JP6284037B2 - リチウム二次電池正極用造粒粒子とその製造方法、合材インキ及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池正極用造粒粒子とその製造方法、合材インキ及びリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池正極用造粒粒子とその製造方法、上記造粒粒子を含む合材インキ及びリチウム二次電池に関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような、小型携帯型の電子機器が広く用いられるようになってきている。これらの電子機器に搭載される電池は、小型で、軽量であり、かつ大容量の電池性能を有する必要がある。そのような電池として、リチウム二次電池が注目されている。一方、定置で使用される大型の二次電池の分野においても、従来の鉛蓄電池に代えて、大型の非水電解質の二次電池が望まれている。また、近年、資源枯渇や環境問題の観点から、ハイブリッド自動車や電気自動車などに見られるように、二次電池を動力源として使用することも検討されている。
上述の要求に応えるために、リチウム二次電池の開発が活発に行われている。例えば、リチウム二次電池の電極は、金属箔の集電体表面に正極合剤層を備えた正極と、金属箔の集電体表面に負極合剤層を備えた負極とから構成することができる。上記正極合剤層は、例えば、リチウムイオンを含む正極活物質、導電助剤、及びバインダー樹脂を含む電極形成用組成物から形成することができる。一方、上記負極合剤層は、例えば、リチウムイオンの脱挿入可能な負極活物質、導電助剤、及びバインダー樹脂を含む電極形成用組成物から形成することができる。
一般に、リチウムイオン二次電池用の正極活物質として、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、及びニッケル酸リチウム等のリチウム遷移金属複合酸化物が用いられる。上記リチウム遷移金属複合酸化物によれば、高容量、及び高電圧の電池特性が得られる。また、上記リチウム遷移金属複合酸化物は、高い充填性が得られる点でも優れる。そのため、携帯機器の小型及び軽量化の要求に向けて有利である。
しかしながら、上記リチウム遷移金属複合酸化物は、熱安定性、及び充放電時における組成変化による性能低下が起こり易い傾向がある。さらに、上記リチウム遷移金属複合酸化物は、希少金属を使用することになるため、一般に高価である。そのため、これらに対する改善策が求められている。
これに対して、オリビン構造を有するリチウムリン系複合酸化物は、リンと酸素とが共有結合しているので、安定性に優れている。そのため、充放電反応を繰り返した場合にも、それらの結晶構造は安定しており、サイクル特性の劣化が少ないという利点がある。また、それらは、高温においても酸素放出が起こらず、安全性に優れ、また安価な正極材料として注目されている。このようなオリビン構造を有する正極材料の具体例として、下式で示される、鉄を主原料としたリン酸鉄系リチウム化合物が挙げられる。
LiFe1−xPO (0≦x≦1)
(式中、Mは、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、及びコバルト(Co)等から選択される少なくとも1種の金属材料である。)
一方、上記オリビン構造を有する正極材料は、リチウムイオンの移動経路が一次元的であること、及び自由電子が少ないという欠点がある。そのため、電池充放電時のリチウムの挿入脱離反応が遅く、電気抵抗が本質的に大きい。すなわち、大きな電流で充放電を行った場合に、抵抗過電圧や活性化過電圧が増大し、電池の電圧が低下することになり、十分な充放電容量が得られない傾向がある。また、体積あたりの充放電容量が低いため、エネルギー密度の点で不利である。したがって、合材層などの電極材料における活物質粒子の充填性の向上など、電池特性の改善を図る方法が求められている。
上記課題を解決するために、様々な手法が検討されている。例えば、特許文献1及び2は、活物質合材層中にカーボンブラックや繊維状炭素等の導電材を添加し、電子伝導性を改善する方法を開示している。このような方法は当技術分野では一般的である。また、特許文献3及び4は、リチウムリン酸鉄の粒子表面を炭素で被覆することによって、電子電導性を改善する手法を開示している。特許文献5及び6は、一次粒子を微粒子化することによって、反応が進行する面積を増やすと共に、リチウムリン系複合酸化物粒子内部をリチウムイオンが拡散する距離と電流が流れる距離とを短くする手法を開示している。特許文献7は、炭素被覆された活物質とカーボンナノチューブとをメカノケミカル処理によって複合化させることにより、大電流による放電特性を高める手法を開示している。特許文献8は、溶媒中に正極活物質粒子と繊維状炭素とを分散したスラリーを噴霧造粒することによって、上記活物質粒子に対して上記繊維状炭素が均一に複合化された造粒物を得る手法を開示している。
特開平11−283629号公報 特許第4784085号公報 特開2008−034306号公報 特許第4297406号公報 特開2002−015735号公報 特開2008−159495号公報 特開2009−43514号公報 特開2009−176720号公報
特許文献3及び4の方法は、粒子表面を炭素で被覆した活物質粒子を電極材料として使用している。そのような炭素被覆を有する活物質粒子を用いて合材層を形成した場合、上記炭素被覆を介して活物質粒子間の導電パスが形成される。しかし、実際のところ、上記炭素被覆のみでは、十分な導電パスを形成することが難しく、カーボンブラックなどの導電助剤を追加する必要がある。
また、特許文献5及び6に記載の方法のように、粒子径を小さくした活物質粒子を電極材料として用いた場合、電解液と正極材料とが接触する表面積は著しく大きくなる。そのため、電解液の劣化によるサイクル特性の低下などの性能低下が起こり易い傾向がある。
また、特許文献1、2に記載されるように、通常、活物質粒子間の良好な導電パスを形成させるためには、合材層形成用のスラリー調製時に、カーボンブラックなどの導電助剤の添加量を増量する必要がある。しかし、上記合材スラリー調製時に、カーボンブラックが凝集してしまい、一般的に、電極中で活物質粒子間の良好な導電パスを形成することは難しい。上記導電助剤として、カーボンナノチューブのような繊維状炭素を使用した場合、それらが高い導電特性を有するため、導電助剤の添加量を低減できるという利点がある。上記繊維状炭素は、通常、繊維状炭素同士が絡み合って糸玉状になっている。そのため、これらをほぐして活物質と均一に混合することは非常に難しく、繊維状炭素のポテンシャルを十分に引き出すことができない場合がある。また、合材スラリーの安定化や、電極と集電箔との接着強度を高める観点から、導電助剤の添加量の増加に伴って、結着剤の必要量も増大することになる。その結果、合材層における活物質の充填量を高めることが困難となる傾向がある。
一方、特許文献7の方法では、炭素被覆を有する活物質とカーボンナノチューブとをメカノケミカル処理により複合化して得られる複合体を電極材料として用いている。特許文献7では、上記カーボンナノチューブの繊維長が2μm以上、10μm以下である場合、上記カーボンナノチューブによって複数の活物質が接続され、効率よい導電ネットワークが形成されることを開示している。しかし、実際のところ、開示された方法のように、糸玉状に絡み合ったカーボンナノチューブをほどきながら、活物質粒子と複合化することは困難である。その結果、合材スラリーには、局所的に、カーボンナノチューブの凝集体が存在しやすい傾向がある。そのため、カーボンナノチューブの添加量が少ない状態では、十分な導電ネットワークを形成することが困難である場合がある。
また、特許文献8の方法では、活物質と分散剤と繊維状炭素とを界面活性剤で分散させて得られる造粒粒子を電極材料として用いる。上記造粒粒子において、上記繊維状炭素は粒子と均一に複合化されている。しかし、そのような造粒粒子を使用した場合であっても、導電性が十分とはいえず、さらなる改善が望まれている。また、上記方法では、好ましい活物質として、マンガン酸リチウムを挙げており、リチウムリン系複合酸化物を使用して上記方法をそのまま適用することは困難である場合がある。
したがって、本発明は、優れた電池性能を有するリチウム二次電池の実現に向けて、電極材料として好適に使用できる活物質を提供することを課題とする。より具体的には、本発明の課題の1つは、体積抵抗が低く、かつ少量の導電助剤によって、合材層における良好な導電パスを形成することが可能な、正極用の造粒粒子を提供することである。また、本発明の課題の1つは、そのような造粒粒子を正極合材層の材料として使用することによって、高い電池容量、優れた負荷特性及びサイクル特性を達成することができる、リチウム二次電池を提供することである。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に記載の実施形態に関する。
<1>リチウム二次電池正極用の造粒粒子であって、上記造粒粒子は、以下の成分(a)〜(c)を溶媒中に分散させたスラリーから溶媒を除去することによって得られる造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって得られ、
(a)導電性炭素で被覆された、下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)
(式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
(b)繊維状炭素、及び
(c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤
上記造粒粒子において、(a)リチウムリン酸金属粒子と、上記(b)繊維状炭素とが複合化されており、平均粒子径が2〜20μmであり、
上記造粒粒子中の炭素原子の濃度が上記造粒粒子の中心部から表層部に向けて高くなり、
上記造粒粒子の中心点を含む断面において、上記造粒粒子の半径を5等分した時に、1/5の半径で区画される上記中心部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が20重量%未満であり、
4/5から5/5の半径で区画される上記表層部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が15〜50重量%である、造粒粒子。
<2>リチウム二次電池正極用の造粒粒子であって、上記造粒粒子は、以下の成分(a1)〜(c)を溶媒中に分散させたスラリーから溶媒を除去することによって得られる造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって得られ、
(a1)下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)(式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
(a2)上記(a1)リチウムリン酸金属粒子の表面に導電性炭素を形成するための有機物、
(b)繊維状炭素、及び
(c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤
上記造粒粒子において、導電性炭素で被覆された上記(a1)リチウムリン酸金属粒子と、上記(b)繊維状炭素とが複合化されており、平均粒子径が2〜20μmであり、
上記造粒粒子中の炭素原子の濃度が上記造粒粒子の中心部から表層部に向けて高くなり、
上記造粒粒子の中心点を含む断面において、上記造粒粒子の半径を5等分した時に、1/5の半径で区画される上記中心部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が20重量%未満であり、
4/5から5/5の半径で区画される上記表層部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が15〜50重量%である、造粒粒子。
<3>上記高分子分散剤が、芳香環を有する化合物である、上記<1>又は<2>に記載の造粒粒子。
<4>上記繊維状炭素が、気相成長炭素繊維及びカーボンナノチューブの少なくとも一方であり、上記スラリー中におけるアスペクト比が5〜1000であり、かつ繊維径が100nm以下である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の造粒粒子。
<5>上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のリチウム二次電池正極用の造粒粒子と、溶剤と、バインダー成分とを含む、リチウム二次電池正極用の合材インキ。

<6>さらに導電助剤成分を含む、上記<5>に記載の合材インキ。
<7>集電体と、上記集電体の表面に形成された、正極及び負極の合材層とを有するリチウムイオン二次電池であって、上記正極の合材層が、上記<5>又は<6>に記載の合材インキから形成される、リチウムイオン二次電池。
<8>上記<1>に記載のリチウム二次電池正極用の造粒粒子の製造方法であって、
(i)以下の成分(a)〜(c)を分散処理して、スラリーを形成する工程
(a)導電性炭素で被覆された、下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)(式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
(b)繊維状炭素、
(c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤;
(ii)上記スラリーから溶媒を除去して造粒粒子前駆体を形成する工程;及び
(iii)上記造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって造粒粒子を形成する工程を有する、造粒粒子の製造方法。
<9>上記<2>に記載のリチウム二次電池正極用の造粒粒子の製造方法であって、
(i)以下の成分(a1)〜(c)を分散処理して、スラリーを形成する工程と、
(a1)下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)(式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
(a2)上記(a1)リチウムリン酸金属粒子の表面に導電性炭素を形成するための有機物、
(b)繊維状炭素、
(c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤;
(ii)上記スラリーから溶媒を除去して造粒粒子前駆体を形成する工程;及び
(iii)上記造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって造粒粒子を形成する工程を有する、造粒粒子の製造方法。
<10>上記工程(ii)が、噴霧乾燥法によって実施される、上記<8>又は<9>に記載の製造方法。
本発明のリチウム二次電池正極用の造粒粒子は、活物質粒子と繊維状炭素とが複合化された造粒粒子であり、造粒粒子の中心部と表層部とは、繊維状炭素の存在量に勾配があり、繊維状炭素の存在量は外部に向かって高くなる。そのような造粒粒子を使用することによって、電極合材層において良好な導電パスが得られるため、大電流による放電特性の改善が容易となる。また、繊維状炭素の存在量の勾配によって、カーボンナノチューブの添加が少量であっても、電極合材層の全体にわたって、良好な導電パスが形成されることになる。さらに、上記造粒粒子によれば、正極合材層での活物質の高充填化が可能となり、大電流による放電特性に優れた二次電池を提供することが容易となる。
本発明の造粒粒子によれば、体積抵抗の低い活物質を実現することができ、また導電助剤の使用が少量であっても、合材層の導電パスを良好に形成することができるため、正極材料として好適に使用できる。したがって、上記造粒粒子の使用によって、リチウム二次電池において、高い電池容量と、優れた負荷特性及びサイクル特性を達成することが容易となる。
さらに、本発明の造粒粒子では、造粒粒子の表層近傍の細孔内にも繊維状炭素が存在する。そのため、上記細孔内への電解液の進入を妨げることなく、上記細孔内に結着材として使用したバインダーが侵入することを防止することができる。その結果、活物質粒子同士や、合材層と集電体との間に十分なバインダーが存在することになり、バインダー不足による結着性の低下を防止することができる。
本発明の開示は、2012年5月10日に出願された特願2012−108866号及び2013年2月8日に出願された特願2013−022826号の主題に関し、これらの明細書の開示は全体的に参照のために本明細書に組み込むものとする。
図1は、本発明の造粒粒子の断面構造を示す概念図である。 図2は、本発明の造粒粒子を説明する模式的断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<リチウム二次電池正極用の造粒粒子>
本発明の第1の態様は、リチウム二次電池正極用の造粒粒子に関する。本発明の造粒粒子は、少なくとも、(a)導電性炭素で被覆されたリチウムリン酸金属粒子と、(b)繊維状炭素とが複合化された複合体である。上記造粒粒子の平均粒子径は、2〜20μmであり、上記造粒粒子中の炭素原子の濃度が、上記造粒粒子の中心部から表層部に向けて高くなる、濃度勾配を有することを特徴とする。
本発明の造粒粒子を構成する、(a)導電性炭素で被覆されたリチウムリン酸金属粒子、及び(b)繊維状炭素の詳細は以下のとおりである。
(a)導電性炭素で被覆されたリチウムリン酸金属粒子:
上記(a)は、リチウムリン酸金属粒子を、当技術分野で周知の方法に従って、導電性炭素で被覆することによって得ることができる。また、リチウムリン酸金属粒子の調製時に導電性炭素を使用し、上記粒子の形成と同時に導電性炭素の被覆層を形成する方法によって得ることもできる。本明細書では、上記(a)成分を活物質粒子と称する場合もある。本発明において、上記リチウムリン酸金属粒子は、下記一般式(1)で示される化合物を意図している。
一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)
(式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
上記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子の具体例として、LiFePO、LiMnPO、LiFe0.5Mn0.5POなどが挙げられる。しかし、本発明では、上記一般式(1)で示される化合物であれば、いかなる化合物であってもよい。
上記リチウムリン酸金属粒子を被覆する導電性炭素は、導電性を有する炭素材料であればよく、特に限定されない。本発明の一実施形態では、結晶性の高い導電性炭素を使用し、上記粒子表面に少なくとも1層の被覆層を形成することが好ましい。具体的には、TEM像によって、グラファイト層が観察できる炭素材料を使用することが好ましい。
上記被覆を形成するための導電性炭素の量は、特に限定されない。本発明の一実施形態では、導電性、及び活物質として十分な性能を得る観点から、上記リチウムリン酸金属粒子の全重量を基準として、導電性炭素の使用量は、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。上記使用量を0.1重量%以上とすることによって、十分な導電性を容易に得ることができる。また、上記使用量を5重量%以下にすることによって、実際に蓄電能を担う活物質粒子の量を減少することなく、造粒粒子を構成することができる。
本発明で使用する上記リチウムリン酸金属粒子の平均一次粒子径は、好ましくは50〜300nm、より好ましくは60〜250nmである。このように、平均一次粒子径が比較的小さい粒子を使用することによって、活物質としての反応面積を増大させることが容易となる。本発明において、一次粒子の平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)の拡大画像(例えば20,000倍〜100,000万倍)で観察することによって測定された値の平均値のことを示す。詳細には、リチウムリン酸金属粒子の粉末のSEM像から、任意に20個の粒子を選択し、それらの長径と短径とを測定して得た値の平均値である。
(b)繊維状炭素:
上記繊維状炭素は、カーボン繊維、グラファイト繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノチューブからなる群から選択される、少なくとも1種類を含有することが望ましい。また、上記繊維状炭素の繊維径は、5nm〜200nmであることが望ましい。
本発明の一実施形態において、上記繊維状炭素は、繊維長が0.5μm以下である第1の繊維状炭素と、繊維長が1μm以上の第2の繊維状炭素との組合せを含むことが好ましい。このような実施形態において、0.5μm以上、かつ1μm以下の第3の繊維状炭素を含んでもよい。上記第1の繊維状炭素を使用することによって、繊維状炭素と活物質粒子とを複合化させる際に、繊維状炭素が活物質粒子の表面に吸着しやすくなる。また、上記第2の繊維状炭素を使用することによって、活物質粒子の間の橋渡しが容易となる。その結果、活物質粒子同士が直接接触していない場合でも、良好な導電パスを形成することが可能となる。
上記繊維状炭素の繊維長は、後述するスラリーの調製時に、繊維状炭素を溶媒中に分散させるための分散強度、及び分散時間を適宜変更することによって調整することができる。また、造粒粒子中の繊維状炭素の形状についても、スラリー調製時の分散条件によって適宜調整することができる。本発明の一実施形態において、造粒粒子中の繊維状炭素のアスペクト比は、5〜1000が好ましく、5〜200がより好ましい。スラリー調製時に使用可能な分散装置として、例えば、超音波型分散機、攪拌型分散機、高速回転せん断型分散機、ミル型分散機、高圧噴射型分散機などが挙げられる。繊維状炭素の繊維径がより細く、アスペクト比が小さい場合、造粒粒子の乾燥時に溶媒の対流を受けやすくなるため、好ましい。
造粒粒子において、繊維状炭素の添加量は、リチウム二次電池正極用造粒粒子の導電性を高める観点から、活物質粒子100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上であり、より好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上である。また、活物質粒子表面への被覆性、及び活物質粒子の充填性の観点から、上記添加量は、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下である。これらの観点を総合すると、繊維状炭素の添加量は、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましく、0.5〜3重量部が更に好ましい。
本発明の造粒粒子は、2〜20μmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が上記範囲内であれば、合材インキにおいて優れた分散性、合材層において優れた充填性を容易に得ることができる。本発明において、造粒粒子の平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)の拡大画像(例えば20,000倍〜100,000倍)で観察することによって測定された値の平均値のことを示す。詳細には、リチウム二次電池正極用造粒粒子の粉末のSEM像から、任意に20個の粒子を選択し、それらの長径と短径とを測定して得た値の平均値である。
造粒粒子中のリチウムリン酸金属粒子と繊維状炭素との分散状態は、特に限定されないが、それぞれが凝集することなく、均一に分散された状態で造粒されていることが好ましい。繊維状炭素が凝集した状態では、良好な導電パスが形成されないため、好ましくない場合がある。
図1は、本発明の造粒粒子の断面構造を示す概念図である。図1に見られるように、本発明の造粒粒子1は、中心部から表層部に向けて繊維状炭素1aの存在量が多くなっている。図1中、参照符号1bは、活物質粒子を示す。すなわち、本発明の造粒粒子は、炭素の濃度勾配を有し、導電パスの形成に寄与の大きい表層部での炭素原子の存在量が多いため、導電パスの形成に有効である。したがって、導電性炭素が粒子全体に均一に分布している場合と比べて、繊維状炭素の添加量を少なくした場合であっても、電極合材層の全体にわたって良好な導電パスの形成が可能となる。このような観点から、導電性炭素の存在量が粒子の内側で多くなるような炭素の濃度勾配は、活物質粒子間の導電性パスの形成が困難となるため、好ましくない。
図2は、上記造粒粒子の中心点を含む粒子断面を模式的に示している。本発明の造粒粒子の一実施形態において、造粒粒子の中心点(A)を含む粒子断面の半径(B)を5等分した時に、1/5Bの半径で区画される中心部(2a)では、鉄原子全重量に対する炭素原子の比率は20重量%未満であることが好ましい。一方、4/5Bから5/5Bの半径で区画される表層部(2b)では、鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が15〜50重量%であることが好ましい。より好ましくは、上記炭素原子の比率は、上記造粒粒子の上記中心部において5〜10重量%、上記表層部において20〜40重量%である。
本発明において、「鉄原子全重量に対する炭素原子の比率」とは、粒子断面の定量分析により求めることができる。上記炭素原子の比率は、リチウムリン酸金属粒子を被覆する炭素と、繊維状炭素との合計を意味する。リチウムリン酸金属粒子を被覆する炭素は、リチウムリン酸金属粒子をほぼ均一に被覆し、かつ造粒粒子の内側と外側とでは含有量にほとんど差がない。そのため、実際には、本発明における、上記炭素原子の比率は、繊維状炭素の含有量を表す指標となり、具体的には、図2に示すように、造粒粒子の中心点を含む断面において、中心部(2a)、及び表層部(2b)にそれぞれ存在する元素の比率をEDXによって求め、重量比に換算した値である。上記EDXによる測定は、上記中心部および上記表層部における5視野の平均値として求めることにより実施した。
本発明の造粒粒子の圧壊強度(MPa)は、特に限定されない。しかし、平均一次粒子径の小さな活物質粒子を造粒して作製していることから、0.2〜20MPaに設定することが可能である。特に、本発明では、活物質粒子間に、繊維状炭素が凝集することなく分布しているため、造粒粒子としては比較的高い圧壊強度の粒子を得ることができる。本発明の一実施形態において、造粒粒子の圧壊強度は、好ましくは、1〜20MPaの範囲である。上記造粒粒子の圧壊強度(JIS R 1639−5)は、微小圧縮試験機(商品名:MCT−210(株)島津製作所)を用い測定することができる。
本発明の造粒粒子の体積抵抗は、電極において十分な導電性を付与する観点から、0.01〜20Ω・cm以下が好ましい。なお、本発明において、体積抵抗の測定は、三菱化学アナリテック社製の粉体抵抗測定システム MCP−PD51型を使用し、粉体圧縮密度2.5g/cmのときの電気抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出して得た値である。
本発明の一実施形態において、上記造粒粒子は、活物質粒子及び繊維状炭素以外に、バインダー成分を含んでいても良い。そのような造粒粒子は、製造時に上記活物質粒子及び繊維状炭素とバインダー成分とを同時に造粒することによって得られる。そのような造粒粒子は、溶剤と混合することによって、合材インキを容易に作製することが可能である。また、そのような造粒粒子は、造粒粒子の形態で保存でき、合材インキの保存安定性を考慮する必要がないという利点がある。上記バインダー成分としては、水系エマルションが好ましい。例えば、スチレン−アクリル樹脂、PTFE、特許文献WO2010/114119号公報に記載の架橋性樹脂微粒子などを使用することができる。
<造粒粒子の製造方法>
本発明の造粒粒子は、いかなる製造方法によって得られたものであってもよい。本発明の造粒粒子の製造方法は限定されないが、好ましい一実施形態として、スラリーから造粒する工程を含む方法が挙げられる。すなわち、本発明の第2の態様は、(i)造粒粒子の構成材料を含むスラリーを形成する工程と、(ii)上記スラリーから溶媒を除去して造粒粒子前駆体を形成する工程と、(iii)造粒粒子前駆体を不活性雰囲気下で焼成して造粒粒子を形成する工程を含む、造粒粒子の製造方法に関する。
上記スラリーを形成する工程(i)は、活物質粒子と繊維状炭素とを溶媒中に分散させた状態にすることを意図する。具体的な方法は、例えば、繊維状炭素を溶媒中で分散させた後、活物質粒子を添加して、それらを混合攪拌する方法を適用することができる。本発明で使用できる分散装置及び混合装置は、例えば、超音波型分散機、攪拌型分散機、高速回転せん断型分散機、ミル型分散機、高圧噴射型分散機などである。ここで、本発明において「活物質粒子と繊維状炭素とが分散した状態」とは、スラリーをサンプリングして所定濃度に希釈した時に、グラインドゲージによる粒度(JIS K5101)が15μm未満となる状態を意味する。特に限定するものではないが、上述の分散状態を得ることが容易である点で、本発明の一実施形態では、超音波型分散機を用いる方法が好ましい。
工程(i)において使用できる溶媒は、特に限定されない。本発明の一実施形態において、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、水、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、酢酸エチルなどを好適に使用することができる。これらの溶媒は単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。溶媒除去の簡便性、分散能力、及びコストの観点から、水、メタノールを用いることが好ましい。
上記溶媒を除去する工程(ii)は、上記工程(i)で得たスラリーから溶媒を除去し、凝集体を得ることを意図する。上記凝集体は、造粒粒子前駆体となる。上記溶媒の除去方法は、高速攪拌機による加熱乾燥、及び噴霧乾燥など、当技術分野で一般的に用いられる方法を適用することができる。例えば、上記噴霧乾燥を適用する場合、炭素材料を活物質粒子とともに溶媒中に分散し、高温雰囲気下に噴霧することによって、瞬時に溶媒を飛ばして、炭素材料が複合化された活物質粒子の造粒粒子を形成することができる。
上記工程(ii)において、噴霧乾燥による造粒を選択する場合、工程(i)におけるスラリーの固形分含量は、5〜40wt%の範囲が好ましく、10〜30wt%の範囲がより好ましい。スラリー中の固形分含量を上記範囲に調整することによって、活物質粒子及び導電性炭素を十分に分散させることができ、かつ噴霧乾燥によって造粒を実施するのに十分な粘度を得ることが容易となる。
上記工程(i)では、分散状態の良好なスラリーを形成することが重要である。上記工程(i)での分散状態が不十分であると、活物質粒子や繊維状炭素が凝集したまま、造粒粒子中に存在することになる。その結果、造粒粒子の中心付近の炭素原子存在量が多い造粒粒子が形成され易くなる。本発明の一実施形態では、スラリーの調製時に高分子分散剤を添加することが好ましい。高分子分散剤の使用によって、スラリー中の各構成材料の良好な分散状態を維持させることが容易になる。その結果、引き続き実施される上記工程(ii)において、活物質粒子間に、繊維状炭素が凝集することなく、分散剤を介して均一に分布した状態の凝集体得ることが容易となる。通常、噴霧造粒などの溶媒を除去する工程では、スラリーが乾燥することによって活物質粒子や繊維状炭素が凝集して二次粒子の形成が進み、溶媒は二次粒子の中心から外側に向かって移動する。高分子分散剤を使用した場合、繊維状炭素は高分子分散剤を介して良好に分散され、また活物質粒子よりも比重が軽いため、溶媒の対流の影響を大きく受けて、二次粒子の外側に向かって移動することになる。理論によって拘束するものではないが、上述のことから、本発明によれば、粒子の表面付近に、より多くの繊維状炭素が存在する造粒粒子を得ることが可能になったと考えられる。
本発明の一実施形態において、上記高分子分散剤は、重量平均分子量(Mw)が3000〜70000であることが好ましい。Mwが上記範囲内の高分子分散剤を使用することによって、粒子径や比表面積の異なる活物質粒子と繊維状炭素との両方を十分に分散させることが容易である。使用する高分子分散剤の分子量が小さすぎると、活物質粒子と繊維状炭素との両方を十分に分散させることが困難となる場合がある。また、使用する分高分子散剤の分子量が大きすぎると、分散された繊維状炭素が溶媒の対流を受けにくくなる傾向がある。上記高分子分散剤は、より好ましくは、Mwが5000〜60000の化合物である。
本発明では、分散剤として特定の高分子分散剤を使用することによって、目的とする造粒粒子を容易に製造することができる。本発明の一実施形態において、上記高分子分散剤は、塩基性官能基および酸性官能基の少なくとも一方の官能基を有することが好ましい。このような塩基性官能基および/または酸性官能基を有する高分子分散剤は、それら官能基によって活物質及び繊維状炭素の表面に作用又は吸着できる能力を有する点で好ましい。本発明で使用できる塩基性官能基および/または酸性官能基を有する高分子分散剤は、上記官能基によって活物質及び繊維状炭素の表面に作用又は吸着できるものであれば、その骨格は特に限定されない。以下、本発明で使用できる高分子分散剤について具体的に記載する。
(酸性官能基を有する高分子分散剤)
本発明で使用できる酸性官能基を有する高分子分散剤は、市販品として入手することもできる。特に限定するものではないが、酸性官能基を有する市販の高分子分散剤としては、例えば、以下が挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもよい。
ビックケミー社製の高分子分散剤:Anti−Terra−U、U100、203、204、205;Disperbyk−101、102、106、107、110、111、140、142、170、171、174、180、190、194、2001;BYK−P104、P104S、P105、9076、及び220S等。
日本ルーブリゾール社製の高分子分散剤:SOLSPERSE3000、21000、26000、36000、36600、41000、41090、43000、44000、及び53095等。
エフカアディティブズ社製の高分子分散剤:EFKA4510、4530、5010、5044、5244、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、及び5071等。
味の素ファインテクノ社製の高分子分散剤:アジスパーPN411、及びアジスパーPA111等。
ELEMENTIS社製の高分子分散剤:NuosperseFX−504、600、605、FA620、2008、FA−196、及びFA−601等。
ライオン社製の高分子分散剤:ポリティA−550、及びポリティPS−1900等。
楠本化成社製の高分子分散剤:ディスパロン2150、KS−860、KS−873SN、1831、1860、PW−36、DA−1200、DA−703−50、DA−7301、DA−325、DA−375、及びDA−234等。
BASFジャパン製の高分子分散剤:JONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、52J、57J、60J、61J、62J、63J、70J、HPD−96J、501J、354J、6610、PDX−6102B、7100、390、711、511、7001、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630、352J、252D、538J7640、7641、631、790、780、及び7610等。
三菱レイヨン製の高分子分散剤:ダイヤナールBR−60、64、73、77、79、83、87、88、90、93、102、106、113、及び116等。
(塩基性官能基を有する高分子分散剤)
また、本発明で使用できる塩基性官能基を有する高分子分散剤についても、市販品として入手することができる。特に限定するものではないが、市販の塩基性官能基を有する高分子分散剤としては、例えば、以下が挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもよい。
ビックケミー社製の高分子分散剤:Disperbyk−108、109、112、116、130、161、162、163、164、166、167、168、180、182、183、184、185、2000、2001、2050、2070、2150、及びBYK−9077。
日本ルーブリゾール社製の高分子分散剤:SOLSPERSE9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、20000、24000SC、24000GR、28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、37500、38500、及び39000。
エフカアディティブズ社製の高分子分散剤:EFKA4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4400、4401、4402、4403、4406、4500、4550、4560、4570、4580、及び4800。
味の素ファインテクノ社製の高分子分散剤:アジスパーPB711、アジスパーPB821、及びアジスパーPB822。
楠本化成社製の高分子分散剤:ディスパロン1850、1860、及びDA−1401。
共栄社化学製の高分子分散剤:フローレンDOPA−15B、及びフローレンDOPA−17等。
本発明において高分子分散剤は先の例示に限定されず、分子内に酸性官能基と塩基性官能基との両方を有する高分子分散剤であってもよい。例えば、本発明の一実施形態では、高分子分散剤として、ビックケミー社製のDisperbyk−187及び2010を好適に使用することができる。
本発明の一実施形態では、分散性の観点から、酸性官能基を有する高分子分散剤を使用することがより好ましい。そのような高分子分散剤の酸価は、1〜400mgKOH/mgであることが好ましい。より好ましくは、高分子分散剤の酸価は5〜300mgKOH/mgである。
また、上記高分子分散剤は、分散対象である炭素材料との親和性の観点から、スチレン構造等の芳香環を含む構造を有する化合物であることが好ましい。特に限定するものではないが、本発明の一実施形態では、酸性官能基及び塩基性官能基の少なくとも一方を有し、かつ芳香環を含む構造を有する高分子分散剤として、ビックケミー社製のDisperbykシリーズ、BASFジャパン製のJONCRYL(ジョンクリル)シリーズを好適に使用することができる。特に、酸性官能基を有し、かつスチレン構造を有する化合物である、Disperbyk−190及びジョンクリル62Jを使用した場合には、優れた分散状態を得ることが容易である点で好適である。
上述の各種高分子分散剤は、単独で、あるいは二種以上の分散剤を混合して用いることができる。スラリーの分散状態と粘度を好適に調整する目的、および活物質粒子と繊維状炭素とを上記高分子分散剤を介して、固着複合化させる目的から、上記分散剤の添加量を適切に調整することが好ましい。本発明の一実施形態において、上記高分子分散剤の添加量は、活物質粒子の全重量に対して、好ましくは0.1〜50wt%であり、より好ましくは0.5〜20wt%である。また、別の側面では、上記高分子分散剤の使用量は、繊維状炭素100重量部に対して、好ましくは5〜200重量部であり、より好ましくは20〜100重量部である。
上記高分子分散剤は、絶縁性の成分である。そのため、通常、それら高分子分散剤が電極合材層中に残留した場合、導電阻害の因子となり得る。しかし、本発明では、後工程として、不活性雰囲気下での焼成を行うことによって、分散剤を分解あるいは炭化させることができる。その結果、本発明の製造方法によれば、繊維状炭素を分散させるために、十分な量の分散剤を使用することができる。
上記工程(iii)は、上記工程(ii)で得た造粒粒子前駆体を不活性雰囲気下で焼成することによって、活物質粒子を酸化させることなく、導電性炭素で被覆された上記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子と、繊維状炭素とを固着複合化させることを意図する。上記不活性雰囲気として、アルゴンなどの希ガスや窒素などを満たした雰囲気、又は真空雰囲気を適用することができる。上記焼成温度は、500〜800℃の範囲が好ましい。焼成温度を500℃以上にした場合、炭素材料との複合強度が高まり、複合体の導電性が向上させることが容易である。一方、焼成温度を800℃以下にした場合、活物質粒子における粒子成長、炭素量の低下、Liの揮発などの不具合を容易に抑制することができる。
高分子分散剤は絶縁性の成分であるが、上記焼成工程(iii)によって炭化する。そのため、高分子分散剤の使用は、導電性炭素で被覆されたリチウムリン酸金属粒子と繊維状炭素との複合化に寄与するだけでなく、導電性炭素材料となる点でも好ましい。
以上の観点から、本発明の造粒粒子の製造方法の好ましい一実施形態は、
(i)以下の成分(a)〜(c)を分散処理して、スラリーを形成する工程;
(a)導電性炭素で被覆された、下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)(式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
(b)繊維状炭素、
(c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤;
(ii)上記スラリーから溶媒を除去して造粒粒子前駆体を形成する工程;及び
(iii)上記造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって造粒粒子を形成する工程を有する。ここで、上記工程(i)は、超音波分散機を用いた分散処理によって実施されることが好ましい。上記工程(ii)は、噴霧乾燥法によって実施されることが好ましい。また上記工程(iii)は、500〜800℃の温度で実施されることが好ましい。
本発明の造粒粒子を製造する別の実施形態として、上記実施形態の工程(i)において、(a)導電性炭素で被覆されたリチウムリン酸金属粒子の代わりに、(a1)リチウムリン酸金属粒子と、(a2)上記リチウムリン酸金属粒子表面に導電性炭素を形成するための有機物とを使用してもよい。この方法では、上記有機物を、焼成する工程(iii)によって炭化させ、リチウムリン酸金属粒子表面を導電性炭素で被覆した状態にすることが可能である。
上記実施形態において、リチウムリン酸金属粒子表面に導電性炭素を形成するための有機物は、特に限定されるものではない。例えば、ビチューメン類、糖類、熱可塑性樹脂、脂肪族系炭化水素、脂肪族系アルコール、脂肪族系カルボン酸、脂環式炭化水素、脂環式アルコール、脂環式カルボン酸、天然材料である天然ワックス、天然樹脂、及び植物油等が挙げられる。これらの材料は、2種類以上を併用して使用することもできる。
ビチューメン類としては、天然アスファルト、原油の精製過程で得られる石油アスファルト、石炭の精製過程で得られるコールタール等が挙げられる。さらに、これらから得られるピッチ類及びレジン類等も含まれる。天然アスファルトとしては、レーキアスファルト、ロックアスファルト、サンドアスファルト、ギルソナイト、グランスピッチ、グラハマイト等が挙げられる。石油アスファルトとしては、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱歴アスファルト等が挙げられる。
糖類としては、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖が挙げられる。単糖としては、グリセルアルデヒド、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等が挙げられる。二糖としては、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース等が挙げられる。オリゴ糖としては、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖等が挙げられる。多糖としては、セルロース、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、ペクチン、グルコマンナン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリエーテル類、アセチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等の合成ゴム等が挙げられる。又、これらの樹脂の変性体、混合物、又は共重合体でも良い。具体的には、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、及びビニルピロリドン等を構成単位として含む共重合体が挙げられる。
脂肪族系炭化水素及び脂環式炭化水素としては、特に限定するものではなく、常温及び常圧下で液体または固体である上記炭化水素化合物であってよい。特に限定するものではないが、本発明の一実施形態では、炭素含有率及び取扱い易さ等の観点から、炭素数10以上の炭化水素化合物が好ましい。飽和炭化水素、不飽和炭化水素のいずれの化合物であっても使用できる。さらに、パラフィン、流動パラフィン、石油ワックス等の混合物も使用できる。
脂肪族系アルコール及び脂環式アルコールとしては、特に限定するものではなく、常温及び常圧下で液体または固体である上記アルコール化合物であってよい。特に限定するものではないが、炭素含有率及び取扱い易さ等の観点から、炭素数3以上、または2価以上の上記アルコールが好ましい。
脂肪族系カルボン酸及び脂環式カルボン酸としては、特に限定するものではなく、常温及び常圧下で液体または固体である上記カルボン酸化合物であってよい。特に限定するものではないが、炭素含有率及び取扱い易さ等の観点から、炭素数5以上の上記カルボン酸が好ましい。
天然ワックスとしては、植物系ワックスと鉱物系ワックスが挙げられる。植物系ワックスとしては、原料の植物の違いによって、カルナバワックス、ライスワックス、キャデリラワックス、ジャパンワックス等が挙げられる。一方、鉱物系ワックスとしては、褐炭より溶剤抽出して作られるモンタンワックス等があるが、主に変性して使われる。変性された天然ワックスとしては、モンタンワックスの酸化またはエステル化変性物が挙げられる。
特に限定するものではないが、市販品として入手できる植物系天然ワックスの一例を以下に挙げる。
東洋アドレ社製の天然ワックス:カルナバ1号、カルナバ2号、カルナバ3号、及びキャンデリラワックス等。
東亜化成社製の天然ワックス:ライスワックス脱色品、精製ライスワックス、及びジャパンワックス等。
三木化学工業社製の天然ワックス:ビーズワックス等。
セラリカNODA社製の天然ワックス:雪ロウ等。
特に限定するものではないが、市販品として入手できる変性天然ワックスの一例を以下に挙げる。
東洋アドレ社製の変性天然ワックス:モンタンワックスEP、モンタンワックスOP、及びモンタンワックスNA等。
BASF社製の変性天然ワックス:LUWAX−S、LUWAX−E、LUWAX−OP、及びLUWAX−LEG等。
クラリアント社製の変性天然ワックス:リコワックスE、リコルブWE4、リコルブWE40、リコモントET141、及びリコモントET132等。
天然樹脂としては、樹皮から分泌される樹脂に含まれる不揮発分の固体または半固形体の物質や、樹木に寄生するラックカイガラムシが分泌する樹脂状物質が挙げられる。具体的な天然樹脂としては、ロジン、ダンマル、コパール、シェラック等が挙げられる。
特に限定するものではないが、市販品として入手できる天然樹脂の一例を以下に挙げる。
ハリマ化成社製の天然樹脂:トールロジンR−X、及びトールロジンR−WW等。
荒川化学社製の天然樹脂:ガムロジン。
安土産業社製の天然樹脂:中国ガムロジンXグレード、中国ガムロジンWWグレード、ダンマル樹脂Aグレード、コパール樹脂Aグレード、コパール樹脂Bグレード、及びコパール樹脂Cグレード等。
岐阜セラツク製造所社製の天然樹脂:GSN、GSNハルス、2GSN、3GSN、GSFN、GS、GS−3、GST、BH、GSA、GSオレンジ−1、GSオレンジ−8、GSL、PEARL−N811、GBN−D、GBN−DB、GBN−D−6、S−GB−D、及びF−GB−D等。
変性天然樹脂としては、ロジン、テルペン等の変性樹脂が挙げられる。特に限定するものではないが、市販品として入手可能な変性ロジンの一例として、以下に記載する荒川化学社製の変性天然樹脂が挙げられる:
重合ロジン、ハイベールCH、スーパーエステルL、スーパーエステルA−18、スーパーエステルA−75、スーパーエステルA−100、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125、スーパーエステルT−125;
ペンセルA、ペンセルAZ、ペンセルC、ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセル160、ペンセルKK;
エステルガムAAG、エステルガムAAL、エステルガムA、エステルガムAAV、エステルガム105、エステルガムAT、エステルガムH、エステルガムHP、エステルガムHD;
パインクリスタルKR−85、パインクリスタルKR−612、パインクリスタルKR−614、パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、パインクリスタルD−6011、パインクリスタルKE−615−3、パインクリスタルD−6250、パインクリスタルKM−1500、パインクリスタルKR−50M;
スーパーエステルE−720、スーパーエステルE−730−55、スーパーエステルE−650、スーパーエステルE−865;
マルキードNo1、マルキードNo2、マルキードNo5、マルキードNo6、マルキードNo8、マルキードNo31、マルキードNo32、マルキードNo33、マルキードNo34、マルキード32−30WS、マルキード3002;
タマノル135、タマノル340、タマノル350、タマノル352、タマノル354、タマノル361、タマノル366、タマノル380、タマノル386、タマノル392、タマノル396、タマノル406、タマノル409、タマノル410、タマノル412、タマノル414、タマノル417、タマノル418、タマノル420、タマノル423、タマノルE−100、タマノルE−200NT、タマノル803L、及びタマノル901等。
市販品として入手可能な変性ロジンの他の例として、以下に記載するハリマ化成社製の変性天然樹脂が挙げられる:
ハリマックM−130A、ハリマック135GN、ハリマック145P、ハリマックR−120AH、ハリマックAS−5、ハリマックR−80、ハリマックT−80、ハリマックR−100、ハリマックM−453;
ハリフェノール512、ハリフェノール532、ハリフェノール561、ハリフェノール573、ハリフェノール582、ハリフェノール504、ハリフェノール565、ハリフェノールP−102U、ハリフェノールP−130、ハリフェノールP−160、ハリフェノールP−292、ハリフェノールPN−717、ハリフェノールS−420、ハリフェノールP−600、ハリフェノールT3120、ハリフェノールP−216、ハリフェノールP−637、ハリフェノールP−222、ハリフェノールP−622;
ハリエスターNL、ハリエスターP、ハリエスターKT−2、ハリエスターKW、ハリエスターTF、ハリエスターS、ハリエスターC、ハリエスターDS−70L、ハリエスターDS−90、ハリエスターDS−130、ハリエスターAD−130、ハリエスターMSR−4、ハリエスターDS−70E、ハリエスターSK−70D、ハリエスターSK−90D−55、ハリエスターSK−508H、ハリエスターSK−816E、ハリエスターSK−822E、ハリエスターSK−218NS、ハリエスターSK−323NS、ハリエスターSK−370N、ハリエスターSK−501NS、ハリエスターSK−385NS;
ネオトールG2、ネオトール101N、ネオトールNT−15、ネオトール125HK;
バンビームUV−22A、バンビームUV−22C;
ハリタックF−75、ハリタックFG−90、ハリタックAQ−90A;
ハーサイズNES−500、ハーサイズNES−680、ハーサイズNES−745、ハーサイズNES−748、ニューサイズ738;
REO−15、REO−30、バンディスT−100H、G−100F、及びDG−100等
市販品として入手可能な変性テルペンの一例として、以下に記載するヤスハラケミカル社製の変性天然樹脂が挙げられる:
YSレジンPX1250、YSレジンPX1150、YSレジンPX1000、YSレジンPXN1150N;
YSポリスターU130、YSポリスターU115、YSポリスターT160、YSポリスターT145、YSポリスターT130、YSポリスターT115、YSポリスターT100、YSポリスターS145;
マイティエースG150、マイティエースG125、マイティエースK140、マイティエースK125;
YSレジンTO125、YSレジンTO115、YSレジンTO105、YSレジンTR105;
クリアロンP150、クリアロンP135、クリアロンP125、クリアロンP115、クリアロンP105、クリアロンM115、クリアロンM105、クリアロンK110、クリアロンK100、クリアロン4100、及びクリアロン4090等。
植物油としては、大豆油、アマニ油、ひまし油、ヤシ油、桐油、米糠油、パーム油、ココナッツ油、コーン油、オリーブ油、菜種油、ヒマワリ油等、トール油、及びテレビン油等が挙げられる。
特に限定するものではないが、市販品として入手可能な植物油の一例は、以下のとおりである。
丸正社製の植物油:大豆油KT等。
日清オイリオ社製の植物油:大豆白絞油、及び亜麻仁油等。
ボーソー油脂製の植物油:コメサラダ油等。
コグニスジャパン社製の植物油:TEXAPRINTSDCE等
安土産業社製の植物油:リモネン油、ユーカリオイル、桐油等。
ハリマ化成社製の植物油:ハートールSR−20、ハートールSR−30、及びハートールR−30等。
荒川化学社製のテレビン油:α−ピネン、東洋松印、及びヂペンテン等。
変性植物油としては、大豆油、アマニ油、ひまし油、ヤシ油、桐油、ヒマワリ油、及びトール油等の変性物が挙げられる。
特に限定するものではないが、市販品として入手可能な変性植物油の一例として、以下が挙げられる。
荒川化学社製の変性植物油:アラキードIA−120−60L、アラキード1782−60、アラキード3101X−60、アラキード8042−80、アラキード5301X−50、アラキード8012、アラキード5350、アラキード1465−60、アラキード3145−80、アラキード310、アラキード5001、アラキード251、アラキード6300、アラキードS−5021、アラキードM−302、アラキード7502X、アラキード7506、アラキード1232−60、アラキード7100X−50、アラキード7104、アラキード7107、アラキード7108、アラキード7109、アラキード7110等。
ハリマ化成社製の変性植物油:ハリフタール732−60、ハリフタールCOG40−50T、ハリフタールSB−3600、ハリフタールSB−7150X、ハリフタールSB−7540、ハリフタール3011、ハリフタール3100、ハリフタール3150、ハリフタール3271、ハリフタール3371、ハリフタールSC−3059TX、ハリフタール764、ハリフタール816、ハリフタールSL−3500、ハリフタール193HV、ハリフタール3011PN、ハリフタール3254PN、ハリフタール3256P、ハリフタール3200PN、ハリフタール3258P−N150、ハリフタール3530P、ハリフタール3004、ハリフタール3005、ハリフタール601、ハリフタール640、ハリフタール1155、ハリフタール2184、ハリフタールSL−280、ハリポールF−6、ハリポールF−8、ハリポールF−16、ハリダイマー200、ハリダイマー250、ハリダイマー270S、DIACID−1550、ハートールQ−1、ハートールQ−2、ハートールQFA−2、ハートールFE−500、ハートールM−33、ハリコンSK−613、バンディスM−550L等。
ヤスハラケミカル社製の変性植物油:ダイマロン、及びYSオイルDA等。
小倉合成工業社製の変性植物油:脱水ひまし油、脱水ひまし油脂肪酸、高共役脱水ひまし油脂肪酸、及びひまし硬化油等。
<合材インキ>
本発明の造粒粒子は、リチウム二次電池の正極合材層を構成する材料として好適に使用することができる。その使用形態は、特に限定されるものではないが、好ましい一実施形態として、本発明の造粒粒子を含む合材インキ(スラリー状の組成物)が挙げられる。したがって、本発明の第3の態様は、少なくとも造粒粒子と、溶剤と、バインダー成分とを含む合材インキに関する。上記合材インキは、さらに導電助剤を含んでもよい。以下、合材インキの構成成分について説明する。
(溶剤)
合材インキの調製時に使用する溶剤として、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、及び水等が挙げられる。
バインダー樹脂の溶解性や、導電助剤である炭素材料の分散安定性を得るためには、極性の高い溶剤を使用することが好ましい。
そのような溶剤の一例として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルアセトアミド等の様な窒素をジアルキル化したアミド系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、並びに、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。しかし、本発明で使用できる溶媒はこれらに限定されない。二種類以上の溶剤を併用することもできる。
(バインダー)
本発明では、バインダーの使用によって、合材層において、電極活物質として使用する造粒粒子や後述する導電助剤などの粒子を結着させることを意図する。本発明で使用できるバインダーの一例として、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等が挙げられる。又、これらの樹脂の変性体、混合物、又は共重合体でも良い。
上記バインダーのより具体的な例として、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、及びビニルピロリドン等を構成単位として含む共重合体が挙げられる。
特に、耐性面から分子内にフッ素原子を有する高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びポリテトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
また、バインダーとして使用する上記樹脂類の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましい。分子量が小さいとバインダーの耐性が低下することがある。一方、分子量が大きくなるとバインダーの耐性は向上するが、バインダー自体の粘度が高くなり、作業性が低下する。また、それら樹脂が凝集剤として働き、合材成分が著しく凝集しやすくなる傾向がある。
(導電助剤)
本発明の一実施形態において、合材インキは、導電助剤を含むことが好ましい。導電助剤としては、炭素材料が最も好ましい。炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であればよく、特に限定されるものではない。例えば、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、及びフラーレン等を単独で、若しくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、及びコスト面から、カーボンブラックが好ましい。
本発明において、好ましい導電助剤として使用できるカーボンブラックの一例として、ファーネスブラックが挙げられる。これは、気体又は液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解することで製造することができる。具体例として、エチレン重油を原料としたケッチェンブラック;原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラックが挙げられる。また、ガスを原料として燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどが挙げられる。本発明では、各種化合物を単独で、又は2種類以上併せて使用することができる。また、通常実施される酸化処理をしたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
導電助剤として使用するカーボンブラックの比表面積は、その値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。そのため、本発明の一実施形態では、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m/g以上、1500m/g以下、好ましくは50m/g以上、1500m/g以下、更に好ましくは100m/g以上、1500m/g以下のカーボンブラックを使用することが望ましい。比表面積が20m/gを以上のカーボンブラックを使用することによって、十分な導電性を得ることが容易となる。一方、比表面積が1500m/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、導電助剤として使用するカーボンブラックの粒径は、平均一次粒子径で0.005〜1μmの範囲であることが好ましく、特に、0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。ただし、ここでいう平均一次粒子径とは、電子顕微鏡等で測定された粒子径を平均した値である。
特に限定するものではないが、市販品として入手可能なカーボンブラックの一例として、以下が挙げられる。
東海カーボン社製のファーネスブラック:トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等。
デグサ社製のファーネスブラック:プリンテックスL等。
コロンビヤン社製のファーネスブラック:Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等。
三菱化学社製のファーネスブラック:#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等。
キャボット社製のファーネスブラック:MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等。
TIMCAL社製のファーネスブラック:Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等。
アクゾ社製のケッチェンブラック:ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等。
電気化学工業社製のアセチレンブラック:デンカブラック、デンカブラックHS−100、及びFX−35等。
本発明の合材インキの一実施形態として、合材インキの固形分の各組成比率を以下に記載する。造粒粒子の配合量は、合材インキの全固形分重量に対して、70重量%以上、99.0重量%以下、好ましくは80重量%以上、95重量%以下が望ましい。上記造粒粒子の組成比率を70重量%以上にした場合、十分な放電容量を容易に得ることができる。一方、上記組成比率が99.0重量%を超えると、バインダーの割合が低下するため、集電体への密着性が低下し、造粒粒子が脱離しやすくなる場合がある。
上記バインダーの組成比率は、合材インキの全固形分重量に対して、1重量%以上、10重量%以下、好ましくは2重量%以上、8重量%以下が望ましい。上記組成比率が1重量%を下回ると、結着性が低下するため、集電体から二次電池電極用造粒粒子や導電助剤が脱離しやすくなる場合がある。一方、上記組成比率が10重量%を超えると、二次電池電極用造粒粒子の割合が低下するため、電池性能の低下に繋がる場合がある。
上記導電助剤の組成比率は、合材インキの全固形分重量を基準として、0.5重量%以上、25重量%以下、好ましくは1.0重量%以上、15重量%以下が望ましい。上記組成比率が、0.5重量%を下回ると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合がある。一方、上記組成比率25重量%を超えると、電池性能に大きく関与する二次電池電極用複合粒子の割合が低下するため、電池の体積あたりの放電容量が低下する等の問題が発生する場合がある。
本発明の合材インキの一実施形態において、上記合材インキは、分散剤を含むことが好ましい。分散剤を添加することによって、活物質として使用する造粒粒子を、合材インキ中でバインダー成分、導電助剤成分などの構成成分と一緒に凝集なく均一に分散させることができる。これにより、合材インキを集電体へ塗布及び乾燥させて、電極合材層を形成する際に、造粒粒子が合材層中で良好にパッキングし、高密度の電極を得ることができる。
上記分散剤は、合材インキの構成成分として選択するものであり、造粒粒子の製造時に使用するスラリー中の高分子分散剤とは区別される。合材インキ用の分散剤は、造粒粒子とバインダー成分及び導電助剤成分との分散性を向上させるものであれば、特に限定されない。例えば、合材インキの溶媒にNMPを用いた場合は、酸性官能基、塩基性官能基及び水酸基からなる群から選択される少なくとも一つを有する樹脂、又は有機色素等の各種誘導体を分散剤として使用することができる。より具体的には、本発明では、特許4240157号公報に記載の酸性官能基を有する有機色素誘導体またはトリアジン誘導体、特許4420123号公報に記載の塩基性官能基を有する有機色素誘導体またはトリアジン誘導体、特許4235788号公報に記載のポリビニルピロリドン系樹脂、特開2011−184664号公報に記載のポリビニルアセタール樹脂、特開2010−97817号公報に記載の酸性官能基を有する樹脂、特開2010−97816号公報に記載の塩基性官能基を有する樹脂を分散剤として好適に用いることができる。本発明では、これらを参照することによって、本明細書の一部として組み込むものとする。
合材インキの調製は、顔料分散等の方法として通常使用される分散機を使用して実施することができる。本発明で使用できる分散機の一例として、以下が挙げられる。
ミキサー類:ディスパー、ホモミキサー、及びプラネタリーミキサー等。
ホモジナイザー類:エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等。
メディア型分散機:ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、及びコボールミル等。
メディアレス分散機:湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製の「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、及び奈良機械製作所社製「マイクロス」等。
本発明では、上記分散機に限定することなく、その他、ロールミル等の当技術分野で周知のものを使用してもよい。上記分散機としては、分散機からの金属混入を防止するための処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理を施した分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
<リチウム二次電池の電極>
本発明の第4の態様は、リチウム二次電池の電極に関する。上記電極は、正極として構成されることが好ましい。上記正極は、集電体と、該集電体の表面に形成された正極合材層とを有し、上記正極合材層が、本発明の第3の態様の合材インキを用いて形成された乾燥塗膜であることを特徴とする。上記正極合材層と上記集電体との間には、電極下地層が形成されていてもよい。
本発明で使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池に適合できるものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。特に正極材料としては、アルミニウムが好ましい。また、形状としては、一般的には平板状の箔が用いられる。しかし、表面を粗面化した金属箔、穴あきの金属箔、及びメッシュ状の金属箔を集電体として使用してもよい。
集電体上に電極下地層を形成する方法としては、導電性材料であるカーボンブラックとバインダー成分とを溶剤中に分散させた電極下地ペーストを電極集電体に塗布、及び乾燥する方法が挙げられる。電極下地層の膜厚としては、導電性及び密着性が保たれる範囲であれば特に制限されない。本発明の一実施形態において、上記膜厚は、0.05μm以上、20μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、10μm以下である。
集電体上に電極合材層を形成する方法としては、集電体上に上述の合材インキを直接塗布し乾燥する方法、及び集電体上に電極下地層を形成した後に合材インキを塗布し乾燥する方法等が挙げられる。また、電極下地層の上に電極合材層を形成する場合、集電体上に電極下地ペーストを塗布した後、湿潤状態のうちに合材インキを重ねて塗布し、乾燥を行っても良い。電極合材層の厚みとしては、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
上記塗布方法については、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、又は静電塗装法等が挙げられる。又、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
<リチウム二次電池>
本発明の第5の態様は、正極と負極と電解液とを有するリチウム二次電池に関し、上記正極が、本発明の第4の態様の電極から構成されることを特徴とする。すなわち、本発明の一実施形態では、本発明の造粒粒子を正極の合材層材料として使用する。以下、本発明のリチウム二次電池について具体的に説明する。
本発明のリチウム二次電池の構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターと、電解液とから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
本発明のリチウム二次電池を構成する電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。電解質としては、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、又はLiBPh等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、以下が挙げられる:
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;
ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに
アセトニトリル等のニトリル類等。これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
さらに上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
上記セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明の権利範囲は以下の実施形態に制限されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。なお、以降に記載する「部」は、全て「重量部」を意味する。
以下の実施例及び比較例における各測定は、以下のようにして実施した。
(鉄原子に対する炭素原子の重量)
鉄原子に対する炭素原子の重量は、イオンミリング装置(CP)を用いて形成した電極塗膜中の粒子断面について、SEM−EDXシステムによりZAF補正法を用いた定量分析を行うことにより測定した。ここで、測定に使用した装置の詳細は以下のとおりである。
SEM:日本電子社 JSM−7100F
EDX(エネルギー分散型X線分析装置):BRUKER社 X Flash 5010
CP(クロスセクションポリッシャー):日本電子社 SM−09010
(焼成後の造粒粒子の全炭素量)
焼成後の造粒粒子の全炭素量は、パーキンエルマー社製2400型のCHN元素分析装置を用いて測定した。
(高分子分散剤の分子量)
分子量の測定は、乾燥させたサンプルをTHFに溶解させ、装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用いて実施した。使用したカラムはG−2000であり、溶離液はTHFであった。本発明で記載する上記高分子分散剤の分子量は、測定した値をポリスチレン換算して得た値である。
(繊維状炭素のアスペクト比)
分散処理後のスラリーにおける繊維状炭素について、(繊維状炭素の繊維長)/(繊維状炭素の繊維径)をアスペクト比として求めた。具体的には、先ず、工程(i)で得たスラリーを基板上に滴下し、乾燥させた。次いで、基板表面を走査型電子顕微鏡により撮影し、倍率2000〜50000倍のSEM像を形成した。そのSEM像から繊維状炭素30個を抽出し、線分の長さの平均値を繊維径とし、繊維の長さの平均値を繊維長とした。ここで、上記線分の長さとは、30個の繊維状炭素のそれぞれについて、繊維状炭素の画像の長さ方向の輪郭が描く2本の曲線の一方の曲線の法線が、これら二本の曲線に切り取られる線分の長さをいう。
<造粒粒子及び評価サンプルの作製>
(実施例1)
1.造粒粒子の作製
水100重量部に、BYK−190(高分子分散剤、ビッグケミー社製)を、固形分として1重量部添加し、溶解した。その溶液に、CNT水性分散体(CNT−1)をCNT量として1重量部を添加した。得られた溶液に対して、滞留時間10分で超音波分散処理を行い、次いで市販の炭素被覆LiFePO(C−LFP1)を20重量部加え、さらに滞留時間10分で超音波分散処理を行い、スラリーを得た。
得られたスラリーを、噴霧乾燥機(日本ビュッヒ社製:B−290)を用いて、熱風温度125℃で噴霧乾燥した。このようにして得た造粒粒子前駆体を、窒素雰囲気下、700℃で2時間焼成し、リチウム二次電池正極用の造粒粒子(1)を得た。得られた造粒粒子の平均粒子径は5μmであった。
2.評価サンプルの作製
先に作製したリチウム二次電池正極用の造粒粒子(1)93重量部と、アセチレンブラック(デンカHS−100)2重量部と、12%ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチルピロリドン溶液42重量部(固形分として5重量部)と、N−メチルピロリドン23重量部とを均一に混合することによって、塗工用ペーストを調製した。コーター(YA型アプリケーター)を用いて、上記ペーストを集電体上に均一に塗工し、120℃にて乾燥して、乾燥塗膜からなる合材層を形成した。なお、上記集電体にはアルミニウム箔(厚さ20μm)を用い、上記ペーストの塗工は、乾燥膜厚が10mg/cmとなるように実施した。次いで、合材層の密度が2g/cmになるように、上記乾燥塗膜をプレス機で圧延して、試験用正極とした。この正極を、直径9mmに打ち抜き、作用極として使用し、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製 #2400)を挿入積層した。さらに、セル内に電解液を満たして二極密閉式の金属セル(宝仙社製 HSフラットセル)を組み立てた。上記電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1に混合した混合溶媒に、LiPFを1Mの濃度で溶解させた、非水電解液を用いた。上述のセルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
(実施例2〜7および9〜17、比較例1〜6)
表1に示す条件を適用したことを除き、その他は全て実施例1と同様にして、リチウム二次電池正極用造粒粒子をそれぞれ作製した。また得られた各々の造粒粒子を使用し、実施例1と同様にして、正極を形成し、さらに金属セルを作製した。
(実施例8)
実施例1において、炭素被覆されたLiFePOの代わりに、炭素未処理のLiFePO(LFP3)を20重量部と、導電性炭素を形成するための有機物としてスクロースとを同時に加えた以外は、全て実施例1と同様にして造粒粒子を得た。このときのスクロースの添加量は、焼成後の造粒粒子における炭素量換算が2重量%となる量を予備実験により求めた量である。
(比較例7)
水100重量部に、BYK−190(高分子分散剤、ビッグケミー社製)を、固形分として1重量部添加し、溶解した。その溶液に、CNT水性分散体(CNT−1)をCNT量として1重量部を添加した。得られた溶液に対して、ディスパーで10分間にわたり攪拌処理を行い、次いで、市販の炭素被覆LiFePO(C−LFP1)を20重量部加え、さらにディスパーで10分間にわたり攪拌処理を行い、スラリーを得た。なお、得られたスラリーの分散状態をグラインドゲージで測定したところ、粒度が15μ以上であり、分散状態は不良であった。その後、上記スラリーを用いて、実施例1と同様にして、造粒粒子を得た。また得られた造粒粒子を使用し、実施例1と同様にして、正極を形成し、さらに金属セルを作製した。
(比較例8及び9)
表1に記載の材料を用いて、代表的なメカノケミカル法により、造粒粒子を作製した。すなわち、比較例8及び9では、材料に対して機械的に圧力をかけて粉砕及び混合することによって材料を互いに結合させる方法を適用した。より具体的には、特開2009−43514号公報(特許文献7)に記載の方法に沿って、比較例8では、100重量部のC−LFP−1に対して、CNT−1を5重量部の配合比で使用し、それらをメカノフュージョンによって、メカノケミカル結合させ、造粒粒子前駆体を作製した。次いで、得られた各造粒粒子前駆体を窒素雰囲気下、700℃で、2時間にわたって焼成することにより、造粒粒子を得た。また得られた各々の造粒粒子を使用し、実施例1と同様にして、正極を形成し、さらに金属セルを作製した。比較例9についても、上記配合比を変更したことを除き、全て比較例8と同様にして実施した。なお、これらの比較例では、繊維状炭素の平均繊維径及びアスペクト比の測定が困難であったため、表では、未測定(ND)として示した。
上述の実施例および比較例で得られた造粒粒子の性状、および製造方法を表1及び表2に示す。
Figure 0006284037
Figure 0006284037
表1及び表2に記載された略記の詳細は、以下のとおりである。
(活物質粒子)
C−LFP1:平均一次粒子径:200nm、平均粒子径:4μm、炭素被覆量:2.0wt%
C−LFP2:平均一次粒子径:400nm、平均粒子径:4μm、炭素被覆量:1.6wt%
LFP3:平均一次粒子径:200nm、平均粒子径:4μm
(繊維状炭素)
CNT−1:平均繊維長が10μm、平均繊維径が11nmの水性分散体(CnanoTechnology社製:LB200)
CNT−2:繊維長が0.1〜10μm、繊維径が10〜20nmの水性分散体(エムディーナノテック社製:MDCNF−D)
CNT−3:平均繊維径が150nm、繊維長が10〜20μmの炭素繊維粉末(昭和電工(株)製:VGCF)
表中に記載した繊維状炭素の平均繊維径、及びアスペクト比は、それぞれ、分散処理後に測定した値である。比較例8及び9における「ND」は、未測定であることを示す。
(高分子分散剤)
BYK−190:ビックケミー社製のDisperbyk−190。酸価は10mgKOH/gである。
BYK−194:ビックケミー社製のDisperbyk−194。酸価は70mgKOH/gである。
BYK−2010:ビックケミー社製のDisperbyk−2010。酸価は20mgKOH/gであり、アミン価は20mgKOH/gである。
BYK−187:ビックケミー社製のDisperbyk−187。酸価は35mgKOH/gであり、アミン価は35mgKOH/gである。
ジョンクリル62J:BASF社製。酸価は200mgKOH/gである。
PVA35000、PVA122400:共にSigma Aldrich社製のポリビニルアルコールである。
共重合体A:芳香環、カルボキシル基、及びアミノ基を含むアクリル系重合体のカルボキシル基を一部中和した共重合体であり、実施例12では、以下の方法によって調製した共重合体の水溶液(水性分散体)を分散剤として使用した。
(共重合体Aの調製)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブタノール200.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱し、次いでスチレン100.0部、アクリル酸60.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート40.0部、およびV−601(和光純薬製)12.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加した。上記添加後、さらに110℃で1時間反応を続けて、共重合体(A)の溶液を得た。共重合体(A)の酸価は219.1(mgKOH/g)であった。また、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、6800であった。上記分子量の測定は、乾燥させたサンプルをTHFに溶解させ、装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用いて実施した。使用したカラムはG−2000であり、溶離液はTHFであった。上記分子量は、測定した値をポリスチレン換算して得た値である。
得られた共重合体(A)の溶液を室温まで冷却した後、上記溶液にジメチルアミノエタノール74.2部を添加し、中和した。上記メチルアミノエタノールアクリル酸の添加量は、中和を100%達成する量に相当する。さらに、中和処理後の溶液に水を400部添加して水性化した後、100℃まで加熱し、ブタノールを水と共沸させて、ブタノールを留去した。得られた残留物を水で希釈することによって、不揮発分20%の共重合体(A)の水溶液を水性分散体として得た。
以下の分散剤は、本発明で定義する高分子分散剤には該当しない。表に記載した分子量は、いずれもカタログ値である。
CTAB:セチルトリメチルアンモニウムブロマイド:分子量364.45
DBSN:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:分子量348.48
OEGDE:オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル:分子量538.75
(高分子分散剤の重量)
繊維状炭素として使用したCNTの全重量に対する高分子分散剤の重量パーセントである。
(造粒粒子のC量)
表に記載した焼成後の全C量は、造粒粒子100重量部を基準とした炭素(C)の重量部である。中心部及び表層部のC量は、各々、鉄原子(Fe)100重量部に対する炭素原子(C)の重量部である。
(分散方法)
U:超音波処理、滞留時間10分
H:ホモジナイザー
D:ディスパー混合
M:代表的なメカノケミカル法。
<各特性の評価>
(充放電容量特性)
各々の実施例及び比較例で作製した電池評価用の金属セルを使用し、充放電容量の特性を評価した。具体的には、上記金属セルを室温(25℃)で、充電レート0.2Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、0.2Cの定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とした。このサイクルを合計5サイクル行った後に、充電レート0.2Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、5Cの定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行った。そのときの放電容量(正味LFP重量に対する)を5Cの初期放電容量とした。これらの測定値から、下記の評価基準に従って、評価した。評価結果を表3及び表4に示す。
(評価基準)
「A」:136mAh/g以上、141mAh/g未満
「B」:131mAh/g以上、136mAh/g未満
「C」:126mAh/g以上、131mAh/g未満
「D」:126mAh/g未満
(密着性)
実施例及び比較例で作製した各電極に、ナイフを用いて電極表面から集電体に達する深さまでの切込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本入れ、碁盤目の切込みを形成した。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質の脱落の程度を目視にて判定した。以下の評価基準に従って評価した。評価結果を表3及び表4に示す。
(評価基準)
「A」:剥離なし。実用上問題のないレベルである。
「B」:半分程度の剥離がみられる。
「C」:ほとんどの部分で剥離がみられる。
Figure 0006284037
Figure 0006284037

Claims (10)

  1. リチウム二次電池正極用の造粒粒子であって、
    前記造粒粒子は、以下の成分(a)〜(c)を溶媒中に分散させたスラリーから溶媒を除去することによって得られる造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって得られ
    (a)導電性炭素で被覆された、下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
    一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)
    (式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
    (b)繊維状炭素、及び
    (c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤
    前記スラリーにおける前記(b)繊維状炭素のアスペクト比が5〜1000であり、
    前記造粒粒子において、(a)リチウムリン酸金属粒子と、前記(b)繊維状炭素とが複合化されており、平均粒子径が2〜20μmであり、 前記造粒粒子中の炭素原子の濃度が前記造粒粒子の中心部から表層部に向けて高くなり、
    前記造粒粒子の中心点を含む断面において、前記造粒粒子の半径を5等分した時に、1/5の半径で区画される前記中心部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が20重量%未満であり、
    4/5から5/5の半径で区画される前記表層部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が15〜50重量%である、造粒粒子。
  2. リチウム二次電池正極用の造粒粒子であって、
    前記造粒粒子は、以下の成分(a1)〜(c)を溶媒中に分散させたスラリーから溶媒を除去することによって得られる造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって得られ
    (a1)下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
    一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)
    (式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
    (a2)前記(a1)リチウムリン酸金属粒子の表面に導電性炭素を形成するための有機物、
    (b)繊維状炭素、及び
    (c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤
    前記スラリーにおける前記(b)繊維状炭素のアスペクト比が5〜1000であり、 前記造粒粒子において、導電性炭素で被覆された前記(a1)リチウムリン酸金属粒子と、前記(b)繊維状炭素とが複合化されており、平均粒子径が2〜20μmであり、 前記造粒粒子中の炭素原子の濃度が前記造粒粒子の中心部から表層部に向けて高くなり、
    前記造粒粒子の中心点を含む断面において、前記造粒粒子の半径を5等分した時に、1/5の半径で区画される前記中心部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が20重量%未満であり、
    4/5から5/5の半径で区画される前記表層部の鉄原子全重量に対する炭素原子の比率が15〜50重量%である、造粒粒子。
  3. 前記高分子分散剤が、芳香環を有する化合物である、請求項1又は2に記載の造粒粒子。
  4. 前記繊維状炭素が、気相成長炭素繊維及びカーボンナノチューブの少なくとも一方であり、繊維径が5nm〜200nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の造粒粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池正極用の造粒粒子と、溶剤と、バインダー成分とを含む、リチウム二次電池正極用の合材インキ。
  6. さらに導電助剤成分を含む、請求項5に記載の合材インキ。
  7. 集電体と、前記集電体の表面に形成された、正極及び負極の合材層とを有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極の合材層が、請求項5又は6に記載の合材インキから形成される、リチウムイオン二次電池。
  8. 請求項1に記載のリチウム二次電池正極用の造粒粒子の製造方法であって、
    (i)以下の成分(a)〜(c)を分散処理して、スラリーを形成する工程
    (a)導電性炭素で被覆された、下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
    一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)
    (式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
    (b)繊維状炭素、
    (c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤;
    (ii)前記スラリーから溶媒を除去して造粒粒子前駆体を形成する工程;及び
    (iii)前記造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって造粒粒子を形成する工程
    を有する、造粒粒子の製造方法。
  9. 請求項2に記載のリチウム二次電池正極用の造粒粒子の製造方法であって、
    (i)以下の成分(a1)〜(c)を分散処理して、スラリーを形成する工程と、
    (a1)下記一般式(1)で示されるリチウムリン酸金属粒子、
    一般式(1): LiFe1−xPO (0≦x≦1)
    (式中、Mは、Mn、Co、Ni及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)
    (a2)前記(a1)リチウムリン酸金属粒子の表面に導電性炭素を形成するための有機物、
    (b)繊維状炭素、
    (c)重量平均分子量が3000〜70000である高分子分散剤;
    (ii)前記スラリーから溶媒を除去して造粒粒子前駆体を形成する工程;及び
    (iii)前記造粒粒子前駆体を、不活性雰囲気下で焼成することによって造粒粒子を形成する工程
    を有する、造粒粒子の製造方法。
  10. 前記工程(ii)が、噴霧乾燥法によって実施される、請求項8又は9に記載の製造方法。
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