JP6273839B2 - 積層体及び光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は積層体に関する。詳しくは、本発明は、層間密着性、表面保護性能、光学特性等に優れた積層体、及び該積層体からなる光学フィルムに関する。
従来より、プラスチックフィルム等の基材表面に、耐磨耗性や耐擦傷性等といった表面保護性能を付与する目的で、ハードコート処理が行われている。殊に、液晶等に代表されるディスプレイ用部材に用いられる透明プラスチックフィルムの需要が伸びると共に更なる表面保護性能の向上が求められている。
これら透明プラスチックフィルムとしては、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート等が多く用いられているが、昨今のディスプレイの高性能化に伴い、より光学特性に優れたシクロオレフィンポリマー基材の需要が伸びてきている。しかしながら、これらシクロオレフィンポリマー基材は、もともと低極性の樹脂であるが故に、他のプラスチック基材に比べハードコート層との密着性が悪いという欠点がある。
このような密着性の問題に対し、例えばシクロオレフィンポリマー基材と同じ低極性材料であるポリジエン系化合物を用いることで、密着性良好な膜を得ることができることが知られている。しかしながら、ポリジエン系化合物は柔軟な膜であり、所謂ハードコーティングという意味では表面硬度が不十分であった。同様に、シクロオレフィンポリマー基材への密着性を付与するために特定の脂環構造を有する化合物を用いる検討も進められてはいるが、こちらについても表面硬度という点では満足のいくものは得られていない(例えば、特許文献1参照)。
また、シクロオレフィンポリマー系高分子フィルムについては、重合開始剤により密着性を発現する技術が種々検討され、具体的には、特許文献2〜5に記載されているような研究がなされている。特許文献2には、シクロオレフィンポリマー基材用コート剤に適した、ベンゾフェノンのような水素原子を引き抜く性能を有する重合開始剤と脂肪族三級アミンからなる重合開始剤が記載されている。特許文献3には、シクロオレフィンポリマー基材用コート剤に適した、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィドのような
水素原子を引き抜く性能を有するベンゾフェノン構造と、光照射でラジカルを発生する官能基とを一つの分子内に有する重合開始剤を用いたものが記載されている。特許文献4には、シクロオレフィンポリマー基材用コート剤に適した、ポリベンゾフェノンのように、ベンゾフェノン構造を複数有し水素原子を引き抜く性能を有する重合性開始剤を用いたものが記載されている。特許文献5には、シクロオレフィンポリマー基材用コート剤に、α−ヒドロキシフェニルケトンのような重合開始剤とホスフィンオキシド系重合開始剤の併用が有効であることが記載されている。
特開平10−310621号公報 特開2002−356505号公報 特開2002−275392号公報 特開2004−305863号公報 特開2010−229168号公報
本発明者の詳細な検討により、上記特許文献1〜5は以下のような問題点があることが見出された。まず、特許文献1のような脂環構造を有する化合物を用いる場合、通常、脂環構造を有する化合物を多量に配合(例えば、組成物全体に対して50重量%以上配合)する必要があり、該化合物がシクロオレフィンポリマー基材表面を溶解したり膨潤したりするために、塗布外観(透明性の低下等)、密着耐久性等に大きな問題点がある。特許文献2で用いられているような重合開始剤を用いた場合、硬化性組成物溶液の安定性に劣り、かつ塗膜の耐傷付き性が低いという問題点がある。特許文献3や特許文献4において用いられているような重合開始剤は長波長領域に吸収を有するため、活性エネルギー線により硬化性組成物を硬化した際に着色を起こしてしまうという問題がある。また、特許文献5において用いられている重合開始剤は、接着剤用途コート剤組成物のように、表面硬度が低いコート剤組成物の硬化促進のために用いる場合には密着性を有するが、高い表面硬度を有するような組成物では密着性に劣り、実用に供するのは難しいという問題点がある。
本発明は上記特許文献1〜5において挙げた問題点を解決することを目的とするものである。即ち、本発明の課題は、シクロオレフィンポリマー基材とハードコーティング層との間での層間密着性、表面保護性能(表面硬度、耐傷付き性等)、光学特性(透明性、低着色性等)等に優れた積層体及び該積層体からなる光学フィルムを提供することにある。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[11]に存する。
[1]下記層(A)及び層(B)からなる積層体。
層(A):シクロオレフィンポリマーからなる層
層(B):ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)、ベンゾフェノン系化合物(B−2)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)を含む硬化性組成物からなる層であって、
前記ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)が、ジフェニルスルフィド、アルキル置換ジフェニルスルフィド、アルケニル置換ジフェニルスルフィド、アルコキシ置換ジフェニルスルフィド、ヒドロキシ置換ジフェニルスルフィド、アルキルケト置換ジフェニルスルフィド、アルキルチオ置換ジフェニルスルフィド、アルケニルチオ置換ジフェニルスルフィド、エステル置換ジフェニルスルフィドから選ばれる1種又は2種以上である。
[2] 前記硬化性組成物が(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)を0.1〜10重量部、ベンゾフェノン系化合物(B−2)を0.1〜10重量部含む、[1]に記載の積層体。
[3] [ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)の重量]:[ベンゾフェノン系化合物(B−2)の重量]が、1:10〜1:1である、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] (メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)として、シクロアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、シクロアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート、アルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート及びシクロアルキレン基を有するウレタン(メタ)アクリレートからなる群のうちの少なくとも1つを含む、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5] 前記硬化性組成物が有機溶剤を含む、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6]前記有機溶剤として、脂肪族ケトン、脂肪族エステル及び脂肪族エーテルからなる群のうちの少なくとも1つを含む、[5]に記載の積層体。
[7] 前記硬化性組成物が、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)及びベンゾフェノン系化合物(B−2)以外の重合開始剤(その他の重合開始剤)を含み、該その他の重合開始剤の含有量が、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)及びベンゾフェノン系化合物(B−2)の合計100重量部に対し、0.5〜80重量部である、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の積層体。
[8] 前記硬化性組成物がシラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物を含み、かつ該シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物の含有量が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し1〜30重量部である、[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の積層体。
[9] 前記硬化性組成物が平均一次粒子径100nm以下の無機粒子を含み、該無機粒子の含有量が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、1〜30重量部である、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の積層体。
[10] 前記硬化性組成物を硬化させてなる、[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の積層体。
[11] [1]乃至[10]のいずれか1つに記載の積層体からなる光学フィルム。
本発明によれば、層間密着性、表面硬度、耐傷付き性等の表面保護性能、透明性、低着色性等の光学特性に優れた積層体、及び該積層体からなる光学フィルムが提供される。
以下において、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、以下に記載する説明は本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変更して実施することができる。なお、本発明において、「〜」と記載した場合、その前後の数値又は物性値を下限値又は上限値として含む意味で使用されるものとする。また、本発明において、「(メタ)アクリロイル基」という表記は「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を含む意味で用いることとし、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等も同様にして用いることとする。
(積層体)
本発明の積層体は、下記層(A)及び層(B)からなる。
層(A):シクロオレフィンポリマーからなる層
層(B):ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)、ベンゾフェノン系化合物(B−2)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)を含む硬化性組成物からなる層
なお、本発明においては、ベンゾフェノン系化合物(B−2)と解されうるもののうち、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)に該当するものは、ベンゾフェノン系化合物(B−2)とはみなさず、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)とみなすこととする。また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)と解されるもののうち、ジフェニスルフィド系化合物(B−1)に該当するものは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)とはみなさず、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)とみなすこととする。更に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)と解されるもののうち、ベンゾフェノン系化合物(B−2)に該当するものは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)とはみなさず、ベンゾフェノン系化合物(B−2)とみなすこととする。
本発明の積層体は、層間密着性、表面の硬化性、透明性、耐傷付き性に優れるという効果を奏する。本発明がこれらのような効果を奏する理由は定かではないが、次のような理由によるものと推定される。
ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)はベンゾフェノン系化合物(B−2)と相互
作用し、それぞれの重合開始剤としての活性を高めるため硬化性に寄与するものと考えられる。また、とりわけベンゾフェノン系化合物(B−2)がシクロオレフィンポリマーからなる層(A)から水素を引き抜く活性を高め、層(A)の表面に生じたラジカルと(メタ)アクリル基を有する化合物(B−3)から生じたラジカルとが反応し、層間密着性を高めるものと考えられる。また、ベンゾフェノン系化合物(B−2)が、基材から水素原子を引き抜く活性が高いだけはなく、表面の硬化性にも優れるため、層間密着性、耐傷つき性の向上にも寄与するものと考えられる。更に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)は層(A)のシクロオレフィンポリマーと溶解度パラメータが近い化合物であるために層間密着性がさらに向上すると共に、(メタ)アクリロイル基を有するため、表面の硬化性や耐傷つき性が更に向上するものと考えられる。また、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)とベンゾフェノン系化合物(B−2)とは相溶性が高く、同時に、それぞれ(メタ)アクリル基を有する化合物(B−3)との相溶性が高く、また、それぞれ単独では、400nm以上の可視光吸収も小さく、結果として、無色かつ透明性に優れるために層(B)が透明となり、層(A)のシクロオレフィンポリマーの透明性と相俟って積層体全体として透明性に優れたものになるものと考えられる。
〔層(A)〕
本発明の積層体は、層(A)のシクロオレフィンポリマーからなる層を有する。シクロオレフィンポリマーは透明性に優れるものである。
[シクロオレフィンポリマー]
本発明の積層体において、層(A)に用いるシクロオレフィンポリマーは、シクロオレフィンを原料として得られるポリマーであり、例えば、シクロオレフィンモノマーを開環重合、付加重合、メタセシス重合等により得ることができるポリマーであり、例えば、特開平1−168725号公報、特開平1−190726号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報、特開平4−63807号公報等に開示されている公知のポリマーである。シクロオレフィンポリマーの代表的なものとしては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンとの付加型共重合体等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ノルボルネン、そのアルキル置換体、アルキリデン置換体、芳香族置換誘導体、及びこれらの置換又は非置換のノルボルネンのハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置換体等がある。これらの具体例としては、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−オクタデシル−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
また、ノルボルネン系単量体としては、(1)ノルボルネンに一つ以上のシクロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−2,3−シクロペンタジエノオクタヒドロナフタレン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペンタジエノアントラセン等、(2)シクロペンタジエンの多量体である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等、(3)シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付
加物、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン等が挙げられる。
本発明で使用する層(A)のシクロオレフィンポリマーの数平均分子量は、トルエン溶媒を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により測定したポリスチレン換算値として求めることができる。層(A)のシクロオレフィンポリマーの数平均分子量は通常、10,000〜200,000であり、好ましくは15,000〜100,000であり、より好ましくは20,000〜50,000である。
層(A)のシクロオレフィンポリマーは結晶性を有するものであっても、非晶性であるものであってもよいが、透明性が優れるため非晶性であるものが好ましい。非晶性のシクロオレフィンポリマーとしては、特に、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、特に好ましくは130℃以上であるものが好適である。層(A)のシクロオレフィンポリマーのガラス転移温度が上記下限値以上であると、成形品の耐熱性、特に耐熱変形性が向上する傾向にあるために好ましい。また、層(A)のシクロオレフィンポリマーのガラス転移温度の上限は特に制限されないが、200℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が200℃以下であるとフィルム形成時、着色や分子量変化等が起こりにくいために好ましい。
市販されているシクロオレフィンポリマーとしては、たとえば、日本ゼオン社製ゼオネックス(登録商標)、JSR社製アートン(登録商標)、三井化学社製アペル(登録商標)、ポリプラスチックス社製トパス(登録商標)等をあげることができる。これらのような市販のシクロオレフィンポリマーを例えば、フィルム形状に成形して層(A)として用いることができる。このようにフィルムとするための成形方法としては特に限定されず、一般の熱可塑性樹脂の成形方法を採用することができる。例えば、射出成形、溶融押出成形、熱プレス成形、溶剤キャスト成形、延伸等の各種成形法を利用することができる。
また、層(A)は市販されているシクロオレフィンポリマーフィルムをそのまま使用してもよい。市販されているシクロオレフィンポリマーフィルムとしては、たとえば、日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標)、JSR社製アートン(登録商標)フィルム、グンゼ社製Fフィルム等を挙げることができる。
〔層(B)〕
本発明の積層体において、層(B)はジフェニルスルフィド系化合物(B−1)、ベンゾフェノン系化合物(B−2)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)を含む硬化性組成物からなる層である。
[硬化性組成物]
<ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)>
本発明で使用するジフェニルスルフィド化合物(B−1)は、2個のベンゼン環がスルフィド(チオエーテル)結合を介して連結されている化合物あれば、特に限定されない。
ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)としては、例えば、ジフェニルスルフィド;4−メチルジフェニルスルフィド、4−t-ブチルジフェニルスルフィド等のアルキル置
換ジフェニルスルフィド;4−アリルジフェニルスルフィド、4−メタリルジフェニルスルフィド等のアルケニル置換ジフェニルスルフィド;2−メトキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジメトキシジフェニルスルフィド等のアルコキシ置換ジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド(チオジフェノール)、2,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のヒドロキシ置換ジフェニルスルフィド;4−アセトジフェニルスルフィド等のアルキルケト置換ジフェニルスルフィド;4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のアリールケト置換ジフェニルスルフィド;4,4’−ジビニルチオジフェニルスルフィド、4−メチルチオジフェニルスルフィド等のアルキルチオ置換ジフェニルスルフィド又はアルケニルチオ置換ジフェニルスルフィド;4,4’−ジアセトキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジメタクリロイルチオジフェニルスルフィド等のエステル置換ジフェニルスルフィド(ベンゼン環上の炭素原子に対し、エステル結合の酸素原子が結合したもの)又はチオエステル置換ジフェニルスルフィド等が挙げられる。以上に挙げたジフェニルスルフィド系化合物(B−1)は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上に挙げたジフェニルスルフィド系化合物(B−1)の中でも、ジフェニルスルフィド又は、電子供与性基又は弱い電子吸引性基を有する化合物(アルキル置換ジフェニルスルフィド、アルケニル置換ジフェニルスルフィド、アルコキシ置換ジフェニルスルフィド、ヒドロキシ置換ジフェニルスルフィド、アルキルケト置換ジフェニルスルフィド、アリールケト置換ジフェニルスルフィド、アルキルチオ置換ジフェニルスフフィド、アルケニルチオ置換ジフェニルスルフィド、エステル置換ジフェニルスルフィド、チオエステル置換ジフェニルスルフィド等)が400nm以上の吸収が小さく、あるいは同時にスルフィド部分の反応活性が高くなるために黄変防止の観点や硬化性向上による耐傷付き性向上の観点で好ましい。これらの中でも特に黄変を生じにくいことから、ジフェニルスルフィド、アルキル置換ジフェニルスルフィド、アルケニル置換ジフェニルスルフィド、アルコキシ置換ジフェニルスルフィド、ヒドロキシ置換ジフェニルスルフィドがより好ましい。これらの中でも低着色性の観点から、ジフェニルスルフィド、4−メチルジフェニルスルフィド、2−メトキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド(チオジフェノール)が特に好ましい。
<ベンゾフェノン系化合物(B−2)>
本発明で使用するベンゾフェノン化合物(B−2)は、2個のベンゼン環がカルボニル基を介して連結されている化合物であれば、特に限定されないが、以下のようなものが好ましい。
ベンゾフェノン系化合物(B−2)としては、例えば、ベンゾフェノン;4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノンジ等のアルキル置換ベンゾフェノン;4−アリルベンゾフェノン、4−ビニルベンゾフェノン等のアルケニル置換ベンゾフェノン;2−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のアルコキシ置換ベンゾフェノン;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等のヒドロキシ置換ベンゾフェノン;4−アセトベンゾフェノン等のアルキルケト置換ベンゾフェノン;4−ベンゾベンゾフェノン等のアリールケト置換ベンゾフェノン;4,4’−ジビニルチオベンゾフェノン、4−メチルチオベンゾフェノン等のアルキルチオ置換ベンゾフェノン又はアルケニルチオ置換ベンゾフェノン;4,4’−ジアセトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメタクリロイルオキシベンゾフェノン等のエステル置換ベンゾフェノン(ベンゼン環上の炭素原子に対し、エステル結合の酸素原子が結合したもの)等が挙げられる。以上に挙げたベンゾフェノン系化合物(B−2)は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上に挙げたベンゾフェノン系化合物(B−2)の中でも、ベンゾフェノン又は電子供与基や弱い電子吸引性基を有する化合物(アルキル置換ベンゾフェノン、アルケニル置換ベンゾフェノン、アルコキシ置換ベンゾフェノン、ヒドロキシ置換ベンゾフェノン、アル
キルケト置換ベンゾフェノン、アリールケト置換ベンゾフェノン、アルキルチオ又はアルケニルチオ置換ベンゾフェノン、エステル置換ベンゾフェノン等)が400nm以上に吸収を持ちにくく、あるいは同時にケトン部分の反応活性が高くなることによる黄変防止や硬化性向上による耐傷付き性向上の観点で好ましい。これらの中でも、黄変を生じにくくなることから、ベンゾフェノン、アルキル置換ベンゾフェノン、アルケニル置換ベンゾフェノン、アルコキシ置換ベンゾフェノン、ヒドロキシ置換ベンゾフェノン、エステル置換ベンゾフェノンがより好ましい。これらの中でも特にベンゾフェノン、炭素数1〜4のアルキル基が置換したベンゾフェノン、炭素数1〜4のアルコキシ基が置換したベンゾフェノンが好ましい。これらの中でも低着色性の観点から、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、が特に好ましい。
なお、前述の通り、ベンゾフェノン系化合物(B−2)と解されうる化合物のうち、ベンゾフェノン系化合物(B−1)に該当する化合物は、ベンゾフェノン系化合物(B−1)とみなす。このため、たとえば、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等は(B−2)にも該当するが、(B−1)にも該当するため、ベンゾフェノン系化合物(B−1)とみなすこととする。
<(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)>
層(B)の硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)は、(メタ)アクリロイル基を有し、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)及びベンゾフェノン系化合物(B−2)に該当するものでなければ、特に制限されない。
本発明に用いることのできる(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)としては例えば、シクロアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート等のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;シクロアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート、シクロアルキレン基を有するウレタン(メタ)アクリレート等のシクロアルキレン基を有する(メタ)アクリレート;アルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート等のアルキレン基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデセニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキシド変性体等のシクロアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート;エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキシド変性体等のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキシド変性体等のシクロアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート;ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及びこれらのエチレンオキシド変性体等のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート;イソホロンジイソシアネート、1、3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサ
ン、メチレンビス(1,4−シクロヘキサンジイル)ビスイソシアナートのようなシクロアルキレン基を有するジイソシアネート、又はその三量体から誘導されるウレタン(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールのようなシクロアルキレン基を有するジオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレート等のシクロアルキレン基を有するウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、シクロアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、アルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートが、硬化性組成物を塗膜との間でそれぞれの溶解性パラメーター(SP値)の値が近く、密着性
に優れるために好ましい。また、これらと、シクロアルキレン基を有するウレタン(メタ)アクリレートとを併用することで、基材表面を溶解したり膨潤したりすることを避けることができるため、特に好ましい。
また、上記で挙げたものの他には以下のような(メタ)アクリロイル化合物(B−3)を用いると、黄変せず、かつ透明性を維持しながら、硬度、耐傷付き性等をより向上させることができるために更に好ましい場合がある。トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクロン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレート;トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)−2−エトキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエトキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエトキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエトキシエチル)−2−ヒドロキシエトキシエチルイソシアヌレート、ビス(メタクリロイルオキシエトキシエチル)−2−ヒドロキシエトキシエチルイソシアヌレート等のイソシアヌル酸構造を有し、一分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体と(メタ)アクリル酸の反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(共)重合体と(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートの反応物等の側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)が次に挙げるような化合物であると、硬化性が向上したり、耐久性試験時の密着が向上するために好ましい場合がある。このようなものとしては、例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応物、エポキシシクロヘキサンと(メタ)アクリル酸の反応物等のシクロアルキル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジオキサン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等の飽和環状エーテル又は飽和環状アミン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
以上に挙げた(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)の数平均分子量は、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、一方、100,000以下であることが好ましく、50,000であることがより好ましい。数平均分子量が上記下限値以上であると乾燥工程や硬化工程において熱により揮発しにくくなる傾向があることから好ましく、一方、上記上限値以下であると塗布性や基材との親和性の観点から好ましい。
<配合量>
層(B)の硬化性組成物において、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)の含有量はアクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上であり、より好ましくは0.5重量部以上であり、更に好ましくは1重量部以上であり、一方、好ましくは10重量以下であり、より好ましくは5重量部以下である。
また、層(B)の硬化性組成物において、ベンゾフェノン系化合物(B−2)の含有量は(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上であり、より好ましくは1重量部以上であり、更に好ましくは2重量部以上であり、一方、好ましくは10重量以下であり、より好ましくは8重量部以下である。
更に、層(B)の硬化性組成物において、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)とベンゾフェノン系化合物(B−2)の含有量の重量比は、[ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)の重量]:[ベンゾフェノン系化合物(B−2)の重量]が、好ましくは1:10〜1:1であり、より好ましくは1:6〜1:1.5である。ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)とベンゾフェノン系化合物(B−2)の含有量の重量比が上記範囲であると硬化性と層間密着性の観点から特に好ましい。
<その他の重合開始剤>
層(B)の硬化性組成物は、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)及びベンゾフェノン系化合物(B−2)以外に、その他の重合開始剤を含有していてもよい。その他の重合開始剤は、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)及びベンゾフェノン系化合物(B−2)に該当するものでなければ特に制限されない。
その他の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;ベンジル、ベンジルジメチルケタール[例えば、商品名「イルガキュア(登録商標)651」、BASF製]等のベンジルとそのケタール類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「イルガキュア(登録商標)184」、BASF製]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル等のギ酸誘導体等が挙げられる。
また主に増感剤として作用する以下のような化合物を用いると、硬化性が向上し、好ましい場合がある。このようなものの例としては、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類;トリブチルアミン,トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、ニトリロ三酢酸メチル等の非芳香族の三級アミン類等が挙げられる。
その他の重合開始剤の含有量は、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)とベンゾフ
ェノン系化合物(B−2)の合計100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上であり、より好ましくは1重量部以上であり、更に好ましくは2重量部以上であり、一方、好ましくは80重量部以下であり、より好ましくは65重量部以下であり、更に好ましくは50重量部以下である。その他の重合開始剤の含有量が上記下限値以上であるとその他の重合開始剤を配合する効果を得る観点から好ましく、上記上限値以下であると密着性低下、黄変、濁り、耐傷つき性の低下等を防ぐ観点から好ましい。
<有機溶剤>
層(B)の硬化性組成物は、有機溶剤を用いて粘度を調整することが好ましい。有機溶剤は本発明の効果が得られる範囲において公知の有機溶剤のいずれも使用することができる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(本発明において、プロピレングリコールモノメチルエーテルは「脂肪族アルコール」ではなく、「脂肪族エーテル」)とみなすこととする。)等の脂肪族エーテル;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の脂肪族アルコール;トルエン、キシレン等の芳香族化合物等が挙げられる。
これらの中でも、脂肪族ケトン、脂肪族エステル、脂肪族エーテルが好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。なお、以上で挙げた有機溶剤は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(B)の硬化性組成物において、有機溶剤を用いる場合、通常、硬化性組成物の固形分100重量部に対して10重量部以上、900重量部以下で用いられる。なお、ここでいう「固形分」とは、溶媒を除いた全成分を意味し、固体状態のものだけではなく、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものを意味する。また、固形分濃度で好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%となるように有機溶媒を用いること好ましい。
<シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物>
層(B)の硬化性組成物は、シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物を含有することが好ましい。シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物を含有することにより、硬化性組成物の反応性、表面硬度、溶液としたときの安定性等を向上させることができる。
シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基とトリメトキシシリル基とを有する化合物(例えば、アクリロイル基を有するシランカップリング剤[商品名「KBM5103」、信越化学(株)製]、アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン[信越化学工業社製 KBM5803]、メタクリロイル基を有するシランカップリング剤[商品名「KBM503」、信越化学(株)製]等)、カルボン酸無水物基とトリメトキシシリル基とを有する化合物(例えば、酸無水物含有基を有するシランカップリング剤[商品名「X−12−967C」、信越化学(株)製]等)、トリアリルイソシアヌレートに2−3モルのトリメトキシシランを反応させた化合物(例えば、イソシアヌレート基を有するトリメトキシシリル化合物[商品名「KBM9659」、信越化学(株)製]等)、エポキシ基とトリメトキシシリル基とを有する化合物(例えば、エポキシ基を有するシランカップリング剤[商品名「KBM403」、信越化学(株)製]等)、メルカプト基とトリメトキシシリル基とを有する化合物(例えば、メルカプト基を有するシランカップリング剤[商品名「KBM803」、信越化
学(株)製]等)等のトリアルコキシシリル基を有する化合物;ジメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシリル基を有する化合物;テトラメトキシシランオリゴマー、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン又はそのオリゴマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリロイル基とシラノール基及び/又はトリアルコキシシリル基とを有する化合物(例えば、アクリロイル基を有するシランカップリング剤[商品名「KBM5103」信越化学(株)製]、アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン[信越化学工業社製 KBM5803]、メタクリロイル基を有するシランカップリング剤[商品名「KBM503」、信越化学(株)製]等)は(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)とはみなさず、シラノール基及び/又はトリアルコキシシリル基を有する化合物とみなすこととする。
これらの中でも、トリアルコキシシリル基を有する化合物とテトラアルコキシシラン又はそのオリゴマーは、反応性と表面硬度を高める観点から好ましく、更に、これらとジアルコキシシリル基を有する化合物とを組み合わせて用いると、硬化性組成物を溶液としたときの液の安定性を高める観点から好ましい。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、トリアルコキシシリル基を有する化合物、ジアルコキシシリル基を有する化合物、テトラアルコキシシラン又はそのオリゴマーの少なくとも1種の部分加水分解物(シラノール基を有するもの)、トリアルコキシシリル基を有する化合物、ジアルコキシシリル基を有する化合物、テトラアルコキシシラン又はそのオリゴマーの少なくとも1種の加水分解縮合物、トリアルコキシシリル基を有する化合物、ジアルコキシシリル基を有する化合物、テトラアルコキシシラン又はそのオリゴマーの少なくとも1種とテトラアルコキシチタン及び/又はテトラアルコキシジルコニウムとの反応物等も好ましいものとして挙げることができる。これらの中でも、トリアルコキシシリル基を有する化合物、ジアルコキシシリル基を有する化合物、テトラアルコキシシラン又はそのオリゴマーの少なくとも1種の部分加水分解物は反応性が高く、表面硬度の向上の観点から好ましい。
上記部分加水分解物としては、例えば、テトラメトキシシランオリゴマーの部分加水分解物、テトラエトキシシランとジメチルジメトキシシランの部分加水分解物等が挙げられる。また、上記加水分解縮合物としては、例えば、テトラメトキシシランオリゴマーの加水分解縮合物、テトラエトキシシランとジメチルジメトキシシランの加水分解縮合物等が挙げられる。更に、テトラアルコキシシラン又はそのオリゴマーの少なくとも1種とテトラアルコキシチタン及び/又はテトラアルコキシジルコニウムとの反応物としては、例えば、テトラメトキシシランオリゴマーとテトラブトキシチタンとの反応物、テトラエトキシシランとテトラブトキシチタンとの反応物、テトラエトキシシランとテトラエトキシジルコニウムとの反応物等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物を含有することで硬化性組成物の反応性、硬度、溶液としたときの安定性等を向上させるために配合する場合、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、0.1〜30重量部、好ましくは、1〜25重量部、より好ましくは2〜20重量部である。上記下限値以上であると、反応性、表面硬度、溶液としたときの安定性等を向上させる効果が得られやすいために好ましく、また、上記上限値以下であると、溶液としたときの安定性の観点から好ましい。
<無機粒子>
層(B)の硬化性組成物は無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子を含有することにより、硬化性組成物の反応性、表面硬度、溶液としたときの安定性等を向上させることができる。
無機粒子としては、特に限定されないが、例えば、以下のような無機酸化物微粒子や無機ハロゲン化物微粒子が好ましいものとして挙げられる。無機粒子を配合することにより、硬化性組成物の表面硬度、耐傷付き性、更には導電性を有する無機粒子を配合した場合には同時に帯電防止性を付与することもできる。
無機酸化物微粒子としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セリウム、リチウム等の酸化物又はこれらの複合酸化物、具体的には、ケイ素の酸化物(シリカ)、アルミニウムの酸化物(アルミナ)、ケイ素−アルミニウムの複合酸化物、ジルコニウムの酸化物(ジルコニア)、チタニウムの酸化物(チタニア)、酸化亜鉛、酸化錫、リンドープ酸化錫(PTO)、アンチモンドープ酸化錫、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、酸化セリウム、シリカ−酸化リチウムの複合酸化物等が挙げられる。また、無機ハロゲン化物微粒子としては、例えば、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物;フッ化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属ハロゲン化物等が挙げられる。
本発明において、層(B)の硬化性組成物に用いることのできる無機粒子の平均一次粒子径は、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは3nm以上であり、更に好ましくは5nm以上であり、一方、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは80nm以下であり、更に好ましくは50nm以下である。無機粒子の平均一次粒子径が上記下限値以上であると表面硬度、耐傷付き性の観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると透明性の観点で好ましい。前記シリカの平均一次粒子径が下限値以上であると耐擦傷性、硬度が向上する傾向があり、上限値以下であると硬化物の透明性が良好となる傾向があり好ましい。
なお、本発明における溶媒に分散させたシリカの平均一次粒子径は、動的光散乱法(DLS法)から求めることができる。また、BET吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準拠)を求め、以下の式から換算値として求めることもできる。
[平均一次粒子径(nm)]=6,000/〔[比表面積(m/g)]×[密度(g/cm)]〕
無機粒子の含有量は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上であり、より好ましくは1重量部以上であり、更に好ましくは2重量部以上であり、一方、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下であり、更に好ましくは25重量部以下である。無機粒子の含有量が上記下限値以上であると、硬化性組成物の硬度、耐傷付き性を向上させ、また、帯電防止性を付与する観点等から好ましく、一方、上記上限値以下であると、硬化性組成物を溶液とした際の液の粘度が高くなり過ぎず、また、凝集や透明性低下を防ぐ観点から好ましい。
<その他の成分>
本発明における硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、反応性希釈剤、帯電防止剤(ただし、無機粒子に該当するものを除く。)、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
その他の成分は通常、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)、ベンゾフェノン系化合物(B−2)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)の合計100重量部に対し20重量部以下で用いられる。また、その他の成分の含有量は好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
<硬化性組成物の調整方法>
本発明において層(B)を形成する硬化性組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)、ベンゾフェノン系化合物(B−2)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)を混合し、また、必要に応じ、その他の重合開始剤、有機溶剤、シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物、無機粒子、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一混合して製造することが好ましい。
〔積層体の製造方法と層構成〕
本発明において、積層体の製造方法は特に制限されてないが、通常、次のような方法で製造することができる。本発明の積層体に用いる層(A)は通常、基材として用いられ、これに層(B)の硬化性組成物を片面又は両面塗布することにより積層体とすることができる。また、本発明の積層体は通常、この層(B)を硬化させて用いられ、特に、層(A)の少なくとも片面の一部に層(B)の硬化物を硬化被膜(硬化膜)の状態として得ることが好ましい。なお、本発明において「塗布」とは一般的に「塗工」と呼ばれるものも含む概念として用いることとする。
本発明の積層体において、層(A)を基材とし、これに層(B)の硬化性組成物を塗布する場合、塗布方法は特に制限されないが、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
本発明の積層体において、層(B)の硬化性組成物を硬化させる際には通常、活性エネルギー線が用いられる。この活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線、可視光線等が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化防止の観点から、好ましいのは紫外線及び電子線である。
本発明の積層体において、層(B)の硬化性組成物を紫外線照射により硬化させる場合には、種々の紫外線照射装置を用いることができるが、その光源としてはキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED−UVランプ等を使用することができる。紫外線の照射量(単位はmJ/cm)は、通常、10〜10,000mJ/cmであり、本発明の硬化性組成物の硬化性、硬化物(硬化膜)の可撓性等の観点から好ましくは100〜5,000mJ/cmであり、より好ましくは200〜3,000mJ/cmである。
また、本発明の積層体において、層(B)の硬化性組成物を電子線照射で硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができるが、電子線の照射量(Mrad)が通常、0.5〜20Mradである。本発明の積層体における層(B)の硬化性組成物の硬化性及び得られる硬化物の可撓性や層(A)の損傷防止等の観点から好ましくは1〜15Mradである。
本発明の積層体において、層(A)の厚みは通常、10μm〜1mm、好ましくは50μm〜200μmである。また、層(B)の厚みは通常、3μm〜30μm、好ましくは5μm〜20μmである。
本発明の積層体は、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の層を有していてもよい。その他の層としては、例えば、ハードコート膜層、粘着剤層、光拡散層、ITO等の導電膜層、反射防止膜層、帯電防止膜層、ブロッキング防止層、ガスバリア層、水蒸気バリア層等が挙げられる。
(用途)
本発明の積層体は、層間密着性、表面硬度、耐傷付き性等の表面保護性能、透明性、低着色性等の光学特性等に優れるものである。このため、ガラス、プラスチック等へのハードコーコートとして有用である。特に、フラットパネルデイスプレイ用のコート(表面コート/内部コート)、タッチパネル用のコート(表面コート/内部コート)、太陽電池の保護表面コート、自動車ガラスの表面コート等に好適に用いることができる。これらの中でも特に、フラットパネルデイスプレイ用のコート(表面コート、内部コート)、タッチパネルの表面コート/内部コート等の光学フィルムとして特に好適である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<実施例1〜19、比較例1〜10>
表−1、表−2及び表−3に従って原料を配合し、硬化性組成物(実施例1〜19及び比較例1〜10)を得た。なお、実施例8については参考例とする。基材及び配合成分の種類とその略称は下記の通りである。下記の基材に、硬化性組成物を、バーコーターを用いて塗布(塗布直後の厚みは約15μm)した後、紫外線照射装置[型番 US5−XO40:アイグラフィックス社製]を用いて500mJ/cmの紫外線を照射して塗膜を硬化させ、硬化後膜厚が10μmの積層体を得た(膜厚は、厚みゲージ(ミツトヨ社製ABSデジマチックインジケータ又は薄膜測定装置(フィルメトリックス社製F20−EXR)で測定した。)。この試験片を用いて以下の各種評価を行った。
[基材]
COP:シクロオレフィンポリマー[日本ゼオン社製、ゼオノア(登録商標)ZF−16、厚さ100μm、ヘーズ:0.1%、b値:0.15]
[ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)]
・DPS:ジフェニルスフフィド[東京化成社製]
・MPSMA:4,4’−ビスメタクリロイルチオジフェニルスルフィド[住友精化社製]
・MPV:4,4’−ビスビニルチオジフェニルチオジフェニルスルフィド[住友精化社製]
・BMS:4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド[東京化成社製]
・DHDPS:チオジフェノール[東京化成社製]
[ベンゾフェノン系化合物(B−2)]
・BP:ベンゾフェノン
・MBP:4−メチルベンゾフェノン
[その他の重合開始剤]
・I184:ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[BASF社製 イルガキュア(
登録商標)184]
・DETX:ジエチルチオキサントン[東京化成社製]
・MBF:ベンゾイル蟻酸メチル[BASF社製 ダロキュア(登録商標)MBF]
・L−TPO:ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド[BASF社製 ルシリン(登録商標)TPO]
・I651:ベンジルジメチルケタール[BASF社製 イルガキュア(登録商標)651]
・EDB:p−アミノ安息香酸エチル[東京化成社製]
・DABCO:トリエチレンジアミン[東京化成社製]
[(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)]
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[日本化薬社製 カヤラッドD
PHA]
・ADTMP:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート[新中村化学工業社製 NKエステルAD−TMP]
・UA122P:ポリエステル系非芳香族ウレタンアクリレート[新中村化学工業社製 NKオリゴUA122P]
・IBXA:イソボルニルアクリレート[新中村化学工業社製]
・NPGDA:ネオペンチルグリコールジアクリレート[東京化成社製]
・EHA:2−エチルヘキシルアクリレート[東京化成社製]
[アルコキシシリル基を有する化合物]
・KBM9659:トリアリルイソシアヌネートのトリメトキシシラン付加物トリメトキシシリル基を1分子中に3個有する化合物)[信越化学工業社製 KBM9659]
・KBM5803:アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン[信越化学工業社製
KBM5803]
・MS51/TBT:テトラメトキシシランオリゴマー[三菱化学社製 MS51]とトトラブトキシチタン[和光純薬社製]とを20:1(重量比)で反応させた変性シリケート
[無機粒子]
・MEK−ST:コロイダルシリカ[日産化学社製 MEK−ST](平均一次粒子径:10〜15nm(BET吸着法、カタログ値))
・ジルコニア:ジルコニア[日産化学 ナノユース(登録商標)AR−30AS](平均一次粒子径:42nm(動的光散乱法、カタログ値))
・PTO:リンドープ酸化錫[日産化学社製 セルナックス(登録商標)CX−S240IP)[(平均一次粒子径:50nm(動的光散乱法、カタログ値))
[有機溶剤]
・MEK:メチルエチルケトン
・MIBK:メチルイソブチルケトン
・PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・IPA:イソプロピルアルコール
<評価方法>
(1)層間密着性
JIS K5600に準じ、碁盤目試験により層間密着性を下記の基準で評価した(隙
間間隔1mm)。
◎:残ったマス目数が100であり、2回繰り返しても残ったマス目数が100である
○:残ったマス目数が100であるが、2回繰り返すと一部はがれる
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
(2)鉛筆硬度
JIS K5600に準拠して、引っかき硬度(鉛筆法)により測定した。
(3)ヘーズ
JIS K7105に従って、各積層体のヘーズ値(H%)を求めた。ヘーズ値が小さいほど、透明性に優れるものと評価される。
(4)b値・光線透過率
スペクトロフォトメーターCM−3500d(コニカミノルタ社製)を用い、JIS K7105(1981年)に準拠してb値を測定した。同時に同じ装置で400nmでの光線透過率を測定、評価した。
(5)耐傷付き性
スチールウール(グレード:#0000)を用い、250g荷重で傷が入らない最大の往復回数で評価した。
◎:10往復まで傷が入らない。
○:5往復まで傷が入らないが10往復では傷が入る。
△:1往復では傷が入らないが5往復では傷が入る。
×:1往復で傷が入る。
Figure 0006273839
Figure 0006273839
Figure 0006273839
<評価結果>
表−1、表−2及び表−3の結果から、本発明に該当する実施例1〜19は、10μmの厚膜であっても、層(A)COP基材との密着性に極めて優れることがわかる。併せてヘーズ、b値が小さく、光学特性に優れるうえ、硬度、耐傷つき性も優れている。これに対し、本発明に該当しない比較例1〜10は、密着性、硬化性、ヘーズ、b値、硬度、耐傷つき性の少なくとも一つ以上の性能が劣るため、実用上好ましくない。
本発明の積層体は、層間密着性、表面硬度、耐傷付き性等の表面保護性能、透明性、低着色性等の光学特性等に優れるものである。このため、ガラス、プラスチック等へのハードコーコートとして有用である。特に、フラットパネルデイスプレイ用のコート(表面コート/内部コート)、タッチパネル用のコート(表面コート/内部コート)、太陽電池の保護表面コート、自動車ガラスの表面コート等に好適に用いることができる。これらの中でも特に、フラットパネルデイスプレイ用のコート(表面コート、内部コート)、タッチパネルの表面コート/内部コート等の光学フィルムとして特に好適である。

Claims (11)

  1. 下記層(A)及び層(B)からなる積層体。
    層(A):シクロオレフィンポリマーからなる層
    層(B):ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)、ベンゾフェノン系化合物(B−2)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)を含む硬化性組成物からなる層であって、
    前記ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)が、ジフェニルスルフィド、アルキル置換ジフェニルスルフィド、アルケニル置換ジフェニルスルフィド、アルコキシ置換ジフェニルスルフィド、ヒドロキシ置換ジフェニルスルフィド、アルキルケト置換ジフェニルスルフィド、アルキルチオ置換ジフェニルスルフィド、アルケニルチオ置換ジフェニルスルフィド、エステル置換ジフェニルスルフィドから選ばれる1種又は2種以上である。
  2. 前記硬化性組成物が(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)を0.1〜10重量部、ベンゾフェノン系化合物(B−2)を0.1〜10重量部含む、請求項1に記載の積層体。
  3. [ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)の重量]:[ベンゾフェノン系化合物(B−2)の重量]が、1:10〜1:1である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. (メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)として、シクロアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、シクロアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート、アルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート及びシクロアルキレン基を有するウレタン(メタ)アクリレートからなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記硬化性組成物が有機溶剤を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記有機溶剤として、脂肪族ケトン、脂肪族エステル及び脂肪族エーテルからなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の積層体。
  7. 前記硬化性組成物が、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)及びベンゾフェノン系化合物(B−2)以外の重合開始剤(その他の重合開始剤)を含み、該その他の重合開始剤の含有量が、ジフェニルスルフィド系化合物(B−1)及びベンゾフェノン系化合物(B−2)の合計100重量部に対し、0.5〜80重量部である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記硬化性組成物がシラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物を含み、かつ該シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する化合物の含有量が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し1〜30重量部である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記硬化性組成物が平均一次粒子径100nm以下の無機粒子を含み、該無機粒子の含有量が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B−3)100重量部に対し、1〜30重量部である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記硬化性組成物を硬化させてなる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の積層体からなる光学フィルム。
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