JP6281238B2 - 認知度推定装置および認知度推定方法 - Google Patents
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Description
請求項2の発明にかかる認知度推定装置は、前記認知度推定部は、前記視線の上下方向の位置を所定のサンプリング周期ごとに検出し、所定時間内における前記視線の位置の検出値を周波数解析し、当該周波数解析結果の所定の周波数帯における積分値が所定の閾値を越えた場合に前記運転者の認知度が低下していると推定する、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる認知度推定装置は、前記認知度推定部は、前記積分値が大きいほど前記運転者の認知度が大きく低下していると推定する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる認知度推定装置は、前記所定の周波数帯は、3Hz以上の周波数帯である、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかる認知度推定方法は、車両の運転者の視線の上下方向の動きのみに基づいて、当該運転者の運転に対する集中の度合いを示す認知度を推定する認知度推定工程を含み、前記認知度推定行程では、前記運転者の意識的な視線移動よりも速い視線の上下変動に基づいて、前記運転者の認知度を推定する、ことを特徴とする。
請求項6の発明にかかる認知度推定方法は、前記認知度推定工程では、前記視線の上下方向の位置を所定のサンプリング周期ごとに検出する視線検出工程と、所定時間内における前記視線の位置の検出値を周波数解析する周波数解析工程と、当該周波数解析結果の所定の周波数帯における積分値を用いて前記運転者の認知度が低下しているか否かを判定する判定工程と、を含み、前記判定工程では、前記積分値が所定の閾値を越えた場合に前記運転者の認知度が低下していると判定する、ことを特徴とする。
請求項7の発明にかかる認知度推定方法は、前記判定工程では、前記積分値が大きいほど前記運転者の認知度が大きく低下していると推定する、ことを特徴とする。
請求項8の発明にかかる認知度推定方法は、前記所定の周波数帯は、3Hz以上の周波数帯である、ことを特徴とする。
本発明によれば、運転者の意識的な視線移動よりも速い視線の上下変動に基づいて運転者の認知度を推定するので、意識的な視線の動きの影響を排除してより確実に認知度を推定することができる。
本発明によれば、視線の位置の検出値を周波数解析し、当該周波数解析結果の所定の周波数帯における積分値に基づいて認知度が低下しているか否かを推定する。このため、比較的処理負荷の低い演算で認知度を推定することができ、リアルタイムに近い演算時間で認知度を推定することができる。
本発明によれば、周波数解析結果の積分値の大きさに基づいて運転者の認知度を連続的な値として推定するようにすれば、認知度の推定結果を様々な用途に活用することができる。
本発明によれば、実験結果に基づいて積分範囲を3H以上の周波数帯としたことにより、認知度の推定精度を向上させることができる。
図1は、実施の形態にかかる運転支援装置10の構成を示す説明図である。
実施の形態にかかる運転支援装置10は、カメラ102、処理装置104、報知装置106によって構成される。
カメラ102は、たとえば赤外線カメラであり、赤外線を運転者20の目202に照射し、目202で反射された赤外線を撮影する。カメラ102は、運転者20の目202の位置に撮影方向を向けて、たとえば2台設けられている。
なお、請求項における認知度推定部は、カメラ102で撮影された画像を用いて、前記CPUにより認知度推定プログラムを実行することによって実現する。
視線移動検出部1042は、カメラ102の撮影画像を解析することによって、運転者20の視線の向いている位置E(以下、単に視線の位置という)を検出し、その軌跡を記録する。連続的な視線の位置の変化が視線の動きとなる。本実施の形態では、視線移動検出部1042は、少なくとも運転者20の視線の上下方向の位置を検出および記録できればよい。また、本実施の形態では、視線の位置は基準方向を0°とした視線角度として検出するものとする。
このように視線の上下方向の位置を検出および記録するシステムとして、たとえばseeing machines社のfaceLABなどを用いることができる。
本発明者らの研究の結果、運転者の認知度が低下している場合、運転者の視線に特徴的な上下動が発生することが確認された。
図2は、認知度低下時における運転者の視線の動きを示すリターンマップである。より詳細には、図2A〜図2Cは、運転者の認知度が低下している際に生じるパニック的行動の生起時(パニック時)における視線の動きを示している。ここでいうパニック的行動とは、意識することなく身についた行動を意図せずに誤っておこなった際に発生する行動である。
図2A〜図2Cは、ドライブシミュレータに搭乗した運転者(実際の自動車の運転者ではなく、本実験のための被験者である)に対して、パニック的行動の生起を促す要因を与えて、認知度が低下した状態を再現し、その際の視線の動きをプロットしたものである。
図2A〜図2Cは、所定期間内の運転者の視線の位置のうち、運転者の上下方向であるY軸方向に沿う視線の位置を黒丸(●)で、運転者の上下方向を横切る左右方向であるX軸方向に沿う視線の位置を白四角(□)で、それぞれ示している。すなわち、図2A〜図2Cにおいて、黒丸は、所定期間内における運転者の上下方向に沿う視線の動きを表し、白四角は、所定期間内における運転者の左右軸方向に沿う視線の動きを表している。
図2A〜図2Cはそれぞれ異なる状況に置かれた運転者(被験者)のデータであるが、いずれも認知度が低下したパニック時(パニック的行動の生起時)には、左右方向の視線移動(白四角)よりも左右方向の視線移動(黒丸)の方が移動量が大きくなっている。
図3は、運転者の認知度が高い状態における上下方向の視線移動の検出結果を示すグラフである。また、図4は、運転者の瞬き時前後における上下方向の視線移動の検出結果を示すグラフである。さらに、図5〜図7は、認知度低下時における上下方向の視線移動の検出結果を示すグラフである。
図3A〜図7Aは、運転者の上下方向の視線位置を角度で示したものであり、縦軸は視線角度、横軸は時間を示す。また、図3B〜図7Bは、図3A〜図7Aの点線に囲まれた範囲Tをそれぞれ周波数解析した結果を示すグラフであり、縦軸はパワー値、横軸は周波数を示す。
図3Bに示す認知度が高い状態における視線移動の周波数解析結果では、周波数0Hz付近を除いてパワー値の上昇がみられる帯域はない。また、図4Bに示す瞬き時における視線移動の周波数解析結果では、周波数0Hz付近から3Hz付近までのパワー値に若干の上昇が見られるものの、周波数3Hz以上の帯域におけるパワー値は高くない。
一方、図5A〜図7Aの範囲Tに示す認知度低下時では、図5Aの範囲Uに示すような意識的な視線移動と比較し、速い視線の上下変動が見られ、図5B〜図7Bに示す周波数解析結果では、共通して周波数3Hz以上の帯域におけるパワー値が上昇している。また実験結果より、6Hzより高い周波数帯域の積分値は用いなくても認知度低下の検出が可能であることが分かっている。
このことを利用して、認知度推定部1044は、運転者の視線移動の周波数解析結果のうち、周波数3〜6Hz帯域のパワー値を積分し、積分値Iが大きいほど運転者20の認知度が低下していると推定する。
まず、視線移動検出部1042によって検出された運転者20の上下方向の視線位置データ(視線角度データ)を取得する。視線位置データは、たとえばサンプリング周波数60Hzで得られるものとする。この視線位置データが図3A〜図7Aである。
つぎに、視線位置データの推移から瞬きがおこなわれたか否かを判定し、瞬きがおこなわれた場合は、瞬き直前の視線位置データを瞬き中における視線位置データとして代入する(瞬き除去処理)。瞬きがおこなわれたか否かは、たとえばカメラ102の撮影画像を用いて運転者20の目202(瞼)の開眼度をモニタリングすることによって判定する。
つづいて、得られた視線位置データに対して、加重移動平均を取ることによりローパスフィルタ同等の処理を施す。この処理は、たとえば15点幅のデータを1点ずつずらして加重移動平均値を算出することによっておこなう。
つぎに、ローパスフィルタ処理したデータをダウンサンプリングする。ダウンサンプリングは、たとえば6個のデータから1個のデータを抽出することによっておこなう。
つづいて、ダウンサンプリングしたデータに対して高速フーリエ変換(FFT)処理をおこなう。高速フーリエ変換処理は、たとえばダウンサンプリングしたデータ128点分を10点ずつずらしておこなう。
ここまでの処理により、図3B〜図7Bに示す周波数解析結果のデータを算出することができる。
さらに、図3B〜図7Bの周波数解析結果のうち、3Hzから6Hzの周波数帯の値を台形法によって積分し、積分値Iを算出する。実際には、2.97Hzから5.94Hzの帯域の積分値を算出した。この値は、高速フーリエ変換のサンプリング周波数,サンプリング点数等により変動する。
図8Aでは、時刻TA付近および時刻TB付近で速い上下動が発生している。この時刻TAおよびTBに対応する積分値が、図8BのピークTA’およびTB’である。なお、図8Bでは、図8Aと比較して波形に処理(周波数解析処理等)時間分の遅れが生じる。
認知度推定部1044は、上記積分値Iに基づいて運転者の認知度を推定する。具体的には、たとえば閾値Vxを設定し、積分値Iが閾値Vxを超えた場合は運転者の認知度が低下していると推定する。この場合、認知度推定部1044は、積分値Iが閾値Vxを超えた時点で報知装置106に報知情報を出力させるように制御する制御信号を出力する。
図8を用いて具体的に説明すると、図8Bでは、ピークTA’,TB’付近の時刻TC〜TDにかけて閾値Vxを超えている。よって、認知度推定部1044は、時刻TC〜TDにかけて運転者の認知度が低下していると推定する。
図8を用いて具体的に説明すると、認知度推定部1044は、積分値Iが右縦軸に示す閾値V1未満の間は運転者の認知度が高レベル、閾値V1以上V2未満の場合は運転者の認知度が中レベル、V2以上の場合は運転者の認知度が低レベルと推定する。
なお、上述した閾値Vx,V1,V2等は、運転者20の目202のカメラ102に対する位置や視線移動量の個人差により、適宜変更される。
報知装置106は、認知度推定部1044によって制御される。認知度推定部1044は運転者20が認知度が低い状態であると推定すると、運転者20に対して、認知度が低い状態であること、すなわち意図しない操作が行われる可能性が高い状態であること、パニックになる可能性が高い状態であることなどを文字や絵、色、音声等で報知する。
また、たとえば認知度推定部1044によって推定された運転者の認知度のレベルを表示装置1062等に表示してもよい。
また、たとえばASVやDSSS等の自動運転支援システムにおいて、運転者20に認知度が低下している場合、警報音を大きくしたり、運転介入タイミングを早めたりするようにしてもよい。
図9では、積分値Iが閾値Vxを超えた場合に運転者20の認知度が低下しているとして報知をおこなうものとする。
まず、運転支援装置10は、カメラ102によって運転者20を撮影する(ステップS800)。つぎに、視線移動検出部1042によって、ステップS800で撮影された画像を用いて運転者20の視線位置を検出する(ステップS802)。つづいて、認知度推定部1044によって、視線位置を示す視線角度データに対して瞬き除去処理、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプリング処理等の処理をおこなった上で(ステップS804)、視線角度データに対して高速フーリエ変換(FFT処理)により周波数解析をおこなう(ステップS806)。
そして、認知度推定部1044は、周波数解析結果のうち周波数3〜6Hz帯域の値を積分し、積分値Iを算出する(ステップS808)。認知度推定部1044は、積分値Iが閾値Vxを超えているか否かを判断する(ステップS810)。積分値Iが閾値Vxを超えている場合(ステップS810:Yes)、認知度推定部1044は、報知装置106から運転者20に対して認知度が低下している旨を報知するように制御する(ステップS812)。一方、積分値Iが閾値Vxを超えていない場合は(ステップS810:No)、報知はおこなわず、ステップS800に戻り以降の処理をくり返す。
このため、運転者20の認知度が低下した場合に迅速に報知情報を出力することができ、車両運転中の安全性を向上させることができる。
また、運転支援装置10によれば、運転者の意識的な視線移動よりも速い視線の上下変動に基づいて運転者の認知度を推定するので、意識的な視線の動きの影響を排除してより確実に認知度を推定することができる。
また、運転支援装置10によれば、運転者20の視線の位置の検出値を周波数解析し、当該周波数解析結果の所定の周波数帯における積分値に基づいて認知度を推定する。このため、比較的処理負荷の低い演算で認知度を推定することができ、リアルタイムに近い演算時間で認知度を推定することができる。
また、運転支援装置10によれば、実験結果に基づいて積分範囲を3Hzから6Hzの周波数帯としたことにより、認知度の推定精度を向上させることができる。
また、運転支援装置10において、周波数解析結果の積分値の大きさに基づいて運転者の認知度を連続的な値として推定するようにすれば、認知度の推定結果を様々な用途に活用することができる。
なお、本実施の形態では、周波数3〜6Hz帯域のパワー値を積分して積分値Iを算出したが、上述のように認知度低下時には周波数3Hz以上の帯域におけるパワー値が上昇するため、周波数3Hz以上解析上限周波数まで積分をおこなうようにしてもよい。
実施の形態1では、運転者の上下方向の視線位置データに対して周波数変換をおこない、周波数変換結果のうち特定の周波数帯における値を積分することによって運転者20の認知度を推定した。
実施の形態2では、より簡易的な方法として、運転者の上下方向の視線位置データそのものを用いて運転者20の認知度を推定する。
なお、実施の形態2における運転支援装置10の構成は、実施の形態1と同様であるので詳細な説明を省略する。
図10Aは、図3A〜図7Aと同様に運転者の上下方向の視線位置を角度で示した視線位置データである。また、図10Bは、図10Aの視線位置データに対してハイパスフィルタ処理を施したものである。ハイパスフィルタ処理を施すことによって、運転者20による意識的な視線の上下動の影響をカットすることができる。
第1の方法として、視線角度の閾値Yを設定し、視線角度の値が閾値Yを超えた場合に、すなわち運転者20の視線が無意識的に基準となる方向から閾値以上ずれた場合に、即座に運転者の認知度が低下していると推定する方法が挙げられる。
図10Bを用いて具体的に説明すると、図10Bでは時刻T1,T2,T3,T4,T5で瞬間的に視線角度が閾値Yを超えた後、時刻T6〜時刻T7にかけて視線角度が閾値Yを超えた状態が継続している。
第1の方法では、時刻T1,T2,T3,T4,T5および時刻T6にそれぞれ運転者の認知度が低下していると判断し、報知装置106による報知をおこなう。これにより、運転者20の認知度が低下している可能性がある場合に、即座に運転者20に対して報知をおこなうことができる。
図10Bを用いて具体的に説明すると、所定時間をTy、所定回数を3回とした場合、最初に視線角度が閾値Yを超えた時刻T1から所定時間Tyのカウントを開始する。図10Bでは、所定時間Tyが経過する前の時刻T2,T3にも視線角度の値が閾値Yを超えている。よって、時刻T3において所定回数3回を超えることとなる。このため、時刻T3に運転者の認知度が低下していると判断し、報知装置106による報知をおこなう。これにより、くり返し視線角度が閾値Yを超え、運転者20の認知度が低下している可能性がより高い場合に運転者20に対して報知をおこなうことができる。
図10Bを用いて具体的に説明すると、所定時間をTxとした場合、視線角度が閾値Yを超えた状態が継続している時刻T6〜時刻T7は、所定時間Txより長時間となっている。よって、視線角度が閾値Yを超えた時刻T6からカウントを開始し、所定時間Txを経過した時点(時刻T8)で運転者の認知度が低下していると判断し、報知装置106による報知をおこなう。これにより、継続して視線角度が閾値Yを超え、運転者20の認知度が低下している可能性がより高い場合に運転者20に対して報知をおこなうことができる。
このため、運転者20の認知度が低下した場合に即座に報知情報を出力することができ、車両運転中の安全性を向上させることができる。
特に、本発明にかかる認知度推定装置および認知度推定方法は、カメラを用いて対象者を身体的に拘束することなく適用することができるので、各種の分野に応用可能である。
Claims (8)
- 車両の運転者の視線の上下方向の動きのみに基づいて、当該運転者の運転に対する集中の度合いを示す認知度を推定する認知度推定部を備え、
前記認知度推定部は、前記運転者の意識的な視線移動よりも速い視線の上下変動に基づいて、前記運転者の認知度を推定する、
ことを特徴とする認知度推定装置。 - 前記認知度推定部は、前記視線の上下方向の位置を所定のサンプリング周期ごとに検出し、所定時間内における前記視線の位置の検出値を周波数解析し、当該周波数解析結果の所定の周波数帯における積分値が所定の閾値を越えた場合に前記運転者の認知度が低下していると推定する、
ことを特徴とする請求項1記載の認知度推定装置。 - 前記認知度推定部は、前記積分値が大きいほど前記運転者の認知度が大きく低下していると推定する、
ことを特徴とする請求項2記載の認知度推定装置。 - 前記所定の周波数帯は、3Hz以上の周波数帯である、
ことを特徴とする請求項2または3記載の認知度推定装置。 - 車両の運転者の視線の上下方向の動きのみに基づいて、当該運転者の運転に対する集中の度合いを示す認知度を推定する認知度推定工程を含み、
前記認知度推定行程では、前記運転者の意識的な視線移動よりも速い視線の上下変動に基づいて、前記運転者の認知度を推定する、
ことを特徴とする認知度推定方法。 - 前記認知度推定工程では、
前記視線の上下方向の位置を所定のサンプリング周期ごとに検出する視線検出工程と、
所定時間内における前記視線の位置の検出値を周波数解析する周波数解析工程と、
当該周波数解析結果の所定の周波数帯における積分値を用いて前記運転者の認知度が低下しているか否かを判定する判定工程と、を含み、
前記判定工程では、前記積分値が所定の閾値を越えた場合に前記運転者の認知度が低下していると判定する、
ことを特徴とする請求項5記載の認知度推定方法。 - 前記判定工程では、前記積分値が大きいほど前記運転者の認知度が大きく低下していると推定する、
ことを特徴とする請求項6記載の認知度推定方法。 - 前記所定の周波数帯は、3Hz以上の周波数帯である、
ことを特徴とする請求項6または7記載の認知度推定方法。
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