JP2014040527A - 脂肪酸アルキルエステルの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遊離脂肪酸を含む油から、遊離脂肪酸を除去しなくても、脂肪酸アルキルエステルを製造することのできる脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、アセトンを溶媒として用い、遊離脂肪酸を含む油脂類と、一価の低級アルコールとを、酸触媒の存在下で反応させ、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、前記工程後に、反応液の下部に含まれる、水、酸触媒、未反応のアルコールを回収する工程と、前記遊離脂肪酸を除去した油脂類と、炭素数が2以下の直鎖状アルコールとを、アルカリ触媒の存在下で反応させ、油脂類の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、遊離脂肪酸を含む脂肪酸アルキルエステルを製造する方法に関する。
近年、地球温暖化防止や資源循環などの観点から、パーム油などの植物由来油を原料とするバイオディーゼル燃料(BDF(登録商標))を導入する動きがある。バイオディーゼル燃料は、油脂類の主成分であるモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドを、メタノール、エタノールのような低級アルキルアルコールとエステル交換反応を行うことにより製造される。例えば、油脂類を、NaOH、KOHのようなアルカリ触媒の存在下で、メタノールのような低級アルキルアルコールを用いてエステル交換を行うアルカリ触媒法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、天然の植物油や動物油の中には、遊離脂肪酸を含むものが多くある。また、廃油中にも、遊離脂肪酸を含む。これらの油中に含まれる遊離脂肪酸の含有量は、油の種類等により、大きく異なる。また、同じ原料由来の油においても、含有量に幅を有する。例えば、ゴムの実油では、約40〜50%の遊離脂肪酸を有することが知られている。
遊離脂肪酸を含む油からBDFを製造すると、遊離脂肪酸がアルカリ触媒と反応により消費される。このため、アルカリ触媒の添加量を多くする必要がある。また、遊離脂肪酸とアルカリ触媒の反応生成物である脂肪酸塩(石鹸)は、界面活性作用を有する。このため、生成した脂肪酸アルキルエステルに残留して、分離が悪くなるなど、製造プロセスに問題を起こす。また、生成した脂肪酸アルキルエステルの燃料品質を低下させるという問題もある。
このため、遊離脂肪酸を含む油から遊離脂肪酸を除去することが考えられる。しかし、精製工程を経た油は、値段が高くBDFの原料に用いるには適さない。このため、ゴムの実油は、ほとんど使用されずに廃棄されている。
遊離脂肪酸をあらかじめ処理する方法が提案されている。例えば、遊離脂肪酸を含む油に硫酸などの酸およびアルキルアルコールを添加して、遊離脂肪酸の脂肪酸アルコールエステルを得る技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法によれば、1〜2%程度の酸を用いても、高温(70〜90℃)で数時間反応させる必要がある。また、反応後の溶液に硫酸などの酸が残存する。このため、残存する酸を中和するために、余分なアルカリ触媒を添加する必要がある。
あるいは、固体酸触媒の存在下で、遊離脂肪酸を含む油をアルコールでエステル交換する方法が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。この方法では、遊離脂肪酸を含む油から、1回の処理で脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。しかし、この方法によっても、高温で数時間反応させる必要がある。また、固体酸触媒は、コスト高の原因となる。
一方、本発明者らは、アセトン、イソプロパノール、およびこれらの混合物から選択される有機溶媒を反応系に添加して均一相系で行うことで、脂肪酸アルキルエステルの収率が高く、脂肪酸アルキルエステル相とグリセリン相との分離が極めて短時間でできる脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提案した(例えば、特許文献5参照)。この方法では、脂肪酸アルキルエステル相とグリセリン相との分離が極めて短時間でできるので、石鹸の副生が少ない。
特開平7−197047号公報 特開2011−12254号公報 特開平6−313188号公報 特開2009−138098号公報 国際公開第2010/106985号
すなわち、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、遊離脂肪酸を含む油から、遊離脂肪酸を除去しなくても、脂肪酸アルキルエステルを製造することのできる脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供することにある。特に、本発明では、脂肪酸アルキルエステルを製造する際に、安価な酸触媒を用いても、温和な条件で、短時間に、しかも、油のエステル交換反応の際に、アルカリ触媒を無駄に用いなくても、脂肪酸アルキルエステルを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、遊離脂肪酸を含む油に酸触媒と直鎖低級アルコールとを添加して脂肪酸アルキルエステルを製造する際に、アセトンを共存させることで、遊離脂肪酸から脂肪酸アルキルエステルを製造することができると共に、反応終了後に、水、酸触媒、未反応直鎖低級アルコールと、生成した脂肪酸アルキルエステルと遊離脂肪酸の含有量が低減した油との分離が容易に行われることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、アセトンを溶媒として用い、遊離脂肪酸を含む油脂類と、一価の低級アルコールとを、酸触媒の存在下で反応させ、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、前記工程後に、反応液の下部に含まれる、水、酸触媒、未反応のアルコールを回収する工程と、前記遊離脂肪酸を除去した油脂類と、炭素数が2以下の直鎖状アルコールとを、アルカリ触媒の存在下で反応させ、油脂類の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、を含む。
酸性触媒を使用して遊離脂肪酸を脂肪酸アルキルエステル化する場合、アセトンを用いると、生成する水に酸触媒が溶解し、下層を形成する。一方、脂肪酸アルキルエステルと未反応の油脂類はアセトン層に溶解し、上層を形成する。したがって、アセトンを用いると、分離が早いだけではなく、酸触媒と水とを容易に除去できる。この結果、あえて酸触媒の除去工程を必要としない。また、アセトン層に酸触媒が残存しないので、酸触媒を中和するために余分なアルカリ触媒を添加する必要はない。また、未反応のアルコールは、そのまま、油脂類の脂肪酸アルキルエステル化に用いることができる。
上記酸触媒が硫酸であると好ましい。また、硫酸が濃硫酸であるとさらに好ましい。酸触媒が水を含むと、脂肪酸アルキルエステルの収率が低下するからである。
前記製造方法は、前記脂肪酸アルキルエステルを製造する工程において、超音波を照射するものであってもよい。溶媒法と超音波法とを組み合わせることで、さらに、反応時間を短縮することができる。
本発明によれば、油脂類に含まれる遊離の脂肪酸を除去しなくても、脂肪酸アルキルエステルを製造することができる。この結果、遊離脂肪酸により石鹸が生成するという問題を生じない。また、単に酸触媒を用いた場合に生ずる、反応後に反応液中に残存する酸触媒の問題が生じない。このため、特段の酸触媒の除去工程を必要とせず、残存する酸触媒量に応じてアルカリ触媒を多く用いる必要はない。また、反応後の液は、アセトンを用いることで、水層と油層との2層に速やかに分離する。このため、脂肪酸アルキルエステルと未反応の油脂類とアセトンを含む油層にアルカリ触媒を添加することで、油脂類の脂肪酸アルキルエステル化を容易に行うことができる。さらに、一連の反応は、穏やかな温度条件で、短時間で、収率よく行うことができる。この結果、遊離脂肪酸を含有する油脂類を無駄なく、脂肪酸アルキルエステル化することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、アセトンを溶媒として用い、遊離脂肪酸を含む油脂類と、低級アルコールとを、酸触媒の存在下で反応させ、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、前記工程後に反応液の下部に含まれる、水、酸触媒、未反応のアルコールを回収する工程と、前記遊離脂肪酸を除去した油脂類と、炭素数が2以下の直鎖状アルコールとを、アルカリ触媒の存在下で反応させ、油脂類の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、を含む。
(遊離脂肪酸を含む油脂類)
遊離脂肪酸を含む油脂類とは、例えば遊離脂肪酸を5重量%以上含む油脂類である。遊離脂肪酸を5重量%以上含む油脂類をそのまま脂肪酸アルキルエステルの製造に用いると、石鹸が生成されるなどの問題がある。このような遊離脂肪酸を含む油脂類は、例えば動植物油や劣化油、廃油、トラップグリースなどである。以下に、主な動植物油の遊離脂肪酸含有量の文献値を例示するが、遊離脂肪酸を含む油脂類としては、この表の例に限定されない。表1において、酸化の半分の値が遊離脂肪酸の含有量(重量%)である。また、遊離脂肪酸を含む油脂類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2014040527
脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、分岐脂肪酸、ヒドロキシル脂肪酸などのいずれであってもよく、C12〜C28の脂肪酸であれば好ましい。脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などが挙げられる。
油脂類は、その原料油が本来有する油脂であり、脂肪および/または脂肪油を意味する。これらは、上記脂肪酸のトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドなどのいずれであってもよい。
(溶媒)
本発明では、酸触媒、アルカリ触媒を用いる脂肪酸アルキルエステルの製造にアセトンを溶媒として用いる。アセトンを用いると、酸触媒を用いる遊離脂肪酸の際に、生成する脂肪酸アルキルエステルと油脂類を溶解して油層を形成する。一方、生成する水と酸触媒は水層を形成する。この結果、遊離脂肪酸処理後の酸触媒の除去が容易になると共に、油層と水層の分離が短時間で行える。また、脂肪酸アルキルエステルの収率も高い。
また、油脂類をアルカリ触媒で脂肪酸アルキルエステル化処理をする場合は、脂肪酸アルキルエステルの収率が高く、脂肪酸アルキルエステル層とグリセリン層との分離が早いという効果が得られる。
使用するアセトンの添加量は、反応系が均一な液相になる量であればよく、遊離脂肪酸を含む油脂類の10重量%以上、好ましくは10〜20重量%であるとよい。アセトンの添加量が10重量%より少ないと、反応系が均一な液相にならないので好ましくない。また、アセトンの添加量が20重量%より多いと反応速度が遅くなるので好ましくない。また、アセトンの添加量が10〜20重量%であると、得られる脂肪酸アルキルエステルの収率が高くなるので好ましい。
(一価の低級アルコール)
本発明で用いる一価の低級アルコールとしては、例えば炭素数1〜4のアルコールである。より好ましくは、メタノール、エタノールである。これらの一価の低級アルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明では、酸触媒を用いる遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステル化とアルカリ触媒を用いる油脂類の脂肪酸アルキルエステル化を一連で行う。この場合に、それぞれの脂肪酸アルキルエステル化反応の際に、同じ一価の低級アルコールを用いてもよく、異なる一価の低級アルコールを用いてもよい。
一価の低級アルコールの使用量は、脂肪酸アルキルエステル化により遊離脂肪酸の含有量を低下させることができる量であればよい。例えば、遊離脂肪酸を含む油脂類との量論比で1.5〜2.5倍、好ましくは1.8〜2.2倍程度である。また、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステル化反応で消費されなかった一価の低級アルコールは、油脂類の脂肪酸アルキルエステル化反応で用いることができる。
(酸触媒)
本発明で用いる酸触媒としては、公知の酸触媒を用いることができる。公知の酸触媒としては、硫酸、塩酸、フッ酸などが挙げられる。これらの酸触媒のうち、好ましい酸触媒は、硫酸である。また、酸触媒は、濃酸で水分の含有量が少ないほど、遊離脂肪酸を、収率よく脂肪酸アルキルエステル化することができるので、好ましい。
酸触媒の使用量は、遊離脂肪酸を含む油脂類の0.5〜2.0重量%、好ましくは1.0〜1.5重量%である。酸触媒の使用量が0.5重量%より少ないとエステル交換反応が遅くなるので好ましくない。一方、酸触媒の使用量が2.0質量%より多くても、収率に影響しないからである。
(遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステル化反応)
遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステル化反応は、遊離脂肪酸を含む油脂類(原料油)と一価の低級アルコールとを、所定の量のアセトンを溶媒として、酸触媒を用いて行う。反応は、これらを混合して均一相系で行う。本明細書中で、均一系とは、触媒と、アセトンと、遊離脂肪酸を含む油脂類と、一価の低級アルコールとが単一の相を形成していることをいう。
遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステル化は、上記混合液を加温して行う。加温温度は、アセトンの沸点(56.5℃)近くであればよい。反応時間は、通常1〜2時間程度である。2時間程度反応させることで、遊離脂肪酸の85%以上が脂肪酸アルキルエステル化される。この処理により、原料油に含まれる遊離脂肪酸の含有量が5%未満になればよい。また、この条件では、油脂類は、脂肪酸アルキルエステル化されない。
(静置分離工程)
上記遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステル化反応を行った混合液を静置する。これにより、脂肪酸アルキルエステルと油脂類と未反応の一価の低級アルコールの一部を含むアセトン層と、生成した水と酸触媒と未反応の一価の低級アルコールの残りを含む水層とに分離する。アセトン層には脂肪酸アルキルエステルと油脂類とが溶解するので、アセトン層の比重が小さくなり、生成した水と酸触媒とを含む水層との密度差が大きくなるため、上層を形成し、2層に分離する。分離時間は、例えば30分程度である。本発明では、反応系から下層の水層を除去することで、水と酸触媒が除去されるため、後工程にあたる油脂類の脂肪酸アルキルエステル化反応を容易に行うことができる。
(アルカリ触媒)
油脂類を脂肪酸アルキルエステル化するために用いるアルカリ触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。アルカリ触媒は、公知の方法により、水溶液等にして用いればよい。アルカリ触媒の使用量は、油脂類の0.5〜2.5重量%、好ましくは1.0〜2.0重量%である。
(一価の低級アルコール)
アルカリ触媒を用いて油脂類を脂肪酸アルキルエステル化する際には、一価の低級アルコールを追加して添加すればよい。追加する一価の低級アルコールの量は、油脂類に対して、量論比で2〜4倍、好ましくは2.5〜3.5倍であればよい。追加する一価の低級アルコールは、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステル化に用いる一価の低級アルコールと、同一であっても、異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
(油脂類の脂肪酸アルキルエステル化)
上記酸触媒処理後に分離した上層に、一価の低級アルコールとアルカリ触媒との混合液を加える。その後、混合物を攪拌などで全液を混合することで、油脂類の脂肪酸アルキルエステル化を行うことができる。混合は、常温で行う。反応時間は5〜30分、好ましくは5〜20分であればよい。
(超音波処理)
前記遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程および油脂類の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程のいずれにおいても、超音波を照射する超音波処理を併せて行ってもよい。超音波処理を併用することで、反応時間を短縮させることができる。例えば、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程では、アセトンを単独で用いる場合に比べ、超音波処理を併用すると、反応時間は半分程度まで短くすることができる。
超音波処理は、周波数10〜100kHz、好ましくは20〜40kHzの超音波を、照射強度0.5〜500W/cm2、好ましくは5〜200W/cm2で照射する。これにより、混合液中でキャビテーションを生じ、物質(遊離脂肪酸または油脂類と一価の低級アルコールとの)移動が促進して、反応が促進され、エステル交換反応の速度が速まる。
(静置分離工程)
上記油脂類の脂肪酸アルキルエステル化反応を行った混合液を静置する。これにより、脂肪酸アルキルエステルと一価の低級アルコールとアセトンとを含む上層と、生成した水とグリセリンとを含む下層とに分離する。上層には脂肪酸アルキルエステルと一価の低級アルコールとアセトンが含まれる。分離時間は、例えば10〜40分程度である。
(回収工程)
脂肪酸アルキルエステルと一価の低級アルコールとアセトンとを含む上層は、蒸留することで、脂肪酸アルキルエステルを一価の低級アルコールとアセトンとから分離することができる。分離した脂肪酸アルキルエステルは、水を加えて2〜3回洗浄した後に、乾燥することで、高品位のバイオディーゼル燃料とすることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(共溶媒触媒2段法)
遊離脂肪酸を15重量%含むジャトロファ(Jatropha)油と、遊離脂肪酸を49重量%含むゴムの実油を混合して、遊離脂肪酸を23重量%、油脂を75重量%、その他の成分を2重量%含む、原料油を得た。
(酸触媒反応)
上記原料油に、メタノールをメタノール:原料油=2:1になるように加え、アセトンを原料油に対して10重量%、98%硫酸を原料油に対し1重量%を加え、攪拌しながら混合した。反応温度は、54℃であった。反応時間は2時間であった。反応開始後1時間経過したときと、2時間経過時に、サンプリングし、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(酸触媒反応後の分離時間)
上記反応後の混合液を静置した。静置後30分でアセトン層と水層とに分離した。
(アルカリ触媒反応)
前記分離工程で分離したアセトン層に、アルカリ触媒として水酸化カリウムを原料油の油脂類に対して1.5重量%になるようにメタノールに溶解して混合した。追加したメタノールは油脂1に対して3になるように加えた。反応は常温(30℃)で行った。反応時間は2時間であった。反応開始後1時間経過したときと、2時間経過時に、サンプリングし、脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(アルカリ触媒反応後の分離時間)
上記反応後の混合液を静置した。静置後30分で上層と下層とに分離した。
(水洗後の収率)
前記上層を水で洗浄して、乾燥後させた後の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(比較例1)
(無溶媒法)
(酸触媒反応)
上記原料油に、メタノールをメタノール:原料油=2:1になるように加え、98%硫酸を原料油に対し1重量%を加え、攪拌しながら混合した。反応温度は、90℃であった。反応時間は3時間であった。反応開始後1時間、2時間経過したときと、3時間経過時に、サンプリングし、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(酸触媒反応後の分離時間)
上記反応後の混合液を静置した。静置後6時間で水層と油層とに分離した。
(アルカリ触媒反応)
前記分離工程で分離した油層に、アルカリ触媒として水酸化カリウムを原料油の油脂類に対して1.5重量%になるようにメタノールに溶解して混合した。追加したメタノールは油脂1に対して3になるように加えた。反応は60℃で行った。反応時間は3時間であった。反応開始後1時間、2時間経過したときと、3時間経過時に、サンプリングし、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(アルカリ触媒反応後の分離時間)
上記反応後の混合液を静置した。静置後6時間で脂肪酸メチルエステル層とグリセリン層とに分離した。
(水洗後の収率)
前記上層を水で洗浄して、乾燥後させた後の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(比較例2)
(超音波法)
上記原料油に、メタノールをメタノール:原料油=2:1になるように加え、98%硫酸を原料油に対し1重量%を加え、攪拌しながら混合した。反応温度は、64℃であった。反応は超音波を照射しながら行った。超音波照射は、周波数35kHzの超音波を、照射強度6.5W/cm2で行った。反応時間は3時間であった。反応開始後1時間、2時間経過したときと、3時間経過時に、サンプリングし、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(酸触媒反応後の分離時間)
上記反応後の混合液を静置した。静置後3時間で水層と油層とに分離した。
(アルカリ触媒反応)
前記分離工程で分離した油層に、アルカリ触媒として水酸化カリウムを原料油の油脂類に対して1.5重量%になるようにメタノールに溶解して混合した。追加したメタノールは油脂1に対して3になるように加えた。反応は40℃で行った。反応は超音波を照射しながら行った。超音波照射は、20〜40kHzの超音波を、照射強度10〜200W/cm2で行った。反応時間は1.5時間であった。反応開始後0.5時間、1時間経過したときと、1.5時間経過時に、サンプリングし、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
(アルカリ触媒反応後の分離時間)
上記反応後の混合液を静置した。静置後3時間で脂肪酸メチルエステル層とグリセリン層とに分離した。
(水洗後の収率)
前記上層を水で洗浄して、乾燥後させた後の脂肪酸アルキルエステルの収率を調べた。
実施例1、比較例1、2の結果を以下の表2に示す。
Figure 2014040527
表2から、本発明の溶媒を用いた触媒2段法を用いると、穏やかな反応条件で、短時間に収率良く、脂肪酸アルキルエステルが製造できることがわかる。また、反応後の分離時間も極めて短いことがわかる。
(比較例3)
実施例1において、65%の硫酸を用いた以外は実施例1と同様に、酸触媒により、遊離脂肪酸を、脂肪酸アルキルエステル化した。脂肪酸アルキルエステルの収率は、実施例1の約半分であった。これから、濃度の高い酸触媒を用いるほうがよいことがわかった。
(実施例2)
実施例1において、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程において、反応温度50℃でアセトンを溶媒として用い、比較例2の条件で超音波を照射した。反応時間1時間で、アセトンのみで2時間反応させた場合と、同等の脂肪酸アルキルエステルの収率が得られた。

Claims (4)

  1. アセトンを溶媒として用い、遊離脂肪酸を含む油脂類と、一価の低級アルコールとを、酸触媒の存在下で反応させ、遊離脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、
    前記工程後に、反応液の下部に含まれる、水、酸触媒、未反応のアルコールを回収する工程と、
    前記遊離脂肪酸を除去した油脂類と、炭素数が2以下の直鎖状アルコールとを、アルカリ触媒の存在下で反応させ、油脂類の脂肪酸アルキルエステルを製造する工程と、
    を含む、脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
  2. 上記酸触媒が硫酸である、請求項1記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
  3. 上記硫酸が、濃硫酸である、請求項1記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
  4. 前記脂肪酸アルキルエステルを製造する工程において、超音波を照射する、請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
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