JP6273360B2 - 官能化グラフェンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、官能化グラフェンの製造方法、製造装置、および官能化グラフェンに関するものであって、より詳しくは、亜臨界乃至超臨界状態の流体および官能化化合物を用いて、優れた電気的、熱的伝導特性およびバリア特性を有する官能化グラフェンを製造する方法、製造装置、および官能化グラフェンに関するものである。
本出願は、2013年11月19日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第2013−0141006号の出願日の利益を主張し、その内容全部は本明細書に含まれる。
グラフェンは、自然界に天然に存在する3次元構造炭素同素体であるグラファイトの炭素原子が2次元シート(Sheet)形態の6角平面構造を有する形態に配列された物質である。グラフェンの炭素原子はsp結合をなしており、単一原子厚さの平面シート形状をなしている。
グラフェンは非常に優れた電気伝導性、熱伝導性を有しており、優れた機械的強度、柔軟性、伸縮性、厚さによって量子化された透明度、高い比表面積などの物理的特性はその内部に存在する原子の特異な結合構造で説明できる。グラフェンを構成する炭素の最外殻電子4つのうちの3つはsp混成軌道を形成してσ結合をなし、残る電子1つが周囲の炭素原子とπ結合を形成して六角形の二次元構造を有する。したがって、グラフェンは他の炭素同素体とは異なるバンド構造を有しており、バンドギャップがないため優れた電気伝導度を示すが、フェルミ準位で電子の状態密度は0である半金属物質であって、ドーピング有無によって簡単に電気的性質を変化させることもできる。
これにより、シリコン電気電子材料を代替できる次世代素材、キャパシター、電磁気遮蔽材料、センサー、ディスプレイなど多様な電気電子分野だけでなく、自動車、エネルギー、航空宇宙、建築、医薬学、鉄鋼分野に多様に適用される可能性があるため、多様な分野でこれを活用するための多くの研究が行われている。
このようなグラフェンの製造方法としては、接着テープを用いてグラファイトシートからグラフェン単層を薄皮する方法(Scotch−tape method or Peel off method)、化学気相蒸着法(Chemical vapor deposition)、炭化シリコン基板(SiC)上に積層する方法(Epitaxial growth method)、熱を用いてグラファイトを剥離する方法(Thermal exfoliation)、化学的酸化還元法(Chemical oxidation and reduction)などが研究されている。
この中、化学的酸化還元法は大量生産が可能であり、経済的であり、グラフェンシートに多様な官能基を簡単に導入することができる長所が存在する。但し、この方法ではグラフェン酸化物の脱酸素化反応のためにヒドラジン(hydrazine)などの還元剤を使用しなければならなく、このような還元剤は大部分が高い腐食性、爆発性、人体毒性などの危険性を有しており、生成されたグラフェンが不純物などを含むことがあるため電気伝導度が低くなる短所が存在する。また、グラフェン形成過程で形成されたグラフェンの再付着防止のために層状構造の間に金属のような物質を挿入する場合(metal intercalation)、挿入される粒子(donor intercalant)の大きさと分布が均一でないため、高品質のグラフェンを製造しにくい。
これとともに、グラフェンの分散性向上および機能性付与のためにグラフェン表面に官能基を導入する場合、通常のバッチ式の反応器を使用して、様々な段階の別途反応を経なければならないが、この場合、グラフェン表面に官能基が均一に分布しにくく、導入しようとする官能基の量も調節しにくい。
したがって、より経済的、効率的であり、危険性が少ない工程を経ながらも分散性、機能性、および電気伝導度などの物性に優れた官能化グラフェンを製造できる方法に対する研究が必要であるのが実情である。
韓国公開特許第2012−0013914号公報 韓国公開特許第2012−0006458号公報 韓国公開特許第2012−0114317号公報
本発明の目的は、経済的、効率的であり、危険性が少ない工程を経ながらも分散性、機能性、および電気伝導度などの物性に優れた官能化グラフェンを製造できる方法および製造装置を提供することである。
また、本発明の目的は、硫黄原子を含む官能基で官能化されたグラフェンを提供することである。
本発明は、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する段階;前記混合液を前記溶媒の亜臨界条件乃至超臨界条件で反応させて官能化グラフェンを形成する段階;および前記官能化グラフェンを回収する段階を含む官能化グラフェンの製造方法を提供する。
また、本発明は、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する混合槽;前記混合槽から前記混合液の供給を受けて予熱する予熱槽;前記予熱槽後端に連結され、前記溶媒の亜臨界条件乃至超臨界条件で前記混合液の反応が起こる反応槽;前記反応槽後端に連結され、前記反応の生成物を冷却させる冷却器;および前記冷却器後端に連結され、前記生成物から官能化グラフェンを回収する回収槽を含む官能化グラフェン製造装置を提供する。
また、本発明は、硫黄原子を含む官能基で官能化されたグラフェンを提供する。
本発明の官能化グラフェン製造方法および製造装置によれば、効果的にグラフェン酸化物を還元させることができ、同時に硫黄原子が表面および縁に導入された官能化グラフェンを製造することができる。これにより、バリア素材、軽量素材、エネルギー、バッテリー、電子、電気、半導体、ディスプレイ、家電、携帯電話機、ナノ産業、バイオ、高分子複合材、金属複合材、ペイント、ペースト、インクなど産業材全般に応用可能な、官能化グラフェンを製造することができる。また、本発明によれば、亜臨界あるいは超臨界条件で脱酸素化反応およびグラフェン表面の官能化反応が同時に行われるために連続工程で還元度と剥離特性および分散性が高い高品質の官能化グラフェンを製造することができる。
本発明の一実施形態による官能化グラフェン製造装置を例示的に示したものである。 本発明の一実施形態による官能化グラフェン製造装置を例示的に示したものである。 本発明の実施例1および比較例1で得られた官能化グラフェンのラマンスペクトルを示したものである。 本発明の実施例1で得られた官能化グラフェンの赤外線スペクトルを示したものである。 本発明の実施例1および比較例1で得られた官能化グラフェンのSEMイメージである。 本発明の実施例1および比較例1で得られた官能化グラフェンのTEMイメージである。 本発明の製造例で得られたグラファイト酸化物、実施例1および実施例2で得られた官能化グラフェンのXPSスペクトルを示したものである。 黒鉛、本発明の製造例で得られたグラファイト酸化物、実施例1および比較例1で得られた官能化グラフェンのXRD結果を示したものである。
本発明の官能化グラフェン製造方法は、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する段階;前記混合液を前記溶媒の亜臨界条件乃至超臨界条件で反応させて官能化グラフェンを形成する段階;および前記官能化グラフェンを回収する段階を含む。
また、本発明の官能化グラフェン製造装置は、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する混合槽;前記混合槽から前記混合液の供給を受けて予熱する予熱槽;前記予熱槽後端に連結され、前記溶媒の亜臨界条件乃至超臨界条件で前記混合液の反応が起こる反応槽;前記反応槽後端に連結され、前記反応の生成物を冷却させる冷却器;および前記冷却器後端に連結され、前記生成物から官能化グラフェンを回収する回収槽を含む。
また、本発明の官能化グラフェンは、硫黄原子を含む官能基で官能化されている。
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、“含む”、“備える”または“有する”などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
また、本発明において、各層または要素が各層または要素の“上に”または“の上に”形成されると言及される場合は、各層または要素が直接各層または要素の上に形成されることを意味するか、他の層または要素が各層の間、対象体、基材上に追加的に形成され得ることを意味する。本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有し得るところ、特定実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の一側面による官能化グラフェン製造方法は、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する段階;前記混合液を前記溶媒の亜臨界条件乃至超臨界条件で反応させて官能化グラフェンを形成する段階;および前記官能化グラフェンを回収する段階を含む。
本発明の一実施形態によれば、前記アミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物は、下記化学式1、化学式2、および化学式3で表される化合物からなる群より選択される化合物またはこれらを1種以上含む混合物であり得る。
上記化学式1、2、および3において、
R1〜R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、アミノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜20のヒドロカルビルアミノ基、または炭素数1〜20のヒドロキシアルキルアミノ基であり、
前記R1およびR2のうちの少なくとも一つ、前記R3およびR4のうちの少なくとも一つ、前記R5およびR6のうちの少なくとも一つは、アミノ基、炭素数1〜20のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜20のヒドロカルビルアミノ基、または炭素数1〜20のヒドロキシアルキルアミノ基である。
本明細書でアミノ基とは、−NHで表すことができる官能基を意味する。
また、本明細書でヒドロカルビルアミノ基とは、前記アミノ基において窒素原子の水素のうちの少なくとも一つがアルキル基で置換されて−NH(R)、−N(R)(R’)、あるいは−N(R)(R’)(R’’)で表すことができる1次(primary)、2次(secondary)、3次(tertiary)、4次(quaternary)ヒドロカルビルアミノ基あるいはヒドロカルビルアンモニウム基を意味する。
また、本明細書でヒドロキシアルキルアミノ基とは、前記アミノ基において窒素原子の水素のうちの少なくとも一つがヒドロキシアルキル基で置換されて−NH(ROH)、−N(ROH)(R’OH)、あるいは−N(ROH)(R’OH)(R’’OH)で表すことができるものを意味する。
また、本明細書でアミノヒドロカルビル基とは、ヒドロカルビル基の中間あるいは末端に前記アミノ基あるいは前記ヒドロカルビルアミノ基が置換され、−R−NH、−R−NH(R’)、−R−N(R’)(R’’)、−R−NH 、−R−NH(R’)、あるいは−R−NH(R’)(R’’)で表すことができる官能基を意味する。
前記置換基の定義において、R、R’、R’’は同一または相違し、それぞれ独立してヒドロカルビル基(hydrocarbyl)を意味する。
前記官能化化合物は、分子内にアミン基および硫黄原子を全て含んでいる。前記アミン基は還元性があるため、後述のグラフェン酸化物の脱酸素反応でグラフェン酸化物の還元を助けて反応を効率的に進行させるのに役立てることができる。
また、前記官能化化合物を使用する場合、形成されるグラフェンの表面または縁に硫黄原子を含む官能基が導入されて分散性に優れた官能化グラフェンを収得することができる。例えば、前記官能化化合物に含まれるアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アミノアルキル基、またはアルキルアミノ基などの置換基が前記硫黄原子と共にグラフェン表面または縁に官能基として導入され、このようにグラフェンの表面または縁に導入される置換基の立体障害効果によって、グラファイトから分離されたグラフェンが再度付着される現象(restacking)を防止することができ、グラフェンの品質を向上させることができる。
また、前記官能基に含まれる硫黄など親水性電子供与元素および疎水性分子によってグラフェン表面の極性調節が可能であることによって、多様なマトリックス(溶液あるいは固体)の極性に合わせて混用性を高めることができ、これにより分散性に優れた官能化グラフェンを効率的に製造することができる。
一方、前記官能化化合物は、金属材料に対する腐食防止特性を有しているため、製造された官能化グラフェンのバリア特性を用いて金属の腐食を防止することにも効果的であり得る。
前記官能化化合物は、具体的に例えばチオ尿素(thiourea)、チオ尿素ジオキシド(thiourea dioxide)、フェニルチオ尿素(phenylthiourea)、トリル−3,3−ジメチルチオ尿素(tolyl−3,3−dimethylthiourea)、1,3−ジアルキロイルチオ尿素(1,3−dialkyloylthiourea)、アミノウンデカンチオール(aminoundecanethiol)などが挙げられるが、本発明がこれに限定されるのではない。
前記官能化グラフェンを形成する段階で形成された官能化グラフェンは、官能化グラフェンシート、官能化グラフェンプレートレット、または官能化グラフェンナノプレートレットであり得る。
官能化グラフェンとは、グラフェンの表面または縁(edge)に官能基を有するグラフェンを言い、前記官能基は前記官能化化合物から導入され、硫黄原子を含むものであり得る。具体的に例えば、スルフィド基、アルキルスルフィド基、アミノアルキルスルフィド基、スルホキシド基、アルキルスルホキシド基、アミノアルキルスルホキシド基、スルホン基、アルキルスルホン基、アミノアルキルスルホン基、チオール基、チオ基などであり得るが、本発明がこれに限定されるのではない。
グラフェンシートとは、グラファイトから分離された構造物で単一層をなしていてシート(sheet)形状を有する炭素構造物を言い、グラフェンプレートレットまたはグラフェンナノプレートレットは前記のグラフェンシートが重なってかたまった炭素構造物またはナノスケールの炭素構造物を意味する。
前記の製造方法は、より具体的に、下記の段階で説明することができる。
まず、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する。前記の混合液はグラファイト酸化物、および前記官能化化合物が溶媒に分散した形態に混合されたものであり得る。この時、溶媒に分散したグラファイト酸化物は薄片形態に単一原子層乃至多重原子層構造を有するものであり得る。
前記グラファイト酸化物は、グラファイトの主要構成元素である炭素が酸化された形態にエポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基などの官能基が存在可能であり、これによって親水性を有し得るため、溶媒に含まれる水に対する分散性が良く、容易に溶媒内に分散して均一な混合物の形態を有し得る。この時、グラファイト酸化物を溶媒内に効果的に分散させるために超音波、ホモジナイザーなど一般的な分散方法を使用することもできる。
本発明の一実施形態によれば、前記溶媒は、水、二酸化炭素、アルコール、またはこれらの混合物を含むことができる。溶媒内の水、二酸化炭素、アルコールまたはこれらの混合物は、亜臨界乃至超臨界条件でそれぞれ亜臨界水乃至超臨界水、亜臨界二酸化炭素乃至超臨界二酸化炭素、または亜臨界アルコール乃至超臨界アルコールであり得、前記官能化化合物との反応を通じて官能化グラフェンを形成することができる。
前記アルコールは、本発明の属する技術分野で一般にグラファイト酸化物還元に使用されるアルコールは特別な制限なく使用が可能であり、炭素数約1〜10の直鎖または分枝鎖の脂肪族アルコール、具体的に例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−メチルプロパノール、2−メチルプロパン−2−オール、ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、またはこれらのうちの1以上を含む混合物を使用することができるが、本発明がこれに限定されるのではない。
前記の混合液に含まれるグラファイト酸化物は、グラファイト酸化物前駆体に酸および酸化剤を処理して形成されるものであり得、この場合、一般に用いられるHummers法によってグラファイト酸化物を形成することができる。
このような酸化剤は、例えば、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、塩素酸塩などの過酸化物は特別な制限なく使用することができ、Hummers法によってグラファイト酸化物前駆体に硫酸、硝酸、または塩酸などのような強酸と、硝酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、塩素酸塩などの酸化剤を処理すればグラファイト酸化物を得ることができる。このように生成されたグラファイト酸化物は前述のようにグラファイト内部に存在するようになる官能基によって親水性を有し得、溶媒が面と面の間に容易に侵入できるようになって、剥離が容易になる。したがって、前記均一な混合物形態の予備混合液を攪拌すれば、グラファイト酸化物から剥離されて単一原子層構造を有するグラフェン酸化物を得ることができる。
前記グラファイト酸化物前駆体としては、一般的なグラファイトだけでなく、炭素を主成分とする物質は特別な制限なく使用することができる。例えば、グラフェン(graphene)、グラファイトナノプレートレット(graphite nanoplatelet)、グラフェンナノプレートレット(graphene nanoplatelet)、膨張黒鉛(expanded graphite or expandable graphite)、ダイヤモンド(diamond)、フラーレン(fullerene)、カーボンブラック(carbon black)、活性炭、炭(charcoal)、炭素ナノリボン(carbon nanoribbon)、炭素ナノワイヤー(carbon nanowire)、炭素ナノクレイ(carbon nanoclay)、炭素ナノチューブ(carbon nanotube)、ピッチ系炭素繊維(pitch carbon fiber)などを含む炭素繊維(carbon fiber)や炭素ナノ繊維(carbon nano fiber)、炭素ガラス繊維(carbon glass fiber)、アスファルトまたはこれらの混合物などを使用することができる。
本発明の一実施形態によれば、前記溶媒は前記グラファイト酸化物約100重量部に対して約10〜約100,000重量部で含まれ、好ましくは約1,000〜約50,000重量部で含まれ得る。前記溶媒が前記グラファイト酸化物に対して約100,000重量部を超過して含まれる場合、単位時間に製造できるグラフェンの量が過度に少ないため経済性が低下することがあり、10重量部未満で含まれる場合、グラファイト酸化物が効果的に剥離されないことがあり、また後述の亜臨界流体乃至超臨界流体との反応(脱酸素および官能化反応)が効果的に行われないために形成される官能化グラフェンの均一度が悪化して品質が低下することがある。
本発明の一実施形態によれば、前記アミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物は前記グラファイト酸化物中に含まれている酸素に対して約0.1〜約30モル比率で含まれ、好ましくは約0.1〜約20モル比率で含まれ、さらに好ましくは約0.1〜約10モル比率で含まれ得る。
前記官能化化合物が前記グラファイト酸化物中に含まれている酸素に対して約0.1モル比率未満で含まれる場合、グラファイト酸化物の還元が効果的に行われないことがあり、生成される官能化グラフェンの表面および縁に官能基が十分に導入されないという問題点が発生することがあり、約30モル比率を超過する場合、必要以上の官能化化合物を使用するようになって、官能化化合物に投入される費用および未反応物質除去のための費用が増加して経済的でないという問題点が発生することがある。
前記混合液は、以後に亜臨界条件乃至超臨界条件での反応を行うために反応槽に高圧で注入することができる。反応槽に注入される時の圧力は特に制限されないが、好ましくは約30atm〜約500atmであり得る。
このように注入された混合液は、予熱する段階を通じて約25〜約500℃、好ましくは約50〜約400℃、さらに好ましくは約200〜約400℃の温度で予熱することができる。このような予熱過程を通じて反応槽内の温度を一定に維持できる効果を得ることができる。
前記予熱された混合液は、加熱、加圧過程を通じて亜臨界乃至超臨界状態に到達できる。前記混合液内に含まれている溶媒は、この条件で亜臨界流体乃至超臨界流体になり得、もし溶媒内に水、二酸化炭素、またはアルコールが含まれている場合、この状態でそれぞれ亜臨界水乃至超臨界水、亜臨界二酸化炭素乃至超臨界二酸化炭素、または亜臨界アルコール乃至超臨界アルコール状態に到達できる。
前記混合液内に剥離されたまま存在するグラフェン酸化物は前記亜臨界流体乃至超臨界流体と反応(脱酸素反応)を起こすことができ、この反応を通じてグラフェン酸化物が還元されてグラフェンを形成することができる。前記脱酸素反応は、亜臨界流体乃至超臨界流体とグラフェン酸化物の反応のみでも行われ得るが、前記混合液内に含まれている官能化化合物のアミン基によってさらに効果的に促進され得る。前記官能化化合物に存在するアミン基は、還元剤としてグラフェン酸化物を還元させることができて、前記脱酸素反応を効率的に起こすことができ、それと同時にグラフェン表面を官能化して、効果的に官能化グラフェンを製造するのに役立つ。前記反応を通じてグラフェン酸化物はグラフェンで還元され、官能化化合物に含まれている硫黄原子を含む官能基がグラフェン表面あるいはグラフェン縁(edge)に導入されて官能化グラフェンが製造され得る。
本発明の一実施形態によれば、前記亜臨界条件乃至超臨界条件の温度は約25〜約600℃であり、好ましくは約50〜約500℃、さらに好ましくは約200〜約500℃であり得る。温度が過度に低い場合、亜臨界流体乃至超臨界流体の還元力が低下し剥離されたグラフェン酸化物の脱酸素反応が効果的に行われないことがあり、温度が過度に高い場合、高温条件を維持するための費用のため、経済性が低下することがある。
本発明の一実施形態によれば、前記亜臨界条件乃至超臨界条件の圧力は約1〜約500atmであり、好ましくは約100〜約500atmであり得る。圧力が約1atm未満である場合、前記グラフェン酸化物および官能化化合物の反応が効率的でないことがあり、亜臨界流体乃至超臨界流体の還元力が低下し剥離されたグラフェン酸化物の脱酸素反応が効果的に行われないことがあり、圧力が約500atmを超過する場合、高圧条件を維持するための費用のため、経済性が低下することがある。
その後、形成された官能化グラフェンを回収する段階では、前記の反応を通じて形成された官能化グラフェンを溶媒を含んだ混合物から分離して回収することができる。分離は溶媒などを含んでいる混合液の乾燥、遠心分離またはろ過などの方法を用いることができ、前記生成された官能化グラフェンと混合液を分離できる方法は特別な制限なく用いることができる。
本発明の一実施形態によれば、前記官能化グラフェンを形成する段階以後、前記官能化グラフェンを回収する段階以前に、形成された官能化グラフェンを高圧ろ過する段階をさらに含むことができる。前記のように反応条件の圧力が低められない高圧でのろ過過程を通じてさらに効果的に純度の高い官能化グラフェンを分離することができる。
本発明のまた他の一実施形態によれば、前記官能化グラフェンを形成する段階以後、前記官能化グラフェンを回収する段階以前、前記のろ過段階で、形成された官能化グラフェンを洗浄する段階をさらに含むことができる。ろ過段階で使用される高圧フィルターに蒸留水を高圧注入して供給することによって連続的に洗浄過程を行うことができ、このような洗浄過程を通じて官能化グラフェンに残留している溶媒、未反応、副反応物質などの不純物を効果的に除去することができる。
一方、本発明の一側面による官能化グラフェン製造装置は、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する混合槽;前記混合槽から前記混合液の供給を受けて予熱する予熱槽;前記予熱槽後端に連結され、前記溶媒の亜臨界条件乃至超臨界条件で前記混合液の反応が起こる反応槽;前記反応槽後端に連結され、前記反応の生成物を冷却させる冷却器;および前記冷却器後端に連結され、前記生成物から官能化グラフェンを回収する回収槽を含む。
図1および図2は、本発明の一実施形態による官能化グラフェン製造装置を例示的に示す図である。
図1および図2に示すように、本発明の一側面による官能化グラフェン製造装置は、グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する混合槽100;前記混合槽から前記混合液の供給を受けて予熱する予熱槽200;前記予熱槽後端に連結され、前記溶媒の亜臨界条件乃至超臨界条件で前記混合液の反応が起こる反応槽300;前記反応槽後端に連結され、前記反応の生成物を冷却させる冷却器15;および前記冷却器後端に連結され、前記生成物から官能化グラフェンを回収する回収槽510、511、512を含む。また、前記冷却器と回収槽の間に備えられ、生成物を回収することに適切な温度および圧力で冷却および解圧することができる冷却解圧槽400をさらに含むこともできる。
前記の一連の連続した装置で起こる反応は、例えば、次の通りである。混合槽100で混合液を形成し、前記混合液を高圧注入ポンプ12を通じて予熱槽200に伝達する。混合液は予熱槽200で約25〜約500℃、好ましくは約50〜約400℃、さらに好ましくは約200〜約400℃の温度で予熱された後、反応槽300に伝達される。反応槽300では前記官能化グラフェンの製造方法で詳述した反応が行われる。反応を通じて形成された官能化グラフェンは冷却器15に伝達され、冷却器15および/または冷却解圧槽400で約20〜約50℃に冷却された後に回収槽510、511、512で回収される。
本発明の官能化グラフェン製造装置は、前記混合槽100に連結され、前記グラファイト酸化物、溶媒、およびアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を循環させながら混合して混合液を形成する循環ポンプ11をさらに含むことができる。混合槽100内で混合された予備混合液は、前記の循環ポンプ11を経て混合槽に戻ってきながら均一に混合されて、反応にさらに適した状態で予熱槽200に投入され得る。
本発明のまた他の一実施形態によれば、前記官能化グラフェン製造装置は、前記混合槽100と前記予熱槽200の間に備えられ、前記混合槽の混合液を前記予熱槽に供給する高圧注入ポンプ12をさらに含むことができる。前記高圧注入ポンプは、混合槽の混合液を予熱槽に前述の約30atm〜約500atmの圧力範囲で供給することができる。
一方、本発明のまた他の一実施形態によれば、前記官能化グラフェン製造装置は、前記反応槽300前端に連結され、官能化化合物を反応槽に供給する官能化化合物注入ポンプ14をさらに含むことができる。官能化化合物は、混合槽100で最初からグラファイト化合物と混合されたまま反応槽300に供給することもできるが、前記官能化化合物注入ポンプ14を通じて直接反応槽300に供給することもできる。
本発明のまた他の一実施形態によれば、前記官能化グラフェン製造装置は、前記混合槽100と予熱槽200の間に備えられ、前記反応槽300後端および冷却器15前端に連結される熱交換機13をさらに含むことができる。このような熱交換機13は、反応槽300で反応を終えた生成物の熱を前記予熱槽200の混合液に伝達することができる。反応槽300で反応を終えた生成物は前記の熱交換機13を経るようになり、熱交換機13を通じて予熱槽200に熱を伝達しながら約150〜約300℃に冷却され、同時に予熱槽200では伝達される熱を用いて予熱を行うことができる。前記熱交換機13を通じて起こる熱交換によって生成物の冷却と反応物の予熱に必要なエネルギーを節約することができる。
本発明の一実施形態によれば、前記官能化グラフェン製造装置の回収槽511、512は、冷却器から伝達された生成物をろ過する濾過器501、502をさらに含むこともできる。このような濾過器501、502は、高圧フィルターを含むことができる。反応槽300で反応を終えて冷却された生成物が高圧状態で濾過器501、502を通過することによって高圧ろ過が可能になり、このような濾過器501、502での高圧ろ過過程を通じてさらに効果的に純度の高い官能化グラフェンを分離することができる。前記高圧フィルターは別途の圧力調節器17、18が付着されていてもよく、このような圧力調節器を通じてろ過圧力を適切に調節することができる。
また、このような濾過器501、502は、蒸留水注入ポンプ16と連結されていてもよい。高圧フィルターに蒸留水注入ポンプ16を通じて蒸留水を高圧注入しながら生成物を洗浄することができ、洗浄過程を通じて官能化グラフェンに残留している溶媒、未反応、副反応物質などの不純物を効果的に容易に除去することができる。
一方、本発明のまた他の一側面によれば、硫黄原子を含む官能基で官能化されたグラフェンが提供される。官能化グラフェンとは、表面および縁に官能基を有するグラフェンを言い、前記官能基は特に制限されないが、前記官能化化合物から導入され、硫黄原子を含むものであり得る。具体的に例えば、スルフィド基、アルキルスルフィド基、アミノアルキルスルフィド基、スルホキシド基、アルキルスルホキシド基、アミノアルキルスルホキシド基、スルホン基、アルキルスルホン基、アミノアルキルスルホン基、チオール基含有官能基、チオ基含有官能基などであり得る。
本発明の官能化されたグラフェンは、XPSで測定した時、約0.1〜約20wt%の硫黄原子を含むものであり、好ましくは約0.1〜約15wt%の硫黄原子を含むものであり、さらに好ましくは約1〜約10wt%の硫黄原子を含むものであり得る。硫黄原子の重量比率が前記範囲にあることが、前述のようにグラフェンの表面または縁に官能基が導入されることによって得られる効果のために適切である。
一方、前記官能化されたグラフェンは、XPSで測定した時、硫黄(S)の2p電子軌道に起因するピーク、即ち、約155〜約175eVで特徴的なピークが現れるものであり、より好ましくは約160〜約170eVで特徴的なピークが現れるものであり得る。前記特徴的なピークとは、当該ピーク周辺の背景信号(white noise)に比べて約10倍以上の強度(intensity)を示して、肉眼で簡単に区分が可能なピークを言い、前記約155〜約175eV、好ましくは約160〜約170eVで現れる特徴的なピークは硫黄原子のS2pによる結合エネルギー(binding energy)を示すものであるところ、これによってグラフェンの表面または縁に硫黄原子を含む官能基が導入されたのを確認することができる。
前記官能化されたグラフェンは前述の製造方法によって製造されるものであり得るので、製造方法に対するより詳細な説明は省略する。
本発明の官能化されたグラフェンは、グラフェンの表面および縁に導入された官能基の立体障害効果によって、グラファイトから分離されたグラフェンが再度付着される現象(restacking)を防止することができるため、グラフェンの品質を高めることができ、親水性の電子供与元素と疎水性分子によるグラフェン表面の極性調節が可能であることによって多様なマトリックス(溶液あるいは固体)の極性に合わせて混用性が高くなり、これによって優れた分散性を示すことができる。また、チオ化合物は金属に対する腐食防止特性を有しているため、グラフェンのバリア特性を利用した金属の腐食を防止することに効果的であり得る。
また、硫黄のような高い電子供与元素によって官能化されて、電子および正孔の流動性(electron and hole mobility)が高まることによって、官能化されないグラフェンに比べて向上した電気伝導性を示すことができる。
したがって、バリア素材、軽量素材、エネルギー、バッテリー、電子、電気、半導体、ディスプレイ、家電、携帯電話機、ナノ産業、バイオ、高分子複合材、金属複合材、ペイント、ペースト、インク、水処理、廃水処理、帯電防止素材、静電分散素材、伝導性素材、電磁波遮蔽材料、電磁波吸収材、RF(Radio Frequency)吸収材、太陽電池用材料、燃料感応用電池(DSSC)用電極材料、電気素子材料、電子素子材料、半導体素子材料、光電素子材料、ノートパソコン部品材料、コンピュータ部品材料、携帯電話機部品材料、PDA部品材料、PSP部品材料、ゲーム機用部品材料、ハウジング材料、透明電極材料、不透明電極材料、電界放出ディスプレイ(FED;field emission display)材料、BLU(back light unit)材料、液晶表示装置(LCD;liquid crystal display)材料、プラズマ表示パネル(PDP;plasma display panel)材料、発光ダイオード(LED;Light Emitting diode)材料、タッチパネル材料、電光板材料、広告板材料、ディスプレイ素材、発熱体、防熱体、メッキ材料、触媒、助触媒、酸化剤、還元剤、自動車部品材料、船舶部品材料、航空機器部品材料、保護テープ材料、接着剤材料、トレイ材料、クリーンルーム材料、運送機器部品材料、難燃素材、抗菌素材、金属複合材料、非鉄金属複合材料、鋼板材料、医療機器用材料、建築材料、床材材料、壁紙材料、光源部品材料、ランプ材料、光学機器部品材料、繊維製造用材料、衣類製造用材料、電気製品用材料、電子製品製造用材料、2次電池用正極活物質、2次電池用負極活物質、導電材などの2次電池材料、燃料電池材料、太陽電池材料、メモリ素子およびキャパシター材料などのような多様な領域で有用に用いることができる。
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳述する。但し、このような実施例は発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が決められるのではない。
[実施例]
<実施例>
[グラファイト酸化物の製造]
[製造例]
Hummers法によってグラファイト酸化物を製造した。
0℃で2リットルの3口丸底フラスコ(3−neck round bottom flask)に黒鉛10gと硝酸ナトリウム5gを混合して攪拌しながら98%濃度の硫酸250mlを徐々に点滴した。温度を5℃で維持しながら2時間徐々にかき回した。2時間後、35℃の温度を維持しながら40gの過マンガン酸カリウムを徐々に注入した。高速で攪拌しながら500mlの蒸留水を徐々に点滴し、その後、3%濃度の過酸化水素水36mlを点滴し、3%塩酸水溶液275mlを点滴し、これをろ過した後、3%塩酸水溶液900mlで洗浄し、その次に蒸留水3リットルで洗浄した。洗浄されたフィルターケークを40℃真空オーブンで24時間乾燥してグラファイト酸化物を得た。
[官能化グラフェンの製造]
[実施例1]
図2に示された装置を用いてグラフェンを製造した。
まず、混合槽100に前記製造例で製造されたグラファイト酸化物5gと蒸留水972.7gを入れた後、攪拌しながらチオ尿素(S=C(NH)23.3g(0.3M)を添加し、循環ポンプ11で循環させてチオ尿素が含まれている混合液を製造した。前記混合液を高圧注入ポンプ12で14g/minの流速で予熱槽200に投入した。製造された混合液は、熱交換機13を通過して予熱槽200に伝達され、予熱槽200で280℃の温度で予熱した。
前記予熱された混合液を反応槽300に投入した。反応槽の内部を350℃の温度および250atmの圧力を維持しながら、亜臨界条件で脱酸素反応とグラフェン官能化反応を行った。前記反応を経た生成物を再び熱交換機13に移送して200℃に1次冷却し、再び冷却器15を通じて26℃に冷却させた。冷却された結果物を濾過器501、502でろ過した。この時、蒸留水注入ポンプ16によって蒸留水を注入しながら連続的に洗浄し、圧力調節器17、18を通じて1atmに解圧した後、生成されたグラフェン化合物を濾過器が含まれている回収槽511、512で回収した。前記の連続的な工程によって官能化グラフェン3.9gを得た。
[実施例2]
前記予熱温度を300℃とし、反応温度を380℃として、超臨界条件で反応させたことを除いては、実施例1と同様に実施して官能化グラフェン3.5gを得た。
[比較例1]
製造例1で製造されたグラファイト酸化物10gを300〜400℃電気炉に2分間熱処理してグラフェン8.4gを得た。
前記の反応条件を整理すれば下記表1の通りである。
前記製造例で製造されたグラファイト酸化物、実施例および比較例で製造されたグラフェンに対して元素分析機(elemental analyzer、EA)を用いて、炭素および酸素の含量を測定した。
一方、前記実施例に使用されたグラファイト酸化物(5g)中の酸素含量は40.1%(2.005g)で、0.125molであり、これに対して使用された官能化化合物(23.3g、0.306mol)のモル比は2.45である。
前記得られたグラフェンの量、グラフェンの各元素含量、グラファイト酸化物に含まれている酸素に対する使用した官能化化合物のモル比を整理すれば下記表2の通りである。
前記表2に示すように、比較例1の場合、反応に用いたグラファイト酸化物に対して、最も多量の生成物を収得したことが確認された。これは比較例1で得られたグラフェンに還元が効果的に行われず酸素を多量で含有しているためであり、これは比較例1の酸素原子含有量が実施例1および2に比べて非常に高いことを通じて確認することができる。
図5および図6は、本発明の実施例1および比較例1で得られたグラフェンのSEMおよびTEMイメージである。
図5および図6に示すように、比較例1はグラフェンがほとんど剥離されずグラファイトの層状構造をそのままなしているのを確認することができるのに比べて、実施例1はグラファイトからグラフェンが剥離されて層状構造がほとんど観察されないことが分かる。即ち、比較例1より実施例1でさらに効果的にグラファイトから剥離されてグラフェンが生成されたことが分かる。これは、実施例1で官能化化合物によってグラフェンの表面および縁に官能基が導入され、その立体障害効果によって、グラファイトから分離されたグラフェンが再度付着される現象(restacking)を防止することができグラフェン剥離特性が優れるようになることによる効果であると考えられる。
<実験例>
[ラマンスペクトル測定]
前記実施例1および比較例1で得られたグラフェンを用いてラマンスペクトルを測定し、測定された結果を図3に示した。
図3に示すように、実施例1の場合、2700cm−1付近で比較例1にはほとんど現れないピークが形成されたことが分かる。これはグラフェンがグラファイトから効果的に剥離され還元度が高いということを示す2Dピークであって、比較例1より実施例1で高品質のグラフェンが製造されたのを確認することができる。
[赤外線分光スペクトル測定]
前記実施例1および比較例1で得られたグラフェンを用いて赤外線分光スペクトルを測定した。測定された結果を図4に示した。
図4に示すように、比較例1で現れる3300cm−1のヒドロキシ基と1760cm−1のカルボニル基および1130cm−1のC−O結合およびエポキシ基に該当するピークが、実施例1では顕著に小さく現れたのを観察することができるので、還元が効果的に行われたのを確認することができる。
[XPS測定]
前記製造例で得られたグラファイト酸化物、実施例1および2で得られたグラフェンを用いてXPS(X−ray photoelectron spectroscopy)を測定して、測定された結果を図7に示した。
図7に示すように、グラフェンの表面および縁に硫黄を含む官能基の導入(160〜170eV)と導入量を確認することができる。製造例の場合はO1s(510〜540eV)のピークが非常に高く、S2p(160〜170eV)はほとんど検出されない反面、実施例1および2では製造例に比べてO1sピークが顕著に低くS2pピークが検出され官能化グラフェンが生成物として得られたのを確認することができる。
また、前記XPSの分析結果、実施例1および2の場合、硫黄含量がそれぞれ3.8wt%および4.0wt%に計算され、これも官能化化合物によってグラフェンの表面および縁に硫黄原子を含む官能基が導入されたことで確認できる。
[XRD測定]
前記製造例のグラファイト酸化物および実施例1、比較例1で得られたグラフェンを用いてXRD(X−ray diffraction)を測定して、測定された結果を図8に示した。
図8に示すように、グラファイト酸化物の典型的なピークである2θ=11゜ピークが実施例1ではほとんど現れず、グラフェンの002面ピークに該当する2θ=21〜26゜でグラフェン結晶ピークが現れたのを観察することができる。反面、比較例1の場合は2θ=11゜のピークの大きさ減少が実施例1より小さく002面のピークが実施例1より小さくて、還元後、グラフェンの結晶構造を示していないことが分かる。
11 循環ポンプ
12 高圧注入ポンプ
13 熱交換機
14 官能化化合物注入ポンプ
15 冷却器
16 蒸留水注入ポンプ
17 18:圧力調節器
100 混合槽
200 予熱槽
300 反応槽
400 冷却解圧槽
501、502 濾過器
510、511、512 回収槽

Claims (9)

  1. グラファイト酸化物、溶媒、並びにアミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物を含む混合液を形成する段階;
    前記混合液を200〜500℃で予熱する段階;
    前記混合液を前記溶媒の超臨界条件で反応させて官能化グラフェンを形成する段階;および
    前記官能化グラフェンを回収する段階を含み、
    前記超臨界条件の温度は、200〜500℃であり、
    前記超臨界条件の圧力は、100〜500atmである、官能化グラフェンの製造方法。
  2. 前記アミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物は、下記化学式1、化学式2、および化学式3で表される化合物からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の官能化グラフェンの製造方法:
    上記化学式1、2、および3において、
    R1〜R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、アミノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜20のヒドロカルビルアミノ基、または炭素数1〜20のヒドロキシアルキルアミノ基であり、
    前記R1およびR2のうちの少なくとも一つ、前記R3およびR4のうちの少なくとも一つ、前記R5およびR6のうちの少なくとも一つはアミノ基、炭素数1〜20のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜20のヒドロカルビルアミノ基、または炭素数1〜20のヒドロキシアルキルアミノ基である。
  3. 前記溶媒は、水、アルコール、二酸化炭素、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の官能化グラフェンの製造方法。
  4. 前記グラファイト酸化物は、グラファイト酸化物前駆体を酸および酸化剤で処理して形成されるものである、請求項1に記載の官能化グラフェンの製造方法。
  5. 前記グラファイト酸化物前駆体は、グラファイト、グラフェン、グラファイトナノプレートレット、グラフェンナノプレートレット、膨張黒鉛、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンブラック、活性炭、炭、炭素ナノリボン、炭素ナノワイヤー、炭素ナノクレイ、炭素ナノチューブ、ピッチ系炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ガラス繊維、およびアスファルトからなる群より選択された1種以上である、請求項4に記載の官能化グラフェンの製造方法。
  6. 前記溶媒は、前記グラファイト酸化物100重量部に対して10〜100,000重量部で含まれる、請求項1に記載の官能化グラフェンの製造方法。
  7. 請求項1において、前記アミン基および硫黄原子を全て含む官能化化合物は前記グラファイト酸化物中に含まれている酸素に対して0.1〜30モル比率で含まれる官能化グラフェンの製造方法。
  8. 前記官能化グラフェンを形成する段階以後、前記官能化グラフェンを回収する段階以前に、高圧ろ過する段階をさらに含む、請求項1に記載の官能化グラフェンの製造方法。
  9. 前記官能化グラフェンを形成する段階以後、前記官能化グラフェンを回収する段階以前に、形成された官能化グラフェンを洗浄する段階をさらに含む、請求項1に記載の官能化グラフェンの製造方法。
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