JP6276806B2 - ショ糖脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、モノエステルの選択率の高いショ糖脂肪酸エステルの製造方法に関する。
従来、糖と脂肪酸エステルとをエステル交換することにより、糖脂肪酸エステルを製造することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭63−119493号公報
そのような糖脂肪酸エステルの製造においては、モノエステル(モノ体)と共に、ジエステル(ジ体)、トリエステル(トリ体)なども製造されることになるが、ショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)やグルコース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステルのモノエステルは優れた特性を有しているため、モノエステルの含有量が多くなるように糖脂肪酸エステルを製造したいという要望があった。なお、例えば、ショ糖脂肪酸エステルのモノエステルは、抗菌性や熱安定性を有していることが知られている。
また、そのようなモノエステルは、乳化剤等の食品添加物や、化粧品、または医薬品等に用いられるため、着臭のないショ糖脂肪酸エステルを製造したいという要望もあった。
本発明は、上記状況においてなされたものであり、モノエステルの割合が高く、着臭のないショ糖脂肪酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題に対して鋭意研究の末、マイクロ波を照射し、ショ糖の分解温度未満となるように加熱することによって、モノエステルの割合が高く、着臭のないショ糖脂肪酸エステルを製造できることを見いだし、発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1] ショ糖と塩基性触媒とを含む水溶液を調製する工程と、
当該工程で得られた水溶液と、脂肪酸アルカリ金属塩と、脂肪酸エステル(ただし、パルミチン酸エステル及びステアリン酸エステルを除く)とを混合して減圧下で撹拌して加熱することによってショ糖脂肪酸エステルを生成する工程と、を備え、
前記ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程は、混合物から水を除去する前段の工程と、当該工程の後にエステル交換を行う後段の工程とを有しており、
前記後段の工程では、マイクロ波を照射することによって、混合物が前記ショ糖の分解温度未満となるように加熱する、ショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
ここで、パルミチン酸エステル及びステアリン酸エステルを除くとは、上記脂肪酸エステルが、パルミチン酸エステルのみである場合、及びステアリン酸エステルのみである場合を除外する意味である。
[2] 製造対象が、モノエステルの重量割合が60重量%以上であるショ糖脂肪酸エステルである、[1]記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
[3] 前記脂肪酸エステルは、炭素数が8から24の飽和及び不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を構成脂肪酸とする脂肪酸エステル(ただし、パルミチン酸エステル及びステアリン酸エステルを除く)である、[1]または[2]ショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
[4] 脂肪酸エステルと、アルカリ金属塩を溶媒に溶解させた溶液とを混合して加熱することによって脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程をさらに備え、
前記ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程で使用される脂肪酸アルカリ金属塩は、前記脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程で生成されたものである、[1]から[3]のいずれか記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
[5] 前記後段の工程では、混合物の温度が前記分解温度より25℃低い温度以上、前記分解温度未満となるように加熱する、[1]から[4]のいずれか記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
[6] 前記後段の工程において、混合物が昇温するように加熱する、[1]から[5]のいずれか記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
[7] 前記後段の工程における加熱時間は、6時間以下である、[1]から[6]のいずれか記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
本発明によるショ糖脂肪酸エステルの製造方法によれば、マイクロ波を照射し、ショ糖の分解温度未満となるように加熱することによって、モノエステルの割合が高く、着臭のないショ糖脂肪酸エステルを製造することができる。
参考例、比較例の結果を示す表 参考例、比較例のモノ体収率、モノ体重量割合の時間変化を示すグラフ 参考例、比較例の結果を示す表 参考例、比較例のモノ体収率、モノ体重量割合の時間変化を示すグラフ 実施例、比較例、参考例の結果を示す表 実施例、比較例、参考例のモノ体収率、モノ体重量割合の時間変化を示すグラフ 実施例、比較例、参考例の結果を示す表 実施例、比較例、参考例のモノ体収率、モノ体重量割合の時間変化を示すグラフ 実施例、比較例、参考例の結果を示す表 実施例、比較例、参考例のモノ体収率、モノ体重量割合の時間変化を示すグラフ 実施例、比較例、参考例の結果を示す表 実施例、比較例、参考例のモノ体収率、モノ体重量割合の時間変化を示すグラフ
脂肪酸エステルと、アルカリ金属塩を溶媒に溶解させた溶液とを混合して加熱することによって脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程と、ショ糖と塩基性触媒とを含む水溶液を調製する工程と、その工程で得られた水溶液と、脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程で生成された脂肪酸アルカリ金属塩と、脂肪酸エステルとを混合して減圧下で撹拌して加熱することによってショ糖脂肪酸エステルを生成する工程と、を備えるショ糖脂肪酸エステルの製造方法について説明する。そのショ糖脂肪酸エステルを生成する工程は、混合物から水を除去する前段の工程と、当該工程の後にエステル交換を行う後段の工程とを有している。また、その後段の工程では、マイクロ波を照射することによって、混合物がショ糖の分解温度未満となるように加熱する。
脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程で用いる脂肪酸エステルは、例えば、脂肪酸アルキルエステルであってもよく、または、脂肪酸多価アルコールエステルであってもよい。その脂肪酸エステルの構成脂肪酸は特に限定されないが、例えば、炭素数が7以下の短鎖脂肪酸、炭素数が8〜10の中鎖脂肪酸、炭素数が12以上の長鎖脂肪酸であってもよい。その構成脂肪酸は、例えば、炭素数が8から24の脂肪酸であってもよく、炭素数が8から22の脂肪酸であってもよく、炭素数が8から20の脂肪酸であってもよく、炭素数が8から18の脂肪酸であってもよい。また、脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、例えば、炭素数が8から12の飽和脂肪酸、並びに炭素数14から24の飽和及び不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を構成脂肪酸とする脂肪酸エステルであってもよい。また、不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸(モノエン脂肪酸)であってもよく、多価不飽和脂肪酸(ポリエン脂肪酸)であってもよい。脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、またはエルカ酸などを挙げることができる。
脂肪酸アルキルエステルにおけるアルキル基は、例えば、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基であってもよい。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、またはシクロペンチル基を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、メチル基、またはエチル基が好適である。
脂肪酸多価アルコールエステルにおける多価アルコールは、例えば、2価〜6価のものであってもよい。2価〜6価の多価アルコールとしては、例えば、グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等)、グリセロール(グリセリン)、ペンタエリトリトール、またはソルビトールを挙げることができる。
したがって、脂肪酸エステルは特に限定されないが、例えば、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、パルミトレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、パルミトレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、もしくはリノール酸エチル等の脂肪酸アルキルエステルであってもよく、または、エチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ブチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、もしくはソルビトール脂肪酸エステル等の脂肪酸多価アルコールエステルであってもよい。これらの脂肪酸エステルは、単独で用いてもよく、または複数を混合して用いてもよいが、1種類のショ糖脂肪酸エステルを製造する観点からは、単独で用いることが好適である。
なお、脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程における脂肪酸エステルの使用量は特に限定されないが、脂肪酸アルカリ金属塩の生成に用いられる脂肪酸エステルが、ショ糖脂肪酸エステルの生成に用いられる脂肪酸エステルと同じであり、脂肪酸アルカリ金属塩の生成において未反応であった脂肪酸エステルを用いてショ糖脂肪酸エステルの生成を行う場合には、脂肪酸アルカリ金属塩の生成反応における転換率は略100%であるため、所望の脂肪酸アルカリ金属塩の生成に必要な脂肪酸エステルの量と、ショ糖脂肪酸エステルの生成に必要な脂肪酸エステルの量とを足した量、またはそれ以上にしてもよい。一方、後から脂肪酸エステルを追加する場合には、脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程における脂肪酸エステルの使用量は、所望の脂肪酸アルカリ金属塩と同当量またはそれ以上であってもよい。
アルカリ金属塩は、リチウム、ナトリウム、またはカリウムなどのアルカリ金属の塩である。塩は、例えば、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、水素化物、またはアルコキシドであってもよい。アルカリ金属塩は特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、メトキシカリウム(カリウムメトキシド)、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、またはナトリウムメトキシドであってもよい。これらのアルカリ金属塩は、単独で用いてもよく、または複数を混合して用いてもよい。このアルカリ金属塩の使用量は、脂肪酸エステルを生成する工程における脂肪酸アルカリ金属塩の必要量を生成できる量とすることが好適であり、例えば、所望の脂肪酸アルカリ金属塩と同当量であってもよい。アルカリ金属塩としては、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを使用することが好適である。
溶媒は、アルカリ金属塩を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール、ケトン、水から選ばれる少なくとも1種の溶媒であってもよい。アルコールは特に限定されないが、例えば、炭素数1〜5のアルコールであってもよい。炭素数1〜5のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール(1−プロパノール)、イソプロパノール(2−プロパノール)、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール、tert−アミルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、またはネオペンチルアルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、単独で用いてもよく、または複数を混合して用いてもよい。炭素数3〜5のケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはジエチルケトンを挙げることができる。これらのケトンは、単独で用いてもよく、または複数を混合して用いてもよい。その溶媒は、メタノールまたはエタノールが好適である。後から除去することが容易だからである。また、脂肪酸エステルと、アルカリ金属塩との反応によって生成されるものと同じ溶媒を用いることが好適である。例えば、メチル基またはエチル基を有する脂肪酸アルキルエステルと、アルカリ金属の水酸化物とを反応させる場合には、メタノールまたはエタノールを溶媒として用いることが好適である。また、この溶媒は反応に寄与しないため、その使用量はアルカリ金属塩が溶解する範囲において任意である。
アルカリ金属塩を溶媒に溶解させる際に、撹拌を行ってもよく、または撹拌を行わなくてもよい。また、その溶解の際に、加熱してもよく、または加熱しなくてもよい。
脂肪酸エステルと、アルカリ金属塩の溶液とを混合した混合液において、脂肪酸エステルは、溶けていることが好適である。その混合液において、脂肪酸エステルは、例えば、融解していてもよく、または溶解していてもよい。なお、脂肪酸エステルが常温で固体である場合には、あらかじめ融解もしくは溶媒に溶解された脂肪酸エステルが、アルカリ金属塩の溶液と混合されてもよく、または、固体の脂肪酸エステルがアルカリ金属塩の溶液と混合された後に溶けてもよい。前者の場合には、例えば、固体の脂肪酸エステルが融点以上に加熱されることによって融解されていてもよく、または、固体の脂肪酸エステルが、アルコール、ケトン、ヘキサンやヘプタン等の無極性溶媒などの有機溶媒に溶解されていてもよい。固体の脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解させる際に、加熱してもよく、または加熱しなくてもよい。また、固体の脂肪酸エステルを融解させたり、溶媒に溶解させたりする際に行われる加熱は、マイクロ波の照射によって行ってもよく、または、そうでなくてもよい。
脂肪酸エステルと、アルカリ金属塩を溶媒に溶解させた溶液とを混合して加熱すると、脂肪酸アルカリ金属塩を生成できる。なお、加熱は、マイクロ波を用いることが好適であるが、そうでなくてもよい。その加熱時には還流を行うことが好適である。加熱の温度は特に限定されないが、30℃〜200℃の範囲が好適であり、60℃以上がさらに好適である。また、加熱の時間は特に限定されないが、5分から24時間の範囲が好適であり、20分から2時間の範囲がより好適であり、30分から1時間の範囲がさらに好適である。また、減圧下で反応させることが好適である。加熱の開始時には減圧していてもよく、または常圧であってもよい。加熱の開始時には常圧である場合には、加熱と共に減圧を開始してもよい。減圧によって、1〜90kPaに減圧することが好適であり、1〜10kPaに減圧することがより好適であり、1〜4kPaに減圧することがさらに好適である。その反応によって生成される脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属の例示は上述の通りであり、脂肪酸の例示も上述の通りである。したがって、生成される脂肪酸アルカリ金属塩としては、例えば、カプリル酸カリウム、カプリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、パルミトレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、リノール酸カリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミトレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、またはリノール酸ナトリウムを挙げることができる。この工程で生成された脂肪酸アルカリ金属塩は溶媒に溶けないため、溶媒を除去することによって、脂肪酸アルカリ金属塩を得ることができる。溶媒は、例えば、加熱や減圧を継続することによって除去できる。その脂肪酸アルカリ金属塩に、未反応の脂肪酸エステルが含まれていてもよく、または、そうでなくてもよい。なお、反応終了後、温度を下げることが好適である。その低下後の温度は特に限定されないが、例えば、100℃未満、未反応の脂肪酸エステルの融点以上であることが好適である。
塩基性触媒は、塩基性を有する触媒であれば特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、または、金属塩であってもよい。アルカリ金属塩は、例えば、リチウム、ナトリウム、またはカリウムなどのアルカリ金属の塩である。アルカリ土類金属塩は、例えば、ベリリウム、マグネシウム、またはカルシウムなどのアルカリ土類金属の塩である。金属塩は、例えば、マンガン、亜鉛、銅、またはニッケルなどの金属の塩である。塩は、上述のように、例えば、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、水素化物、またはアルコキシドであってもよい。アルカリ金属塩は特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、メトキシカリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、またはナトリウムメトキシドであってもよい。アルカリ土類金属塩は特に限定されないが、例えば、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、マグネシウムメトキシド、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、またはカルシウムメトキシドであってもよい。また、金属塩は特に限定されないが、例えば、水酸化マンガン、または水酸化亜鉛であってもよい。これらの塩基性触媒は、単独で用いてもよく、または複数を混合して用いてもよい。この塩基性触媒は、少なくとも一部が水に溶解するものである。したがって、この塩基性触媒を、水溶性触媒と呼ぶこともできる。なお、塩基性触媒としては、水に完全に溶解するものを用いることが好適である。また、この塩基性触媒は、ショ糖のヒドロキシル基のエステル化において用いられるため、エステル化触媒と呼ぶこともできる。塩基性触媒は、脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属と同じアルカリ金属の塩であることが好適である。例えば、脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属がカリウム、またはナトリウムである場合には、塩基性触媒は、水酸化カリウム、または水酸化ナトリウムであることが好適である。
なお、ショ糖と塩基性触媒とを含む水溶液を調製する工程における水の量は問わないが、後から水を除去する必要があるため、ショ糖が溶ける範囲の最低限の水の量であることが好適である。また、塩基性触媒の量は、ショ糖に対して、0.01〜20重量%の範囲であることが好適であり、0.1〜5重量%の範囲であることがより好適である。また、その工程において、ショ糖や塩基性触媒を水に溶解させるため、例えば、回転撹拌や揺動撹拌等の撹拌を行ってもよい。また、その工程において、加熱してもよく、または加熱しなくてもよい。また、ショ糖及び塩基性触媒を水に溶解させる順序は問わない。
ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程で使用される脂肪酸エステルの例示は、上述の通りである。なお、その脂肪酸エステルは、脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程で用いられる脂肪酸エステルと同じであってもよく、または異なっていてもよい。前者の場合には、前述のように、脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程の反応で用いられなかった未反応の脂肪酸エステルが、ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程で使用されてもよく、または、同じ脂肪酸エステルが新たに投入されてもよい。脂肪酸エステルが新たに投入される場合であって、投入対象の脂肪酸エステルが常温では固体である場合には、その脂肪酸エステルは融解されてから投入されてもよく、または、投入されてから融解されてもよい。いずれにしても、ショ糖脂肪酸エステルの生成時には、脂肪酸エステルは融解していることが好適である。ショ糖脂肪酸エステルの生成に用いられる脂肪酸エステルが、脂肪酸アルカリ金属塩の生成に用いられる脂肪酸エステルと同じである場合には、ショ糖に対して、過剰量の脂肪酸エステルを用いたとしても、その脂肪酸エステルを回収して用いる際に、他の種類の脂肪酸エステルが混入しないため、再利用性がよいというメリットがある。この脂肪酸アルカリ金属塩は、ショ糖の水溶液と脂肪酸エステルとの混合物において、乳化剤として用いられる。
また、ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程で使用される脂肪酸アルカリ金属塩の例示は、上述の通りであり、それらの脂肪酸アルカリ金属塩は、単独で用いられてもよく、または複数の混合で用いられてもよい。脂肪酸アルカリ金属塩の使用量は特に限定されないが、例えば、全混合物に対して、1〜50重量%であることが好適であり、ショ糖脂肪酸エステルの生成で用いられる脂肪酸エステルが脂肪酸アルキルエステルである場合には、10〜30重量%であることがより好適である。
ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程では、ショ糖を塩基性触媒の存在下で水に溶解させた水溶液と、前段の工程で生成された脂肪酸アルカリ金属塩と、脂肪酸エステルとを混合して減圧下で撹拌して加熱することによってショ糖脂肪酸エステルを生成する。この混合は、結果として、その水溶液と、脂肪酸アルカリ金属塩と、脂肪酸エステルとが混合されるのであれば、混合の順序は問わない。なお、脂肪酸エステルは、結果として、混合後に融解していればよい。したがって、脂肪酸エステルは、混合時に融解していてもよく、または、混合時には融解しておらず、混合後に融解してもよい。前者の場合であって、脂肪酸エステルが常温で固体である場合には、例えば、加熱することによって脂肪酸エステルを融解させてもよい。なお、この混合液には、有機溶媒が入っていないことが好適である。また、この工程でショ糖と混合される脂肪酸エステルは、ショ糖1当量に対して、1〜20当量の範囲であることが好適である。このように、脂肪酸エステルの使用量は、ショ糖と同当量または過剰量であることが好適である。この工程で行われる撹拌は、例えば、回転撹拌、揺動撹拌、超音波撹拌であってもよく、または、それらの任意の2以上の組み合わせであってもよい。その撹拌は、連続して行われてもよく、または間欠で行われてもよい。なお、ショ糖の水溶液と脂肪酸アルカリ金属塩と脂肪酸エステルとを混合した混合物は、粘度の高い流動体である。したがって、この混合物は、粘度の高い混合液であると考えることもできる。
ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程は、混合物から水を除去する前段の工程と、この前段の工程の後に、水の除去された状態においてエステル交換を行う後段の工程とを有している。前段の工程では、ショ糖の水溶液である分散質が均一に分散している状態で水を除去するために、十分な撹拌が行われることが好適である。後段の工程でも、ショ糖と脂肪酸エステルとのエステル交換を促進する観点から、十分な撹拌が行われることが好適である。
ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程における前段の工程の加熱は、マイクロ波を照射することによって行われてもよく、またはそうでなくてもよい。ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程における後段の工程の加熱は、マイクロ波を照射することによって行われる。マイクロ波の周波数は特に限定されないが、例えば、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、24GHzであってもよく、915MHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であってもよい。また、単一の周波数のマイクロ波が照射されてもよく、複数の周波数のマイクロ波が照射されてもよい。後者の場合には、例えば、複数の周波数のマイクロ波が同時に照射されてもよく、または異なる時期に照射されてもよい。異なる時期に複数の周波数のマイクロ波がそれぞれ照射される場合には、例えば、反応の開始時点において、原料に吸収されやすい周波数のマイクロ波が照射され、反応の進んだ時点において、生成物に吸収されやすい周波数のマイクロ波が照射されてもよい。また、例えば、複数の周波数のマイクロ波は、同じ位置で照射されてもよく、または異なる位置で照射されてもよい。異なる位置で複数の周波数のマイクロ波がそれぞれ照射される場合には、例えば、フロー式のリアクターの上流側の位置、すなわち生成物よりも原料の割合の多い位置において、原料に吸収されやすい周波数のマイクロ波が照射され、そのリアクターの下流側の位置、すなわち原料よりも生成物の割合の多い位置において、生成物に吸収されやすい周波数のマイクロ波が照射されてもよい。また、マイクロ波の照射は、連続で行ってもよく、または照射と休止を繰り返す間欠で行ってもよい。マイクロ波を照射すると、照射対象の温度が上昇するが、その温度が一定になるようにマイクロ波照射の強度を調整してもよく、マイクロ波照射の強度を一定にして温度は変動させてもよく、または、小刻みにマイクロ波照射の強度を変更してもよい。マイクロ波の照射対象である混合物の温度は、例えば、熱電対方式の温度計や、赤外線光ファイバー方式の温度計などの既知の温度計を用いて測定されてもよい。その測定された温度は、マイクロ波の出力(強度)の制御に用いられてもよい。マイクロ波の照射は、シングルモードで行われてもよく、またはマルチモードで行われてもよい。なお、マイクロ波の照射対象である混合物にマイクロ波吸収性を有する触媒を投入してもよく、そうでなくてもよい。製造されるショ糖脂肪酸エステルが食品や医薬品の用途であり、その触媒を反応後に完全に除去する必要がある場合には、触媒を用いないことが好適である。
前段の工程すなわち混合物から水を除去する工程の温度は、後段の工程すなわちエステル交換を行う工程の反応温度よりも低いことが好適である。前段の工程における温度が後段のエステル交換を行う工程の反応温度と同じかまたは高い場合には、この前段の工程においてエステル交換が始まってしまい、後段の工程におけるショ糖脂肪酸エステルの収率が低くなるからである。一方、その前段の工程の温度が低すぎると水が除去しきらず、後段の工程における反応が阻害されることになる。したがって、前段の工程の混合物の温度は、常温より高く、後段の工程の反応温度よりも低いことが好ましい。例えば、前段の工程において、40℃〜80℃の範囲に加熱されることが好ましく、50℃〜80℃の範囲に加熱されることがより好ましい。また、前段の工程の時間は、5分〜24時間の範囲であることが好適であり、20分〜2時間の範囲であることがより好適であり、30分〜1時間の範囲であることがさらに好適である。水の除去は、残存している水の量が、混合物全体に対して、0.1〜2重量%となるまで行うことが好適である。
後段の工程において、混合物がショ糖の分解温度未満となるように加熱されるものとする。ショ糖の分解温度以上に加熱すると着臭(いわゆるカラメル臭)が生じることになり、ショ糖脂肪酸エステルの品質が悪化するからである。なお、ショ糖の分解温度とは、ショ糖の分解が始まる温度である。ショ糖の短時間の加熱での着臭を生じる分解温度は、135℃付近から始まる。後段の工程においては、例えば、ショ糖の分解温度よりも25℃低い温度から、ショ糖の分解温度未満の範囲に加熱されることが好適であり、ショ糖の分解温度よりも10℃低い温度から、ショ糖の分解温度未満の範囲に加熱されることがより好適である。後段の工程における反応温度がショ糖の分解温度に近い方が、より高いモノエステルの収率をより短時間で実現できるからである。後段の工程において、混合物が100℃〜135℃の範囲に加熱されることが好適であり、110℃〜133℃の範囲に加熱されることがより好適であり、110℃〜130℃の範囲に加熱されることがさらに好適である。また、後段の工程において、混合物が120℃以上に加熱されてもよい。後段の工程において、混合物の測定温度が、「ショ糖の分解温度−α(℃)」となるようにマイクロ波による加熱を行ってもよい。αは、正の実数である。なお、αは、小さい値であることが好適であるが、マイクロ波による温度制御のフィードバックの応答性に応じて、そのαの値を選択してもよい。具体的には、応答性が高い場合にはαの値を小さくし、応答性が低い場合にはαの値を大きくしてもよい。後段の工程の反応時間(加熱時間)は、5分〜6時間であることが好適である。なお、その反応時間の下限は、例えば、30分以上であってもよく、1時間以上であってもよい。また、その反応時間の上限は、例えば、6時間以下であってもよく、5時間以下であってもよく、4時間以下であってもよく、3.5時間以下であってもよく、3時間以下であってもよい。後段の工程の時間が長くなれば、モノエステルの選択率が低下する観点からは、後段の工程の時間は短いほど好適である。一方、モノエステルの高収率を実現する観点からは、後段の工程の時間は、モノエステルの収率がピークとなる時間程度であることが好適である。温度は、一定であってもよく、または変化してもよい。後者の場合には、エステル交換を行う後段の工程において、例えば、混合物が昇温するように加熱されてもよい。その昇温は、例えば、線形的な温度変化によって行われてもよく、階段状の温度変化によって行われてもよく、または、その他の昇温であってもよい。なお、その後段の工程において混合物の温度が昇温するように加熱される場合には、その後段の期間において、温度が単調増加となることが好適であるが、その後段の工程の期間全体として温度が上昇していればよく、微視的には降温する期間が存在してもよい。例えば、マイクロ波を間欠で照射している場合には、そのようなことも起こりうるからである。また、後段の工程において温度が変化する場合であっても、その温度がショ糖の分解温度以上にならないことが重要である。なお、生成されたショ糖脂肪酸エステルにおいて、モノエステルの含有率が多いことが好適である。例えば、生成されたショ糖脂肪酸エステルにおいて、モノエステルの重量割合は、ショ糖の2以上のヒドロキシル基が脂肪酸エステルによってエステル化されたショ糖脂肪酸エステルの重量割合よりも大きいことが好適である。また、例えば、生成されたショ糖脂肪酸エステルにおいて、モノエステルの重量割合が、60重量%以上であることが好適であり、70重量%以上であることがより好適であり、80重量%以上であることがさらに好適である。ショ糖脂肪酸エステルのモノエステルには抗菌性のあることが知られており、また、モノエステルの含有量の多い方が水に溶けやすいため、ショ糖脂肪酸エステルを、例えば食品や飲料等に用いる場合には、モノエステルの含有量の多いことが求められるからである。また、医薬品等の用途には高純度のモノエステルが求められることがあるが、そのような場合に、モノエステルの含有量の多いものから高純度のモノエステルを精製する方がよりよいため、生成されたショ糖脂肪酸エステルにおいてモノエステルの割合の高いことが好適である。後述する実施例で説明するように、例えば、ショ糖パルミチン酸エステルを製造する際の後段の工程における反応温度が120℃である場合には、加熱時間が3時間以下であることが好適であり、2.5時間以下であることがより好適である。また、例えば、ショ糖ステアリン酸エステルを製造する際の後段の工程における反応温度が130℃である場合には、加熱時間が4時間以下であることが好適であり、3.5時間以下であることがより好適である。また、生成されたショ糖脂肪酸エステルのモノエステルの収率の高いことが好適である。本発明では、そのようなモノエステルの高い選択率と、高い収率とをマイクロ波による加熱によって実現することができた。
前段及び後段の圧力は、1〜90kPaであることが好適であり、1〜10kPaであることがより好適である。その圧力は、前段の工程と、後段の工程とで同じであってもよく、または変化してもよい。後者の場合には、例えば、後段の工程における圧力が、前段の工程における圧力よりも高くてもよい。なお、減圧の程度は、原料(例えば、脂肪酸エステル等)が気化しない範囲としてもよい。
ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程においてエステル交換が行われることにより、ショ糖脂肪酸エステルが生成される。ショ糖脂肪酸エステルは特に限定されないが、例えば、ショ糖カプリル酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ミリストレイン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖パルミトレイン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖リノール酸エステル、ショ糖リノレン酸エステル、ショ糖エレオステアリン酸エステル、ショ糖アラキジン酸エステル、ショ糖ミード酸エステル、ショ糖アラキドン酸エステル、ショ糖ベヘン酸エステル、ショ糖リグノセリン酸エステル、ショ糖ネルボン酸エステル、またはショ糖エルカ酸エステルなどであってもよい。ショ糖脂肪酸エステルを生成する後段の工程において、エステル交換を行った後に混合物を冷却してもよい。モノエステルがジエステルとなることを防止するためである。
なお、生成されたショ糖脂肪酸エステルを抽出する方法としては、通常の方法を用いることができる。例えば、ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程における生成物に水と有機溶媒(例えば、メチルエチルケトンや非水溶性のアルコール等)を加えて撹拌すると、水の層と有機溶媒の層との2層に分かれる。有機溶媒には、未反応の脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルが含まれる。また、水には、未反応のショ糖や脂肪酸アルカリ金属塩が含まれる。その有機溶媒からショ糖脂肪酸エステルを結晶化させて抽出することなどによって、ショ糖脂肪酸エステルを抽出することができる。
以上のように、本発明によるショ糖脂肪酸エステルの製造方法によれば、ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程における後段の工程において、混合物をショ糖の分解温度未満となるように加熱することによって、着臭のないショ糖脂肪酸エステルを製造することができる。また、マイクロ波によって加熱することにより、モノエステルの選択率と収率の高いショ糖脂肪酸エステルを短時間で得ることができるようになる。また、ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程において、有害な有機溶媒を使用しないため、食品や医薬品、化粧品の用途に好適なショ糖脂肪酸エステルを製造することができる。
なお、上記説明では、ショ糖脂肪酸エステルの製造方法が、脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程を備えている場合について説明したが、そうでなくてもよい。あらかじめ脂肪酸アルカリ金属塩が用意されている場合には、その脂肪酸アルカリ金属塩を、ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程において用いてもよい。また、その脂肪酸アルカリ金属塩は、上記説明とは異なる方法によって生成されたものであってもよい。
[実施例、参考例、比較例]
以下、本発明を実施例に基づいて詳しく説明するが、これらの実施例は例示的なものであり、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.ショ糖パルミチン酸エステルの製造方法
[参考例1]
三口フラスコに60℃まで加熱し融解させたパルミチン酸メチル98gと、水酸化カリウム3.8gをメタノール30mlに溶解させた溶液とを投入した。三口フラスコを撹拌機及び温度計を備え付けたマイクロ波リアクター(μReactorEX、四国計測工業株式会社製)内に設置した後、2.45GHzのマイクロ波を照射し、撹拌しながら100℃まで加熱し、10分間還流を行った。その後4kPaまで減圧しながら100℃を維持し、パルミチン酸カリウムを生成させた。また、この状態を維持して十分にメタノールを除去した後に、内容物を60℃まで冷却した。内容物は、パルミチン酸メチル80g、パルミチン酸カリウム20gの混合物である。ショ糖12g及び水酸化カリウム0.5gを、水12gに溶解させた水溶液をこの三口フラスコに投入した。三口フラスコ内の混合物を60℃に保った状態で撹拌しながら圧力を下げていき、4kPaまで減圧した。この状態を30分間維持して水を蒸発させた。その後、撹拌及び減圧度を維持したままマイクロ波を照射して120℃まで昇温させ、1時間エステル交換反応を行い、ショ糖パルミチン酸エステルを生成させた。なお、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。したがって、ショ糖の分解開始温度未満で反応を行うことができたことになる。反応終了後、アセトンを用いて反応物からショ糖パルミチン酸エステルを得た。高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフにてショ糖パルミチン酸エステルの収率、及びモノエステルの割合を分析した。その結果は、図1に示す通りである。
[参考例2]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間に変更した以外は、参考例1と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[参考例3]
エステル交換反応の時間を1時間から3時間に変更した以外は、参考例1と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[参考例4]
エステル交換反応時の温度を120℃から110℃に変更した以外は、参考例2と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[参考例5]
エステル交換反応の時間を2時間から4時間に変更した以外は、参考例4と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[参考例6]
エステル交換反応時の温度を120℃から100℃に変更した以外は、参考例2と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[参考例7]
エステル交換反応の温度を前半の1時間は110℃にし、後半の1時間は120℃にして合計2時間のエステル交換反応を行った以外は、参考例1と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。なお、110℃から120℃までの昇温は即座に行い、その際にも減圧度を維持した。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[比較例1]
マイクロ波の照射による加熱を、オイルバスによる加熱(従来加熱)に変更した以外は、参考例2と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合には、エステル交換反応時に反応液が茶褐色に着色し、ショ糖の焦げた臭いがした。結果は、図1に示す通りである。
なお、エステル交換反応時の温度を120℃から110℃に変更した場合にも、比較例1と同様に、反応液が茶褐色に着色した。
[比較例2]
エステル交換反応時の温度を120℃から100℃に変更し、そのエステル交換反応の時間を2時間から1時間に変更した以外は、比較例1と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合には、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[比較例3]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間に変更した以外は、比較例2と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
[比較例4]
エステル交換反応の時間を1時間から4時間に変更した以外は、比較例2と同様にしてショ糖パルミチン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着色や着臭はなかった。結果は、図1に示す通りである。
従来加熱において、着色や着臭が発生しないようにするためには、温度を下げなくてはならないことになる。また、従来加熱において温度を下げてショ糖脂肪酸エステルの生成を行った場合には、比較例2〜4の結果から分かるように、モノエステルの収率が高くなると、モノエステルの重量割合が低くなり、モノエステルの重量割合が高くなると、モノエステルの収率が下がることになる。一方、マイクロ波加熱を行った参考例1〜7の場合には、比較例2〜4と比較して、モノエステルの高い収率と、高い重量割合とを両立することができている。特に、70重量%以上のモノエステルの重量割合でありながらも、収率が、比較例2〜4の1.5倍以上となっている。また、参考例2では、そのようなモノエステルの高収率、高重量割合を、短時間で実現することができている。
図2は、参考例1〜3と、比較例2〜4とのモノエステルの収率と、モノエステルの重量割合との時間変化を示すグラフである。ショ糖脂肪酸エステルの生成においては、まず、モノエステルが生成され、そのモノエステルからジエステルが生成され、そのジエステルからトリエステルが生成されるというように反応が進んでいくため、参考例1〜3の収率の変化で示されるように、モノエステルの収率は、時間の経過に応じて徐々に高くなり、途中から低下に転じることになる。また、モノエステルの割合は、時間の経過に応じてジエステル等が生成されるため、100%から徐々に低下していくことになる。
図2において、マイクロ波加熱(MW)におけるモノエステルの収率の時間変化は、従来加熱(CH)におけるモノエステルの収率の時間変化に対して、時間が1/2より小さく短縮されていることが分かる。なぜなら、従来加熱の4時間までの収率の変化が単調増加であると仮定すると、例えば、従来加熱の2時間の収率に対応するマイクロ波加熱の時間は1時間より短く、従来加熱の4時間の収率に対応するマイクロ波加熱の時間も2時間より短いからである。一方、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化に対して、時間が1/2まで短縮されていないことが分かる。なぜなら、比較例3のモノエステルの重量割合(83%)は、参考例1のモノエステルの重量割合(85%)よりも小さいからである。このように、ショ糖の複数のヒドロキシル基を順番にエステル化していく反応において、従来加熱をマイクロ波加熱に変更した場合に、モノエステルの収率の方が、モノエステルの割合よりも時間方向がより短く短縮されていることが分かる。そのような差が存在することによって、マイクロ波加熱では、反応時間の短い範囲(例えば、反応時間が4時間以内の範囲など)において、モノエステルの高収率と高選択率とを同時に実現できることになる。
また、参考例7で示されるように、エステル交換反応時において反応温度を段階的に高くすることによって、モノエステルのより高い収率と、モノエステルのより高い選択率とを両立できることが分かる。したがって、エステル交換反応時に、混合物が昇温するように加熱することにより、モノエステルのより高い収率と、モノエステルのより高い選択率とを両立できると考えられる。
なお、図2を参照すれば、120℃のマイクロ波加熱(参考例1〜3)におけるモノエステルの収率は、2時間付近の加熱時間でピークとなっていることが分かる。したがって、エステル交換反応の時間(すなわち、後段の工程における加熱時間)を、モノエステルの収率がピークとなる時間としてもよい。ここで、モノエステルの収率がピークとなる時間は、理論的には1個の時点となるはずであるが、現実にはその時点を特定することは困難である。したがって、モノエステルの収率がピークとなる時間は、幅を持った期間であると考えてもよい。例えば、120℃のマイクロ波加熱(参考例1〜3)におけるモノエステルの収率がピークとなるエステル交換反応の時間は、1.5時間から2.5時間までの範囲であると考えてもよい。
また、参考例2、4、6の結果を比較することにより、ショ糖の分解温度未満の範囲においては、反応温度のより高いほうが、モノエステルのより高い収率を実現できることがわかる。したがって、ショ糖の分解温度により近い反応温度で反応させることが好適であることが分かる。
2.ショ糖ステアリン酸エステルの製造方法
[参考例8]
三口フラスコに60℃まで加熱し融解させたステアリン酸メチル108.6gと、水酸化カリウム3.8gをメタノール30mlに溶解させた溶液とを投入した。三口フラスコを撹拌機及び温度計を備え付けたマイクロ波リアクター(μReactorEX、四国計測工業株式会社製)内に設置した後、2.45GHzのマイクロ波を照射し、撹拌しながら100℃まで加熱し、10分間還流を行った。その後4kPaまで減圧しながら100℃を維持し、ステアリン酸カリウムを生成させた。また、この状態を維持して十分にメタノールを除去した後に、内容物を80℃まで冷却した。内容物は、ステアリン酸メチル88.3g、ステアリン酸カリウム21.9gの混合物である。ショ糖12g及び水酸化カリウム0.5gを、水8gに溶解させた水溶液をこの三口フラスコに投入した。三口フラスコ内の混合物を80℃に保った状態で撹拌しながら圧力を下げていき、4kPaまで減圧して水を蒸発させた。その後、撹拌及び減圧度を維持したままマイクロ波を照射して130℃まで昇温させ、1時間エステル交換反応を行い、ショ糖ステアリン酸エステルを生成させた。なお、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。したがって、ショ糖の分解開始温度未満で反応を行うことができたことになる。反応終了後、アセトンを用いて反応物からショ糖ステアリン酸エステルを得た。高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフにてショ糖ステアリン酸エステルの収率、及びモノエステルの割合を分析した。その結果は、図3に示す通りである。
[参考例9]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間に変更した以外は、参考例8と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[参考例10]
エステル交換反応の時間を1時間から3時間に変更した以外は、参考例8と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[参考例11]
エステル交換反応の時間を1時間から4時間に変更した以外は、参考例8と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[参考例12]
エステル交換反応時の温度を130℃から120℃に変更した以外は、参考例8と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[参考例13]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間に変更した以外は、参考例12と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[参考例14]
エステル交換反応の時間を1時間から3時間に変更した以外は、参考例12と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[参考例15]
エステル交換反応の時間を1時間から4時間に変更した以外は、参考例12と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[比較例5]
マイクロ波の照射による加熱を、オイルバスによる加熱(従来加熱)に変更し、エステル交換反応時の温度を130℃から110℃に変更した以外は、参考例11と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合には、エステル交換反応時に反応液においてショ糖の焦げた臭いがした。結果は、図3に示す通りである。
なお、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を130℃にした場合、また120℃にした場合には、反応液が黒く焦げ、ショ糖の焦げた臭いがした。したがって、従来加熱において110℃以上に加熱する場合には、着臭のないショ糖ステアリン酸エステルを製造することは困難である。
[比較例6]
エステル交換反応時の温度を110℃から100℃に変更し、そのエステル交換反応の時間を4時間から1時間に変更した以外は、比較例5と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合には、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[比較例7]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間に変更した以外は、比較例6と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[比較例8]
エステル交換反応の時間を1時間から3時間に変更した以外は、比較例6と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[比較例9]
エステル交換反応の時間を1時間から4時間に変更した以外は、比較例6と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図3に示す通りである。
[比較例10]
エステル交換反応の時間を1時間から6時間に変更した以外は、比較例6と同様にしてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った。この場合には、エステル交換反応時に反応液においてショ糖の焦げた臭いがした。結果は、図3に示す通りである。
従来加熱において、着臭が発生しないようにするためには、温度を下げなくてはならないことになる。また、従来加熱において温度を下げてショ糖ステアリン酸エステルの生成を行った場合には、比較例6〜10の結果から分かるように、モノエステルの収率が高くなると、モノエステルの重量割合が低くなり、モノエステルの重量割合が高くなると、モノエステルの収率が下がることになる。一方、マイクロ波加熱を行った参考例8〜15の場合には、比較例6〜9と比較して、モノエステルの高い収率と、高い重量割合とを両立することができている。例えば、モノエステルの重量割合が同程度の参考例10と比較例10とのモノエステルの収率を比較すれば、マイクロ波加熱では従来加熱よりも1.7倍程度の収率を実現できている。また、マイクロ波加熱では、そのような高収率を、着臭を生じることなく実現できている。また、従来加熱では、モノエステルの収率の時間変化が緩やかであり、また、長時間の加熱を行うと着臭が生じるため(例えば、比較例10参照)、結果として、モノエステルの高い収率を実現することはできないが、参考例10,11,15等では、比較例に対して、より高い収率を実現できている。特に参考例10では、モノエステルの高収率、高重量割合を、短時間で実現することができている。
図4は、参考例8〜15と、比較例6〜9とのモノエステルの収率と、モノエステルの重量割合との時間変化を示すグラフである。ショ糖ステアリン酸エステルの生成においては、まず、モノエステルが生成され、そのモノエステルからジエステルが生成され、そのジエステルからトリエステルが生成されるというように反応が進んでいくため、参考例8〜11の収率の変化で示されるように、モノエステルの収率は、時間の経過に応じて徐々に高くなり、途中から低下に転じることになる。また、モノエステルの割合は、時間の経過に応じてジエステル等が生成されるため、100%から徐々に低下していくことになる。
図4において、例えば、130℃のマイクロ波加熱(参考例8〜11)と、100℃の従来加熱(比較例6〜9)とを比較すると、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの収率の時間変化に対して、時間が1/4より小さく短縮されていることが分かる。なぜなら、従来加熱の4時間までの収率の変化が単調増加であると仮定すると、従来加熱の4時間の収率に対応するマイクロ波加熱の時間は1時間より短いからである。一方、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化に対して、時間が1/4まで短縮されていないことが分かる。なぜなら、比較例9のモノエステルの重量割合(88.9%)は、参考例8のモノエステルの重量割合(90.7%)よりも小さいからである。このように、ショ糖の複数のヒドロキシル基を順番にエステル化していく反応において、従来加熱をマイクロ波加熱に変更した場合に、モノエステルの収率の方が、モノエステルの割合よりも時間方向がより短く短縮されていることが分かる。そのような差が存在することによって、マイクロ波加熱では、反応時間の短い範囲(例えば、反応時間が4時間以内の範囲など)において、モノエステルの高収率と高選択率とを同時に実現できることになる。
なお、図4を参照すれば、130℃のマイクロ波加熱(参考例8〜11)におけるモノエステルの収率は、3時間付近の加熱時間でピークとなっていることが分かる。したがって、エステル交換反応の時間(すなわち、後段の工程における加熱時間)を、モノエステルの収率がピークとなる時間としてもよい。ここで、モノエステルの収率がピークとなる時間は、理論的には1個の時点となるはずであるが、現実にはその時点を特定することは困難である。したがって、モノエステルの収率がピークとなる時間は、幅を持った期間であると考えてもよい。例えば、130℃のマイクロ波加熱(参考例8〜11)におけるモノエステルの収率がピークとなるエステル交換反応の時間は、2.5時間から3.5時間までの範囲であると考えてもよい。
また、参考例8〜11と参考例12〜15とを比較することにより、ショ糖の分解温度未満の範囲においては、反応温度のより高いほうが、モノエステルのより高い収率を実現できることがわかる。したがって、ショ糖の分解温度により近い反応温度で反応させることが好適であることが分かる。
ここで、参考例1〜15は、特許請求の範囲において、脂肪酸エステルの構成脂肪酸からパルミチン酸エステル及びステアリン酸エステルを除外していることによって参考例となっているものであり、その除外がない場合には、実施例1〜15となる。
3.ショ糖カプリル酸エステルの製造方法
[実施例16]
三口フラスコに60℃まで加熱し融解させたカプリル酸メチル57.5gと、水酸化カリウム3.8gをメタノール30mlに溶解させた溶液とを投入した。三口フラスコを撹拌機及び温度計を備え付けたマイクロ波リアクター(μReactorEX、四国計測工業株式会社製)内に設置した後、2.45GHzのマイクロ波を照射し、撹拌しながら100℃まで加熱し、10分間還流を行った。その後10kPaまで減圧しながら100℃を維持し、カプリル酸カリウムを生成させた。また、この状態を維持して十分にメタノールを除去した後に、内容物を80℃まで冷却した。内容物は、カプリル酸メチル46.8g、カプリル酸カリウム12.3gの混合物である。ショ糖12g及び水酸化カリウム0.5gを、水8gに溶解させた水溶液をこの三口フラスコに投入した。三口フラスコ内の混合物を80℃に保った状態で撹拌しながら圧力を下げていき、10kPaまで減圧して水を蒸発させた。その後、撹拌及び減圧度を維持したままマイクロ波を照射して130℃まで昇温させ、1時間エステル交換反応を行い、ショ糖カプリル酸エステルを生成させた。なお、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。したがって、ショ糖の分解開始温度未満で反応を行うことができたことになる。反応終了後、アセトンを用いて反応物からショ糖カプリル酸エステルを得た。高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフにてショ糖カプリル酸エステルの収率、及びモノエステルの割合を分析した。その結果は、図5に示す通りである。
[実施例17〜19,参考例20]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間、3時間、4時間、6時間のそれぞれに変更した以外は、実施例16と同様にしてショ糖カプリル酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図5に示す通りである。
[実施例21〜24,参考例25]
エステル交換反応時の温度を130℃から120℃に変更した以外は、実施例16〜19,参考例20と同様にしてショ糖カプリル酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図5に示す通りである。
[実施例26〜29,参考例30]
エステル交換反応時の温度を130℃から110℃に変更した以外は、実施例16〜19,参考例20と同様にしてショ糖カプリル酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図5に示す通りである。
[比較例11〜15]
マイクロ波の照射による加熱を、オイルバスによる加熱(従来加熱)に変更した以外は、実施例26〜29,参考例30と同様にしてショ糖カプリル酸エステルの生成を行った。この場合には、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図5に示す通りである。
なお、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を130℃にした場合には、反応液が黒く焦げ、ショ糖の焦げた臭いがした。また、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を120℃にした場合には、2時間の加熱で反応液が黒く焦げ、ショ糖の焦げた臭いがした。したがって、従来加熱において120℃以上に加熱する場合には、着臭のないショ糖カプリル酸エステルを製造することは困難である。
[比較例16〜20]
エステル交換反応時の温度を110℃から100℃に変更した以外は、比較例11〜15と同様にしてショ糖カプリル酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図5に示す通りである。
従来加熱において、着臭が発生しないようにするためには、温度を下げなくてはならないことになる。また、従来加熱において温度を下げてショ糖カプリル酸エステルの生成を行った場合には、比較例11〜20の結果から分かるように、モノエステルの収率が高くなると、モノエステルの重量割合が低くなり、モノエステルの重量割合が高くなると、モノエステルの収率が下がることになる。一方、マイクロ波加熱を行った実施例16〜19,21〜24,26〜29の場合には、比較例11〜20と比較して、モノエステルの高い収率と、高い重量割合とを両立することができている。例えば、実施例16〜19,21〜24,26〜29のすべてについて、マイクロ波加熱では従来加熱よりも高い収率を実現できているのに対して、従来加熱では、モノエステルの収率の時間変化が緩やかであるため、結果として、モノエステルの高い収率を実現することはできていない。また、マイクロ波加熱において、そのような高収率を、着臭を生じることなく実現できている。また、実施例17,22では、モノエステルの高収率、高重量割合を、短時間で実現することができている。
図6は、実施例16〜19,参考例20,実施例21〜24,参考例25,実施例26〜29,参考例30と、比較例11〜20とのモノエステルの収率と、モノエステルの重量割合との時間変化を示すグラフである。ショ糖カプリル酸エステルの生成においては、まず、モノエステルが生成され、そのモノエステルからジエステルが生成され、そのジエステルからトリエステルが生成されるというように反応が進んでいくため、実施例16〜19,参考例20,実施例21〜24,参考例25,実施例26〜29,参考例30の収率の変化で示されるように、モノエステルの収率は、時間の経過に応じて徐々に高くなり、途中から低下に転じることになる。また、モノエステルの割合は、時間の経過に応じてジエステル等が生成されるため、100%から徐々に低下していくことになる。
図6において、例えば、130℃のマイクロ波加熱(実施例16〜19,参考例20)と、110℃の従来加熱(比較例11〜15)とを比較すると、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの収率の時間変化に対して、時間が1/8より小さく短縮されていることが分かる。なぜなら、マイクロ波加熱の1時間までの収率の変化、及び従来加熱の4時間までの収率の変化の両方が単調増加であると仮定すると、従来加熱の4時間の収率に対応するマイクロ波加熱の時間は0.5時間より短いからである。一方、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化に対して、時間が1/8まで短縮されていないことが分かる。なぜなら、比較例15のモノエステルの重量割合(92.5%)は、実施例16のモノエステルの重量割合(99.9%)よりも小さいからである。このように、ショ糖の複数のヒドロキシル基を順番にエステル化していく反応において、従来加熱をマイクロ波加熱に変更した場合に、モノエステルの収率の方が、モノエステルの割合よりも時間方向がより短く短縮されていることが分かる。そのような差が存在することによって、マイクロ波加熱では、反応時間の短い範囲(例えば、反応時間が6時間以内の範囲など)において、モノエステルの高収率と高選択率とを同時に実現できることになる。
なお、図6を参照すれば、130℃のマイクロ波加熱(実施例16〜19,参考例20)におけるモノエステルの収率は、2時間付近の加熱時間でピークとなっていることが分かる。したがって、エステル交換反応の時間(すなわち、後段の工程における加熱時間)を、モノエステルの収率がピークとなる時間としてもよい。ここで、モノエステルの収率がピークとなる時間は、理論的には1個の時点となるはずであるが、現実にはその時点を特定することは困難である。したがって、モノエステルの収率がピークとなる時間は、幅を持った期間であると考えてもよい。例えば、130℃のマイクロ波加熱におけるモノエステルの収率がピークとなるエステル交換反応の時間は、1.5時間から2.5時間までの範囲であると考えてもよい。
また、実施例16〜19,参考例20と実施例21〜24,参考例25とを比較することにより、ショ糖の分解温度未満の範囲においては、反応温度のより高いほうが、モノエステルのより高い収率を実現できることがわかる。したがって、ショ糖の分解温度により近い反応温度で反応させることが好適であると考えられる。また、本実施例、参考例では、後段の工程の加熱時間が6時間以下である場合に、70重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。特に、後段の工程の加熱時間が4時間以下である場合には、80重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。
4.ショ糖ラウリン酸エステルの製造方法
[実施例31]
三口フラスコに60℃まで加熱し融解させたラウリン酸メチル77.9gと、水酸化カリウム3.8gをメタノール30mlに溶解させた溶液とを投入した。三口フラスコを撹拌機及び温度計を備え付けたマイクロ波リアクター(μReactorEX、四国計測工業株式会社製)内に設置した後、2.45GHzのマイクロ波を照射し、撹拌しながら100℃まで加熱し、10分間還流を行った。その後4kPaまで減圧しながら100℃を維持し、ラウリン酸カリウムを生成させた。また、この状態を維持して十分にメタノールを除去した後に、内容物を80℃まで冷却した。内容物は、ラウリン酸メチル63.4g、ラウリン酸カリウム16.1gの混合物である。ショ糖12g及び水酸化カリウム0.5gを、水8gに溶解させた水溶液をこの三口フラスコに投入した。三口フラスコ内の混合物を80℃に保った状態で撹拌しながら圧力を下げていき、4kPaまで減圧して水を蒸発させた。その後、撹拌及び減圧度を維持したままマイクロ波を照射して130℃まで昇温させ、1時間エステル交換反応を行い、ショ糖ラウリン酸エステルを生成させた。なお、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。したがって、ショ糖の分解開始温度未満で反応を行うことができたことになる。反応終了後、アセトンを用いて反応物からショ糖ラウリン酸エステルを得た。高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフにてショ糖ラウリン酸エステルの収率、及びモノエステルの割合を分析した。その結果は、図7に示す通りである。
[実施例32〜実施例34,参考例35]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間、3時間、4時間、6時間のそれぞれに変更した以外は、実施例31と同様にしてショ糖ラウリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図7に示す通りである。
[実施例36〜39,参考例40]
エステル交換反応時の温度を130℃から120℃に変更した以外は、実施例31〜34,参考例35と同様にしてショ糖ラウリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図7に示す通りである。
[実施例41〜44,参考例45]
エステル交換反応時の温度を130℃から110℃に変更した以外は、実施例31〜34,参考例35と同様にしてショ糖ラウリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図7に示す通りである。
[比較例21〜25]
マイクロ波の照射による加熱を、オイルバスによる加熱(従来加熱)に変更した以外は、実施例41〜44,参考例45と同様にしてショ糖ラウリン酸エステルの生成を行った。この場合には、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図7に示す通りである。
なお、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を130℃にした場合には、反応液が黒く焦げ、ショ糖の焦げた臭いがした。また、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を120℃にした場合には、1時間の加熱で反応液にショ糖の焦げた臭いがした。したがって、従来加熱において120℃以上に加熱する場合には、着臭のないショ糖ラウリン酸エステルを製造することは困難である。
[比較例26〜30]
エステル交換反応時の温度を110℃から100℃に変更した以外は、比較例21〜25と同様にしてショ糖ラウリン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図7に示す通りである。
従来加熱において、着臭が発生しないようにするためには、温度を下げなくてはならないことになる。また、従来加熱において温度を下げてショ糖ラウリン酸エステルの生成を行った場合には、比較例21〜30の結果から分かるように、モノエステルの収率が高くなると、モノエステルの重量割合が低くなり、モノエステルの重量割合が高くなると、モノエステルの収率が下がることになる。一方、マイクロ波加熱を行った実施例31〜34,36〜39,41〜44の場合には、比較例21〜30と比較して、モノエステルの高い収率と、高い重量割合とを両立することができている。例えば、実施例31〜34,36〜39,41〜44のすべてについて、マイクロ波加熱では従来加熱よりも高い収率を実現できているのに対して、従来加熱では、モノエステルの収率の時間変化が緩やかであるため、結果として、モノエステルの高い収率を実現することはできていない。また、マイクロ波加熱において、そのような高収率を、着臭を生じることなく実現できている。また、実施例32,38では、モノエステルの高収率、高重量割合を、短時間で実現することができている。
図8は、実施例31〜34,参考例35,実施例36〜39,参考例40,実施例41〜44,参考例45と、比較例21〜30とのモノエステルの収率と、モノエステルの重量割合との時間変化を示すグラフである。ショ糖ラウリン酸エステルの生成においては、まず、モノエステルが生成され、そのモノエステルからジエステルが生成され、そのジエステルからトリエステルが生成されるというように反応が進んでいくため、実施例31〜34,参考例35,実施例36〜39,参考例40,実施例41〜44,参考例45の収率の変化で示されるように、モノエステルの収率は、時間の経過に応じて徐々に高くなり、途中から低下に転じることになる。また、モノエステルの割合は、時間の経過に応じてジエステル等が生成されるため、100%から徐々に低下していくことになる。
図8において、例えば、130℃のマイクロ波加熱(実施例31〜34,参考例35)と、110℃の従来加熱(比較例21〜25)とを比較すると、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの収率の時間変化に対して、時間が1/12程度に短縮されていることが分かる。なぜなら、マイクロ波加熱の1時間までの収率の変化、及び従来加熱の6時間までの収率の変化の両方が単調増加であると仮定すると、従来加熱の6時間の収率に対応するマイクロ波加熱の時間は0.5時間程度となるからである。一方、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化に対して、時間が1/12まで短縮されていないことが分かる。なぜなら、比較例25のモノエステルの重量割合(91.9%)は、実施例31のモノエステルの重量割合(97.4%)よりも小さいからである。このように、ショ糖の複数のヒドロキシル基を順番にエステル化していく反応において、従来加熱をマイクロ波加熱に変更した場合に、モノエステルの収率の方が、モノエステルの割合よりも時間方向がより短く短縮されていることが分かる。そのような差が存在することによって、マイクロ波加熱では、反応時間の短い範囲(例えば、反応時間が6時間以内の範囲など)において、モノエステルの高収率と高選択率とを同時に実現できることになる。
なお、図8を参照すれば、130℃のマイクロ波加熱(実施例31〜34,参考例35)におけるモノエステルの収率は、2時間付近の加熱時間でピークとなっていることが分かる。したがって、エステル交換反応の時間(すなわち、後段の工程における加熱時間)を、モノエステルの収率がピークとなる時間としてもよい。ここで、モノエステルの収率がピークとなる時間は、理論的には1個の時点となるはずであるが、現実にはその時点を特定することは困難である。したがって、モノエステルの収率がピークとなる時間は、幅を持った期間であると考えてもよい。例えば、130℃のマイクロ波加熱におけるモノエステルの収率がピークとなるエステル交換反応の時間は、1.5時間から2.5時間までの範囲であると考えてもよい。
また、実施例31〜34,参考例35と実施例36〜39,参考例40とを比較することにより、ショ糖の分解温度未満の範囲においては、反応温度のより高いほうが、モノエステルのより高い収率を実現できることがわかる。したがって、ショ糖の分解温度により近い反応温度で反応させることが好適であると考えられる。また、本実施例、参考例では、後段の工程の加熱時間が6時間以下である場合に、65重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。特に、後段の工程の加熱時間が4時間以下である場合には、75重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。
5.ショ糖オレイン酸エステルの製造方法
[実施例46]
三口フラスコに60℃まで加熱し融解させたオレイン酸メチル107.8gと、水酸化カリウム3.8gをメタノール30mlに溶解させた溶液とを投入した。三口フラスコを撹拌機及び温度計を備え付けたマイクロ波リアクター(μReactorEX、四国計測工業株式会社製)内に設置した後、2.45GHzのマイクロ波を照射し、撹拌しながら100℃まで加熱し、10分間還流を行った。その後4kPaまで減圧しながら100℃を維持し、オレイン酸カリウムを生成させた。また、この状態を維持して十分にメタノールを除去した後に、内容物を80℃まで冷却した。内容物は、オレイン酸メチル87.7g、オレイン酸カリウム21.7gの混合物である。ショ糖12g及び水酸化カリウム0.5gを、水8gに溶解させた水溶液をこの三口フラスコに投入した。三口フラスコ内の混合物を80℃に保った状態で撹拌しながら圧力を下げていき、4kPaまで減圧して水を蒸発させた。その後、撹拌及び減圧度を維持したままマイクロ波を照射して130℃まで昇温させ、1時間エステル交換反応を行い、ショ糖オレイン酸エステルを生成させた。なお、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。したがって、ショ糖の分解開始温度未満で反応を行うことができたことになる。反応終了後、アセトンを用いて反応物からショ糖オレイン酸エステルを得た。高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフにてショ糖オレイン酸エステルの収率、及びモノエステルの割合を分析した。その結果は、図9に示す通りである。
[実施例47〜49,参考例50]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間、3時間、4時間、6時間のそれぞれに変更した以外は、実施例46と同様にしてショ糖オレイン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図9に示す通りである。
[実施例51〜54,参考例55]
エステル交換反応時の温度を130℃から120℃に変更した以外は、実施例46〜49,参考例50と同様にしてショ糖オレイン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図9に示す通りである。
[実施例56〜59,参考例60]
エステル交換反応時の温度を130℃から110℃に変更した以外は、実施例46〜49,参考例50と同様にしてショ糖オレイン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図9に示す通りである。
[比較例31〜35]
マイクロ波の照射による加熱を、オイルバスによる加熱(従来加熱)に変更した以外は、実施例56〜59,参考例60と同様にしてショ糖オレイン酸エステルの生成を行った。この場合には、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図9に示す通りである。
なお、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を130℃にした場合には、反応液が黒く焦げ、ショ糖の焦げた臭いがした。また、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を120℃にした場合には、1.5時間の加熱で反応液にショ糖の焦げた臭いがした。したがって、従来加熱において120℃以上に加熱する場合には、着臭のないショ糖オレイン酸エステルを製造することは困難である。
[比較例36〜40]
エステル交換反応時の温度を110℃から100℃に変更した以外は、比較例31〜35と同様にしてショ糖オレイン酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図9に示す通りである。
従来加熱において、着臭が発生しないようにするためには、温度を下げなくてはならないことになる。また、従来加熱において温度を下げてショ糖オレイン酸エステルの生成を行った場合には、比較例31〜40の結果から分かるように、モノエステルの収率が高くなると、モノエステルの重量割合が低くなり、モノエステルの重量割合が高くなると、モノエステルの収率が下がることになる。一方、マイクロ波加熱を行った実施例46〜49,51〜54,56〜59の場合には、比較例31〜40と比較して、モノエステルの高い収率と、高い重量割合とを両立することができている。例えば、モノエステルの重量割合が同じである実施例47と比較例39とのモノエステルの収率を比較すれば、マイクロ波加熱では従来加熱よりも2.1倍程度の収率を実現できている。また、マイクロ波加熱において、そのような高収率を、着臭を生じることなく実現できている。また、従来加熱では、モノエステルの収率の時間変化が緩やかであるか上限が低いため、モノエステルの高い収率を実現することはできないが、実施例46〜49等では、比較例に対して、より高い収率を実現できている。特に実施例48,49では、モノエステルの高収率、高重量割合を、短時間で実現することができている。
図10は、実施例46〜49,参考例50,実施例51〜54,参考例55,実施例56〜59,参考例60と、比較例31〜40とのモノエステルの収率と、モノエステルの重量割合との時間変化を示すグラフである。ショ糖オレイン酸エステルの生成においては、まず、モノエステルが生成され、そのモノエステルからジエステルが生成され、そのジエステルからトリエステルが生成されるというように反応が進んでいくため、実施例46〜49,参考例50の収率の変化で示されるように、モノエステルの収率は、時間の経過に応じて徐々に高くなり、途中から低下に転じることになる。また、モノエステルの割合は、時間の経過に応じてジエステル等が生成されるため、100%から徐々に低下していくことになる。
図10において、110℃の従来加熱(比較例31〜35)の時間変化は、比較例1〜30の従来加熱の時間変化と傾向が異なっており、加熱の初期段階におけるモノエステルの収率の増加の程度が大きく、モノエステルの割合の減少の程度も大きくなっている。しかしながら、比較例31〜35の従来加熱では、モノエステルの収率が3時間程度で上限に達しており、その上限値は、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の上限値よりも低くなっている。例えば、実施例49と比較例33とを比較すると、従来加熱におけるモノエステルの収率は、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の半分程度である。また、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、比較例31〜35の従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化よりも、全体として概ね大きい値を有している。したがって、マイクロ波加熱では、110℃の従来加熱よりも、モノエステルの高収率と高選択率とを実現できうることになる。
また、図10において、例えば、130℃のマイクロ波加熱(実施例46〜49,参考例50)と、100℃の従来加熱(比較例36〜40)とを比較すると、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの収率の時間変化に対して、時間が1/6より小さく短縮されていることが分かる。なぜなら、マイクロ波加熱の1時間までの収率の変化、及び従来加熱の6時間までの収率の変化が単調増加であると仮定すると、従来加熱の6時間の収率に対応するマイクロ波加熱の時間は1時間より短いからである。一方、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化に対して、時間が1/6まで短縮されていないことが分かる。なぜなら、比較例40のモノエステルの重量割合(88.4%)は、実施例47のモノエステルの重量割合(91.8%)よりも小さいからである。このように、ショ糖の複数のヒドロキシル基を順番にエステル化していく反応において、従来加熱をマイクロ波加熱に変更した場合に、モノエステルの収率の方が、モノエステルの割合よりも時間方向がより短く短縮されていることが分かる。そのような差が存在することによって、マイクロ波加熱では、反応時間の短い範囲(例えば、反応時間が6時間以内の範囲、特に4時間以内の範囲など)において、モノエステルの高収率と高選択率とを同時に実現できることになる。
なお、図10を参照すれば、130℃のマイクロ波加熱(実施例46〜49,参考例50)におけるモノエステルの収率は、4時間付近の加熱時間でピークとなっていることが分かる。したがって、エステル交換反応の時間(すなわち、後段の工程における加熱時間)を、モノエステルの収率がピークとなる時間としてもよい。ここで、モノエステルの収率がピークとなる時間は、理論的には1個の時点となるはずであるが、現実にはその時点を特定することは困難である。したがって、モノエステルの収率がピークとなる時間は、幅を持った期間であると考えてもよい。例えば、130℃のマイクロ波加熱(実施例46〜49,参考例50)におけるモノエステルの収率がピークとなるエステル交換反応の時間は、3.5時間から5時間までの範囲であると考えてもよい。
また、実施例46〜49,参考例50と実施例51〜54,参考例55とを比較することにより、ショ糖の分解温度未満の範囲においては、反応温度のより高いほうが、モノエステルのより高い収率を実現できることがわかる。したがって、ショ糖の分解温度により近い反応温度で反応させることが好適であると考えられる。また、本実施例、参考例では、後段の工程の加熱時間が6時間以下である場合に、60重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。特に、後段の工程の加熱時間が4時間以下である場合には、70重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。
6.ショ糖リノール酸エステルの製造方法
[実施例61]
三口フラスコに60℃まで加熱し融解させたリノール酸メチル107.1gと、水酸化カリウム3.8gをメタノール30mlに溶解させた溶液とを投入した。三口フラスコを撹拌機及び温度計を備え付けたマイクロ波リアクター(μReactorEX、四国計測工業株式会社製)内に設置した後、2.45GHzのマイクロ波を照射し、撹拌しながら100℃まで加熱し、10分間還流を行った。その後4kPaまで減圧しながら100℃を維持し、リノール酸カリウムを生成させた。また、この状態を維持して十分にメタノールを除去した後に、内容物を80℃まで冷却した。内容物は、リノール酸メチル87.1g、リノール酸カリウム21.6gの混合物である。ショ糖12g及び水酸化カリウム0.5gを、水8gに溶解させた水溶液をこの三口フラスコに投入した。三口フラスコ内の混合物を80℃に保った状態で撹拌しながら圧力を下げていき、4kPaまで減圧して水を蒸発させた。その後、撹拌及び減圧度を維持したままマイクロ波を照射して130℃まで昇温させ、1時間エステル交換反応を行い、ショ糖リノール酸エステルを生成させた。なお、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。したがって、ショ糖の分解開始温度未満で反応を行うことができたことになる。反応終了後、アセトンを用いて反応物からショ糖リノール酸エステルを得た。高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフにてショ糖リノール酸エステルの収率、及びモノエステルの割合を分析した。その結果は、図11に示す通りである。
[実施例62〜64,参考例65]
エステル交換反応の時間を1時間から2時間、3時間、4時間、6時間のそれぞれに変更した以外は、実施例61と同様にしてショ糖リノール酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図11に示す通りである。
[実施例66〜69,参考例70]
エステル交換反応時の温度を130℃から120℃に変更した以外は、実施例61〜64,参考例65と同様にしてショ糖リノール酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図11に示す通りである。
[実施例71〜74,参考例75]
エステル交換反応時の温度を130℃から110℃に変更した以外は、実施例61〜64,参考例65と同様にしてショ糖リノール酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図11に示す通りである。
[比較例41〜45]
マイクロ波の照射による加熱を、オイルバスによる加熱(従来加熱)に変更した以外は、実施例71〜74,参考例75と同様にしてショ糖リノール酸エステルの生成を行った。この場合には、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図11に示す通りである。
なお、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を130℃にした場合には、反応液が黒く焦げ、ショ糖の焦げた臭いがした。また、オイルバスによる加熱において、エステル交換反応時の温度を120℃にした場合には、1.5時間の加熱で反応液にショ糖の焦げた臭いがした。したがって、従来加熱において120℃以上に加熱する場合には、着臭のないショ糖リノール酸エステルを製造することは困難である。
[比較例46〜50]
エステル交換反応時の温度を110℃から100℃に変更した以外は、比較例41〜45と同様にしてショ糖リノール酸エステルの生成を行った。この場合にも、反応開始から反応終了まで着臭はなかった。結果は、図11に示す通りである。
従来加熱において、着臭が発生しないようにするためには、温度を下げなくてはならないことになる。また、従来加熱において温度を下げてショ糖リノール酸エステルの生成を行った場合には、比較例41〜50の結果から分かるように、モノエステルの収率が高くなると、モノエステルの重量割合が低くなり、モノエステルの重量割合が高くなると、モノエステルの収率が下がることになる。一方、マイクロ波加熱を行った実施例61〜64,66〜69,71〜74の場合には、比較例41〜50と比較して、モノエステルの高い収率と、高い重量割合とを両立することができている。例えば、モノエステルの重量割合が同じである実施例62と比較例49とのモノエステルの収率を比較すれば、マイクロ波加熱では従来加熱よりも1.8倍程度の収率を実現できている。また、マイクロ波加熱において、そのような高収率を、着臭を生じることなく実現できている。また、従来加熱では、モノエステルの収率の時間変化が緩やかであるか上限が低いため、モノエステルの高い収率を実現することはできないが、実施例61〜64等では、比較例に対して、より高い収率を実現できている。特に実施例63,64では、モノエステルの高収率、高重量割合を、短時間で実現することができている。
図12は、実施例61〜64,参考例65,実施例66〜69,参考例70,実施例71〜74,参考例75と、比較例41〜50とのモノエステルの収率と、モノエステルの重量割合との時間変化を示すグラフである。ショ糖リノール酸エステルの生成においては、まず、モノエステルが生成され、そのモノエステルからジエステルが生成され、そのジエステルからトリエステルが生成されるというように反応が進んでいくため、実施例61〜64,参考例65の収率の変化で示されるように、モノエステルの収率は、時間の経過に応じて徐々に高くなり、途中から低下に転じることになる。また、モノエステルの割合は、時間の経過に応じてジエステル等が生成されるため、100%から徐々に低下していくことになる。
図12において、110℃の従来加熱(比較例41〜45)の時間変化は、比較例1〜30の従来加熱の時間変化と傾向が異なっており、加熱の初期段階におけるモノエステルの収率の増加の程度が大きく、モノエステルの割合の減少の程度も大きくなっている。しかしながら、比較例41〜45の従来加熱では、モノエステルの収率が2時間程度で上限に達しており、その上限値は、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の上限値よりも低くなっている。例えば、実施例64と比較例42とを比較すると、従来加熱におけるモノエステルの収率は、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の半分程度(約0.57)である。また、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、比較例41〜45の従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化よりも、全体として概ね大きい値を有している。したがって、マイクロ波加熱では、110℃の従来加熱よりも、モノエステルの高収率と高選択率とを実現できうることになる。
また、図12において、例えば、130℃のマイクロ波加熱(実施例61〜64,参考例65)と、100℃の従来加熱(比較例46〜50)とを比較すると、マイクロ波加熱におけるモノエステルの収率の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの収率の時間変化に対して、時間が1/6より小さく短縮されていることが分かる。なぜなら、マイクロ波加熱の1時間までの収率の変化、及び従来加熱の6時間までの収率の変化が単調増加であると仮定すると、従来加熱の6時間の収率に対応するマイクロ波加熱の時間は1時間より短いからである。一方、マイクロ波加熱におけるモノエステルの割合の時間変化は、従来加熱におけるモノエステルの割合の時間変化に対して、時間が1/6まで短縮されていないことが分かる。なぜなら、比較例50のモノエステルの重量割合(89.8%)は、実施例62のモノエステルの重量割合(90.0%)よりも小さいからである。このように、ショ糖の複数のヒドロキシル基を順番にエステル化していく反応において、従来加熱をマイクロ波加熱に変更した場合に、モノエステルの収率の方が、モノエステルの割合よりも時間方向がより短く短縮されていることが分かる。そのような差が存在することによって、マイクロ波加熱では、反応時間の短い範囲(例えば、反応時間が6時間以内の範囲、特に4時間以内の範囲など)において、モノエステルの高収率と高選択率とを同時に実現できることになる。
なお、図12を参照すれば、130℃のマイクロ波加熱(実施例61〜64,参考例65)におけるモノエステルの収率は、4時間付近の加熱時間でピークとなっていることが分かる。したがって、エステル交換反応の時間(すなわち、後段の工程における加熱時間)を、モノエステルの収率がピークとなる時間としてもよい。ここで、モノエステルの収率がピークとなる時間は、理論的には1個の時点となるはずであるが、現実にはその時点を特定することは困難である。したがって、モノエステルの収率がピークとなる時間は、幅を持った期間であると考えてもよい。例えば、130℃のマイクロ波加熱(実施例61〜64,参考例65)におけるモノエステルの収率がピークとなるエステル交換反応の時間は、3.5時間から5時間までの範囲であると考えてもよい。
また、実施例61〜64,参考例65と実施例66〜69,参考例70とを比較することにより、ショ糖の分解温度未満の範囲においては、反応温度のより高いほうが、モノエステルのより高い収率を実現できると推察できる。したがって、ショ糖の分解温度により近い反応温度で反応させることが好適であると考えられる。また、本実施例、参考例では、後段の工程の加熱時間が6時間以下である場合に、60重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。特に、後段の工程の加熱時間が4時間以下である場合には、70重量%以上のモノエステルの重量割合を実現できる。
上記各参考例及び各実施例では、脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、パルミチン酸(炭素数16;飽和脂肪酸)、ステアリン酸(炭素数18;飽和脂肪酸)、カプリル酸(炭素数8;飽和脂肪酸)、ラウリン酸(炭素数12;飽和脂肪酸)、オレイン酸(炭素数18;一価の不飽和脂肪酸)、リノール酸(炭素数18;多価の不飽和脂肪酸)である場合に、マイクロ波を照射することによって、モノエステルの割合が高く、着臭のないショ糖脂肪酸エステルの製造を高収率で実現できることについて説明した。したがって、炭素数が8〜24の脂肪酸を構成脂肪酸とする脂肪酸エステルを用いたショ糖脂肪酸エステルの製造においても、同様の効果が得られると推察できる。また、ショ糖脂肪酸エステルの製造において用いられる脂肪酸エステルの構成脂肪酸が上記以外の飽和脂肪酸であっても、上記以外の不飽和脂肪酸であっても、同様の効果が得られると推察できる。さらに、その不飽和脂肪酸における不飽和結合の数に関わらず、同様の効果が得られると推察できる。
なお、本発明は、以上の実施例に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
本発明によるショ糖脂肪酸エステルの製造方法によって得られたショ糖脂肪酸エステルは、例えば、食品、化粧品、医薬品等の分野において利用することができる。

Claims (5)

  1. ショ糖と塩基性触媒とを含む水溶液を調製する工程と、
    当該工程で得られた水溶液と、脂肪酸アルカリ金属塩と、炭素数が8から24の飽和及び不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を構成脂肪酸とする脂肪酸エステル(ただし、パルミチン酸エステル及びステアリン酸エステルを除く)とを混合して減圧下で撹拌して加熱することによって、モノエステルの重量割合が、ショ糖の2以上のヒドロキシル基が脂肪酸エステルによってエステル化されたショ糖脂肪酸エステルの重量割合よりも大きいショ糖脂肪酸エステルを生成する工程と、を備え、
    前記ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程は、混合物から水を除去する前段の工程と、当該工程の後にエステル交換を行う後段の工程とを有しており、
    前記後段の工程では、マイクロ波を照射することによって、混合物が前記ショ糖の分解温度未満となるように4時間以下加熱する、ショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  2. 製造対象が、モノエステルの重量割合が60重量%以上であるショ糖脂肪酸エステルである、請求項1記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  3. 脂肪酸エステルと、アルカリ金属塩を溶媒に溶解させた溶液とを混合して加熱することによって脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程をさらに備え、
    前記ショ糖脂肪酸エステルを生成する工程で使用される脂肪酸アルカリ金属塩は、前記脂肪酸アルカリ金属塩を生成する工程で生成されたものである、請求項1または請求項記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  4. 前記後段の工程では、混合物の温度が前記分解温度より25℃低い温度以上、前記分解温度未満となるように加熱する、請求項1から請求項のいずれか記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  5. 前記後段の工程において、混合物が昇温するように加熱する、請求項1から請求項のいずれか記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
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