JP6277074B2 - 硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液及びその製造方法 - Google Patents

硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、凝集剤として使用される硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液及びその製造方法に関するものである。
塩基性塩化アルミニウムは、水の浄化等に使用する凝集剤として、硫酸バンドと呼ばれることもある硫酸アルミニウムなどと共に広く使用されている。
このような塩基性塩化アルミニウムは、[Al(OH)Cl6−n]で表される単位が連なった重合を有する形態を有しており、このOHのAlに対する結合割合を表す塩基度が45%以上のものが高い凝集力を示すことが知られており、さらに、硫酸根を含むものは、より高い凝集能力を示すことが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、特許文献4には、塩基性塩化アルミニウム水溶液に溶けているAlの状態をNMRで定性的に規定する方法が提案されている。
ところで、このような塩基性塩化アルミニウムは、高い凝集力を有していたとしても、保存安定性に問題があり、例えば、水溶液の形態で保存しておくと、白濁、結晶析出や沈降分離を生じてしまうという問題があり、特に硫酸根が多く導入されているものほど、この傾向が強い。
従って、粉末の形態での保存が考えられるのであるが、この場合、輸送コスト等の点でメリットはあるとしても、実際の使用に際して、処理すべき液中に投入する作業が行い難いという問題があるばかりか、元々、水溶液の形態で製造される塩基性塩化アルミニウムから水分を除去するという作業を行うことは、生産コストの増大をもたらしてしまう。従って、水溶液の形態のまま保存や輸送に供され、そのまま処理液中に投入するという手法が多く採用されている。
また、塩基性塩化アルミニウム水溶液に溶け易いアルミナゲルを得るために炭酸根を含む原料を用いて調製する方法では、副生する過剰の塩、或いは不要な炭酸根を除去する必要がある。塩の除去は、ろ過と洗浄(特許文献1)或いは希釈とデカンテーション(特許文献2)により、炭酸根の除去は脱ガス(特許文献3)によるといった操作がある。
特開昭57−71818号公報 特開平7−172824号公報 特開2000−264627号公報 特開2009−203125号公報
本発明の目的は、硫酸根が共存する硫酸根変性塩基性塩化アルミニウムの水溶液であって、優れた凝集性を発揮することができ、しかも水溶液の状態で沈降分離することなどがなく、安定に保存される硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、硫酸根が共存する塩基性塩化アルミニウム水溶液の保存安定性について多くの実験を重ねて検討した結果、この硫酸根変性塩基性塩化アルミニウムの重合度分布を調整し、一定の塩基度を保持しながら重合度の高い成分の割合を少なくすることにより、凝集力を損なうことなく、保存安定性を向上させ得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、硫酸根変性塩基性塩化アルミニウムの水溶液であって、硫酸根を1〜3質量%の量で含み、且つ27Al−NMR測定において、−4〜−2ppm、−1〜1ppm、3〜6ppm、8〜13ppm及び60〜65ppmでの化学シフトの積分値を、それぞれ、AS、A0、A4、A10、A13とし、且つ検出されなかった高重合度ポリマーの積分値をAPとしたとき、AS+A0+A4+A10+A13+AP=Σと表記して下記条件;
1>A0/Σ≧0.19
0≦A10/Σ≦0.07
0≦AS/Σ<0.001
0≦A13/Σ≦0.001
を満足し、さらに塩基度が45〜70%の範囲にあることを特徴とする硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液が提供される。
本発明の硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液においては、
(1)Al濃度がAl換算で8〜12質量%の範囲にあること、
(2)凝集剤として使用されること、
が好ましい。
本発明によれば、また、塩基度が35〜63%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用意し、
前記塩基性塩化アルミニウム水溶液とアルミン酸ソーダ水溶液とを50℃以下の温度で混合し、
得られた混合液を、50℃以下の温度で6〜48時間熟成し、
次いで、得られた熟成液をろ過し、ろ液に、硫酸アルミニウム水溶液を添加すること、
を特徴とする硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液の製造方法が提供される。
本発明の硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液(以下PACSと略記する)は、後述する実施例に示されているように、優れた凝集力を示すと同時に、その保存安定性が極めて高く、例えば、45℃の温度に約2週間以上保持した場合においても白濁、結晶析出などを生じない。従って、このPACSは、そのままの状態で凝集剤として販売され、そのまま、濁水等に投入され、水の浄化等に使用される。
<PACS>
本発明のPACSにおいては、塩基性塩化アルミニウム水溶液(以下PACと略記し、詳細は後述する)と共に硫酸根が共存しており、これにより、高い凝集性を示すが、硫酸根(硫酸イオン)濃度は、1〜3質量%、特に2〜3質量%の範囲にある。即ち、硫酸根濃度が、低すぎると、凝集性が不満足となり、また、硫酸根濃度が高すぎると、保存安定性が損なわれたり、或いは凝集剤として使用したとき、浄化される水中に硫酸根が移行してしまい、浄化が不満足なものとなってしまったりするおそれもある。
また、このPACSの最も重要な特徴は、27Al−NMR測定において、−4〜−2ppm、−1〜1ppm、3〜6ppm、8〜13ppm及び60〜65ppmでの化学シフトの積分値を、それぞれ、AS、A0、A4、A10、A13とし、且つ検出されなかった高重合度ポリマーの積分値をAPとしたとき、AS+A0+A4+A10+A13+AP=Σと表記して下記条件;
1>A0/Σ≧0.19
0≦A10/Σ≦0.07
0≦AS/Σ<0.001
0≦A13/Σ≦0.001
を満足するように、重合しているAl成分の濃度が調整されている点にある。
即ち、PACSは、ポリ塩化アルミニウムとも呼ばれ、様々な長さのAl−O−Al連鎖から成るために分布を持っているが、このようなAlの連なりの分布が上記の条件を満足するように調整されているわけである。
具体的に説明すると、上記の条件式において、−4〜−2ppmの化学シフトASは、硫酸根と結合したAl、即ち、Al−OSO 2−を示すものであり、−1〜1ppmの化学シフトA0は、Alの単量体及び二量体を示し、3〜6ppmの化学シフトA4はAlの3〜9量体、8〜13ppmの化学シフトA10は、10量体以上のAl、60〜65ppmの化学シフトA13は13量体の中心Alを示すものである。
このことから理解されるように、上記の条件は、10量体以上のAlの含有量が抑制されており、特に13量体のAl量が著しく制限されている(好ましくはゼロ)し、Alに直接結合した硫酸根量も著しく制限されている(好ましくはゼロ)。
尚、上記の条件式において、27Al−NMR(以下、単にNMRと略す)測定により検出されなかった高重合度ポリマーの積分値は、後述する実施例に示されている方法で算出することができる。
本発明では、上記条件を満足するように、高重合度(特に13量体)のAlと硫酸根が直接結合したAlの含有量がともに少なく設定されていることに関連して凝集力を損なうことなく、保存安定性を大きく向上することが可能となる。
このような高重合度のAlの含有量と硫酸根が直接結合したAlの含有量とを制限することにより上記のような効果が得られることは、多くの実験の結果、現象として認識されたものであり、その理由は明確に解明されるには至っていないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、Alの重合度は、塩基度(OH含有割合に相当)にも関連しているが、Alに直接結合した硫酸根は遊離の硫酸根に比べて重合触媒活性が高いため保存期間中にAlを容易に高重合度化し、凝集剤として使用する時点では凝集力にさほど寄与しないAlの存在割合が多くなるし、高重合度化したAlの特に13量体は凝集力に寄与せずしかも水溶液中で時間が経過するにしたがって結晶として析出し易くなるため、上記のような条件を満足するように、高重合度のAlの存在を制限することにより、凝集力を損なわずに、その保存安定性が向上するものと信じられる。
また、本発明において、PACSの塩基度は、通常、45〜70%の範囲にある。即ち、本発明のPACSは、後述する方法で製造されるが、かかる方法では、Alの重合(ゲル化)が制限されるため、この範囲よりも高い塩基度は得られず、一方、この塩基度が上記範囲よりも小さいと、凝集力が不満足となってしまい、例えば懸濁粒子のフロック化が不十分となる傾向がある。
さらに、本発明のPACSでは、Al濃度がAl換算で、8〜12質量%、特に10〜11質量%の範囲にあることが好適である。即ち、水溶液中でのAl濃度が低すぎると、凝集能が低くなり、また、水溶液中でのAl濃度が高すぎると、この水溶液の保存安定性が低下するおそれがある。
本発明のPACSは、凝集剤として水道水、工業用水や排水の処理に好適に使用され、これを添加してのフロック化により、各種の懸濁不純物を捕捉し、水を浄化することができる。
<PACSの製造>
上述した本発明のPACSは、塩基度が35〜63%の塩基性塩化アルミニウム水溶液(以下BACと略記する)を原料として製造される。
このような塩基度のBACは、それ自体公知であり、例えば特開平6−16416号公報や特開2000−271574号公報に記載されているように、水酸化アルミニウムと塩酸とを加圧下で反応させることにより得られる。
反応温度は100〜150℃程度の範囲であり、圧力は0.1〜0.5MPa程度であり、反応時間は、温度や圧力に応じて、塩基度が上記範囲内となる程度の時間、例えば2〜24時間程度であり、このような反応はオートクレーブを用いて行われる。
例えば、塩基度が上記範囲を超えるBACを使用すると、後に行われる混合工程で重合が過度に進行してしまい、重合度が一定の条件を満足するように調整された本発明のPACSを得ることが困難となってしまう。
本発明の製造方法においては、上記のBACにアルミン酸ソーダ水溶液を50℃以下、特に25〜45℃の温度で混合し、この混合液を熟成する。
即ち、これにより、Alの塩基度が調整され、一旦はAlの3量体〜9量体が一定のレベルに増大して一部が沈降するが、熟成後に大半は解膠して重合度が一定の範囲に収まる。この熟成液をろ過することにより、解膠できなかった重合度の高いわずかの成分が除去されることとなる。ここで得られたろ液(塩基性塩化アルミニウム水溶液)が前述のPACである。
例えば、BACとアルミン酸ソーダ水溶液との混合を、上記温度よりも高温で行うと、Alの重合によって生じるゲル化が一気に進行してしまい、アルミニウム成分のほとんどが高重合度成分となる。これをろ過すると、多くのAlが取り除かれてしまい、結局、目的とするPACSを得ることができなくなる。
また、BACとアルミン酸ソーダ水溶液との混合は、同時注加によることが好ましい。即ち、BACにアルミン酸ソーダ水溶液を添加したり、アルミン酸ソーダ水溶液にBACを添加したりすると、局部的にゲル化が進行し不均一となってしまい、重合度に大きなバラつきを生じる。この結果、重合度を効果的にコントロールすることができなくなるおそれがあるからである。
さらに、上記のアルミン酸ソーダ水溶液は、Al換算で、BAC100質量部当り20〜50の質量部で使用することが、高重合度のAlゲル化物生成を抑制し、重合度が調整されたPACを得る上で好適である。
アルミン酸ソーダ水溶液添加後の熟成は、撹拌下で行われ、熟成温度は、上記と同様、50℃以下、特に25〜45℃で行われ、熟成時間は、用いるアルミン酸ソーダ水溶液の量や温度によっても若干異なるが、通常、6〜48時間程度である。
尚、この熟成時間は、例えば、一定時間毎に、NMR測定を行い、−1〜1ppmでの化学シフトの積分値A0が、積分値A0、A4、A10、A13及びAPの合計値当り、約0.20以下となった時点を終点とすればよい。
本発明においては、上記のようにして熟成を行った後、ろ過を行い、沈降した高重合度のAlゲル化物を除去し、得られたろ液(PAC)に、硫酸アルミニウム水溶液(以下LASと略記する)を添加することにより、目的とするPACSを得ることができる。
この場合、LASの添加量は、前述したように硫酸根濃度が1〜3質量%、特に2〜3質量%の範囲となり、さらに好ましくは、LASが添加された液中でのAl換算のAl濃度が8〜12質量%となるような量とすればよい。
この混合は、適宜撹拌下に行われ、特に加熱を要せず室温でよく、さらに、特に熟成も必要ない。
上記のようにLASを添加することにより、硫酸根が所定濃度で共存しており、且つNMR測定による化学シフトの積分値に関する条件を満足している本発明のPACSが得られる。
尚、かかる製造方法において、最も重要な特徴は、LASを最後に添加して硫酸根を共存させている点にある。即ち、LASを添加後に、アルミン酸ソーダ水溶液の添加等によるゲル化を行ってしまうと、ゲル化が一気に進行してしまい、ほとんどがAlの高重合度化物になってしまい、高重合度成分の量が抑制されたものを得ることができなくなってしまうからである。
また、上記のようにして得られるPACSでは、前述した熟成及びろ過により、PACの塩基度は増大するが、LASの添加により、塩基度は、低下し、最終的には、45〜70%の範囲となる。
上記のようにして得られた本発明のPACSは、優れた凝集性と保存安定性を有しており、そのまま、凝集剤として適宜、保存、輸送され、水処理等に使用される。
本発明を次の実験例で説明する。
尚、以下の実験で行った各種の測定は、次の方法により行った。
(1)凝集試験;
カオリンNUSURF(Engelhard製)0.2gを水道水10Lに添加し(20ppm)、2%NaOH水溶液を2.00ml加えてpH8.5に調整した供試水を用い、JWWA K 154:2005−2水道水用ポリ塩化アルミニウムに準拠して行った。
マイクロフロック形成時間とフロックの大きさから、凝集性能が優れた物を◎、良い物を○、可とする物を△、不可とする物を×で評価した。
(2)保存安定性;
50mL透明ガラス瓶に、試料液約30mLを入れ、蓋をした。温度45℃の恒温槽の中に入れ、白濁または結晶析出するまでの日数を調べた。
(3)化学分析:
アルミニウム含有量(Al換算)〔質量%〕:JWWA K 154:2005−2水道水用ポリ塩化アルミニウムに準拠して行った。
ナトリウム含有量(NaO換算)〔mg/L〕:炎光光度法により測定した。
硫酸根含有量(SO換算)〔質量%〕:硫酸バリウム生成による重量法で行なった。
(4)塩基度〔%〕:JWWA K 154:2005−2水道水用ポリ塩化アルミニウムに準拠して行った。
(5)27Al−NMR測定;Bruker製Avance III 600MHz型のNMR装置を用い下記の条件で測定を行った。
(6)NMRスペクトルの解析
Al濃度(Mr)の硝酸アルミニウム水溶液を標準液、水を空試験液として用いNMR測定を行い、−20〜120ppmの範囲における標準液の積分値(Ar)と空試験液の積分値(Ab)をそれぞれ求めた。
各試料についても同様の測定条件で−20〜120ppmの範囲における試料液積分値(At)を求めると共に、Al濃度(Ms)を測定した。
下記式:
(At+AP−Ab)/Ms=(Ar−Ab)/Mr
を満足するAPを求め、これを、NMRで検出できなかったポリマー成分の積分値とした。
また、日本電子製DELTAを用い波形分離して得られた化学シフトが−4〜−2ppm、−1〜1ppm、3〜6ppm、8〜13ppm、60〜65ppmの各ピークIntegral値を、それぞれ、AS、A0、A4、A10、A13とした。
(実施例1)
BAC(Al:12.8%、塩基度:38.2%)150gとアルミン酸ソーダ水溶液(Al:6.76%)95gを、株式会社エスエムテー製ハイフレックッスディスパーサーHG92(以後ディスパーサーと略記する)を用いて3000rpmで撹拌しているところへ同時注加しさらに5000rpmで3分撹拌して懸濁液を得た。この懸濁液を40℃にして、2時間攪拌した。室温下一晩静置した後、ろ過して得たろ液(PAC)に、LAS(Al:8.2%)35gを注加し、本発明のPACSを得た。生成物の特性および性能は表1の通りである。
(比較例1−1)
BAC(Al:12.6%、塩基度:38.0%)270gを、ディスパーサーを用いて2000rpmで撹拌しているところへ、粉末アルミン酸ソーダ(Al:52.6%)21.0gを135gの水に溶解した液とLAS(Al:7.9%)60.0gとを同時注加した。懸濁液の温度を50℃にして3時間攪拌した後、室温下一晩静置した。ろ過して得たろ液の特性および性能は表1の通りである。
(比較例1−2)
BAC(Al:11.7%、塩基度:35.1%)278gを、ディスパーサーを用いて1000rpmで撹拌した。アルミン酸ソーダ水溶液(Al:8.4%)156gを注加した後、2000rpmで10分間撹拌した。得られた懸濁液を45℃で18時間攪拌し溶解させた後、LAS(Al:8.2%)67gを注加し、ろ過した。得られたろ液の特性および性能は表1の通りである。
(比較例1−3)
特開2009−203125の実施例1に準拠し、以下の様に調製した。BAC(Al2O3 :12.6%、塩基度:40%)263gに、LAS(Al:8.2%)272gを混合した液を調製した。ここへ固形分65%の炭カル懸濁液71.7gを加えPACS(Al2O3:10.9%、塩基度63%)を429g得た。これを水で希釈してAl2O3 :10.3%に調製した。次に、この水溶液を75℃にして撹拌しながら、21%炭酸ナトリウム溶液を30分かけて添加し、添加後75℃で1時間熟成させ、塩基性塩化アルミニウム溶液(Al:12.1%、塩基度71.5%)を製造した。これを水で希釈してAl2O3 :10.1%に調製した。この水溶液の特性および性能は表1の通りである。この製造方法では、炭カルを添加することから石膏が析出するために、除去する必要がある。また、得られた塩基性塩化アルミニウム溶液のA13/Σが本発明よりも高い値であったことから、高重合度のAlが多いために、凝集性、安定性とも劣る結果であった。
(比較例1−4)
特開平07−172824の実施例2に準拠し、以下の様に調製した。予め50gの水を張った反応容器をディスパーサーで攪拌しながら、粉末アルミン酸ソーダ(Al2O3:26%、Na2O/Al2O3=1.2モル比)46.3gと炭酸ソーダ溶液(14%濃度)62.5gを混合したアルカリ溶液と、BAC(Al2O3 濃度13.5%、塩基度43%)109gを、pH6〜9の範囲に維持しつつ常温下同時に添加し、Al2O3 濃度10%のアルミナゲルスラリーを得た。このアルミナゲルスラリーを水にて2.9%に希釈、静置後、上澄水を廃棄することにより一部脱塩処理してAl2O3:9.2%、NaCl:2.6%のアルミナゲルスラリーを290g得た。このアルミナゲルスラリーをBAC(Al2O3濃度13.5%、塩基度43%)150gに60℃の温度を維持しながら30分で供給し、その後さらに7.5時間攪拌保持し溶解処理した(溶解時間8時間)。続いて、該溶液にLAS(Al:8.3%)52gを60℃の温度で添加混合し、30分後にろ過した。得られたろ液の特性および性能は表1の通りである。得られたろ液のA13/Σが本発明よりもかなり高い値であり、凝集性に劣った結果であった。
(実施例2−1〜2−5、比較例2−1)
アルミン酸ソーダ水溶液を注加してから所定の温度で懸濁液を2時間攪拌する他は、実施例1と同様の操作を行なってPACSを得た。生成物の特性および性能は表2の通りである。
(実施例3−1〜3−2、比較例3−1〜3−2)
BAC(Al:12.8%、塩基度:38.2%)3.20kgとアルミン酸ソーダ(Al:7.13%)2.05kgを、T.K.マイコロイダーのホッパーに同時注加してD(v,0.5)が27μmの懸濁液を得た。温度を30℃にして、懸濁液を2時間攪拌した。その後室温下一晩静置した。ろ過して得たろ液(PAC)に、0, 0.5, 0.75, 0.95kgのLAS(Al:8.3%)を注加し、PACSが得られた。生成物の特性および性能は表3の通りである。

Claims (4)

  1. 硫酸根変性塩基性塩化アルミニウムの水溶液であって、硫酸根を1〜3質量%の量で含み、且つ27Al−NMR測定において、−4〜−2ppm、−1〜1ppm、3〜6ppm、8〜13ppm及び60〜65ppmでの化学シフトの積分値を、それぞれ、AS、A0、A4、A10、A13とし、且つ検出されなかった高重合度ポリマーの積分値をAPとしたとき、AS+A0+A4+A10+A13+AP=Σと表記して下記条件;
    1>A0/Σ≧0.19
    0≦A10/Σ≦0.07
    0≦AS/Σ<0.001
    0≦A13/Σ≦0.001
    を満足し、さらに塩基度が45〜70%の範囲にあることを特徴とする硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液。
  2. Al濃度がAl換算で8〜12質量%の範囲にある請求項1に記載の硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液。
  3. 凝集剤として使用される請求項1または2に記載の硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液。
  4. 塩基度が35〜63%の塩基性塩化アルミニウムの水溶液を用意し、
    前記塩基性塩化アルミニウム水溶液とアルミン酸ソーダ水溶液とを50℃以下の温度で混合し、
    得られた混合液を、50℃以下の温度で6〜48時間熟成し、
    次いで、得られた熟成液をろ過し、ろ液に、硫酸アルミニウム水溶液を添加すること、
    を特徴とする硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液の製造方法。
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