JP6275373B2 - シリコン膜形成方法、およびシリコン膜形成装置 - Google Patents

シリコン膜形成方法、およびシリコン膜形成装置 Download PDF

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本発明は、化学蒸着によりシクロヘキサシランをシリコン膜に形成するためのシリコン膜形成方法、シクロヘキサシラン梱包体およびシリコン膜形成装置に関するものである。
薄膜トランジスタや集積回路などの半導体や電子デバイスに用いられるシリコン薄膜(アモルファスシリコン膜やポリシリコン膜等)は、気体材料であるモノシランを原料に化学気相蒸着法(CVD法)等により形成される。しかし近年、より大量にシリコン薄膜を作製するために成膜速度の向上が求められ、また複雑なデバイス構造に対応するために低温条件での成膜、さらに凹凸のある基板上への均一膜の成膜などが求められている。
また、液体材料を薄膜にする方法として、液体を一旦気化した後、蒸着する方法、例えばCVD法が知られている。このCVD法で利用される液体材料の気化方法としては、キャリアガスを液体材料中にバブリングして液体材料を気化する方法(バブリング法)、キャリアガスを用いずに液体材料を加熱して液体材料を気化する方法(ベーキング法)等が挙げられる。上記バブリング法では、液体材料を加温する事によって気化効率を高めているが、液体材料の熱安定性が低いと、気化ガスの排出ラインが目詰まりすることがある。また、上記ベーキング法でも、同様に原料タンク内の液体材料を加熱して気化ガスを発生させるが、使用される物質が熱に弱いと、気化ガスの排出ラインが目詰まりすることがある。
例えば、特許文献1には、液体シラン化合物を用いたシリコン膜の製造方法として、キャリアガスでガス化した環状シラン化合物に、常圧下で熱エネルギーを作用させることにより、基板上にシリコン膜を化学蒸着させる方法が開示されている。この方法では、環状シラン化合物がキャリアガスと共に常圧のガス状態で反応室に導入されているが、常圧CVDではウエハ温度の均一性を保ちにくく形成される薄膜の膜厚均一性、カバレージ性に欠け、シリコン膜にごみ等の粒子が混入しやすいという問題があった。特許文献2には、水、CVD液体原料等を常圧でガス化して半導体製造装置に供給するための気化器が開示されている。特許文献3には、シリコンと炭素とを含む混合物質を形成する薄膜形成装置および薄膜形成方法が開示され、有機シラン化合物の原料液体を高速のキャリアガス流によって瞬間的に霧化させて、シリコンと炭素とを含む薄膜を形成している。特許文献4には、液体材料とキャリアガスを混合する気液混合部と、気化部とを有する液体材料気化装置が開示されている。特許文献5には、シクロヘキサシランを含むプロセスガスをチャンバーに導入して、シクロヘキサシランを化学蒸着させて、基板上にSi含有膜を形成させる方法が開示されている。
特開昭60−26664号公報 特開2006−13086号公報 特開2007−308774号公報 特開2009−79302号公報 米国特許出願公開2012/0024223号明細書
しかしながら、上記文献のいずれにおいても、シクロヘキサシランを使用して液体のまま送出ラインを介して気化器に移送・気化して、CVD法を行ったことは開示されていない。特に特許文献5において、シクロヘキサシランは、真空ポンプのバブリングにより直接チャンバーに導入されているが、バブリングする際に加熱するためにシクロヘキサシランが固形化してノズル等が詰まり、しいては適切な量の気化シクロヘキサシランを送出することができず、質の高いシリコン膜を形成することができないという問題が生じる可能性がある。
加えて、シクロヘキサシランは、粘度が低く、無色透明な液体であるが、熱重合、光重合しやすく、重合化すると粘度が高くなると共に、分子量も大きくなる傾向があり、CVD法を行う反応室に均一な量の気化シクロヘキサシランを安定的に供給することができないといった問題があった。
本発明は、シクロヘキサシランを使用しても、安定的に気化シクロヘキサシランガスを供給でき、化学蒸着法を採用した時に高速成膜、低温成膜および高ステップカバレージが可能となるシリコン膜形成技術を提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、高純度なシリコン膜を形成できるシリコン膜形成技術を提供する点にある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、シクロヘキサシランを用い、原料タンクから気化器へとシクロヘキサシランを供給し、さらに気化器でシクロヘキサシランを気化すると、安定的に気化シクロヘキサシランガスを反応室に供給することができ、化学蒸着を採用した時に高速成膜、低温成膜および高ステップカバレージが可能となり、また、高純度なシリコン膜を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るシリコン膜形成方法は、原料タンクに収容したシクロヘキサシランを送出ラインを通じて気化器に向けて送出し、気化器でシクロヘキサシランを気化させ、反応室で気化したシクロヘキサシランを化学蒸着によりシリコン膜にするシリコン膜形成方法である。
前記原料タンクの温度は50℃以下に維持されることが好ましく、前記送出ラインにおいて、加圧不活性ガスでシクロヘキサシランを圧送または吸引により、シクロヘキサシランが原料タンクから気化器へ送り出されることが好ましい。前記送出ラインに介挿される液体流量制御器により、シクロヘキサシランの送出量が制御されてもよく、前記気化器において、送出ラインからのシクロヘキサシランは、気化室内に設けられた噴出口、温度および/または圧力調節可能な気化室、および気化ガス排出口を通過して気化されることが好ましい。前記噴出口では、シクロヘキサシランを微粒子状または霧状に噴出することが好ましく、前記噴出口の温度は、100℃以下に維持されることが好ましい。前記気化室の圧力は、例えば、5kPa未満である。前記化学蒸着は、好ましくは、低圧CVD法またはプラズマCVD法であり、モノシランガスとシクロヘキサシランガスとを反応室に供給してシリコン膜を形成することが好ましい。
本発明には、前記方法に使用され、原料タンクに充填されるためのシクロヘキサシラン梱包体が包含される。シクロヘキサシラン梱包体中の各金属元素の含有量は、10ppm以下であることが好ましい。
さらに、本発明には、シクロヘキサシランを収容するための原料タンクと、前記原料タンクに連結し前記シクロヘキサシランを液体のまま前記原料タンクから送り出すための送出ラインと、前記送出ラインに接続し、シクロヘキサシランを気化するための気化器と、気化したシクロヘキサシランを化学蒸着によりシリコン膜にするための反応室とを有することを特徴とする、シリコン膜形成装置も包含される。
本発明によれば、気化器でシクロヘキサシランを気化しているため、安定的に気化シクロヘキサシランガスを供給でき、化学蒸着法でシリコン膜を形成した時に、高速成膜および低温成膜が可能となる。
またこの様な方法によれば、高ステップカバレージを達成でき、高純度なシリコン膜を形成できる。
図1は、本発明のシリコン膜形成方法またはシリコン膜形成装置の一態様を示す図である。 図2は、本発明のシリコン膜形成方法またはシリコン膜形成装置における気化器の別態様を示す図である。
<シリコン膜形成方法>
以下、図1を参照して本発明のシリコン膜形成方法の一態様を説明するが、本発明は該一態様に限定されるものではない。
図1は本発明のシリコン膜形成方法の一例を説明するための装置概略図であり、本例では、原料タンク1に収容したシクロヘキサシラン2を送出ライン5、6を通じて気化器8に向けて送出し、気化器8でシクロヘキサシランを気化させ、反応室13で気化したシクロヘキサシランを化学蒸着によりシリコン膜にすることを特徴とする。
より詳細に説明すると、原料タンク1には不活性ガス導入ライン3が設けられており、このライン3に取り付けられたバルブ4を開くことで加圧された不活性ガスが原料タンク1に送られ、内部のシクロヘキサシラン2自体が加圧される。そして図示例では、送出ライン5の入口がシクロヘキサシラン2の液面よりも下で開口しているため、加圧シクロヘキサシラン2が送出ライン5、6を通じて気化器8へ圧送される。また図示例では、送出ライン5、6上に、液体流量制御器7が介挿されており、シクロヘキサシランの流量を調節して適量のシクロヘキサシランを気化器8に送出可能となっている。気化器8は、温度調節可能なヒーター10と、気化用空間を確保するための気化室8aと、この気化室8a内で開口する噴出口9とから構成され、噴出口9は送出ライン5、6に連結されている。そして前記ヒーター10で気化室8a内の温度を調節しながら、噴出口9からシクロヘキサシランを霧状に噴出し、気化させる。この際キャリアガスも同時に気化室8a内に流しても良い。この気化シクロヘキサシランは、気化室8aの下流側に設けられた気化ガス排出口11から送出ライン12を介して反応室13に送出される。図示例の反応室13はその内部に、第一電極14と基板15とからなる積層体と、この基板15に対向する第二電極16を備えているため、送出ライン12から反応室13内に気化シクロヘキサシランを導入することにより、化学蒸着法によって、基板15上にシリコン膜を形成できる。なお図示例の反応室13には、真空ポンプ17が接続されており、ガスの流れを調節可能になっており、温度、圧力等を適宜調節してもよい。
以上の様な方法によると、気化器8でシクロヘキサシランを気化しているため、安定的に気化シクロヘキサシランガスを供給でき、化学蒸着法でシリコン膜を形成した時に、高速成膜および低温成膜が可能となる。またこの様な方法によれば、高ステップカバレージを達成でき、高純度なシリコン膜を形成できる。
本発明の特徴は、バブリング方式またはベーキング方式によることなく、シクロヘキサシランを気化している点にあるとも言える。気化器8で気化させると、バブリング時の加熱によるシクロヘキサシランの熱重合が抑制され、原料タンク1、送出ライン5、6等での配管の目詰まりを防ぐことができる。また、気化器8には、熱重合の影響を受けていないシクロヘキサシランが安定して供給されることになり、シクロヘキサシランの熱重合による固形化により噴出口9、気化ガス排出口11等での配管の目詰まりも抑制することができる。最終的に、過剰に熱重合されておらず固形物を含まない気化シクロヘキサシランを反応室に安定的に供給することができ、しいてはCVD法を採用した時に高速成膜および低温成膜が可能であり、また、高ステップカバレージを達成でき、高純度なシリコン膜を形成することができる。
シクロヘキサシラン2は、従来公知の方法により製造されたものであればよく、例えば、ジフェニルジクロロシランを金属によりカップリングさせ6員環を形成後、ハロゲン化、還元工程を経て得られるシクロヘキサシランを用いてもよく、さらに高純度なシリコン膜を形成する観点から、不純物を除去するために精製を行ったものを使用してもよい。
原料タンク1では、シクロヘキサシラン2を熱重合または光重合させず、送出ライン5、6を介して気化器8に安定してシクロヘキサシランを供給可能な様にしておくことが推奨される。例えば原料タンク1中のシクロヘキサシラン2の温度を所定温度以下に維持してもよく、好ましくは50℃以下、より好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下に維持してもよい。なお該温度を下げ過ぎると、熱重合・光重合防止効果が飽和する一方で、融点以下まで冷却すると固化して液の移送が困難になる。また冷却コストが増大するため、温度の下限を設定してもよい。シクロヘキサシラン2の温度の下限は、好ましくは15℃以上、より好ましくは18℃以上、さらに好ましくは20℃以上に維持される。
原料タンク1の材質は、シクロヘキサシラン2が熱重合、光重合しない程度の材質であれば、特に限定されないが、例えば、材質としては、光不透過性の高強度安定材料、具体的には、ニッケル、モリブデン、マンガン、クロム、チタン、銅、アルミニウム、ステンレス、それらの合金などが挙げられる。具体的には、原料タンク1の材質は、好ましくはステンレス鋼(SUS)である。また、原料タンク1は必要に応じて遮光性を有していてもよく遮光板などを使用してもよい。原料タンク1は液体材料を圧送し、自然発火性を有するシクロヘキサシランを安全に取り扱う観点から、耐圧性を有していることが好ましい。耐圧性を有する原料タンクとしては0.05MPa以上を有するものであることがより好ましい。また原料タンク1は、例えば送出ライン5、6等に示される少なくとも2つのバルブを付属した取り出し口を有していることが求められるが、少なくとも1つのバルブは加圧用バルブまたは材料充填用バルブであり、少なくとも1つのバルブは液体材料移送用バルブであることが好ましい。このほかに、原料タンク1は、タンク洗浄用などを目的に、2つ以上の取り出し口を有していても良い。原料タンクの容量は、好ましくは50ml〜100l程度であり、より好ましくは500ml〜10l程度である。原料タンクの形状は、特に限定されないが、円柱形、角柱形、円筒形等が挙げられる。
原料タンク1から気化器8に向けてのシクロヘキサシラン2の送出では、図1の様な圧送方式に限られず、シクロヘキサシラン2が送出中に気化しない条件であれば後述するような、吸引方式であってもよく、さらには加圧・吸引以外の送出方式であってよいが、いずれにせよ非加熱式の送出手段が好ましい。また圧送方式による場合、図1の例では、不活性ガス導入ライン3が原料タンク1の上部(特に上面)に設けられており、バルブ4により不活性ガスの流量等の調整が可能になっているが、不活性ガス導入ライン3の接続位置は適宜設定でき、シクロヘキサシラン2の液面下であってもよいが、液面上が好ましい。またタンク中の送出ライン5の長さは適宜設定できるが、原料の有効利用の観点からタンク底付近まで伸びていることが望ましい。原料タンク1から圧送する際の圧力は、シクロヘキサシラン2が液体のまま原料タンク1から気化器8への送り出される限り、任意の圧力であればよい。
不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられるが、汎用性とコストの面から、不活性ガスは、好ましくは窒素、ヘリウム、アルゴンであり、より好ましくは窒素、アルゴンである。
送出ライン5、6では、圧送方式または吸引方式で、シクロヘキサシラン2を原料タンク1から気化器8へ送り出すことが好ましい。圧送方式は、送出ライン5、6とは別に、原料タンク等に適当な不活性ガス導入ラインを設置することで達成することができる。また圧送時には、適切な場所(例えば不活性ガス導入ライン3上又はそれよりも上流側)にマスフローコントローラを設置してもよい。一方、吸引方式は、送出ライン5、6または原料タンク1と気化器8との間に適当な送液ポンプ(チューブポンプなど)を設置する事で達成できる。これらに加えて、減圧方式として減圧弁またはオリフィスなどを採用してもよい。また、送出ライン5の入口は、高比重不純物の侵入を低減する観点から、原料タンク内で下向きに設けられていてもよいが、送出ライン5の入口は液中である限り限定されず、例えば、原料タンク底周辺で下方に向けて延出してもよい。送出ライン5、6の材質は、シクロヘキサシランが液体のまま送出される限り、従来技術で公知の材質を使用することができ、耐腐食性のあるアルミニウム、ステンレス等であってもよい。また、送出ライン5、6の構造は、液体材料を原料タンク1から気化器8に移送するような密閉された配管であれば、特に限定されない。
送出ライン5、6に介挿される液体流量制御器7は本発明では必須ではなく、適当な圧送力制御(上述した加圧バルブ4、不活性ガス導入ラインに形成されたマスフローコントローラなどを含む)や吸引速度制御(チューブポンプの回転量制御)などで送出量は適宜コントロール可能であるが、液体流量制御器7により、シクロヘキサシランの送出量を制御することが好ましい。液体流量制御器7は、原料タンク1から気化器8までの送出ライン5、6上に介挿され、シクロヘキサシランの流量を制御できる限り、その位置は任意でよい。液体流量制御器7としては、適当な従来公知の手段、例えば、絞り弁(例えば、開閉弁)などであってもよいが、好ましくはマスフローコントローラなどの流体質量流量を計測しつつ流量制御が可能な装置が使用される。かかる流量制御装置によれば、使用条件が変化しても補正を行う必要がなく、高い精度で流量を計測すると共に流量を制御することができる。流量制御装置は、流量センサー、バイパス、流量制御バルブおよび電気回路等から構成されることが好ましい。送出された液体はまず流量センサーとバイパスに分流され、適切な流量となるように流量制御バルブが電気回路で制御されていてもよい。流体制御バルブとしては、ピエゾアクチュエータバルブ、サーマルアクチュエータバルブ、ソレノイドアクチュエータバルブ等が挙げられるが、これらに限定されない。
液体流量制御器7が絞り弁の場合、該絞り弁も流量に応じて適宜制御されるのが好ましい。例えば液体流量を測定するセンサーを、送出ライン6上、気化器8内などの適当な場所に設け、このセンサーからの信号によって絞り弁の開度を調節してもよい。
気化器は、シクロヘキサシランを減圧下で加熱して気化するものであればよく、キャリアガスを使用してもよい。具体的に、気化器8は、図1の例では、上述した様に、気化室8aと、この気化室8a内に設けられた噴出口9と、気化ガス排出口11とから構成されている。送出ライン5、6からこの気化室8aに向けて送られたシクロヘキサシランは、その噴出口9から噴出することで、気化する。気化室8aは、温度調節可能であることが望ましく、具体的には、気化室8aの中心部および/または外周部(図1の例では外周部)にヒーター10を配設して内部の温度分布を調節(例えば、均一に調節)できるようにしてある。また、圧力調節可能な減圧ポンプ等が気化室8aに接続されていてもよい。
前記気化器8では、気化室8aの形状やヒーター10の場所を適宜設計することで、気化ガスを効率よく加熱する一方、噴出口9の加熱を避ける様にしてもよい。噴出口9の加熱を避ければ、シクロヘキサシランの熱分解に起因する噴出口9の詰まりを防止できる。図2は、この様な分離加熱型の気化器24の一例を示す概略図である。この気化器24は、図1における気化器8の代わりに用いられるものであり、第一気化室18と、第二気化室19とから構成されている。また、第一気化室18と第二気化室19とは連結管で連絡しており、第一気化室18の気化ガスは速やかに第二気化室19に移動可能になっている。そして図2の気化器24では、送出ライン(図1の送出ライン5,6に対応)に接続する噴出口20を第一気化室18内に形成し、気化シクロヘキサシランを加熱する為の温度調節可能なヒーター21を第二気化室19に配置している。この様に噴出の為の気化室と加熱の為の気化室を別々に設けることで、噴出口20への熱影響を抑制しつつ、気化シクロヘキサシランを安定化できる。なお第二気化室の下流側には、反応室13に気化シクロヘキサシランを送り出す為の気化ガス排出口23(図1の気化ガス排出口11に対応する)が設けられている。図2の気化器24においても、圧力調節可能な減圧ポンプ等が第二気化室19に接続していることが好ましい。
さらに本発明の気化器は、図2に示す様に、キャリアガス導入ライン22を備えていてもよい。すなわち噴出口20の上流にキャリアガス導入ライン22が接続し、送出ライン5,6からのシクロヘキサシランとキャリアガスとの混合物を噴出口20から噴出してもよい。キャリアガスと共に噴出することで、シクロヘキサシランの気化効率を高めることができる。またこのキャリアガスは、化学蒸着におけるキャリアガスとしても使用できる。図1の気化器8も、同様のキャリアガス導入ラインを備えていてもよい。
分離加熱型の気化器は、噴出の為の気化室と加熱の為の気化室とを別々に備えている限り、気化室の数は特に制限されず、3つ以上であってもよい。また1つの気化室であっても、噴出口形成場所とヒーター設置場所とを離しておけば、同様の効果を奏することができる。さらに本発明では、シクロヘキサシランを噴出するための気化器に加熱手段(ヒーター)を設けなくてもよい。
各気化室8a、18、19の形状は、例えば、円柱、角柱、またはこれらの略形状等であってよく、気化室8a、18、19の材質は、上記と同様に、アルミニウム、ステンレス(またはステンレス鋼)等であってもよく、気化室8a、18、19内部には、温度センサー、圧力センサー等が付属していてもよい。気化室8a、18、19内の温度は、ヒーター10、21により調節されるが、ヒーター10、21は、シクロヘキサシランが気化する限り、気化室8a、18、19の内部に設置されていてもよく、気化室8a、18、19の周囲に配置されてもよい。気化器8、24内に噴出せしめられる気体は、流速が非常に速いため、気化室8a、18、19内における空間は、噴出気体が局部的に集中しないように、更に噴霧ノズルの噴出口9、20からの噴出角度を考慮して、噴霧が容易に拡散できるように、その容積を十分に大きく設定することができる。
噴出口9、20によって、シクロヘキサシランが微粒子状または霧状に噴出されることが好ましく、減圧下で微粒子状または霧状に噴出されることがより好ましい。噴出口9、20は、気化器8、24の一の側に偏って設けられ、通常は噴霧ノズルを含む。
噴出口9、20または噴出ノズルの断面積または孔の大きさは、調整することができ、キャリアガス種類、流量が変化しても、最良の状態で噴出できるように調整できる。キャリアガスを使用する場合、ノズル本体の噴出口から臨界速度に近い流速で噴出し、この噴出エネルギーにより液体材料が霧化される。霧状の噴霧体の大きさは、好ましくは1pl〜数μl程度(例えば10μl未満)、より好ましくは10pl〜数百pl(例えば800pl以下)であり、液体流量制御器7の流量を変えることにより、またはノズルの孔の大きさ、数、および入力する信号の制御により調節可能である。
液体の霧化に影響を及ぼす重要な要因としては、液体の表面張力、粘性率、密度、キャリアガスのノズル前後の圧力、液体材料とキャリアガスの流量比(気液比)、温度などがある。安定した微細粒径の噴霧を得るためには、これらの各要因について、液体の表面張力を低減させる、液体材料の粘性率を低減させる、キャリアガスのノズル前後の差圧を増加させ、上流側圧力を上げる、気液比を高くする(液体材料の相対流量を減少させる)などの操作を行うことが好ましく、それによりノズルの霧化効率を向上させることができる。
液体材料を気化器8、24で気化させる手段としては、液体状態で気化器8、24内に導入し、その後に気化器8、24を加熱、減圧にして気化させるという導入と気化を順次行う方法で行っても問題はない。但し安定的に気化させるという観点から、前述したように加熱、減圧された気化器8、24内に、液体材料単体で、もしくはキャリアガスと混合して噴出口9、20から霧状に噴霧し気化させる方法が望ましい。
前記噴出口9、20の温度、すなわち噴出口付近の雰囲気温度は、シクロヘキサシランの熱重合による固形物の発生を抑制する観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下に維持され、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上に維持される。噴出口付近の雰囲気温度が100℃より高い場合、シクロヘキサシランが熱重合して噴出口の目詰まりを引き起こす。該雰囲気温度が50℃未満である場合、シクロヘキサシランの気化量が少なくなる。
前記気化室8a、18、19の圧力は、シクロヘキサシランの熱重合を抑制する観点から、好ましくは5kPa未満、より好ましくは4kPa以下、さらに好ましくは3kPa以下、さらにより好ましくは1kPa以下であり、好ましくは0.1Pa以上、より好ましくは1Pa以上、さらに好ましくは10Pa以上、さらにより好ましくは50Pa以上である。
前記化学蒸着は、図1に例示される装置またはこの装置を用いた方法に限定されず、任意のCVD法を選択することができる。例えば、前記化学蒸着は、好ましくは低圧CVD法またはプラズマCVD法である。低圧CVD法とは、キャリアガスと共に、目的の堆積物としての構成元素を含む化合物を蒸気圧の高い種として基板上に供給して、非晶質、多結晶、単結晶を成長させる化学蒸着法であり、主反応は熱励起された化学反応であり、気相圧力が常圧未満である化学蒸着法を意味する。反応室は、基板、ヒーター、真空ポンプ、キャリアガス供給管等を備え、気化されたシクロヘキサシランガスを熱分解し、アモルファスシリコンやポリシリコン薄膜を基板上に堆積させることができる。
低圧CVD法における反応室の反応炉の形式としては、水平型、垂直型、円筒型、連続型、管状炉型が挙げられる。例えば、水平型において、基板が水平に置かれ、ガスが基板に対して水平に導入され、基板上にSi含有膜を形成させる。垂直型において、基板が水平に置かれ、ガスが反応室の上部または下部から導入され、基板上にSi含有膜を形成させる。円筒型において、基板は円筒型であり、ガスは反応室の上部または下部から導入され、基板上にSi含有膜を形成させる。連続型において、ベルトコンベア上に置かれた基板に対して反応室上部からガスを導入し、基板上にSi含有膜を形成させる。管状炉型において、管状ヒーター対の間に基板を置き、ガスを真空装置で吸引して基板上にSi含有膜を形成させる。また、低圧CVD法では反応室内部の圧力を真空ポンプ等で減圧して運転するが、メカニカルブースターポンプ(MBP)、ターボ分子ポンプ(TMP)等のポンプを組み合わせることができる。
低圧CVD法における反応室の温度は、好ましくは300℃以上、より好ましくは350℃以上、より好ましくは400℃以上、好ましくは1300℃以下、より好ましくは900℃以下、さらに好ましくは800℃以下である。また、これらの温度は、実質的に基板上での熱分解されたシクロヘキサシラン等の反応温度(基板温度)であってもよい。低圧CVD法における反応室の圧力は、好ましくは1Pa以上、より好ましくは5Pa以上、さらに好ましくは10Pa以上、好ましくは1kPa以下、より好ましくは800Pa以下、さらに好ましくは500Pa以下である。
反応室に導入される気化シクロヘキサシランの流量は、好ましくは0.1sccm以上、より好ましくは0.5sccm以上、さらに好ましくは1sccm以上であり、好ましくは1000sccm以下、より好ましくは500sccm以下、さらに好ましくは300sccm以下である。
反応室に導入されるキャリアガス(例えば窒素)の流量は、好ましくは10sccm以上、より好ましくは20sccm以上、さらに好ましくは30sccm以上であり、好ましくは10000sccm以下、より好ましくは5000sccm以下、さらに好ましくは3000sccm以下である。
シリコン膜の成長速度は、好ましくは1nm/min以上、より好ましくは2nm/min以上、さらに好ましくは10nm/min以上、好ましくは4000nm/min以下、より好ましくは1000nm/min以下、さらに好ましくは500nm/min以下である。膜の成長速度または膜厚の均一性を向上させるために、反応室内の対流とよどみを抑制した流れとすることが好ましく、流れは層流、すなわち流体の流線が常に送出ライン12軸と平行であるようにすればよい。この指標としてレイノルズ数Rが挙げられるが、Rは以下の一般式に表わされる。
=duρ/η(d:管径(m)、u:流速(m/s)、ρ:密度(kg/cm)、η:ニュートン流体の粘度(kg/m・s))
この値が低いほど、乱流が発生しにくく、そのために例えばガス導入管を複数設置してもよい。
プラズマCVD法とは、気体ガスの励起・分解または化学反応の制御にプラズマ放電等を利用して、電子衝突等によって化学的に活性な状態を生成させて、熱エネルギーの場合よりも低温で活性種等を基板上に堆積させる化学蒸着法を意味する。プラズマCVD法では、図1を参照して説明すると、例えば、反応室13に、第一電極14、基板15、第二電極16、真空ポンプ17、ヒーター等が設けられてもよい。気化されたシクロヘキサシランガスの原子や分子は励起され、化学的に活性となり、これら化学的活性種を基板上に堆積させることができる。なお、真空ポンプ17は、本発明では必須ではないが、蒸着する分子が基板に達する前に別の気体分子に衝突する頻度を低減して基板に届くように、また、特定の気体分子が不純物として混入しないように適宜使用することができる。
反応室の反応炉の形式として、二極放電、無電極放電等を採用することができる。二極放電では、反応室は、好ましくは高周波電源(RF)に接続された放電電極(例えば、アノード、カソードまたは第一電極、第二電極)、ヒーター、基板、基板ホルダー等を備える。無電極放電では、反応室は、好ましくは、高周波コイル、石英管、基板、基板ホルダー、ヒーター等を備え、コイル等は高周波電源と接続されていてもよい。
励起の方法としては、高周波プラズマCVD、高密度プラズマ(HDP)CVD、ECRプラズマCVD、誘導結合型プラズマ(ICP)CVD、ヘリコン波プラズマCVD、UHFまたはVHFプラズマCVD等が挙げられる。プラズマCVD法では反応室内部の圧力を真空ポンプ17等で減圧して運転するが、メカニカルブースターポンプ(MBP)、ターボ分子ポンプ(TMP)等のポンプを組み合わせることができる。キャリアガス以外にも水素などのガスをチャンバー内で共存させてもよい。水素は膜中に相当量混入することになり、条件により多種多様なシリコン膜を形成することができる。
プラズマCVD法における反応室の温度は、好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、より好ましくは250℃以上、好ましくは450℃以下、より好ましくは430℃以下、さらに好ましくは410℃以下である。また、これらの温度は、実質的に基板上での化学的活性物質等の反応温度(基板温度)であってもよい。プラズマCVD法における反応室の圧力は、好ましくは0.01Pa以上、より好ましくは0.1Pa以上、さらに好ましくは1Pa以上、さらにより好ましくは10Pa以上、好ましくは1kPa以下、より好ましくは700Pa以下、さらに好ましくは500Pa以下である。かかる範囲であれば、活性種の基板への衝突頻度を高めることができるため、効率よく成膜することができる。
反応室に導入される気化シクロヘキサシランの流量およびキャリアガス(例えば窒素)の流量は、上記と同様であってよい。
シリコン膜の成長速度は、好ましくは1nm/min以上、より好ましくは2nm/min以上、さらに好ましくは5nm/min以上、好ましくは500nm/min以下、より好ましくは400nm/min以下、さらに好ましくは300nm/min以下である。
モノシランガスとシクロヘキサシランガスとを反応室に供給してシリコン膜を形成してもよい。どちらかを添加剤として用いることで単体で使用した場合よりも高速で成膜できる、より高いステップカバレージで成膜できるなど、異なる特徴が生じ、多種多様なシリコン膜を成膜することができる。なお、モノシランガスは、気化されたシクロヘキサシランガスの気化器の気化排出口から反応室までに設けられた導入ラインにより混合されてもよいし、シクロヘキサシランガスとは異なるラインで直接反応室に導入されてもよい。
気化器8と反応室13の間には、気化されたシクロヘキサシランガスを気化器から反応室に供給するための送出ライン12が設けられてもよい。かかる送出ライン12を加熱しておくことにより、気化器から反応室までの間で液化することなく、シクロヘキサシランガスを反応室13に安定的に供給することができ、安全性、シクロヘキサシランガスの供給量の安定化という観点で好ましい。
なお、本発明のシリコン膜形成方法に使用される原料タンク、送出ラインの配管等を、シリコン膜を形成した後、減圧および/または加熱して、残留した液体材料または気化ガスを完全に除去することにより安全に反復してシリコン膜を形成してもよい。
<シクロヘキサシラン梱包体>
本発明には、前記シリコン膜形成方法に使用され、原料タンクに充填されるためのシクロヘキサシラン梱包体が包含される。
前記シクロヘキサシラン梱包体中の各金属元素の含有量は、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下、さらにより好ましくは0.1ppm以下である。本発明において、各金属元素は、シクロヘキサシラン化合物を合成する際の反応原料に含有されていた不純物または製造工程でのコンタミネーションに由来するものであり、各金属元素としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、カドニウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、リン、ヒ素等を挙げることができ、また、塩素、臭素等も前記定義に含まれていてもよい。シクロヘキサシラン梱包体中の各金属元素の含有量は、少ないほど得られるシリコン膜は純度が高くなる。
<シリコン膜>
本発明は、前記シリコン膜形成方法により形成されるシリコン膜も包含する。前記シリコン膜形成方法に形成されるシリコン膜は、高速成膜および低温成膜可能であり、高ステップカバレージを達成でき、高純度な膜であるために、薄膜トランジスタや集積回路など半導体や電子デバイス等にアモルファスシリコン、ポリシリコン膜を問わず、これらを必要としている場所に好適に利用することができる。また高ステップカバレージを達成できるため、特に凹凸を有している基板への成膜、トレンチ構造への埋め込み成膜の際にも、好適に利用することができる。
シリコン膜は半導体の薄膜トランジスタの部材として広く用いることができ、また3次元実装のポリシリコン電極など多様な用途が想定される。また電子デバイスとしても太陽電池やディスプレイ部材など幅広い分野で用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実施例1
図1の装置を使ってシリコン膜を形成した。具体的には、まず、シクロヘキサシランを従来公知の方法により製造し、得られたシクロヘキサシラン700mLを、容積1Lの原料タンク1(0.05MPa以上の耐圧性、SUS製)に入れ、原料タンク1の温度を25℃とした。原料タンク1には、原料タンク1のシクロヘキサシラン液面よりも上方に設置された不活性ガス導入ライン3と、原料タンク1の液面下部に入口を有し、原料タンク上部を通じて原料タンク外部の気化器8へ伸びる送出ライン5が設置されていた。バルブ4を開けて不活性ガスの窒素を原料タンク1に導入し、原料タンクをわずかに加圧しつつ、シクロヘキサシランを液体のまま原料タンク外へと圧送した。
また、送出ライン5、6上には、シクロヘキサシランの送出量を制御するための液体流量制御器7が介挿されており、気化器8へのシクロヘキサシラン流量を調節した。気化器8におけるヒーター10により気化室8aの温度を100℃(すなわち噴出口の温度100℃)とし、気化室8aの圧力を0.5kPaとした。気化室8a内に設けられシクロヘキサシランを気化させるための噴出口9からシクロヘキサシランを霧状に噴霧し、気化させたシクロヘキサシランを気化ガス排出口11から排出し、送出ライン12を介して、反応室13に供給してプラズマCVD法にて製膜した。
反応室13には、第一電極(下部電極)14、第二電極(上部シャワー電極)16、ヒーター(図示せず)、基板15が備えられ、それぞれの電極14、16は反応室外部のRF電源(13.56MHz)(図示せず)と接続され、反応室13はアルミニウム製であった。反応室13において、基板温度400℃、キャリアガス(N2)流量1000sccm、シクロヘキサシラン(CHS)流量100sccm、RFパワーが200Wの条件下で、気化したシクロヘキサシランを化学蒸着により基板(ウエハ)上にアモルファスシリコン膜を形成させた(アモルファスシリコン膜の成膜速度100〜110nm/min)。得られたアモルファスシリコン膜は、高速成膜および低温成膜が可能であり、また、シリコン膜は高い純度で、凹凸の有る基板上でも高いステップカバレージを示した。
実施例2
原料タンク1の温度を25℃、気化室8aの温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして、プラズマCVD法によりアモルファスシリコン膜を形成した。その結果、アモルファスシリコン膜形成速度は、90〜100nm/minであったが、得られたシリコン膜は、高速成膜および低温成膜が可能であり、また、アモルファスシリコン膜は高い純度で、凹凸の有る基板上でも高いステップカバレージを示した。
比較例1
原料タンク1の不活性ガス導入ライン3が送出ライン5のように液面下または原料タンク底面まで設置され、一方送出ライン5が不活性ガス導入ライン3のように液面よりも上に設置された原料タンク1において、不活性ガス導入ライン3から不活性ガスを導入し、送出ライン5から不活性ガスと気化したシクロヘキサシランガスを反応室に向けて送出できるように、気化方式をバブリング方式に変更した。原料タンク1の温度を25℃とし、気化器8を設置しないこと以外は、実施例1と同様にしてプラズマCVD法によりアモルファスシリコン膜を形成した。その結果、シクロヘキサシランは、十分に気化されていないために、十分かつ安定な気化シクロヘキサシランを反応室に供給できず、アモルファスシリコン膜を成膜することができなかった。
比較例2
原料タンク1をバブリング方式に変更し、原料タンク1の温度を70℃とした以外は、実施例1と同様にしてプラズマCVD法によりアモルファスシリコン膜を形成した。その結果、原料タンク1内でバブリングした際に送出ライン5、6上でシクロヘキサシランの熱重合により固形物が生成して、配管の詰まりを引き起こした。
比較例3
気化室8aの温度を130℃とした以外は、実施例1と同様にしてプラズマCVD法によりアモルファスシリコン膜を形成した。その結果、気化器8の噴出口9にシクロヘキサシランの固形物が付着し、得られたアモルファスシリコン膜にも異物が含まれていた。
本発明によれば、化学蒸着法により高速成膜、低温成膜および高ステップカバレージが可能であるシリコン膜形成技術を提供することができ、また、高純度なシリコン膜形成技術を提供することができる。
得られたシリコン膜は、半導体の薄膜トランジスタの部材として広く用いることができ、また3次元実装のポリシリコン電極など多様な用途が想定される。また電子デバイスとしても太陽電池やディスプレイ部材など幅広い分野で用いることができる。
1:原料タンク
2:シクロヘキサシラン
3:不活性ガス導入ライン
4:バルブ
5、6:送出ライン
7:液体流量制御器
8、24:気化器
8a:気化室
9、20:噴出口
10、21:ヒーター
11、23:気化ガス排出口
12:送出ライン
13:反応室
14:第一電極
15:基板
16:第二電極
17:真空ポンプ
18:第一気化室
19:第二気化室
22:キャリアガス導入ライン

Claims (8)

  1. 原料タンクに収容したシクロヘキサシランを送出ラインを通じて気化器に向けて送出し、気化器でシクロヘキサシランを気化させ、反応室で気化したシクロヘキサシランを化学蒸着によりシリコン膜にするシリコン膜形成方法であって、前記送出ラインにおいて、加圧不活性ガスでシクロヘキサシランを圧送または吸引により、シクロヘキサシランが原料タンクから気化器へ送り出され、
    前記気化器において、送出ラインからのシクロヘキサシランは、気化室内に設けられた噴出口、温度および/または圧力調節可能な気化室、および気化ガス排出口を通過して気化され、前記噴出口の温度が、100℃以下に維持され、前記気化室の圧力が、5kPa未満に維持されることを特徴とする、シリコン膜形成方法。
  2. 前記原料タンクの温度が、50℃以下に維持される請求項1に記載の方法。
  3. 前記原料タンクの材質が、光不透過性の高強度安定材料であり、耐圧性0.05MPa以上を有する請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記送出ラインに介挿される液体流量制御器により、シクロヘキサシランの送出量が制御される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記噴出口によって、シクロヘキサシランが微粒子状または霧状に噴出される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記化学蒸着が、低圧CVD法またはプラズマCVD法である請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  7. モノシランガスとシクロヘキサシランガスとを反応室に供給してシリコン膜が形成される請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  8. シクロヘキサシランを収容するための原料タンクと、前記原料タンクに連結し前記シクロヘキサシランを液体のまま前記原料タンクから送り出すための送出ラインと、前記送出ラインに接続し、シクロヘキサシランを気化するための気化器と、気化したシクロヘキサシランを化学蒸着によりシリコン膜にするための反応室とを有し、前記送出ラインにおいて、加圧不活性ガスでシクロヘキサシランを圧送または吸引により、シクロヘキサシランが原料タンクから気化器へ送り出され、
    前記気化器において、送出ラインからのシクロヘキサシランは、気化室内に設けられた噴出口、温度および/または圧力調節可能な気化室、および気化ガス排出口を通過して気化され、前記噴出口の温度が、100℃以下に維持され、前記気化室の圧力が、5kPa未満に維持されることを特徴とする、シリコン膜形成装置。
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