以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムの実施形態について説明する。
<構成>
図1は、実施形態の車両制御システム100が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の構成要素を示す図である。車両制御システム100が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の自動車であり、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関を動力源とした自動車や、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関および電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。電気自動車は、例えば、二次電池、水素燃料電池、金属燃料電池、アルコール燃料電池等の電池により放電される電力を使用して駆動される。
図1に示すように、自車両Mには、ファインダ20−1から20−7、レーダ30−1から30−6、およびカメラ40等のセンサと、ナビゲーション装置50と、車両制御システム100とが搭載される。
ファインダ20−1から20−7は、例えば、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を測定するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。例えば、ファインダ20−1は、フロントグリル等に取り付けられ、ファインダ20−2および20−3は、車体の側面やドアミラー、前照灯内部、側方灯付近等に取り付けられる。ファインダ20−4は、トランクリッド等に取り付けられ、ファインダ20−5および20−6は、車体の側面や尾灯内部等に取り付けられる。上述したファインダ20−1から20−6は、例えば、水平方向に関して150度程度の検出領域を有している。また、ファインダ20−7は、ルーフ等に取り付けられる。ファインダ20−7は、例えば、水平方向に関して360度の検出領域を有している。
レーダ30−1および30−4は、例えば、奥行き方向の検出領域が他のレーダよりも広い長距離ミリ波レーダである。また、レーダ30−2、30−3、30−5、30−6は、レーダ30−1および30−4よりも奥行き方向の検出領域が狭い中距離ミリ波レーダである。
以下、ファインダ20−1から20−7を特段区別しない場合は、単に「ファインダ20」と記載し、レーダ30−1から30−6を特段区別しない場合は、単に「レーダ30」と記載する。レーダ30は、例えば、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体を検出する。
カメラ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の個体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ40は、フロントウィンドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ40は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの前方を撮像する。カメラ40は、複数のカメラを含むステレオカメラであってもよい。
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
図2は、実施形態に係る車両制御システム100を搭載した自車両Mの機能構成図である。自車両Mには、ファインダ20、レーダ30、およびカメラ40の他、ナビゲーション装置50と、車両センサ60と、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー(或いはパドルシフト)、ステアリングホイールなどの操作デバイス(操作子)70と、アクセル開度センサ、ブレーキ踏量センサ(ブレーキスイッチ)、シフト位置センサ、ステアリング操舵角センサ(またはステアリングトルクセンサ)などの操作検出センサ72と、切替スイッチ80と、走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、ブレーキ装置94と、車両制御システム100とが搭載される。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。例示した操作デバイスはあくまで一例であり、ジョイスティック、ボタン、ダイヤルスイッチ、GUI(Graphical User Interface)スイッチなどが自車両Mに搭載されても構わない。なお、特許請求の範囲における車両制御システムは、車両制御システム100だけでなく、図2に示した構成のうち、車両制御システム100以外の構成(ファインダ20など)を含んでもよい。
ナビゲーション装置50は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機や地図情報(ナビ地図)、ユーザインターフェースとして機能するタッチパネル式表示装置、スピーカ、マイク等を有する。ナビゲーション装置50は、GNSS受信機によって自車両Mの位置を特定し、その位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導出する。ナビゲーション装置50により導出された経路は、車両制御システム100の目標車線決定部110に提供される。自車両Mの位置は、車両センサ60の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、車両制御システム100が手動運転モードを実行している際に、目的地に至る経路について音声やナビ表示によって案内を行う。なお、自車両Mの位置を特定するための構成は、ナビゲーション装置50とは独立して設けられてもよい。また、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。この場合、端末装置と車両制御システム100との間で、無線または有線による通信によって情報の送受信が行われる。
車両センサ60は、車速を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
表示部62は、情報を画像として表示する。表示部62は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electroluminescence)表示装置、ヘッドアップディスプレイなどを含む。表示部62は、ナビゲーション装置50が備える表示部や、自車両Mの状態(速度等)を表示するインストルメントパネルの表示部であってもよい。スピーカ64は、情報を音声として出力する。
操作検出センサ72は、検出結果としてのアクセル開度、ブレーキ踏量、シフト位置、ステアリング操舵角、ステアリングトルクなどを車両制御システム100に出力する。なお、これに代えて、運転モードによっては操作検出センサ72の検出結果が、直接的に走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、またはブレーキ装置94に出力されてもよい。
切替スイッチ80は、車両乗員によって操作されるスイッチである。切替スイッチ80は、車両乗員の操作を受け付け、自車両Mの運転モードを指定する運転モード指定信号を生成し、切替制御部170に出力する。切替スイッチ80は、GUIスイッチ、機械式スイッチのいずれであってもよい。
走行駆動力出力装置90は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置90は、例えば、自車両Mが内燃機関を動力源とした自動車である場合、エンジン、変速機、およびエンジンを制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)を備え、自車両Mが電動機を動力源とした電気自動車である場合、走行用モータおよび走行用モータを制御するモータECUを備え、自車両Mがハイブリッド自動車である場合、エンジン、変速機、およびエンジンECUと走行用モータおよびモータECUとを備える。走行駆動力出力装置90がエンジンのみを含む場合、エンジンECUは、後述する走行制御部160から入力される情報に従って、エンジンのスロットル開度やシフト段等を調整する。走行駆動力出力装置90が走行用モータのみを含む場合、モータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、走行用モータに与えるPWM信号のデューティ比を調整する。走行駆動力出力装置90がエンジンおよび走行用モータを含む場合、エンジンECUおよびモータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、互いに協調して走行駆動力を制御する。
ステアリング装置92は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、車両制御システム100から入力される情報、或いは入力されるステアリング操舵角またはステアリングトルクの情報に従って電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
ブレーキ装置94は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、制動制御部とを備える電動サーボブレーキ装置である。電動サーボブレーキ装置の制動制御部は、走行制御部160から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。電動サーボブレーキ装置は、ブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置94は、上記説明した電動サーボブレーキ装置に限らず、電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。電子制御式油圧ブレーキ装置は、走行制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する。また、ブレーキ装置94は、走行駆動力出力装置90に含まれ得る走行用モータによる回生ブレーキを含んでもよい。
[車両制御システム]
以下、車両制御システム100について説明する。車両制御システム100は、例えば、一以上のプロセッサまたは同等の機能を有するハードウェアにより実現される。車両制御システム100は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、記憶装置、および通信インターフェースが内部バスによって接続されたECU、或いはMPUなどが組み合わされた構成であってよい。
車両制御システム100は、例えば、目標車線決定部110と、自動運転制御部120と、記憶部180とを備える。自動運転制御部120は、例えば、自車位置認識部122と、外界認識部130と、行動計画生成部140と、軌道生成部150と、走行制御部160と、切替制御部170とを備える。行動計画生成部140と、軌道生成部150と、走行制御部160とを合わせたものは、「制御部」の一例である。
目標車線決定部110、および自動運転制御部120の各部のうち一部または全部は、プロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
記憶部180には、例えば、高精度地図情報182、目標車線情報184、行動計画情報186などの情報が格納される。記憶部180は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め記憶部180に格納されていてもよいし、車載インターネット設備等を介して外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムは、そのプログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部180にインストールされてもよい。また、車両制御システム100は、複数のコンピュータ装置によって分散化されたものであってもよい。
目標車線決定部110は、例えば、MPUにより実現される。目標車線決定部110は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、高精度地図情報182を参照してブロックごとに目標車線を決定する。目標車線決定部110は、例えば、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。目標車線決定部110は、例えば、経路において分岐箇所や合流箇所などが存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な走行経路を走行できるように、目標車線を決定する。目標車線決定部110により決定された目標車線は、目標車線情報184として記憶部180に記憶される。
高精度地図情報182は、ナビゲーション装置50が有するナビ地図よりも高精度な地図情報である。高精度地図情報182は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、高精度地図情報182には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。交通規制情報には、工事や交通事故、渋滞等によって車線が封鎖されているといった情報が含まれる。
図3は、自車位置認識部122の構成の一例を示す図である。自車位置認識部122は、例えば、走行車線中央認識部123と、相対位置認識部124と、場面ごと切替部125と、第1の判定部126と、第2の判定部127とを備える。
走行車線中央認識部123は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報に基づいて、目標車線決定部110により決定された目標車線の車線中央CLを認識する。まず、走行車線中央認識部123は、上記情報に基づいて、目標車線がどの車線であるかを認識する。走行車線中央認識部123は、例えば、高精度地図情報182から認識される道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ40によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、目標車線がどの車線であるかを認識する。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。そして、走行車線中央認識部123は、認識した目標車線の車線中央CLの位置を認識する。
図4は、車線中央CLが認識される場面の一例を示す図である。図中IMは、例えばカメラ40の撮像画像、あるいはファインダ20またはレーダ30の出力を統合した仮想領域を俯瞰的に表したものである。また、図中CLは、目標車線の中央(以下、車線中央)を表し、ML1は自車線の一方の道路区画線を表し、ML2は他方の道路区画線を表している。
図示のように、例えば、走行車線中央認識部123は、道路区画線ML1およびML2の位置関係に基づいて、道路区画線ML1およびML2の中間距離の地点を車線中央CLとして認識する。
相対位置認識部124は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報に基づいて、走行車線中央認識部123により認識された車線中央CLに対する自車両Mの相対位置を認識し、車線中央CLと自車両Mとの位置のずれを示す距離OSを車線ごとに導出する。
図5は、相対位置認識部124により車線中央CLに対する自車両Mの相対位置が認識される様子を示す図である。相対位置認識部124は、例えば、自車両Mの基準点G(例えば重心や後輪軸中心など)から車線中央CLまでの距離OS1、および自車両Mの進行方向の車線中央CLに対してなす角度θを、車線中央CLに対する自車両Mの相対位置として認識する。
なお、これに代えて、相対位置認識部124は、自車線L1のいずれかの側端部に対する自車両Mの基準点Gの位置などを、車線中央CLが設定された目標車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。相対位置認識部124により認識される自車両Mの相対位置は、目標車線決定部110に提供される。また、相対位置認識部124は、GNSS受信機等の受信電波を用いて、緯度経度等の絶対位置で自車両Mの位置を認識してもよい。また、相対位置認識部124は、走行駆動力出力装置90により出力される動力によって回転駆動する車輪(或いは車輪に接続されるシャフト等)の回転速度や回転数に基づいて、自車両Mの相対位置または絶対位置を補正してよい。また、相対位置認識部124は、相対位置および絶対位置を組み合わせて自車両Mの位置を認識してもよい。
場面ごと切替部125は、自車両Mの走行場面に基づいて、後述する第1の判定部126または第2の判定部127にそれぞれの処理を行わせる。例えば、場面ごと切替部125は、走行場面が所定の場面である場合には、第2の判定部127に処理を行わせ、走行場面が所定の場面以外の他の場面である場合には、第1の判定部126に処理を行わせる。
所定の場面とは、自車両Mの走行車線認識を厳密に行うと、制御にハンチングが生じたりして円滑な走行が行われなくなる場面である。所定の場面は、例えば、後述する分岐イベントが実施される場面である。また、所定の場面は、高精度地図情報182に含まれる交通規制情報により、目標車線上に工事現場や交通事故現場等の存在が判明している場面を含んでもよいし、車線変更イベントや合流イベントが実施される場面を含んでもよい。一方、所定の場面以外の他の場面は、少なくとも、後述するレーンキープイベントが実施される場面を含む。
第1の判定部126は、目標車線決定部110により決定された目標車線の幅に比して狭い幅Waを有する第1の領域を、目標車線の車線中央CLを中心として対称となるように設定する。そして、第1の判定部126は、自車両Mの基準点Gが第1領域内に収まっている場合には、自車両Mは目標車線を走行していると判定し、行動計画生成部140にその旨を出力する。一方、第1の判定部126は、自車両Mの基準点Gが第1領域内に収まっていない場合には、自車両Mは目標車線を走行していないと判定し、行動計画生成部140にその旨を出力する。この第1の領域内では、自車両Mの挙動のふらつきは許容され、第1の領域外では、後述する行動計画生成部140、軌道生成部150、走行制御部160により車線変更イベントが実施されることで、自車両Mが第1の領域内に戻される。
第2の判定部127は、幅Waに比して広い幅Wbを有する第2の領域を、目標車線の車線中央CLを中心として対称となるように設定する。幅Wbは、好ましくは、目標車線決定部110により決定された目標車線の幅に比して広い幅である。また、幅Wbは、目標車線の幅と同じであってもよいし、目標車線の幅に比して狭い幅であってもよい。そして、第2の判定部127は、自車両Mの基準点Gが第2領域内に収まっている場合には、自車両Mは目標車線を走行していると判定し、行動計画生成部140にその旨を出力する。一方、第2の判定部127は、自車両Mの基準点Gが第2領域内に収まっていない場合には、自車両Mは目標車線を走行してないと判定し、行動計画生成部140にその旨を出力する。
なお、上述した第1の領域と第2の領域とのうち一方または双方は、自車両Mの走行環境に基づいて、車線中央CLから右側或いは左側に寄った位置に設定されてもよい。例えば、目標車線の左側の路肩に駐車車両が存在するような場合、第1の領域または第2の領域は右側に寄せて設定されてもよい。
図6は、第1の領域および第2の領域が設定される場面の一例を示す図である。図6の例では、第1場面において、レーンキープイベントが実施され、第2場面において、分岐イベンが実施され、第3場面では、第1場面と同様にレーンキープイベントが実施される様子を表している。本図では、第2場面が「所定の場面」に相当する。
例えば、目的地が分岐先の車線L2の方向にある場合、目標車線は、分岐点DPまでの車線L1、分岐点DPよりも先は車線L2と設定される。走行車線中央認識部123は、分岐元の車線L1と、分岐先の車線L2とのそれぞれにおいて車線中央CLを認識する。図中CL1は、分岐元の車線L1において認識された車線中央を表し、CL2は、分岐先の車線L2において認識された車線中央を表している。図示の例では、場面ごと切替部125は、第1場面および第3場面では、第1の判定部126に処理を行わせ、所定の場面である第2場面では、第2の判定部127に処理を行わせる。従って、図示のように、第1場面および第3場面では、第1の領域が設定され、第2場面では、第2の領域が設定される。
外界認識部130は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40等から入力される情報に基づいて、周辺車両の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。周辺車両とは、例えば、自車両Mの周辺を走行する車両であって、自車両Mと同じ方向に走行する車両である。周辺車両の位置は、他車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、他車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の「状態」とは、上記各種機器の情報に基づいて把握される、周辺車両の加速度、車線変更をしているか否か(あるいは車線変更をしようとしているか否か)を含んでもよい。
また、外界認識部130は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者、その他の物体の位置を認識してもよい。特に、外界認識部130は、目標車線決定部110により決定された目標車線上において、車道上の落下物や、停車している周辺車両、工事現場付近の物標(例えばパイロンや看板)、歩行者などの障害物を認識する。
行動計画生成部140は、自動運転のスタート地点、および/または自動運転の目的地を設定する。自動運転のスタート地点は、自車両Mの現在位置であってもよいし、自動運転を指示する操作がなされた地点でもよい。行動計画生成部140は、そのスタート地点と自動運転の目的地との間の区間において、行動計画を生成する。なお、これに限らず、行動計画生成部140は、任意の区間について行動計画を生成してもよい。
行動計画は、例えば、順次実行される複数のイベントで構成される。イベントには、例えば、自車両Mを減速させる減速イベントや、自車両Mを加速させる加速イベント、目標車線を逸脱しないように自車両Mを走行させるレーンキープイベント、目標車線を変更させる車線変更イベント、自車両Mに前走車両を追い越させる追い越しイベント、分岐ポイントにおいて所望の車線に変更させたり、現在の目標車線を逸脱しないように自車両Mを走行させたりする分岐イベント、本線に合流するための合流車線において自車両Mを加減速させ、目標車線を変更させる合流イベント等が含まれる。行動計画生成部140は、目標車線決定部110により決定された目標車線が切り替わる箇所において、車線変更イベント、分岐イベント、または合流イベントを設定する。行動計画生成部140によって生成された行動計画を示す情報は、行動計画情報186として記憶部180に格納される。
図7は、ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。図示するように、行動計画生成部140は、目標車線情報184が示す目標車線上を自車両Mが走行するために必要な行動計画を生成する。なお、行動計画生成部140は、自車両Mの状況変化に応じて、目標車線情報184に拘わらず、動的に行動計画を変更してもよい。例えば、行動計画生成部140は、車両走行中に外界認識部130によって認識された周辺車両の速度が閾値を超えたり、自車線に隣接する車線を走行する周辺車両の移動方向が自車線方向に向いたりした場合に、自車両Mが走行予定の運転区間に設定されたイベントを変更する。例えば、レーンキープイベントの後に車線変更イベントが実行されるようにイベントが設定されている場合において、外界認識部130の認識結果によって当該レーンキープイベント中に車線変更先の車線後方から車両が閾値以上の速度で進行してきたことが判明した場合、行動計画生成部140は、レーンキープイベントの次のイベントを、車線変更イベントから減速イベントやレーンキープイベント等に変更してよい。この結果、車両制御システム100は、外界の状態に変化が生じた場合においても、安全に自車両Mを自動走行させることができる。
また、行動計画生成部140は、上述した第1の判定部126および第2の判定部127による判定結果に基づいて、生成した行動計画を変更する。例えば、行動計画生成部140は、第1の判定部126または第2の判定部127により、「自車両Mが目標車線決定部110により決定された目標車線を走行していない」と判定された場合、現在実行中のイベント、または当該イベントの次に予定されるイベントを車線変更イベントに変更する。これによって、自車両Mは、車線変更することで本来走行すべき目標車線(目標車線決定部110により決定された目標車線)上に移動することになる。
図8は、軌道生成部150の構成の一例を示す図である。軌道生成部150は、例えば、走行態様決定部151と、軌道候補生成部152と、評価・選択部153と、車線変更制御部154とを備える。
走行態様決定部151は、レーンキープイベントを実施する際に、定速走行、追従走行、減速走行、カーブ走行、障害物回避走行などのうちいずれかの走行態様を決定する。例えば、走行態様決定部151は、自車両Mの前方に他車両が存在しない場合に、走行態様を定速走行に決定する。また、走行態様決定部151は、前走車両に対して追従走行するような場合に、走行態様を追従走行に決定する。また、走行態様決定部151は、外界認識部130により前走車両の減速が認識された場合や、停車や駐車などのイベントを実施する場合に、走行態様を減速走行に決定する。また、走行態様決定部151は、外界認識部130により自車両Mがカーブ路に差し掛かったことが認識された場合に、走行態様をカーブ走行に決定する。
軌道候補生成部152は、走行態様決定部151により決定された走行態様に基づいて、走行車線中央認識部123により認識された目標車線の車線中央CLに沿って軌道の候補を生成する。本実施形態における軌道とは、将来の所定時間ごと(或いは所定走行距離ごと)の自車両Mの基準位置(例えば重心や後輪軸中心)が到達すべき目標位置の集まりである。以下、将来の所定時間ごと(或いは所定走行距離ごと)の目標位置のそれぞれを点で表し、この点を軌道点と称して説明する。
軌道候補生成部152は、少なくとも、外界認識部130により認識された自車両Mの前方に存在する対象OBの速度、および自車両Mと対象OBとの距離に基づいて自車両Mの目標速度を算出する。軌道候補生成部152は、算出した目標速度に基づいて一以上の軌道を生成する。対象OBとは、前走車両や、合流地点、分岐地点、目標地点などの地点、障害物などの物体等を含む。
図9は、軌道候補生成部152により生成される軌道の候補の一例を示す図である。なお、本図および後述する図11において、複数設定され得る軌道の候補のうち代表的な軌道または評価・選択部153により選択された軌道のみ表記して説明する。図中(A)に示すように、例えば、軌道候補生成部152は、自車両Mの現在位置を基準に、現時刻から所定時間Δt経過するごとに、K(1)、K(2)、K(3)、…といった軌道点を車線中央CLに沿って設定する。以下、これら軌道点を区別しない場合、単に「軌道点K」と表記する場合がある。
走行態様決定部151により走行態様が定速走行に決定された場合、軌道候補生成部152は、図中(A)に示すように、等間隔で複数の軌道点Kを車線中央CLに沿って設定する。このような単純な軌道が生成される場合、軌道候補生成部152は、軌道を一つのみ生成するものとしてよい。
走行態様決定部151により走行態様が減速走行に決定された場合(追従走行において前走車両が減速した場合も含む)、軌道候補生成部152は、図中(B)に示すように、到達する時刻がより早い軌道点Kほど間隔を広くし、到達する時刻がより遅い軌道点Kほど間隔を狭くして軌道を生成する。この場合において、前走車両が対象OBに設定されたり、前走車両以外の合流地点や、分岐地点、目標地点などの地点、障害物等が対象OBに設定されたりすることがある。これにより、自車両Mからの到達する時刻が遅い軌道点Kが自車両Mの現在位置と近づくため、後述する走行制御部160が自車両Mを減速させることになる。
走行態様決定部151により走行態様がカーブ走行に決定された場合、図中(C)に示すように、軌道候補生成部152は、道路の曲率に応じて、複数の軌道点Kを自車両Mの進行方向に対する横位置(車線幅方向の位置)を変更しながら配置する。
また、図中(D)に示すように、自車両Mの前方の道路上に歩行者や停止車両等の障害物OBが存在する場合、軌道候補生成部152は、この障害物OBを回避して走行するように、複数の軌道点Kを配置する。この際、軌道候補生成部152は、目標車線の車線中央CLから逸脱して軌道点Kを配置してよい。
評価・選択部153は、軌道候補生成部152により生成された軌道の候補に対して、例えば、計画性と安全性の二つの観点で評価を行い、走行制御部160に出力する軌道を選択する。計画性の観点からは、例えば、既に生成されたプラン(例えば行動計画)に対する追従性が高く、軌道の全長が短い場合に軌道が高く評価される。例えば、右方向に車線変更することが望まれる場合に、一旦左方向に車線変更して戻るといった軌道は、低い評価となる。安全性の観点からは、例えば、自車両Mと物体(周辺車両等)との距離が遠く、加減速度や操舵角の変化量などが小さい軌道ほど高く評価される。
車線変更制御部154は、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベントなどの車線の変更が必要なイベントが実施される場合、すなわち広義の車線変更が行われる場合に動作する。また、車線変更制御部154は、第1の判定部126により「第1の領域内に自車両Mが収まっていない」と判定された場合、または第2の判定部127により「第2の領域内に自車両Mが収まっていない」と判定された場合にも動作する。
図10は、車線変更イベントが実施される場合に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本図および図11、12を参照しながら処理について説明する。
まず、車線変更制御部154は、走行車線中央認識部123により認識された目標車線に対して隣接する隣接車線であって、車線変更先の隣接車線を走行する周辺車両から2台の周辺車両を選択し、これらの周辺車両の間にターゲット位置TAを設定する(ステップS100)。以下、隣接車線においてターゲット位置TAの直前を走行する周辺車両を前方基準車両mBと称し、隣接車線においてターゲット位置TAの直後を走行する周辺車両を後方基準車両mCと称して説明する。ターゲット位置TAは、自車両Mと前方基準車両mBおよび後方基準車両mCとの位置関係に基づく相対的な位置である。
図11は、ターゲット位置TAが設定される様子を示す図である。図中、mAは前走車両を表し、mBは前方基準車両を表し、mCは後方基準車両を表している。また、矢印dは自車両Mの進行(走行)方向を表し、L1は自車線を表し、L2は隣接車線を表している。図11の例の場合、車線変更制御部154は、隣接車線L2上において、前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間にターゲット位置TAを設定する。
次に、車線変更制御部154は、ターゲット位置TAに(すなわち前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に)車線変更が可能か否かを判定するための一次条件を満たすか否かを判定する(ステップS102)。
一次条件は、例えば、隣接車線に設けた禁止領域RAに周辺車両が一部でも存在せず、且つ、自車両Mと、前方基準車両mBおよび後方基準車両mCとのTTCがそれぞれ閾値よりも大きいことである。なお、この判定条件は、自車両Mの側方にターゲット位置TAを設定した場合の一例である。一次条件を満たさない場合、車線変更制御部154は、ステップS100に処理を戻し、ターゲット位置TAを再設定する。この際に、一次条件を満たすようなターゲット位置TAが設定できるタイミングまで待機したり、或いはターゲット位置TAを変更したりすることで、ターゲット位置TAの側方に移動するための速度制御が行われてもよい。
図11に示すように、車線変更制御部154は、例えば、自車両Mを車線変更先の車線L2に射影し、前後に若干の余裕距離を持たせた禁止領域RAを設定する。禁止領域RAは、車線L2の横方向の一端から他端まで延在する領域として設定される。
禁止領域RA内に周辺車両が存在しない場合、車線変更制御部154は、例えば、自車両Mの前端および後端を車線変更先の車線L2側に仮想的に延出させた延出線FMおよび延出線RMを想定する。車線変更制御部154は、延出線FMと前方基準車両mBの衝突余裕時間TTC(B)、および延出線RMと後方基準車両mCの後方基準車両TTC(C)を算出する。衝突余裕時間TTC(B)は、延出線FMと前方基準車両mBとの距離を、自車両Mおよび前方基準車両mBの相対速度で除算することで導出される時間である。衝突余裕時間TTC(C)は、延出線RMと後方基準車両mCとの距離を、自車両Mおよび前方基準車両mBの相対速度で除算することで導出される時間である。軌道生成部118は、衝突余裕時間TTC(B)が閾値Th(B)よりも大きく、且つ衝突余裕時間TTC(C)が閾値Th(C)よりも大きい場合に、一次条件を満たすと判定する。閾値Th(B)とTh(C)は同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
一次条件を満たす場合、車線変更制御部154は、車線変更のための軌道の候補を軌道候補生成部152に生成させる(ステップS104)。図12は、車線変更のための軌道が生成される様子を示す図である。例えば、軌道候補生成部152は、前走車両mA、前方基準車両mBおよび後方基準車両mCが所定の速度モデルで走行するものと仮定し、これら3台の車両の速度モデルと自車両Mの速度とに基づいて、自車両Mが前走車両mAと干渉せずに、将来のある時刻において前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に位置するように軌道の候補を生成する。例えば、軌道候補生成部152は、現在の自車両Mの位置から、将来のある時刻における前方基準車両mBの位置や、車線変更先の車線の中央、且つ車線変更の終了地点までをスプライン曲線等の多項式曲線を用いて滑らかに繋ぎ、この曲線上に等間隔あるいは不等間隔で軌道点Kを所定個数配置する。この際、軌道候補生成部152は、軌道点Kの少なくとも1つがターゲット位置TA内に配置されるように軌道を生成する。
次に、評価・選択部153は、設定条件を満たす軌道の候補を生成できたか否かを判定する(ステップS106)。設定条件とは、例えば、前述した計画性や安全性の観点から閾値以上の評価値が得られたことである。設定条件を満たす軌道の候補を生成できた場合、評価・選択部153は、例えば、閾値以上の評価値の軌道の中から、最も評価値の高い軌道の候補を選択し、軌道の情報を走行制御部160に出力し、車線変更を実施させる(ステップS108)。一方、設定条件を満たす軌道を生成できなかった場合、ステップS110に処理を戻す。この際に、ステップS102で否定的な判定を得た場合と同様に、待機状態になったり、ターゲット位置TAを再設定したりする処理が行われてもよい。これよって、本フローチャートの処理が終了する。
走行制御部160は、評価・選択部153により選択された軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、およびブレーキ装置94を制御する。例えば、走行制御部160は、評価・選択部153により選択された軌道に沿って自車両Mを走行させる際に、相対位置認識部124により導出された距離OSに基づいて、ステアリング装置92、およびブレーキ装置94のそれぞれの操作量(制御量)を決定する。例えば、走行制御部160は、距離OSが小さくなるように(自車両Mが車線中央CLに近づくように)ステアリング装置92、およびブレーキ装置94の操作量を決定する。
以下、自車両Mの走行中に、所定の場面を通過することで行動計画が動的に変更される様子を、図13および14を参照して説明する。図13は、本実施形態の車両制御システム100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定周期で繰り返し実行される。
まず、走行車線中央認識部123は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報に基づいて、目標車線決定部110により決定された目標車線を含む道路上の各車線において車線中央CLを認識する(ステップS200)。
次に、場面ごと切替部125は、所定の場面であるか否かを判定する(ステップS202)。所定のイベントである場合、場面ごと切替部125は、第2の判定部127に処理を行わせる。これを受けて、第2の判定部127は、第2の領域を目標車線の車線中央CLを中心に設定する(ステップS204)。次に、第2の判定部127は、設定した第2の領域内に自車両Mが収まっているか否かを判定する(ステップS206)。第2の領域内に自車両Mが収まっている場合、自動運転制御部120は、現在のイベントであるレーンキープイベントを維持して(ステップS208)、レーンキープイベントを継続する(ステップS2210)。
一方、第2の領域内に自車両Mが収まっていない場合、行動計画生成部140は、レーンキープイベントの次のイベント、または当該レーンキープイベントを、車線変更イベントに変更する(ステップS212)。そして、自動運転制御部120は、S210の処理として、上述した図10に示す一連の処理を行って、目標車線に車線変更させる車線変更イベントを実行する。
上述したS202の処理において否定的な判定を得た場合、すなわち所定のイベントでない場合、場面ごと切替部125は、第1の判定部126に処理を行わせる。これを受けて、第1の判定部126は、第1の領域を目標車線の車線中央CLを中心に設定する(ステップS214)。次に、第1の判定部126は、設定した第1の領域内に自車両Mが収まっているか否かを判定する(ステップS216)。第1の領域内に自車両Mが収まっている場合、自動運転制御部120は、上述したS208に処理を移す。一方、第1の領域内に自車両Mが収まっていない場合、自動運転制御部120は、上述したS212に処理を移す。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
図14は、第1の判定部126による判定場面の一例を示す図である。図中L2は、目的地が存在する方向の分岐先の車線を表し、L1は、分岐元の車線を表している。また、図中CL1は、分岐元の車線L1において認識された車線中央を表し、CL2は、分岐先の車線L2において認識された車線中央を表している。また、図中K#は、自車両Mが第2場面の地点までに至った軌跡を表している。
このような状況で、分岐地点DPまではCL1が、その先ではCL2が、目標車線の中央CLとして扱われる。仮に、場面を問わずに第1の領域のみが設定されるものとした場合、自動運転制御部120は、車線L2への旋回が遅れて車線L1寄りに走行した場合には(図中、実線で示す自車両Mの位置が対応する)、感度よく「車線L2から逸脱した」と判定し、車線変更イベントを起動することになる。この車線変更イベントの軌道は本来不要なものであり、制御負荷が高くなるだけでなく、「車線L2から逸脱した」と判定されたり、「車線L2内に収まっている」と判定されたりすることが繰り返されると、制御にハンチングが生じることになる。
これに対して、本実施形態の車両制御システム100では、第2場面において第1の領域よりも幅の広い第2の領域を設定する。これによって、不要な逸脱判定を回避したい場面において、不感帯に近い領域を設けることができ、例えばレーンキープ等の簡易な制御で自車両Mを分岐先の車線にL2に移動させることができる。また、ハンチングなどの制御上の不都合が生じるのを抑制することができる。
切替制御部170は、切替スイッチ80から入力される運転モード指定信号に基づいて運転モードを切り替える他、操作デバイス70に対する加速、減速または操舵を指示する操作に基づいて、運転モードを切り替える。例えば、切替制御部170は、操作検出センサ72から入力された操作量が閾値を超えた状態が、基準時間以上継続した場合に、自動運転モードから手動運転モードに切り替える。また、切替制御部170は、自動運転の目的地付近において、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える。
切替制御部170は、手動運転モードから自動運転モードに切り替える場合、切替スイッチ80から入力される運転モード指定信号に基づいて、これを行う。また、自動運転モードから手動運転モードに切り替わった後、所定時間の間、操作デバイス70に対する加速、減速または操舵を指示する操作が検出されなかった場合に、自動運転モードに復帰するといった制御が行われてもよい。
以上説明した実施形態によれば、所定の場面では目標車線の中心を基準に第2の領域を設定し、所定の場面以外の場面では目標車線の中心を基準に第1の領域を設定し、自車両Mがこれら双方の領域内に収まっている場合に、自車両Mが目標車線を走行していると判定する。この場合には、車両制御システム100は、目標車線を自車両Mが走行するように制御する。また、車両制御システム100は、少なくともいずれか一方の領域内に自車両Mが収まっていない場合、すなわち自車両Mが目標車線を走行していない場合には、目標車線に移動するように制御する。これによって、車両制御システム100は、車両の挙動を安定させた自動運転を実施することができる。例えば、車両制御システム100は、分岐イベント時に、車線中央CLを中心に第2の領域を設定することにより、目標車線が不必要に変更されるのを抑制することができる。この結果、ハンチングを抑制することができる。
なお、上述した実施形態では、所定の場面において第2の領域を設定して、不要な逸脱判定を回避するものとして説明したがこれに限られない。例えば、上述した場面ごと切替部125は、所定の場面(所定のイベント)である場合、第1の判定部126または第2の判定部127による逸脱判定の処理を停止させてもよい。すなわち、車両制御システム100は、所定の場面では、車線変更によって自車両Mが目標車線を走行するように制御するのを停止し、例えばレーンキープ等の簡易な制御で自車両Mを目標車線に移動させる。これによって、上述した実施形態と同様に、ハンチングを抑制することができる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。