査方法 - Google Patents
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Description
このように、高濃度の抗原の検出に対応して適切な測定値が得られる弾性表面波センサの感度と、低濃度の抗原の検出に対応して適切な測定値が得られる弾性表面波センサの感度とが異なる。このために、現状においては、高濃度の抗原の検出と低濃度の抗原の検出とを同じ設定の弾性表面波センサにより的確に行うことが困難である。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における検査システムの構成例を示す図である。本実施形態の検査システムは、抗原抗体反応を利用して抗原を検査するシステムである。同図の検査システムは、弾性表面波センサ100、測定回路200及び検査装置300を備える。
測定回路200は、検査行程におけるn回目の弾性表面波センサ100の入力信号Sin−nに対する出力信号Sout−nの変化を測定する。測定回路200は、弾性表面波センサ100の入力信号Sin−nを発生し、発生された入力信号Sin−nを弾性表面波センサ100に出力する。測定回路200は、入力信号Sin−nの入力に応じて弾性表面波センサ100から出力された出力信号Sout−nを入力し、入力信号Sin−nと出力信号Sout−nとを比較することで入力信号Sin−nに対する出力信号Sout−nの変化を測定する。具体例として、測定回路200は、入力信号に対する出力信号の変化として、位相差と振幅差とを測定する。また、測定回路200は、反応場122の初期状態における位相差と振幅差とを初期値として、その後の検査工程において測定される位相差と振幅差の初期値に対する変化量(測定値の一例)を測定する。
検査装置300は、測定回路200により測定された変化量を入力し、入力した変化量を利用して抗原についての検査を行う。例えば、検査装置300は、検体である抗原の存在の有無、また、検査対象の抗原が存在した場合には抗原量などについて検査することができる。検査装置300は、例えば専用の装置であってもよいし、検査用のアプリケーションソフトウェアがインストールされたパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置であってもよい。
センサ部120は、圧電基板121、反応場122、櫛形の送信電極123及び受信電極124を備えている。ここで、圧電基板121は、弾性表面波Wを伝搬させることができるものであれば、特に限定されないが、例えば36度Y板90°X伝播の水晶基板であり、または、36度Y板X伝播LiTaO3である。弾性表面波Wは、圧電基板121の表面に沿って伝搬する波であり、例えば、横波の伝播するすべり弾性表面波である。
ただし、上記の例に限定されず、反応場で反応に寄与しなかった余分な試料を他の試料に置換することができることを限度に、吸湿部材140の吸湿容量は任意に設定し得る。また、保湿部材130と吸湿部材140との間の最小距離を後述の所定距離Lとすることを限度に、吸湿部材140の形状は任意に設定し得る。
なお、以降において、測定回路200が上記のように弾性表面波センサ100に入力した入力信号Sin−nと、これに応じて得られた出力信号Sout−nとの位相差及び振幅差を測定する処理については入出力差分測定と称する。
ここで、2次抗体β1が含まれる第2試料は、抗原Aに対する2次抗体β1の感度が低く設定されている。このため、本実施形態では、2次抗体β1として親和性が低いものを用いる。ここで、親和性は、例えば抗体に関する解離定数の逆数としての親和度により表すことができる。従って、2次抗体β1は、親和性が低いものとして扱われる所定の親和度を有するものが選定される。
このように第2試料についての感度が低く設定されているため、第2試料に含まれる2次抗体β1と結合できる抗原Aの数は少ない。図6(C)においては、4つの抗原Aのうち、1つの抗原Aのみに2次抗体β1が結合しており、残る3つの抗原Aが2次抗体β1と結合していない状態により、感度の低いことが表されている。
保湿部材130から突出した第1試料の一部が吸湿部材140に接触すると、図4(E)に示すように、保湿部材130に保持された第1試料の一部は、例えば毛細管現象等により吸湿部材140に吸収される。このとき、測定者が第2試料の滴下を継続すれば、1回目に滴下された第1試料のうち、保湿部材130に残留する第1試料は、2回目に滴下された第2試料により吸湿部材140側に押し出され、保湿部材130に保持された第1被測定部材が吸湿部材140に吸収される。これにより、保湿部材130に保持された第1被測定部材が保湿部材130から吸湿部材140に移動し、反応場122上の保湿部材130に保持されていた第1試料が第2試料で置換される。
そして、保湿部材130から突出した第2試料の一部が吸湿部材140に接触すると、図5(C)に示すように、保湿部材130に保持された第1試料の一部は、例えば毛細管現象等により吸湿部材140に吸収される。そして、測定者が第2試料の滴下を継続することで、保湿部材130に残留する第2試料が第3試料により吸湿部材140側に押し出され、保湿部材130から吸湿部材140に移動する。この結果、保湿部材130に保持された第2試料が第3試料で置換される。
そのうえで、本実施形態においては、以下に説明するように、変化量VAR−1と変化量VAR−2とのうち、信頼性の高いほうを2次抗体に対応する変化量として採択して抗原の検査を行う。
また、同図において、抗原に対する感度が低い2次抗体β1に対応の検量線LN1に着目すると、変化量VAR−1の適正範囲(Vmin〜Vmax)に対応する抗原濃度はC1min〜C1maxの範囲である。変化量VAR−1は、C1min未満の抗原濃度ではVmin未満となり、C1maxより大きい抗原濃度ではVmaxより大きくなる。一方、抗原に対する感度が高い2次抗体β2に対応の検量線LN2に着目すると、変化量VAR−2の適正範囲(Vmin〜Vmax)に対応する抗原濃度はC2min〜C2maxの範囲である。変化量VAR−2は、C2min未満の抗原濃度ではVmin未満となり、C2maxより大きい抗原濃度ではVmaxより大きくなる。この場合において、C1min、C1max、C2min、C2maxの抗原濃度の大小関係は、C1max>C2max>C1min>C2minである。
一方、変化量の適正範囲の上限であるVmaxにおいては、抗原に対する感度が高い2次抗体β2によっては、C2maxより高い抗原濃度の条件での検出ができない。しかし、抗原に対する感度が低い2次抗体β1によっては、C2maxより高いC1maxまでの抗原濃度のもとで検出が可能である。
つまり、本実施形態では、抗原に対する感度が異なる2つの2次抗体を使用して測定を行うことで、抗原の検出にあたって測定が可能な抗原濃度の範囲を、いずれか一方の2次抗体のみを使用する場合よりも拡大することができる。
そのうえで、検査装置300は、検査工程において、前述のように測定回路200により測定された変化量VAR−1と変化量VAR−2とを取得すると、取得された変化量VAR−1と変化量VAR−2とについて、以下の条件が満たされるか否かについて判定する。つまり、検量線LN1、LN2について図7のように特性が異なることで、検体である抗原Aの実際の濃度に応じて、変化量VAR−1、VAR−2は、それぞれ異なる値が測定される。そこで、検査装置300は、変化量VAR−1についてVAR−1≦Vmaxが成立し、かつ、変化量VAR−2についてVmin≦VAR−2≦Vmaxが成立するという第1条件が満たされるか否かについて判定する。
第1条件が満たされる場合としては、変化量VAR−2は適正範囲内にあるが変化量VAR−1が適正範囲よりも少ない場合と、変化量VAR−1と変化量VAR−2のいずれもが適正範囲内にある場合とのいずれかである。
変化量VAR−2は適正範囲内にあるが変化量VAR−1が適正範囲よりも少ない場合には、変化量VAR−1を採択することができないので、変化量VAR−2を採択することになる。
また、変化量VAR−1と変化量VAR−2のいずれもが適正範囲にある場合には、変化量VAR−1と変化量VAR−2のいずれもが抗原Aの検査が可能である。ただし、この場合においては、検量線LN1と検量線LN2とを比較すると、検量線LN2のほうが抗原濃度の単位変化幅に対する変化量の変動幅が大きい。このことは、検量線LN2に対応する変化量VAR−2のほうが、検量線LN1に対応する変化量VAR−1よりも微細な変化を捉えやすい、即ち、検査精度が高くなるということである。従って、この場合には、検査精度の高さを優先して、抗原Aの検査に使用する2次抗体に対応の変化量として、変化量VAR−2を採択するほうが好ましい。
そこで、第1条件が満たされる場合には、検査装置300は、第3試料(2次抗体β2を含む)に対応の変化量VAR−2を採択する。
第2条件が満たされる場合とは、変化量VAR−2は、対応の第3試料の抗原Aに対する感度が高いために適正範囲を越えてしまっているが、変化量VAR−1は、対応の第2試料の抗原Aに対する感度が低いために適正範囲内となっている状態である。
この場合、変化量VAR−2を採択することはできないが、変化量VAR−1については採択可能である。従って、この場合の検査装置300は、抗原Aの検査に使用する2次抗体に対応の変化量として、第2試料(2次抗体β1)に対応の変化量VAR−1を採択する。このように第2条件が満たされて変化量VAR−1が採択される場合、変化量VAR−1としては、C2max≦VAR−1≦Vmaxの範囲の値となる。C2maxは、変化量VAR−2が適正範囲の上限値Vmaxとなるときに対応する抗原濃度である。
また、本実施形態では、第2試料と第3試料との抗原に対する感度の相違を、2次抗体β1、β2について親和性を異ならせることにより設定している。このように親和性により抗原に対する感度を設定する場合、第2試料及び第3試料について、親和性の低い傾向の2次抗体を用いることで、抗体の濃度を高くしておいたとしても、抗原抗体反応は第2試料の滴下量に依存しにくくなる。これにより、第2試料及び第3試料について、抗体量を少なくすべきとの条件が緩和され、検査を行いやすくなる。
また、本実施形態では、弾性表面波センサ100について図2及び図3により説明した構成とすることで、前述のように、保湿部材130にて先に保持された試料が次に滴下される試料によって置換されるようになっている。これにより、第2試料及び第3試料の抗体濃度の希釈が少なくなることから、例えば良好な検査結果を期待できる。
さらに、試料の置換が行われることで、フック効果(プロゾーン現象)の発生が抑制されるために、これによっても検出可能な抗原濃度の範囲が拡大されるという効果が得られる。フック効果とは、抗原と2次抗体とを事前混合して1次抗体に結合させる場合において、抗原の濃度が高すぎると2次抗体と結合していない抗原が、抗原と2次抗体との複合体よりも先に1次抗体と結合してしまう結果、抗原濃度が実際よりも低く検出される現象である。本実施形態であれば、第2試料の滴下により第1試料から第2試料への置換が行われることで、1次抗体と結合しなかった抗原が除去されたのちに2次抗体を添加できるため、上記のようなフック効果の発生が抑制される。
先ず、測定者は、反応場122上に1次抗体β0を配置する(ステップS101)。次に、測定者は、1次抗体β0が配置された状態において測定回路200により弾性表面波センサ100を動作させる操作を行うことで前述の入出力差分測定を行って初期値Vdefを測定する(ステップS102)。測定された初期値Vdefは検査装置300により取得される。
なお、ここでの測定回路200により弾性表面波センサ100を動作させる操作とは、例えば測定者が測定回路200を操作して、弾性表面波センサ100に入力信号を入力させる操作である。あるいは、測定回路200により弾性表面波センサ100を動作させる操作として、測定者が検査装置300を操作するようにしてもよい。検査装置300は、操作に応じて測定回路200から弾性表面波センサ100に入力信号が入力されるように制御を行う。
続いて、測定者は、ステップS105により2次抗体β1と一部の抗原Aとが結合した状態において、測定回路200により弾性表面波センサ100を動作させて入出力差分測定を行い、変化量VAR−1を測定する(ステップS106)。測定された変化量VAR−1は、検査装置300により取得される。
続いて、測定者は、ステップS107により2次抗体β2と抗原Aとが結合した状態において、測定回路200により弾性表面波センサ100を動作させて入出力差分測定を行い、変化量VAR−2を測定する(ステップS108)。測定された変化量VAR−2は、検査装置300により取得される。
一方、第1条件が満たされていない場合(ステップS109−NO)、検査装置300は、さらに、取得された変化量VAR−1と変化量VAR−2とについて、前述の第2条件が満たされているか否かについて判定する(ステップS111)。第2条件が満たされている場合(ステップS111−YES)、検査装置300は、2次抗体に応じて検査に用いる変化量として、変化量VAR−1を採択する(ステップS112)。
そして、検査装置300は、ステップS110またはステップS112により採択された変化量VAR−1または変化量VAR−2を利用して、抗原Aについての検査に関する処理を実行する(ステップS113)。この際、検査装置300は、必要に応じて、ステップS103に応じて取得された変化量VAR−0を併せて検査に利用できる。検査に関する処理に応じて、検査装置300は、検査結果を表示や印刷などにより出力することができる。
また、第2条件が満たされていない場合(ステップS111−NO)、検査装置300は、検査結果がエラーであるとして、エラーに応じた所定の処理を行う(ステップS114)。例えば、検査装置300は、ステップS114において、検査結果がエラーであったことを示すメッセージを、画像あるいは音声などによって出力することができる。
続いて、第2実施形態について説明する。本実施形態における検査システムの構成は、図1〜図3と同様でよい。また、本実施形態における検査手順も、図4及び図5と同様である。
ただし、本実施形態においては、図4(B)に示したように抗原Aを含む第1試料を反応場122上の保湿部材130に滴下(供給)し、図6(B)のように反応場122の表面で第1試料を1次抗体β0と反応させた状態(第3状態の一例)においても、変化量の測定を行う。
つまり、測定回路200は、送信電極123の入力端子Sに入力させた入力信号Sin−0と、入力信号Sin−3に応じた出力された出力信号Sout−0とにより、入出力差分値Vdif−0を測定する。測定回路200は、入出力差分値Vdif−0についての初期値Vdefに対する差分を変化量VAR−0(第3測定値の一例)として測定する。測定された変化量VAR−0は検査装置300が取得する。
同図に示されるように、1次抗体β0に対応する検量線LN0は、2次抗体β1に対応する検量線LN1よりも傾きが大きい。このことは、1次抗体β0による抗原Aの変化が2次抗体β1よる場合と比較して小さいことを示す。これは、例えば主として1次抗体β0に対して固定する抗原Aの分子の大きさの影響による。
つまり、本実施形態において、1次抗体β0に対応する変化量VAR−0を検査に採択する測定値の候補に含めることにより、2次抗体β1、β2に対応の変化量VAR−1、VAR−2のみを候補とした場合と比較して、検査が可能な抗原濃度の範囲をさらに拡大することが可能になる。
なお、変化量VAR−0により検出可能な抗原濃度の最小値がC0minであり、この場合におけるC0max、C0min、C1max、C1min、C2max、C2minの各抗原濃度の大小関係は、C0max>C1max>C0min>C2max>C1min>C2minである。
同図の検査手順が行われるにあたり、本実施形態の検査装置300は、図9に示した変化量VAR−0(検量線LN0)、VAR−1(検量線LN1)、VAR−2(検量線LN2)についての特性を示す情報を記憶している。これにより、検査装置300により、変化量VAR−0、VAR−1、VAR−2のそれぞれについての適正範囲と抗原濃度との関係が把握される。
ステップS204により変化量VAR−0が測定されると、検査装置300は、ステップS204にて測定された変化量VAR−0について、V2≦VAR−0≦Vmaxが成立するか否かについて判定する(ステップS205)。V2は、図9に示されるように、変化量VAR−1(検量線LN1)が適正範囲の上限値であるVmaxとなる抗原濃度C1maxのときに得られる変化量VAR−0である。
次に、検査装置300は、ステップS208にて測定された変化量VAR−1について、V1≦VAR−1≦Vmaxが成立するか否かについて判定する(ステップS209)。V1は、図9に示されるように、変化量VAR−2(検量線LN2)が適正範囲の上限値であるVmaxとなる抗原濃度C2maxのときに得られる変化量VAR−1である。
V1≦VAR−1≦Vmaxが成立すると判定された場合(ステップS209−YES)、図9に示すように、変化量VAR−1(検量線LN1)は、V3≦VAR−1≦Vmaxの範囲内と、V1≦VAR−1≦V3の範囲内とのいずれかに含まれる。
また、変化量VAR−1がV1≦VAR−1≦V3の範囲内である場合には、残る変化量VAR−0、VAR−2のいずれもが適正範囲外となる。従って、この場合にも変化量VAR−1が採択可能であることになる。
このように、ステップS209においてV1≦VAR−1≦Vmaxが成立すると判定されたことに伴い、検査装置300は、変化量VAR−1が採択可能であると判定することになる。そして、検査装置300は、判定結果に従って、変化量VAR−1を検査に用いる測定値として採択する(ステップS210)。
Vmin≦VAR−2≦Vmaxが成立すると判定された場合(ステップS213−YES)、図9に示すように、変化量VAR−2(検量線LN2)は、V4≦VAR−2≦Vmaxの範囲内と、Vmin≦VAR−1≦V4の範囲内とのいずれかに含まれる。
また、変化量VAR−2がVmin≦VAR−2≦V4の範囲内である場合には、残る変化量VAR−0、VAR−1のいずれもが適正範囲外となる。従って、この場合にも変化量VAR−2が採択可能であることになる。
このように、ステップS213においてVmin≦VAR−2≦Vmaxが成立すると判定されたことに伴い、検査装置300は、変化量VAR−2が採択可能であると判定することになる。そして、検査装置300は、判定結果に従って、変化量VAR−2を検査に用いる測定値として採択する(ステップS214)。
あるいは、検査装置300は、ステップS210により変化量VAR−1が採択された場合、ステップS208に応じて取得された変化量VAR−1を利用して、抗原Aについての検査に関する処理を実行する(ステップS216)。
あるいは、検査装置300は、ステップS214により変化量VAR−2が採択された場合、ステップS212に応じて取得された変化量VAR−2を利用して、抗原Aについての検査に関する処理を実行する(ステップS216)。
上記の処理によれば、ステップS206により変化量VAR−0が採択された場合には、以降のステップS207〜S215の処理がスキップされ、ステップS216による検査に関する処理が行われる。つまり、この場合には、以降の第2試料の滴下とこれに伴う変化量VAR−1の測定、第3試料の滴下とこれに伴う変化量VAR−2の測定とを行わなくともよい。
また、ステップS210により変化量VAR−1が採択された場合にも、以降のステップS211〜S215の処理がスキップされる。この場合、第3試料の滴下とこれに伴う変化量VAR−2の測定とを行わなくともよい。
このように本実施形態においては、必ずしも第3試料の滴下とこれに応じた変化量VAR−2の測定までの手順を行わなくともよいものであり、抗原の検査の作業効率の向上を図ることが可能である。
同様にして、図10のステップS205、S206、S209、S210、S213、S214、S215、S216などの手順についても、測定者が行うようにしてもよい。
つまり、この場合には、ステップS104に応じて取得された変化量VAR−0が適正範囲に含まれているか否かについて判定が行われる。変化量VAR−0が適正範囲に含まれていることが判定されれば、変化量VAR−0を採択してステップS113による検査が行われる。そのうえで、変化量VAR−0が適正範囲外であることが判定された場合に、ステップS114によるエラーに対応した処理が行われるようにすればよい。
例えば、抗原に対する感度は抗体濃度によっても設定できる。即ち、試料における抗原濃度が高いほど、資料に含まれる2次抗体が抗原と出会う確率が高くなり、多くの抗原抗体反応が生じる。従って、第2試料について所定の抗原濃度を設定し、第3試料について、第2試料よりも高い所定の抗原濃度を設定することで、第2試料に対して第3試料の感度を高く設定することができる。
また、抗原に対する感度は、化学修飾による分子の重さによって設定できる。分子が軽いほど重量負荷効果の影響が小さくなって低濃度の抗原との結合が困難になり、測定される変化量は適正範囲未満となる可能性が高くなるが、抗原濃度が高い状態であっても変化量が適正範囲を越えにくい。一方、分子が重いほど重量負荷効果の影響が大きくなって抗原濃度が低くとも結合がしやすくなり変化量が適正範囲となりやすいが、抗原濃度が高いと変化量が適正範囲を越えやすくなる。従って、第2試料については化学修飾による分子について所定の重さを設定し、第3試料については、第2試料よりも大きな所定の重さを設定することで、第2試料に対して第2試料の感度を高く設定することができる。
また、抗原に対する感度は、粘性によっても設定できる。粘性が低いほど感度は低くなり、粘性が高いほど感度は高くなる。従って、第2試料については低い粘性として、第3試料については高い粘性とすることで、第2試料に対して第3試料の感度を高く設定することができる。
Claims (6)
- 反応場を伝搬する弾性表面波の変化を検出する弾性表面波センサを用いて抗原を検査する検査方法であって、
抗原を含む第1試料を、前記反応場に配置された1次抗体に供給する第1試料供給ステップと、
前記第1試料供給ステップの後において、第1の2次抗体を含み、前記抗原に対する前記第1の2次抗体の感度が所定の第2試料を前記反応場に供給する第2試料供給ステップと、
前記第2試料供給ステップの後において、第2の2次抗体を含み、前記抗原に対する前記第2の2次抗体の感度が前記第2試料における前記所定の感度よりも高い第3試料を前記反応場に供給する第3試料供給ステップと、
前記第2試料供給ステップにより前記第2試料が前記反応場に供給された第1状態と、前記第3試料供給ステップにより前記第3試料が前記反応場に供給された第2状態とにおいて、前記弾性表面波センサにより検出された弾性表面波の変化に基づく測定値を測定する測定ステップと、
前記第1状態において測定される第1測定値と前記第2状態において測定される第2測定値とのうちのいずれか1つの測定値のみが適正範囲に含まれることを前記測定ステップによる測定結果が示す場合は、適正範囲に含まれるほうの測定値を前記抗原の検査に採択し、
前記第1測定値と前記第2測定値とがいずれも適正範囲に含まれることを前記測定ステップによる測定結果が示す場合は、前記第2測定値を前記抗原の検査に採択する測定値採択ステップと
を含む検査方法。 - 前記測定ステップは、前記第1試料供給ステップにより前記第1試料が前記反応場に供給された第3状態において、前記弾性表面波センサにより検出された弾性表面波の変化に基づく第3測定値をさらに取得し、
前記測定値採択ステップは、前記第1測定値と第2測定値とのいずれもが採択されなかった場合において、前記第3測定値が適正範囲に含まれていれば、前記第3測定値を採択する
請求項1に記載の検査方法。 - 前記測定値採択ステップは、前記測定ステップにより測定値が取得された段階ごとに、取得された測定値の採択可否を判定するようにされ、
前記測定値採択ステップにより或る1つの段階において測定値の採択が可能であると判定された場合には、前記或る1つの段階より後の試料供給ステップが行われないようにされる
請求項2に記載の検査方法。 - 前記測定ステップは、前記第1試料供給ステップにより前記第1試料が前記反応場に供給された第3状態において、前記弾性表面波センサにより検出された弾性表面波の変化に基づく第3測定値をさらに測定し、
前記測定値採択ステップは、測定された第3測定値について、適正範囲に含まれており、かつ、前記第1測定値と前記第2測定値とのいずれもが適正範囲外である場合に対応する値である場合に採択可能であると判定する
請求項3に記載の検査方法。 - 前記第2試料は、抗原との親和性を示す親和度が所定の前記第1の2次抗体を含み、
前記第3試料は、前記第1の2次抗体よりも高い所定の親和度を有する前記第2の2次抗体を含む
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の検査方法。 - 前記第2試料は、所定の抗体濃度を有し、
前記第3試料は、前記第2試料よりも高い所定の抗体濃度を有する
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の検査方法。
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