以下に、本発明にかかる球面座標センサ装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本実施の形態による球面座標センサの概略構成を示すブロック図である。図2は、球面座標センサのセンサ本体の一例を示す斜視図である。図3は、センサ本体の回路構成の一例を示す模式図である。図1に示す球面座標センサ10は、対象物を検出するセンサ本体12と、制御装置14と、を有する。
センサ本体12は、図2及び図3に示すように、多面体20と、多面体20に設けられた12個の検出素子VR1〜VR12と、検出素子VR1〜VR12を含む回路を形成する検出回路22と、を有する。
多面体20は、正5角形の面S1〜S12の12面によって形成される正12面体である。多面体20は、面S1〜S12の12面が連結した形状であり、頂点P1〜P20の20個の頂点が設けられている。面S1〜S12は、頂点P1〜P20のうち隣接する5つの頂点を結んだ線で囲まれた面である。例えば、面S1は、頂点P1、P2、P3、P4、P5を結んだ線で囲まれた面、面S12は、頂点P16、P17、P18、P19、P20を結んだ線で囲まれた面である。多面体20は、面S1と一辺が接している5つの面が面S2、S3、S4、S5、S6となり、面S12と一辺が接している5つの面が面S7、S8、S9、S10、S11となる。面S2、S3、S4、S5、S6は、それぞれ面S2、S3、S4、S5、S6のうち隣接する2つの面と接しており、面S7、S8、S9、S10、S11のうち、それぞれ対面する2つの面と接している。
また、本実施形態の球面座標センサ10は、面S1を上面とし、面S12を下面とし、上下方向をx軸方向とする。また、球面座標センサ10は、面S12から面S1に向けた方向をx軸方向の正の方向とし、面S1と面S12との中点、つまり多面体20の中点を原点とする。つまり、球面座標センサ10は、位置Pxが面S1と面S12との中点よりも面S1側がx軸方向の位置Pxが正となる範囲であり、位置Pxが面S1と面S12との中点よりも面S12側がx軸方向の位置Pxが負となる範囲である。また、球面座標センサ10は、原点から面S2と面S3と面S7とが接する頂点P9の近傍に向かう方向をy軸方向の正の方向とし、原点から面S4と面S8と面S9とが接する頂点P15の近傍に向かう方向をz軸方向の正の方向とする。
検出素子VR1から検出素子VR12は、面S1から面S12にそれぞれ配置されている。具体的には、検出素子VR1は、面S1に配置され、検出素子VR2は、面S2に配置され、検出素子VR12は、面S12に配置されている。検出素子VR1から検出素子VR12は、配置されている面S1から面S12の中央に面に垂直かつ面の外側(原点から離れる方向)に向けて配置されている。
本実施形態の検出素子VR1から検出素子VR12は、近接覚センサである。近接覚センサは、例えば、発光素子と受光素子のペアを有する光センサ素子であり、例えばフォトリフレクタを用いることができる。フォトリフレクタは、発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)及び受光素子としてのフォトトランジスタのペアを備えている。フォトリフレクタは、物体が近づくと、LEDから放射された光がその物体で反射され、当該物体からの反射光がフォトトランジスタに入射する。そして、フォトトランジスタには、その反射光の強度に依存する電流(検出電流)が流れる。近接覚センサの場合、算出された電流分布の中心位置及び総電流量は、物体の近接方向及び近接距離のそれぞれに相当する。なお、近接覚センサは、光センサ素子に限定されない。例えば、光に換えて、超音波を発振、受信する超音波センサ素子を用いることもできる。
次に、図3を用いて検出回路22について説明する。検出回路22は、特許文献1及び特許文献2に記載の検出原理を用いて、検出素子VR1から検出素子VR12のいずれで対象物を検出しているかを検出するための回路である。検出回路22は、電源30と、GND端子34と、電圧検出端子36、38と、グループ間抵抗ra、rb、rcと、2つの抵抗Rを有し、検出素子VR1〜VR12と接続する回路である。
検出素子VR1〜VR12は、対象物との距離に応じて抵抗値が変化する可変抵抗素子の一方の端部が電源30に接続されている。検出素子として、フォトリフレクタを利用しているため可変抵抗素子は、フォトトランジスタのコレクタとエミッタ間の抵抗に相当する。フォトトランジスタの反射光量によって変化する。電源30は、電圧Vccを印加する。ここで、検出回路22は、検出素子VR1をグループG1とし、検出素子VR2、VR3、VR4、VR5、VR6を第2グループG2とし、検出素子VR7、VR8、VR9、VR10、VR11をグループG3とし、検出素子VR12をグループG4とする。検出回路22は、グループG2の検出素子VR2、VR3、VR4、VR5、VR6を、それぞれを並列で接続することで、1つのグループとし、グループG3の検出素子VR7、VR8、VR9、VR10、VR11を、それぞれを並列で接続することで、1つのグループとしている。
ここで、検出回路22は、GND端子34と、グループ間抵抗ra、rb、rcと、2つの抵抗Rとが、閉じた回路となっており、回路の各部に検出素子VR1〜VR12の他方の端部が接続されている。検出回路22は、GND端子34、抵抗R、グループ間抵抗ra、グループ間抵抗rb、グループ間抵抗rc、抵抗R、GND端子34の順で直列に繋がっている。また、検出素子VR1は、抵抗Rとグループ間抵抗raとの間に接続されている。検出素子VR2、VR3、VR4、VR5、VR6は、グループ間抵抗raとグループ間抵抗rbの間に接続されている。検出素子VR7、VR8、VR9、VR10、VR11は、グループ間抵抗rbとグループ間抵抗rcの間に接続されている。検出素子VR12は、グループ間抵抗rcと抵抗Rとの間に接続されている。グループ間抵抗ra、rb、rc、抵抗Rは、抵抗値が機知の抵抗である。本実施形態のグループ間抵抗ra、rb、rcは、位置によって抵抗値が異なる抵抗を用いている。抵抗raと抵抗rbと抵抗rcとの抵抗比は、例えば、抵抗ra:抵抗rb:抵抗rc=27.63806:44.72388:27.63806とすればよい。
したがって、検出素子VR1は、他方の端部が抵抗Rまたはグループ間抵抗ra、rb、rc及び抵抗Rを介して、GND端子34と接続されている。検出素子VR2、VR3、VR4、VR5、VR6は、他方の端部が抵抗R及びグループ間抵抗raまたはグループ間抵抗rb、rc及び抵抗Rを介して、GND端子34と接続されている。検出素子VR7、VR8、VR9、VR10、VR11は、他方の端部が抵抗R及びグループ間抵抗ra、rbまたはグループ間抵抗rc及び抵抗Rを介して、GND端子34と接続されている。検出素子VR1は、他方の端部がグループ間抵抗ra、rb、rc及び抵抗Rまたは抵抗Rを介して、GND端子34と接続されている。
電圧検出端子36は、グループ間抵抗raと抵抗Rとの間に接続され、グループ間抵抗raと抵抗Rとの間の配線の電圧出力V1を検出する。電圧検出端子38は、グループ間抵抗rcと抵抗Rとの間に接続され、グループ間抵抗rcと抵抗Rとの間の配線の電圧出力V2を検出する。
検出回路22は、電源30の電圧が複数の検出素子に印加され、複数の検出素子がそれぞれ電圧検出端子36及び電圧検出端子38の間に出力可能であって、隣り合うグループの検出素子同士がそれぞれのグループから電圧検出端子36、38までの間で抵抗値が異なるようにグループ間抵抗ra、rb、rcとはしご状に接続されている。
検出回路22は、電圧検出端子36で検出した電圧出力V1と電圧検出端子38で検出した電圧出力V2を制御装置14の電位検出部16に出力する。
制御装置14は、電位検出部16と、素子制御部18と、位置検出部19と、を有し、センサ本体12の動作を制御し、センサ本体12で検出した信号に基づいて、対象物の位置を検出する。電位検出部16は、センサ本体12の電圧検出端子36と、電圧検出端子38に接続されておりの電圧検出端子36と、電圧検出端子38で検出した電圧値を取得する。素子制御部18は、センサ本体12の検出素子VR1〜VR12の動作を制御し、検出動作を制御する。位置検出部19は、電位検出部16で検出した電位と記憶された情報とに基づいて、対象物が接触している位置を検出する。
制御装置14は、電位検出部16によって、例えば、電圧検出端子36、38から出力される電圧出力V1及び電圧出力V2を取得する。制御装置14は、位置検出部19によって、電位検出部16が検出した電圧出力V1及び電圧出力V2を演算処理することで、x軸方向の座標を検出する。まず、位置検出部19は、電圧出力V1、V2と定数a、bを用いて、信号Iallと信号Ixを検出する。定数a、bは、検出回路22の回路構成に基づいて予め算出した値である。位置検出部19は、信号IallをIall=a(V1+V2)で算出し、信号IxをIx=b(V1−V2)で算出する。ここで、Iallは、検出素子VR1〜VR12に流れる全電流であり、対象物の距離に関係する量である。位置検出部19は信号Iallと信号Ixを用いて、位置Pxを、Px=Ix/Iallで算出する。位置Pxは、検出素子VR1〜VR12のフォトトランジスタに流れる電流分布の中心位置を示し、対象物の位置に関係する量である。具体的には、位置Pxは、x座標における対象物の位置の検出結果を示す量である。ここで、位置Pxは、−1から1の範囲となる。
ここで、球面座標センサ10は、各グループG1〜G4の間をグループ間抵抗ra、rb、rcで接続していることで、対象物がグループG1〜G4のいずれの検出素子に近接するかで電圧検出端子36、38から出力される電圧出力V1及び電圧出力V2で検出される値が変化する。また、球面座標センサ10は、グループG1〜G4のうち、同じグループの検出素子に同じ距離で近接した場合、電圧出力V1及び電圧出力V2で検出される値が同じになる。検出素子VR1〜VR12のうち、どの検出素子が対象物を検出したかと、どのグループG1〜G4に含まれる検出素子が対象物を検出したかと、位置Pxの出力との関係は、図4に示す関係となる。図4に示すようにx軸方向の位置に応じた1次関数の形で位置Pxが出力される。具体的には、x軸方向の正の方向で対象物が検出されるほど、位置出力が1に近づき、x軸方向の負の方向で対象物が検出されるほど、位置出力が−1に近づく。
位置検出部19は、図4に示す関係を予め記憶し、検出した位置Pxの出力に基づいて、反応素子、つまり、対象物が近接し、可変抵抗素子の値が変化した検出素子を含むグループを特定する。位置検出部19は、特定した反応素子の位置から、対象物のx軸方向における位置を検出する。なお、位置検出部19は、位置Pxの出力と対象物のx軸方向の位置との関係を記憶しておき、反応素子を特定せずに、位置Pxの出力から対象物のx軸方向の位置を検出するようにしてもよい。
ここで、位置情報は、原点を中心とする極座標、具体的には、X軸方向の正の方向とのなす角θxで算出しても良い。ここで、多面体20は、正12面体である。このため、正12面体の2面角は、116.57度となり、各グループのx軸とのなす角度は、以下のようになる。グループG1の角度は、0度、グループG2の角度は、63.43333度、グループG3の角度は、116.5667度、グループG4の角度は、180度となる。位置検出部19は、対象物を検出したグループの角度と位置Pxとの関係を記憶しておき、位置Pxの出力から対象物の角度を検出することができる。
球面座標センサ10は、検出する軸における位置に基づいて、軸上の位置が同じとみなせる位置に配置された検出素子を同じグループとし、同じグループの検出素子を並列で接続し、グループ間をグループ間抵抗で接続することで、簡単な回路構成で、測定対象の軸における対象物の位置を検出することができる。
ここで、本実施形態の球面座標センサは、ユーザが操作を入力する入力装置、ヒューマンインターフェースとして用いることができる。球面座標センサは、検出領域に近づく手などの対象物の位置、方位、仰角等の位置情報を検出する。また、球面座標センサは、対象物の距離も検出することができる。球面座標センサは、検出した対象物の位置情報を出力する。球面座標センサで検出した位置情報を受け取った機器は、位置情報を入力として、入力された操作に基づいて、対象の処理を実行する。これにより、ユーザは、球面座標センサに近接させた指等を動かす動作により、機器の操作を行うことができる。
また、球面座標センサ10は、検出素子として、近接覚センサを用いることで、手指などの対象物が球面座標センサ10に接触していない状態で検出を行うことができる。これにより、利用者は、球面座標センサ10に触れることなく、球面座標センサ10に対して操作を入力することができる。これにより、球面座標センサ10を入力デバイスとして用いる機器の操作を非接触で行うことができる。これにより、衛生であり、また汚れた手などでも操作が行える。また、非接触で操作が行えることで、操作対象(例えばロボット等)との接触を行うことなく操作が行えるため、ユーザの安全性を高くすることができる。
なお、本実施形態は、多面体の全面で検出を行ったが、これに限定されず、一部、例えば、グループG1とグループG2のみで検出を行うようにしてもよい。また、球面座標センサ10は、多面体の形状を本実施形態のように正多面体とすることで、検出の演算が簡単になり、検出精度を高くすることができるがこれに限定されない。球面座標センサ10は、検出素子を配置する多面体を切断した形状や、面によって面積が異なる形状としてもよい。また、球面座標センサ10は、多面体の面の中心に検出素子を配置することが好ましいが、中心からずれた位置としてもよいし、頂点に配置してもよい。また、面は、曲面でも平面でもよい。
なお、上記実施形態では、x軸方向における位置を検出する場合として説明したが、y軸及びz軸に対しても同様に検出素子を配置し、検出回路を設けることで位置Pyの出力及び位置Pzの出力を得ることができ、y軸における位置及びz軸における位置を検出することができる。複数の軸上の位置を検出する場合の回路構成については後述する。ここで、本実施形態の12面体の場合、y軸及びz軸まわりの面の構成が非対称な形状となるが、軸における位置が同じとなる位置に検出素子を配置し、同じグループに設定すればよい。また、この場合、グループの軸上における位置のバランスによって、グループ間抵抗の抵抗値の比を設定することが好ましい。
球面座標センサ10は、x軸、y軸及びz軸の3軸で位置情報のうち、2つを用いて、対象物の位置を検出することができる。例えば、位置Py、Pzの出力に基づいてY−Z平面における対象物とZ軸との角度θxを、位置Px、Pzの出力に基づいてX−Z平面における対象物とZ軸との角度θyを、位置Px、Pyの出力に基づいてX−Y平面における対象物とX軸との角度θxを求めることができる。さらに、アークタンジェントを計算する、具体的には、θx=atan(Py/Pz)、θy=atan(Px/Pz)、θz=atan(Py/Px)で計算を行うことでも、それぞれの位置情報を検出することができる。このように、2つの方法で位置情報を検出できることで、位置Pxの出力に基づいてθxを求め、位置Pyの出力に基づいてθyを求め、位置Pzの出力に基づいてθzを求めた場合にいずれかが特異点となった場合も、アークタンジェントを用いた計算で位置情報を検出することができる。これにより、球面座標センサ10は、多面体20の周囲の検出領域の特異点をなくすことが出来、検出領域の全領域で位置を検出することができる。なお、複数の軸で位置情報を得る場合、得られる距離情報Iallは、理論上全て同じ値となる。したがって、対象物との距離の情報は、3軸で算出した距離情報の平均や中央値で算出すればよい。
また、上記実施形態のように、球面座標センサ10は、直交する3軸、つまりx軸、y軸、z軸上の位置を検出することが好ましいが、これに限定されない。球面座標センサ10は、直交しない複数の軸上の位置を検出してもよい。例えば、多面体の面に直交する方向を軸に設定し、直交していない複数の軸における位置を検出するようにしてもよい。
ここで、上記実施形態では、多面体を正12面体としたが、これに限定されない。多面体は、測定対象の複数の軸のそれぞれに対する形状が相似となる形状とすることが好ましい。これにより、球面座標上における検出素子の配置をより均等になるように配置することが可能となり、検出精度を高くすることができる。
図5は、球面座標センサのセンサ本体の他の例を示す斜視図である。図6は、図5に示すセンサ本体の形状を説明するための説明図である。図7は、図5に示すセンサ本体を説明するための説明図である。センサ本体12aは、図5に示すように、多面体20aと、多面体20aに設けられた42個の検出素子VRa1〜VRa42と、を有する。なお、図5には、センサ本体12aの向きを示すため、多面体20aの外にX軸、Y軸、Z軸を示したが、X軸、Y軸、Z軸の原点は多面体20aの中心となる。
図5に示すセンサ本体12aは、多面体20aが42個の面Sa1〜Sa42が組み合わされた42面体である。多面体20aは、図6に示す菱形30面体の多面体80に対して、5枚の菱形が集合する頂点を削ぎ落として5角形の新たな面を生成させたものである。多面体80は、5枚の菱形が集合する頂点が、全周囲で12箇所ある。したがって、多面体80の5枚の菱形が集合する頂点をそぎ落として5角形として生成した多面体は、6角形の30面に5角形の12面が加わり、42面体となる。
多面体20aは、測定対象の複数の軸のそれぞれに対する形状が相似となる形状とすることが好ましい。本実施形態の球面座標センサは、面Sa1を上面とし、面Sa42を下面とし、上下方向をx軸方向とする。また、球面座標センサは、面Sa42から面Sa1に向けた方向をx軸方向の正の方向とし、面Sa1と面Sa42との中点、つまり多面体20aの中点を原点とする。つまり、球面座標センサは、位置Pxが面Sa1と面Sa42との中点よりも面Sa1側がx軸方向の位置Pxが正となる範囲であり、位置Pxが面Sa1と面Sa42との中点よりも面Sa42側がx軸方向の位置Pxが負となる範囲である。また、球面座標センサ10は、原点から面Sa19の中心に向かう方向をy軸方向の正の方向とし、原点から面S22の中心に向かう方向をz軸方向の正の方向とする。
検出素子VRa1から検出素子VRa42は、面Sa1から面Sa42にそれぞれ配置されている。具体的には、検出素子VRa1は、面Sa1に配置され、検出素子VRa2は、面Sa2に配置され、検出素子VRa42は、面Sa42に配置されている。検出素子VRa1から検出素子VRa42は、配置されている面Sa1から面Sa42の中央に面に垂直かつ面の外側(原点から離れる方向)に向けて配置されている。検出素子VRa1から検出素子VRa42は、図7に示すように、それぞれ発光素子と受光素子のペアを有する複数の光センサ素子60が、同心円上に配置されている。検出素子VRa1から検出素子VRa42は、複数の光センサ素子60で検出した結果を平均化した結果を可変抵抗素子で出力する。つまり、検出素子VRa1から検出素子VRa42は、複数の光センサ素子60を備えている場合も1つの検出素子から1つの検出結果を出力する。
球面座標センサは、センサ本体12aの多面体20aを42面体とすることで、直交するx軸、y軸及びz軸にそれぞれ垂直な面が存在する配置とすることができ、3軸それぞれについて、検出素子を相似形状でグループ化することができる。
以下、図8から図10を用いて、複数の軸上の位置を検出する場合の制御素子と制御回路との構成について説明する。図8は、球面座標センサの検出動作の一例を説明するための説明図である。図8に示すセンサ本体12aは、各面に検出する軸に対応する検出素子を別々に配置し、検出素子が別々の軸上の位置を検出する回路に接続している。本実施形態のセンサ本体12aは、x、y、zの3軸を検出する場合であり、1つの面の近接した位置に検出素子VRを3個配置して、3つの検出素子VRが、それぞれXループ70、Yループ72、Zループ74と接続している。Xループ70は、x軸上の位置を検出する検出回路であり、Yループ72は、y軸上の位置を検出する検出回路であり、Zループ74は、z軸上の位置を検出する検出回路である。
図8に示すように、各軸に対応した検出素子と検出回路を設けることで、各軸における位置を検出することができる。また、回路自体の構成は増えるが、各回路が簡単になる。
ここで、図5に示すように多面体20aとして42面体を用いる場合、上述したように各軸周りの形状が相似形状となる。従って、x軸、y軸、z軸の方向にそれぞれネットワークを配置したとき、検出素子の位置が重なる。この場合、検出素子を各軸で共有化することで、少ない検出素子で効率よく対象物を検出することができる。検出素子を共有化することで、42個の検出素子で、3軸の126個分の検出素子の情報を取りだすことができる。つまり、42個の検出素子を3軸に配置し、126個の検出素子を用いて、126個分の検出素子の情報を取り出す場合と同様の情報を得ることができる。また、検出素子を共通化することで、各検出素子の位置を同じ位置とすることができる。これにより、他の軸の結果を用いた補正処理も好適に行うことができ、検出精度を高くすることができる。
以下、図9及び図10を用いて、検出素子を共有化した場合の各検出素子回りの回路構成について説明する。図9は、球面座標センサの検出動作の一例を説明するための説明図である。図9に示す球面座標センサのセンサ本体100は、図8の場合と同様に、軸上の位置を検出する検出回路であるXループ(X軸回りのループ)、y軸上の位置を検出する検出回路であるYループ(Y軸回りのループ)、z軸上の位置を検出する検出回路であるZループ(Z軸回りのループ)が設けられている。図9に示す検出素子Vnは、他方の端部(電源30から電圧Vccが供給される端部とは反対側の端部)に分配回路(デマルチプレクサ)102が接続されている。分配回路102は、スイッチ112を介して検出素子VnとX軸回りのループとを接続し、スイッチ114を介して検出素子VnとY軸回りのループとを接続し、スイッチ116を介して検出素子VnとZ軸回りのループとを接続している。
センサ本体100は、x軸上の位置、y軸上の位置及びz軸上の位置の検出を時分割で実行する。具体的は、センサ本体100は、スイッチ112、114、116のうち1つをONとし、残りの2つをOFFとする。また、センサ本体100は、全ての検出素子Vnの分配回路102を同期させて、ONにするスイッチを順次切り換えることで、x軸上の位置、y軸上の位置及びz軸上の位置の検出を時分割で実行する。
センサ本体100は、分配回路102を設けることで接続する配線を切り換えることができる、また、検出素子の個数を少なくすることができ、全体の配線量を低減することができる。
図10は、球面座標センサの検出動作の一例を説明するための説明図である。図10に示す球面座標センサのセンサ本体200は、図9に示すセンサ本体100と同様に、軸上の位置を検出する検出回路であるXループ(X軸回りのループ)、y軸上の位置を検出する検出回路であるYループ(Y軸回りのループ)、z軸上の位置を検出する検出回路であるZループ(Z軸回りのループ)が設けられている。
図10に示す検出素子Vnは、他方の端部(電源30から電圧Vccが供給される端部とは反対側の端部)が、抵抗Rを介して電圧Veeが印加されている配線と接続されている。また、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor、FET)Q1は、ゲートが検出素子Vnと抵抗Rとの間に接続され、ソースが電源電圧とGNDとの間に接続され、ドレインがX軸回りのループと接続されている。電界効果トランジスタQ2は、ゲートが検出素子Vnと抵抗Rとの間に接続され、ソースが電源電圧とGNDとの間に接続され、ドレインがY軸回りのループと接続されている。電界効果トランジスタQ3は、ゲートが検出素子Vnと抵抗Rとの間に接続され、ソースが電源電圧とGNDとの間に接続され、ドレインがZ軸回りのループと接続されている。
センサ本体200は、電界効果トランジスタQ1、Q2、Q3を用いて、それぞれのループに信号(電流)を流すことで、各軸の位置の検出を並列処理で実行することができる。なお、検出回路の構成は、上記実施形態に限定されず、種々の回路を用いることができる。
図11は、センサ本体の回路構成の他の例を示す模式図である。図12は、検出される出力の一例を示す模式図である。図13は、検出される出力の一例を示す模式図である。図11に示す本体センサ12bの検出回路22bは、検出素子のグループを10個に分けた場合を示している。図11では、1つのグループの検出素子の可変抵抗をまとめてグループ検出素子GR1〜GR10とする。
図11に示す検出回路22bは、電源30と、GND端子34と、電圧検出端子36、38と、グループ間抵抗r1〜r9と、2つの抵抗Rを有し、グループ検出素子GR1〜GR10と接続する回路である。
グループ検出素子GR1〜GR10は、対象物との距離に応じて抵抗値が変化する可変抵抗素子を有する検出素子を少なくとも1つ備え、可変抵抗素子の一方の端部が電源30に接続されている。グループ検出素子GR1〜GR10は、検出素子を複数備える場合、並列に接続されている。電源30は、電圧Vccを印加する。
検出回路22bは、GND端子34と、グループ間抵抗r1〜r9と、2つの抵抗Rとが、閉じた回路となっており、回路の各部にグループ検出素子GR1〜GR10の他方の端部が接続されている。検出回路22bは、GND端子34、抵抗R、グループ間抵抗r1〜r9、抵抗R、GND端子34の順で直列に繋がっている。また、グループ検出素子GR1は、抵抗Rとグループ間抵抗r1との間に接続されている。グループ検出素子GR2は、グループ間抵抗r1とグループ間抵抗r2の間に接続されている。グループ検出素子GR3は、グループ間抵抗r2とグループ間抵抗r3の間に接続されている。グループ検出素子GR4は、グループ間抵抗r3とグループ間抵抗r4の間に接続されている。グループ検出素子GR5は、グループ間抵抗r4とグループ間抵抗r5の間に接続されている。グループ検出素子GR6は、グループ間抵抗r5とグループ間抵抗r6の間に接続されている。グループ検出素子GR7は、グループ間抵抗r6とグループ間抵抗r7の間に接続されている。グループ検出素子GR8は、グループ間抵抗r7とグループ間抵抗r8の間に接続されている。グループ検出素子GR9は、グループ間抵抗r8とグループ間抵抗r9の間に接続されている。グループ検出素子GR10は、グループ間抵抗r9と抵抗Rの間に接続されている。
検出回路22bは、グループ検出素子GR1〜GR10の間にグループ間抵抗r1〜r9を配置することで、電圧検出端子36、38までに通過する抵抗値がグループ検出素子GR1〜GR10ごとに異なる値となる。これにより、電圧検出端子36、38で検出した電圧を処理することで、接触を検出した検出素子を含むグループ検出素子GR1〜GR10を検出し、対象物の位置を検出することができる。
ここで、検出回路22bは、グループ間抵抗r1〜r9を同じとすると、反応素子(対象物を検出した検出素子を含むグループ検出素子)と位置出力との関係が図12に示すように1次関数(直線)となる。つまり、対象物を検出した検出素子を含むグループ検出素子が隣接するグループに移動する毎に電圧が一定量増減する。
検出回路22bは、グループ検出素子GR1〜GR10の間にグループ間抵抗r1〜r9を位置によって変化させることが好ましい。グループ間抵抗r1〜r9を位置によって異なる値とすることで、反応素子と位置出力との関係を任意に変化させることができる。例えば、グループ間抵抗r1の抵抗値を3.015369、グループ間抵抗r2の抵抗値を8.682409、グループ間抵抗r3の抵抗値を13.30222、グループ間抵抗r4の抵抗値を16.31759、グループ間抵抗r5の抵抗値を17.36482、グループ間抵抗r6の抵抗値を16.31759、グループ間抵抗r7の抵抗値を13.30222、グループ間抵抗r8の抵抗値を8.682409、グループ間抵抗r9の抵抗値を3.015369とした場合、反応素子と位置出力との関係を図13に示すように余弦波形状とすることができる。このように、位置による出力を三角関数に近い形状の出力にすることで、角度分解能を平均化することができ、極座標を高い精度で検出することが可能となる。
上記実施形態の球面座標センサは、対象物との距離に応じて電気抵抗が変化し、検出素子に非接触で対象物を検出する近接覚センサを用いる場合として説明したが、これに限定されない。検出素子としては、対象物が接触している圧力に応じて電気抵抗が変化する感圧センサを用いることもできる。感圧センサとしては、感圧素子(pressure-sensitive element)、例えば、圧力に応じて抵抗値が変わる感圧導電性ゴム(pressure sensitive conductive rubber)を用いた素子を用いることができる。球面座標センサは、検出素子として感圧センサを用いることで、各軸において対象物が多面体に接触している位置を検出することができる。また、球面座標センサは、検出素子として感圧センサを用いた場合、対象物との距離に換えて、対象物が接触している圧力も検出することができる。