以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力による出力結果を読み取った読取画像とマスター画像とを比較することにより出力結果を検査する検査装置を含む画像検査システムについて説明する。本実施形態に係る画像形成システムにおいては、正常に出力された用紙と欠陥と判定された用紙とを異なる排紙トレイに排紙し、そのように排紙された用紙の回収を案内する構成に特徴を有する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、DFE(Digital Front End)1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びスタッカ5を含む。
DFE1は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき画像データ、即ち出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをエンジンコントローラ2に出力する画像処理装置である。エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータに基づいてプリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させる。また、本実施形態に係るエンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータを、プリントエンジン3による画像形成出力の結果を検査装置4が検査する際に参照するための検査用画像の元となる情報として検査装置4に送信する。
プリントエンジン3は、エンジンコントローラ2の制御に従い、ビットマップデータに基づいて記録媒体である用紙に対して画像形成出力を実行する画像形成装置である。尚、記録媒体としては、上述した用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。検査装置4は、エンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータに基づいてマスター画像を生成する。そして、検査装置4は、プリントエンジン3が出力した用紙を読取装置で読み取って生成した読取画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査を行う画像検査装置である。
検査装置4は、マスター画像と読取画像との比較により出力結果に欠陥があると判断した場合、欠陥として認定されたページを示す情報をエンジンコントローラ2に通知する。これにより、エンジンコントローラ2によって欠陥ページの再印刷制御が実行される。
スタッカ5は、検査装置4によって検査された後の用紙をスタックする。本実施形態に係るスタッカ5は、複数の排紙トレイを含み、エンジンコントローラ2の制御に従って、正常に出力された用紙、欠陥が検知された用紙、欠陥に対するリカバリーで出力された用紙を夫々異なるトレイに排紙する。スタッカ5に含まれる複数の排紙トレイには夫々LED(Light Emitting Diode)が対応して設けられており、夫々の排紙トレイからの用紙の回収のガイドのために用いられる。これが、本実施形態に係る要旨の1つであり、後に詳述する。
ここで、本実施形態に係るエンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びスタッカ5の機能ブロックを構成するハードウェア構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るエンジンコントローラ2のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、エンジンコントローラ2のハードウェア構成を示すが、他の装置についても同様である。
図2に示すように、本実施形態に係るエンジンコントローラ2は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係るエンジンコントローラ2は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、エンジンコントローラ2全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザがエンジンコントローラ2の状態を確認するための表示装置としての視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス、タッチパネル等、ユーザがエンジンコントローラ2に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びスタッカ5において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン3の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、エンジンコントローラ2、検査装置4の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置も含まれる。また、スタッカ5においては、上述LEDや、夫々の排紙トレイ上の用紙を検知するセンサである。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るエンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びスタッカ5の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図3は、本実施形態に係るエンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能構成を示すブロック図である。図3においては、データの送受信を実線で、用紙の流れを破線で示している。図3に示すように、本実施形態に係るエンジンコントローラ2は、データ取得部201、エンジン制御部202、ビットマップ送信部203を含む。また、プリントエンジン3は、印刷処理部301を含む。また、検査装置4は、読取装置400、読取画像取得部401、マスター画像処理部402、検査制御部403及び比較検査部404を含む。
データ取得部201は、DFE1から入力されるビットマップデータを取得し、エンジン制御部202及びビットマップ送信部203夫々を動作させる。エンジン制御部202は、データ取得部201から転送されたビットマップデータに基づき、プリントエンジン3に画像形成出力を実行させる。ビットマップ送信部203は、データ取得部201が取得したビットマップデータを、マスター画像生成の為に検査装置4に送信する。
また、エンジン制御部202は、出力対象の各ページについてのキューの情報を管理し、検査装置4による各ページの検査結果に基づいてキューの情報を更新する。この情報は、前ページの画像形成出力が完了した後の、用紙の回収をガイドするために用いられる。更に、エンジン制御部202は、検査装置4による各ページの検査結果に基づいてスタッカ5における排紙を制御する。
印刷処理部301は、エンジンコントローラ2から入力されるビットマップデータを取得し、印刷用紙に対して画像形成出力を実行し、印刷済みの用紙を出力する画像形成部、即ち出力機構である。本実施形態に係る印刷処理部301は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。
読取装置400は、印刷処理部301によって印刷が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取り、読取データを出力する画像読取部である。読取装置400は、例えば印刷処理部301によって出力された印刷用紙の、検査装置4内部における搬送経路に設置されたラインスキャナであり、搬送される印刷用紙の紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。
読取装置400によって生成された読取画像が検査装置4による検査の対象となる。読取画像は、画像形成出力によって出力された用紙の紙面を読み取って生成された画像であるため、出力結果を示す画像となる。読取画像取得部401は、印刷用紙の紙面が読取装置400によって読み取られて生成された読取画像の情報を取得する。読取画像取得部401が取得した読取画像の情報は、比較検査のために比較検査部404に入力される。尚、比較検査部404への読取画像の入力は検査制御部403の制御によって実行される。その際、検査制御部403が読取画像を取得してから比較検査部404に入力する。
マスター画像処理部402は、上述したようにエンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータを取得し、上記検査対象の画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。即ち、マスター画像処理部402が、読取画像の検査を行うための検査用画像であるマスター画像を出力対象画像に基づいて生成する検査用画像生成部として機能する。マスター画像処理部402によるマスター画像の生成処理については後に詳述する。
検査制御部403は、検査装置4全体の動作を制御する制御部であり、検査装置4に含まれる各構成は検査制御部403の制御に従って動作する。比較検査部404は、読取画像取得部401から入力される読取画像とマスター画像処理部402が生成したマスター画像とを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断する。比較検査部404は、膨大な計算量を迅速に処理するために上述したようなASICによって構成される。本実施形態においては、検査制御部403が、比較検査部404を制御することによって画像検査部として機能する。
比較検査部404においては、RGB(Red,Green,Blue)各色8bitで表現された200dpiの読取画像及びマスター画像を対応する画素毎に比較し、夫々の画素毎に上述したRGB各色8bitの画素値の差分値を算出する。そのようにして算出した差分値と閾値との大小関係に基づき、検査制御部403は、読取画像における欠陥の有無を判断する。即ち、検査制御部403が検査装置4に含まれる各部を制御することにより画像検査部として機能する。
尚、読取画像とマスター画像との比較に際して、比較検査部404は、図4に示すように、所定範囲毎に分割された読取画像を、分割された範囲に対応するマスター画像に重ね合わせて各画素の画素値、即ち濃度の差分算出を行う。さらに、分割された範囲をマスター画像に重ね合わせる位置を縦横にずらしながら、算出される差分値が最も小さくなる位置を正確な重ね合わせの位置として決定すると共に、その際に算出された差分値を比較結果として採用する。
このような処理により、読取画像とマスター画像とが位置合わせされた上で差分値が算出される。そして、比較検査部404は、各画素の差分値と共に、位置合わせの位置として決定した際の縦横のずれ量を出力する。また、読取画像全体をマスター画像に重ね合わせて差分値を算出するのではなく、分割された範囲毎に差分値を算出することにより、全体として計算量を減らすことができる。更に、読取画像全体とマスター画像全体とで縮尺に差異があったとしても、図4に示すように範囲毎に分割して位置合わせを行うことにより、縮尺の差異による影響を低減することが可能である。
尚、差分値と閾値との大小関係の比較方法として、本実施形態に係る検査制御部403は、夫々の画素について比較検査部404によって算出された差分値を、予め設定された閾値と比較する。これにより、検査制御部403は、比較結果として、夫々の画素毎にマスター画像と読取画像との差異が所定の閾値を超えたか否かを示す情報を取得する。即ち、読取画像を構成する各画素について、欠陥であるか否かを検査することができる。また、図4に示す夫々の分割範囲のサイズは、例えば、上述したようにASICによって構成される比較検査部404が一度に画素値の比較を行うことが可能な範囲に基づいて決定される。
また、上記実施形態においては、比較検査部404がマスター画像を構成する画素と読取画像を構成する画素との差分値を算出して出力し、検査制御部403において差分値と閾値との比較を行う場合を例としている。この他、比較検査部404において差分値と閾値との比較を行い、その比較結果、即ち、読取画像を構成する各画素について、マスター画像において対応する画素との差異が所定の閾値を超えたか否かを示す情報を、検査制御部403が取得するようにしても良い。
次に、プリントエンジン3及び検査装置4の機械的な構成及び用紙の搬送経路について、図5を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン3に含まれる印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ13から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、複数の感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
各色の感光体ドラム12の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙の搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写される。
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、検査装置4に搬送される。また、両面印刷の場合、片面上に画像が形成されて定着された用紙は反転パス16に搬送され、反転された上で再度転写ローラ14の転写位置に搬送される。
読取装置400は、検査装置4内部における用紙の搬送経路において、印刷処理部301から搬送された用紙の夫々の面を読み取り、読取画像を生成して検査装置4内部の情報処理装置によって構成される読取画像取得部401に出力する。また、読取装置400によって紙面が読み取られた用紙は検査装置4内部を更に搬送され、スタッカ5に搬送され、排紙トレイ501〜排紙トレイ507のいずれかに排出される。尚、本実施形態においては、排紙トレイ501〜507を、夫々トレイ1〜トレイ7とする。
スタッカ5の排紙トレイ501〜507には、夫々に対応してLED511〜517が設けられている。このLED511〜517は、排紙トレイ501〜507に夫々排紙された用紙を回収する際のガイドのために用いられる。尚、図5においては、検査装置4における用紙の搬送経路において、用紙の片面側にのみ読取装置400が設けられている場合を例としているが、用紙の両面の検査を可能とするため、用紙の両面側に夫々読取装置400を配置しても良い。
次に、本実施形態に係る検査装置4全体の動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。図6に示すように、本実施形態に係る検査装置4の画像検査に際しては、マスター画像処理部402が、ビットマップ送信部203から入力されたビットマップデータ及び階調補正テーブルに基づいてマスター画像を生成する(S601)。
ビットマップ送信部203から検査装置4に対してのビットマップデータの送信に前後して、プリントエンジン3によって画像形成出力が施された用紙が検査装置4内部に搬送され、その用紙の紙面を読取装置400が読み取ることにより、読取画像取得部401が読取画像を取得する(S602)。
読取画像取得部401が読取画像を取得すると、検査制御部403は、比較検査部404を制御し、読取画像取得部401が取得した読取画像と、マスター画像処理部402が生成したマスター画像との位置合わせ処理を行う(S603)。
S603において、検査制御部403は、マスター画像から抽出された基準点の周囲の画像を、図4において説明したような所定範囲分抽出すると共に、マスター画像から抽出した所定範囲の画像に対応する位置の画像を読取画像から抽出して比較検査部404に入力することにより、図4において説明したように両者の画素値の差分値を取得する。
検査制御部403は、読取画像から抽出する画像の範囲を縦横にずらしながら、比較検査部404による差分値の算出結果の取得処理を複数回繰り返し、最も差分値の合計値が小さかった際の読取画像の抽出範囲を、マスター画像の抽出範囲に対応する位置として決定する。そのようにして決定した読取画像の抽出範囲とマスター画像の抽出範囲との位置ずれ量を、その画像に対応する基準点の位置ずれ量として決定する。
検査制御部403は、マスター画像から抽出された複数の基準点について同様の処理を繰り返し、夫々の基準点毎に算出された位置ずれ量に基づいてマスター画像と読取画像との最終的な位置ずれ量を求める。最終的な位置ずれ量を求める処理としては、例えば夫々の基準点毎に算出された位置ずれ量の平均値を採用する態様や、夫々の基準点毎に算出された位置ずれ量に基づいて画像各部の位置ずれ量を線形的に求めるような態様を用いることができる。
このような処理により位置合わせ処理が完了すると、検査制御部403は、S1003において求めたマスター画像と読取画像との位置ずれ量を用いて、マスター画像と読取画像との比較検査を行う。読取画像とマスター画像との比較処理は、上述したように、画面を所定の範囲毎に分割した分割範囲毎に位置合わせを行いながら実行される。
これにより、検査制御部403は、比較検査部404から欠陥と判断された画像の位置や大きさを示す情報(以降、「欠陥位置情報」とする)を取得する。検査制御部403は、そのように取得した欠陥位置情報に基づいて、夫々のページ毎に欠陥ページであるか否かを判定する(S604)。
欠陥判定を行った検査制御部403は、エンジンコントローラ2のエンジン制御部202に判定結果を通知する(S605)。検査制御部403は、印刷ジョブに含まれる全ページについての検査が終了するまでS601からの処理を繰り返し(S606/NO)、印刷ジョブに含まれる全ページについてS605までの処理が完了したら(S606/YES)、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係る画像検査動作の全体的な処理が終了する。
次に、本実施形態に係るマスター画像処理部402に含まれる機能及びS601において実行される処理の詳細について説明する。図7は、マスター画像処理部402内部の構成を示すブロック図である。図7に示すように、マスター画像処理部402は、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422、色変換処理部423及び画像出力処理部424を含む。尚、本実施形態に係るマスター画像処理部402は、図2において説明した専用デバイス80、即ち、ASICとして構成されたハードウェアが、ソフトウェアの制御に従って動作することにより実現される。
少値多値変換処理部421は、有色/無色で表現された二値画像に対して少値/多値変換処理を実行して多値画像を生成する。本実施形態に係るビットマップデータは、プリントエンジン3に入力するための情報であり、プリントエンジンはCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して検査対象の画像である読取画像は、基本三原色であるRGB各色多階調の多値画像であるため、少値多値変換処理部421により先ず二値画像が多値画像に変換される。多値画像としては、例えばCMYK各8bitで表現された画像を用いることができる。
少値多値変換処理部421は、少値/多値変換処理として、8bit拡張処理、ドットゲイン補正処理、平滑化処理を行う。8bit拡張処理は、0/1の1bitであるデータを8bit化し、「0」は「0」のまま、「1」は「255」に変換する処理である。
ドットゲイン補正処理は、本実施形態の要旨に係る処理であり、プリントエンジン3のドットゲインに応じて、8bit拡張されたビットマップデータにおける有色画素、即ち、画素値が「255」である画素の周囲の画像の濃度を調整する処理である。平滑処理は、8bit化されたデータに対して平滑化フィルタを適用し、画像を平滑化する処理である。この平滑化処理の前にドットゲイン補正を行うことにより、ドットゲインが考慮された状態で画像が平滑化されるため、プリントエンジン3が出力する画像の画素毎の出力特性に応じたマスター画像を生成することが可能となる。
尚、本実施形態においては、プリントエンジン3がCMYK各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する場合を例とし、マスター画像処理部402に少値多値変換処理部421が含まれる場合を例とするが、これは一例である。即ち、プリントエンジン3が多値画像に基づいて画像形成出力を実行する場合は、少値多値変換処理部421は省略可能である。
また、プリントエンジン3が1bitではなく2bit等の少値の画像に基づいて画像形成出力を行う機能を有する場合もあり得る。その場合、8bit拡張処理において対応することができる。即ち、2bitの場合、階調値は0、1、2、3の4値である。従って、8bit拡張に際しては、「0」は「0」、「1」は「85」、「2」は「170」、「3」は「255」に変換する。
解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を、検査対象の画像である読取画像の解像度に合わせるように解像度変換を行う。本実施形態においては、読取装置400は200dpiの読取画像を生成するため、解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を200dpiに変換する(S804)。また、本実施形態に係る解像度変換処理部422は、解像度変換に際して、印刷処理部301によって出力される用紙の収縮等を考慮して予め定められた倍率に基づいて解像度変換後の画像のサイズを調整する。
色変換処理部423は、解像度変換処理部422によって解像度が変換された画像を取得して階調変換及び色表現形式の変換を行う。階調変換処理は、DFE1が階調補正テーブルを用いて行う処理の逆の処理である。即ち、色変換処理部423は、ビットマップ送信部203から入力された階調補正テーブルに基づき、DFE1がビットマップデータを生成する際に調整した濃度を元に戻すための階調変換を行う。
また、上述したように、本実施形態に係る読取画像はRGB形式の画像であるため、色変換処理部423は、階調変換処理のされたCMYK形式の画像をRGB形式に変換する。これにより、画素毎にRGB各色8bit(合計24bit)で表現された200dpiの多値画像が生成される。即ち、本実施形態においては、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422及び色変換処理部423が、検査用画像生成部として機能する。
画像出力処理部424は、色変換処理部423までの処理によって生成されたRGB8bit、200dpiの画像を、検査制御部403の制御に従って出力する。これにより、検査制御部403は、マスター画像処理部402によって生成されたマスター画像と、読取画像取得部401によって取得された読取画像との位置合わせ及び欠陥判定を行う。
このような構成において、本実施形態に係る要旨は、エンジン制御部202による、検査結果に応じた排紙制御及び排紙された用紙の回収のガイド機能にある。以下、本実施形態の要旨に係る構成及び機能について説明する。図8は、エンジン制御部202の機能構成を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係るエンジン制御部202は、印刷制御部210、キュー記憶部220、エンジンI/F230、回収制御部240及びオプションI/F250を含む。
印刷制御部210は、データ取得部201から入力されるビットマップデータ及び印刷要求に基づいてプリントエンジン3を制御する。また、印刷制御部210は、本実施形態の要旨に係る機能を担う構成として、キュー管理部211及び排紙制御部212を含む。キュー管理部211は、ページ毎の画像形成出力要求の情報をキューとして管理し、キュー記憶部220に記憶させる。排紙制御部212は、検査装置4による検査結果に応じて、各ページの排紙先を制御する。
キュー記憶部220は、キュー管理部211によって管理されるキューの情報を記憶する。エンジンI/F230は、印刷制御部210がプリントエンジン3を制御して印刷を実行させるためのインタフェースである。
回収制御部240は、プリントエンジン3によって画像形成出力が実行され、全ての用紙がスタッカ5の排紙トレイ501〜507夫々に排紙された後、その用紙をページ順通りに回収するためのガイド機能を実現する。即ち、回収制御部240が、回収ガイド部として機能し、エンジンコントローラ2が、排紙制御装置として機能する。回収制御部240は、その要旨に係る機能を担う構成として、トレイ選択部241及び表示制御部242を含む。
トレイ選択部241は、キュー記憶部220に記憶されているキューの情報に基づき、排紙トレイ501〜507に排紙された用紙のガイドにおいて、スタッカ5に対して、用紙を回収させるべきトレイを順番に指定する。表示制御部242は、キュー記憶部220に記憶されているキューの情報に基づき、排紙トレイ501〜507に排紙された用紙のガイドにおいて、用紙を回収させるべきトレイをLCD60に表示させる。
オプションI/F250は、エンジン制御部202が検査装置4やスタッカ5と通信するためのインタフェースである。印刷制御部210は、オプションI/F250を介して、検査装置4から検査結果を取得する。また、印刷制御部210は、オプションI/F250を介して、スタッカ5に対して排紙制御を行う。
回収制御部240は、オプションI/F250を介して、スタッカ5に対してトレイ選択部241によるトレイの指定を行う。また、回収制御部240は、オプションI/F250を介して、表示制御部242によるLCD60への情報表示を行う。
図9は、スタッカ5の制御構成を示す図である。図9に示すように、本実施形態に係るスタッカ5は、通信制御部531、排紙経路制御部532、LED制御部533、センサ制御部534、トレイ1用LED511、トレイ2用LED512、・・・トレイ7用LED517及びトレイ1センサ521、トレイ2センサ522、・・・トレイ7センサ527を含む。
通信制御部531は、エンジン制御部202との間で情報のやり取りを行う。排紙経路制御部532は、エンジン制御部202の排紙制御部212による制御に従い、搬送される用紙の排紙経路を切り替え、用紙が意図された通りの排紙トレイに排紙されるように経路を制御する。
LED制御部533は、トレイ1用LED511〜トレイ7用LED517(以降、総じて「LED510」とする)の点灯状態を制御する制御部であり、エンジン制御部202のトレイ選択部241から指定されるトレイに応じて、LED510の点灯状態を制御する。また、LED制御部533は、センサ制御部534が取得する各センサの検知結果に基づいてLED510の点灯状態を制御する。
センサ制御部534は、排紙トレイ501〜排紙トレイ507夫々に対応して設けられているセンサであるトレイ1センサ521、トレイ2センサ522、・・・トレイ7センサ527(以降、総じて「センサ520」とする)による検知結果を取得する。センサ520は、夫々対応する排紙トレイに用紙がスタックされているか否かを検知するセンサであり、光学センサ等が用いられる。即ち、センサ制御部534は、センサ520の検知結果に基づき、排紙トレイ501〜507夫々に用紙がスタックされているか否かを認識する。
次に、本実施形態に係る排紙制御の動作について説明する。図10は、本実施形態に係る画像形成出力におけるエンジン制御部202の動作を示すフローチャートである。図10に示すように、エンジン制御部202は、データ取得部201からビットマップデータを含む印刷要求を取得すると(S1001)、キュー管理部211がキュー記憶部220にキューの情報を登録する(S1002)。
図11は、キュー記憶部220に記憶されるキューの情報の例を示す図である。図11に示すように、キューの情報はページ毎に生成され、夫々のページ毎のキューの情報は、“キューID”、“給紙先”、“排紙先”、“ページ”、“印刷種別”、“判定結果”の情報を含む。“キューID”は、キューを一意に識別する識別子である。“給紙先”は、印刷処理部301において画像形成出力に用いる用紙が格納されている給紙トレイを指定する情報である。
“排紙先”は、本実施形態の要旨に係る情報であり、出力された用紙がスタッカ5において排紙される排紙トレイを指定する情報である。この“排紙先”の情報は、検査装置4による検査結果に基づいて更新されていく。“ページ”は、一の印刷ジョブにおけるページ番号を示す情報である。“印刷種別”は、「オリジナル」、「リカバリー」等、出力される用紙が通常の印刷物であるか、欠陥によるリカバリーの印刷物であるかを示す情報である。“判定結果”は、各ページについての、検査結果が更新される情報である。
キュー管理部211によるキューの情報の登録が完了すると、印刷制御部210は、プリントエンジン3を制御して1ページ分画像形成出力を実行させる(S1003)。これにより、出力された用紙が検査装置4によって検査され、印刷制御部210は、オプションI/F250を介して検査結果を取得する(S1004)。即ち、S1004においては、印刷制御部210が、検査結果取得部として機能する。
取得した検査結果において、画像が欠陥であった場合(S1005/YES)、印刷制御部210のキュー管理部211は、その検査結果に基づいて該当するページのキューの情報を更新する(S1006)。図12(a)〜(c)は、キューの情報の更新態様を示す図である。図12(a)は、検査結果が欠陥であった場合のキューの情報を示す図である。図12(a)に示すように、検査結果が欠陥であった場合、“排紙先”が欠陥排紙用の排紙トレイに変更されると共に、“判定結果”として「NG」が設定される。
また、キュー管理部211は、検査結果が欠陥であった場合、該当するページをリカバリーするためのリカバリーキューをキュー記憶部220に登録する。図12(c)は、そのようにして登録されるキューの情報を示す図である。図12(c)に示すように、リカバリーキューの情報では、“排紙先”が他の排紙トレイに変更されると共に、“印刷種別”が「リカバリー」に設定される。
他方、取得した検査結果において、画像が正常であった場合(S1005/NO)、印刷制御部210のキュー管理部211は、その検査結果に基づいて該当するページのキューの情報を更新する(S1008)。図12(b)は、検査結果が正常であった場合のキューの情報を示す図である。図12(b)に示すように、検査結果が正常であった場合、“判定結果”として「OK」が設定される。尚、1ページ前の用紙の検査結果が欠陥であった場合には、正常と判定された用紙を他の排紙トレイに排紙する必要があるため、“排紙先”が変更される。
S1007またはS1008の処理が完了すると、印刷制御部210の排紙制御部212は、キューに設定されている“排紙先”に基づき、オプションI/F250を介してスタッカ5に対して排紙制御を行う(S1009)。これにより、スタッカ5において、意図された排紙トレイに用紙が排紙される。即ち、本実施形態においては、キュー管理部211及び排紙制御部212が連動して、排紙先制御部として機能する。
印刷制御部210は、全ページについての処理が完了するまでS1001からの処理を繰り返し(S1010/NO)、全ページについてS1009までの処理が完了したら(S1010/YES)、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係る印刷制御部210による印刷制御及び排紙制御の動作が完了する。
図13は、全10ページについての印刷ジョブにおいて、6、8、9ページに欠陥が発生した場合の制御の概念を示す図である。図13に示すようにP1〜P5は正常に出力され、トレイ1に排紙される。P6において欠陥が発生すると、本実施形態において欠陥用の排紙トレイとして用いられるトレイ7に排紙され、P6のリカバリーであるP6´のキューが登録される。
続いてP7は正常に出力されるが、トレイ1に排紙するとP6が抜けた状態で用紙がスタックされてしまうため、トレイ2に排紙先が変更される。P8、P9において欠陥が発生すると、欠陥用の排紙トレイであるトレイ7に夫々排紙され、P8´、P9´のリカバリーキューが登録される。続いて、P10は正常に出力され、P8、P9が抜けた状態でのスタックを防ぐためのトレイ3に排紙先が変更される。
続いて、リカバリーキューであるP6´が正常に出力され、間違った順番でのスタックを防ぐために排紙先がトレイ4に変更される。また、リカバリーキューP8´が正常に出力され、排紙先がトレイ5に変更される。続いてリカバリーキューP9´が正常に出力されるが、P8´とP9´とは連続したページであるため、同じトレイ5に排紙される。このような排紙トレイの選択は、キュー管理部211によるキューの情報の更新の際に実行される。
このように、キュー管理部211は、欠陥として判定された用紙が、廃棄用として選択された排紙トレイに排紙されるように制御すると共に、不連続なページが異なるトレイに排紙されるように制御する。そして、このようにして決定した排紙先を、図10のS1006〜S1008において、図12(a)〜(c)に示すようにキュー情報に反映する。図14は、このような制御の結果スタッカ5において排紙された用紙の状態を示す図である。
次に、このように排紙された用紙を人手により回収する際のガイド機能について説明する。図15は、用紙回収の際の回収制御部240の動作を示すフローチャートである。用紙回収のガイドを開始すると、回収制御部240のトレイ選択部241は、印刷制御部210によって更新されてキュー記憶部220に記憶されているキュー情報を参照し、ページの順番にトレイを選択する(S1501)。開始当初の場合、1ページ目がスタックされている排紙トレイを選択し、以降の繰り返しにおいては、未回収のページのうち最もページ数の小さいページがスタックされている排紙トレイを選択する。
トレイを選択すると、トレイ選択部241は、オプションI/F250を介して、スタッカ5に対して選択したトレイを通知する(S1502)。これにより、スタッカ5においては、選択されたトレイに対応して設けられたLEDが点灯制御される。また、表示制御部242は、選択されたトレイから用紙を回収することを促すメッセージをLCD60に表示させる(S1503)。
図16(a)、(b)は、スタッカ5におけるLEDの点灯状態及びLCD60の表示状態を対応付けて示す図であり、LEDの点灯状態を斜線で示している。図16(a)は、回収を開始した当初の場合の状態を示す図であり、用紙がスタックされているトレイに対応するLEDはすべて点灯状態となっている。そして、最初に回収するべきP1を含むトレイ1に対応するトレイ1用LED511が点滅状態となっている。また、LCD60には、トレイ1からの用紙回収を促すメッセージが表示されている。
また、図16(b)は、その次に回収するべきページを示す場合の制御状態を示す図であり、既に用紙が回収されたトレイ1に対応するトレイ1用LED511は消灯状態となり、P6´を含むトレイ4に対応するトレイ4用LED514が点滅制御されていると共に、LCD60には、トレイ4からの用紙回収を促すメッセージが表示されている。このように、本実施形態においては、複数の排紙トレイ夫々に対応して設けられた通知部であるLED510を、夫々対応する排紙トレイ501〜507に排紙されている用紙のページの順に点滅制御し、夫々の排紙トレイ501〜507からの用紙の回収をページ順に促す。
スタッカ5において用紙が回収されると、図9において説明したセンサ520の検知状態に基づいてセンサ制御部534が用紙の回収状態を検知する。センサ制御部534は、選択されたトレイから用紙が回収されたことを示す検知結果を取得した場合には、回収確認の通知を行い、選択されたトレイ以外から用紙が回収されたことを示す検知結果を取得した場合には、誤回収の通知を行う。スタッカ5における動作については後述する。
スタッカ5から回収確認の通知を受けた場合(S1504/YES)、回収制御部240は、キュー記憶部220に記憶されているキュー情報に基づいて、全ページの回収が完了するまでS1501からの処理を繰り返し(S1508/NO)、全ページの回収が完了すると(S1508/YES)、スタッカ5に対して終了通知を行い(S1509)、処理を終了する。また、処理の終了に際しては、欠陥用の排紙トレイとして用いられるトレイ7の用紙を廃棄するように促しても良い。
回収確認の通知ではなく(S1504/NO)、誤回収の通知を取得した場合(S1505/YES)、回収制御部240は、誤回収を警告するためのエラー表示を行う(S1506)。S1506においては、例えば、図17に示すような表示が、表示制御部242によってLCD60に行われる。また、トレイ選択部241によってスタッカ5に命令を送信することにより、用紙が誤って回収されたトレイに対応するLEDを通常よりも早いスパンで点滅制御させても良い。
スタッカ5においては、上述したようにセンサ520の検知結果によって各トレイの用紙の有無を確認することが出来る。従って、用紙が誤回収されたトレイにおいて、再び用紙がスタックされたことが検知された場合、スタッカ5はエンジン制御部202に対してエラー解除の通知を行う。
エラー解除の通知を受けた回収制御部240(S1508/YES)は、S1504からの処理を繰り返す。尚、エラー解除の通知を受けた際、そのままS1504に戻るのではなく、トレイに戻した枚数を確認するようなメッセージをLCD60に表示させても良い。図17のようなエラーメッセージの場合、「トレイ5に戻した印刷物は2枚ですか?」といったメッセージをLCD60に表示させ、“YES/NO”を選択させるような表示を行うことが考えられる。これにより、誤回収に対して、トレイに戻す用紙の枚数を間違えるような人的エラーを回避することが出来る。このような処理により、本実施形態に係る用紙回収のガイド動作における回収制御部240の動作が完了する。
次に、本実施形態に係る用紙回収のガイド動作におけるスタッカ5側の動作について説明する。図18は、用紙回収のガイド動作におけるスタッカ5側の動作を示すフローチャートである。図18の動作の前提として、スタッカ5のLED制御部533は、センサ制御部534による用紙のスタック状態の認識結果に基づき、用紙が存在しているトレイに対応するLEDを点灯制御している。
図18に示すように、図15のS1501によるトレイ通知を通信制御部531が受けると(S1801)、LED制御部533が、通知されたトレイに対応するLEDの点滅制御を行う(S1802)。また、センサ制御部534は、通信制御部531から、通知されたトレイの情報を取得し、そのトレイの用紙の検知状態が、用紙が存在する状態から、用紙が存在しない状態に変化すると(S1803/YES)、用紙が正しく回収されたことを通信制御部531に通知する。これにより、通信制御部531は、エンジン制御部202に対して、図15のS1504に対応する回収確認を通知する(S1804)。
他方、通知されたトレイではなく(S1803/NO)、他のトレイにおいて、用紙の検知状態が、用紙が存在する状態から、用紙が存在しない状態に変化すると(S1806/YES)、センサ制御部534は、用紙が誤って回収されたことを通信制御部531に通知する。これにより、通信制御部531は、図15のS1505に対応する誤回収の通知を行う(S1807)。また、LED制御部533は、誤回収の通知に伴い、用紙が誤って回収されたトレイに対応するLEDの点滅制御を行う。
その後、用紙が誤って回収されたトレイに用紙が戻されたことを検知すると(S1808/YES)、センサ制御部534は、エラー解除の通知を通信制御部531に対して行い、S1803からの処理を繰り返す。スタッカ5側では、通信制御部531がエンジン制御部202から終了通知を取得するまでS1801からの処理を繰り返し(S1805/NO)、終了通知を取得すると(S1805/YES)、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係る用紙回収のガイド動作におけるスタッカ5側の動作が完了する。
このように、本実施形態に係るシステムによれば、検査によって欠陥と判定されたページが廃棄用のトレイに排紙され、欠陥ページをまたぐことによって連続しないページや、リカバリーのために連続しないページは、それまで用紙が排紙されていたトレイとは異なるトレイに排紙される。この用紙の排紙結果はキューの情報が更新されることによって情報として記憶される。そして、全ページの出力及び排紙が完了した後、回収制御部240が、更新されたキューの情報に基づいてLCD60やスタッカ5のLED510を制御することにより、用紙の回収のガイドを行う。これにより、ユーザは、用紙の順番を誤ることなく、異なるトレイに分散して排紙された用紙を回収することができる。
また、本実施形態に係るスタッカ5には、夫々の排紙トレイ501〜507に対応してセンサ520が設けられており、夫々の排紙トレイ501〜507からの用紙の回収を検知することが可能である。この機能により、ユーザによる用紙の回収に合わせて、用紙回収のガイド、即ち、発光させるLED510やLCD60の表示を切り替えることが可能であり、ユーザの作業に応じたインタラクティブなガイドを実現することが出来る。
また、上述したセンサの機能により、夫々の排紙トレイに排紙された用紙がページの順に回収されているか否かを確認することが可能であり、誤った順に用紙が回収された場合には警告を出すことが可能である。これにより、ユーザは、より確実に、用紙を正しい順番で回収することが可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成システムによれば、正常に出力されたページ、欠陥判定されたページ及びリカバリー印刷されたページが夫々異なる排紙トレイに排紙される場合に、印刷物の回収が正しいページ順に行われるようにすることが可能となる。
尚、上記実施形態においては、LCD60の表示態様として、図16に示すような、夫々のページ毎に表示が切り替わる態様を例として説明した。この他、全ページの回収順を示す一覧表を表示しても良い。図19(a)は、そのような一覧表の例を示す図である。図19に示すような表示は、上記実施形態と同様に、表示制御部242が、図12(a)〜(c)のように更新されたキューの情報を参照することによって表示情報を生成することにより可能である。このような表示により、ユーザは、画像形成出力全体の結果を把握することが出来る。
具体的には、回収制御部240は、キュー記憶部220からキューの情報を取得すると、まず“判定結果”が「OK」である情報を抽出すると共に、抽出したキューの情報を“ページ”の値でソートし、ソートした結果連続するページにおいて“排紙先”が同一である情報をまとめて図19(a)の1行分に相当する情報とする。これにより、図19(a)に示すようなテーブルを生成することができる。
また、図19(a)のような態様を用いる場合において、図16(a)、(b)に示したように回収が進むごとに表示を切り替える場合、夫々の行が各トレイに対応しているため、次に用紙を回収するトレイに対応する行を強調表示するような態様が考えられる。図19(b)、(c)は、そのような態様を示す図であり、図19(b)は、図16(a)の状態に対応する。即ち、図19(b)の例では、P1〜P5が排紙されたトレイ1に対応する行が他の行とは異なる色で強調表示されており、これにより、ユーザはトレイ1から用紙を回収することを認識することが出来る。
また、図19(c)は、図16(b)の状態に対応する。即ち、図19(c)の例では、P6´が排紙されたトレイ4に対応する行が他の行とは異なる色で強調表示されており、これにより、ユーザはトレイ4から用紙を回収することを認識することが出来る。尚図19(c)の状態においては、既に用紙の回収が完了したトレイ1の行は、完了を示すように更に色が変更されている。
図16(a)、(b)や、図19(a)〜(c)のような表示では、次に用紙を回収するべきトレイを示すことはできるが、夫々のトレイにどのような用紙がスタックされているかは不明である。これに対して、LCD60の表示を切り替えることにより、図20に示すように、次に回収するべきページの画像を表示することも可能である。
このような態様は、図10に示すエンジン制御部202の動作において、キュー管理部211が、キュー情報を登録する際、図20に示すような各ページのサムネイル画像を表示するための表示用画像情報を、出力対象のページのビットマップデータに基づいて生成し、キュー情報と共にキュー管理部211に登録しておくことにより可能となる。
尚、印刷処理部301に画像形成出力を実行させるためのビットマップデータは解像度が高く、LCD60に表示するための画像としてはサイズが大きすぎる。このようなビットマップデータに基づいてLCD60へのサムネイル表示を行うと、表示処理のために時間がかかってしまう。これに対して、例えばビットマップデータから所定ライン毎に走査線を間引いてサムネイル画像を生成する態様を用いることが出来る。これにより、LCD60でのサムネイルの表示処理を低負荷で且つ高速に行うことが出来る。
サムネイル表示に際しては、図15の動作において、回収制御部240の表示制御部242が、図16(a)、(b)や、図19(b)、(c)の表示の最中におけるユーザからの操作に応じて、キュー記憶部220に登録されているサムネイルの情報に基づいてLCD60を制御し、図20に示すような表示を行う。このような表示のためのユーザの操作を容易にするため、図16(a)、(b)や図19(b)、(c)の画面には、サムネイル表示を指示するための操作部が表示されるようにすることが好ましい。
また、上記実施形態においては、図15及び図18において説明したように、エンジン制御部202側に設けられた回収制御部240が、スタッカ5との間で情報をやり取りすることにより、用紙の回収ガイド機能が実現される場合を例として説明した。この他、回収制御部240の機能を、スタッカ5側に設けても良い。
回収制御部240は、上述したようにキュー記憶部220に記憶されたキューの情報に基づいて図15に示す制御を実行する。従って、回収制御部240に相当する機能が、スタッカ5に含まれるCPU10、RAM20等の情報処理機能によって実現される場合、エンジン制御部202のキュー記憶部220に記憶されたキューの情報を、スタッカ5側に送信することにより、スタッカ5側のみで動作を実現することが可能である。
この場合において、図16(a)、(b)や、図19(b)、(c)及び図20のようなLCD60の表示は、スタッカ5に設けられた表示部によって実現されることが好ましい。本実施形態に係る画像形成システムのような、検査装置4を含むシステムは、比較的大型のシステムとなることが一般的であり、スタッカ5が設置された位置と、エンジンコントローラ2が設置された位置とは、数メートル以上離れていることが多い。従って、スタッカ5において用紙の回収をしながら、エンジンコントローラ2に設置されたLCDの表示を確認することは困難である。
これに対して、スタッカ5において図15の動作が実現され、スタッカ5に設けられたLCD60に表示が行われる場合には、スタッカ5の用紙を回収しながらLCD60の表示を確認することが容易であり、ユーザの利便性を向上することが出来る。
また、上記実施形態においては、用紙の回収ガイドの機能に関して、回収制御部240が参照する情報がキュー情報である場合を例として説明した。このような態様は、印刷制御に際して用いられる情報を転用可能であるという点で効率的である。しかしながら、回収制御部240が参照する情報は必ずしもキューの情報である必要は無く、少なくとも図15において説明した動作を実行可能な情報であればよい。
即ち、正常であると判定されたページが、夫々どの排紙トレイに排紙されているかを示す情報があれば、回収制御部240は図15に示す動作を実行することが可能である。従って、キュー記憶部220は、図12(a)〜(c)に示すように更新されたキューの情報をすべて保存するのではなく、例えば、“判定結果”が「OK」であるキューの情報を抽出し、“排紙先”及び“ページ”の情報のみを抽出して保存しても良い。また、図19(a)〜(c)のような表示を行う場合には、“排紙先”、“ページ”、“印刷種別”、“判定結果”の情報を抽出して保存しても良い。