JP6274573B2 - カルボン酸並びにケトン及び/又はアルコールの製造方法 - Google Patents

カルボン酸並びにケトン及び/又はアルコールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カルボン酸並びにケトン及び/又はアルコールの製造方法に関する。
炭化水素化合物を分子状酸素で酸化し、対応するケトン及び/又はアルコールを製造する方法は古くからよく知られている。特にシクロヘキサンの酸化によって得られるシクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールは、ナイロン6及びナイロン6,6の原料として極めて重要な化合物である。
炭化水素化合物の分子状酸素による酸化は、対応するハイドロパーオキサイドを経由して進行する。一般に、炭化水素化合物からハイドロパーオキサイドへの酸化反応の選択率は高い。しかしながら、ハイドロパーオキサイドの分解の際には、いろいろな副生物が生成するため、選択率が低下する。この選択率の低下を防止するために、酸化反応を転化率が低い段階で終了し、ハイドロパーオキサイドが分解せず残存している状態で酸化反応液を次工程に送り、ハイドロパーオキサイドを高選択率で分解する方法が一般的に採用されている。
ところが、酸化反応を転化率が低い段階で終了しても、副生物の生成は避けられない。副生物としては、例えば、原料及び目的物とは異なる種々の炭化水素、アルコール、ケトン、パーオキサイド、アルデヒド、エステル、カルボン酸、各種縮合物、一酸化炭素、及び二酸化炭素が挙げられる。これらの副生物の中で特に生成量の多いものは、カルボン酸及びエステルである。
これらの副生物のうち、カルボン酸の中には、工業的に利用価値のある有用な化合物が含まれている。例えば、シクロヘキサンの酸化の際に副生するアジピン酸は、ナイロン6,6の原料として有用である。また、アジピン酸を水素化して得られる1,6−ヘキサンジオールは、ポリエステル及びポリウレタンの原料として有用な化合物である。これら利用価値のあるカルボン酸等を酸化反応液から分離し、別途有価物を製造することは、副生物の有効利用として価値がある。
酸化反応液中のカルボン酸を分離・取得する方法は二つに大別される。ひとつはアルカリ水溶液で酸化反応液を中和し、カルボン酸塩として水相に抽出する方法である。もうひとつは水で抽出して(以下「水抽出工程」という)、カルボン酸のままで取得する方法である。前者は抽出率は高いものの、鉱酸等のカルボン酸より強い酸を加えてカルボン酸を遊離させ、再度抽出分離する必要がある。そのため、前者の方法は、工程が複雑で収率が低い。また、この方法では、鉱酸等の副原料が必要となる。それゆえ、一般に、後者の方法が工業的に採用されている。
後者のプロセスにおいては、カルボン酸を含む水溶液は、濃縮及び脱水された後、アルコールを加えてエステル化される。その後、水素化及び蒸留精製を経て、1,6−ヘキサンジオール等の有価ジオールが取得される。水素化の際に生成したアルコールは、エステル化工程にリサイクルすることができる。
また、濃縮及び脱水の際に回収された水は、水抽出工程にリサイクルしてもよい(以下、回収及びリサイクルされる水を「循環水」という)。リサイクルの目的は、水の有効利用と、水抽出の際に水相に溶解したシクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノール等の目的生成物の回収である。
特表2011−512339号公報 特表2012−512876号公報
本発明の目的は、ケトン及び/又はアルコールを高収率で製造する方法を提供することである。
本発明の一側面によると、炭化水素化合物を分子状酸素で酸化して得られる酸化反応液と水とを混合し、ハイドロパーオキサイドを含んだ油相とカルボン酸を含んだ水相とに分液する工程と、前記水相を濃縮してカルボン酸を含んだ濃縮液を得ると共に水を回収する工程と、前記濃縮工程で回収した水中のカルボン酸を除去する工程と、前記カルボン酸が除去された水を前記分液工程に再利用する工程と、前記油相中の前記ハイドロパーオキサイドをケトン及び/又はアルコールに分解する工程とを含んだカルボン酸並びにケトン及び/又はアルコールの製造方法が提供される。
本発明によると、ケトン及び/又はアルコールを高収率で製造することが可能となる。
一般に、ハイドロパーオキサイドは、酸又はアルカリによって分解される。ハイドロパーオキサイドのうち、脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素から得られるハイドロパーオキサイドに関しては、アルカリによる分解では、比較的高い選択率で対応するケトン及び/又はアルコールが得られる。しかしながら、酸による分解での選択率は低い。前述の如く、水抽出工程ではハイドロパーオキサイドは酸性条件下で分解されるため、その分解選択率は低い。したがって、水抽出工程でのハイドロパーオキサイドの分解は、できるだけ避けなければならない。
酸性条件下でのハイドロパーオキサイドの分解速度は、水相の水素イオン濃度に依存する。水抽出工程にリサイクルされる循環水中には、水と沸点が近接したカルボン酸が水と共沸し濃縮されるため、循環水は強い酸性を示す。したがって、これらの酸を中和し、水素イオン濃度を下げる(即ちpHを上げる)ことによって、ハイドロパーオキサイドの分解が抑制されると推測される。
しかしながら、本発明者らが鋭意検討を行った結果、循環水中のカルボン酸を中和しても、ハイドロパーオキサイドの分解は抑制されず、むしろ加速されることが判明した。
すなわち、本発明者らは、水抽出工程におけるハイドロパーオキサイドの分解を防止するためには、水素イオンだけでなくカルボン酸アニオンも除去する必要があることを発見し、本発明を完成するに到った。
以下、本発明の態様について、詳細に説明する。
本発明で用いる炭化水素化合物の構造には特に制約はない。本発明で用いる炭化水素化合物としては、例えば、鎖状の飽和炭化水素、鎖状の不飽和炭化水素、環状の飽和炭化水素、環状の不飽和炭化水素が挙げられる。
鎖状の飽和炭化水素としては、炭素原子数3〜10の鎖状の飽和炭化水素が好ましい。炭素原子数3〜10の鎖状の飽和炭化水素の具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどが挙げられる。
鎖状の不飽和炭化水素としては、炭素原子数3〜6の鎖状の不飽和炭化水素が好ましい。炭素原子数3〜6の鎖状の不飽和炭化水素の具体例としては、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセンなどが挙げられる。
環状の飽和炭化水素としては、炭素原子数5〜12の環状の飽和炭化水素が好ましい。炭素原子数5〜12の環状の飽和炭化水素の具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカンなどが挙げられる。
環状の不飽和炭化水素としては、炭素原子数5〜12の環状の不飽和炭化水素が好ましい。炭素原子数5〜12の環状の不飽和炭化水素の具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロウンデセン、シクロドデセン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロドデカジエン、シクロドデカトリエン等の側鎖を有する若しくは有しない脂肪族環状不飽和炭化水素;トルエン、キシレン等の側鎖を有する芳香族炭化水素が挙げられる。
これらの炭化水素化合物の例示は、その構造異性体を含む。また、これらの炭化水素化合物は、置換基を有していても差し支えない。置換基としては、アルキル基、アリール基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。なお、置換された炭化水素化合物全体の炭素原子数が上記の範囲内であることがより好ましい。
これらの炭化水素化合物の中で特に工業的に重要な炭化水素化合物としては、シクロヘキサン、シクロドデカン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
本発明で用いる炭化水素化合物は、分子状酸素により酸化されて、その炭化水素化合物と炭素数が同数であるアルコール、ケトン、及びハイドロパーオキサイドの少なくとも1つとなる。アルコール及び/又はケトンはさらに酸化されてカルボン酸が生成する。副生するカルボン酸の炭素数は前記炭化水素化合物と同数の場合が多いが、脱炭酸、脱CO反応によって、前記炭化水素化合物より炭素数の少ないカルボン酸も生成する。
例えば、炭化水素化合物がシクロヘキサンの場合、アルコールはシクロヘキサノール、ケトンはシクロヘキサノン、ハイドロパーオキサイドはシクロヘキシルハイドロパーオキサイドであり、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、1−オキシカプロン酸等が副生する。
炭化水素化合物の分子状酸素による酸化は、コバルト等の遷移金属を触媒に用いて行ってもよく、触媒を用いないで行ってもよい。酸化反応の温度は炭化水素化合物のC−H結合の結合エネルギーや触媒の有無等によって異なるが、一般的に100〜180℃、より一般的には120〜170℃で行われる。温度が低すぎる場合、酸化反応が十分な速度で進行せず、長大な酸化反応槽が必要になるなど生産性が悪くなることがある。反応温度が高すぎると所望の生成物の選択率が低下することがある。酸化工程は、一般的に、炭化水素化合物の蒸気圧より0.01〜1MPa高い加圧下で行われる。
水抽出工程は、酸化反応液と循環水を混合し、カルボン酸等の水溶性副生物を水相に抽出後、両相を分離する工程である。循環水の酸化反応液に対する割合はカルボン酸等の水溶性副生物を水相に抽出するために十分な量であれば特に制約されないが、0.1容量%以上50容量%以下が好ましく、1容量%以上30容量%以下がより好ましい。循環水の割合が過少の場合、カルボン酸等の水溶性副生物を十分に水相抽出できないことがある。
循環水の割合が過多の場合、循環水の回収に多大なエネルギーが必要となることがある。
水抽出工程の温度は、酸化工程の温度と同じであってもよく、酸化工程の温度と異なっていてもよい。後者の場合、例えば、抽出率の向上及びハイドロパーオキサイドの分解防止等の目的で、酸化反応液を冷却し低温化しても差支えない。水抽出工程の温度は、一般的に100℃〜170℃であり、好ましくは120〜165℃が採用される。温度が高すぎる場合、水抽出工程においてハイドロパーオキサイドが分解することがある。温度が低すぎる場合、ハイドロパーオキサイド分解工程排出液中にハイドロパーオキサイドが残存したり、エステル分解工程でエステルの加水分解が十分に進行しない場合がありうる。なお、上記問題を回避するため、水抽出工程排出液を加熱することもできるが、この場合、ハイドロパーオキサイドの熱分解を誘発し、最終的なアルコール及び/又はケトンの選択率が低下する可能性がある。
水抽出の装置には特に制約はない。水抽出は、例えば、多孔板抽出塔、回転円板抽出塔、脈動多孔板塔、振動プレート塔等の抽出塔を用いて、水抽出と分液操作をひとつの装置内で行ってもよい。あるいは、水抽出部分と分液部分とが分離された装置を用いても差支えない。後者の場合、水抽出部分には、例えば攪拌混合槽、スタティックミキサー等が用いられ、分液部分には例えばセトラー、遠心分離装置、液体サイクロン等が用いられる。これらの中でスタティックミキサーとセトラーの組合せは最もシンプルで簡便な装置である。また、セトラー内にコアレッサー等の分液を促進するパーツを内装させても差支えない。分液工程の温度は水抽出工程の温度と異なっても差し支えないが、同温度であることが一般的である。
水抽出工程及び分液工程の滞留時間はそれぞれの装置によって異なるが、両工程併せた滞留時間で、1分以上60分以下であることが好ましく、1分以上30分以下であることがより好ましい。滞留時間が短すぎる場合、油相と水相の分離が不十分となることがある。滞留時間が長すぎる場合、長大な装置が必要となる。
水抽出工程では、主に、二価カルボン酸、オキシカルボン酸、炭素鎖の短い一価カルボン酸が抽出される。例えば、炭化水素化合物がシクロヘキサンの場合、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、1−オキシカプロン酸等が抽出される。水抽出及び分液工程から排出された油相は、次工程であるハイドロパーオキサイド分解工程に送られる。
ハイドロパーオキサイドの分解は、バナジウム、モリブデン、クロム、ルテニウム、コバルト等の遷移金属触媒を用いて行っても差支えないが、アルカリ水溶液と接触させて分解する方法は、任意の次工程であるエステル分解工程と併せて、単一の工程に簡素化することも可能である(以下、ハイドロパーオキサイド分解工程とエステル分解工程とを併せて「ケン化工程」という)。
ケン化工程で用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物水溶液、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物水溶液、並びに炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩水溶液が好適に用いられる。これらのアルカリは単独で用いても、混合して用いても差支えない。
アルカリの使用量は、分液工程から排出されるカルボン酸及びエステルの合計量の当量以上であれば、特に制約されないが、好ましくは1.05倍当量以上10倍当量以下、より好ましくは1.15倍以上3倍当量以下である。アルカリ使用量が過少の場合、エステルが残存しケトン及び/又はアルコールの収率が低下することがある。アルカリ使用量が過多の場合、アルカリが浪費される。
一般的に、分液工程とハイドロパーオキサイド分解工程及びエステル分解工程との間には、特段の過熱又は冷却装置を設けない。したがって、水抽出、分液、ハイドロパーオキサイド分解、エステル分解の各工程は、同温度で行われるか、又は、ハイドロパーオキサイドの分解熱のために、ハイドロパーオキサイド分解及びエステル分解工程が、水抽出及び分液工程より若干高い温度で行われてもよい。後者の場合、ハイドロパーオキサイド分解及びエステル分解工程は、一般的に、水抽出及び分液工程より5℃〜30℃高い温度で行われる。
なお、上述した通り、ハイドロパーオキサイド分解工程とエステル分解工程とは、単一工程として行ってもよく、別工程として行ってもよい。後者の場合、触媒を用いてハイドロパーオキサイド分解してもよい。
一方、水抽出及び分液工程から排出された水相は、濃縮工程で濃縮され、カルボン酸を含んだ濃縮液と水とに分離される。即ち、この工程により、有価なカルボン酸が取得される。本工程における濃縮温度及び圧力は、水が蒸発する条件であれば特に制約されないが、通常は常圧下100℃以上130℃以下で行われる。
濃縮工程で濃縮されたカルボン酸濃縮液は、有価なカルボン酸を含んでいる。このカルボン酸は、適宜、反応及び精製工程に供され、別の有用な化合物が製造される。例えば、シクロヘキサンの空気酸化の際に生成したアジピン酸及びオキシカプロン酸を含むカルボン酸濃縮液からは、エステル化反応及び水素化反応を経て、1,6−ヘキサンジオールが製造される。
濃縮工程で回収された循環水は、前記水抽出工程にリサイクルされる。循環水中には、水と沸点が近接しており水と共沸し得るカルボン酸が含まれている。例えば、循環水中には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等が含まれ得る。ハイドロパーオキサイドの分解は酸によって加速される。上述した通り、酸によるハイドロパーオキサイドの分解では、所望のケトン及び/又はアルコールの選択率は、アルカリ又は触媒による分解に比べて低い。そのため、循環水中の酸は中和されなければならない。しかも、上述した通り、本発明者らは、酸が有機酸の場合、水素イオンのみならず、有機酸根自体がハイドロパーオキサイドの分解を促進するため、循環水からは、水素イオンのみならず、有機酸根自体も除去する必要があることを見出した。即ち、本発明者らは、循環水中におけるカルボン酸の除去を行うことが、所望のケトン及び/又はアルコールの高収率化に大きく寄与することを見出した。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、カルボン酸の「除去」とは、上記水中のカルボン酸濃度を50mmol/L以下まで低減することを意味している。
循環水中のカルボン酸の除去方法には特に制限はない。最も簡便な方法である蒸留精製も利用可能であるが、ギ酸及び酢酸等が水と共沸することがある。上記除去工程では、カルボン酸をアルカリで中和後、水を蒸留精製する方法を用いてもよい。或いは、分離膜を用いて水を精製する方法を用いてもよい。工業的に最も簡便な方法は、イオン交換樹脂を用いて精製する方法である。
イオン交換樹脂としては、一般的に、アニオン交換樹脂を用いる。再生の容易さを考慮すれば、弱塩基性アニオン交換樹脂が好適に用いられる。この弱塩基性アニオン交換樹脂としては、例えば、ポリアミン又はジメチルアミンを交換基に有するものを使用することができる。なお、イオン交換樹脂による処理温度は、イオン交換樹脂の耐熱性によって制約を受ける。弱塩基性アニオン交換樹脂の場合、通常は100℃以下、強塩基性アニオン交換樹脂の場合、通常は60℃以下で使用される。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<水抽出工程でのハイドロパーオキサイドの分解におけるカルボン酸除去の効果>
[実施例1]
ギ酸1重量%水溶液(pH 2.2)を準備した。これを弱塩基性イオン交換樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンWA20)を充填したカラムに、60℃及び空塔速度1.5(1/h)で通液し、ギ酸の除去を行った。カラムからの流出液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、ギ酸は検出されず、pHは6.6であった。
1Lのオートクレーブに前記イオン交換処理水211gとシクロヘキサン383gを加えた。これを160℃に加熱後、10重量%のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドのシクロヘキサン溶液36.2gを圧入し、1時間反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は54.4%、シクロヘキサノン選択率は24.1%、シクロヘキサノール選択率は41.5%であった。
[比較例1]
イオン交換樹脂処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解を行った。シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は99.8%、シクロヘキサノン選択率は22.0%、シクロヘキサノール選択率は38.0%であった。
[比較例2]
ギ酸水溶液を水酸化ナトリウムで中和してpHを7.2に調整したこと以外は比較例1と同様にして、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解を行った。シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は100%、シクロヘキサノン選択率は20.8%、シクロヘキサノール選択率は35.8%であった。
<循環水中のカルボン酸除去の効果>
[実施例2]
500mlのSUS316L製オートクレーブに、シクロヘキサン250g、0.1重量%のオクチル酸コバルトのシクロヘキサン溶液293mg(Co金属として0.2重量ppm)を加え、ガス吹込みノズルから窒素を導入しながら、内部温度を157℃に加熱した。内部温度が157℃に達した後、吹込みガスを空気に切り替え、1L/分の速度で空気を吹込みながら、21分間シクロヘキサンの酸化反応を行った。当該バッチ反応を10バッチ行い、酸化反応液を得た。酸化反応でのシクロヘキサン転化率は4.2%、シクロヘキサノン選択率は19.4%、シクロヘキサノール選択率は41.6%、シクロヘキシルパーオキサイドの選択率は16.3%であり、アジピン酸選択率は1.7%、オキシカプロン酸選択率は3.1%であった。
当該酸化反応液に350gの水を加えて攪拌後、これを分液して、抽出水を分取した。抽出水をボトム温度100℃から120℃の温度で単蒸留し、釜残中水分が3重量%となるまで濃縮し、循環水を得た。循環水を液体クロマトグラフィーで分析した結果、ギ酸1.02重量%、酢酸0.33重量%、プロピオン酸0.04重量%、酪酸0.03重量%が含まれており、pHは2.17であった。この循環水に対し、実施例1と同様にイオン交換樹脂処理を行った。その結果、イオン交換処理水中には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸は検出されず、pHは6.59であった。
一方、前記酸化反応液を約10倍に濃縮し、シクロヘキサノン12.52重量%、シクロヘキサノール27.40重量%、シクロヘキシルハイドロパーオキサド12.45重量%を含有する酸化濃縮液を取得した。1Lのオートクレーブにシクロヘキサン440g、前記イオン交換処理水70gを加えて160℃に加熱後、前記酸化濃縮液45gを圧入して5分間攪拌して反応を行い、分液した。分離された油相は約10倍に濃縮され、新たなイオン交換処理水を用いて同様の反応操作を繰り返した。合計3回反応分液操作を繰り返した後、油相及び水相のガスクロマトグラフィー分析を行った結果、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド分解率は37.6%、シクロヘキサノン選択率24.7%、シクロヘキサノール選択率42.5%であった。一方、水相中のアジピン酸及びオキシカプロン酸について液体クロマトグラフィーを用いて定量分析を行った結果、アジピン酸抽出率は82.5%、オキシカプロン酸抽出率は81.9%であった。
分離された油相は再度10倍に濃縮し、シクロヘキサン400gと17重量%炭酸ナトリウム水溶液80gとを混合しあらかじめ160℃に加熱した混合液に圧入し、60分間同温度で攪拌した。これにより、残存するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解とエステルの加水分解とを同時に行った(ケン化処理)。分液後、油相及び水相のガスクロマトグラフィー分析を行った結果、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は100%で、酸化反応液中のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを基準にしたシクロヘキサノン選択率は44.4%、シクロヘキサノール選択率は34.3%であった。
[比較例4]
イオン交換樹脂処理を行わなかった以外は実施例3と同様な実験操作をおこなった。水抽出操作後のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は60.3%、シクロヘキサノン選択率は22.5%、シクロヘキサノール選択率は39.3%であり、アジピン酸抽出率は81.9%、オキシカプロン酸抽出率は80.5%であった。また、ケン化処理後のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解率は100%、酸化反応液中のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを基準にしたシクロヘキサノン選択率は37.9%、シクロヘキサノール選択率は35.3%であった。
以上の結果を以下の表1にまとめる。表1から明らかな通り、循環水からカルボン酸を除去することにより、所望のケトン及び/又はアルコールの高収率化を達成することができた。

Claims (5)

  1. 炭化水素化合物を分子状酸素で酸化して得られる酸化反応液と水とを混合し、ハイドロパーオキサイドを含んだ油相とカルボン酸を含んだ水相とに分液する工程と、
    前記水相を濃縮してカルボン酸を含んだ濃縮液を得ると共に水を回収する工程と、
    前記濃縮工程で回収した水中のカルボン酸をイオン交換樹脂処理を行なうことによって除去する工程と、
    前記カルボン酸が除去された水を前記分液工程に再利用する工程と、
    前記油相中の前記ハイドロパーオキサイドをケトン及び/又はアルコールに分解する工程と
    を含んだカルボン酸並びにケトン及び/又はアルコールの製造方法。
  2. 前記油相はカルボン酸エステルを更に含み、前記方法は前記カルボン酸エステルをカルボン酸とアルコールとに加水分解する工程を更に含んでいる請求項1に記載の方法。
  3. 前記ハイドロパーオキサイドの分解工程と前記カルボン酸エステルの分解工程とを前記油相とアルカリ水溶液とを接触させることにより単一工程として行う請求項2に記載の方法。
  4. 前記イオン交換樹脂はアニオン交換樹脂である請求項1に記載の方法。
  5. 前記ハイドロパーオキサイドがシクロヘキシルハイドロパーオキサイドであり、ケトンがシクロヘキサノンであり、アルコールがシクロヘキサノールである、請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。

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